自然が友・健康メモ
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有機農産物とは
2000.10.17
目次

01.有機農産物に関連する法律等
02.改正JAS法における有機食品の検査・認証・表示
03.有機農産物とは
04.有機農産物加工食品とは
05.有機農産物の名称の表示
06.有機農産物に使われる農薬と危険性





06.有機農産物に使われる農薬と危険性

「有機JASマークの付いている高価な有機野菜だから絶対に安心だぞ!」
なんて盲信しないで下さい。

有機農産物の規格では、生産方法の基準については、例えば使ってよい肥料・土壌改良剤とか農薬とかが具体的?に決められています。しかし、有機野菜を食べて、何らかの障害が出た時の保証に関する記述はありません。

これは当然のことであります。何故ならば、「無害」が証明された肥料・土壌改良剤や農薬を使用していないからです。

ですから、何事も盲信しないで、「有機野菜栽培」の実体と限界を知って下さい。そして賢く利用して下さい。

我が国の有機農産物に関する規格は、国際基準との整合性を考えて、コーデックス規格が参考にされています。ここで、コーデックス(CODEX)とは、国際食品規格委員会のことで、世界保健機構(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)の代表者から構成されています。

コーデックス規格では、使用できる病害虫防除物質として、除虫菊から抽出したピレスリン(ピレトリンのこと)と相乗物質をベースにした調整品、デリスからの調整品など約40種があり、それらの使用条件として、検査組織による承認が必要となっている。我が国の日本農林規格では、除虫菊乳剤、デリス乳剤など約30種が決められている。しかし、使用条件としての検査組織による承認に関する記述は無い。参考までに、コーデックスにおける病害虫防除物質と日本農林規格を以下のに示します。

ここで、コーデックス規格と日本農林規格の特徴を、ちょっと見てみましょう。コーデックス規格では、可能な限りにおいて、具体的な物質名が記載されているので、使用者が迷うことは有りません。しかし、日本農林規格においては、例えばデリスでは、乳剤、粉、粉剤などと、妙に細かいところに気配りをしていますが、一方、「天敵等生物農薬及び生物農薬製剤」となると何がなんだか分からなくなります。これは具体的農薬名ではありません。具体性と曖昧性とが混在する不思議な構成となっています。日本農林規格の「天敵等生物農薬及び生物農薬製剤」には、コーデックス規格の「不妊化した昆虫の雄(遺伝的改変のないもの)」、「昆虫性害虫の捕食者の放飼」、「麹カビの発酵生産物」、「Batillus thuringiensis 調製品」、「顆粒病ウィルス」、等々が含まれるのでしょうが、等々が非常に曖昧で困ります。

さて、以下をお読みになれば、有機農産物は、「自分の健康にとって絶対的に安全で、その上、環境にも優しい」を保証するものではなく、単なる規格に過ぎないことが理解されるでしょう。

また、ボルドー剤の如く、「有機農産物の農薬として、許可されたからかえって始末が悪い」
と言う結果になるかも知れません。「有機」という言葉に、何かしら暖かいイメージをお持ちになるかもしれませんが、それは幻想にすぎません。

より詳しい情報が必要な方は、情報源をご利用ください。神奈川県環境科学センターの化学物質安全情報提供システムも便利です。


1.ボルドー剤(液):混合によって生じる水酸化銅と未反応硫酸銅について記述.。

硫酸銅と生石灰を混合した水溶液で、極めて有効な殺菌剤です。これが無かったら果樹産業は壊滅的打撃を受けるでしょう。しかし、これからは安心して使用できます?。

1−1.硫酸銅

変異原性
:陽性。
毒性症状:腹腔内投与により毒性を示す。経口摂取、吸入により中程度の毒性。動物実験により催腫瘍性有り。ヒトの全身、胃腸系統に影響を与える。経口摂取によるヒトに対する毒性有り。動物実験により経口摂取、皮下投与、静脈内投与、腹腔内投与により毒性を示す。
魚毒性:有り。コイは0.5ppm、ミジンコは0.5ppm以下。
法規性:水道法、廃棄物処理法、農用地土壌汚染防止法、水質汚濁防止法、下水道法、毒物及び劇物取締法。

1−2.水酸化銅

毒性症状:経口摂取で人に毒性有り。
魚毒性:有り。コイは0.5ppm、ミジンコは0.5ppm以上。
法規性:水道法、廃棄物処理法、農用地土壌汚染防止法、水質汚濁防止法、下水道法、毒物及び劇物取締法。

2.デリス:インドに広く分布する豆科の植物で、根を農薬用殺虫剤として使う。

薬用成分として、rutenone(ロテノン) が3−12%含まれる。
変異原性:陽性。
毒性症状:経口摂取、腹腔内投与、その他の経路により毒性を示す。動物実験により催新生物性、発がん性を示す。動物に対して有毒、魚に対して非常に有毒。
魚毒性:有り。非常に有毒。
法規性:毒物及び劇物取締法の劇物指定そして農薬取締法の水質汚濁性農薬に分類。

3.除虫菊:殺虫剤

薬用成分は、pyrethrinT(ピレトリンT)。
毒性症状:経口摂取,腹腔内投与,静脈内投与により毒性。生殖に影響。ヒトには経口摂取により中程度の毒性。アレルギー抗原。胃腸で急速に解毒されるが、胃腸,呼吸器,中枢神経系に影響を与える原因となり得る。15gの服用は子供の死の原因となり得る。慢性的使用は、肝臓の損傷の原因となり得る。
魚毒性:有り。コイ0.5ppm,ミジンコ0.5ppm以下 。

