筆坂「政治的暗殺」から「外部飲酒禁止令」へ

 

常幹4人の党運営に関する『哲学の貧困』とウソと

 

(宮地作成・編集)

 〔目次〕

   1はじめに

   2、筆坂問題から外部飲酒禁止令への関連経過の確認

   3、筆坂問題と外部飲酒禁止令・内部文書の存否問題の記事 すべて2003年記事

      1、『さざ波通信6・25』 筆坂セクハラ事件

      2、産経7・8 本当はあった内部文書

      3、朝日7・10 外での飲酒禁止令騒動

      4、『しんぶん赤旗7・10』 飲酒問題の「産経」報道について

      5、産経7・10 志位氏に任せられぬ? 不破氏動く

      6、行政調査新聞9・22『あきれた粛清劇、筆坂秀世氏失脚の深層』内部告発文書と推測

   4、筆坂「政治的暗殺」から「外部飲酒禁止令」への発想の再吟味

 

 〔関連ファイル〕         健一MENUに戻る

    『筆坂秀世「悩める日本共産党員のための人生相談」』

           Q&Aによる悩む力を鍛える『日本共産党』第2弾

           筆坂秀世と私の経歴・立場の違いからくる主張の隔絶度合

    『筆坂秀世「日本共産党」出版をめぐる動向』筆坂証言と共産党反論による3つの真相

    『筆坂秀世「政治的暗殺事件」とその謎とき仮説』常幹4人「党内脅迫ファックス」に即時屈服

    Google検索『筆坂秀世 日本共産党』63100件

    行政調査新聞『あきれた粛清劇、筆坂氏失脚の深層』内部告発文書と推測

    有田芳生『共産党は筆坂氏の発言に答えるべきだ』週刊朝日2006年5月19日号

    ブログ『小隊長日記→最近の戦況報告』筆坂問題のコメント・投稿多数

 

    『第23回大会・綱領改定めぐるマスコミ論調』党大会・綱領全面改定と2問題

 

 1はじめに

 

 筆坂秀世『日本共産党』出版をめぐって、いろいろ論議がなされている。2006年4月20日発行の著書は、約20日間で8万部のベストセラーになっている。2003年6月24日筆坂セクハラ処分問題と、7月2日外部飲酒禁止令とその内部文書の存否問題とは、直接的関連を持って同時期に連続公表され、話題になった。3年前当時の状況を思い出し、現在の共産党対応と関連づけることは、常幹4人の党運営に関する『哲学の貧困』とウソを常用する体質とを、改めて検証する上で意味があると思われる。

 

 このファイルは、別ファイル『第23回大会綱領全面改定におけるマスコミ論調』から、それら2問題のマスコミ記事だけをピッアップした。ただ、当時、共産党は、筆坂セクハラと言うだけで、処分対象行為の内容沈黙・隠蔽した。その真相「デュエットで肩の手を腰にまわした」行為レベルは、3年後に初めて明らかになった。

 

 行政調査新聞記事において、常幹4人批判の国会議員秘書・赤旗記者グループは、処分3カ月後、次のような内部告発をしている。常幹は、「中央委員からの罷免」処分・参議院議員辞職決定に相当するセクハラ行為が、その真相では国民・マスコミへの説得力に欠けると考えた。そこから、常幹や書記局長が、書記局員を使って、その真相隠蔽したままで、筆坂がレイプ行為までもしたという噂を意図的に、広範囲で流していた、と。レイプなら、その処分レベルは当然だと納得させる偽の裏世論作りである。現に、私にもその噂が伝わってきた。当時のインターネットでも、その噂が飛び交った。

 

 常幹4人は、さまざまなウソを常用する実態から見て、そのでっち上げ噂を流す体質を持っていると判断する。ちなみに、私の個人的な体験も、その判断をする根拠としてある。1975年、私は、正規の会議における党中央批判への報復としての専従解任に抗議し、長大な「意見書」「質問書」など25通を愛知県常任委員会と党中央に提出した。それにたいし、愛知県委員長・幹部会員は、県専従者会議で「あんな長大で、強烈な批判を出す宮地は頭がおかしい。気が狂っている」と断言した。それに不満を抱いた専従が、私に、「除名」処分後、その内容を伝えた。

 

