日本共産党の総選挙結果5回分データ分析
1996〜2009年総選挙 09年結果をどう見るのか?
得票率10%以上小選挙区数96年190→00年162→03年65→05年52→09年28と激減
(表1、2)は、志位和夫が宣伝する「善戦・健闘」なのか
(宮地作成)
〔目次〕
はじめに−共産党常幹「総選挙の結果について」09年9月1日
(表1)、2009年、5回目の小選挙区比例代表並立制総選挙(1996〜09年)
(表2)、総選挙における共産党の供託金と没収者数・額・率(1996〜09年)
(表3、4)、歯止めのきかない党勢減退(2011年7月共産党3中総のデータに変更)
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共産党常幹『総選挙の結果について』09年9月1日−「得票数前進=善戦・健闘」
MF生作成表『総選挙小選挙区−共産党の成績』得票率10%以上52→28に激減
『じり貧的瓦解4段階経過と第5段階への転落方針』08年7月6中総方針の表裏
はじめに−共産党常幹「総選挙の結果について」09年9月1日
日本共産党常任幹部会は、09年9月1日、「総選挙の結果について」という総選挙結果の自己評価を公表した。その評価内容を見る。(1)、議席−「比例代表選挙で9議席を獲得し、現有議席を確保」。(2)、得票数−「491万9千票から494万4千票へと前進」。(3)、得票率−「前回総選挙の7.25%から7.03%に後退したものの」とした。(4)、全体評価として、「激しく難しい条件のもとで、わが党が現有議席を確保し、得票数で前進したことは、善戦・健闘といえる結果」だと、「善戦・健闘」との総括・自己評価をした。
議席確保・得票数前進=善戦・健闘とした総括は正しいのか。このファイルは、その正当性有無を検証する。
共産党常幹『総選挙の結果について』09年9月1日−「得票数前進=善戦・健闘」
共産党『総選挙、共産党9議席守る。比例代表494万票、前回上回る』総選挙データ
しかも、見過ごすことができないテーマがある。それは、9月1日常幹総括が、小選挙区結果について、一言も触れないで、知らぬ顔をし、完全に沈黙、隠蔽していることである。その理由は何か。〔表1〕における小選挙区結果分析で検証する。
(表1) 5回目の小選挙区比例代表並立制総選挙
年 |
比例議席 |
得票数(万票) |
得票率(%) |
小選挙区データ |
96 |
24 |
727(小) 710(比) |
13.08(小) 12.55(比) |
299→190 |
00 |
20 |
735(小) 663(比) |
12.08(小) 11.23(比) |
300→162 |
03 |
9 |
484(小) 459(比) |
8.13(小) 7.76(比) |
300→65 |
05 |
9 |
494(小) 492(比) |
7.25(小) 7.25(比) |
275→52 |
09 |
9 |
297(小) 494(比) |
4.22(小) 7.03(比) |
152→28 |
小選挙区データとは、立候補者数→得票率10%以上選挙区の激減ペース
共産党は、2009年総選挙において、小選挙区候補者299→300→300→275→152に激減させた。そこから、小選挙区データの比較が単純にはできない。152選挙区どうしなら比べられる。09年総選挙結果を見ても、今後の総選挙300小選挙区において、いかなる政党との選挙協力も拒絶する路線の共産党が当選する見込みは皆無である。そこから、ここでは、各色太字で比例代表データだけの比較をする。
〔1、議 席〕、24→20→9→9→9である。3回連続で議席±0だった。ただし、09年の比例代表議席数を減らさないですんだのには、自民党の比例代表得票数・得票率が極度に激減→大量落選したことにより、共産党が比例代表ブロックの定数内に留まることができたという他党派との相関関係が一因としてある。
例えば、落選確率の高かった近畿ブロックでは何が起きたか。自民党は、05年比例代表得票数4003209票・11人当選だった。09年では、得票数2592451票・当選7人で、4人が落選した。共産党の05年当選順位は8、19、29位・定数29人中最下位だった。09年当選順位は8、16、29位最下位当選だった。もし、自民党の得票数大量141万票減・大量4人落選という地殻変動がなければ、共産党近畿ブロック3人目は、定数29位以下になり、当選者は2人に留まっていた。東北ブロック1人当選についても、ほぼ同じデータになっている。
