渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

 

中川尚の飛耳長目(税理士読書日記)TEL 東京・渋谷 03-3462-6595

 

  ルディー和子「男子系企業の失敗」(日経プレミアシリーズ)
2024116日(火)

 

 

<その8>
◆日本では経営戦略は組織論が中心となり、市場分析に基づく競争理論は育たなかった。戦後のカリスマ経営者の多くが従業員 ( 人間 ) の力を活かした組織の強さを強調して成功したせいだろうか。

◆日米ともに、 「 誠実性 」 が高いほど収入が高く、 「 外向性 」 が高い人の方が出世しやすい。
日米で異なる点は、日本では 「 協調性 」 が高いほど収入が高い傾向にあるが、米国では逆である。


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  ルディー和子「男子系企業の失敗」(日経プレミアシリーズ)
2024115日(月)

 

 

<その7>
◆経営者は規模を大きくすること ( なにかを付加すること ) はできても、規模を小さくること ( 何かを削減すること ) ができない人が多い。減らすことは、人間の本能に反する行為だからだ。だがそれだけではない。減らすことをむずかしくさせたのは、終身雇用のせいでもある。

◆各事業部の売上が×%上がり、コストが×%下がり、結果、利益が×%上がったという記述はあっても、長期ビジョンを達成するために、既存事業の縮小や廃止が必要だと書いている中期経営計画書はあまり見られない。変化の時代だというのに、長期ビジョンを達成するために、大きな方向転換や改革をしなければいけないといった記述もない。


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  ルディー和子「男子系企業の失敗」(日経プレミアシリーズ)
2024112日(金)

 

 

<その6>
◆たしかに、日本人は値上げについても、品質についても、消費者の立場からの意見を主張することが多い。日本人は、物価が高くなることには、敏感で反対の声を上げるが、賃金が上がらないことには、それほど抗議の声を上げない。

◆多くの企業人が人口構造の変化をチャンスとするどころか、事実としてさえ受け入れない。


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  ルディー和子「男子系企業の失敗」(日経プレミアシリーズ)
2024111日(木)

 

 

<その5>
◆彼らが日本の家庭を観察して一番驚くのは、日本では世界では珍しく妻が家計を管理する世帯が多いことだ。

◆スウェーデンの夫は、家の経済的な権限を女性に渡すことはしませんでした。主婦は無報酬で家事、育児をする女性にすぎず、社会的な地位もなく、男女間の不平等への不満が女性の間に高まったのです。その結果として外で働く女性が増えた。


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  ルディー和子「男子系企業の失敗」(日経プレミアシリーズ)
2024110日(水)

 

 

<その4>
◆つまり終身雇用制や年功序列制に60年代からの新卒採用が加わることによって、組織の同質化が進み、より強固になった。その結果、組織の劣化が際立つようになったのではないだろうか?

◆目的を達成するには、同質性の高い集団のほうが、低い集団より効率的だという話は、米国でもいくつかの調査研究で支持されている。ただし、目的が具体的で明確な場合という条件がつく。


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  ルディー和子「男子系企業の失敗」(日経プレミアシリーズ)
202419日(火)

 

 

<その3>
◆社会心理学での分析によれば、同質性が高い集団のメンバーは、自分が属している集団のメンバー間には、多様性があると考えているが、自分が属していない外の集団に対しては、メンバー同士が互いに似ており同質性が高いと考える傾向にある。

◆ある事業再生専門家は、自著で日本企業の組織の劣化は、80年代前半から見られるようになった旨を書いている。
80年代と言えば、60年代に新卒一括採用育成が定着してから20年。そのころ新入社員として入ってきた大量の社員が40代で中間管理職になったころだ。


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  ルディー和子「男子系企業の失敗」(日経プレミアシリーズ)
202415日(金)

 

 

<その2>
◆経営者はITの技術的なことなどよく知らなくてもよしだが、自社の業務プロセスが他社との競争において、重要な要素かどうかを判断する能力は持ち合わせていなくてはいけない。

◆ 「 男らしさ 」 の特徴である競争心、攻撃性、自己主張などと、損失回避性バイアスとは、一見そぐわない感じがする。が逆に、そういった特徴の背後にある業績、出世、名誉、評判への達成欲求があるからこそ損失を恐れるというのはある意味、人間心理の真理をついている。


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  ルディー和子「男子系企業の失敗」(日経プレミアシリーズ)
202414日(木)

 

 

本の帯には、変化に対応できない日本企業の特徴を最新の研究を交えて解説する。と書かれている。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介することとしたい。

<その1>
◆行動経済学や社会心理学の最近の研究を調べているなかで、日本人の現状維持バイアスの強さが日本の 「 男社会 」 と深い関係にあることがわかった。そして、 「 同質性の高い集団 」 と 「 真面目さ 」 や 「 無能な経営者 」 との関係も明らかになってきた。


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  亀山純一 「 繁盛する小飲食店のつくり方 」 (さくら舎)
20231018日(水)

 

 

<その6>
◆写真付きのメニューにするだけで嘘みたいに注文数が一気に上がります。そのひと手間をしているお店と、していないお店では、注文数がかなり変わってきます。

◆多くのお客様に求められているのは、独自性よりも使いやすさを重視したお店です。どんなシチュエーションにも対応できるお店は、お客様に何度も使ってもらえる可能性が高い。

◆それが意識を高く持つことだと思います。
同じ景色を眺める時も細部をじっくり見ていけば、手を入れる情報量が変わります。


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  亀山純一 「 繁盛する小飲食店のつくり方 」 (さくら舎)
20231017日(火)

 

 

<その5>
◆飲食店を長く続けていく秘訣。
それは近所のお客様に通ってもらえるお店を作ることです。常連の多いお店は、必ずといっていいほど地域のお客様に支えられています。

◆ご新規さんの1割がリピーターになれば、飲食店は存続します。現在の僕のお店の来店比率は、リピーター8割、新規のお客様2割のバランスです。

◆飲食店を経営していると、一人のお客様をどうしても不特定多数の1人と考えてしまいます。


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  亀山純一 「 繁盛する小飲食店のつくり方 」 (さくら舎)
20231016日(月)

 

 

<その4>
◆もしこれから、飲食店を開業していく、またはお店を繁盛させたいと思うなら弱者のビジネスを意識して、圧倒的に強い商品を開発していくことをお勧めします。

◆一方、知名度、実力があるのなら、そのクオリティに磨きをかけていってください。そして強力なライバルが現れてきたら、そのライバルの商品をパクって改良していけばいいんです。

◆良い商品よりも良い営業のほうが何倍も重要なんです。お客様は良い商品だけでは、商品を購入しません。どうやったら売れるかを1000回考える。その思考の先により良い販売方法があるはずです。


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  亀山純一 「 繁盛する小飲食店のつくり方 」 (さくら舎)
20231013日(金)

 

 

<その3>
◆個人飲食店を作る上で、大事なことをお伝えします。それはチェーン店より高い価格で商品を販売することです。基本的に良質のものを安く提供してはいけません。

◆価値があると思うから試そうとなる。これが真理だと思います。では僕たちのお店がどういう方向に舵取りをしていったかというと、一つの食材にスポットライトを当ててこの食材の専門店的な創作居酒屋にしました。


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  亀山純一 「 繁盛する小飲食店のつくり方 」 (さくら舎)
20231012日(木)

 

 

<その2>
◆要するに、思い描いた理想の未来を実現するために必要なことは、料理の腕だけではないと断言できます。

◆良質の商品を出して、満足度が高いお店を作ったとしても、誰も知らないお店にお客様は来店しません。こういったお店は、集客をしっかりとすることでお客様は来店してくれます。
ただし、一度の来店はあったとしても、次に来店してくれるかどうかは、わかりません。


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  亀山純一 「 繁盛する小飲食店のつくり方 」 (さくら舎)
20231011日(水)

 

 

飲食店経営(特に個人店)に関する本はけっこう出ているが、本書はかなりの力作である。
以下、参考となるくだりを要約して、御紹介してみたい。

<その1>
どんな飲食店が成功するかは、はっきりとは分からないんですが、続かないお店には明確な理由があります。その理由の一つは、飲食店経営者が 「 経営 」 を学んでいないということです。


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  藤原智浩「ゼロから始める!法人営業」(産業能率大学出版部)
2023719日(水)

 

 

<その2>
◆ここでの最大の問題は、紹介や人脈などの自分ではコントロールできないものに頼ってしまったことです。

◆やることはたった3つです。@新規の見込み客リストを集める。A見込み客に商品を買ってもらう。B既存客にリピートしてもらう。これだけです。

◆法人ビジネスで新規客を獲得したければ、必要性と検索需要が高い商品を扱うことが適切です。

◆年収300万円の営業マンと1,000万円の営業マンがいるとします。両者の決定的な違いはどこにあるでしょうか。それは 「 見込み客 」 を見極める能力です。


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  藤原智浩「ゼロから始める!法人営業」(産業能率大学出版部)
2023718日(火)

 

 

営業においては、今も昔も集客つまり新規開拓が最大のテーマになっている。ほんとうは固定客化(リピーター化)が最大のテーマにもかかわらず。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介したい。

<その1>
◆そこでいつも答えることは、 「 法人開拓の勝ちパターンを持っていないことが問題です。勝ちパターン、つまり集客と営業の仕組みを作らないといけません 」 ということです。


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  小澤隆博「なにがあっても潰れない店舗経営の最強スキル2.0」(ごま書房新社)
2023410日(月)

 

 

<その8>
◆通常の飲食店は、原価率30%前後ですが、カンバン商品は、最低でも50%以上の原価率にして、魅力を高めてお客様を誘導します。

◆全国の事業所は、この40年間で700万事業所から350万事業所に半減しています。しかもコロナ禍のここ数年で、私たちを取り巻く環境は劇的なスピードで変化しています。街を歩けばシャッター商店街や空きテナントが目立ち、街が一変しました。人口減少にコロナ不況も重なって、まさしくジェットコースター並みに急降下しています。


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  小澤隆博「なにがあっても潰れない店舗経営の最強スキル2.0」(ごま書房新社)
202347日(金)

 

 

<その7>
◆公務員の給与は、前払い制で国家公務員は16日から18日支給と決まっています。地方公務員は21日に集中しています。民間企業は25日に集中しています。あなたのお客様の属性は、いつが給料日なのかを理解して、必ずしも月末期限にとらわれないようにしてください。

◆弱者が勝者に勝つためには、特定のエリアの局地戦で 「 スタッフ数や広告費を増やす 」 か 「 商品がブランド力を向上させる 」 かのいずれかの戦略があります。


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  小澤隆博「なにがあっても潰れない店舗経営の最強スキル2.0」(ごま書房新社)
202346日(木)

 

 

<その6>
◆商品よりも接客を重視する人は、95%を占めています。 「 料理がおいしければいい 」 とだけ思っている人は、世の中の5%しかいません。商品中心の時代からホスピタリティ(おもてなし)の時代へと変化しているのです。

◆私が外資系企業に勤めたとき最初に勉強したことは、アメリカの真実を知るということからでした。WASP(ワスプ)と言われる白人、アングロサクソン、プロテスタントの人たちによって国が成り立っていること。プロテスタントとカトリックの違いなど、真の部分を知らなければ、アメリカ企業と商売ができないからでした。


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  小澤隆博「なにがあっても潰れない店舗経営の最強スキル2.0」(ごま書房新社)
202345日(水)

 

 

<その5>
◆小売業にとっては、万引きは年間にして数百万円の被害にもなりますので、実際に万引きで倒産するお店は後をたちません。
このような理由からアメリカのカリフォルニア州をはじめとする複数の州では、一度は禁止したレジ袋を復活させています。

◆とにかく、お店の照明を増やしてください。ウソと思うかもしれませんが増やせば増やすほど、お客様は入りやすくなり、集客効果が上がります。


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  小澤隆博「なにがあっても潰れない店舗経営の最強スキル2.0」(ごま書房新社)
202344日(火)

 

 

<その4>
◆基本的に 「 ついで買い 」 というような非計画購買は、買い物全体の、じつに9割を占めています。計画的に買い物することは、1割しかないのです。
レジ袋の有料化は、小売業にとって生命線である。9割を占める非計画購買の意欲がなくなってしまう売上減少の大きな要因となるのです。

◆もともとは、レジ袋は万引き防止のため、買った商品が区別されやすいように導入したものです。なので、マイバックに入れて持ち帰る万引きやカゴごと持ち帰る 「 カゴパック 」 や、なかには商品を堂々と隠さずに帰ってしまう事件が有料化導入1年間で4倍以上多発する異常事態となっています。


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  小澤隆博「なにがあっても潰れない店舗経営の最強スキル2.0」(ごま書房新社)
202343日(月)

 

 

<その3>
◆常連客だけの裏メニューやお得意様だけの営業日などをつくって、特別感を出します。また新商品、新サービスを開発したらまずは優先的に常連客にお伝えしてください。

◆店舗ビジネスとは、 「 リピーター獲得ビジネス 」 です。お店の商圏には、限られた人々しかいませんので新規客だけでは、いつかゼロになってしまいます。


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  小澤隆博「なにがあっても潰れない店舗経営の最強スキル2.0」(ごま書房新社)
2023331日(金)

 

 

<その2>
◆日本の飲食店は、出店のために必要な許可が簡単で、調理師免許などの資格も必要ないからです。世界一簡単に出店できる国とも言われているのです。

◆一般的な店舗の平均で、1年間でじつに80%もの顧客が他店に流出しています。その分を新規客で補おうとして、獲得コストがかさみ、たくさんの店舗が苦労しているというのが現状です。

◆百貨店には外商部門があります。売上の6割を外商顧客が売上げていると言われています。一般客が入れない、ラグジュアリーなサロン空間で買い物ができるようになっています。


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  小澤隆博「なにがあっても潰れない店舗経営の最強スキル2.0」(ごま書房新社)
2023330日(木)

 

 

本のタイトルの 「 2.0 」 とは 「 1.0 」 と違い、お客様が自ら 「 あなたのお店の商品を売ってください 」 と頭を下げて言ってくるというメソッドのことだそうである。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆19世紀、企業の寿命平均は70年でしたが、現在は7年以下になり、さらにコロナによって益々企業の寿命が縮小されています。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022624日(金)

 

 

<その18>
◆経営者のための10か条
@ベンチャー経営者の資質を鍛えよう
イ 大胆にして繊細であれ ロ 将来に夢を持てる人間であることだ ハ 自分にできないことは他人を信頼して任せる度量が必要である ニ 仕事が大好きだということ ホ 精神年令が若いこと ヘ 人たらしであること ト 自己の健康管理を厳重に行うべきこと
A何でもするという覚悟を
Bスペシャルマーケットを狙え
つまり、付加価値が高く、ほかにはない商品やサービスを提供することだ
C技術だけで会社は伸びない
D基本方針は常に反すう確認する
E創業後5年間の財務戦略は安全第一
F社員に数値感覚を植え付ける
G能力の高い優秀な人材を採用するとともに、彼らに対し会社の将来性について全精力を注いで説明し、チームワークで企業を発展させることの大切さを力説していく必要がある
Hコスト意識を社内に徹底させる
I経営者としての倫理を守る


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022623日(木)

 

 

<その17>
◆もっとも無理に日本化を進める必要はないだろう。私の経験では買収した欧米の会社で日本人がトップを務めるのは難しいのではないかと思う。日本からお目付け役のような人を送るにしても、事業の主体は現地の人に任せるべきだ。

◆激変の時代にとって重要なのは、より収益を高めることである。日本電産はこれまで営業利益率で10%を必達基準にしてきた。各事業部門にその利益率の達成を求め、それ以下は「赤字」と考えてきた。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022622日(水)

 

 

<その16>
◆私の経験では中小の企業が海外で一から始めるのは、極めて成功率が低いのではないかと思う。人を採用するところから始めなければならないし、土地や建物も現地を回って押える必要がある。慣れない土地で煩雑な作業に追われると、貴重な時間を浪費しかねない。チャンスがあるなら、まず既存の企業をM&Aで傘下に収めることを考えるべきだろう。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022621日(火)

 

 

<その15>
◆まず手掛けるのが 「事務所や工場の整理整頓」 と 「出勤率のアップ」 である。これを徹底することで効果はすぐ出てくる。そして経費を減らしたり、購買力を強化したり営業担当者の訪問回数を増やしたりして、基本的な改革を進めてい。その中で赤字企業もみるみる回復していく。く

◆ほかにも一流会社の子会社をたくさん買っている。みんなそれぞれにプライドを持っているのだから、すぐに名前を消す、合併するというようなことをしてはいけない。資本の論理という刀は相手の前で決して抜いてはいけないのである。無理にやれば社員の士気が落ち、かえって再建が遅れるだろう。10年ぐらいの時間をかけ、日本電産流の経営スタイルを浸透させていくのである。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022620日(月)