 1977年、私は、名古屋地方裁判所に、専従解任不当の民事裁判を提訴した。常任幹部会・県常任委員会は、私を欠席させたままで、即座に「憲法の裁判請求権行使を理由とする除名」処分にした。その直後に、県常任委員会は、愛知県岩倉市在住の全党員約100人を全県・全地区にまたがって招集する緊急会議を開いた。そこでも、県常任委員会は、「宮地は反党分子というだけでなく、気が狂っている」「除名前から、専従解任事実を不特定多数の党員にしゃべり、規律違反を繰り返していた」など、その他多数のでっち上げ話を撒き散らした。その内容に怒った党員たち何人もが、会議直後、来宅したり、電話をくれた。よって、批判・排除党員にたいし、共産党機関がでっち上げ話を流す手口は体験ずみだからである。

 

    第6部『宮本・不破の反憲法犯罪、裁判請求権行使を理由とする除名』

    第7部『学者党員・長谷川正安憲法学教授の犯罪加担、反憲法「意見書」』

 

 当時も、常幹4人の手口を批判した党本部勤務員・国会議員秘書がいた事実も、一部明らかになってきた。2006年5月9日「さざ波通信・党員欄」において、現役党員が次の事実を書いた。不破反論でも浜野反論でも事実関係の記述は回避しているが、それは筆坂氏と相手の女性との二人だけの空間で生じた問題ではない。筆坂氏の公設秘書である酒井保次氏も、その場に同席していた。その酒井秘書は、「(カラオケボックスでのチークダンスで)相手の女性に拒絶の態度や言葉は一度もなかった。時間を気にせず楽しんでいた「セクハラなどではない」と、党上層部に繰り返し訴えている

 

 にもかかわらず、筆坂氏の党役職罷免と参院議員辞職を決定した党に抗議して、同氏はそれ相応の収入のある国会秘書の職を棒にふって退職し、共産党も離党している。この一事をみても、事態がセクハラと呼ばれるようなものでなかったことは明らかである。実際にも当初、事態はその方向に向かっていた。即ち、常任幹部会は、「警告」処分を決定したのである。
 急変したのは一枚のファックスにあることは(不破氏らはこの点を隠蔽しているが)、当時からインターネット上などでも伝えられていた。

 

    「さざ波通信・党員討論欄」『空疎で見苦しい反論では人々に見放される(山田二郎)』

 

 筆坂秀世は、『週刊朝日』で、同席した筆坂の女性秘書が提出した同趣旨の「意見書」内容を書いている。となると、カラオケには、()筆坂・()筆坂公設秘書である酒井保次と、()筆坂女性秘書・()デュエットをした女性専従の4人がいたのか。彼女は、筆坂の新しい秘書になる予定で、カラオケは、彼女の「歓迎会」だった。

 

 

 2、筆坂問題から外部飲酒禁止令への関連経過の確認

 

 ■「禁酒」をめぐる共産党の対応■ 朝日7・10記事より 外での飲酒禁止令騒動

 

 2003年6月24日 市田書記局長

 「箪坂秀世参院議員が酒席セクハラをしたことを認め、党中央委員を罷免した。(セクハラの状況は)相手の特定につながるので控える」

 

 7月2日 志位委員長

 「外部でお酒を飲まないことが原則。内部規定はある届け出をきちんとやれば認めるが、厳格にする必要がある」

 

 7月4日 志位氏

 「外部飲酒は原則禁止ととられる発言は勘違い。セクハラ再発防止策として飲酒の問題に触れたのは間違いだった。撤回したい。外での飲酒は羽目をはずさないよう節度を持って。内部規定というよりも自主的申し合わせだ」

   市田氏

 「自主的申し合わせだから文書はない

 

 7月8日 党広報部

 「飲酒は原則として家でおこない、帰宅の途中や面識のないものとは飲酒しない」とする70年の党本部細胞委員会の文書の存在を認める

 

 処分3カ月後の内部告発文書 (推測)

 

 9月22日 行政調査新聞『あきれた粛清劇、筆坂氏失脚の深層』内部告発文書と推測

 

 

 3、筆坂問題と外部飲酒禁止令・内部文書の存否問題記事

 

 2003年6月24日、共産党市田書記局長は、筆坂セクハラ処分を公表した。しかし、処分対象行為の内容を意図的に隠蔽した。よって、党内・マスコミとも、抽象的なセクハラについては、きちんとした論評をしようもなかった。党内・党本部内の風紀粛正方針としての「外部飲酒禁止令」とその文書存否問題のウソに関する記事がほとんどになった。当時の党内意見・マスコミ記事を再確認する。

 

