三高歌集賄征伐の歌明治三十六年 永井瓢齋 作詞
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1 湯気立ち上る食堂の 中は真黒けに染められて 青ばなたらす賄の 顎におどろの鬚はえつ 米南京の砂まじり 茶は山吹の色も濃く 噛めども切れぬ牛肉に 我が三寸の舌だるし |
ゆげ たち のぼる しょくどうの なかはまっくろけに そめられて あおばなたらす まかないの あごにおどろの ひげはえつ こめ なんきんの すなまじり ちゃは やまぶきの いろもこく かめどもきれぬ ぎゅうにくに わがさんずんの しただるし |
2 人造地震の音高く 黒暗々の夜の床 身を切る風はうら寒く 電燈暗き寝室に 眼に入る塵を箒もて あたりかまわず掃き散らす 枕ケ丘に立て籠る 三舎の健児百餘名 |
じんぞうじしんの おとたかく こくあんあんの よるのとこ みをきるかぜは うらさむく でんとうくらき しんしつに めにいるちりを ほうきもて あたりかまわず はきちらす まくらがおかに たてこもる さんしゃのけんじ ひゃくよめい |
3 阿彌陀時々火をたいて 機械に油をそゝげども スチームとかく杜絶えがち 我等に風邪をひかすなり 風邪引くものゝ多ければ 喜ぶものは虎脚気 得意の鼻をうごめかし 人力車をば馳せてくる |
あみだ ときどき ひをたいて きかいにあぶらを そそげども スチームとかく とだえがち われらにかぜを ひかすなり かぜひくものの おおければ よろこぶものは とらがっけ とくいのはなを うごめかし じんりきしゃをば はせてくる |
4 試験の重荷を肩にかけ 注意の點をいたヾいて 破れかぶれの袴はき 彌次馬の背に鞭ちて 樓上樓下を驅けめぐる 三舎の健児注意せよ 舎監のお目玉らんらんと 名譽のおこゞと戴かん |
しけんのおもにを かたにかけ ちゅういのてんを いただいて やぶれかぶれの はかまはき やじうまのせに むちうちて ろうじょうろうかを かけめぐる さんしゃのけんじ ちゅういせよ しゃかんの おめだま らんらんと めいよのおこごと いただかん |