 

 

<その14>
◆M&Aの相手先を分析するときは、バランスシートをじっくり読み込む。P/L(損益計算書)は悪くても立て直せるがバランスシートの修正には時間がかかるからである。どこを直せば会社がよくなるのか、健全な財務状況になるには、どのくらいの時間がかかるのか、はっきり分からないうちは買えない。

◆私が国内のM&Aで主に対象としたのは、優れた技術を持ちながら経営不振に陥っている企業だ。技術そのものが低いレベルであれば簡単にはいかないが、技術がありながらマネージメントに問題があるため経営がおかしくなっているのであれば、改革を進めていくことで立ち直らせることができる。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022617日(金)

 

 

<その13>
◆ではベンチャー企業はどのタイミングでM&Aの戦略に動けばよいのか。やはり自分が作った会社が一定のレベルにまで成長し、収益性が軌道に乗ってからやるのが無難だろう。一つの目安でいえば、例えば営業利益率が10%前後に達し、安定して利益を出せるようになってから動くのが望ましい。

◆M&Aで最も重要な条件は、やはり価格である。重視するのは税引前利益に支払利息や減価償却などを加えた金額(EBITDA)である。
買収額がEBITIDAの10倍を超えるものには手を出さないと決めている。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022616日(木)

 

 

<その12>
◆ベンチャーキャピタルの資金を導入する場合、時期というのが非常に大切である。例えば「一株当たり利益」が大きくなり、純資産を大きく上回る価格で株式を買ってもらえるようになったときに初めて、ベンチャーキャピタルを考えるべきである。創業してしばらくの間は、とても苦しいかもしれないが、借入でやっていくのが賢明であろう。

◆M&Aほどリスクが高い投資はない、ということである。一つ間違えれば自社にも大きな影響が出る。私がこれまで67社の買収を成功させたといっても、どの案件も簡単なものではなかった。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022615日(水)

 

 

<その11>
◆私の場合、2000万円の資金を用意したことで、最初の6ヶ月間ぐらいはなんとかやっていけた。原材料費などもこの資金で支払った。4か月目ぐらいから徐々に売り上げが立ち始め、事業としての形が整ってきた。

◆50年近く企業の経営に携わってきてあらためて思うのは、どんな人と出会うかが事業の行く末を大きく左右するということである。取引する金融機関を選ぶ際にも規模や知名度に惑わされず、どういう人と、どういう付き合いができるか、という面から考えるべきであろう。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022614日(火)

 

 

<その10>
◆通常、売り上げ目標というものは誰もが立てる。しかしバランスシートの目標となるとなかなか考え及ばないものである。バランスシートは企業の顔である。理想的な姿はどうあるべきか、常に思い描くことが重要である。

◆米国の企業ではCFO(最高財務責任者)からCEO(最高経営責任者)になるケースが多く、米国ではCFOはCEOになるための重要なコースになっている。しかし、日本ではまだこうした例は少ない。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022613日(月)

 

 

<その9>
◆日本電産が創業してまもないころ、中途入社組はほぼ全員入社時点の年収が前職よりダウンしていた。30%も減った人もいた。ただ入社時に限ったことで、一定期間を経たのちは大半が以前の給与を上回った。きちんとした教育を受け、稼ぐ能力が向上していけば当然給料は上がっていく。

◆たいてい不正が起こるのは在庫と売掛金である。期末にムダな在庫を積み上げていたり、資金回収に不安が残る企業に販売して売掛金が膨れ上がったりしていれば要注意である。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
2022610日(金)

 

 

<その8>
◆「まけてくれ」も大事だがそれだけは中国企業などとの競争には勝てない。技術を駆使して設計や生産方法を見通し、より少ない部品、より安いコストで製造できる仕組みを作る必要がある。

◆「お金でやって来る人はお金で去っていく」と私は常々思っている。ベンチャー企業は人を他社からスカウトする際、以前の職場の年収を下回ってでも呼んでくるというくらいでなければダメである。これが私の持論だ。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
202269日(木)

 

 

<その7>
◆日本電産もそうだが私が付き合いのある会社でも利益率の高いところほど購買部門が強く、原価に対して厳しい。一方で部材の原価を購買部門だけではない、ということも忘れてはいけない。原価を決めるのは技術であると私は言っている。例えば、競争相手の部品点数が25だとする。それを18に減らす。それが技術の力である。多くの企業は技術の力でいい性能のものを作るかしか考えていない。だから過剰品質のものができてしまう。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
202268日(水)

 

 

<その6>
◆売価は市場で決まる。マーケットプライスである。ここでは競争がある。だから思い通りにならない。経営が苦しいからといって5000円の製品の価格をいきなり1万円にはできない。だが原価は自分たちの努力によって下げられる。自分たちだけで決められる原価をいかに安くするか。これが利益を出し、キャッシュを獲得するためのカギになる。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
202267日(火)

 

 

<その5>
◆もちろん売上がなければ利益もキャッシュもないわけであるが売上高を増やすことばかり考えていると、成長ではなく膨張になってしまう。利益を高めることは重要だが利益ばかり求めていると、「開発費を資産に計上しよう」などと、キャッシュが入ってこないような利益を探そうとしてしまう。会計上は認められたとしても、あくまでも道のど真ん中を歩くべきである。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
202266日(月)

 

 

<その4>
◆ところで、日本に財務に弱い経営者が多いのは、日本の教育にも原因があると私は考えている。とりわけ技術者はお金のことを考えてはいけない、お金のことを考えるのは恥だといった風潮すらあるように感じる。学校教育でもお金の仕組みをきちんと教えることは少ない。まして経営者を育てようというようなプログラムも日本にはないのだ。

◆売り上げより利益、利益よりキャッシュというのが財務の基本であり、経営の原点である。当然のことであるように思うが、これを十分に認識していない経営者が意外に多いのではないだろうか。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
202263日(金)

 

 

<その3>
◆ベンチャー企業を立ち上げたとき、経営トップがこれだけは、他人に委ねてはいけないというものがある。
それはマーケティング(セールス)である。

◆ベンチャー企業にとって最大の落とし穴は「技術過信」である。銀行は技術に対してお金を貸すのではない。その技術によって生み出す商品の可能性に対して貸すのだ。そもそも技術が素晴らしいということを裏付けるのは、その技術で作った商品が市場で売れるという事実なのである。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
202262日(木)

 

 

<その2>
◆財務戦略は植物でいえば根っこにあたる。しっかりした根っこがあるから、その上に成長戦略の花が咲く。そして枝葉は変えても根っこは変えてはいけない。より深く広く土の中に広がっていかねばならないのだ。

◆まず、破綻した企業がなぜ失敗したかを考えてみよう。理由はそれぞれ違うものの共通するのは、みな経営や財務の数字に弱かったということである。


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  永守重信「永守流 経営とお金の原則」(日経BP)
202261日(水)

 

 

永守氏が作った日本電産はここ数年で、急激に借入金がふえて財務内容が悪化している。
そこを踏まえてこの本を読んでみた。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとする。

<その1>
◆ベンチャー企業が生き残って成長の花を咲かせるにはどうすればよいか。他にはない技術や高い志、それを実現するためのハードワークなどが必要なのはもちろんだが、何よりお金まわりの戦略、財務の戦略が不可欠である。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
2022112日(水)

 

 

<その10>
◆稲盛や永守を「ブラック企業」の元祖扱いする報道やインターネット上の書き込みが散見される。嘆わしい限りだ。「働くことの意義」を説くことに勇気がいる時流そのものを、稲盛や永守そしてそれに続く柳井やさらには新世代の高島宏平(オイシックス)らが払拭していくことを心から期待したい。

◆Dはデジタルを指す。世の中ではDX旋風が吹き荒れている。しかし、デジタル技術に翻弄されてはならない。
デジタルそのものはツールであり、コモディティにすぎない。肝となるのはX、すなわちデジタルを駆使していかに企業変革を実践するかである。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
2022111日(火)

 

 

<その9>
◆筆者は「ワーク・イン・ライフ」そして「ライフ・イン・ワーク」という概念を提唱している。「生活の中に仕事があり、仕事の中に生活がある」という意味合いだ。これはアフターコロナ、そして新常態におけるリモートワーク主体の生活とも親和性が高い。そして、このような改革を「働き方改革」ではなく、「働きがい改革」と呼んでいる。

◆人本主義(ヒトを基軸とした日本型システムのこと)は日本電産や京セラでは生きている。どちらも社員に厳しい会社だけど、情がある。ついていけない人は、自発的に辞めているんだろうけど、残った人たちは頑張るでしょ。両社に共通しているのは、管理会計をきちんとやっていること。自分たちが頑張った成果がきちんと数字で表れる。これは大事です。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
202217日(金)

 

 

<その8>
◆日本人は長時間働くことで生産性の低さをカバーしてきたのである。ところが「働き方改革」で残業ゼロを実現すると、日本人の生産性は一挙に低下してしまう。生産性の倍増なき働き方改革は50年前の「イギリス病」と同じ亡国への道を意味する。それは、成熟という美名のもとの衰退でしかない。

◆そもそも「ワークライフバランス」という考え方そのものが、間違いの発端である。ワークは自分の時間の切り取りであり、ライフでようやく本来の自分を取り戻す。これでは労働は人を資本に隷属させるものでしかないという19世紀型の労働観に陥ってしまっている。そもそも人生の多くの時間を仕事に費やすことの意味が問われているのである。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
202216日(木)

 

 

<その7>
◆すると、78歳の年寄りが給料ももらわず、必死になって会社を再建している姿が社員の心を動かしてくれたのでしょう。私の考えに納得してくれた人が一人現れると、連鎖反応のように広がっていきました。私が提唱する経営哲学や「全社員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念が一気に会社全体に浸透していきました。JALは確実に変わり始めたのです。

◆「働く時間をなるべく少なくして、楽してお金を稼ごう。」という最近の風潮は人間性を高めていくという、労働が本来持っている崇高な意義を捨て去り、人間を成長させる貴重な機会をわれわれから奪っていることになるのです。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
202215日(水)

 

 

<その6>
◆もうダメだ、無理だというのは、通過点にすぎない。すべての力を尽くして限界まで粘れば、絶対に成功するのだ。

◆盛守経営には、共通の人間観が脈打っている。それは「圧倒的な当事者意識」をもつことによって、人は行動を変え、見違えるようなパフォーマンスを出すようになるという信念である。 「圧倒的な当事者意識」という言葉を使ったのはリクルート創業者の江副浩正である。この言葉は現在もリクルートの行動原理となっている。その結果、創業後60年が過ぎた今も、リクルートは社員全員が「燃える集団」となっている。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
202214日(火)

 

 

<その5>
◆稲盛も永守も、「戦略」という月並みの言葉を好まない。稲盛にいたっては、戦略では持続的な未来は描けないとまで断言する。
「経営をするには経営戦略が大事だ、経営戦術が大事だと一般的にはいわれていますが、一生懸命働くこと以外に成功する道はないと思っています。」

◆永守も長期ビジョンは示すが数字を細かく積み上げることは時間の無駄と考えている。中期計画は通過点の目安にすぎない。こだわるのはあくまでも長期的な高い目標と、短期的な堅実な成果である。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
20211229日(水)

 

 

<その4>
◆稲盛経営の基本はきわめてシンプルだ。「売上最大、経費最少」。そのためには、「値決めは経営」であり、それにコストダウンを連動させていかなければならない。そして、時間当たりの採算性を持ち込むことにより、スピードを重視し、生産性を高める。まさに、日本流オペレーショナル・エクセレンスの代表例といえよう。

◆永守は「事業の基本は販売」と言い切る。「1に販売、2、3、4がなくて 5に技術開発」が口癖だ。そしてQCDSSS(クオリティ、コスト、デリバリー、サービス、スピード、差別化)の責任を営業に一本化する。永守経営の強みの源泉は、この圧倒的な営業力にある。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
20211228日(火)

 

 

<その3>
◆ハードワーキングの看板を下ろしたわけではありません。肉体を酷使するハードワーキングから少しずつ頭脳を酷使する「知的ハードワーキング」への移行を進めてきたのです。

◆「部下が使えないというのは自分に問題があると思え」
「相手をこき下ろして、闘争心に火をつける方法もある」
「部下には得意なことだけをやらせておけ」
「チームワークばかり叩き込むと、決断力、指導力がにぶる」


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
20211227日(月)

 

 

<その2>
◆1932年生まれの稲盛と1944年生まれの永守。ちょうど1回り違いだ。その生い立ちは奇妙なくらい重なり合うところが多い。家庭が貧しかった、ガキ大将だったこと、苦労しながら卒業したこと。
なかでも、人格形成において、母親の存在が大きかったことが最大の共通点である。

◆日本の企業は自社の得意分野を持ちながら、それらとかけ離れた分野まで手を広げて巨大化してきました。しかし、日本電産はモーターを中心とする「回るもの、動くもの」にこだわり、専門分野をさらに深く掘り進めることによって新たな鉱脈を掘り出し、業容を拡大していきたいと考えます。


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  名和高司「稲盛和夫と永守重信」(日本経済新聞出版)
20211224日(金)

 

 

サブタイトルは京都発カリスマ経営の本質となっているが、実は京セラや日本電産よりも村田製作所の方が経営状況は数段上回っている。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆このうち日常で最も実践しやすい基本条件がBの精神だという。努力を惜しまず一生懸命働くこと。そこから「勤勉の誇りを取り戻そう」という労働観が生まれる。昨今の「働き方改革」の迷走ぶりとは真っ向から対立する哲学である。


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  デービッド・アトキンソン「日本再生は生産性向上しかない」(飛鳥新社)
20211019日(火)

 

 

<その8>
◆欧州の文化財の拝観料や入場料の平均は1,891円に対して日本の平均は593円です。
欧州では高い価格設定に慣れていますので日本でもお金を落としてくれるのです。
たとえば、バッキンガム宮殿は1990年代から一般公開するようになりました。入場料は5通り設定されています。一番安いもので約3,000円、一番高いものは約6,700円します。一つの文化財であっても、より深く知りたい人、ガイドによる解説を必要とする人には高い値段を設定しているのです。
(コメント)日本という国は文化財に限らず、知的な物を売るのがヘタな国である。面白くないのである。それ由、当然に高く売ることは難しい。


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  デービッド・アトキンソン「日本再生は生産性向上しかない」(飛鳥新社)
20211018日(月)

 

 

<その7>
◆もう一つの日本人の抱える問題は「実行力の低下」です。会社の上層部はただ口だけで現場も実行に移さない、そういう事例が日本には最近増えた気がします。もし実行しているのであれば、一人あたりの生産性が世界30位まで低下するはずはありません。

◆日本は海外から「もっと移民・難民を受け入れろ」と責められています。同時に国内でも労働力不足問題を解決するために、その必要性を訴える経済界の方もいます。これを慎重に考える必要があります。
(コメント)観光だけでは経済には限界がある。絶対に移民を受け入れなければ経済が衰退していくことは間違いない。こういうところになると何故かデータを見なくなってしまうのは不思議である。


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  デービッド・アトキンソン「日本再生は生産性向上しかない」(飛鳥新社)
20211015日(金)

 

 

<その6>
◆その証拠にネットで外国人の日本への口コミを見ていると日本へ観光に行かない理由として「禁止事項が多く、楽しめない」というのが上位に来ています。
(コメント)これは全く納得のはなしで、日本はお店側があれこれと命令することが多すぎるのである。原則自由である外国人には面白くないであろう。

◆イギリスが何かルールを設ける場合は、日本のようにスムーズにいきません。1870年、教育法が成立して、義務教育が導入された時、市民は全国で反対のデモを起こしました。 「子供に教育するかしないかは親の自由だ」との考えからです。イギリスには行政から何か口出しされることに対する拒否感がある。


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  デービッド・アトキンソン「日本再生は生産性向上しかない」(飛鳥新社)
20211014日(木)

 

 

<その5>
◆日本の「おもてなし」は世界から高く評価されており、立派な観光戦略だとの声もありますがそもそも、「おもてなし」のために観光客が訪れるかと言ったら、私はそれだけでは来日しないと思います。
データはそれを裏付けています。世界でダントツ一位の観光立国であるフランスはホスピタリティ(おもてなし)のないことで有名だからです。
(コメント)著者の投稿にはデータでの裏付けうんぬんというはなしが多い。この考え方は正しいようで正しくない。データとは森であるが、木である現場を見ないとわからないことも多いのである。マクロとミクロの両方を見ないと本当のところはわからないのである。
フランスの観光はすごいと言っても、経済大国に押し上げるほどの力は持っていない。
そこを意識せずにフランスの観光はおもてなしがなくても立派にやっていると言ってもあまり意味がない。要するに著者の主張はいつも論点がずれている。
著者はわかっていないようだが特別な観光の趣向(グルメ、レジャー、アウトドアなど)があっても、おもてなしという人的サービスがなければ絶対にうまく行かないものなのである。