 〔小目次〕 すべて2003年記事

   1、『さざ波通信6・25』 筆坂セクハラ事件

   2、産経7・8 本当はあった内部文書

   3、朝日7・10 外での飲酒禁止令騒動

   4、『しんぶん赤旗7・10』 飲酒問題の「産経」報道について

   5、産経7・10 志位氏に任せられぬ? 不破氏動く

   6、行政調査新聞9・22『あきれた粛清劇、筆坂秀世氏失脚の深層』内部告発文書と推測

 

 1、『さざ波通信6・25』 筆坂セクハラ事件

 

 03.6.25)筆坂政策委員長・参議院議員がセクハラで辞職
 すでに、報道などで周知のように、党の政策委員長で、参院の比例選出の国会議員である筆坂秀世氏が女性に対するセクハラが原因で国会議員を辞職することが、24日に党の記者会見で発表された。これは党内のみならず、国内にも大きな衝撃を与えた。国会議員が性的な不祥事で辞職するのは、数十年ぶりのことだそうである。しかも、それが共産党の顔とでも言うべき筆坂議員であったことは、大きな驚きをもって迎えられた。

 党自身の発表によると、被害女性が中央委員会に訴え出たのは5月27日で、事件そのものはその数日前に酒の席で起こった。このことを筆坂氏本人に党が確認したところ、事実を認め、その場で国会議員の辞職を申し入れるとともに、一党員としてやり直したいとの意向を表明した。党中央は、この事実を踏まえて、7中総で筆坂氏の中央委員の役職を解くとともに、その事実について総会の場で報告し、記者会見でも明らかにした。

 事件そのものを隠蔽することなく、別の口実で筆坂氏を更迭するのでもなく、セクハラの事実をきちんと公表して、議員辞職という形をとったことは、評価できることである。クリーンなイメージを最大限重視している党としては、重大な打撃になることを承知でこの道を選択することには、相当の勇気がいったと思われる(もちろん、被害者本人の承諾を得ていることが前提であるが)。

 しかしながら、この事件の詳細については、党内でも、また今回の記者会見でもまったく明らかにされていない。被害者のプライバシーを尊重してとのことであるが、この説明はわからないでもないが、被害者の個人的プライバシーにかかわらない範囲でも、もっと明らかにするべきことはあるはずである。たとえば、セクハラが悪質なものであったのかどうか(誰もその様態を細かに描写せよとは言っていない)、その酒の席はどういう性格のものであったのか(筆坂氏が個人的に飲みに行った場だったのか、それとも党関係者が多数いたかなり公の酒の席だったのかどうか)、被害者が党関係者かどうか(これは党内の権力関係にかかわるので、重要な事実である。もし被害者が党関係者であり、筆坂氏が党内の権力関係を悪用してセクハラに及んだとすれば、酒の席で羽目をはずしてしまったというレベルではなく、より重大なものになる。それは市民道徳の問題ではなく、政治的問題である)、等々。これらはいずれも、セクハラの重大性をはかるうえで欠くことのできない要素である。にもかかわらず、これらの点について、党中央はすべて「発言を控えさせていただく」として頑強に事実の公表を拒否している。

 これはきわめて問題である。まず、第一に、筆坂氏は単なる党役員ではなく、国民によって選挙で選ばれた国会議員である。職を辞するかぎりは、国民に対するそれ相応の説明責任があるはずである。

 第二に、今回事件がおきた「酒の席」というのが、筆坂氏が個人的に飲みに行った場ではなく、そこに多数の党役員がいたかなり公の酒の席であった可能性がきわめて高い。というのは、記者会見で明らかにされたように、事件は、5月27日の「数日前」に起きている。この日付は6中総の開催時期と見事に重なっている。6中総が開催されたのは、5月24日と25日である。もしかしたら、6中総の終わったあとに、「打ち上げ」として党役員や本部職員などが多数参加した酒宴が行なわれ、そのときに起きた事件かもしれない。とすれば、筆坂氏個人の責任のみならず、そこに参加していた党役員全員の責任が問われなければならないだろう。

 また、共産党は、党の本部専従に、自宅以外での飲酒を内部規定として禁じている。もしこの酒の席が、誰かの自宅以外の場であるとしたら、党幹部自身が自らの定めた内規を破っていたことにもなる。

 さらに、今回の事件が、そのとき、たった一回だけ起きた偶発的なものだったのか、それとも同じようなことが何度か繰り返されていて、被害者がついに中央委員会に訴え出たものなのか、この点も明らかにされなければならない。もし後者だとすれば、問題はより根深いものとなり、党指導部全体の責任がより厳しく問われることになるだろう。

