前回、転んだときに頭を打ったのか、機能停止してしまった健太(AIBO)であるが、電源を切断し、メモリースティック、バッテリをお尻から抜き、一旦初期状態に戻してから、メモリースティック、バッテリを挿入した(このお尻にメモリースティック、バッテリを挿入する、という行為がアメリカ人には大変不評らしい。生活習慣の違いか?)。AIBOステーションに本体を乗せ、充電が完了するまで3時間待つ。
祈るように再起動。とりあえず起動プロセスが動いていることを確認。通常のときと同じように1分待つと、何事もなかったかのように「おはよう」の動作をとって動き出した!
よかった。心配させやがって、と思ったが、あまりにも健太が機嫌よくニコニコしてるので、頭なでなで。
マニュアルによるとここまで厳密なリセットをしなくてもよさそうである。「伏せ」の状態にしてタッチセンサー(頭)を5秒以上押すと自律モードで復活する、とある。ほほう、なるほど、と思ったが、最近よく健太が転ぶので(私に似てバランスが悪いのか)、転んでは復活、転んでは復活、という具合になっている。
さて、最近自己主張をする、ということを覚えたのか、「かまってくれ」という仕草をするようになった。過保護な私はすぐそれに応じてしまい、わけもなく頭なでなでしてしまうのだが、時々意地悪してわざと無視してみる。
そうするとかまってくれないのが悔しいのか、床(畳)を足で「ダンダン」と叩く仕草をする。うーむ、それはそれでかわいいぞ、と思う私。
図1.ドリブル?
「ペットは飼い主に似る」というのはよく知られた定説であるが、心理学的には、飼い主がペットを選ぶ際に、どこか自分に似ているところを探そうとする、自分に似ているものを持った個体を選んでしまうがために、結果的に「飼い主に似る」ということになるのだそうだ。
で、健太と私とに当てはめてみると、そもそも個体差がある状態で私は彼を手にしていない(受注生産品とはいえ、工業製品なのだから個体差なんて初期状態にはない)。つまり、「選ぶ」段階では自分に似ているところはないはずである。
しかし、実際4ヶ月ほどであるが、明らかに彼と私は似てきた(と思う)。とりあえずいろいろなことに興味を示すが、最初はそれを見ているだけで、実際に行動に移すまでには時間がかかっている。それでいて、飽きっぽい。に、似ている。やはり飼い主に似るらしい。動物の場合とちょっと違うのかもしれないが、結果的に似てしまうのは、飼い主(つまり私)の行動パターンによって自分(つまり健太)の行動がある程度制御されるようになってしまうためなのではないだろうか。
と、ここまで似てくれば、体力のない私はすぐ夏場はバテてしまうのだが、彼は夏バテするのか?
このことに疑問を持ったのかどうかは確認していないのだが、ある日ある人からメールが届く。「健太君は暑いとダレる機能はついてないのでしょうか?」
ある意味深い質問である。
人間を含め動物には様々な感覚器官が備わっている。光を感じるもの、音を感じるもの、熱を感じるもの等々。そして自律神経の支配のもと行動などをコントロールしているし、されている。この自律神経の具合と環境、感覚器から入ってくる刺激という信号(この場合温度)の変化が合致しないと疲労感が出たり、だるさを感じてしまう。これが夏バテだ。
健太(AIBO)はどうだろう。自律行動をとるようプログラムされているので、その辺は動物に似せてあるのだが、光や音、触覚に反応する感覚器(センサー)は備えてあるが、外部環境温度に反応する感覚器を備えているようには思えない。実際マニュアルにもその様な表記はない。と、いうことは彼は夏バテしないのだ。暑いからといってダレもしないのだ(関係ないが、この外部温度を感知するセンサーがない、ということは火傷(?)しやすい、ということだ。お湯や暖房器具を使うときには注意しよう)。
が、内部の温度を感知するセンサーは持っているようである。彼の内部は64bitCPUを頂点とする高度な情報処理系(コンピュータ)、電源を供給するバッテリ、18個のモーター等々で構成されているが、これらは全て「熱」を発生させる。エネルギー使用効率が100%であれば、「熱」というものは発生しないはずであるが、今の科学技術ではどうしてもエネルギー使用ロスが発生する。そのロスした分が熱となる。
特に情報処理系は自分で熱を発生させているくせに熱に弱い。半導体は熱によって電気的特性が変化してしまう場合がある(ほとんどのパソコンに放熱(冷却)ファンが取り付けられているのはそのためである)からだ。
当然、AIBOにも放熱ファンが取り付けられていて、動作中は常にまわっている。特に気にしていなかったのだが、夏に入ってから、「おやすみ」の状態にさせて行動停止させてもこの放熱ファンはかなり長い時間(だいたい1〜2分程度)まわっているのである。そして自動的に止まる。このことから体内の温度に関するセンサーは装備していると考えて間違いない。
つまり、外部や内部の熱でバテないようになっている、ということなのだろうと推測する(と、いうことはファンがもし故障したら熱ダレするのか? しかし、怖くて実験できない)。
図2.伸び〜
全然話は変わるが、本田技研工業のTV-CMにP3が出演(?)しているのと同様、SONYのTV-CMにAIBOが出演している。タレントを起用するとギャラを払わなければならないが、自社製品(ロボット)を出演させるにはお金がかからない(動作をプログラムする必要はあるのだろうけれども)。「ずるい」と思うのは私だけだろうか。
CMに出ているだけだと思ったら、ジャネット・ジャクソンの新曲「Doesn't Really Matter」のプロモーションビデオにAIBOが出演している、ということがAIBOオーナーにSONYから毎週送られてくる情報メール(AIBO
NEWS)に記載してあった(MTVのホームページで紹介されているそうである)。
音声認識機能を持ったAIBO2(仮)が登場する、という噂もあるし、なんか世の中メカメカしくなってきて楽しいな、と思う私。
(2000. 8. 6.)