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  デービッド・アトキンソン「日本再生は生産性向上しかない」(飛鳥新社)
20211013日(水)

 

 

<その4>
◆外国人観光客を意識していないためですが、日本はイベント情報の発信が遅い。観光客は約4ヶ月前には観光スケジュールを決めているというデータがあります。そのため日本のように1ヶ月前にイベント情報を発信してもすでに予定を組んでしまい、行きたくても行けなくなってしまいます。
(コメント)日本人は決断できない民族なのである。意見決定がもたつくため、その実行がバタバタなのである。何故すばやく決断できないのか、意見決定できないのか。それは、リーダーが情報を持っていないからである。


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  デービッド・アトキンソン「日本再生は生産性向上しかない」(飛鳥新社)
20211012日(火)

 

 

<その3>
◆ヨーロッパではそれなりの店になると「閉店時間」がありません。お客が居座ったとしても、「他に何か注文はございませんか」 「お車をお呼びしましょうか」と言うことはあっては「閉店時間ですからお帰り下さい」という対応はしない。
(コメント)飲食店やホテル等に限らず日本では、高級なサービスを提供して、正当な報酬をもらうという発想がないのである。すべての産業で安くないと売れないという意識がものすごく強いのである。


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  デービッド・アトキンソン「日本再生は生産性向上しかない」(飛鳥新社)
20211011日(月)

 

 

<その2>
◆観光産業は世界のGDPの10%を占めるものですが、日本は現時点で7%と言われています。しかし本当は日本は人口の割にはGDPが異常に少ないですから対GDP比率で物事を測るのは間違いです。
(コメント)著者はそれ由にもっと観光産業を伸ばしていけということなのだが、本当は移民を大量に受け入れなければ経済は衰退していくのである。日本の人口減少問題は観光産業の成長レベルでは解決できないのである。


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  デービッド・アトキンソン「日本再生は生産性向上しかない」(飛鳥新社)
2021108日(金)

 

 

9年前の本だが今回あえて取り上げてみた。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していく。

<その1>
◆私が社長になった時、あまりにも会社の実態がひどかったので、社員の大幅な入れ替えなども必要かと思っていました。しかし、方向性を変えるだけでここまでよみがえるのを見て、改めて日本の潜在能力を確認しました。
(コメント)物事は(事業経営だけでなく)方向性がすべてである。潜在能力うんぬんの問題でなく、方向性が正しければ必ず業績は改善してくる。


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  谷敦「銀行主導にさせない事業承継のススメ」(幻冬舎)
202179日(金)

 

 

<その2>
◆事業承継は株の移転によって完了します。しかし、その時に新たなリスクが発生しています。それは株を移転された後継者が亡くなったときに、その株を相続する人が多額の相続税を納めることになるかもしれないというリスクです。

◆簡単に言うと社長にかけていた生命保険の保険金を遺族である奥さんに渡すというような規程を作っていなかったのです。

◆事業承継は経営権を移すこと、そして株という財産を移すことといえます。そのため、経営と財産の両方に目を向けて会社と家族が不満を感じないよう配慮することが事業承継を成功させるポイントの1つです。


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  谷敦「銀行主導にさせない事業承継のススメ」(幻冬舎)
202178日(木)

 

 

最近、この銀行に主導させないという実務書がふえている気がする。私の認識では銀行に相談してしまう経営者というのは他の相談相手がいない人である。つまり、ちょっと問題のある人なのである。
以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆事業承継を勉強していくなかで、もう一つ気になったのが本当に借金する必要があったのかということだ。金額が小さいなら問題はなかっただろうと思う。返済で困ることもなかっただろうし、すぐに事業承継が終わる。

◆留意しておかなければいけないのは、ホールディング化するだけで株価が下がると誤解されているケースが多いことです。


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  三島俊介「競争しない勝ち方!独創経営」(とりい書房)
202177日(水)

 

 

<その5>
◆日本ではこれまで多くの経営者が派手な言動により周囲のやっかみの対象となり、つぶされてきた。その人物が日本経済にとって、どれほど有用かどうかは関係ないのである。

◆リフォーム事業は、業者にとって利は薄い。リフォーム店を構えればそこそこ仕事は来るが、手すりの設置や蛇口の取替えといった小さな仕事が多い。つまり儲けが少ない。すると業者は大きなリフォームを受注するとそこで、しっかり利益を確保しようと見積りが高くなる。これがリフォームは割高という印象につながっている。


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  三島俊介「競争しない勝ち方!独創経営」(とりい書房)
202176日(火)

 

 

<その4>
◆何度か紹介したAさんは「工務店と提携せよ」という私の考えを体現しているICの1人だが、そのおかげでその工務店は地域で「センスの高い住宅を建てる」企業として評価を高めている。

◆このリフォーム会社の場合、建築士やICはあくまで雇われ人であるが、私はむしろICは工務店や工事店インテリアショップなどをリードできる立場にあると思う。

◆言い換えれば直販ルートで成功している出版社は全国で3社しかいないということだ。書店が「間違いなく売れる、儲かる」と感じる書籍を持っていなければ、直販ルートは築けないし、またそういう書籍を持っていたとしても「競争の少ない直販ルートに目をつける」というマーケティング感覚と、書店に1軒1軒アタックして販路を広げるという地道な営業活動がなければ、この成果はありえなかった。


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  三島俊介「競争しない勝ち方!独創経営」(とりい書房)
202175日(月)

 

 

<その3>
◆成功するIC(インテリアコーディネーター)の心得15カ条
1.いつでも手紙を書ける習慣をつける。
1.礼儀正しく、言葉づかいには気をつける。
1.おごらず、謙虚に、腰は低くする。
1.小さな気配りを忘れない。
1.約束は必ず守る。できない約束はしない。
1.相手の立場で物事を考える癖をつける。
1.専門用語を無駄に使わない。
1.常に情報感度を高める努力をする。
1.一度縁のあった人を大切にする。
1.オンリーワンの得意分野を持つ。
1.チームワークで働いていることを認識する。
1.自分の未来に長期的な展望を持って、成功への努力を惜しまない。
1.フットワークを良くし、自ら体験者、生活者となる。
1.短期の目標を明確にする。
1.自分をプロデュースする能力を高める。


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  三島俊介「競争しない勝ち方!独創経営」(とりい書房)
202172日(金)

 

 

<その2>
◆住宅業界で積水ハウスは一般住宅とともにアパートなどの集合住宅を売りまくり、総合点でシェア1位を維持しているというのが業界での見方だった。商品(住宅)の質は高かったがヒット商品や高級イメージはなく、それが地味な印象につながっていた。
つまり積水ハウスをトップ企業に押し上げたのは一にも二にも「営業力」だというのが当時の業界の常識である。


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  三島俊介「競争しない勝ち方!独創経営」(とりい書房)
202171日(木)

 

 

インテリアのニッチ市場でのマーケティング戦略について書かれた本である。
マーケティングという言葉は人によって意味・使い方が異なる。私は見込み客を集めることと定義付けている。その見込み客に販売することをセールスと呼び、その販売した顧客を固定客にすることをリピータ化と呼んでいる。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆私自身の会社経営も私が出版物を通して住宅会社に勧めた経営戦略も基本には「成功者の真似をせよ」というスタンスを守っている。


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  小宮一慶「経営コンサルタントの教科書」(日経BP)
202068日(月)

 

 

全体的にはオーソドックスな内容ではあるが、その中でもインパクトのあるくだりを少し紹介してみたい。著者は年間100回以上も講演をしているそうだが、これは現実の実務指導の経験があまりないということを意味している。

◆これほど便利な世の中ですから、自分でものを調べたり、考えたり、仮説を立てるという機会がすごく少なくなっているのです。便利な時代は頭を使わない時代でもあるのです。

◆言い換えれば、税理士や会計士は過去を扱っているわけです。それも1円単位で間違わないように数字を作成しなければいけません。
それに対して、経営者やコンサルタントは過去を踏まえたうえで未来を見る仕事です。企業経営において一番大事なのは「方向づけ」つまり、これから何をするか、何をやめるか決めることです。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020331日(火)

 

 

<その13>
◆ワタミがブラック企業として批判を浴びるようになったのは、女性従業員が過労自殺したからである。26才の彼女は入社2ヶ月後に自宅マンションから飛び降り自殺した。
「体が痛いです。体が辛いです。気持ちが沈みます。速く動けません。どうか助けて下さい。誰か助けて下さい。」亡くなる一ヶ月前の日記には心身の限界に達した彼女の悲痛な叫び声が記されていた。

◆世襲経営者が気をつけなければならないことはの第一は「先代より自分の方が優秀である」とは一生涯考えないことだ。
二代目は先代と比べて学歴もあり、コンピュータにも通じ、最先端の経営学も学んでいる。だからといって自分のほうが先代よりも優秀なわけではない。先代否定につながるような言動をとると、顧客も役職員も離れていく。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020330日(月)

 

 

<その12>
◆あまり知られていないことだが、セブンイレブンの最初の提携先の候補はダイエーだった。70年代初頭サウスランド社との提携話を伊藤忠商事がダイエーに持ち込んだ。交渉のテーブルについたが、米国のセブンイレブンの店を見た中内は「こんなちっぽけな店に10億円以上のロイヤリティを払うなんて割りに合わない」と提案を蹴った。

◆次はイトーヨーカ堂の分社化(セブン&アイHD本体からの切り離し)と西武・そごうの売却だろう。西武・そごうの売却は早いかもしれない。百貨店を売ってしまえば、鈴木敏文体制の負の遺産をすべて消し去ることができる。

◆平井から吉田に経営のバトンが渡り、長期的視点での研究開発ができるようになり、技術のソニーが復活した。
ソニーの株価が2019年12月13日7,476円の高値をつけた。7,400円台を突破したのは17年ぶりだ。もっともITバブルの最中(2000年)の高値1万6,950円はなお遠い。
株価は経営者を映す鏡だ。技術のソニーの復活が先取りしているかもしれない。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020327日(金)

 

 

<その11>
◆2016年3月キャノンの社長を真栄田雅也に譲った後も御手洗は会長兼CEOとして最高権力者であり続けた。現場に復帰後の御手洗には往年の社長時代の輝きは戻ってこなかった。経団連会長を退くと同時に完全引退していたら、名経営者として後世に名を残しただろう。
御手洗は2019年9月に84歳になった。時代の急変についていけなくなっているのではないか。売上高5兆円の花道に後退に道を譲る自論見は絶望的となった。
エクセレントカンパニーだったキャノンの低迷の根本的原因は御手洗長期体制にある。
かつて我が世の春を謳歌してきた事務機器メーカーはIT化に伴う時代の急激な変化に直面し、冬の時代を迎えた。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020326日(木)

 

 

<その10>
◆魚谷雅彦は2014年4月資生堂の社長に正式に就任した。140年を超える歴史を誇る同社で役員経験のない外部の人間が初めて社長の椅子に座った。
「化粧品のイロハもわかっていないド素人に何ができる」と当初社内の空気は冷ややかなものだったが、プロ経営者は数字で経営力と証明してみせた。
再生のキーワードは高価格帯の化粧品の活性化とインバウンド(訪日観光客)である。マーケティングの用語でいえばプレステージブランドとボーダレスマーケティングとなる。
プレステージブランドは購入することが地位の高さを証明すると認めらえるような高価格帯戦略のこと。
ボーダレスマーケティングはインターネットの普及により国境の壁をなくして売り込む販売手法だ。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020325日(水)

 

 

<その9>
◆高島屋の多くの役員はやり手の副社長・飯田鉄太郎についたが飯田新一社長に同調してダイエーとの提携に一人反対したのが広報担当の石原一子。常務に大抜擢され、「高島屋の江青」といわれるほど権勢を握ったが、やがて新一に疎まれ放り出された。
石原は戦後、一橋大学を最初に卒業した女子学生。東証一部上場企業で初の女性役員になるという輝かしいキャリアの持ち主で、ハーバードビジネススクールでMBA(経営学修士)を取得していた。
清水一行の小説「女重役」のモデルにもなった。

◆百貨店の凋落を象徴するのが百貨店の閉鎖である。東京都内有数のターミナルである池袋では2009年に三越池袋店が閉鎖。2010年には銀座の玄関口、JR有楽町駅前の西武有楽町店がクローズを決めた。
百貨店閉鎖という流れに立ち向かおうとしているのが高島屋だ。社長の鈴木は苦戦していても撤退の道を選ばないと宣言する。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020324日(火)

 

 

<その8>
◆山崎製パンの創業者・飯島藤十郎にとって人生の師でかつ経営の師は新宿中村屋の相馬愛蔵である。若い頃、中村屋で働いた藤十郎はクリスチャンの相馬の哲学に強く感化された。自らもクリスチャンになり、中村屋の名物料理(インドカリー)に倣って「カレーパン」をつくった。

◆相馬愛蔵夫妻は東大赤門前の本郷中村屋を譲り受けパン屋を始めた。シュークリームをヒントにクリームパンを作ったのが相馬夫妻だ。

◆非上場のため決算書を公開してないが2015年3月期は官報に決算公告を載せた。125億円の資本金を1億円に減資したためだ。15年3月期は子会社群の評価損などで47億円の特別損失を計上。当期純損益は32億円の赤字となった。
18年3月期にも資本準備金20億円の減少広告を出した。利益余剰金は116億円のマイナス。上場廃止後、長らく赤字経営が続いてきたことを意味する。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020323日(月)

 

 

<その7>
◆岩田の目線はユーザーの目線と同じだ。先端技術や多機能性を追求しただけでは楽しさやおもしろさに直結しないことを体で知っていた。

◆山内溥は一匹狼であった。功成り名遂げた経営者は地元の商工会議所の会頭や経済団体の会長などとなって対外的な活動に力を入れて勲章を狙う。彼は「会社を経営するのは雇用を吸収した上で納税するのが目的。経済団体に参加する必要はない」と京都財界には顔を出さなかった。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020319日(木)

 

 

<その6>
◆ゲームソフトのコストは開発費と人件費だ。頭脳(机の上の仕事だから大規模な設備投資を必要としない。) ゲームソフトで得た利益はM&Aなどに回すわけでもなく配当を大幅に積み増して株主を喜ばせるわけでもない。ひたすら預金をして現金(キャッシュ)を積み上げてきた。借金することの惨めさが手元に現金を残すことに向かわせた。大きな勝負にあたって資金が必要になったとき銀行から借金をせず社債も発行せずに手持ち資金で賄えるようにしてきた。

◆ところが山内溥は「彼は任天堂の社長には向かない」後継者と目されてきた娘婿の荒川を解任してしまう。
米国での荒川の実績は申し分なかったが倒産の危機を経験して借金することの惨めさを体の隅々まで叩き込まれた溥は、多額の資金を使って市場を開拓する荒川とは根本的な考え方が違ったという理由だ。任天堂、最大の謎とされる事件だ。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020318日(水)

 

 

<その5>
◆スズキが作る軽自動車は二万点の部品で構成されている。一つの部品を一グラム減量すれば車の重量は20キログラム軽くなる。修のクルマづくりの発想は常に現場に根差している。

◆大林組の技術水準の高さを示すエピソードがある。赤レンガが象徴的な東京駅の駅舎をつくったのが大林組。東京大手町のみずほ銀行の本店ビルもそうだ。この2つは関東大震災でもビクともしなかった。阪神淡路大震災で甲子園球場はそれほど損壊を受けなかった。甲子園球場も大林組の手による。
最近では六本木ヒルズは鹿島とのJV共同事業体、三菱地所のシンボルの1つである東京駅前の丸ビルの建て替え工事は大成建設から大逆転して大林組が受注した。

◆任天堂の経営はカリスマが引っ張ってきた。創業家の第三代社長山内溥と先社長の岩田聡だ。岩田は天才プログラマーとして知られ、山内が三顧の礼をもって迎え、42才の若さで社長になった。2人とも「おもしろいソフトを作る」ことを追求してきた。
その後の社長は君島が旧三和銀行出身で古川は経理畑出身の実務家。ゲームの開発者たちからは「古川WHO?」との声が上がった。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020317日(火)

 

 

<その4>
◆三越では慶應閥の先輩・後輩の固い絆が組織を硬直させワンマンを生みやすい体質をつくったと指摘された。慶應閥の解体が必要だと力説されたが、岡田茂以降も歴代社長は慶應出身者の回り持ち。慶應閥は温存された。

◆合併新会社、三越伊勢丹は船出した直後から逆風に見舞われた。三越伊勢丹の給与体系は合併後に一本化されたが、ボーナスの格差は凄まじかった。伊勢丹出身者の2011年夏のボーナスは三越出身者の二倍以上といわれた。