 なお、この事件をめぐって一部に、党内抗争の現われであるかのような陰謀論が見られるが、それはまったく荒唐無稽な議論である。国会議員がセクハラで辞職することによって党が受ける打撃の方がはるかに大きい。筆坂氏は忠実な不破派であったし、また党内における不破氏の権力は絶対的なものであって、党上層に反乱分子がたとえ現われたとしても(その可能性自体、現在の党の水準からすればありえないが)、ごく普通の党内手続きで反乱分子を取り除くことができたろう。今回の事件は、何よりも、新しい改良主義路線によって世論に取り入ろうとした不破指導部にとって、その出鼻をくじくとてつもなく大きな打撃となるスキャンダルである。彼らにはそれを隠蔽する動機はあっても、あえてそれをでっち上げる動機はかけらもない。(S・T編集部員)

 

 2、産経7・8 「本当はあった内部文書」

 

 共産党の禁酒“騒動”

 内部規定で外部での飲酒を禁止しているかどうかをめぐってどたばたを繰り広げた共産党。志位和夫委員長は「自主的な申し合わせで、(内部規定といったのは)勘違いだった」と文書規定がないことを強調して“一件落着”とする方針だった。しかし、まるで「親心のように」(党関係者)外部での飲食禁止を明記した非公式内部文書は存在していた。市田忠義書記局長はこの文書について「誰がつくったのか、私はしらない」としているものの、複数の同党関係者は「規制は緩和されたが、現在も拘束力を持っている」という。

 

 非公式文書「党防衛にたいする自覚を高め、敵のいかなる攻撃をも粉砕するために」(1970年作成)

 この文書は、三十三年年前の昭和四十五(一九七〇)作成されたもので、志位氏が今月二日の記者会見で「七〇年代に作られた」と説明した「内規」にあたると推測される。

 

 外部での飲食禁止の規定は「飲酒は原則として家でおこない、帰宅の途中や面識のないものとは飲酒しない。とくに重要なものを持っているときには外では絶対に飲まない」という内容だ。その後、党内で「厳し過ぎる」と緩和を求める声が相次いだため、運用上は「上部組織に報告して許可を得る」ことを条件に認められるようになっていたという。ただ、「帰りにちょっと一杯」は許されない状況は同じだ。

 

 さらに、この文書の第一項は、「米日反動と反党売党集団の党破壊から党を防衛するために不断に革命的警戒心をたかめ、敵のいかなる動向もただちに支部()に報告し組織的に粉砕する」というもの。「革命」のための組織防衛と党内規律の維持に躍起となる共産党の姿を浮き彫りにしている。第二項以降は…(中略)

 

 四十五年は、宮本顕治氏(現・名誉役員)が書記長から委員長に就任し、党指導の全権を完全掌握した時期。共産党はそれ以前の二十年間を「反動・反共攻撃にたいする厳しい闘争の二十年だった」と総括しており、内部文書もこうした認識の下で作成されたようだ。

 

 市田氏は、七日の産経新聞の取材にたいし、「(志位)委員長が記者会見で述べた通り。(文書化されていない申し合わせであることに)間違いはない」と述べ、“自宅外禁酒”の文書や内規の存在を否定しているのだが……

 

 3、朝日7・10 解説「外での飲酒禁止令騒動」

 

 迷走の共産 「神話」揺れ

 共産党が「禁酒令」をめぐり迷走している。セクハラ再発防止策として志位委員長が「自宅外での飲酒を原則禁止する」と表明したことが発端。その後の対応も二転三転し、良かれあしかれ「共産党は間違わない」という同党につきまとった無謬(むびゅう)神話も揺らぐ。党再生の切り札として綱領改定案を示した矢先、党内には次の衆院選で「惨敗しかねない」との声も出始めている。

 

 「総選挙に響く」の声

浮世離れ

 「帰りに党員同士が一杯やるのは?」「デートの場合は?」

 2日の定例記者会見。「飲酒禁止」を宣言した志位委員長に質問が相次いだ。志位氏は「外部飲酒にあたる」と言い切り、翌3日の新聞には一斉に「共産党、セクハラ防止で禁酒令」といった記事が掲載された。

 

 党本部には「酒を飲むか飲まないかは個人の勝手じゃないのか」などの抗議が殺到。あまりの「浮世離れ」ぶりに批判が集まり、志位氏は2日後に緊急記者会見し、発言を撤回し陳謝した。ところが、志位氏ら党幹部は「飲酒禁止」の内部文書の存在を否定。それが一転、党広報部がその存在を認めるというちぐはぐぶりが続き、混迷を深めた。

 

党風?

