……私は、ぼんやりとしたカウンターの奥に向かう店主の背をしばし見つめていた。(奥には、いったい何があるんだろう……?)
不意に店主は振り返り、あたかも私の心を見透かしたかの様にこう言った。
「ご一緒に、ご覧になりますか?どうぞ、あなたのお気に入りの茶葉をお選びになってください……。」
……ためらいつつも、私は店主の後について、奇妙に空気の揺らめく貯蔵庫へと入っていった。左右の壁に何列も掛けられた木製の棚、そこに並ぶ色とりどりの紅茶缶、草花の瓶、香辛料たち。
それらは時の移ろいとともにゆっくりと明滅し、色彩を変えてそこに在った。
呆然とその光景に見入っていた私の足元を、不意に小さな人影が走り抜けた。
「この店の茶葉の仕入れは、幻影の狭間を渡る小人にまかせてあるのです。」
店主は棚の一つから小さなノートを手に取って言った。
「……もっとも、人見知りが激しいので滅多に姿を現さず、この納品帳に書いて消えてしまうのですがね。」
いわば、素人のお茶奮戦記といったところです。
素人なりのお茶の楽しみ方を笑うもよし、万一何かのお役に立てれば、なおよし。
とりあえず、自分が楽しんで書けて、かつ読んでも楽しんで頂けたらいいな、と思っております。
ここでは、最近の私のお茶についての生活・楽しみについてつれづれなるままに書いていきます。
海の日の3連休も終わって、すっかり夏本番、ですね。
本当はこんな季節こそアイスティが美味しいのですけど、これまで私はアイスティはあんまり淹れない方でした。
……それは、不器用なので、淹れるのに気合がいるから(笑)
普通に淹れた紅茶を、氷をたくさん入れたグラスに注ぎ込む方法だと、一気にやらないと、どうしてもたまにクリームダウン(白濁)してしまいます。
だから、「よしっ、アイスティ淹れるぞっ」と気合が必要なのです……。
なので、やる気のあまりない普段は、自室にクーラーを効かせて、ホットのお茶を飲んでいたのです。(これはこれで美味しかったりしますが。)
だけど、今年の夏はアイス向けの茶葉を買いこんで、アイスティ飲む気まんまんだったりします。
それは、ここの掲示板で教えて頂いた、水出しアイスティにはまったから。
と、いうことで、今回の納品帳は、水出しアイスティいろいろです。
まず、作り方ですけど、量や時間が自己流なのであまり信用できないかもしれません。
普通は割りと多めの茶葉、水で作るのですけど、私は色々な茶葉でちょこちょこ飲みたい方なので少なめに作ってます。
ホットと同じ、1ポット分、だいだい2、3人分の茶葉と水で。
水は、今はお中元に頂いた、「あずみ野の水」という軟水のミネラルウォーターで淹れてます。
カルピスもこの水で作ってて、重宝してひとりで使いこんでたり……(笑)
あとは、ポットに茶葉と水を入れて、待つだけ。 時間は、紅茶だと大体7、8時間くらい、緑茶ベースだと早くて、1時間くらい。
半発酵茶(烏龍とか)は、まだ見極めついてないのだけど、4、5時間くらい、かな?
透明なポットで淹れるのが、見た目にも涼しげで楽しめて、おすすめです。
できたら、お茶を移し変えて冷蔵庫で冷やしてできあがり。
水出しアイスティの良いところの一つは、お茶の香りがあまり飛ばないで、しっかり出ること。
気分の問題なのかもしれませんが、何だか一気に冷やすアイスティよりも、時間をゆっくりかけている分、しっかりと香りが出ている気がするのです。
そろそろできたかな、とポットを覗いてみると、ふんわりとお茶の香りが漂って、何だか嬉しくなります。
そして、何よりも、待つ楽しみ。
昔、家でよく梅や苺とかの果実を漬けて、果実酒やシロップとかを作ったことがなかったでしょうか?
子供の頃、ガラス壜の中で、少しずつ時間をかけて美味しくなっていくのが楽しみで、ついつい覗いてしまったものでした。
あれと同じ、待つ楽しみが、水出しアイスティにはあるような気がします。
たまに、待ちすぎて少し渋くなってしまっても、それはご愛嬌。
何だか、待った時間の分、よけいに美味しく感じてしまう気がするのです。
さて、最後に、納品帳なので買いこんだり頂いた茶葉をいくつか。
アイスティには、やっぱりやや香りの強いフレーバー、特に甘い香りやすっきりとした香りのが合うみたいです。個人的には……。
まずは、インターネット通販の紅茶屋さん『紅茶の樹』の、オレンジバレー農園のダージリン。
アイスティ向けのセカンドなのですが、「甘さ」が5段階評価で星6つ……。
なんじゃそりゃあ、と通販しようと思ったらちょうど売り切れ……
……だった所を、keaboさんにおすそ分けして頂いてしまったのです(ありがとうございました(^^))
実際に淹れてみたら、香りが本当に甘い! フレーバーじゃないのに、こんな香りが出るものなのかとびっくり……。
何と言うか、ダージリンなのに、ほのかなストロベリーみたいな風味があるのです。
なるほど、アイスティ向けというのも頷けます……美味しかった。
続いて、吉祥寺の茶葉屋さん、『ル・パルデテ』の、グー ルース セット アグリュム。
7種類の柑橘類で香りつけをした、ロシアのフレーバーティです。
茶葉に柑橘系の皮も入ってて、水出しすると、すっきりと甘い夏にぴったりの爽やかなアイスティになるのです。
暑さでバテ気味の、休みの日の朝とかに飲むと美味しくて、元気が出てきます。
そう言えば、掲示板でちょっと書いた、アールグレイの煎茶も、ここのお店の茶葉。
煎茶なのに香りはしっかりとしたアールグレイで、ほっとする味。
水出しでも1時間くらいで出来上がるので、手軽に作れます。
最後に、『緑碧茶園』の白桃烏龍茶。
青山のお店に行った時に、あまりの茶葉の種類の多さに選びきれないなかで、お店で試飲させてくれたこのお茶を買ったのですが、
香りが、まさに熟した白桃の甘い香り。水出しだと、それが余す所なく出るのです。
飲み口は香りのわりにさっぱりしてるので、暑い外から疲れて帰ってきた時に、すごく美味しいアイスティ、です。
このとんでもない暑さ、何とかアイスティを武器にしのげたらと思うこの頃です……(無理?)
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