◆当時を振り返って修はこんなことを言う。「私が浜松に養子に来た頃は、日本楽器(現ヤマハ)の黄金時代だった。浜松市内を肩で風を切って歩いていたのがヤマハの社員。スズキの社員は道の端をしかもうつむき加減に歩いていた。だから一度でもいい、浜松一、静岡県で一番の会社になってみたい。「養子心」にそう思った。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020316日(月)

 

 

<その3>
◆山本社長は入社して20年近く百貨店では花形とは言えない家庭用畑を歩いた。自社やライバル社の売り場を徹底的に歩き回り、改善点を見つけて売り場改革を提案。仇名は売り場博士。これが12代当主。大村正太郎から再建を託された奥田の目にとまった。

◆大丸の業績は当時どん底だった。1960年代には小売り日本一を誇り、三越の「東の横綱」と並び「西の横綱」といわれた。それが高島屋、そごうの出店攻勢の前に劣勢を強いられ、老舗・百貨店は衰退の一途を辿った。

◆奥田努が12代当主正太郎の目にとまったのは1983年の大丸梅田店の開店の時である。開店準備室にいた奥田は店づくりの全体計画を書いた。「不特定多数」の来店に期待する商品の構成や陳列ではなく、立地条件に合った「特定多数」を呼び込む仕組みを提案した。アメリカのマーケティング理論を用いたのである。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020313日(金)

 

 

<その2>
◆ファナックはメディアの露出が極端に少ないため世間的にあまり知られていない時期が長かったが最近は改善された。ファナックは世界に冠たる大企業なのだ。ファナックのシステムは鉄鋼を米アップル社のアイフォーンの外国部品に、アルミニウムを米ボーイング社の航空機リブ(枠組みを形成する部品)に変える。世界に流通しているコンピュータの頭脳を持った工作機械の半分強にファナックの制御技術が使われているという報告もある。

◆松坂屋銀座店は1924年(大正13年)に開業した銀座で最初の百貨店だった。履物を脱がず土足のまま入れるという当時としては、画期的なスタイルを採用。
日本で初めてエレベーターガールを導入するなど人目を引く仕掛けを次々と考案した。

◆J・フロントリテイリングの山本良一社長は百貨店の販売不振の原因として現場主義の欠如を真っ先に挙げる。個人消費の低迷ではなく、内的要因だというのだ。小売りはピープルビジネス。売り場は顧客との戦場だ。商品を手に取る顧客の表情や言葉にじかに触れ、何を求めているかを感じ取る感性が勝負を決める。


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  有森隆 「創業家一族」(エスディエスコーポレーション)
2020312日(木)

 

 

著者は日経新聞の出身の経済ジャーナリストである。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。
<その1>
◆世界の株式市場が急落した2018年、唯一プラスのリターンを獲得した投資信託が創業家一族の企業に絞ったものだった、という話を聞いた。
経営者自身が大株主のため長期的な視点で株主の利益を追求すると、この投資信託の運用者は分析している。
2013年9月の設定から投信の基準価格は3倍超に上昇。運用年度で一度もマイナスのリターンになったことがない。19年も年初からおよそ3割上昇した。

◆渥美俊一は門下生を前にこう語っている。「人生は65才で大抵の人が変わる。誰でも65才になると自分の死後を考える。それで血のつながった者に跡を継いでほしいという気持ちが起きるんだ。生物としてね。」


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  安田隆夫 「安売り王一代」(文春新書)
2020217日(月)

 

 

<その7>
◆「しかし、少しでも安いものという原点は変えない。おしゃれで高級でなおかつ安ければ一番いい。しかし少々高くてもおしゃれならと言う発想は絶対にしない。常に安く売るというのは辛いことだ。しかし、だからこそ勝ち続けることができる。」
私には安田社長は勝ち続けるという意味を誤解しているに思える。安く売れば売上は伸びる。これは事実である。しかし、ドンキの決算書を見ると、売上が伸びれば伸びるほど経営指標が悪化していくのである。

◆「世界の小売業トップ10を見ると、その過半の六社までが実質的なDS企業によって占められている。総合DSが売上トップ10に入らない先進国は、日本だけである。」
このはなしもしっくり来ない。なぜならば、今は大手の小売業のすべてが安売り店になってしまったからである。
DS企業と言われなくても、デフレ社会の到来によって結果的にDS企業になってしまったということである。


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  安田隆夫 「安売り王一代」(文春新書)
2020214日(金)

 

 

<その6>
◆「昔から私はごく少数のエリートが大衆を導き支配するといった思想に対して強い嫌悪感を抱いている。独裁にもつながる手法は、ときに企業経営にも見られる。」
だからドンキは権限委譲を進めていくのだという論理を展開するのだが、そこにも、うまく行かなかったときの責任を誰が取るのかという視点が全くない。
決定をする人間が責任を取るというルールがはっきりしていない組織は、いずれは崩壊する。

◆「それが今逆回転を始めている。なぜか。簡単なことだ。社会を経済と消費そのものが根本から変わったからである。モノ余り、モノ離れと言われる現代ニッポンの消費社会において、もはや画一的な商品の大量商品など必要とされていない。
むしろ、多様化した「個」のニーズにどう対応するかが今の流通最大のテーマだ。」
私はこの手の主張には全く反対である。むしろ日本の社会は、いや世界全体も画一化、非多様化へどんどん進んでいる。十人十色という言葉があるが実際は十人一色社会になっている。ただし、その時期が短い。すぐに廃れてしまうのである。
自分自身で選択しているのではなく、流行っているものにすぐ飛びつく。だからすぐに飽きがくるのである。すぐに飽きが来ることを多様化などと多くの経営者が勘違いしている。


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  安田隆夫 「安売り王一代」(文春新書)
2020213日(木)

 

 

<その5>
◆「ドンキはお客さまへの配慮は万全だが周辺住民への配慮には少し欠けていたかもしれない・・・私はそう謙虚に反省した。ここはグッと自分を抑え決して事を荒立てるべき時ではないと判断したのである。」
怒り心頭に発し、悔しさと不安が交錯して、眠れない夜が続いたようである安田社長ははっきり言って地域住民のことを全く考えていない人だと思う。お金を使ってくれない人のことは全く頭に入らないのである。
法的には何の問題もないと主張しているようだが、世の中には何の問題もないと法律以前の問題があることが全くわかっていない。

◆「ビジョナリーカンパニー最大の共通項はビジョンと理念に基づく経営をしておりカリスマ経営者を必要としていないという点に尽きるだろう。」
だが、ビジョンと理念だけでは高収益会社にはなれない。具体的な戦略・戦術が必要である。
ドン・キホーテの財務内容は近年売上は伸びているが経営指標は急速に悪くなっている。


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  安田隆夫 「安売り王一代」(文春新書)
2020212日(水)

 

 

<その4>
◆「私の信条は攻めは他人がやらないことをアグレッシブに。しかし守りはベーシックにだ。そもそも守りの基礎ができていなければ、アグレッシブな攻撃など怖くてしかけようがない。」
守りとは経理、つまり経営管理のことである。
もっと言えば、数字で会社の経営実体を把握することであろう。

◆「ユニクロや無印良品のように自社生産機能を有する製造小売業をSPAと呼ぶが、その伝でいけば、ドン・キホーテは卸売機能を内包した問屋SPAとも言える。そのため他社がマネしにくく、大きな参入障壁の一つになっていることは意外と知られていない。」
不特定多数の取引先への卸売りよりもオンリーショップへお商品供給の方がはるかに効率の良い成長拡大が見込めるという考え方がその根底にある。
もうひとつは、平成以降30年間で卸売会社が相当つぶれているので、自前で卸売をやらないと供給体制が維持できないと考えているのではないか。


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  安田隆夫 「安売り王一代」(文春新書)
2020210日(月)

 

 

<その3>
「いずれにせよ、今の若者は祭りに飢えているのではないか。たとえば、本来西洋の祭りであるはずのハロウィンの近年わが国における、あの異様な盛り上がりぶりは、いったい何故なのだろう。」
おっしゃるとおりであるが、知的好奇心が多少なりともあれば、若者のエネルギーは政治運動なり社会運動に向っているのだろう。

◆「私がこれは売れると自信を持って仕入れた商品がなぜか店頭に並ばず倉庫に眠ったままというようなことが度々あった。後で知ったことだが従業員がどこでもある売りやすい定番商品を優先的に品出しして私が得意としていた売りにくい利益率の高い非定番のスポット仕入商品を敬遠していたからである。」
やはり経営者が社員に対して方針を明確にした上で権限委譲しなければならないことがここからも読み取れる。


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  安田隆夫 「安売り王一代」(文春新書)
202027日(金)

 

 

<その2>
◆「私は全共闘世代だが学生運動にはまったく参加しなかった。親に食わせてもらっている学生が労働者の権利を叫んでも、しらじらしく思えて仕方なかった。」
この世代の人で運動に参加しなかった人の典型的な言訳である。要するに自分のことしか考えない、他者あるいは社会全体は考えないのである。それは、彼の経営の中にも表れている。
今は富裕層を批判すると「そういうことは同じくらい稼いでから言え」と言われ、政治家を批判すると「だったら自分で選挙に出て政治家になれ」と切り返される時代である。
当時は、少数派だった人が今は多数派になってしまったのかもしれない。

◆「そこにすっぽり抜け落ちているのがいわゆる「夜の経済学」である。コンビニもドンキも夜10時以降のナイトマーケットの発見と開拓でこの20数年間、一人勝ちのような成長を謳歌することができた。」
血圧が高い人は朝型人間、低い人は夜型人間である。昔からがんばる人間は朝型人間が多かった。しかし、安田社長は、本人も発言しているとおり、血圧が低かった。それ由ナイトマーケットが活躍できたようである。


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  安田隆夫 「安売り王一代」(文春新書)
202026日(木)

 

 

2015年(平成27年)11月に出た本の再読である。
逆張り商法の秘訣を大公開と書かれているが、その内容は相当深く事業経営というものを理解していないと勘違いしてしまうかもしれない。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介するとともに、私のコメントを付加していく。
<その1>
◆「結果的に部下に全幅の信頼を置いて権限委譲したからこそ、社員は見違えるように働き出した。私自身は店舗開発とか財務戦略など、これだけは経営者がやらなければならないという中核業務だけに集中することができた。」
権限を委譲したからではなく、社長が方針を明確にしたからこそ、社員は一生懸命働き出したのである。店舗開発や財務戦略などを押さえているということは、決して権限委譲しているわけではない。


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  藏本猛「誰も知らなかったラーメン店投資家になって成功する方法」(合同フォレスト)
202025日(水)

 

 

<その4>
◆お勧めなのは、Aの居抜き物件の購入です。その最も大きな理由は初期投資を低く抑えることができることです。

◆私がプロデュースするラーメン店は「工場系」であるとお話しましたが工場系ではスープや返しの味を安定させることが可能なことと同時に様々な味を再現することも可能になります。

◆お店が繁盛するためには、立地条件やお店の造り、清潔感、メニュー、味など様々な要因がありますが、なんといっても店長やスタッフのやる気がなければ繁盛しません。
そのやる気を高める秘訣は、投資家であるオーナーは、店長やスタッフの独立を支援してあげることです。

◆比較的現実的な低予算の400万円で見てみましょう。
条件として、居抜き物件を使用できることとします。改装費に300万円、物件取得費として100万円かかります。これで10坪で10席ほどのお店を開くことができます。


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  藏本猛「誰も知らなかったラーメン店投資家になって成功する方法」(合同フォレスト)
202024日(火)

 

 

<その3>
◆味が不安定なお店は、すべての調理を店内で行っているお店です。
わたしがプロデュースしているラーメン店の味は、常に安定しています。それはスープや麺を工場で作っているためです。

◆ラーメン店の回転率は、飲食店の中でも飛び抜けて高いという特長があります。なにしろ注文してラーメンが提供されるまでが短いです。細麺を使ったお店であれば、30秒ほどで麺がゆであがりますので、注文を受けて1分ほどでラーメンを出すことができます。長くゆでるお店でも3分以内には出せます。

◆ラーメン店投資の始め方には、次の3つのパターンがあります。
@土地探しから始めて一からすべて作る。
A居抜き物件を購入して始める。
B現存するラーメン店を買い取る。


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  藏本猛「誰も知らなかったラーメン店投資家になって成功する方法」(合同フォレスト)
202023日(月)

 

 

<その2>
◆観光庁のデータによると、外国人観光客が最も満足した飲食について、その理由について、「おいしい」と回答した1位は「ラーメン」、2位が「そば・うどん」、そして3位が「肉料理」でした。

◆外国人観光客にとっては、英語で情報を入手できることはとても重要です。

◆ラーメン店を始めるとき、店舗が決まっている場合は別ですが、まだ店舗が決まっていない場合は、10席ほどの店舗をお勧めすることが多いのです。多くても24席止まりです。
これは10席くらいであれば、1人でなんとか切り盛りできるという理由です。24席になるとやはりスタッフが3人いないと回せなくなります。

◆ではなぜ、お客様が付かないかというと、その原因にはお店の造りや立地条件・あるいは清潔感など様々あるのですが、最も多い原因は味が不安定であることです。


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  藏本猛「誰も知らなかったラーメン店投資家になって成功する方法」(合同フォレスト)
2020131日(金)

 

 

著者はラーメンを作らずに、ラーメン店オーナーになって稼ぐ方法を述べている。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介することとする。
<その1>
◆私はわざとゆっくり出すことで行列ができてしまうようにして、お客さまの渇望感を高めたほうが人気店になるよ。ということを指導しているのです。

◆ラーメンには3つの中毒性があると考えています。
@低価格
 高くても1,000円以内で収まる。
A手軽さ
着席したらすぐに提供される。
B満腹感
1杯でも満足できる。


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  田宮寛之 「みんなが知らない優良企業」(講談社)
2020122日(水)

 

 

<その6>
◆建設業界が伸びていく理由は5つある。
まず1つは、東日本大震災で被害を受けた東北地方の復興需要があること。
2つ目は、2020年の開催の東京オリンピック・パラリンピック。
3つ目は、リニア中央新幹線の建設。
4つ目は、新興国がインフラ進めることだ。
このところビジネスの世界では、バングラデッシュ、ミャンマー、カンボジア、ラオスなどアジア諸国が注目されている。 また、かつての共産国だった東ヨーロッパの国々も力をつけている。
5つ目は、国内外でのインフラの補修や建立替え需要が大きいことだ。日本国内には1950年代から60年代に造られたインフラが多い。これらが劣化してきているのである。

◆建設現場ではクレーン車を見かけるが、建設用クレーンの国内最大手はタダノ。世界では第2位。売上高は2,000億円を超えているが、そのうち5割以上が海外向けである。


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  田宮寛之 「みんなが知らない優良企業」(講談社)
2020121日(火)

 

 

<その5>
◆日本信号、京三製作所、大同信号の3社は信号3社と呼ばれている。この中で売上高が一番大きい日本信号は信号システムだけでなく、ホームからの落下を防止するためのホーム柵や自動改札機、券売機なども製造している。さらに列車の出発時刻や行き先を告知する表示器も手掛けている。

◆炭素繊維とは軽くて強くて錆びないという夢の新素材だ。重さは鉄の4分の1だが、強度は10倍もある。熱にも強いだけでなく、成形しやすく、電気を伝えやすい一方、電磁波遮断性が高い。
この分野では、日本企業が圧倒的に強い。東レ、東邦テナックス、三菱レイヨンの3社で世界需要の7割を押さえている。

◆電子部品メーカーの経営が堅調であるのに比べると、電機メーカーの業績は悲惨だ。
例えば、ソニー。2006年3月期から2015年3月期までの10年間で6回も最終赤字になっている。テレビ部門に限れば、2005年3月期から2014年3月期まで10年間ずっと赤字が続いていた。
シャープは2006年3月期から2015年3月期まで10年間で最終赤字が4回もあった。2016年3月期には業績が回復するのではないかと期待されたが無理だった。結局、台湾企業に買収されることになってしまった。


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  田宮寛之 「みんなが知らない優良企業」(講談社)
2020120日(月)

 

 

<その4>
◆熊本県に本社を置く重光産業は「味千ラーメン」のFCを全国で展開している。国内店舗数は89店だが、首都圏に店舗が少なく目立つ存在ではない。
しかし、海外では有名なラーメンチェーンで、米国、カナダ、中国、台湾、ASEAN、オーストラリアなどFC店が692もある。特に中国では圧倒的な人気を誇るラーメンチェーンだ。

◆自動販売機を製造している企業のトップは富士電機。飲料、食品、たばこ、物品用などさまざまな自販機を取り揃えている。また、最近では、セブンイレブンに設置されているコーヒーマシーンは富士電機のものだ。
同社の主力事業は発電関連の大型電気機器の製造で、売上高は8,107億円。最終利益も280億円ほどになる。