 そもそも、どうして共産党は飲酒に神経質なのか。それを解き明かす論文が76年9月22日付の党機関紙「赤旗」に掲載されている当時の編集局長論文だ。「なぜ本部勤務員は外での飲酒を慎まなければならないか」とする論文は、「反共勢力は、政策、理念などでは共産党にケチをつける材料がない。そこで党員の私生活を狙ってくる」と指摘。禁酒の理由として「飲み屋で話すことがスパイに筒抜けになる」「泥酔して国民に迷惑や被害をあたえる」「退廃的な生活や不倫なども酒が入り口になる」――などと列挙している。

 

 82年の党大会では不破哲三書記局長(当時)が「大きな仕事が終わったから、疲れたからと、党の事務所で酒を飲んで区切りをつける慣習が広まっているが、正しくない党風だ」と発言している。禁酒令の背景について同党関係者はこうもぼやく。「理想を唱える割には報われないので、ストレスがたまり、党員が酒におぼれる心配がある」

 

攻撃材料

 政府・与党内で「10月解散」が浮上する中、共産党にとっては、セクハラ問題や「禁酒令」騒動が衆院選にどの程度、影響するかが気がかりだ。支持層が重なる公明党は早速、公明新聞で「共産主義社会では、がんじがらめの規制社会となることが容易に想像される」(神崎代表)、「集団酩酊(めいてい)、メロメロ状態」(冬柴鉄三幹事長)と連日、攻撃を続けている。

 

 ある共産党の中堅党員は「志位氏は純粋培養なんでしょうね」と苦笑いしつつも、「これで党が壊滅的な打撃を受けたら笑い事じゃない」と心配顔だ。同党は衆院選での勝敗ラインを現有20議席よりも少ない13議席としているが、さらに割り込むようだと党中央への不満が強まる可能性もある。

 

 「世間的感覚身につけて」

 90年に共産党を離党したジャーナリストの有田芳生氏

 「党本部内では飲酒しない。年始や送別会は別だが、原則飲まない。必要時は書記局の承認」。82年6月18日に、常任幹部会報告として自分のノートに記してある。

 本部内はもちろん外での飲酒は規律違反。「自主的申し合わせ」というのはウソだ。志位氏は、東大卒業後、すぐ専従活動家になった。違った思想の人と同じ職場で働くという社会生活は未経験。もっと世間的感覚を身につけてがんばってもらいたい。

 

 4、しんぶん赤旗7・10 『飲酒問題の「産経」報道について』

 

 産経新聞八日付が日本共産党本部勤務員の「外部での飲酒禁止を明記」した内部文書があったと報道。この記事についての各社からの問い合わせにたいし、中央委員会広報部は同日、次のように説明しました。

 

 八日付「産経」が報道したものは、調べてみたところ、一九七〇年三月の「本部細胞委員会」の決めたものだと分かりました。当時、本部からの帰宅途中の党員の飲酒先をつけねらって、スパイ工作をしたり、文書をねらったりする公安警察の動きが、非常に目だった時期でした。それに対応するために、本部勤務の党員で構成する党細胞(当時の基礎組織の名称、現在の党支部)が、自主的に決めたものです。“就業規則”的な文書ではありません。

 

    しんぶん赤旗2003年7月10日

 

 5、産経7・10 「志位氏に任せられぬ? 不破氏動く」

 

 ドタバタ幕引きへ18日講演

 共産党の筆坂秀世前政策委員長のセクハラ(性的嫌がらせ)行為や党員の自宅外飲酒禁止問題について“沈黙”を守ってきた不破哲三議長が十八日、都内で党員に向けて講演することになった。一連のトラブルを受けて党内には動揺や不安が広がっており、「問題の多い志位和夫委員長任せにできず、自らがその引き締めに動き出した」(党関係者)ようだ。

 

 講演は党の八十一周年を記念したもので、テーマは「綱領改定」と「市民道徳」。衛星テレビを通じて全国の党員も視聴できる。党内には不破氏が綱領改定案で自衛隊や天皇制の当面容認などを打ち出したことへの反発がくすぶっているうえ、筆坂氏のセクハラ問題や志位氏の発言に端を発した“禁酒令”をめぐるドタバタで揺れ続けており、最高指導者として党が直面する二つの問題の“幕引き”をはかる狙いがある。

 

 一方、混乱の火種をつくった志位氏は九日定例記者会見をキャンセルして「定期健診のため」(党広報部)に入院。不破、志位両氏の関係が「一層“微妙”になりつつある」(党研究者)との指摘も出ている。

 

 6、行政調査新聞9・22『あきれた粛清劇、筆坂秀世氏失脚の深層』

 

