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第36回 日記:"gung"に浸る日々
1999年5月某日、私は技術評論社発行の「Software
Design」という雑誌(毎月18日発行のコンピュータ雑誌)の6月号をぱらぱらと読んでいた。その中のコーナー"Digital
Gadget"で「ビートを刻むコンピュータ」と題して各種音楽ソフトを紹介していた(「Software
Design」はあまりエンターテイメント寄りの雑誌ではないのでこの紹介記事にはちょっと驚きを感じた)。
そこに東芝EMIから発売されている"gung"(ガング)についての一文があり、その紹介文を読むと「特別な音楽の知識や楽譜の知識がなくても『ノリ』だけで誰でも簡単に曲が作れる」とあった。画面プレビューを見ると音素材(パターン)をグリッド(格子状の枠線)に貼り付けていくだけで曲を作るようだった。いっときはMIDI打ち込みに心血を注いだ自分としてはこれは買わねばならぬ、と思い、ショップへ向かった(既に5月末)。
"gung"は3種類発売されている。オリジナルは"gung
Dance Machine"ということでダンスミュージックを作るもの。パッケージを見ると1997年の年末に発売されていたらしい。知らなかった。ちなみにロゴの"gung"の最後の"g"は反対を向いて最初の"g"と向き合っている。
第2弾は"gung 2 TECHNO"ということでテクノミュージックを作るもの。オリジナルからはシステムもバージョンアップされていて、用意されている音素材を使うだけでなく、自分で打ち込むことができるシーケンサ機能がついている。
第3弾は"OTTO! RIDDIM MASTER gung"ということでHIP
HOPミュージックを作るもの。スクラッチやターンテーブルのピッチが変更できる機能にちょっと惹かれたが、私はHIP
HOPはあまり好みではないので、オリジナルとTECHNOバージョンを購入した。
まずはオリジナル"gung"で遊び倒してそれから"gung
2"に進もうと決め、オリジナル"gung"インストールするわけだが、パッケージを開けてさすが東芝EMI、と思った。ソフトのパッケージはただのオレンジ色の紙箱なのだが(といってもラジオをイメージさせるデザインになっている)、オリジナル"gung"の方は、CD-ROMのデザインが普通の音楽用CDのデザインのようになっている。で、マニュアルはCDのジャケットのようにはさまっている紙1枚なのだが、LPレコードと同じ形状にデザインされている。やはりレコード会社はセンスが違うな、と感じさせる。
自分の持っているPCのHDの残り容量がこころもとないので、容量の有り余っているDVD-RAMにインストールしようとしたが、失敗する。「インストール先ディスクの容量が足りません」などという。なんでじゃ?2.6G片面まるまる余ってるはずだぞ、と思い、表示をよく見るとディスク残り容量の表示がマイナスになっている。そうか、空き容量が2Gを超えるディスクにはインストールできない、ということなのだな、と判断し(その理由を書くと長くなるので割愛)、仕方なく640MのMOにインストールする。HDにインストールしないCD-ROMオンリーの"クイックスタート"という方式もあるのだが、これだと一緒に買った追加音素材集ディスク(CD-ROM)を利用することはできないので、とにかくフルインストールするしかなかったのである(この時点で月が変わり6月になっている)。
起動画面がなんとも言えずカッコイイ。1980年代前半のテクノの雰囲気を彷彿とさせるピコピコ音が鳴りながらディスプレイ、サウンドボードのチェックをする(そのたびに"Check
successfully completed"としゃべる)。最終的にはパーセンテージの数字がカウントアップしながら"Your
system is 100% dance compatible"と表示され、起動する。この画面にしびれてしまった。
サンプルデータがくっついてきているので、プロのDJが作ったサンプルをまずは実行してみる。おぉ、これは、ちゃんとしたダンスミュージックになっているではないか。しかも歌を歌ったり、ラップもする。スクラッチだってキュキュッと鳴る。ユーロビート風のもの、rave風なものもある。外部音源なしに、サウンドボードだけでここまでできるとはある意味驚きである。自分自身サウンドボードの実力をなめてかかっていた。反省。
それでは早速自分でも作ってみよう、と思い立って作業を始める。最初はどんな音素材があって、どのように組み合わせたらいいのかわからないのでグリッドに貼りつけては聴いてみる、はがしてまた別な音素材を貼りつけて聴いてみる、の試行錯誤を1時間ほど続ける。集中力が途切れてきたので、適当に曲っぽくして(でも、Aメロしかないかなり強引でお粗末なものだが)鳴らしてみる。我ながらセンスのなさは笑えるところであるが、それなりにそれなりのものができあがった。
まずは音に慣れることが先決、と、日を改めてもう1曲作ってみる。AメロとBメロを作ってつなぎも作ってみた。リズムパターンのつなぎがかなり強引でぎこちないので、2つの曲を強引にまとめた感が出てしまったが、これでだいたいコツはつかめてきた。
そこで日を改めて集中力を回復させ、もう1曲。やはり基本はAメロ一発勝負で作ってみる。やっぱり自分ってセンスないな、と痛感する。音素材を小節単位でつなぎ合わせる形で曲を作るので、BPM=140くらいで固定(スローな曲とかやたら速い曲はできない)されており、コード進行がその素材で完全に決まっている。自分としては違うコードを欲していても、固定されているのでなかなか思うようにならないことを感じた。自分の思い描くメロディーラインを乗せられないので、少し物足りない(単純なベースとコードだけでは飽きる)。これは自分の力量が足りないのか、奥がもっと深いのか(しかし、楽しい)。