◆経済成長著しいインドでは、総延長4,600km超の高速鉄道網構想がある。広大な国土の主要都市を日本の新幹線のような高速鉄道で結ぼうというのだ。

◆日本の新幹線の総延長は2,765kmなのでインドのインドの計画がいかに壮大であるか理解していただけると思う。


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  田宮寛之 「みんなが知らない優良企業」(講談社)
2020117日(金)

 

 

<その3>
◆愛知県に本社を置く東海メディカルプロダクツは、バルーンカテーテルの製造会社だ。心臓が弱いと血液を体中に循環させることができない。心臓に一度集まった血を体中に押し出すのを助ける機器がバルーンカテーテルだ。
この会社の創業者の娘は、生まれつき心臓が悪かったため、何とか娘さんを助けたいという一心で、人工心臓の開発に乗り出した。しかし、さすがに人工心臓は難しいということで、途中から目標をバルーンカテーテルの開発に切り替えて成功した。
同社の売上高は30億円強で、従業員は200人弱。
高い技術力を持つキラリと光る中小企業だ。2015年にTBSで放映されて話題となったドラマ「下町ロケット」に出てくる「佃製作所」は同社をモデルにしたとも言われている。

◆2015年6月、農薬を開発するベンチャー企業のヘリオスが東証マザーズに上場した。同社は理化学研究所の認定ベンチャー企業だ。iPS細胞を使って目の難病である「加齢黄斑変性」の治療を目指している。


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  田宮寛之 「みんなが知らない優良企業」(講談社)
2020116日(木)

 

 

<その2>
◆殺虫剤の売上高第1位はアース製薬。アース製薬は大塚製薬のグループ企業。大塚製薬はポカリスエットやカロリーメイトをつくっている超優良企業だが、その優良企業の一員なのだ。

◆2014年の世界の農産物輸出額ランキングを見ると、日本は約47億ドルで53位。1位は米国で約1,492億ドル。米国が世界1位であるのは納得がいく。広大な国土に機械化された農業を展開し、大量の農産物を輸出しているのだ。
ところが、第2位は約1,020億ドルのオランダだ。農業先進国であり、技術は高いが国土面積は日本の9分の1に過ぎない。日本と差がありすぎる。
そして、もっと驚くのが日本より上位に中東のアラブ首長国連邦(28位、132億ドル)がいることだ。
日本はきれいな水と温暖な天候に恵まれた国なのに、砂漠の国に負けている。日本の農業はその潜在能力を活かすことができていない。


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  田宮寛之 「みんなが知らない優良企業」(講談社)
2020115日(水)

 

 

本書より私が興味深いと思った企業及び業界を紹介してみたい。
<その1>
◆原子力発電所では核燃料に汚染された水が生じる。その水を吸い上げるときに、周囲にこぼれてはたいへんだ。そこで絶対に漏れない「無漏洩」ポンプが必要となる。それをつくっているのが宇野澤組鐵工所である。

◆使用済み核燃料をいつまでも原子力発電所においておくわけにいかないので、それを容器に入れて保管所に持っていく。この核燃料を入れておく容器をキャスクと呼ぶ。日立造船、木村工機がこのキャスクを製造している。

◆農薬の会社で一番大きいのは住友化学。総合化学メーカーだが、その一部門として、農薬を製造している。2002年に武田薬品工業から農薬部門を買い取ったため、業界1位になっている。

◆殺虫剤も農薬も成分は同じだが、売り方、売り先が違う。
殺虫剤は一般向けに販売され、農薬は農家向けに販売されるという違いがあるだけだ。


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  武田知弘 「世界を変えたユダヤ商法」(ビジネス社)
2020114日(火)

 

 

<その6>
◆ユダヤ教徒には経済的成功者が多いという事実がある。
ということは、ユダヤ教には何か他の宗教とは違う一面があるということだ。そしてそれをあぶりだせば、ユダヤ人の成功の秘訣が見えてくるはずだ。

◆ユダヤ教が他の宗教ともっとも違う点は何かというと、まず第一に挙げられるのが「だれかを神格化しない」「神格化された宗教指導者が存在しない」ということである。普通宗教というのは、だいたいだれかを神格化しているものである。
ユダヤ教では神以外に絶対的な存在がいないということなのだ。「神の次は自分」という位置づけになる。

◆ユダヤ教では古来から「自分の考えを持ち、自分で問題解決する」ということが重んじられてきた。ユダヤ教ではだれかの考えを鵜呑みにすることではなく、自分なりの考えを導き出すことが大事だ。
仏教でも釈迦は死ぬ前に弟子たちに「法(自然の摂理)と自分自身だけを頼りに生きていけ」と言い残した。
これはユダヤ教の思想とほぼ同じだといえる。

◆ロスチャイルド家の力が弱まった最大の要因は税制である。
第一次世界大戦後、共産主義革命の波を恐れたヨーロッパ諸国は国民の反発を防ぐために、資産家に対して多額の相続税を課すようになった。そのため多くの資産家は以前ほど富を貯蓄することができなくなった。


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  武田知弘 「世界を変えたユダヤ商法」(ビジネス社)
2020110日(金)

 

 

<その5>
◆ユダヤ教というのはキリスト教の原型でもある。
イエス・キリストはユダヤ教の形骸化を批判し、表面的な宗教儀礼を重んじるのではなく、本来の「相互扶助」の精神を訴えた。
が、イエス・キリストの教えは当時としては、「異端」であり、ユダヤ人社会には受け入れられず、十字架にかけられてしまった。キリストの死後、このイエス・キリストの教えは爆発的に広まった。
それがキリスト教なのである。
キリスト教ではユダヤ教の聖典である聖書をそのままの聖典として使いながらもイエスの言葉やイエスの行動の新しい聖書をつくった。そして、もともとの聖書のことを「旧約聖書」と呼ぶようになり、新しくつくった聖書を「新約聖書」と呼ぶようになったのだ。

◆イスラム教はメッカの商人マホメッドが開眼した宗教だが、その原点は聖書「ユダヤ教の聖書」にあるのだ。
だからユダヤ教もキリスト教もイスラム教も「人々が助け合い愛し合うこと」を旨としているのである。


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  武田知弘 「世界を変えたユダヤ商法」(ビジネス社)
202019日(木)

 

 

<その4>
◆ダイアモンドというのは、実は1つの企業によって支配されている。1つの企業がダイアモンドの70%以上を確保しているのだ。その企業の名は「デ・ビアス社」といい、ロンドンに本社がある。その会社は1888年にユダヤ人によって設立され、会社の中枢は殆どがユダヤ人によって占められている。

◆さしたる産業を持たない新興国イスラエルにとって、ダイアモンドの研磨、販売は国家の重要な産業の1つだった。
その大事な産業で外国企業であるデ・ビアス社に完全に牛耳られていることは、必ずしも、いいことではなかった。だからユダヤ人国家であるイスラエルとユダヤ系企業の代表格であるデ・ビアス社は対立することになる。

◆1920年代、アメリカが禁酒法を施行していたとき、マフィアが暗躍し酒の密売で莫大な富を得ていたことが知られている。
マフィアというとイタリア・シチリア島出身というイメージが強いがユダヤ系マフィアもイタリアに負けず劣らず暗躍していたのである。


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  武田知弘 「世界を変えたユダヤ商法」(ビジネス社)
202018日(水)

 

 

<その3>
◆しかし、マイクロソフト第3の男といえる元CEOのスティーブ・バルマーはユダヤ人なのである。技術屋かたぎのビル・ゲイツ、ポール・アレンに対して同社の経営面を一手に引き受け、会社を急成長させてきたのは彼なのである。

◆パソコンのOSの歴史を見ると、マイクロソフトは技術力で他社を圧倒してきたのではなく、巧みな戦略でシェアを獲得してきたといえる。
あるときはライバルを懐柔し、あるときは価格戦争でぶちのめす。そうやってライバルが出てこない状態をつくっていきたのだ。

◆現在、映画の都と言えば、ハリウッドである。
このハリウッドを作ったのもユダヤ人なのだ。20世紀の初頭のハリウッドというのは、未開の地だった。当時のロサンゼルスから少し離れているハリウッドには人はいないも同然だった。映画というのは、もともとは発明王エジソンがつくったものだ。つまり映画をつくる場合には彼に特許料支払いたくないために選ばれたのがエジソンの目の届かないハリウッドだったのである。


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  武田知弘 「世界を変えたユダヤ商法」(ビジネス社)
202017日(火)

 

 

<その2>
◆そして彼はビートルズに激しいロックンロールばかりではなく、情緒的なバラードも多く取り入れるように進言したといわれている。
現在、ビートルズの代表曲といわれるのは「イエスタディ」や「レット・イット・ビー」などのバラードである。ビートルズが大きな成功を収めた1つの理由はメロディの美しさがあるといえるが、ブライアンはそれにいち早く気付いたのだ。

◆ユダヤ人企業家の特徴として商品をより大衆受けしやすくアレンジする才能というものが見受けられる。
たとえば、スターバックスの本格的なコーヒーはそれだけでも多くの顧客をつかんでいたが、ユダヤ商人が店舗をバー形式にすることで爆発的にヒットさせた。

◆マクドナルド兄弟は、さまざまな試行錯誤を重ねたのちの1948年レストラン方式をやめてテイクアウトでのハンバーガーショップをつくった。メニューを最小限に絞り、作業を徹底的に効率化し、大量の注文をさばいた。これが大当たりした。


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  武田知弘 「世界を変えたユダヤ商法」(ビジネス社)
202016日(月)

 

 

武田本の中でも力作のひとつである。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。
<その1>                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                      ◆ブライアンがマネージャーになってビートルズが大きく変わった点がいくつかある。
その1つは、ドラマーのピート・ベストを辞めさせ、リンゴ・スターを加入させたことだ。ピート・ベストはリーダー的存在であり、ハンサムでメンバーの中で最も人気があったが、ドラマーとしての技量がそれほど備わっていなかった。「ジョンとポール」をバンドの中心にした方がいいと考えたブライアンは、思い切ってピートをクビにしたのだ。
◆また、彼は、ビートルズの服装を変えさせた。
ビートルズのトレードマークとなっている「マッシュルームカットに清潔なスーツ」という格好は彼が考案したものである。
それまでビートルズは革ジャンにリーゼントというスタイル演奏していた。しかし、彼はこれまで不良っぽすぎて大衆受けしないと考え、小奇麗な格好をさせたのである。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191227日(金)

 

 

<その14>
◆通常、紙の書籍なら印刷した部数の売上高の10%が印税となる。電子書籍の場合、25%から30%となる。書籍「アマゾン潜入1年」のキンドルでの印税は30%。
e託においてもっとも問題なのは、e託がアマゾンが決めた規約を利用者である出版社が守るという規約ビジネスであることです。お互いが契約を交わした取引ではないため、アマゾンが規約をどのようにも変更できる点です。アマゾンがe託の規約で縛ることは、アマゾンと出版社との間に上下関係を作ることだと危惧しています。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191226日(木)

 

 

<その13>
◆KADOKAWAは13年に社名変更した際、傘下のアスキー・メディアワークスや中経出版など9社を吸収合併したため、発行点数が急速に増え、在庫も増えたんです。その在庫を5,000万冊から1,000万冊まで減らすのを機にアマゾン直取引をはじめたのだ、と理解しています。

◆なぜ、取次経営は苦しくなってきたのか。業界がピークの時に比べ、半分以下に縮小したことが最大の原因だが、その中でも、出版業界の利益の源泉であっった雑誌の売上げの落ち込みが5割以上になったからである。これに比べると書籍の落ち込みが3割強にとどまる。
もともと雑誌の流通網に載せることで本来なら1冊ずつ運ぶ書籍を雑誌ルートに混載して運んできた。長年にわたり書籍には、物流費が掛かってこなかった。その分、書籍の値段は他の先進国に比べ割安に抑えられてきた。半面、店頭で頼んだ書籍が書店にいつ届くのかがわからない。よって書籍を買いたい読者が書店から逃げていくという状況を作り出した。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191225日(水)

 

 

<その12>
◆三者の間の取り分は、おおむね、出版者70%、取次8%、書店22%------とされてきた。
取次とは地味な存在ながら出版における物流や決済を担い、3,000社以上ある出版社と1万2,000社ほどある書店をつないできた。

◆書店であるアマゾンはこの大正時代からつづく、出版の流通慣行を壊し、取次を抜きにして出版社と直接取引をしようとしている。
アマゾンのサイト開設から20年近くたち、出版業界におけるいくつかの変化が組み合わさり、アマゾンの直取引への追い風が吹きはじめた。2つは90年をピークとして出版業界の売上げ規模が落ち込みつづける出版不況がある。ピーク時には2兆6,000億円以上あった書籍と雑誌を合わせた市場が18年には1兆2,800億円台まで減った。

◆アマゾンの出版における売上のほとんどが雑誌を除く書籍である。書籍の業界全体の売上高が約7,000億円であることからすると、アマゾンの市場占有率はその30%近くを占めることになる。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191224日(火)

 

 

<その11>
◆クラウド市場全体からAWSの立ち位置とは、どのようなものであろう。
米調査会社ガートナー社によると、17年度時点でクラウドコンピューティングの市場で1位のAWSは51%台という圧倒的なシェアを握る。2位がマイクロソフトの(アジュール)の13%台、3位がアリババの4%台、4位がグーグルの3%台とつづく。

◆アマゾンジャパンとアマゾンジャパン・ロジスティクスは株式会社をやめ、合同会社に組織変更した。合同会社となるメリットの1つに「決算の公告義務がない」というのがある。

◆アマゾンは17年と18年の2年連続でまったく法人税を払っていない。これはトランプ政権が17年12月に署名した企業向けの大型減税や税控除などの恩恵を受けてのこととみられる。

◆GAFAの分割が20年の大統領選挙の争点の1つになれば、その過程でアマゾンを含むIT企業の租税回避についても話し合われる可能性が出てきた。そのときアマゾンはこれまでの租税回避に手法についてどのような釈明をするのだろうか。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191223日(月)

 

 

<その10>
◆日経新聞ではこう話す。「生身の記者がすべての上場企業の決算記事をリアルタイムで書いていくのは難しい。けれど、AWSを使えば2分で記事を生成することができます。」

◆AWSによる決算記事の長所と短所についてこう語る。「短所は日本語の流暢性に欠けるところですね。加えて、記者が取材で裏どりをするような創造性もありません。長所としては正確であること。人間のように数字を間違えることがないです。それに処理の量とスピードでは圧倒的に人間の記者を上回ります。
われわれはAI記者が人間の記者から仕事を奪うということではなく、速報や定型業務はAI記者に任せ、生身の記者には、自由になった時間をリサーチや分析、独自取材に基づく特ダネや企画記事などに割り当ててもらいたいと思っています。」

◆直近の18年度のAWSの営業利益は、72億ドル台で、全体の営業利益である124億ドル台の6割近くを叩き出している。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191220日(金)

 

 

<その9>
◆公取委の調査に対し、アマゾンがご指摘の点は改めます。今後、仰ることはちゃんと聞きます、という恭順の姿勢を見せたので調査が打ち切りとなったのです。いろんな所で強気で出ているアマゾンですが、独禁法の前には、白旗をあげざるをえなかった、というのが実情だと考えられます。

◆アマゾンに五つ星のレビューを書くことを条件に商品をタダで仕入れることを[0円仕入れ]と呼んでいる。いわゆるフェイクレビューである。それを[0円仕入れ]と言い換えるなら、まともな商売のようにも聞こえるのだが、やっていることは詐欺まがいの行為である。

◆ステマレビューのステマとは、ステルスマーケティングの略で、広告であるのに、広告であることを隠し、あたかも一般消費者が商品をほめたたえているように欺く行為を指す。

◆朝日新聞ではこう話す。「われわれの部署で現在AWSを使って注力しているのは、自動校正と自動での見出し生成、あるいは自動要約などの新聞作業の効率化です。」


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191219日(木)

 

 

<その8>
◆アマゾンプライムという名前の会員サービスがはじまるのは、05年のこと(日本では07年)。年会費79ドルを払う顧客には何度であれ、送料無料で翌々日(日本は翌日)に商品を届けるというもの。その後アメリカの年会費は14年に99ドル、18年には119ドルに値上がりしている。日本では3,900円だった年会費が4,900円に値上がりすると発表されたのは19年4月のこと。

◆アマゾン経営の3つ目の柱となるのがAWS(アマゾンウェブサービス)というクラウド事業だ。
AWS事業における成功により、アマゾンが単なるネットの小売業者であるという枠組みを飛び越えIT事業として認められるようになった。