 

 4、筆坂「政治的暗殺」から「外部飲酒禁止令」への発想の再吟味

 

 〔小目次〕

   1、筆坂「政治的暗殺」→「外部飲酒禁止令」の共同演出者・常幹4人

   2、党運営に関する『哲学の貧困』とウソと

 

 1、筆坂「政治的暗殺」→「外部飲酒禁止令」の共同演出者・常幹4人

 

 これは、志位和夫一人だけでなく、不破・志位・市田・浜野という常幹4人の共同演出によるものである。筆坂「政治的暗殺」のセクハラ事実隠蔽・ファックス事実隠蔽・規約違反犯罪・さまざまなウソが、事件3年後に発覚した。どたばた劇の経過も、マスコミ記事が暴いた。それらを再確認する。

 

 第一、筆坂問題での説明責任を果さず、拒否した。国会議員辞職にあたって、本人に記者会見をさせなかった。不破哲三は、「公表した以上の情景描写をすることがセクハラに輪をかける」と語った。国会議員辞職・共産党中央委員罷免処分の原因について、共産党が説明責任を果していないという認識は、国民全体の判断だった。彼は、その要求を「情景描写をせよ」という要求にすりかえて拒絶した。彼は、相手の批判論点を恣意的にすりかえて、それに反批判を展開する論争スタイルの天才である。その典型は、1978年からの田口・不破論争である。これらの詭弁の性質は、不破哲三が得意とする論点すり替えの詭弁である。彼の詭弁術は、日本共産党指導者史上もっともレベルが高いと言える。

 

 第二、世論・マスコミの追求が激しいので、4人は、志位和夫に、従来から内部文書として存在していた外部飲酒禁止令を強化するとの記者会見をさせた。それにたいして、全マスコミだけでなく、党員・支持者・国民から抗議の電話、メールが殺到した。それは、怒りとともに、共産党にたいする嘲笑・軽蔑に基づくものだった。

 

 第三、うろたえた4人は、このままでは、総選挙の票が減ると恐れおののいた。そして、()筆坂問題と飲酒問題とをくっつけたことは誤りだったと外部飲酒禁止令を撤回した。さらに、外部飲酒禁止令の()内部文書はなかったと言明した。しかし、その文書は存在していた。それだけでなく、1982年6月18日、常任幹部会が党本部勤務員会議で報告もしていた。

 

 有田芳生は、上記『朝日新聞7月10日記事』において、次の証言をした。「党本部内では飲酒しない。年始や送別会は別だが、原則飲まない。必要時は書記局の承認」。82年6月18日に、常任幹部会報告として自分のノートに記してある。本部内はもちろん外での飲酒は規律違反。「自主的申し合わせ」というのはウソだ。

 

 第四、実は、内部文書が存在していた。志位ら常幹4人は、全マスコミ・有権者にたいして、真っ赤なウソをついて、幕引きを謀ろうとした。しかし、7月8日の産経新聞がその存在を暴露した。これは、常幹4人批判の党本部勤務員による内部告発の結果とも考えられる。そこで、共産党広報部は、7月10日、その存在をしぶしぶ認めた。しかし、「本部支部の自主的な申し合わせ」と、なおも稚拙なウソをついた。

 

 そもそも、800人の共産党本部支部が、常任幹部会の指令なしに、そのような文書を作成することなどは絶対にありえない。有田芳生も、「自主的申し合わせ」をウソと断言している。産経新聞の暴露がなければ、4人はウソをつき続けたであろう。ちなみに、私(宮地)も、愛知県選対部員のとき、20数人の県勤務員支部に所属していた。そこで、勤務員支部が、何かのテーマで「県常任委員会の指令もないのに、自主的申し合わせ」などをしたことなど、一度もない。かくして、常幹4人は、()内部文書はなかったという最初のウソと、()「本部支部の自主的な申し合わせ」という二重のウソで、国民を欺く体質を露呈した。

 

 彼らは、なぜ、「常任幹部会自身内部文書決定していた」と真実を言えないのか。真実を言えば、常幹の権威が全面失墜すると恐れ戦いたのか。下部に責任を転嫁し、自分たちの自己保身を謀る手口は、常幹4人の常套手段ではある。選挙総括のレベルがすべてそうなっている。彼らの自己保身度の高さは、驚嘆すべきレベルにある。

 

