真夜中の脳みそ
詩集「半熟卵」(Update:2001.
9.16.)
コラム「午前3時の天気予報」(Update:2004.
8.21.)
AIBO日記(Update:2003.11. 3.)
アルバム(Update:2003.1.31.)
「紺野」とは?(Update:2004.
8.21.)
Links(Update:2002.10.20.)
更新ログ(Update:2004. 8.21.)
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葡羅
目次
旅発
少年は海を見ていた
少年は暗い海を見ていた
少年は遠い海を見ていた
点在するかすかな光の刻印は
少年に何も与えなかった
少年の目から涙が一筋こぼれた
少年の拳は石になっていた
少年の肩は不規則な振動をしていた
通りかかる風だけが
少年を包み込んでいた 少年は今
数多くの思い出を捨て
その存在をその場から消した
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傷
僕の小指から流れ出た血は
山を削り谷を造って
自由を求めて流れていきます
そう
この世をみんな塗りつぶすまで
僕の腕から流れた汗は
霧になって広がって
海に浮かんだ船を沈めます
そう
人の心がとても好きだから
僕の目から流れた涙は
森を潰し沼を造って
近寄る人を引きずり落とします
そう
僕の心が癒されるまで
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孤独
明日の傷痕が右足に
時代の悲しみが左足に
3平方センチメートルの僕の心
取り残された昨日の自意識
空をつかめない右手
人を殴れない左手
みんな、全部、一度に
ボロボロになって
風に吹かれて消えてしまえ!
そんなもの
僕には要らない、欲しくない
要るのはたった一つ
飛び降り自殺の見出しだけ
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現実
ドアの向こうに昨日があった
窓の外に明日があった
僕は
思いっきり窓ガラスを叩き割り
今日を逸脱したかのように見えた
時間が過ぎると
僕は
また
今日の中にいた
ドアには鍵がかかっている
体当たりしても
壊れなかった
窓ガラスを割った
堂々めぐりだった
人間は生きている限り繰り返す
後戻りは許されない
窓から見える夢が
いつか今日になることを願って
次々に今日を逸脱する
手は傷つく
それが思い出
足は重い
それが悩み
頭が痛い
それが現実
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Behind the Mask
道端に転がっている
50ルクスの生命(1.)の灯(2.)
大したことのない傷をなめ会う
2匹の犬
屈辱と嫌悪を思わせるだけの
利己主義社会
自分の内臓に蝿をたからせる
猫の一群
誰にも止められない
誰にも解からない
口先だけの理想なんて
叩き壊してやる
- 生命.....いのち
- 灯.....ひ
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喜劇
誰にも開幕がわからなかった様に
終末なんてありゃしない
人生なんて
誰かが造った舞台の上で
必死になって演技するだけ
死んで見せても
拍手喝采
全ては
動機も理由も必然性も
全くないまま進行する
こんな脚本
破り捨てて
設定以外の演技を必ずやってやる
こんな物語ぶち壊してやる
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最大の矛盾
解からない!
自分が自分であると考えている自分は
一体何なのだろうか
自分が自分であると知るには
何が必要なのか
どうすれば自分が自分であると解かるのか
自分が自分でなく自分でない自分がいる
そいつが自分でない自分を見ているんだ!
現在(1.)の自分は
自分であることを忘れているにすぎない
結局どうあがいても自分は自分であり
存在しない自分は自分なのだ!
1秒前の自分
現在(1.)の自分
1秒後の自分
みんな自分でしかないんだ!
じゃあ
自分を自分たらしめているものは
他ならぬ自分でしかない
自分は自分であるという矛盾を背負い
自分の存在する
理由も動機も必然性も全く無いまま
二酸化炭素と共に
「自分」という言葉を泡のように
ポコポコと吐き出し
人生という舞台の上で
自分の役を忘れたのは
自分の夢を見ているのは
もがいても逃げようとしても
舞台の上に立っている自分なんだ
誰かこの役者を引き摺り降ろしてくれ!
- 現在.....いま
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自伝
片目をつぶって生まれてきた僕は
世の中の汚いところばかり見てきました
そして思い空気に押しつぶされて死にました
でも
流した血液が固まって
もうひとりの僕ができました
もうひとりの僕は
悪いことをたくさんしました
結局
もうひとりの僕は交通事故で死にました
でも
その時壊れた車のフロントガラスの破片から
また僕ができました
またできた僕は自閉症でした
誰とも話しができなくなって
ついに
首吊り自殺をしました
でも
その時使ったロープが僕になりました
ロープがなった僕は浮気者でした
誰でもところかまわず引っかけました
そして
ナイフで刺されて死にました
でも
死ぬ時吐いた息からまた僕が生まれました
また生まれた僕は歌が好きでした
たくさん歌いました
そして
太陽の光を浴びたとたん
灰になって死にました
でも
その灰は新しい僕になりました
新しい僕は泣き虫でした
ある晩
泣いて泣いて泣き疲れて死にました
でも
流した涙から透明人間の僕ができました
透明人間の僕は
人の心に影響を与えまくりました
ある日
薬をかけられて溶けて死にました
溶けた僕は
どうやって生き返るか解かりません
何をしだすか解かりません
今は地中深くに溜まっています
呼び覚まさないでください
もう死ぬのに疲れました
そっとしておいてください
もう
動けないんです
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THE END
今までに何度も
強く握り締めた右手
でも
これほど強く握り締めたことはなかった
自分の無力を
大声で罵った
僕の眼前で
全てが崩れていった
長い間見続けてきた夢も
静かに、あっけなく
終わりを告げた
終わってしまった、何もかも
消えていった、何もかも
だけど
残ったものがふたつ
虚脱感と記憶
いつしか時は流れて
記憶もうすれ
全てが無に支配されるだろう
悲しい?
ああ、悲しいさ、泣きたいくらいさ
そんな感情
とっくに捨てたはずなのに
所詮
全てが誰かの見ている夢
覚めてしまえばそれでおしまい
THE END
それだけ
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