◆マーケットプレイスの出品者の多くはアマゾンに「生殺与奪権」を握られている、と訴える。アマゾンと出品者の力関係には大きな格差があることは歴然としている。取引関係において大きな格差が存在する場合、強者が弱者に対し不当な取引を強要しないよう目を光らせるのが公正取引委員会だ。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191218日(水)

 

 

<その7>
◆この自分たちで作ったプラットフォームを外部業者に使わせるというマーケットプレイスを生み出したことでアマゾンは、赤字体質から脱却し、安定して黒字が上がるようになる。

◆アマゾンはこのマーケットプレイスから入ってくる手数料があるため自社で販売する商品の多くを同業他社と比べ最低水準の値段で販売することができる。こうして、アマゾンの利用者が増え、マーケットプレイスに出品する業者も増えるという好循環を生み出している。

◆アマゾンのビジネスの中でその重要性が十分伝わっていないのが、マーケットプレイスなんです。アマゾンの売上高の半分以上がマーケットプレイスによるもので、そこに出品する事業者のうち約10万社が年商10万ド以上稼いでいるのです。
われわれは、できるだけそれらの商品をアマゾンの物流センターに在庫することをすすめています。そうすれば、アマゾンプライムと同じように翌々日配送の対象となるからです。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191217日(火)

 

 

<その6>
◆投資が利益を生み出すまでの期間として、私がいつも話しているのは2、3年ではなくて、5年から7年といった時間軸で考えてほしい、ということです。

◆送料無料の設定価格を100ドルとすることで、まとめ買いの需要を掘り起こすことを期待した。それまでテレビCMなどを作っていたマーケティング部を解体し、その費用を送料無料の原資に充てた。

◆顧客をセグメントごとに分けていくと、小さいグループの顧客が大量に買い物をしていることがわかったんです。われわれは、今後時間をかけて、こうした顧客を優遇できる仕組みを考えていきたいんです。

◆事業の3つの柱とは、マーケットプレイス、アマゾンプライム、それにAWSです。この3つが弾み車となっているのです。つまり、1つのサービスがほかのサービスを押し上げ、それがまたほかのサービスを押し上げ、そうして好循環が生まれるのです。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191216日(月)

 

 

<その5>
◆ベゾスはこう話している。
「スタートアップ企業は事業の焦点を絞れば絞るほど、成功する確率が高くなるんです。起業を成功するかどうかどうかの分かれ目は、初期の限られた資源や人材をどれだけ集中して使うことができるかにかかっていると思っています。」

◆立上げ当時のアマゾンのビジネスモデルは現在とは正反対で在庫を持たないことを前提に作られていた。ネット上に100万タイトルの書籍が掲載されており、顧客が注文すると取次に発注し、取引から取り寄せてアマゾンが発送するというものだった。

◆創業時点でのライバルは先行するネット書店だけでなく、実際に店舗を構える書籍の二大チェーン店であった。そうした同業他社に対抗する一番の手段は、書籍の値引販売だった。日本のように再販売制度がないアメリカでは、それが可能だったのである。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191213日(金)

 

 

<その4>
◆ベルディが最も重視する主張は、アマゾンの物流センターの労働者は小売業に属しており、物流業ではない、という点。物流業の労働者の最低賃金は9ユーロ強であるのに対し、小売業の最低賃金が12ユーロになるからだ。
それに対し、アマゾン側は、自らの労働者は物流業に属すると主張してきた。

◆このあたりの劣悪な労働条件については、どこの国で話を聞いてもそっくりなのだが。ビドマンの話を聞いて私が最も驚いたのは、アマゾンがまだ一度も労働組合との話し合いの席についたことがない、ということだった。

◆アマゾンが蛇蝎のように嫌うものが3つある。
1つは労働組合の活動であり、もう1つは税金を払うこと。最後は情報を開示することだ。

◆アマゾンが開業したときには、100万タイトルの書籍を準備しました。ネット書店だから、これほどのタイトル数になります。これだけの数の書籍のカタログを実際の紙に印刷しようと思ったら、ニューヨーク市の電話帳の13冊分に当たる分量が必要です。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191212日(木)

 

 

<その3>
◆アマゾンにとっては、ドイツはアメリカに次ぐ世界第2位の市場で、3位イギリスと4位日本がそれにつづく。アマゾンが年次報告書で国別の売上高を公表しているのはこの4ヵ国のみで、残りはその他の国の合計額を海外部門として公表しているだけ。本国の次の売上高を上げるドイツの物流センターで組合が組織されているという事実をアマゾンの本社はどれほど苦々しく思っているだろう。

◆その後も毎年ドイツの労組はクリスマス前や11月の「ブラックフライデー」といった繁忙期を狙ってストを打ちつづけた。そのストがイタリアやスペインに飛び火した。
18年7月には、アマゾンの2日間にわたるセール期間に本家ドイツ加え、スペインとイタリア、ポーランドとイギリス、それにフランスでもストが打たれた。ストを打つことが できるということは、労働者が団結し、アマゾンと対峙するだけの力を持っているということだ。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191211日(水)

 

 

<その2>
◆多くの荷主がヤマト運輸から強引な運賃の値上げを迫られ「ヤマトショック」と呼ばれた。
その「ヤマトショック」の裏側にあったのは、アマゾン発の個人宅向けの荷物だ。その個数は、業界トップであるヤマト運輸の総取扱個数である18個のうち3.5億個ともいわれた。個数の多さ以上に問題だったのは、その安い運賃だ。1個当たり280円といわれ、どれだけ運んでも利益が出ない低水準の運賃だ。

◆アマゾンで注文するお客さん全体でいえるんですけれど、自分の指定した時間にいないことも平気ですし、その後帰ってくると、30分しか家にいないので、すぐに届けてほしい、という無茶な人もいます。タダで何度も配達してもらっても、それが当たり前という気持ちがあるんじゃないですかね。


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  横田増生 「潜入ルポ アマゾン帝国」(小学館)
20191210日(火)

 

 

なかなかの力作である。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとしたい。
<その1>
◆どうして、10ヶ所以上あるアマゾンの物流センターから小田原を選んだかといえば、1つはアマゾンの物流センターで一番大きいことと、もう1つは、ある物流企業の経営者から「小田原の内部は、相当がちゃがちゃしているらしいよ」 という話を聞いたからだ。業務の水準は低いし、アルバイトを集めるのにも苦労しているのだという。

◆私が気になったのは、「アマゾン様」という尊称だ。
最初の潜入時、アマゾンのことを当時の下請け業者であった日本通運は「アマゾンさん」と呼んでいた。
時がたち、今や「アマゾン様」に格上げである。その後に私が会うアルバイトたちも、「アマゾン様」と呼んでいた。

◆アマゾンという会社はどこもかしこも秘密主義で貫かれており、こうした内部告発をする社員は皆無に等しいことを、これまでの取材で骨身にしみて知っていたからだ。


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  岡本行生 「あなたの会社は高く売れます」(ダイヤモンド社)
201996日(金)

 

 

<その3>
◆従業員において重要なことは、豊富な業務知識や高い専門性を持っていることである。

◆市場シェアにおいて重要なことは、小さくしてもトップシェアを持っていることである。

◆特許、技術、情報において重要なことは、過去に手がけた技術や集めた情報、獲得したノウハウ、知的財産を整理し、表現できるようにしておくことである。

◆これほど高収益体質のビジネスにもかかわらず、日本全国を見渡しても、特殊車両のレンタル会社は意外と少ないのです。


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  岡本行生 「あなたの会社は高く売れます」(ダイヤモンド社)
201995日(木)

 

 

<その2>
◆これまで、中小企業M&Aの市場では、業種や業態にかかわらず、次の3つの特徴のいずれかを持つ会社が高く売れると認識されてきました。
・「儲かっている」 -- 安定して営業利益が1億以上出ている。
・「規模が大きい」-- 売上20億円以上の商圏を持っている。
・「成長している」 -- 売上が毎年20%以上成長している。

◆取引先(BtoB)において重要なことは、優良な企業を取引先としてもっていることと、ある特定の地域に密集している販売網を持っていることである。

◆顧客(BtoC)において重要なことは、高額な商品を継続購入できる富裕層を囲い込んでいると、顧客からのクレームや解約理由など詳細な情報を保持していることである。


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  岡本行生 「あなたの会社は高く売れます」(ダイヤモンド社)
201994日(水)

 

 

本書は小さな会社でも案外高く売却できますよということを強く主張している。
M&Aの取引にはそれでよいのかもしれないが、実は買った側は高く買いすぎたため、非常に苦労しているという事例があとを絶たない。以下、本書より参考となるくだりを要約していきたい。
<その1>
◆10年前までは、金融機関が中堅・中小企業の買収資金を融資することはなかなか認められませんでした。しかし、この10年で金融機関のスタンスが変わってきています。

◆5、6年前は、最終利益の3年分ののれん代しか付かなかったのに、今は5年分、10年分という高額で提示されることも珍しくありません。


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  上田裕康 「その歯医者は異端か正統か」(三恵社)
201993日(火)

 

 

<その4>
◆人が歯を失う大きな原因である歯周病。歯周病にかかっている人の多くは通常80歳を越えると歯を失ってしまうことになるのです。しかし、定期的な歯周病のメンテナンス(歯石取り)で、進行を抑えることができ、80歳を越えても失わないことは証明されています。

◆ここで必要とされるのは、患者さんの病状を正しく理解し、難しい局面を切り開く判断能力です。そして、患者さんの痛みや苦しみ、それを我が事のように感じられる共感力。いずれも高度な能力と意思が必要とされますが、そこに独創性を発揮する余地は低いと言わざるを得ません。すなわち、彼ら(数字や物理のオリンピックで金メダルを取った高校生たち)は、医師の道に進んだことで独創的な才能を伸ばすことが難しくなったのではないかとそんな複雑な気持ちを抱いたのです。

◆インプラント治療は大変有効な治療です。インプラント治療による結果をAランクとすれば、入れ歯治療結果はCランク。それぐらい患者さんの満足度に違いが出るのです。


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  上田裕康 「その歯医者は異端か正統か」(三恵社)
201992日(月)

 

 

<その3>
◆仕事のストレスを解決する最も簡単な方法は、自分の人生に仕事より大切な目的を見つけることです。その目的達成のために必要なお金を得るべく今の仕事をしているんだという考え方が人生をストレスから遠ざけてくれる方法です。

◆「ストレスが体に悪いのではなく、ストレスを悪いものと捉えてなんとかしようとする心が体に悪いのである。」というのがアメリカ精神医学会の最新の見解だという記事をどこかで読んだことがあります。

◆成功者の共通点は「人知れず努力をしていること」です。そういった行動の根本には自身のなりたい将来像を持ち続けているということがあると思われます。

◆70歳までの医療費と70歳以上の医療費がほぼ拮抗するという現状がわが国にはあります。


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  上田裕康 「その歯医者は異端か正統か」(三恵社)
2019830日(金)

 

 

<その2>
◆歯科衛生士は、求人倍率が10倍を超える売り手市場の職種です。それ由、意に沿わないことがあると一言二言目には「辞める」という言葉を口にする人が多くいます。立場が強い人は、意のままにならないとこういう手、いわゆる「逆ギレ」を使って相手を屈服させる傾向があります。

◆「逆ギレは、人間の最も醜い行為」です。間違ったことへの純粋な怒りには、自己主張のさわやかさがありますが、痛いところを突かれて、それに反発しての怒り「逆ギレ」には、自己可愛さのおぞましいエゴイズムしか存在しません。

◆世の中は高学歴の人がリーダーになりやすい学歴社会です。それは、高学歴者には、えてして「教養」があるからです。高学歴者に対する言葉は「現場叩き上げ」とも言えます。もちろん、それはそれはそれで素晴らしい。ただ1つの技術に対して、それはなぜ生まれたのか?どんな材料でできていて、どのような強みと弱点があるのか?それが社会全体でどのような役割をどの程度果たしていのか?など、この技術そのもの以外にも関連する多くの事柄を学ぶことは大切です。このように技術そのものを支える多くの関連項目についての知識を教養と言うのです。


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  上田裕康 「その歯医者は異端か正統か」(三恵社)
2019829日(木)

 

 

サブタイトルには、田舎で5億を売り上げるカリスマ歯科医の人生哲学と書かれている。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとしたい。
<その1>
◆「この人から多くのことを得た」と相手に感じてもらうためには、拒否されても怒らず相手のためになると思うことを付き合いが終わることも恐れずに愚直に提供し続けることです。愚直に提供し続ける中で相手に失望を感じれば、その時はその相手を諦めて自分の気持ちを理解してくれる別の人に同じようにためになると思うことを提供し続ければよいのです。

◆もし仮に歯科治療の評価に「優・良・可」や点数があった場合、優の80点治療をいかにリーズナブルにできるか私はこれが大切だと思っています。
一方、80点の治療は、やり方によっては可能で、患者さんにも満足してもらうことができるのです。そのためには、たくさん学ぶこと。高度な技術、知識の習得に時間をかけると、自分がだいたいどの程度のレベルにあるのかが、わかります。


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  田村陽至 「捨てないパン屋」(清流出版)
2019828日(水)

 

 

<その4>
◆パン屋を考えると、常連さんが300人いれば、じゅうぶん豊かに暮らしていけます。定期購入(インターネット販売)のお客さんが150人いるので、店舗で150人常連さんがいればそれでじゅうぶんです。何万人に告知するとかは、何の意味もないのです。

◆僕の大好きなフランスのパン屋「ポワラーヌ」は、何年と変わらぬ薪(電気やガスでなく)でパンを焼く製法で世界で一番と言われるパン屋になりました。
先代の店主はそれを「レトロ・イノベーション」と言いました。古いやり方で革新するという意味です。 僕はこの考え方が好きなのです。

◆食べ物も道具も生活も昔ながらのやり方のほうが質が上がります。何百年、ひょっとしたら何千年もの間、試行錯誤してきた技術だからです。

◆パン屋にかかわらず開店して3年間続くお店は3割だと言われます。10年続くお店は1割だとか。それだけの打率なのに、一打席目にすべての力を注ぐのは危険な気がします。

◆フランスにいた頃、スーパーのレジに並んでいると、レジの店員とお客さんが話こむことがけっこうありました。その後ろにずらっと、ほかのお客さんが並んでいても、2人は平気なのです。
そして、後ろの人たちは、何も文句を言わずに余裕の表情で並んでいます。


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  田村陽至 「捨てないパン屋」(清流出版)
2019827日(火)

 

 

<その3>
◆地方の田舎町。きれいな山や海はあるけれど、産業はこれといってない。日本の典型的な過疎化している町のようですが、ヨーロッパ全般で、このような田舎町には、夏の間、人があふれています。人々はヴァカンスを楽しむために稼いできているので、バンバンお金を使います。都会で稼いで田舎で使う。お金が経済の血液だとすると、しっかり手足の隅々まで血流が行き届いています。

◆ヨーロッパについては、働かない人が多いとか社会保障が手厚すぎるとか人によっていろいろ言うけれど、日本に比べたら深刻度は浅いのではないでしょうか。日本のような閉塞感も感じません。

◆一番の特徴はヨーロッパの多くの国は農業国なので食べ物が安いということ。だからさらに生活に余裕が出ているように感じます。

◆ヨーロッパの人たちは、ろくすっぽ働いていない。それでもみんな長期休暇をとったり、土日はしっかり休んだり。バカンスシーズンにはどんなへんぴな田舎町でも長期滞在者で賑わっていたりします。日本は何も勝っていないのです。


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  田村陽至 「捨てないパン屋」(清流出版)
2019826日(月)

 

 

<その2>
◆固くて重くて具の入っていないパンを愛してくれる変わったお客様は、そんなにいません。少数です。だから、僕たちも、そんなお客様に集中して応えたい。

◆ほとんどのヨーロッパの家族では一つの皿で食事を進めていくので、たとえばサラダを食べたあとは、パンでお皿を拭いてきれいにして、次のお肉をとって食べる。それを食べ終えたらまたパンできれいに拭いて食事を終えます。

◆察しの良い方はすでにお気づきだと思いますが、パンもこの馬乳酒と同じく、人間が消化しにくいものを消化しやすくしたものなのです。
小麦粉に含まれるガム状のタンパク質「グルテン」を人間は消化するのが苦手です。だから、最近セレブの間で話題になっているグルテンフリー。その裏付けとなっている「グルテンは身体に悪いよ説」はだいたい本当です。

◆フランスはこれまで戦争に一度も負けたことがないので、かつての社会構造や富がそのまま残っているようなのです。そういう背景をうまく利用して豊かに暮らしている、という部分もありそうです。


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  田村陽至 「捨てないパン屋」(清流出版)
2019823日(金)

 

 

事業経営の本質について書かれたもので、非常に面白く読めた。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとする。
<その1>
◆以前は20種類近くあったパンを4種類にまで減らして、売るのは500gか1kgの大きなパンだけ。しかも具は入っていません。

