Get a chance!



むしぼし 【虫干し】 (名)スル

虫やかびのつくのを防ぐために、書画・衣類などを日に干したり風にあてたりすること。土用干し。虫払い。曝涼(ばくりよう)。
「冬物を―する」


 ・・・という訳で。

 天気の良い冬のある日。
 クマちゃんは理事長室の窓辺で虫干しされていた。
 その脇で。

「・・・・・っ、・・・かずき・・誰か、来ちゃうよ・・・・」
「大丈夫、カギは掛けてあるって」
「で、でもこんな明るいところでなんか、俺・・・っ」
「いいだろ。俺に見せて、啓太を全部・・・」
「ゃ・・・・・待、っ・・・」

 キスに途切れる言葉の合間に、しゅるり、とネクタイを解く衣擦れの音。
 手馴れた器用な指先にひとつずつボタンをはずされて外気に晒されていく啓太の肌は、いつもよりも少し温度が高い。
 巧みなキスに煽られるうち、つぷりと尖った胸の先。
 小さく熟れたそのピンクの実を、親指の腹で押しつぶすようにして優しく愛撫すれば。
 和希の胸許を押しやるようだった啓太の手のひらが、縋るようにきゅっとシャツの胸を握り締める。
 ひくりと跳ねる肩を抱きこんで。
 吐息が混ざるほど近くから、上気した顔を覗き込んで。

「・・・可愛いな・・・啓太、もう感じてるんだ?」
「しょ、しょうがないだろっ、だって和希が・・・っ」
「俺が?」
「・・・・・和希が、・・・さわる、から・・・」

 躊躇いながらようやく云って、恥ずかしそうにふいとそっぽを向く啓太に。
 和希の笑みと、触れたい気持ちとが深まって。
 赴くまま、桜色に上気した首筋に顔を埋めて、敏感な薄い肌を吸う。
 淡く散った鬱血に、愛おしげにくつりと喉で笑う和希の吐息が、指先が、僅かに触れて辿るだけで。
 たまらない快感に肌があわ立って。
 ゆわり、とやるせなく空を彷徨った啓太の腕が。
 ぽふん、とクマちゃんの腹にヒットした。

「・・・・・っ?」
「え?」

 目の端で揺らいだ青い物体に、潤んだ二つの眼差しが向けられる。
 次の、瞬間。

「ぇ・・・・・わ、わわっ!?」

 目を剥く啓太の目の前で。
 咄嗟に伸ばした和希の指先をすり抜けて。

「っ!! くまあああああああああっ!!!」

 窓枠を軽々と飛び越えたクマちゃんが、良く晴れた青い空へとダイブした。




 さあ、クマちゃんを探そう!


 とりあえず会計室に行ってみる。

 知らないと思うけどもしかするかもしれないので学生会へ。

 寮かなあ。

 意表をついて生物室へ。