真夜中の脳みそ
詩集「半熟卵」(Update:2001.
9.16.)
コラム「午前3時の天気予報」(Update:2004.
8.21.)
AIBO日記(Update:2003.11. 3.)
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「紺野」とは?(Update:2004.
8.21.)
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更新ログ(Update:2004. 8.21.)
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風来坊
目次
時代(1.)の朝
夜の精が疲れはじめる頃
東の空が魔法を解きだす
黒から青へと色が変わりはじめた
薄明
「神」の到来だ
以前(2.)に起こったもやもやとしたものは
まるで空気に戻る様に見えなくなっていく
精いっぱい生きている証しとして
地上に美しさを降り注いでくれた星々は
名残り惜しそうにしながら
西の空に沈んだり
光量を落としたりしていく
そしてついに
空からは星は見えなくなった
朝のにおいがたちこめてくる
樹々の葉から夜露の滴が落ちるにおい
花が開くにおい
何かが動き出すにおい
朝の気分のにおい
全てのものが朝に同化していく
朝の空間の中で
時間ベクトルは次第に大きくなっていく
その始点を知ることはない
降って涌いたような直線の上で
接近、反発、結合、分離が
空間を漂う水素分子と同じくらい
数限りなく繰り返されてきた
放り投げたブーメランは
いつになったら戻ってくるのか
そんな問いを
風がかき消した
もうすっかり明るくなり
山の間がオレンジ色の光を放ち出した
鬱なものを取りはらい
万物にエネルギーを与える
生命(3.)の源となる光が
まぶしく
且つあたたかく
そしてやさしい
何もかも包み込んでくれる光が
太古の人々に「神」を思わせた
現在(4.)も変わらぬ光が
空を切り裂く様に輝きだす
The Beautiful Sunrise
彼らは呟いた
そして祈った
彼らもまた朝に生きた
やがて
歴史が産声をあげた
それを見て
彼が微笑んだか怒ったかは
彼の表情からは伺うことはできない
しかし
46億年も我々を見ていた彼は
人間をよく知っている
それが仮りそめの客でしかないことを
- 時代.....とき
- 以前.....まえ
- 生命.....いのち
- 現在.....いま
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春の日
春
僕の好きな季節
空から手まねきるニンフたち
微風にシンクロする僕の心
空を水色に塗って
ちょっぴり背伸びしたくなる季節
それとも
恋の季節?
握り潰した記憶の断片
覚めてほしくなかった
昨日のうたた寝
カンペンの中身をとりかえて
自分が変わった様な
そんな錯覚
古い時間と新しい時間の
ほんのわずかのオーバーラップ
そしてつぶやく
「ようこそ、春の国へ」
今日を駆ける僕の足音
な、ぜ、か、
足どり軽い
まだ
昨日の夢を引きずっている
あくびした街
どんな無表情なものでも
微笑んでいる
空に浮かぶ
透明色の風船
かすかに聞こえる
時間の川の細流
昨日、今日、明日、
みんな、みんな忘れて
オレンジ色の光に包まれていたい
片方の目を閉じると
シャボン玉の感覚
そして
何かが
僕を受け入れてくれそうな
淡い、淡い、期待
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下校時刻過ぎ
下校時刻過ぎ
誰もいない教室を後にする
何か忘れた様な気が
机の中、ロッカーの中
忘れたものは何もないはず
それとも
残してきたものだったのか
残してきたものは
穴のあいた机
落書きのある椅子
汚れた窓ガラス
クラスのみんなの笑い声
そして
誰かさんの笑顔
外に出れば新しい空気
下校時刻過ぎ
人気のない校舎を後にする
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ほろ酔い時
春が近づいた
どことなく温かさを求める星々
夜空に咲いた紅い薔薇を胸にさし
今夜はライオンと乾杯
一緒に翼をもった女神を迎えよう
夏が近づいた
くっきりとMilky Wayが浮かび上がる
不気味な毒さそりを睨みつけ