◆インターネットでの地方発送もやっています。これはありがたいです。ただ、ネット販売は注文数がけっこう上下します。そこで定期購入をはじめました。今、定期のお客さまは150人です。もし仮にこれが300人であれば店売りをやめても豊かに暮らしていけます。パンを1つも捨てることなくです。

◆手をかけ時間をかけB級の材料を使うより手を抜いて最高級の材料を使うほうが、つくるのもラクで値段も安く、そのうえ断然美味しいことに気づいたのです。


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  安藤百福 発明記念館(編)「転んでもただでは起きるな!」(中公文庫)
201986日(火)

 

 

<その2>
◆1970(昭和45)年頃、日本の即席めんの市場は、年間の総需要が36億食でピークに達し、頭打ちになっていた。国内でも新しい需要を作り出す新製品が必要になった。安藤はこのカップ入りのインスタントラーメンを国内市場でも起死回生の商品にするつもりだった。

◆1997(平成9)年12月、食品商社の東食が倒産した。寝耳に水だった。東食は三井物産の食糧部門が独立した会社だが、三菱商事、伊藤忠商事とともに、日清食品の販売代理店として40年に及ぶ長い付き合いがあった。負債総額は6,397億円と、当時としては、戦後3番目の大型倒産だった。日清食品との取引は年間約500億円、倒産による被害額は約132億円になった。


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  安藤百福 発明記念館(編)「転んでもただでは起きるな!」(中公文庫)
201985日(月)

 

 

本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していく。
<その1>
◆安藤が生まれ幼少期を過ごしたのは台湾の田舎町である。日本が領有してから15年たっていた。内地での騒々しい雰囲気も、さすがにこの静かな地方都市まで伝わっていなかった。

◆商売をやるなら「誰もやっていない新しい仕事をやりたい」。繊維業界の動きを調べるうちに安藤はメリヤスに注目した。メリヤスとは、もともとポルトガル語で靴下という意味である。

◆昭和33年に出来た「チキンラーメン」はのちに「魔法のラーメン」と呼ばれるようになった。安藤は客の反応をつぶさに観察しながら、この商品は売れるという確かな手ごたえをつかんだ。
この時安藤は48歳だった。「遅い出発ですね。」とよく言われるが、いつも「人生に遅すぎるということはない。50歳でも60歳からでも新しい出発はある」と答えた。


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  中澤一雄「外資の流儀」(講談社)
2019724日(水)

 

 

<その5>
◆「結果を出している人は会社に残る。結果を出していない人は退職を勧奨されるために会社に残れない。という側面が外資系企業には確かにあります。ただし、この側面だけをもって、外資は弱肉強食だ。と断言されてしまうのには、違和感を覚えます。」
※仕事もしないで遊んでいる人たちが、日本の大企業には、うじゃうじゃいる。外資が厳しいというよりは日本の大企業が甘やかしすぎだと思う。

◆「日本企業は全体として3割ぐらい人が多いような気がします。もちろん、建設系など、人手不足の業種はいくつかありますが、人が余っている業種は多いと思います。」
※仕事をしない人間をクビにすることは悪ではない。仕事もしないのに給与をもらっていると人間の質がドンドン悪くなっていく。


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  中澤一雄「外資の流儀」(講談社)
2019723日(火)

 

 

<その4>
◆「1985年当時、日本企業では、1年に1回の決算で測られていました。進んだ企業でも、せいぜい半期決算が行なわれていたぐらいです。しかし、アメリカではすでに4半期決算が行なわれていました。」
※日本の中小企業で月次決算で行われているのは20%程度だが大企業ではほぼ100%である。それを公表しているか否かの制度上の問題なのである。経営者にとっては、月次決算は絶対必要だが、投資家にとっては、年次決算で充分である。

◆「司法の面では、司法取引や裁判員制度がこのときすでに実施されていました。日本では裁判員制度が2009年から司法取引は2018年なってやっと導入されました。」
※現在でも刑事裁判での有罪率は99.99%とかわっていない。これらの改正では、検察官が起訴したのをほぼすべて、裁判官が有罪にしてしまうことのなれあい体質は、改革されないのである。


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  中澤一雄「外資の流儀」(講談社)
2019722日(月)

 

 

<その3>
◆「日本人には、マクドナルドのような精緻なマニュアルは作れないと思います。それは「ゼロ」から生み出す発想力にかけているからです。」
※この意見には全面的に賛成である。

◆「業績に対して、従業員にも正当なインセンティブを与える。そのスタンスにやる気が引き出されました。日本企業にも決算賞与を出す会社はありましたがトータルで年収と同額のボーナスを出す会社はなかったと思います。」
※従業員の給与は長期的に少しずつあがっていくのが理想である。従業員をおカネでしか引きとめられなくなったら、会社はもう終わりである。 また、会社の業績と言うのは、トップの方針でほとんど決まってしまう。由にトップは業績によって年収を調整する。本当に悪化すれば、持ち出しなのである。


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  中澤一雄「外資の流儀」(講談社)
2019719日(金)

 

 

<その2>
◆「いずれ、現金をなくしてクレジットカードと電子マネーだけにする流れは、世界的に進んでいくでしょう。しかし、日本の場合は、現在もキャッシュオリエンテッド(全体の約80%が現金決済)です。効率化向上を目指して世界がキャッシュレスに動いているが、日本は進化が遅いと言わざるを得ません。」
※日本では、売り手にとってはコストの問題、買い手にとっては安全性の問題からキャッシュ中心のである。効率化の向上しか考えていないというのは、問題である。

◆「アメリカと日本との間には、効率化や生産性の向上という概念に対して、これほどの開きがあるのです。」
※日本の会社と外資系の会社を比べると、杓子定規に物事を考えず、効率化を優先しているのは、むしろ、日本の会社である。これは、私の経験上、断言できる。 もうひとつ気になるのは、生産性の向上というとすぐに効率化と発想してしまうことである。付加価値の高いものを高額で販売していくというのが本当の意味での生産性の向上なのである。


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  中澤一雄「外資の流儀」(講談社)
2019718日(木)

 

 

「必ず日本企業は外資型の組織に変わっていきます。変わらないと生き残れないからです。」と書かれているが、本当であろうか。 以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介するとともに、私のコメントも付していきたい。

<その1>
◆「日本企業の生産性がアメリカ企業の半分程度にとどまってしまっている最大の原因は、日本企業が新卒採用や年功序列、終身雇用といった日本の経営を続けており、世界基準である外資流の経営手法を採り入れていないからだと私は考えています。」
※著者は欧米諸外国でも優良企業のすべてが終身雇用になっているという事実を知らないようである。

◆「米国では年収1,000万円以上の家計が全体の3割弱を占めるのに対し、日本ではわずか4%強にすぎません。平均年収も米国の約793万に対して日本は約420万円と半分程度です。」
※物価を無視しての単純な年収比較に意味があるのだろうか。


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  菅原勇一郎「東京大田区・弁当屋のすごい経営」(扶桑社)
2019422日(月)

 

 

<その4>
◆イタリアは国家財政が破綻状況にあるのに、地方都市や地場の中小企業は栄えている不思議な国です。イタリアでは、社員が15人を超えると税金が高くなるので、従業員が15人に満たない中小企業が圧倒的に多い。そうした中小企業が都市ごとに集まって、水平分等しながら特色ある製品を生み出し、世界に発信しています。

◆玉子屋の弁当は、玉子屋の配達ルート近辺にあるオフィスでお仕事をされていなければ、食べられません。しかも1回10食以上でなければ、基本的には注文をお受けしない。だから「玉子屋の弁当が、食べられなくて悔しい」という声をよくいただきます。


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  菅原勇一郎「東京大田区・弁当屋のすごい経営」(扶桑社)
2019419日(金)

 

 

<その3>
◆日替わり幕の内弁当一本の玉子屋に対して、玉乃家は葬儀・法要各種、イベントやパーティ、会議用の仕出し料理が専門です。
今や売り上げは年間18億円に達して、企業のイベントやパーティ、会議などの仕出し弁当はもちろん、冠婚葬祭用の仕出し料理も玉子屋を上回る勢いで伸びています。

◆弁当屋によっての「顧客第一主義」とは何か。考えるまでもありません。美味しい弁当を提供すること。もっと言えば、原価率を高くして美味しい弁当を世に送り出すことです。

◆工場もだいぶ老朽化が進んできたので、5億円、10億円かけて建て直すことは視野にいれています。会長はゼロから玉子屋を立ち上げて、1万食、2万食の工場をつくるたびに、銀行から借り入れていました。多いときには17〜18億円ぐらの借り入れがあった。まだ借入金は残っていますが、数年前に現預金が上回って、今は実質、無借金経営になっています。したがって建て替え資金の借り入れ問題はない。1億円ずつなら10年で返済できます。


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  菅原勇一郎「東京大田区・弁当屋のすごい経営」(扶桑社)
2019418日(木)

 

 

<その2>
◆弁当屋の業態や弁当の種類などによって原価率は違ってきますが、良心的な弁当屋でも40〜42%ぐらいが普通だと思います。
50%オーバーの原価率を維持するのは創業者が決めた、いわば、「玉子屋の心意気」のようなものです。

◆玉子屋の弁当というと品種豊富で彩りもいいおかずに目が向きがちですが、何よりこだわりをもっているのは、実はご飯です。

◆日本の食品廃棄量世界トップクラスで、約2,800トンという数字は日本の食料消費全体の3割に当たります。このうち売れ残りや食べ残し、期限切れなどで食べられるのに捨てられる、いわゆる「食品ロス」は年間で646万トン以上あるそうです。

◆玉子屋の弁当のロス率、つまり廃棄率は平均で0.1%です。6万食の弁当をつくって、余るのは60個程度。弁当屋の一般的なロス率は3%と言われますから、玉子屋の廃棄率は驚異的に低い。
玉子屋の廃棄率はなぜ低いのか。
その最大の理由は前日に決定する翌日の弁当の見込み数にあります。前日の見込み数に対して、少なめに弁当をつくって、足りない分を後からプラスしてつくるのです。


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  菅原勇一郎「東京大田区・弁当屋のすごい経営」(扶桑社)
2019417日(水)

 

 

日本でもっとも売上高の多いお弁当屋さんのはなしである。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとする。

<その1>
◆玉子屋の弁当はブルーカラーだけではなく、オフィスで働くホワイトカラーにも好評をいただいて大きく食数を伸ばしてきました。今後もホワイトカラーの食数を伸ばしていくのであれば、もっと女性に訴求するようなメニューにブラッシュアップしなければならないと感じました。

◆会社には電話100台ファックス70台が備えられています。9時過ぎから騒然となり、9時30分から10時30分にかけては、ひっきりなしに電話が鳴り続けてスタッフはひたすら受け付け対応に追われる。ちなみにネット注文は、全体の1割程度です。

◆玉子屋の日替わり弁当は450円。その原価率は2017年で53%前後。つまり1食にかける材料費は238円50銭ほどです。これは純然たる食材費で容器代や物流費・人件費などは含まれていません。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181227日(木)

 

 

<その11>
◆一人の年寄りが死ぬことは、図書館が一つなくなるのと同じ。これはアフリカで伝わってきたことわざだ。堤の経営者人生は、決して成功物語ではない。だからこそこの図書館には栄光と失敗の本質を理解できる多様な知恵が眠っている。

◆堤清二という経営者は、事業を構想するスケールが大きく、思考も深かった。そして、それを比例するように、経営者としての短所も多く持ち合わせていた。独創的なビジネスを構想する力に秀でていた一方で、既に出来上がったビジネスで安定した利益を得る力、つまり持続力には問題があった。セゾングループ各社に対して自由なアイデアを認めたため、ユニークな事業が多数生まれたが、半面、グループの統治はおろそかになった。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181226日(水)

 

 

<その10>
◆「堤さんはこけるのがいやだから、用心深く周りを見て、裸の王様にならないよう必死で努力をしていました。しかし、それでもやはり、裸の王様になったんです。」現代でも、強いリーダーシップを持つ企業のトップが陥りやすい罠である。

◆私がもし経営者として、レゾンデートルを持っていたとすれば、無印良品までです。

◆堤が流通業という事業に託したのは、日本国民の「自由な」生活に寄与したいという理想だった。ここで言う「国民」は大衆ではあるが、消費者というよりも、民主主義社会に生きる「市民」という側面が強い。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181225日(火)

 

 

<その9>
◆当初、若手経営者で、詩人・作家として知られる堤のことを、天才のように思って憧れていた。だが、今では「とてつもない努力の人だった」と感じている。堤は財界人、取引先、政治家、文化・芸術関係など、寸暇を惜しんで人と会っていた。時には一晩の会合が3段階になっていて、はしごをすることもあったという。帰宅してからも、頼まれたものを執筆することが多かったようだ。そして、人と話す時にはいつも何かを書きとめる「メモ魔」だった。

◆成功と失敗はコインの表と裏のような関係なのかもしれない。何かに急き立てられるかのように攻めの経営を続けなければ、たった1代で約200社、売上高4兆円以上というコングロマリットは誕生しなかった。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181221日(金)

 

 

<その8>
◆堤は、独創的なアイデアを重視する一方で継続的に利益を上げる仕組みづくりに対して、あまり関心がなかった。そもそも、マニュアルに基づいた効率的なオペレーションを目指すような性格ではなかったのだ。

◆堤は1975年の社内報で、ショップマスター制を導入した意義について、次のような趣旨の発言をしている。「仕事の場で人間が中心でなければならない。人間が労働の主人公になるべきだ」

◆よろこんでもらうには、お客の言うことを聞いていては、ダメですよね。アンケートを取ったり、マーケティングをやったりした結果ではなく、もっと考えないと、次の姿は出てこないわけだから。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181220日(木)

 

 

<その7>
◆セブンイレブンの関係者は「仮に加盟店の利益をもっと増やそうというFC法が成立したら、我々は経営が一気に苦しくなる」と警戒する。FC加盟店の疲弊に世論の注目が集まれば、法規制の現実味も帯びかねない。

◆これが怖いのは、再編や寡占化が進んで、産業界の多様性がなくなること。それと統制経済で自由が失われることだと思います。

◆賃金や働き方の問題は、本来ならば、経営というものの中で考えるべきでしょう。それを「官製」で動かそうとすることに対して、堤さんは頑として、反対したと思います。

◆米国の様子を見ていると、その地域に住んでいる人に合わせて品ぞろえを変えている。その変え方がチェーンオペレーションのスピリットになっているという感じがする。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181219日(水)

 

 

<その6>
◆自分の頭でものを考え、判断することが質販店なのである。西友のある種の失敗というのは、量販店から質販店へ舵を切る時に立派な店をつくってしまったことにありました。

◆FC方式による共存共栄というのは、セブンイレブンなども同様だ。しかしファミリーマートの場合、共存共栄の理想が事業に鮮明に反映されていた。利益配分でも、FC加盟店がより大きな割合を取れる契約内容になっていたという。

◆だが、その一方で、その「緩さ」があだとなって、規律の厳しいセブンイレブンに大きく差をつけられたのも事実である。セブンイレブンのように、どの店も一定水準を保っている方が、消費者にとって安心につながるのだ。ファミリーマートの弱点は、自由さと表裏一体とも言える統率力の低さにあった。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181218日(火)

 

 

<その5>
◆パルコは1973年、渋谷への出店で一躍有名になる。「すれちがう人が美しい〜渋谷公園通り〜」というコピーで裏通りの印象が強かった区役所通りのイメージを一新。「公園通り」と呼ばれるようになり洗練された若者のファッションの街へと変貌していく。

◆パルコが日本に登場したのは、日本経済の成長真っ只中。若い女性たちの給料が年々上がるいい時代だった。

◆戦後の大衆消費社会をリードしたセゾングループ。西武百貨店を母体に、コングロマリットの形成にまい進していた堤は、一体、どこでつまずいたのか。最大の挫折は、ホテルやリゾート開発といった領域にあった。

◆1990年代、セゾングループの負債は3兆円以上と言われ、西洋環境開発は2000年に経営破綻。グループ解体に至った。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181217日(月)

 

 

<その4>
◆表舞台から退いた堤に代わって、西武百貨店の顔として苦しい時代に強力なリーダーシップを発揮していた和田繁明は西武百貨店とそごうを統合させることにした。さらには、財務的な不安が払拭されないため、セブン&アイ・ホールディングスの傘下に入ることとなった。(2005年)。
それから10年以上が経過したが、西武百貨店は今なお毎年のように、日本各地で店舗の閉鎖を続けている。

◆そんな中で、パルコは「ファッションビル」という新しい業態をスタートさせた。百貨店と似たような商業施設に見えたとしても、ビジネスモデルは全く異なる。パルコは自ら商品を仕入れて売るのではなく、テナントからの賃料で利益を得る不動産業だ。百貨店のように品ぞろえで勝負するのではなく、テナント構成と建物全体のイメージで勝負する空間プロデューサー業とも言えるビジネスモデルだった。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181214日(金)