 第五、不破・市田・浜野らは、志位和夫に、定例記者会見の“ドタキャン”をさせ、「定期健康診断」の名目で、代々木病院に偽装入院をさせた。これは、自民党の汚職議員が、追求逃れによく使う「敵前逃亡」劇に類似している。共産党もこういう手口を使うように転落したのかと多くの有権者が悟った。それは、ごく最近における、民主党メール事件で、指導部が永田議員を偽装入院させた手口と同質だった。

 

 常幹4人は、)筆坂の6月14日テレビ出演“ドタキャン”指令に続く、)志位の定例記者会見の“ドタキャン”指令によって、常幹4人の自己保身のためなら、追求逃れによく使う「敵前逃亡」劇を演出する体質も秘めていることを自ら暴露した。

 

 第六、これらの詭弁と三重四重のウソをつく4人の心理をどう考えたらいいのか。まずは、常幹4人独裁による幹部腐敗が根底にある。ばれなければマスコミ・有権者に平気でウソをつくという、傲慢な前衛党体質がある。筆坂「政治的暗殺事件」と「外部飲酒禁止令」めぐるドタバタ経過は、4人が事件処理の面では『無能の人』『自己保身の人』たちであることを1億数百万人有権者にさらけ出した。

 

 2、党運営に関する『哲学の貧困』とウソと

 

 これらの経過に見られるように、()筆坂「政治的暗殺事件」と、()「外部飲酒禁止令」・内部文書の有無という2問題は、直接的関連を持っている。というよりも、常幹4人は、筆坂セクハラ処分から、「外部飲酒禁止令」を党本部勤務員800人内のセクハラ再発予防措置として、ストレートに連結発想したことを証明した。800人向けだけの措置という意味は、47都道府県委員会・316地区委員会の中間機関において、そのような文書や指令は、党中央から来ていないからである。私(宮地)も愛知県専従15年間で、そんな禁止令を見たことも、聞いたこともない。

 

 それは、彼らが、筆坂セクハラを、党本部800人内の風紀の乱れと位置づけ、以前から常幹決定として存在していた「外部飲酒禁止令」を再度強調すれば、党本部内の風紀粛正を強化できると錯覚したことを意味する。それは、常幹4人が秘める『党運営に関する哲学の貧困さ』を象徴するような思考・発想ルートと言える。

 

 筆坂問題は、「政治的暗殺事件」という性質だったことが、事件3年後に明らかになった。「政治的暗殺」をめぐって、党本部800人内に、3つのグループ潜在する実態も発覚した。

 

 〔グループ1〕、常幹4人の人事・党運営独裁グループである。人事・党運営方針の決定権限は、事実上、中央委員会・幹部会・常任幹部会から奪われ、不破・志位・市田・浜野ら4人が不法占有している。その上、彼らは、規約違反犯罪行為・ウソ・自己保身を繰り返す体質を持っている。

 その証拠の一つが、筆坂「警告」処分を中央委員会総会に掛けないという規約違反提案を、まず4人だけで決定したことである。4人以外の常任幹部会員15人は、全員が、その規約違反犯罪に賛成した。日本共産党の最高執行機関が、このような隠蔽犯罪を自ら決行した事実をどう考えたらいいのか。

 

 第2の証拠が、党内脅迫者による脅迫ファックスに即時・全面屈服し、「罷免」処分に変更・エスカレートさせたとき、「規律担当者が思い違い」をした結果と、真っ赤なウソをついたことである。これらの体質は、共産党の最高執行機関そのものの内部腐敗・崩壊現象ではないのか。絶対的権力はトップから絶対的に腐敗していく。

 

 共産党の場合、執行機関とは何か。それは、()正規の党大会→都道府県委員会総会→地区委員会総会と異なる。()正規の決定・執行機関であるはずの中央委員会総会→都道府県委員会総会→地区委員会総会とも違う。それは、()党中央常任幹部会約20人→47都道府県常任委員会約500人→316地区常任委員会約2000人を意味する。それら約2500人・党費納入党員の1%弱の専従が、共産党の路線・方針・政策を決定し、執行する権限を独占している。これら暴力革命を目指す軍事規律組織の細部のルートについては、別ファイルで分析した。

 

    『日本共産党との裁判・第1部』共産党の軍隊的組織ルート

 

 とりわけ、Democratic Centralismという党内民主主義破壊・上意下達の犯罪的組織原則の下では、それらに関するあらゆる権限を、常任幹部会、さらに、常幹内の4人グループが不法占有する。それが、現在の日本共産党の組織運営実態・本質である。その4人が規約違反犯罪・「政治的暗殺事件」・ウソ・自己保身などで腐敗すれば、次に、代々木党本部85億円新築ビル内800人が連鎖的に腐敗する。その腐敗は、さまざまなグループを水面下で醸成する。そこから、何か問題が発生するや、水面上に浮かび上がり、あぶくとなって、多様にはじける