〔2、得票数〕、05年491万9187票→09年494万3886票で、2万4699票増やした。一方、比例代表投票率は、67.46%→69.27%へと、1.81%アップした。投票総数は、05年67811069票→09年70370255票へと、255万9186票増加した。
投票率1.81%アップ、255万票増加に比例すれば、共産党はとれだけの得票数を増やしているべきかというテーマが浮上する。この計算はややこしいが、志位和夫が毎回使う詭弁・強弁の悪質さを証明する上では必要となる。党費納入25万党員や読者たちは、彼の詭弁・ペテンに、いつもころりと騙され続けているので、この推計は重要となる。
255万9186票増加×共産党得票率7.03%≒17万9910票を増やしているはずである。この得票数差は、実質的な得票数減少を意味する。17万9910票増えたはず−2万4699票増やした=実質的に15万5211票を減らした敗北だった。それは、得票率05年7.25%→09年7.03%=0.22%ダウンデータと一致している。得票率ダウンは、実質的な得票数15.5万票減の惨敗結果を証明している。96年と比べれば、13年間で、710−494=216万票・30.4%減少という得票数連続大敗北過程にある。
〔3、得票率〕、12.55%→11.23%→7.76%→7.25%→7.03%になった。得票率4回連続ダウンの惨敗結果である。12.55−7.03=5.52%減少となり、13年間で、得票率を44%も激減させたじり貧的瓦解過程に入っている。
〔4、小選挙区〕、共産党は、小選挙区結果にたいし、沈黙・隠蔽している。いくら「比例を軸」方針としても、その無総括はおかしい。よほど都合の悪い=党員・読者に知られたくない大惨敗結果になったのか。
まず、得票率10%以下小選挙区のテーマがある。総選挙小選挙区の得票率10%以上は、供託金300万円が没収されない。10%以上小選挙区数は、96年190→00年162→03年65→05年52→09年28と激減してきた。得票率10%以上に到達する小選挙区がいかに激減してきたのかというデータによって、それが、日本共産党のじり貧的瓦解テンポを示すバロメーターの一つになっている。
MF生作成表『総選挙小選挙区−共産党の成績』得票率10%以上52→28に激減
小選挙区得票数結果もある。全体は立候補選挙区激減で比較できない。しかし、05年立候補しなかった広島6区を除く151選挙区どうしなら比較できる。MF生さんがその詳細な表を作ってくれた。私のHPに載せた(表)によれば、151小選挙区間を比べると、得票数が25万3800票減り、05年得票数より8%減少という大敗北結果になっていた。志位・市田・不破らが、この惨敗結果を隠し、沈黙した気持ちは哀れでもある。
〔5、絶対得票率〕、05年4.76%→09年4.75%へと、0.01%減らした。絶対得票率に基づく長期的、比較分析は、今まであまりされていない。
相対得票率=得票数÷有効投票総数×100 ・・・通常いわれる「得票率」のこと。
絶対得票率=得票数÷当日有権者数×100 ・・・05年総選挙における有権者数1億335万人
09年総選挙比例代表絶対得票率=得票数494万3886票÷当日有権者数1億394万9442人×100
これらデータ5つは、日本共産党が、総選挙において、議席だけは9→9→9としても、得票数・得票率を合わせれば、実質的に4連続惨敗をしたことを示している。参院選での3連続惨敗を合わせると、国政選挙で7連続惨敗をした証拠となっている。
『共産党の参院選結果7回分データ分析』参院選での3連続惨敗
(表2) 共産党の供託金と没収者数・額・率
供託金−89%候補者が没収、6億6600万円
立候補 |
供託金 |
当選 |
没収者 |
没収額 |
没収者率 |
||
96年 |
小選挙区 |
299 |
8億9700円 |
2 |
109人 |
3億2700万円 |
36% |
00年 |
小選挙区 |
300 |
9億円 |
0 |
138人 |
3億9000万円 |
43% |
03年 |
小選挙区 比例代表 合計 |
300(単独269) 47(重複31) 347(重複31) |
9億円 1億8900万円 10億8900万円 |
0 9 9 |
