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はじめに
音とは?
音の色々な効果
人間と音
室内音響とは?
オーディオルームを造ろうその1
不定期更新です。
室内音響
(1)室内音響って?
 室内音響とは、より良い部屋の音環境を作り出すための学問です。音楽を聴くコンサートホールでは、ステージで出された音がどのように壁を反射してお客さんにより良く音楽を聴いてもらえるか、空調の音や外部の音がホール内に聞こえないようにするとかを検討し設計する事です。
 また、会議室や講演会がメインのホールでは、音の響きより、いかに会話を聞き取りやすく明瞭を良くするかがポイントになります。

 どこそこのホールは音の響きが良くて聞きやすいとか、あの教会は説教が聞き取りにくいなど、意外と話の中で出てくることはありませんか?
 あまり気にならないけど、気になりだしたら気になって仕方がないのが、音の世界だったりします。

(3)残響時間とは?
 「あのコンサートホールは、残響時間が2秒で良い響きらしい」などと、コンサートに行かれたりする方がこういう事をおっしゃっているのをたまに聞きます。この残響時間とはいったいなんのことでしょうか?

 簡単に言えば、音の響きの長さをさしています。

 室内で音が発せられると、音は室内一杯に拡散、反射を繰り返しながら、一定の大きさに達します。その音が止められると、その瞬間から室内の音は減衰をはじめ、ついには音は聞こえなくなります。この減衰過程に聞こえる音を残響と読んでいます。定義としては、「室内の音圧レベルが60dB減衰するための時間長」というのが、残響時間です。
 
 室内において、音が小さくなっていくのは室内表面に音が衝突したときに、反射しないエネルギーがあるからで、そのエネルギーを一括して吸音と呼びます。
 吸音しやすい身近な物で言うと、ソファーとかカーテン、絨毯など。建材とすれば一般的には壁などに隠れていて見ることはなかなかありませんが、グラスウールなどがあります。
 逆に吸音しにくい物としては、コンクリートの打ちっ放しやガラス、鉄板などです。残響室というJIS規格で定められた音を調べる実験室があります。この施設は残響時間が非常に長く、コンクリート打ちっ放しで作られています。逆に、音を反射させない無響室は、壁にグラスウールやウレタンなどを貼ってあります。

 残響は室空間に音響的性格を与える要素なので、音を聞くことを目的とする建築空間は残響をいかに扱うか、建築音響設計上の重要な課題となります。

 最初に「残響が2秒は良いコンサートホール」などと言うことがあると言いましたが、残響時間はたとえ同じ2秒であっても、室内の大きさによって聞く感じが変わってきます。例えば、6畳の部屋と2000席の大ホールで同じ残響時間2秒としたとき、6畳の部屋ではワンワンとした感じを受け、耳への刺激が大きく音楽を聴くには向かない部屋になります。後者の大空間では非常に聞き易い部屋となります。室容積と残響時間は比例の関係にあって、室空間が大きくなれば残響時間は長くしなければ、良い音空間とはならないのです。

 残響時間は長すぎると、その室内の言語が聞き取りにくくなり、音楽は前後の音が重複して不調和音が応じて不快になります。しかし短すぎると、音に豊かさが無くなります。すなわち残響時間は短すぎても長すぎても、良い音空間とは言えなくなるのです。

 この残響時間は室内の音響特性について述べる場合にもっとも基準となるもので、簡単に室内の音響性能を述べる場合にこの残響時間の長さで判断することが多いです。もっとも、これは簡単に判断するものであって、実際には残響時間だけでは良い悪いは判断できない場合もあります。例えば、残響時間がホールとして最適な値であっても、 音の分布が偏っているとか、エコーが出ているホールはよいホールとは言えないなど、残響時間だけで判断するのは危険です。

(4)最適残響時間とは?
 コンサートホールやスタジオ、会議室などの使われ方による最も良いと考えられる残響時間を示した物です。色々な研究者が提案しています。

 表を見ると、コンサートホールや教会などの最適残響時間は長めに、会議室などは短めなのがわかります。

 コンサートホールなどは残響時間がある程度長くないと音に豊かさが生まれません。逆に会議室などは会話がメインなので、残響時間が長いと先に話した言葉が後に話した言葉と被ってしまい、言葉が聞き取りにくくなるので、残響時間が短めになります。

 最適残響時間は、部屋の容積が大きくなれば、大きくなるほど残響時間が長くなります。グラフが右に向かうほど、最適残響時間が長くなっていっているのが分かると思います。

 周波数毎の最適残響時間周波数特性についても提案されており、コンサートホールでは中音域の残響時間を1とすると、低音域の残響時間は1.2〜1.5倍程度の特性が良いとされています。
 
 個人宅のオーディオルームなどでは、部屋の大きさにもよりますが、残響時間が0.2秒から0.3秒辺りが良いと思われます。周波数特性としては、低音から高音までフラットに近い形が良いでしょう。

(グラフ引用:建築の音環境設計)