 

 〔グループ2〕、国会議員女性秘書の内、筆坂「政治的暗殺」を遂行・加担した脅迫者グループ10数人である。これは、別ファイルに書いたので、ここでは触れない。ただ、HP・ブログ・掲示板などにおける見解を見る限り、この「党内脅迫ファックス」「党本部国会議員秘書ら脅迫者グループ」の出現という事実についての認識や位置づけが弱いと思われる。

 

 この性質は、党本部800人内の国会議員秘書グループが、共産党トップグループ4人を、書記局直通番号の匿名ファックスで脅迫し、脅迫要求を手に入れた事件と規定できる。私(宮地)の愛知県専従15年体験や国際共産主義運動史から見ても、脅迫への屈服者も含め、これは、驚天動地・奇想天外・前代未聞という四文字熟語を並べきれないほどの異様な事態発生である。これをどう規定したらいいのか。

 

 グループ1・2・3の発生を総体的に検証すると、これらは、まさに、日本共産党の内部崩壊が党本部代々木ビル内から始まっていることを示す象徴的なケースではなかろうか。東欧・ソ連10カ国前衛党のいっせい崩壊も、このようなレベルで党中央からの内部崩壊が引き金になったのか。

 

 

 〔グループ3〕、国会議員秘書は、激減した衆参国会議員19人×3人=57人いた。事件当時、参議院議員は10人いたからである。赤旗記者は、党中央広報部発表で約370人いる。彼らの内、何人かが、筆坂処分の誤り・脅迫者グループへの憤り・常幹4人の即時脅迫屈服と自己保身怒って行政調査新聞記事を直接執筆した。その内部告発文書をインターネット新聞で公表したグループが存在している。

 

 筆坂公設秘書である酒井保次も、デュエットの場に同席していた。その酒井秘書は、「(カラオケボックスでのチークダンスで)相手の女性に拒絶の態度や言葉は一度もなかった。時間を気にせず楽しんでいた「セクハラなどではない」と、党上層部に繰り返し訴えている。にもかかわらず、筆坂の党役職罷免と参議院議員辞職を決定した党に抗議し、彼は国会秘書を退職した。共産党にも抗議の離党をしている。ただ、彼が、内部告発文書執筆・取材に協力したかどうかは不明である。

 

 もっとも、カラオケの性格は、女性が筆坂の新しい秘書になるに当たっての「歓迎会」だった。その真相を知っているのは、現場にいた4人しかいないのだが。行政調査新聞記事執筆の国会議員秘書・赤旗記者グループは、どこから、誰からその真相を聞き出したのか。

 

 常幹4人は、いつもの傲慢な思考スタイルに基づき、筆坂処分の全過程において、自分たちの側に、誤りが一切ないとする立場に立っていた。となると、党本部800人の側に、風紀の乱れが発生していることが根本的な原因だと規定した。それを是正するには、とりあえず、800人の外部飲酒を完全禁止にするのが上策と断定した。それが、党本部運営に関する常幹4人の哲学レベルである。

 

 たしかに、「外部飲酒禁止令」とその文書存否をめぐるウソにまみれたどたばた劇には、大きな政治的背景があるわけでない。それにしても、自分たちの誤り・ウソを棚上げしておいて、筆坂処分から、直結的にストレートな下部統制強化を「外部飲酒禁止令」で図ろうとする常幹4人の「哲学の貧困」度合いをどのように判定したらいいのか。

 

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 〔関連ファイル〕

    『筆坂秀世「悩める日本共産党員のための人生相談」』

           Q&Aによる悩む力を鍛える『日本共産党』第2弾

           筆坂秀世と私の経歴・立場の違いからくる主張の隔絶度合

    『筆坂秀世「日本共産党」出版をめぐる動向』筆坂証言と共産党反論による3つの真相

    『筆坂秀世「政治的暗殺事件」とその謎とき仮説』常幹4人が「党内脅迫ファックス」に屈服

    Google検索『筆坂秀世 日本共産党』63100件

    行政調査新聞『あきれた粛清劇、筆坂氏失脚の深層』内部告発文書と推測

    有田芳生『共産党は筆坂氏の発言に答えるべきだ』週刊朝日2006年5月19日号

    ブログ『小隊長日記→最近の戦況報告』筆坂問題のコメント・投稿多数

 

    『第23回大会・綱領改定めぐるマスコミ論調』党大会・綱領全面改定と2問題