235人 29人 264人 |
7億500万円 9500万円 7億9200万円 |
78% 重複94% 80% |
05年 |
小選挙区 比例代表 計 |
275(単独253) 39(重複22) 314(重複22) |
8億2500万円 1億6800万円 9億9300万円 |
0 9 9 |
223人 21人 244人 |
6億6900万円 6300万円 7億3100万円 |
81% 重複95% 84% |
09年 |
小選挙区 比例代表 計 |
152(単独92) 79(重複60) 171(重複60) |
2億7600万円 4億7400万円 7億5000万円 |
0 9 9 |
92人 61人 153人 |
2億7600万円 3億9000万円 6億6600万円 |
100% 77% 89% |
総選挙小選挙区の得票率10%以上は、供託金300万円が没収されない。その10%以上小選挙区数は、立候補数−没収者数である。10%以上小選挙区数は、96年190→00年162→03年65→05年52→09年28と激減してきた。私が供託金没収データにこだわるのは、没収金額問題だけではない。得票率10%以上に到達する小選挙区がいかに激減してきたのかというデータによって、それが、日本共産党のじり貧的瓦解テンポを示すバロメーターの一つになっているからである。
なお、小選挙区・比例代表の供託金総額計算はややこしい。09年5回目は、立候補激減・激増リストラ戦術になったので、4回までの計算式順序を変え、まず比例代表供託金を計算する。比例単独・重複とも、供託金600万円である。比例代表79人×600万円=供託金4億7400万円である。
(1)、比例代表立候補=単独19人+重複60人の供託金没収3億9000万円
比例代表立候補79人の供託金没収額は、次の没収基準計算式である。当選9人のままになったので、(79−当選9人×2)×600万円=61人没収で、供託金没収額3億9000万円にもなった。
(2)、小選挙区立候補152人−比例代表重複60人=小選挙区単独92人の供託金没収2億7600万円以上
09年総選挙は、10%以下小選挙区の立候補をかなりやめた結果、152小選挙区の立候補になった。得票率10%以上の52小選挙区はすべて立候補している。よって、比例代表重複60人を、60−52=8人の誤差があるが、10%以上とする。となると、単独92人の小選挙区は、05年総選挙ですべて得票率10%以下だった。そこから、供託金没収計算式はどうなるか。小選挙区単独92人×300=供託金没収額2億7600万円になった。
(3)、供託金没収合計は、選挙結果により変動するが、一応、6億6600万円・89%
供託金没収を免れ、返還されるのは、(比例代表当選9人×2)×600万円=1億800万円だけである。7億5000万円を供託し、還ってくるのは、14.4%しかない。となると、志位・市田・不破らは、供託金没収6億6600万円・89%を見込んで、党員の供託金カンパを国庫に没収させる計画を企んでいたことになる。
09年も、供託金6億6600万円の没収=国庫への党員カンパ垂れ流しという志位・市田・不破らによる背信行為=無謀な浪費に気付いた党員はどうするのか。党費納入拒否にならなくとも、そんな犯罪的な浪費戦術の金額的保証となる供託金カンパ1200円納入を拒否する党員が激増する。
というのも、ただでさえ、党費納入25万党員は、(1)総選挙カンパ・(2)参院選カンパ・(3)統一地方選カンパ・(4)首長選カンパと、(5)夏・(6)年末の専従一時金1カ月分カンパという315地区提示カンパ目標額6種類を、出すことを、従来から実質的に義務付けられているからである。ただし、(5)(6)の専従一時金1カ月分カンパは、315地区のほとんどで発生している専従給与遅配分解消カンパ額も含む。そして、供託金没収見込みカンパは、(7)番目の強制カンパになったからである。
しかも、国政選挙7連続惨敗結果と、志位・市田・不破らの欺瞞的選挙総括=支部への惨敗責任転嫁、鉄面皮な居座りにたいし、(1)批判・不満をくすぶらせる党員が激増している。彼らは、党費納入拒否にまではならなくとも、(2)党勢拡大・選挙活動サボタージュ党員に転化してきた。さらには、志位・市田・不破の背信行為=無謀な浪費にたいし、(3)供託金の強制カンパ納入拒否=実質的な一律党費値上げを拒否するレベルに一段と進みつつある。とりわけ、不破特権の実態データを知った党員は、素直に、供託金カンパを出す気持ちになるだろうか。
