インタビューが苦手だったアガワが１，０００人近くの人と出会い、３０回以上のお見合いで掴んだコミュニケーション術を披露したのが本書の内容である。聞く力とは聞き出す力のことだが、それはしゃべる力と知的好奇心との両方が必要であろう。 しゃべる力の無い人はむしろ相手から聞き出されしゃべらされてしまう。おとなしくて無口な人は案外しゃべらされてしまうもので、口は堅くないのである。しゃべる力はあっても知的好奇心の無い人は、自分のことばかりしゃべり聞き出すことができない。これが私の意見である。 ただしアガワさんに関しては、そういう問題よりもインタビューに応じる人達とマインドが合うかという要素が大きいと思う。インタビューに応じる人達（週刊文春の対談において）は芸能人等の有名人、つまり目立ちたがり屋である。目立ちたがり屋同士の対談なのである一定の盛り上がりはあって当然なのである。 アガワさんが全く異質の人達とのコミュニケーションをとる能力を持っているとは私には思えない。 そもそも自分のことを積極的に話したがらない人（話すべき内容を持っていないとも言えるが）もこの社会に多く存在するし、話すにしても何回か会って親しくならないとダメな人も多い。 要するに本書から一番学んだことは、コミュニケーションにはまずマインドが合うか合わないかが重要で聞く力などというのは二の次だということである。