2005年パリ旅行(2005年9月29日〜10月7日)

5年ぶりにパリへ行って来ました。目的は19世紀から20世紀初頭のレストラン文化とロシア貴族とのかかわりについての資料を集めること。

円安とユーロ導入、労働時間制限法などによってとても物価が高くなっていて驚きました。たとえばマクドナルドのビッグマックが430円くらい。ちょいと外で食べると1500円。

その中で安かったのはチーズとシャンパーニュ。銘柄を選ばなければ11ユーロ(1500円強)でボトルを買えます。ついてにいうと、日本でバカ高くなっているジャック・セロスのシャンパーニュはカーヴ・ドゥ・タイユヴァンでスタンダードが45ユーロ≒6200円、ロゼが48ユーロ≒6600円、スュブスタンスが80ユーロ≒11000円。免税にすればもっと安く買えます。

ミシュラン☆つきレストランは絶対額は高いけれど、街のどーでもいいレストランの値段を考えるとかえって割安だと感じました。

というわけで、よく知られているレストランへ参りました。タイユヴァンは個人的趣味だけど、あとは歴史あるお店です。

タイユヴァン(9月30日)
トゥールダルジャン(10月2日)
グランヴェフール(10月3日)
ルドワイヤン(10月5日)
レストラン・パリ(10月6日)

特にトゥールダルジャンではオーナーのテライユ氏に、カフェ・アングレとトゥールダルジャンの合併の頃の話(といってもテライユ氏の両親からのまた聞き)を伺えたのは重要でした。

帰国日の昼に行ったレストラン・パリはホテル・リュテシアのメインダイニング。ここへ行った目的はレストランというより、ホテルそのもの。インテリの多いロシア革命の指導者の中でもとりわけ理論家であり、レーニンのお気に入りであったニコライ・ブハーリン(1888-1938)が処刑される2年前に若い妻アンナ・ラーリナとパリ旅行をした際に泊まったところがリュテシア。

旅行といっても、ヒトラー下のドイツから運び出されたマルクス文書の購入についての商談を亡命メンシェヴィキとするという、きわめて政治的に難しい仕事をまかされてのものであった。詳しくはラーリナ『夫ブハーリンの思い出』岩波書店、1990年。ついでにいうと、私はこの翻訳本とブハーリンが描いた荒畑寒村のスケッチを渡しにラーリナさん宅へ伺ったことがある。息子とひきさかれ、永年強制収容所暮らしを強いられた彼女であるが、ブハーリンとのパリ旅行の際にのったタクシーでながれていた歌まで覚えているという驚異的記憶力の女性であった。

なんてことを書き出すときりがないので、とりあえずこの辺で。気がむいたらまた書き足します。

(2005年10月27日)


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