『不破哲三の出版・印税収入特権と年収特権』05年カンパ総額10.8万円のみ
宮本・不破・志位らは、1980年ピーク以降、赤旗部数増減の長期データを発表したことが一度もなく、隠蔽している。せいぜい、前回国政選挙比か前回党大会比しか言わない。それらは、増でなく、すべて減っている。1980年以降、30年間で、HN355万部−145.4万部=209.6万部・59.0%読者が、日本共産党を支持できない、誤った路線・体質の政党であるとして大量離脱してきた。(表3、4)は、2011年7月共産党3中総のデータに変更した。
(表3) 30年間連続減紙政党=読者大量離脱政党
年 |
80 |
82 |
85 |
87 |
90 |
94 |
97 |
00・9 |
04・1 |
06・1 |
10.1 |
大会 |
15 |
16 |
17 |
18 |
19 |
20 |
21 |
22 |
23 |
24 |
25 |
HN |
355 |
339 |
317.7 |
317.5 |
286 |
250 |
230 |
199 |
173 |
164 |
145.4 |
内H |
54 |
50 |
40 |
35 |
(30) |
(28) |
(25) |
||||
内N |
232 |
200 |
190 |
164 |
(143) |
(136) |
(120.4) |
||||
増減 |
−16 |
−21.3 |
−0.2 |
−31.5 |
−36 |
−20 |
−31 |
-26 |
-9 |
-18.6 |
|
累計 |
|
−16 |
−37.3 |
−37.5 |
−69 |
−105 |
−125 |
−156 |
−182 |
−191 |
−209.6 |
1989年東欧革命〜91年ソ連崩壊後、減紙テンポが急増
東欧・ソ連10カ国・前衛党全滅とともに、ヨーロッパの全コミンテルン型共産党も同時死滅
第22回大会までは、HN総部数とともに、日刊紙H、日曜版Nの個別部数も報告していた。しかし、第23、24、25回大会は、HN総部数しか報告しなくなった。(表)の( )は、従来のHN比率に基づき、私が推計した。第25回大会の(H25万部)はその推計である。増減数は、前大会からの減紙を示す。2000年9月第22回大会報告では、日刊紙H35万部だった。その少し前が値上げ決定の「10年余前36万部」だったと思われる。
(表4) 15カ月連続党勢拡大運動の増減結果データ
13カ月連続「大運動」+延長8・9月結果+再延長10月末結果
年月 |
10年1月 党大会 |
7月18日 志位公表 |
8月末 実質数 |
15カ月結果 5中総公表 |
9月末 実質数 |
10月末結果 赤旗公表 |
党大会 後の増減 |
日刊紙 |
25万 |
22万3750 |
−1541 |
22万3500 |
−598 |
−2万7098 |
|
日曜版 |
120.4万 |
104万1460 |
−2813 |
104万1460 |
−2129 |
−16万4669 |
|
HN合計 |
145.4万 |
130万 |
126万5210 |
−4354 |
126万4960 |
−2727 |
-19万1767 |
党員 |
40.6万人 |
31.8万 |
21万5922 |
+2万 |
|
+500 |
|
支部 |
2.2万 |
2万 |
1万5158 |
隠蔽 |
|
|
|
党大会後の増減は、10年1月第25回大会数値−12年10月末実質数
赤旗は2012年10月末結果を公表した。P500増加、H598減紙・N2129減紙=HN合計2727減紙だった。5中総に基づく「総選挙躍進大運動」の1カ月目も、連続大量減紙でスタートした。P2万+500増加なのに、10月末結果が、HN合計2727減紙ということは、党員拡大数はいつもでたらめで、まったく信用できないからくりを暴露した。
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(関連ファイル)
共産党常幹『総選挙の結果について』09年9月1日−「得票数前進=善戦・健闘」
MF生作成表『総選挙小選挙区−共産党の成績』得票率10%以上52→28に激減
『じり貧的瓦解4段階経過と第5段階への転落方針』08年7月6中総方針の表裏