少林寺三十六房 [DVD] 少林寺三十六房 (製作年度: 1977年)
レビュー日:2011.1.15
更新日:
評価:★★★
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解説(Yahoo映画より):
実在の人物とされる劉裕徳をモデルに描かれた少林寺ものの一つで、悪の将軍によって師や友人たちを殺された若者が、少林寺に入門。それぞれ異なる技を鍛錬する三十五からなる房の中で修行を積み、やがてヌンチャクの変形、“三節棍”を生み出し卒業、復讐を果すまでを描く。


少年漫画的武術映画

少林寺モノって、どうしても少年マンガ的展開になってしまうんですね〜。 きっと男の子のツボを刺激しまくるんでしょう。これ見てバケツ水平に持って歩く訓練したやついっぱいいるぞ。賭けてもいい(笑)。

カンフーやるにはとにかく基礎体力が大事で、身体のあらゆる部分を鍛えてからでなくては各種のテクニックの習得なんてお話にならない、というのはもうカンフー映画の基本セオリーですが、この作品ではその各段階を「第○○房」という形でわかりやすく分けているのが面白いところ。
まぁどれもこれも体育会系ノリのとんでもないシーンばかりで、水に浮く竹の束を踏んで渡らなければご飯にもありつけないとか、長〜い竹ざおの先に錘をつけて、それで鐘を叩くとか、砂袋に頭突きをくらわして突破し、仏様にお線香あげに行くとか、そんなん役に立つのか? という感じで笑えるけど、さらに笑えるのは修行をやりとげた主人公が山を下りて街で戦う事態となったとき、その修行がすべてちゃーんと役に立つという展開になってるところが律儀というかなんというか……(笑)

しかしいつも少林寺モノを観るたびに思うのは、「お坊さんたち(アンド主人公)」は、「殺生してはならない」という仏教の基本原理と、結果的に殺傷能力を持ってしまう武術修行との矛盾点をどう解決するんだろう、という素朴なギモン。

これはジェット・リーの「少林寺」や「阿羅漢」、ジャッキーの「少林寺木人拳」でも出てきた問題で、それがあるからこそ一連の「少林寺」モノって他のカンフー映画と一線を画す何かがあっていいはずなんだけど……
そこを突き詰めていくとお話の筋が破綻してしまうからか、やっぱりみんなその辺はうやむやにしますね(苦笑)。

「少林寺」や「木人拳」では主人公が復讐を遂げた後で見習いの身から正式の僧侶になる、という解決法をとり、「阿羅漢」では敵役に最後の止めを刺すのは僧侶ではなく俗人という逃げを打っています。
この作品ではどっちかというと「阿羅漢」系で、他の人が止めを刺している間主人公は背を向けて祈ってたりします(汗)。でもラスボスとの戦いではきっちりと止めさしてるし。いいのかそれ。

そしてそれまでは門外不出だったその技を、一般人にも伝える道を開いちゃってるしなぁ……
まぁそれがなかったら、今わたしが少林カンフー習うこともできなかったはずなので、主人公サンテイ上人には感謝しなきゃならないんですがね(笑)。

主人公のリュー・チャーフィ、確かにカンフーもすごくてきりりとした男前だけど、わたしの好みとしてはちょっと愛嬌にかける。むしろ最後のほうにちょっと出てきた米搗き職人の米六君のほうがジャッキー系キャラでよかったです(笑)。


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