しむ


2002.11. 4
たび (伊豆)

とき :2002年夏
ところ:伊東、修善寺

母の介護のあいまをぬって、息抜きのひとり旅である。私は馴れてないせいか几帳面(?)なせいか、行き当たりばったりは好まない。 伊東と修善寺の簡保の宿を予約した。
今回は台風6号の来襲に見舞われ、計画通りにはいかなかった。予定では1日めは伊東泊、翌日天城越えから下田、西伊豆を北上し土肥または戸田経由修善寺、 3日め三島を通って御殿場、山中湖、道志経由で帰宅4時頃母を迎えに。 であった。
相変わらずひとりで車に乗っているのも、張り合いがない。ルートは厚木から小田原厚木道路、真鶴道路、熱海ビーチライン。台風が来るなんて信じられない好天気である。 好きな「ジャズ」を聴きながら・・・。

(1)伊東
宿に着く前に大室山と門脇灯台に寄ってみようと思っていた。伊東の市街をすぎて一碧湖の側に一碧湖美術館というのがあった。「ジャン・ピエール・カシニュール常設館」とあった。1935年フランス生まれの画家で
大室山山頂の五智如来地蔵尊
城ヶ崎海岸

ファッショナブルな細身の女性を多く描いているとパンフに記されている。タペストリーという「織糸」の作品も数点あった。
同美術館から大室山を目指していると、池田20世紀美術館がある。 同美術館は1975年に開館というから25年以上経ているわけだ。池田さんという企業人のコレクションらしい。 シャガール、ミロ、ピカソなどの作品のウォホールの「マリリン・モンロー」も目立った。
田崎昭作という人(1929年生まれ)の作品があった。 この人は、田崎広助の甥にあたるそうだ。どちらも私が幼少のころ、疎開していた福岡県八女郡の出身だそうで、何となく親近感を覚えた。田崎広助氏は軽井沢に田崎美術館に多くの作品が常設されている。私も一度訪れたことがある。

大室山の山頂までリフトに乗った。パンフによれば、海抜581m、5000年前に噴火したそうだ。頂上は窪んでおり、噴火口が陥没したのであろうか。周囲1km、舗装されていて10分の散歩道である。 山麓にはシャボテン公園がある。約40年前、会社の旅行で来たことを思いだした。
海岸まで30分もかからずに着いた。ピクニカルコースと銘打って海岸の樹木の間に散歩道がある。海岸の岩場には太平洋の荒波がうち寄せている。 吊り橋もあり、TVのサスペンスドラマに出てきそうな風景である。 波の動きを見ているとなぜか飽きないものである。ここから10数分の所に宿がある。早めにチェックインし温泉につかる。広々とした湯船は日頃のストレスから解放させてくれる。この宿にはかなり年輩の人、単身のひとなどがいて肩身の狭い思いをせずに済みそうだ。

夕刻から雨が降り始め、TVの天気情報では台風が接近していることを報じている。明日はスケジュール通り行けるのだろうか。
家からの通算距離:135km。

(2)修善寺
朝目覚めると、木々が揺れているので強い雨風であることが窓越しにわかる。
修禅寺
浄蓮の滝
天気予報によれば、台風の接近はこれからだという。風雨の中の下田、西伊豆周りは自信がないので止めることにした。
早めに次の宿に入ることにし、朝食を早々に済ませると出発した。フロントガラスに打ち付ける雨がすざましく、ワイパーを最強にしても前方が見ずらい。
ナビを頼りに伊豆スカイラインに向かった。途中信号機の標識を見誤り道を間違えた。このようなとき、ナビは新たなルートを探してくれるが、戻れとはいってくれない。戻った方が早い場合もある。Uターンしスピードは抑えて、 鹿路庭峠という所から県道を北上し、冷川、中伊豆を経由して11時頃修善寺に到着。

台風も未だ通過していなかったが、雨は小降りであった。修禅寺を見学、宝蔵物展、本堂で開催されていた仏画展を見る。訪れる人もわずか。本堂の段々に腰をおろし境内、周りの山々を眺めていると 受付の人がやってきて、サーラの樹の由来を説明してくれた。こういう所で時間を過ごすと心が癒される。
早めに宿に着く。小雨の中、露天風呂に入っている人がいた。私も入ってみる。
家からの通算距離:172km。

(3)天城越え
翌朝は、台風一過いい天気で、富士山がよく見える。スケッチブックを持って朝食前の散歩。 天城越えが出来なかったのは残念である。その雰囲気でも味わおうと下田街道を南下する。 途中浄蓮の滝に寄った。前夜からの雨のせいか水量が多くすざましい音をと水しぶきである。
天城トンネルの旧道に入る道があったが、あまりの狭さに進行をためらった。 午後4時頃までに帰宅しなければならない。峠のトンネルをくぐりしばらく下った所でUターンとする。「浄蓮の滝」「天城越え」の雰囲気を味わったので良しとしよう。

(4)帰路
帰路は亀石峠から伊豆スカイラインに入り、熱海峠、湯河原峠、ターンパイクで小田原に出ることにする。 亀石峠ICをナビにセットした。距離優先だったので下田街道も途中から旧道に入り伊豆箱根鉄道の修善寺駅の所に来た。
10年ぐらい前の正月家族で、ラフォーレ修善寺に来たことがあった。そのころわたしは仙台に単身赴任していた。娘二人も未だ中高生だった、家内も生きていた。 1,2年では時の流れは感じないこともあるが、10年も経つと時の流れをイヤというほど思い知らさせられた。
亀石峠まで1.5車線しかない所もあり行き止まりではないかと心細くなった。ナビの案内では間違いないが、しかし工事の人に確認しながら間違いなくたどり着いた。
伊豆スカイラインは山岳道路のせいかカーブが多く年寄りには荷が重い。すぐ後ろに付かれてしまう。パーキングでやり過ごそうと寄ってみるとその車もパークした。降りてきたドライバーは若い女性であった。
途中2回ぐらいパークし、富士、芦ノ湖の遠景を眺めながら、次回はどこにしようかなどと思う。
箱根ターンパイクに入ったが、10数キロ下りの連続、シフトダウンしエンジンブレーキをかけながら下る。エンジンブレーキ使用の注意標識が至る所にあったが、ジャンプ台のような非常時の車止めが目に付いた。 小田原から往時と同じルートで帰着。
通算距離:336km。
これで今回の旅も終りである。 ショートステイ中の母を迎えに行く。

たび