Zabadak 「のれん分け」コンサート |
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(あやふやな)曲目表
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最初、日比谷野外音楽堂でライブとの情報を聞いた時点では、いつも通りの普通のラ イブで、「すごい、野音でやるんだ、楽しみ〜」と無邪気に喜んでいました。
それが、その後に届いたライブ情報のDMの最後に、ぽつりと、上野洋子さんの「のれんわけ」のお知らせが。
私にとっては、大好きなアーティストが別れるという初めての経験で、とてつもない衝撃でした。
しかもそれが、今まで生きてきた中で、一番大好きな音楽を奏でるアーティスト達だったのですから……。
というわけで、8年前の1993年の9月25日、Zabadak「のれんわけ」コンサート。
当日の日比谷野外音楽堂は、当日券(だったのかな?)のすごい列。
「ザバあるよ〜」との呼び込みのダフ屋まで出ていました。
チケット取れなくて、会場の外でライブを聴いていた人も結構いたみたい。
今の私だったら、確かにチケット取れなかったら絶対外で聴いていた、と思います。
開演前のアナウンスで、ベストアルバム『Decade』を会場で売ってることをアナウンスしていたのですが、そのアナウンスが「ザバダックのベストアルバム『デイケイド』を……」と繰り返し(笑)
じゃあ米米クラブのベストアルバム『Decade』は『ディケイド』で、zabadakのは『デイケイド』なんだね、と友達と笑っていました。
席は、大体8,9列目くらいの中央ですごく恵まれた位置。
始まるまで、1曲目はなんだろうねと予想してて、やっぱり『桜』の1曲目の『五つの橋』とか、『Decade』の1曲目の『Poland』あたりかなあと話してました。
やがて夜の帳が降りてきて、天然の客電が暗くなって、「のれんわけ」コンサートの始まりです。
スモーク(びっくり!)と眩しいライトの中でスタートした1曲目……
……なんと意表を突いて『Let there be light』!
上野さんの生の歌声で聴くのは初めてだったこの曲、私がzabadakにはまるきっかけになった2曲のうちの片割れだったのです。
もう片割れの曲は何回かライブで聴けていたけど、まさかこの曲を聴けるとは思わなかったから、嬉しかった。
比喩でもなんでもなく、夕方の空まで響いてゆく、高く澄んだ歌声。
……でも、洋子さん緊張していたのか歌詞間違いしてましたけど(笑)
2曲目の『小さい宇宙』で、負けずに吉良さんも間違いを♪ラララ〜でごまかしてたり(笑)
そこからは、今までライブでは聴いたことのない曲のオンパレード! (いや、あくまで「私が」かもしれなくて、もっと昔は演奏してたのかもしれないけど)
曲順表を見るとわかるように、いつもライブで演奏する曲は最後の最後の方まで出てこなくて、まるで何だか、やりたいこと、やり残したことを全てやる、ような印象を個人的に受けました。
イントロを聴くたびに、「おおっ、この曲でくるかっ」と、びっくり箱を開けるような気分(笑)
『星狩り』や『街角・影法師』、『明日からの風』とかは嬉しかったなぁ。
あと、すごく良かったのが『人形たちの永い午睡』。
アルバム『飛行夢』の淡々とした『午睡』も好きだけど、力強く奏でるライブバージョンが、すごく心に響いたのを今でも憶えてます。
特に I'm the believer ……のサビや、 今は動かない 古い人形たち ……のダブルヴォーカルのところ……。
コンサートにつられたのか、夜が深まるにつれて、空にはきれいなお月さまが。
そして、曲と曲の間を、余韻を残すように、秋の虫の声が響いていました。
何とも心地よい空間なのだけど、コンサートが進むにつれて、虫の声に名残惜しさやコンサートの終わりが近づくことを想い起こされて、淋しくなってきます。
吉良さんが、この虫の声はあおまつむしの声だよと、MCで話していました。
……何故か、肝心の吉良さんと上野洋子さんの話していたことはあんまり憶えていないのだけど、サポートメンバーの話してたことはちょこちょこ憶えていたり(笑)
太田恵資さんはメンバー紹介でコーランを披露(笑)。最初はまともにコーラン風だったのだけど、途中から「これからも吉良くんのザバダックをよろしくね〜」とかなったり(笑)
渡辺等さんはいきなり、「マツモトローのカレーは食べたか〜!」(笑)
ちょうどこの日、日比谷公園の松本楼で、恒例の100円カレーをやってる日だったのですね。
そして、『砂煙りのまち』で登場して激しい太鼓のパフォーマンスを演じた仙波清彦さんは、「仙波です。やってますか?」ときたので思わず小声で「なにをや」とつっこみ(笑)((C)モダンチョキチョキズ?)
吉良さんの「たまごっ」の声ではじまった『Unreasonable Egg』から、いよいよ盛り上がりもまして終盤戦。
『Around the secret』では、男の子ひとりに女の子5人くらいのダンサー達『Acid Angels』がアコーディオンの調べに合わせて、かわいい踊りを披露。
そして、今までで一番の盛り上がりだった『Easy Going』。
吉良さんがひっぱりまくって、ずっとずっと終わらない(笑)
終わったあとの、洋子さんが「平均年齢三十?歳なのに……(笑)」との呟きに、客席から「がんばってー!」のコールが。
そうして、最後は欠かすことのできない名曲、『harvest rain』で本編は終わりを迎えたのでした。
アンコールでは名曲を揃えて、1回目では全員揃っての『Poland』、そして『ガラスの森』。
そうして、2回目のアンコールでは、吉良さんと洋子さん二人での、『遠い音楽』。
虫達の歌声を交えての、静かな演奏に、本当でこれで終わりなんだとしみじみと思ったのを憶えています。
……でも、そのくらいでは会場のザバダックファンは帰りません。
アンコールの拍手は鳴り止まず、ついにフルメンバーで3回目のアンコール。
ここで私は、全員で出てきたのを見て、きっと『Walking Tour』だ、と思っていました。
きっと、会場の一人一人が心の中で、いろいろな曲を思い描いていたと思うのです。
……たぶん、その大半の人の想いの意表をついて、流れたイントロは、なんと『私は羊』。
最後の最後に、♪ディドゥドゥンダンと楽しげに響くメロディに、やられたっと思うと同時に、何だか上野洋子さんらしいなぁ、とも思ったのでした。
そうして、吉良さんと洋子さんが握手して、吉良さんが♪ディドゥドゥンダンと奏でて(笑)、「のれん分け」コンサートは終わったのでした。
……それでも、会場のファンは帰らない。
場内のアナウンスとともに流れはじめた、『五つの橋』に合わせて、みんなでずっと歌い続けてました。
……実は私は、最後まで見届けられなかったのですが、それだけは今でも悔しいです。
この後、私は吉良さんのZabadakを聴き続けるのですが、しばらくの間ライブには足を運びませんでした。
その頃はライブハウスでのスタンディングという形態にちょっと腰がひけていたのもあるのですが(それが今ではどうよ……(笑))、やっぱり、いろいろと引きずっていたのかも、しれません。
再びライブに行くようになったのは、1996年12月のキャラメルボックスプレゼンツのクリスマス・コンサートから、特に1曲目の『休まない翼』にやられてなのですが、その記憶は、憶えていたらクリスマスにでも(笑)