今夜はギリシャ一の勇者と乾杯
12の偉業の自慢話を聞かせてほしい
夜明けが近づいた
大鷲が羽を休めに向かう
不細工な山羊にねらいを定め
今夜は大神ゼウスと乾杯
北十字の相々傘に誰かの名前を書き入れた
秋が近づいた
手を伸ばしても届かなくなった川
指の先に化け物くじらを乗っけて
今夜は王女様と乾杯
アンドロメダは僕に恥じらいを見せた
冬が近づいた
寒さの中輝きが増してきた宝石たち
Beautifulな7人姉妹に一礼し
今夜はオリオンと乾杯
彼は得意気に狩りの話しをしてくれた
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水と鳥と魚
一滴の水が
全世界を覆うとき
鳥は何を見るだろう
魚は何を見るだろう
一滴の水は
空に輝く太陽になったり
鳥は澄んだ空気になったり
魚は不動の大地になったり
でも
振り返って電話ボックスに声をかけると
一滴の水は
闇を切り裂く一本の矢になって
鳥は不浄の土になって
魚は天に昇っていく
それは今見たものじゃなくて
必ず起こることじゃなくて
何かが必要で
何かが必要じゃないんだ
白い雲を
数本の髪の毛が遮れば
天地がつながることも
人と人とが離れることも
目の前の砂山が崩れることも
絶対にないと信じたい
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夏
やっぱり僕は
アウトサイダーでしかなかった
終了の合図があり
無数の涙を残して
彼らの夏は終わった
「来年、がんばれ」
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一人暮らしの日曜日
窓の外には銀の糸
視界に入る建物、樹木、駐車場の自動車
みんな静かに濡れていた
ここだけ
時間の動きが停止ししたよう
ぼうっとしていることに
心地よさを感じてしまう
六畳一間の空間に
ごちゃごちゃと積まれたいろんなものが
壁と一緒に見える
みんなくすんだ色
浮かんでは消え
浮かんでは消えする
形を得てない思考が
壁との同化を拒んでいた
テーブルの上で
コーヒーカップがかすかな湯気をたてている
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あの夏
また夏が来てしまう
無限に続く廊下の上を
ただただ一生懸命突っ走っていた
全く同じ瞬間を
昨日も、一昨日も、そして明日も
無限に繰り返しているような
そんな錯覚が好きだった
終点に向かう過程の中で
何かに憑りつかれたかのように
その時出せる力の全てを注いでいた
「存在するのは現在(1.)だけ」
半ば合い言葉のように繰り返し
あらゆる手段を正当化し
わき目もふらず突っ走った
気が付くと
僕は終点に立っていた
今までが
まるで一つの夢物語だったかのように
音もなく終わっていた
そして夏がめぐってきた
時間(2.)が夢を見ていた
それは夏の幻影
- 現在.....いま
- 時間.....とき
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魚
日差しが明るい
この辺は暖かい
食べ物もある
居心地がいい
遠くから来た仲間が言っていた
まだ「汚れていない」と
生まれたときからここにいる僕は
そんなこと考えたこともなかった
今日はいつになく辺りが明るい
僕は思いっきり伸びをした
ぱあっと空間は狭くなり
身動きが取れなくなった
ぎゅうづめにされた僕と仲間たちは
ゆっくりと上昇を開始した
そして
外の空気に初めて触れた
暗いところに閉じ込められた
苦しい
寒い
息ができない
解からない
見えない
聞こえない
海は青かった
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朝
朝
心の中のページには
まだ何も書かれていない
真っ白なとっても素敵な時間
まだ目を覚ましきっていない街と
ぼんやりした昨日の夢のかけらが
かすんで見える
今日、これから何が起こるのか
予測できない期待と不安がとても心地いい
水色の空気が僕の頬をなで
別な空間へといざなう
街に溶け込めないでいる
多少おどけたやわらかな陽の光も
僕の心をほんの少しときめかせる
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