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歯科矯正治療における「ニワトリとタマゴ」の関係

 「ニワトリとタマゴ、どちらが先か?」という哲学的な問題があります。ウィキペディアには、「それは互いに循環する原因と結果の端緒を同定しようとする無益さを指摘しているのである。」と、書かれています。

 人間に体においては、形態と機能、つまり体の形とその働き(役目)の関係がこれになります。

 頭が大きく発達して人間は知恵を付けたわけですが、脳ミソの容れ物である頭(頭蓋骨)が大きくならなければ脳ミソは入りきれません。逆に、頭の骨が広がったから、脳ミソが大きくなれたのかもしれません。

 口の中に目を向けると、舌と歯ならびがこれにあたります。歯の位置は、内側にある舌と外側にある唇や頬によって決まります。内側外側の押しくらまんじゅう、力関係で決まるわけです。

 舌に血管腫という病気があれば、舌は大きく腫れ上がり巨大舌の状態になりますが、こうなると舌は歯並びを超えて表に出てきて、前歯部開咬(前歯がかみ合わない状態)になります。

 逆に、ピエール・ロバン症候群という病気では舌は小さくなり、下顎骨も小さくなって、上顎前突(正確には小下顎症)になります。

 鼻が詰まっていると、口呼吸になり、口はあけっぱなしになりますので、口唇の力が前歯に伝わらずに上顎前突(出っ歯)になります。(指しゃぶりだと指で上顎の前歯を押し出すので出っ歯になるわけです。)

 上記のように、舌や唇の働き(作用)によって、歯ならびが悪くなる場合があります。このような場合、歯ならびだけ治しても、原因を治さないと後戻りします。

 若い時期なら、原因を取り除けば自然に治ってゆく場合もありますが、ある程度年齢がゆくと、歯並び(形)と舌や口唇の働き(機能)の両方を同時に治してゆかないと治りません。

 だから、歯科矯正治療は難しいのです。

 

関連項目:

舌の機能発達不全とは

※セカンドオピニオンが必要であれば、お話しだけでも致します。