テーブル上のメニュー:紅茶・ハーブティー


……テーブルの上に、小さな黒板が立て掛けられていて、わずかなメニューが書かれている。

『アールグレイ……時価』

『カモミール………時価』

「時価……?」私は、カウンターの店主に訊ねた。

「この店は、電脳と幻想の狭間を漂っております。ですから、この店の貯蔵庫にいつ、どのお茶が入っているのかわからないのです。」

なんだか、こちらも訳がわからなくなる。

「で、今日のお茶の値段は?」気を取り直し、訊ねる。

「……本日の所は、この店にくつろぐ、僅かばかりの時間だけで結構でございます。ただし、お目当てのお茶があるとは限りませんが……。」

注文を受けて、カウンターの奥へ向かう店主の姿が、どこかぼやけて見えた。

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学科の課題で紅茶のページを作ってからはや2年。

その間に家族に「執事みたい」と言われるほど(笑)には、多少は紅茶のことにも詳しくなりました。

とはいえ、まだまだ素人であることは変わらず、加えて生来の味オンチは変りようもなし。

なので、ここでは相変わらず「自分なりの紅茶」について書いていこうと思います。


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teaテーブル・エンド・エンジェル

私は普段紅茶もコーヒーも両方飲むのですが、紅茶はちょっと一息入れる時に、一方コーヒーはレポートや原稿で徹夜している 時の眠気覚まし用にと、使い分けて飲んでいます。

実際には、眠気を覚ますためのカフェインの含有量は、コーヒーよりも紅茶や緑茶の方が多いといわれてます。

それなのに、どこか自分の中に「紅茶は休憩に、コーヒーは修羅場に(笑)」というイメージが定着しているのは、紅茶の味もさること ながら、「紅茶をいれて飲む」ということに、どこかほっと休まる空気があるんだろうなと思えるのです。


ティーポットやカップを出すとき、茶葉を選ぶとき、お湯が沸くのを待つ間。紅茶を飲むまでのこの手間は、たとえ疲れていても どこかほっとする時間だったりします。
そして、自分にしてはおいしく紅茶がはいったときは、疲労も忘れてとても幸せな気分になります。
そのおいしさを、視覚で感じさせてくれるのがジャンピングです。


ジャンピングとは、ポットの中で茶葉が上下に対流すること。このジャンピングが起こることで、茶葉が充分に開き、そのおいしさが 十二分に引き出されます。

ところが、お湯の温度や空気の量などの条件がそろわないと、ジャンピングは起こってくれません。
それだけに、うまくいってお茶の葉がポットで気持ちよさそうに踊っているのを見るととても嬉しくなるのです(単純な……)。
私はこれが見たいがために、透明のティーポットを使ってたりします。


味だけでなく香りや視覚まで含めて、ほっと休まる時間。
この項の題として勝手に引用させていただいた遊佐未森さんの歌の様に、あるいは本当にお茶の時間には天使の様なものがいるのかもしれません。


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tea紅茶のいれかた

ちゃんとしたいれかたはより専門的なページで紹介されていると思いますので、ここでは私が下手なりに ジャンピングするよう努力しているいれかたを、流れを追って簡単に紹介します。

お湯を沸かす・ティーポットを暖める
ジャンピングの条件は、沸騰していること、たくさんの空気が含まれていること。
そのためには、蛇口から水道水を勢いよくやかんに注ぎこんで沸かすのが一番だそうです。
あらかじめ魔法瓶に入れてあるお湯では温度が低くてジャンピングしてくれません。

さて、やかんを火にかけたら、沸くまでの間にティーポットを暖めましょう。
こちらは水道からの給湯のお湯でOKですし、家族が先に沸かして魔法瓶に入れておいたお湯をくすねてしまうのも お気軽でいいかと思います。
この作業も、怠るとティーポットにお湯を注ぐ時点で温度が下がってしまうので、ジャンピングしなくなって しまいます。
うーん、茶葉は私のようななまけものには厳しいのう……。


茶葉を入れる・沸いたお湯を注ぐ
さて、「そろそろお湯が沸くかな?」という頃合になったら、ティーポットからお湯を抜いて茶葉を入れます。
実はこの頃合が私にはけっこう難しいんです。
お湯を抜くのが早いとせっかく暖めたポットがさめて温度が下がってしまうし、かといってちゃんと沸騰していないまま注ぐと、 やっぱり温度が足りない。
逆に、お湯を抜くのが遅くて、やかんを沸騰させっぱなしにすると、もたもた茶葉を入れている間にどんどんやかんのお湯から 空気が抜けてしまうのです。
これはやっぱり慣れしかないのかな……?

さて、茶葉の量ですが、本来はキャディースプーンを使って量るそうなのですが、私は持ってないのでただのスプーンでいれてます。
一人分につきスプーン一杯。ただ、細かく砕いた茶葉はこころなしか少な目に、逆に砕いていない大きい茶葉は大目に入れています。

そうそう、お湯を注ぐ前に、ティーポットの下にマットをしいておきましょう。でないと、ポットの底から熱が逃げてしまいます。
これも本来はティーマットがあるそうなのですが、私は持ってないので、なんとマット代わりにタータンチェックのマフラーをしいて います……。

では、いざお湯をティーポットに注ぎましょう。無事ジャンピングすれば幸せです(笑)
茶葉が全部浮き上がってしまった場合は、なんらかのせいでお湯の温度が足りないせい、逆に全部沈んでしまった場合は、空気が 足りないせい、だそうです。


