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真夜中の脳みそ

詩集「半熟卵」(Update:2001. 9.16.)

コラム「午前3時の天気予報」(Update:2004. 8.21.)

AIBO日記(Update:2003.11. 3.)

アルバム(Update:2003.1.31.)

「紺野」とは?(Update:2004. 8.21.)

Links(Update:2002.10.20.)

更新ログ(Update:2004. 8.21.)

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目次


排他的否定論理和

 僕は日がな一日
 「窓」のない四角い部屋の中で
 21インチのテレビを見ている

 テレビの中には「外」がある
 きれいな「花」は「咲いて」いるし
 たくさんの「人」が「血」を「流して」いる

 僕は「外」を実際に見たことがない
 僕は部屋を出たことがないし
 テレビの中には僕は入れない

 部屋を出る手立てを僕は知らないし
 テレビなしでは生きていけない
 僕は永久に「外」になることがない

 僕の操作するスイッチで
 「外」は生成され消滅する
 「外」は僕の都合で存在する

 「外」が「本当」であるかどうかなんて
 僕にとっては意味のないこと
 僕の現状には何の影響もない

 確固たるものは何もないし
 証明することはできない
 僕は独り言を呟くだけ

 僕は日がな一日
 「窓」のない四角い部屋の中で
 21インチのテレビを見ている

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モラトリアム

 窓ごしの朝
 僕は闇
 千切れた時間(1.)の記憶
 吐き出した泡のたまご

 無音の3分間

 うす暗い
 コンクリートむき出しの都市(2.)の裏側
 淡く光る
 冷たい非常口
 閉鎖空間が妙に懐かしい

 出るか入るか
 選択は二つに一つ
 見えない波と
 思考の砂の嵐(3.)
 僕を惑わす

  1. 時間.....とき
  2. 都市.....まち
  3. 砂の嵐.....ホワイトノイズ

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何もいらない何もない

 陽炎が揺らぎ
 おそろしくだだっ広く
 何処までも続く道路(1.)
 立っていた

 照りつける太陽
 停滞した大気
 融解するアスファルト
 埋もれていく足

 誰も通らない
 ここは何処だ
 一体何をしている
 いつからここにいる

 記憶、自我、時間、思考
 既に蒸発しきっていた

  1. 道路.....みち

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混沌

 僕の前に道が無い
 僕の後に道が無い
 僕の右に道が無い
 僕の左に道が無い
 上にも下にも道が無い
 ただ一点上に存在している
 何処から来て
 何処へ行くのか
 僕は何も知らない

 周りに誰もいない
 助けてくれる人もいない
 話しかけてくれる人も
 気にしてくれる人も
 誰もいない
 僕の存在自体何も無いのだろうか
 僕は本当に存在しているのだろうか
 僕は何も解からない

 周りに何も感じない
 物体も概念も感じない
 在るのか無いのかすら感じない
 明るいのか暗いのかも感じない
 感覚が閉ざされているのだろうか
 それとも解放されているのだろうか
 僕は何もしていない

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ウサギとカメ

 ウサギとカメ
 そんな感じの
 あいつと僕でした
 ウサギはぴょんぴょんはねました
 カメはノロノロ歩きました
 ウサギは昼寝をしました
 カメはノロノロ歩き続けました
 ウサギが昼寝をしている間に
 どうにかカメは追いつきました
 でも
 ウサギははねて行ってしまいました
 時にはカメが
 ウサギを追い越したこともあったのです
 カメはがんばって歩き続けたのです
 でも
 結局勝ったのは
 ウサギでした
 カメはまだ歩いています

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 はじめて

 嘘をついたのは

 いつのことだったろうか

 

 

 僕

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僕は東京が嫌いだ

 僕は東京が嫌いだ
 着実に膨張を続け
 巨大な生物と化し
 全てのものを飲み込み
 全てのものを吐き出す
 排気ガスで空気をくもらせ
 コンクリートを身にまとい
 身体はくすんだ灰色で
 蛍光燈とネオンが光る

 人々はうごめくだけで
 何も知らないふりをする
 わずかなごみごみした空間と
 異様なまでの執着と
 焦点の定まらない視線が
 東京の象徴だ

 来るたびに吐き気さえおそう
 振り返ることを怖がり
 前進も足がすくみ
 沈殿を増加させている

 ここには何も残らない

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ガラス玉

 小さいころ
 机の引き出しの中に
 ガラス玉が詰まっていた

 赤いの
 青いの
 大きいの
 小さいの
 いっぱいあった

 手に取って眺めているだけで
 時間を忘れた
 ガラス玉さえあれば
 何でもできると思っていた

 ガラス玉はいま
 何処に行ってしまったんだろう

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紙しばいのおじさん

 今日
 こぢんまりとした公園で
 紙しばいのおじさんに会った
 僕の生まれ育った街には
 紙しばいのおじさんはいなかった
 そう
 僕ははじめて紙しばいのおじさんに会った

 紙しばいは
 ひとむかし前
 子供たちの
 ヴィジュアルなイマジネーションの素だったという
 おじさんの話してくれるおはなしには
 月並みな言葉だけど
 「夢」があった
 そうして
 「夢」をいっぱい吸収して
 子供たちは育った
 そんな話しを聞いたことがある

 今日のおはなしは
 おじさんにとっての十八番らしかった
 おじさんの熱のこもったおはなしに
 僕はすっかり聞き入ってしまった
 まわりのひとたちも同じようだった

 でも
 おじさんが話している
 以前(1.)、最中(2.)、そのあと
 おじさんの前に
 子供たちはひとりもいなかった

  1. 以前.....まえ
  2. 最中.....さなか

 

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