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一桁>経営組織論?>権限の委譲

《効果的に行うには》

 管理者は、つぎに紹介する十原則に従うことによって、権限の委譲を、ほぼ確実に成功させることができます。

1) 権限の一部を、譲渡しなければならない管理者には、会社における彼の地位について、安心感を持たせるようにします。
 多くの場合「権限委譲者」は自分の職務に不安を感じ一部でも権限を部下に譲渡することを恐れるものです。
 これは、自信を持たせることによって克服できます。まず最初に、管理者である彼の活動の結果である成功を讃えます。

 不安除去の方法としては、肩書きなり特権なりを与えて、その立場を認めてやるのもよいことです。また、組織サイドが権限の一部の譲渡を求めたのは、会社が彼を低く評価したからでなく、高く評価したことだということを、理解して貰うようにします。さらに、権限の一部の譲渡によって、時間とエネルギーの効率が上がり、その結果、上役が、その権限の一部を、譲渡してくれるということを、信じ込ませるようにします。

2) 権限委譲の必要性を理解させます。管理者は自分でやれることだけを、やっている限り、管理者自身の潜在能力を、発揮することはできません。
 管理者の評価は、彼の個人的な特殊技能だけではありません。部下は管理者をどの程度まで、信用していたのか等、によって行うべきです。真に部下から信頼されるには、適切な権限委譲を、行わなければならないのです。

3) 社内には、技術革新を奨励するような雰囲気を、つくらなければなりません。技術革新は、部下中心に行うべきです。
管理者が部下全員に、信念を発散させるのです。不安や不満が生まれないようにし、うまれたと思ったら、いつでも不安や不満の芽を摘み取るようにしなければならないでしょう。

4) 管理者は、権限委譲を心から信じないと、うまく委譲できません。トップマネジメントから、第一線のライン・マネジャーに至るまで、全管
 理者がこれを実践すべきです。

 どの階層の管理者も、部下を成長させるためには、意志決定を下します。当然、誤りを犯します。これは、初期症状として、やむを得ないという事実を、認めなければなりません。

 企業組織としても、権限の委譲をスムーズにさせるためには、その様な、学習効果を上げる出費を吸収し、それを、人材の養成に転化していく理解と決心が必要です。
 経験からいっても、成長期の管理者は、これから伸びようというときに、失敗を恐れずに仕事ができると、失敗から何ものかを学ぶことが出来ます。そして、この教訓は、企業ヒエラルキーの上位に立ったとき、高くついた失敗の代償を、殆ど回収されることになります。

5) 職務を委譲する管理者は、職務を委譲される部下が、それは自分の進歩のための一歩と考えるような、委譲を行わなければなりません。
 上司からの権限の委譲は、部下を教育する上で最も効果な方法の一つです。部下達には、委譲される権限と、これに付随する責任が、彼らを有能な管理者にすることをはっきり教えるべきです。(職場内教育=オンザジョブトレーニング)

6) 部下に対して、どんな成果が期待されているかを、知らせるべきです。
 期待される成果を、どのように達成する積もりか、そしてどのような援助を必要としているか、がわかる行動計画を立てる様に、部下に求めるのです。

7) 管理者は、管理者は、部下一人一人の能力を知り、職務を委譲する部下が、技術ばかりでなく、課せられた目標を、達成しようとする意欲を持っていることを、常に信じています。
 多くの意欲調査報告等によると、大多数の管理者は、通常の職務を果た際に、潜在能力を発揮しておりません。そこで、この隠れた能力を探し出し、部下の心を開かせることに成功すると、それまで無視されていた才能や、充分に生かされなかった才能を、生かすことができます。この方法こそが、部下を信用する最も大切な要因になります。 つづく