2 エリアマーケティングとは
LAST UPDATE: Wednesday, October 21, 2009
エリアマーケティングは,日本生まれの発想です。そのねらいは,地域を軸としてのマーケティングセグメンテーション(市場細分化)により,歴史と風土が育んだ地域特有の価値観や社会構造から生ずる市場(顧客)ニーズに応えるという地域特性対応のマーケティング活動です。
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エリアマーケティングでは,地域の持つ独自性,異質性を見極め,「郷には入れば郷に従え」で地域別に「売れるしくみ」を創り上げ,営業活動の個別化の実現を図ります。それにより,顧客との取引関係を深め,顧客ロイヤリティを高め,固定客化することで,売上高や市場シェアの向上を図ります。
2−1 地域単位で市場戦略をたてる
エリアマーケティングでは,全国一律の大きな括りで市場を見るのではなく,都道府県,市町村といった行政区分,あるいは複数の行政区域にまたがる広域都市圏,経済圏といった単位でエリアを括ります。そして,各エリアの地域特性とそこから生ずる地域格差を見据えて,マーケティング戦略を組み立てるという,市場細分化の手法にほかなりません。
2−2 郷には入れば郷に従え
消費の多様化・個性化に加え,市場縮小の時代にあっては,全国一律の大雑把な売り方では,顧客の支持は得られません。
エリアマーケティングでは,地域の独自性,異質性を見極め,「郷には入れば郷に従え」で地域別あるいは商圏別に「売れるしくみ」を創り上げ,営業活動の個別化により,売上高や市場シェアの向上を目ざします。
花王の事例 アサヒビールの事例 サンドラッグの事例
2−3 商圏
商圏とは,「小売店舗,商店街やショッピングセンターなどの商業集積の顧客吸引力の及ぶ地理的あるいは時間的な面の広がり」です。商圏には,「消費者が買い物のため来店する店から何キロ以内といった地理面からの限界,あるいは来店所要時間何分以内といった時間面からの限界」があります。商圏は,地域に住む人々の生活行動に加え,店の業態や売り場面積,駐車場規模,さらには店周辺の道路事情や競合店の状況と言った多くの要因が複雑に絡み合って形成されます。
2−4 地域を細かく見て,縮む時代を乗り切る
「企業が大きくなればなるほど,偉大なことを成し遂げようとすればするほど,小さな単位で考えて判断し,即座に改善行動をとることがカギだ」。これは,世界一の小売業ウォルマートの創業者サム・ウォルトンの言葉です。
ようやく底を打ち始めた日本経済ではありますが,少子高齢化社会の到来にあっては,市場を小さく見て,その細やかな変化に目を凝らし,そこでの市場ニーズを見い出すという,小さな単位で考える市場細分化が活路を開きます。
すなわち,都道府県といった,大きな括りではなく,市町村,さらに集落といった小さな単位にまで市場を細分化し,各エリアの特性に対応したビジネスモデルを組み立てが,エリアマーケティングです。このやり方は,サム・ウォルトンが実践した,「小さく考えること」にほかなりません。
3−1 地域を細かく見て,縮む時代を乗り切る−−「小さく,狭く」考える
「企業が大きくなればなるほど,偉大なことを成し遂げようとすればするほど,小さな単位で考えて判断し,即座に改善行動をとることがカギだ」。これは,世界一の小売業ウォルマートの創業者サム・ウォルトンの言葉です。
ようやく底を打ち始めた日本経済ではありますが,少子高齢化社会の到来にあっては,市場を小さく見て,その細やかな変化に目を凝らし,そこでの市場ニーズを見い出すという小さな単位で考える市場細分化が活路を開きます。
すなわち,都道府県といった,大きな括りではなく,市町村,さらに集落といった小さな単位にまで市場を細分化し,各エリアの特性に対応したビジネスモデルを組み立てが,エリアマーケティングです。このやり方は,サム・ウォルトンが実践した,「小さく考えること」にほかなりません。
2−5 エリア細分化の考え方
エリアマーケティングのスタートは,「エリア」の細分化にあります。細分化の考え方,やり方には種々多彩ですが,多くの場合,行政管区(市部別)の細分化を採用しています。行政管区によるエリアセグメンテーションが誤りとはいわないが,必ずしも適切なセグメンテーションの概念とはいえません。その理由は,行政区分(市町村別)と,経済活動が必ずしの合致していな地域があるということです。例えば,埼玉県の県北にある熊谷市は,行政管区では埼玉県であるが,経済活動は群馬県との交流が活発です。これとは逆に,北海道の苫小牧地区は,行政区分とするなら経済活動は札幌と分離されていますが,現実は札幌経済圏に属します。行政管区とは,国の行政面からのエリア区分であることから,場合によっては,別のセグメンテーションが必要となります。
エリア細分化に,役立つのがランキング・データマップです。エリアランキングマップとは,エリアの一つ一つを区分け(ランキング)した統計データでぬり分けます。色が表すデータの違いから,地域特性が浮かび上がってきます。
2−6 「地域開発」の動向には,特に目を凝らす
地域密着を旨とするエリアマーケティング活動においては,現在行われている地域開発はもとより,国が策定している5〜10年先を見通しての「全国総合計画」や地方自治体が自前で策定している「○○県(地域)総合計画」,あるいは地域課題の解決に向けての個別事業に目を凝らしていくことを怠ってはなりません。
経済停滞期とはいっても,鉄道延長・新線開通,空港・港湾・道路整備,宅地開発,地域再開発など,地域開発事業は,全国各地で計画・実施されている。また,工場の移転あるいは進出,大学や病院の新設,バイパス道路開通といった小規模の地域開発事業は,全国各地に見られている現象だ。
地域密着を旨とするエリアマーケティング活動においては,現在行われている地域開発はもとより,国が策定しているおおむね5〜10年先を見通しての「全国総合計画」や地方自治体が自前で策定している「○○県(地域)総合計画」,あるいは地域課題の解決に向けての個別事業にも目を凝らしていくことを怠ってはならない。
2−7 地域特性の把握
「ところ変われば品変わる」とのたとえ通り,県民性,方言,特産品といったその土地ならではの文化,暮らしぶりや特産品,伝統工芸などの地場産業が存在します。こうした地域の持つ独自性や特徴,言い換える他の地域との著しい差異が,ここでいうところの地域特性です。
@地域特性を生む要因
消費財のみならず生産財の需要にも少なからぬ影響を及ぼす地域特性を生む主な事象,要因としては,@地勢,気候などの自然環境,A藩,旧国名形成に至る経緯などの歴史的背景,B人口構造,C産業構造,商業力に基づく地域経済,の4つがあげられます。
A地域特性の分析方法
地域特性に関する分析は,複数の事象,要因についての地域間比較,時系列分析によります。
・時系列分析:時間軸で捉える時系列分析としては傾向,季節性,循環性を導き出すTCSI分離モデル,回帰分析といった統計分析が有効です。
・横断面分析:地域間比較には,時間軸を輪切りにしてその断面を見る横断面分析で地域の特徴,地域間格差,差異が明確となります。
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