2002年12月22日(日)
指揮:パーヴェル・サローキン
演出:ユーリー・グリゴローヴィチ。 プティパ、イヴァノフ、ゴールスキー版の一部を利用
舞台装置:シモン・ヴィルサラッゼ(ヴィルサラッゼ死去にともなう舞台復元はマルガリータ・プロクディナ衣装復元はエレーナ・メルクロヴァ)
照明:ミハイル・ソコロフ
ウヴァーロフは大人になりきれない王子の「青さ」を強調していたが、イヴァノーフは安定感があり、時には悩み、時には毅然とした意思をもって行動するという王子を好演していた。だから第一幕第一場までは今日の方が上。
しかし白鳥のシプーリナとロートバルトのプローニンに力が足りなかった。
二人ともバレエ技術としては十分なのだろうが、心からの表現にまでまだ至っていないみたいで、
光ってきたかなと思うと力が続かず軸がずれたりということの繰り返し。
特に、ロートバルト登場場面の王子とのからみは物足りない。ロートバルトが王子を後ろから両腕をいれて持ち上げ、
振り子時計のように揺らすことまでする「操り」なんだけど、両者が離れると二人別々に踊ってるようになってしまう。
シプーリナはかわいい、でも幼いオデッタ。白と黒の対比もあまりない。彼女はエイフマンの「ロシアン・ハムレット」では、
無垢な若妻から、その気のない夫に権力を得るよう求める「おねだり妻」に変身する過程をうまく演じていた。まだ入団四年目、白鳥での強さを求めるのはこれからでしょう。
各国の花嫁候補はそれぞれいいが、特にカプツォーヴァがナポリの明るく軽く華やかな気分をふりまいていたのが印象に残る。
ウヴァーロヴァ、アラーシュ、カプツォーヴァと並んだ姿は美しく、ボリショイの層の厚さをみせていた。
今日は一階平土間9列目中央、オーケストラもよく響き、暖かく絹のようなやわらかさをもつこのオケの音色の特徴がはっきり出ていて気持ちよかった。
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