茶葉をむらす
茶葉の踊りを見ながら、じっくり葉が開くのを待ちましょう。
時間の目安は、砕いていないフルリーフの茶葉なら3〜5分、砕いたブロークンの茶葉なら2〜3分といった所。
それぞれの茶葉と飲む人の好みによって、最適なむらし時間は異なるようなので、ちゃんと正確に測っていろいろ 試してみるといいでしょう。
ちなみに、どうしても濃すぎる時は、むらし時間を減らすよりも茶葉自体の量を少し減らしたほうがいいみたいです。


紅茶をカップに注ぐ
充分むらしたら、あとはティーカップに注ぐだけ。
本当はカップも暖めるそうですが、猫舌の私にはつらいので省略してます……。


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tea茶葉の種類

最後に、代表的な茶葉・ハーブを少しだけ、私の知識と好みの範囲で紹介させて頂きます。
他にも見たい方は、貯蔵庫の方ものぞいてみてくださいね。

teaダージリン
インドのヒマラヤ山岳地帯のダージリン地方でとれる、世界三大銘茶の一つ。
その独特の甘い芳香はマスカットに例えられ、極上品は「紅茶のシャンパン」といわれ珍重されています。
また、年3回の収穫期があって、早い順に「ファーストフラッシュ」(一番摘み、新茶)「セカンドフラッシュ」 (二番摘み)「オータムナル」(秋摘み)と呼ばれています。ファーストはより若々しい芳香、オータムナルはより熟成 したコクのある味、という様にシーズンごとの特徴が楽しめます。
(さらに農園の違いによって差がでるらしいのですが、さすがにそこまではわからない……。)

私にとっては、初めて(最初で最後という話も…)飲んだ値段の高い茶葉で、また「こんな高級なのを粗末ないれかた をしてはいかん!」ときっちり紅茶をいれるようになったきっかけの茶葉だったりします。

また、色が他の紅茶よりも薄いので、「なかなか色が濃くならないなー」とほっといたら、味が濃すぎてしまったことも……

teaアッサム
やはりインドのヒマラヤ山麓の、広大な平原を持つ最大の茶の産地アッサム地方でとれる茶葉。
色、味ともに濃厚で強く、ミルクにも負けないコクのある味わいが出るので、ミルクティーに最適です。
よく聞かれるブランド名の「ブレックファースト」は主にこのアッサムと、セイロン系の茶葉のブレンド であることが多いそうです。

寝起きの悪い私にとっては、このアッサムやそのブレンドのミルクティーは朝(特に冬の)には欠かせない存在です。
これから社会人になって朝が早くなるので、ますます欠かせないものになりそうです……

teaアールグレイ
「アールグレイ」とは茶葉自体の名前ではなく、ブレンド名です。
中国赴任の外交官がグレイ伯爵に着香した中国茶を献上したのがそもそもの由来と言われ、基本的にキーマン等の中国 系の茶葉をベースにしてベルガモットの香りをつけたものがこう呼ばれます。
中国茶特有の燻したような香りに柑橘系の香りが合わさった独特の香味で、好き嫌いがが人によリかなり分かれるブレンドです。

私が一番最初に好きになった紅茶がフォートナム&メイソンのアールグレイで、渋味の少ないまろやかな味と独特の香りが気に入って 大学のサークルの部室にまで持ち込んで飲んでました(笑)

フォートナム&メイソンには、他にスモーキーな香りがやや減り、よりベルガモットが強調された「アールグレイ・クラシック」 もあるのですが、最近あまりみかけない様な……。

teaカモミール
ここからは、ハーブティです。カモミールは白い花弁を持つ小さく一見かよわそうな花。
ところがその外見とはうらはらにとても強い繁殖力と防虫成分を持っており、虫にやられた植物のそばに植えると その植物も回復することから「植物のお医者さん」とも呼ばれてます。

その花を使っていれたお茶は黄金色の、ほのかなリンゴの様な香味のお茶になります。
効用としては心をリラックスさせる効果があり、眠れない時などに飲むと効果的。
私がハーブティーを飲み始めたのも、このカモミールの不眠症への効果を期待してのことだったりします。で、結果は 「こころなしか」くらいでしたが、おいしいのでそのまま気にいって飲んでます。
(ちなみに、今はカモミールを飲まなくともよく眠る……。)

他のハーブとブレンドする際にもどのハーブにも割とよく合い、また紅茶とブレンドしても結構美味しく飲めます。
試す際には紅茶:カモミール=2:1くらいでどうぞ。

teaラベンダー
北海道の富良野の一面の花畑で有名な、青紫の小さな花です。
その心地好く(人にもよりますが…)強い香りはポプリや安眠用のまくらなどにもよく使われています。

その花を使っていれたお茶も、やはり深い青紫色の、香りの強い綺麗なお茶がでます。
ラベンダーティーにも、カモミールと同様に精神のリラックス効果があり、やはり神経が緊張して眠れない時に 飲むと効果的です。
ただ、ちょっと単独たど味が強いので、ローズマリーやカモミールなどとブレンドして飲むとやや飲みやすくなります
ラベンダーも紅茶とブレンドしても合うそうですが、これはまだ試していないのでなんとも言えないです……。


最後に、あくまで私はまだ素人なので、間違った記述をしていたらメールにて教えていただけると嬉しいです。


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「お待たせ致しました、どうぞ。」

しばらくして、店主がお茶を運んできた。私が注文したのは、『時価』のカモミール・ティー。

黄金色のお茶は、暖かく、心をほっと落ちつかせる。

窓の外は、相変わらず静かに雪が舞い続けている。

ハーブティーの暖かさに包まれて、ランプの薄く灯るこの小さな店に今しばらくとどまりたい気持ちがわき上がる。



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