介護日誌
2004. 6. 21
介護(04春・在宅終了)


6月26日で春の在宅介護が終わる。「やれやれ、やっと終わったか!」という気持ちである。この春の在宅介護で、私の気持ちは「切れて」しまった。


私は切れてしまった!
帽子をかぶって眠り (04.6.16 am10)
新聞の人生相談で介護関連の回答にこんな書き出しで始まるのがあった。『これからの時代は、いかに孤独な生活に耐えられるかそれぞれが問われると思います。人に頼らず生きていくすべを、身につけなくてはならないし、それなりの覚悟も必要です。』私も常々そのように思って暮らしている。
この春、なぜ私が切れてしまったか。日々の介護で、感謝の気持ちが現れてこない。この年代の人は現代の生き方を理解できないのかも知れない。とくに母がそうなのかも知れないが。したがって面倒見てもらうことを当然と考えているようだ。

ときどきヘルパーさんとの話し声が聞こえてくる。
「おんなだったら優しくしてくれるのに」
「嫁が生きていたら布団を干してくれるのに」
「男の作るものだから(おいしくない)」
「女だったら下着を買ってきてくれる」

このような話を耳にするとなんとジコチューなんだろうと思う。
もともとのキャラクタに痴呆が拍車をかけ、そう言わせているのだろうか。
毎日このような環境にいると 私の心の中には、病気だから仕方がないという気持ちが消え、「そのときが来ても、涙は出ないだろう」、「いつまで・・・いるんだ!」と思い。日増しに憎悪の念が蓄積していった。


介護はバトルだ!
母の在宅介護が長くなれば、私自身も気持ちをコントロールするのが難しくなる。これは私自身の感情の老化による「制御不能」なのかも知れない。
現在の状況を私は、「寝たきり予備軍」と称している。本当に寝たきりになれば、トイレもいけないだろうし、入浴だって介助者が一人ではできないだろう。
いきなりそのような状態になるのではないだろう。しかしどのようになるのか想像できない。
4月ごろ、腰痛を訴えてトイレへの移動がたいへんそうだった。つぎの状態として考えられるのは部屋で用足しをするようになるのかもしれない。、ポータブル・トイレを検討したことがあった。以前、トイレまでの廊下が濡れていたこともあった。考えても仕方ないことだが、対処するにはいつでも、気持ちから対応できるように準備しておかなければならない。

現在のように寝てばかりいても、食事はそれなりに食べている。食べ力というやつであろうか。まだ4〜5年はと思ったりする。もしかしたら8年もって百歳にでも届くのか。冗談は止めてほしい。私の方が先におさらばするかも。私の寿命まで食い尽くすのかよ。 ほんとにバケモノだよ。これから何年続くかわからない介護戦争、バケモノとのバトルを覚悟しなければならない。


デイ・サービス
月曜日は、デイ・サービスがプランされている。4月はなかったので、5月、6月で6回の予定中、この日を含め4回参加した。
参加させるためにもそれなりの努力がいる。前日から予告しておくが当日朝になっていつものように眠っていると多分、行ってもらえない。お迎えが来るまでに起床させていなければならない。
ある日は、迎えの人がベッドの側まできて説得してくれた。
「本河さん、行こうよ、気分が変わるよ」。10分くらいかけて連れて行ってもらった。
2回の欠席は、朝食後再び眠ってしまい、起きるように促すと行きたくないと言って布団をかぶってしまった。 やむを得ず断りの電話を入れる。「やれやれ今日は、解放してくれないのか、昼飯も作らねば・・・・」


ショート・ステイの準備(撮影:03.12.9)
ショート・ステイ

4月は体調を考えて、5月は様子を見て、ショート・ステイはプランに入れなかった。その結果 このように私は「切れた」状態が続いてしまった。
6月は、3日から9日までの1週間ほど組み込んでもらった。
今回のショート・ステイのあと、思わぬ発見をした。連絡票によると「日中は他の利用者と話しをしたり、廊下を散歩していた」と記されていた。
日中どのように過ごしているのか気懸かりであったので尋ねると「寝ていることはなかった」とのこと。
迎に行った帰りの車の中で本人に腰痛を尋ねると痛くないという。その言葉を信ずれば、動き回ったことにより腰痛は発症しなかったのである。
足腰が鍛えられたからなのか、翌朝、起床してキッチンに行くと自分の茶碗をもって立っていた。
朝、自分から起床するなどなかったことだ。
連絡票には「尿失禁2回」と記されていた。


生活力ゼロ!(問題行動)
記録のため、いくつかの問題行動を記しておこう。
  • ショート・ステイから帰宅した翌朝、茶碗をもってたっている姿を見てゾーッとした。お腹が空けば即、行動する。時間を見てもう少し待つという コントロールが出来ないようだ。

  • 冬の施設介護のときの連絡票に「トイレット・ペーパ収集」と記されていたが、この春在宅でもペーパーのなくなるのが二日で1本と速い。細かいことだが、なにをやっているか知っておかねばならないと思う。失禁対策らしい。

  • ある時、トイレットペーパの幅半分になったまま使っていた。そのような状態になったとき、何が起きたのか理解できないらしい。

  • ベッドの側にすべり防止のためのマットを敷いていたが、本人は釘の長さ程度のピンで止めていた。あるときマットを取り除き、ベッドの枕元においていた。ピンの付いたままである。これには驚いた、場合によってはピンが首を直撃するかもしれない。
    危険であることを理解できないようだ。
    ADL:食事、トイレ、更衣、入浴、屋外歩行の五つのうち半分が不全といえる。


    入所申請
    この春、介護老人施設への入所待機中の我が家にも「介護状況報告書」などの提出が求められた。
    簡単に言えば従来、入所が順番制だったものが、緊急度制に改定されたためだ。
    私も2年前くらいに3ヶ所の施設に申し込んでいる。寝たきりになったら、私ひとりでは対処できないからである。
    今回の報告書にはある基準で点数を算出して高点数のものから入所させるという。
    それは
  • 本人の状況(介護度に応じて):5点〜25点
  • 待機期間(暫定措置):5点、10点
  • 介護の困難性(介護者の状況):5点〜25点
  • 居宅サービスの利用状況:10点〜20点
  • 介護状況(施設入所中):0点〜20点
  • 問題行動の程度:3点、5点

    いつも施設介護をお願いしているところの介護支援相談員の方に「被保険者の状況」、「留意点」、「所見」などを記入してもらい提出した。
    この項目は、家族が記入しても良いが「客観的に見た状況」を、たとえば「ADL低下、痴呆の進行により在宅介護が困難に・・・云々」など記入してもらい非常に良かったと感謝している。
    ところが介護者の状況という項目では私の場合、該当する項目がなく0点である。後日申し込んだある施設から「記入されていないが・・・」と問い合わせがあった。施設では「申し込む必要がない」との判断をしたのかもしれない。


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