4.Quassia amara:

ニガキ科植物で苦味質のカッシン(quassin)を含み、抽出物は殺虫剤として使用される。糜爛性の口内炎、水泡性皮膚炎、黄疸などの中毒症状を示し、場合によっては死亡する。

5.Batillus thuringiensis(BT、バチルス・チューリンゲンシス)

バチルス・チューリンゲンシスは、土壌中に広く存在するバチルス属細菌の一種であり、殺虫タンパク質を分泌する。この殺虫タンパク質は鱗し目(蝶や蛾)に有効とされている。これまでは、その他の生物や人間には無害とされてきたが、最近になり、BT殺虫剤によるアレルギー性皮膚過敏症など問題点も指摘されるようになった。あまり馴染みの無いタンパク質は、ある場合には強力なアレルゲン(アレルギーの原因物質)となる。アレルギーの発生機構については解説をご覧ください。

6.イオウ

殺虫剤
魚毒性:有り。 コイ10ppm,ミジンコ0.5ppm以上 。

7.鉱物油高い精製油

魚毒性:有り。 コイ10ppm,ミジンコ0.5ppm 。

8.鉱物油未だ精製油及び半精製油

魚毒性:有り。 コイ10ppm,ミジンコ0.5ppm以上 。

9.パラフィン

毒性症状:動物実験による肺、胃、皮フの発がん性物質。末精製のものを長期にわたり接触、曝露すると陰のう、前立腺、肺、皮フがんが発性することがある。
魚毒性:有り。 コイ10ppm,ミジンコ0.5ppm以上。

10.カゼイン、ゼラチン

アレルギーの原因物質となるタンパク質。解説をご覧ください。




植物の病害虫防除用物質(コーデックス)
物質
使用条件等
除虫菊から抽出したピレスリンと相乗物質をベースにした調製品 検査組織による承認が必要
デリス(Derris elliptica)からの調製品 検査組織による承認が必要
Quassia amaraからの調製品 検査組織による承認が必要
Ryania speciosaからの調製品 検査組織による承認が必要
高等動物種に対する忌避剤を含むメタアルデヒドをベースにした調製品で、トラップで使用する場合 検査組織による承認が必要
無機化合物(ボルドー混合物、copper hydroxide copper oxychloride) 検査組織による承認が必要
ブルゴーニュ(Burgundy)混合物 検査組織による承認が必要
銅塩 検査組織による承認が必要
イオウ 検査組織による承認が必要
フェロモン調製品 検査組織による承認が必要
Batillus thuringiensis 調製品 検査組織による承認が必要
顆粒病ウィルス 検査組織による承認が必要
プロポリス 検査組織による承認が必要
鉱物粉末(石粉、ケイ酸塩、ベントナイト) - -
ケイ藻土 検査組織による承認が必要
ケイ酸、粘土(ベントナイト等) - -
カイ酸ナトリウム - -
重炭酸ナトリウム - -
過マンガン酸カリウム 検査組織による承認が必要
二酸化炭素及び窒素ガス 検査組織による承認が必要
カリ石鹸(ソフト石鹸) - -
植物性及び動物性オイル - -
パラフィンオイル 検査組織による承認が必要
海草、海草粉、海草抽出物、海塩、塩濃縮水 化学的に処理してないこと
ゼラチン −−
レシチン 検査組織による承認が必要
カゼイン −−
エチルアルコール 検査組織による承認が必要
天然の酸(例:酢) 検査組織による承認が必要
ニームオイル及びその抽出物 検査組織による承認が必要
Homoeopathic preparations −−
麹カビの発酵生産物 −−
キノコ(シイタケ菌)の抽出物 −−
クロレラ抽出物 −−
タバコを除く天然植物抽出物 検査組織による承認が必要
タバコ茶(純粋なニコチンを除く) 検査組織による承認が必要
ハーブ及びバイオダイナミック調製品 −−
昆虫性害虫の捕食者の放飼 検査組織による承認が必要
不妊化した昆虫の雄(遺伝的改変のないもの) 検査組織による承認が必要


使用できる農薬(有機農産物の日本農林規格)
農薬
基準
除虫菊乳剤 除虫菊から抽出したものであること。
デリス乳剤
デリス粉
デリス粉剤
なたね油乳剤
マシン油エアゾル
マシン油乳剤
硫黄くん煙剤
硫黄粉剤
硫黄・銅水和剤
水和硫黄剤
シイタケ菌糸体抽出物液剤
炭酸水素ナトリウム水溶液
炭酸水素ナトリウム・銅水和剤
銅水和剤
銅粉剤
硫酸銅 ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。
生石灰 ボルドー剤調製用に使用する場合に限ること。
液化窒素剤
天敵等生物農薬及び生物農薬製剤
性フェロモン剤
誘引剤
忌避剤
クロレラ抽出物液剤
混合生薬抽出物液剤
カゼイン石灰
パラフィン
ワックス水和剤
二酸化炭素剤 保管施設で使用する場合に限ること。
ケイソウ土 保管施設で使用する場合に限ること。