とにかく、この楽しさをわかってもらえるために他人に聴かせられるような曲を作らねばならない、と奮起し、もう1曲作る。ここまでくるとかなり操作、音に慣れてきているので、Aメロ、Bメロ、Cメロ、つなぎを作る。ちゃんとしたメロディーラインが乗せられないのなら、ラップでごまかす、スクラッチを鳴らす、スネアを叩く、という手法に出る。5分30秒の曲となり、ここまでくればなんとか他人に聴かせるのに耐えうるかな、と自己満足し、集中力が途切れたので止める。
後日、このデータをWaveファイルに変換して会社の先輩に試聴してもらった。「サウンドボードだけでここまでできるのかぁ.....これ、MDに落としていい?」と言われた。なかなかの好印象を持ってもらえた。よし、また作るか、という気力がわいてきた。もし、どなたか"gung"をお持ちの方がいらっしゃったら、データの交換をしたいと思いますので、私、紺野まで連絡いただきたいと思います。よろしくお願いします。
やっぱり「ノリ」で簡単にグリッドに音素材を貼りつけるだけで曲が作れるといっても、センスと集中力だけはいかんともしがたく、プロにはかなわないな、と思う。しかし、"gung"、奥が深い。これはなかなかよくできた音楽ソフトだ(これでバラードとかR&Bとか作れるともっといいんだけどなぁ)。
オリジナル"gung"をいじりだしてから半月経つが、全然遊び倒し尽くしていない(Waveファイルを取り込んで効果音として使う、という機能をまだ使っていない)。よって、せっかく買った"gung
2 TECHNO"をまだ使っていない。と、いうことで、今後も"gung"に浸る日々が続きそうだ。
(1999. 6.13.)
もしかしたら解説した方がいいかもしれない音楽用語(間違っていたら指摘して下さい)
- ビート(beat) 拍動。拍子。
- ノリ グルーブ(groove)ともいう。リズムに乗ってくること。楽しい雰囲気。
- MIDI Musical Instrument Digital Interfaceの略。"ミディ"と読む。電子楽器を演奏させたり同期させたり制御させたりする世界標準規格。
- 打ち込み コンピュータに自動演奏させる目的でシーケンサ(入力された音を順番に再生していく音楽装置:sequencer)に音符データを入力すること。または自動演奏そのもののこと。
- ダンスミュージック(ダンス) ディスコ、クラブで踊るための音楽のこと。
- テクノミュージック(テクノ) リズム・マシーンやシンセサイザーを用い、打ち込みを多用した音楽のこと。1970年代中期に始まり、現在様々なジャンルに細分化されている。
- HIP HOP(ヒップホップ) ラップ(下記参照)、スクラッチ(下記参照)を生み出したニューヨーク・ストリート系のビート中心の音楽のこと。またはそのスタイル。
- スクラッチ(scratch) 引っかき傷のこと。音楽では何かを引っかいたような音のこと。「キュッキュッ」というような音のこと。
- ターンテーブル(turn table) レコード盤を再生する装置。レコード盤はこのターンテーブル上で回転する。レコード盤には溝がついていて、レコード針と呼ばれる針がその溝によって振動し、さらに発生する音を増幅させる。もともとスクラッチはターンテーブル上にレコード盤を置いて針を落とし、手でぐいっと無理やり回転させることによって音を出していた。
- ピッチ(pitch) 音の高さ。
- LPレコード LPとはLong Playのこと。直径約30cm(12インチ)のレコード盤のことで、1分間に33と3分の1回転させるタイプのアナログレコード。
- DJ(Disc Jockey) Disc(レコード、CD等)を流しながら効果音を入れたりしゃべったりする人。
- ラップ(rap) もともとは「こつん」と叩く音の意だが、おしゃべりするという意味もある。ここから、音楽用語ではリズムに乗せて言葉をしゃべること(またはその曲、ジャンルを指す)。
- ユーロビート(Euro-beat) ビートにジャストタイミングのベース、リズム、パーカッションアレンジの音楽のこと。1980年代後半に大ブームがあった。
- rave お祭り騒ぎのような楽しいダンスミュージックの総称。
- Aメロ メロディーパターンひとつめのこと。Bメロはふたつめ。Aメロしかない、とは曲を構成するメロディーが1パターンしかないことをさす。たいてい同じメロディーが繰り返す形となり、非常に単純な曲となる(ゲームのB.G.M.はAメロしかないものが多い)。
- BPM Beats Par Minuteの略。1分間あたり何拍するのか、の値。
- コード(code) (単純には)和音のこと。
- スネア(snare) スネア・ドラムのこと。ロック、ポップス等の音楽の基本リズムではアフター・ビート(1小節4拍で構成される偶数拍め)で叩くドラム。もともとは小太鼓のこと。
- バラード(ballade) ミディアムからスローなテンポのロマンティックな流れるようなメロディのラブソングのこと。
- R&B Rhythm and Blues(リズム・アンド・ブルース)の略。もともとはバンド演奏に合わせてアフター・ビートを強拍として歌うプルース音楽。ロックンロール(Rock'n'
Roll)やレゲエ(reggae)の原形とも言われる。
参考にしたWebPage
- 東芝EMI"gung"を紹介しているページ http://www.toshiba-emi.co.jp/hiscore/pc/torm7005.htm
- 「MIDI用語一覧」 http://www.midipal.co.jp/doujou/midiyougo1.shtml
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