 

 

<その3>
◆堤は頭の中に描く構想を抽象的な言葉で伝えることも多く、社員たちはいかにそれを解釈し、具体化するのかに身骨を砕いた。

◆話題性は高く、広く注目を集めたものの、収益面は厳しい状態が続いた。堤の理想を実現するためのこだわりが、コストを押し上げてしまったのだ。これは、西武有楽町店にも共通する課題だった。

◆もちろん、いくら技術革新が進んで単純作業が減ったとしても、組織の仕組みが変わらなければ、人間性の回復も期待できない。上意下達で命令通りに動くばかりで、現場に創意工夫が生まれなければ、来店客を満足させる店などつくりようがない。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181213日(木)

 

 

<その2>
◆西武美術館は、1970年代から1980年代にかけて、西武百貨店の「自己否定型イノベーション」、すなわち、「脱小売業」戦略の象徴的な存在だった。

◆「衣食住」が充足した時代には、「遊、休、知、美」という新たな消費者ニーズをつかまなくてはならない。そのためにも、総合的な百貨店の商品構成を破壊して、専門店並みの深い品ぞろえを目指すべきだと考えたわけだ。

◆西武百貨店などのイメージ戦略が成功し、企業の「格」が上がった後でも、堤は「上から目線」で仕事をすることを自らや社員らに戒め、庶民に寄り添う意識を最も大切にしていた。

◆この拡大戦略の効果があり、1987年度の西武百貨店の売上高は、三越を抜いて、業界1位になった。企業としても創業50年弱でついにトップに成り上がったわけだ。


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  鈴木哲也「セゾン堤清二が見た未来」(日経BP社)
20181212日(水)

 

 

本の帯には「2020年を前にして、堤清二の考え方を知る。」と書かれている。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆2017年度の良品計画の決算は、国内全体で7期連続の営業増益を達成。順風満帆だった。無印良品の海外店舗数は国内店舗数を抜いて、年度末に457店になった。

◆その闇市と一体のように営業していたのが池袋駅に隣接する「武蔵野デパート」。西武百貨店の前身だ。発足したのは戦時中の1940年。もともと池袋駅に隣接する「菊屋」という店舗を堤康次郎が買収して改称したものだ。

◆大卒定期採用を始めた1956年に堤は社員に向けて「日本一の百貨店を目指す」と宣言している。当時の西武百貨店の売上高は、都内の百貨店の中でも9位だったという。


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  前野雅弥「ビール営業王 社長たちの闘い」(日経出版)
201893日(月)

 

 

<その5>
◆戦前の日本人の晩酌は、「ラジオを効きながら燗酒」だった。それが高度成長によって、「テレビを見ながら、冷蔵庫で冷やした冷たいビール」に移行しつつあった。そして、この「冷たいビール」こそキリンビールだった。キリンは業務用が弱く、家庭用が強かった。

◆例えば、1957年。電気冷蔵庫の普及率は3%未満だったがこの年のキリンのシェアは41.9%。ところが1970年代に、電気冷蔵庫の普及率が90%に達すると、キリンのシェアは60%を超える。キリンの独禁法違反が議論されたのも、ちょうどそのころ。電気冷蔵庫の普及とキリンのシェア拡大はピタリと重なる。

◆1998年、アサヒビールがビールのシェアで39.5%を獲得し、ついにトップに立ったのだ。キリンビールとは1.1ポイント差だった。それ以来今日にいたるまで、アサヒは王者の座を守り続けている。

◆ハイボールは、アルコール度数が8%程度と、さほど高くないから、食中酒にも最適だ。炭酸が口の中をスッキリさせるので、北海道で人気のジンギスカンとも相性がいい。


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  前野雅弥「ビール営業王 社長たちの闘い」(日経出版)
2018831日(金)

 

 

<その4>
◆「どうしたらキリンのようにうまくいくのか?」この真っ直ぐな質問に、小西も真っ正面から応じた。
「アサヒのビールは古いよ。売れないから店先で古くなっている。それでまた売れない」
たしかにこの指摘は的を射ていた。ビールは生鮮食品、つまり生ものなのだ。だから鮮度にだって充分に気を配らなければいけない。小西はビールのビジネスの要締を樋口に教えたのだった。

◆その一方で、樋口自身は「銀行出身の私は、アサヒにとっては、いわば養子」とのスタンスを貫いた。そして、最後までこう言い続けた。
「私がいたことなど、忘れられていい。痕跡をいささかも残すべきではない」
どんな礎石にも自身の名前を刻もうとしなかった。ケンカ太郎の激しさを持ちながら、自らの立場をわきまえた生き様の美学だった。

◆1987年3月の「スーパードライ」の発売は、ビールの業界地図を変えた。その後もアサヒビールの勢いは止まらず、ライバルメーカーはその対応に知恵を絞った。


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  前野雅弥「ビール営業王 社長たちの闘い」(日経出版)
2018830日(木)

 

 

<その3>
◆もともと、アサヒビールの営業には、本社の製造部門にもの申せない雰囲気があった。「商品自体は良い。売れないのは営業が悪いからだ。」製造現場はそう考えていた。しかし、村井はヒアリングを繰り返して、「違う。商品が悪い」と断じた。

◆5,000人調査で浮かび上がったのは、消費者が求めるビールは、まず口にふくんだとき、「うまさ」を感じる事、そして、その味がさっと消えること。この2つが求められていた。マーケティング部は、これを「コク」と「キレ」と表現した。

◆「私はきちんと訪問していたし、提案もしていました。絶対に落ち度はありません。」
「布施なあ、コミュニケーションというのは100%、受け手に権利があるんだよ。」
「まず相手の話を徹底的に聞く。これが絶対に大事だ」


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  前野雅弥「ビール営業王 社長たちの闘い」(日経出版)
2018830日(木)

 

 

<その3>
◆もともと、アサヒビールの営業には、本社の製造部門にもの申せない雰囲気があった。「商品自体は良い。売れないのは営業が悪いからだ。」製造現場はそう考えていた。しかし、村井はヒアリングを繰り返して、「違う。商品が悪い」と断じた。

◆5,000人調査で浮かび上がったのは、消費者が求めるビールは、まず口にふくんだとき、「うまさ」を感じる事、そして、その味がさっと消えること。この2つが求められていた。マーケティング部は、これを「コク」と「キレ」と表現した。

◆「私はきちんと訪問していたし、提案もしていました。絶対に落ち度はありません。」
「布施なあ、コミュニケーションというのは100%、受け手に権利があるんだよ。」
「まず相手の話を徹底的に聞く。これが絶対に大事だ」


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  前野雅弥「ビール営業王 社長たちの闘い」(日経出版)
2018829日(水)

 

 

<その2>
◆高級ビールである「ヱビス」と異なり、「黒ラベル」は、スタンダードビールの範疇に入る。スタンダードビールでは、アサヒビールの「スーパードライ」、キリンビールの「一番搾り」がしのぎを削り、「黒ラベル」はなかなか割り込んでいけない。

◆戦後、日本のビール市場は大日本麦酒とキリンビールの2社が独占していたが、大日本麦酒が朝日麦酒(アサヒ)と日本麦酒(サッポロ)に分割されたのに対して、キリンは単独のまま残った。
新しく生まれたアサヒビールとサッポロビールは混乱をきわめた。特約店も股裂き状態になり、両社の営業力は急激に弱まった。

◆サントリーのウィスキーづくりは、サントリー酒類の前身で寿屋の創業者、鳥井信治郎が始めた。1923年のことである。1940年には「オールド」の商品開発を終え、終戦を経て、1950年に発売したが、1979年には国内のウィスキー市場でのシェアは80%近くにも達していた。


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  前野雅弥「ビール営業王 社長たちの闘い」(日経出版)
2018828日(火)

 

 

ビール会社の営業に関する本は多いが、大手4社まとめて、描かれるのは珍しいかもしれない。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していこう。

<その1>
◆九州熊本工場は、サントリーの九州でのビール販売量の70%を生産する。そんな工場が地震でストップした。メーカーとしては、致命的な欠品リスクにさらされている。最悪な事態だ。そこにライバルであるキリンが救いの手を差し伸べてきた。

◆そもそもキリンビールとサントリーには浅からぬ縁がある。2009年には経営統合する手前までいった「仲」なのだ。
しかし、結局は「統合比率」(佐治)「経営の透明性」(加藤)などと折り合わず、2010年の年明けに破談となる。

◆サントリーは、1963年、ビール事業に参入した。2代目の佐治敬三は、創業者で父の鳥井信治郎に、あらかじめ決断を伝えた。以来、46年目にして、ビール事業は黒字化し、万年4位の存在から、今では3位が定位置になっている。


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  森田千里雄「どん底企業から東証1部へ」(ダイヤモンド社)
2018827日(月)

 

 

<その5>
◆ただ、お客様の声をそのまま製品に反映させれば、それでいい製品が生まれるかというと、そうではありません。お客様は、自分のこれまでの経験や感覚に基づいて、自分の視点からの意見や考えを言ってくださっただけで、そこに普遍性があるかどうか、つまり他の客様にも、共通しているかどうかは、また別問題です。

◆私が社員によく言う事があります。それは、「利他心」という事です。「人のために」という心が大切だという事です。情けは人のためならず、という格言がありますが「人のため」という心を持ち、そうした行動を積み重ねれば、一時的には自分にとっては、損のように思えることでも、最後は全部自分に返ってくるものです。暗闇の中で人のために明かりをともせば自分の足元もまた明るく照らされる事に似ています。


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  森田千里雄「どん底企業から東証1部へ」(ダイヤモンド社)
2018823日(木)

 

 

<その4>
◆重要なことは、お客様が何を望んでいるかという事です。「角切りカエン」について言えば、使用者の手間を省く事、扱いやすい形状にした事、最適な使用量にした事、などがお客様の要求を満たしたという事です。

◆この経験を通して、私たちが学んだことは、「話をしなければわからない」という事でした。経営側としては、「みんなわかってくれるだろう」と思っていたのですが、そうではありませんでした。「わかってくれているだろう」と思うのは甘えだったのです。
経営理念を決めたのも、そうした事が背景にありました。会社としての方向性をきちんと明文化して、社員全員が同じ思いで、同じ方向を向くことが大事だと考えたのです。


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  森田千里雄「どん底企業から東証1部へ」(ダイヤモンド社)
2018822日(水)

 

 

<その3>
◆「旅館の座敷の鍋料理に、固形燃料のようなものを使っているけど、新高さんもやってみませんか」
販売店からその情報がもたらされた時は、「ああ、あれか」という程度で、すぐには、決断することはありませんでした。というのも、固形燃料は危険物です。燃えるものですから火事などのリスクもあります。商売として取り扱うには、勇気がいる製品だったのです。

◆しかし、当時、当社には他社に勝てるオリジナリティーの高い商品があるわけではありませんでしたし、高度経済成長のなかで、団体旅行も増えており、需要が見込めると判断し、重い腰を上げる事にしました。

◆開発のヒントになったのが、以前、化粧品の原料の分析に使っていたアルコールが使用後に固まった事です。「これだ!」と直感した私は、試行錯誤を繰り返しながら、アルコールを固形化することに何とか成功しました。


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  森田千里雄「どん底企業から東証1部へ」(ダイヤモンド社)
2018821日(火)

 

 

<その2>
◆ある小売業者が当時の卸値が1,500円程度だったにもかかわらず、7,000円で販売していたのです。「それではあまりにも高すぎないですか」と注文をつけると、その小売業者はこう言ったのそうです。「あまりにも汚れが落ちるから、その値段でも買ってくれるんですよ」
商売のやり方の是非についてはさておき、それくらい強い洗浄力のある製品なのです。

◆1970年代以降は、様々な技術の進歩に合わせて、業務の合理化・効率化を進めていきました。どのような技術革新があったのか、少し振り返ってみましょう。
コピーについては、「青焼き」と呼ばれる湿式のコピーから現在のようなタイプになったのは1970年代の後半になってからでした。
計算機については、ポケット電卓が登場したのは1972年の事でそれまでは手回し計算機が現役として活躍していました。
FAXについては、以前は送信スピードが非常に遅かったのですが、1980年にG3モードというものが採用されて、A4用紙1枚分のデータが約1分で送信できるようになり、そこから利用も増えていきました。
一方パソコンについては、1975年にビル・ゲイツが「BASIC」を書き、1976年にスティーブ・ジョブスがアップルコンピュータを創業しました。


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  森田千里雄「どん底企業から東証1部へ」(ダイヤモンド社)
2018820日(月)

 

 

株式会社ニイタカの代表者の著作であるが、サブタイトルは2度の倒産から東証1部上場を果たした企業の成長の要諦となっている。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆振り返って見れば、その後、様々な困難を乗り越えながらも、今日まで頑張ってこられたのは、モスクワで懸命に学ぶことができたからだと思っています。経済的に苦しかった私に、しっかりと勉強できる環境を提供してくれたソ連や、民族友好大学に対する感謝の念は尽きません。

◆それぞれに異なる素晴らしい特性をもった力のある人材がかいたからこそ、成長できたのだと思います。それぞれ異なるタイプでありながら、同じ方向に向けて力を合わせた事によって、その力が二倍にも三倍にもなったのでしょう。
しかし、成長するまでにずい分と時間がかかったのは、何か不足していたと言えるのではないでしょうか。それは本当の意味でのリーダーシップが不足していたのではないかと思うのです。


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  新井庸志「儲かっている会社はいま何を考えどう行動しようとしているのか」
(実務教育出版)
2018618日(月)

 

 

<その2>
◆コンサルティングというと、企業の経営についてアドバイスを行う「経営コンサルティング」が一般的ですが、顧客に対して効果的に、自社の商品・サービスを提供するための戦略を提案する「マーケティング・コンサルティング」も存在します。経営については、事業の選別や財務といった極めて専門的なタスクが大部分を占めるため、コンサルティングのスキルや知識に頼らなければならない部分が多いのです。
一方、マーケティングは誰でもアドバイスのしやすいアウトプットと密接にかかわっているため、専門家に相談しなくてもよいと考えています。私に言わせれば、マーケティンにこそ、コンサルティングの力が必要なのです。
それは専門家でなくても意見を言いやすいため多くの人からたくさんの意見が集まります。そうすると、立場が上の人や声の大きい人の意見に流されてしまうことも少なくないからです。


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  新井庸志「儲かっている会社はいま何を考えどう行動しようとしているのか」
(実務教育出版)
2018615日(金)

 

 

マーケティングコンサルタントの書いた本である。マーケティングの専門家はどうしても集客のはなしがメインとなるが参考となるくだりを要約して、御紹介してみたい。

<その1>
◆熟考の末に残ったアイデアが女性向け衣類のレンタルサービス(以下、エアークローゼット)です。エアークローゼットでは、ユーザー自身がデジタルカタログを見てアイテムを選ぶのではなく、スタイリストがユーザーに合いそうなアイテムをチョイスしてくれる。

◆2015年時点で遊園地、テーマパークの市場規模は約6,560億円。2000年の約3,000億円に比較すると15年で約2倍の規模に成長しています。
その中で、東京ディズニーリゾート(以下TDR)は、売上高4,653億円強と、市場の約7割を占めているガリバー的な存在です。


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  佐高信、辻野晃一郎「日本最高のカギを握るソニーのDNA」(講談社)
2018614日(木)

 

 

<その6>
◆(辻野)アメリカが核で日本を守るなんて、当たり前のことです。原子爆弾を2発も落とすという、あんな非道なことをやっておいて、しかもその後、医療関係者含めた調査団を送り込み、被爆者の現地調査をしたけれど、一切救済することはしなかった。アメリカという国は、そんな野蛮な面があるわけです。

コメント:もっと問題なことは、そんなアメリカが日本を愛し続けていると、日本人自身が信じ切っていることである。

◆(佐高)その対人地雷の廃絶に小渕恵三は外務大臣の時に、賛成するんです。そして、首相になってから批准する。つまり、今の安倍のようにアメリカに従ってばかりでない。
その後、クラスター爆弾の問題では、福田康夫が動く。福田がクラスター爆弾禁止条約に賛成する。これも同じように米中露は反対でした。その2つからすると、核禁止条約は当然できるはずなんです。

コメント:2人はアメリカに反逆したが由に、短命に終わっているとも言える。アメリカに盾突かない、安倍、小泉、中曽根は長期政権なのである。

◆(佐高)「菱の崩壊」という本を読むと、リニア新幹線、あれは極道がものすごく着目している巨大プロジェクトだということがわかる。あれはほとんどトンネルなので、工事に伴って残土が生じる。その残土は産業廃棄物と同じで、ここに暴力団が深く絡んでくる。

◆(佐高)会社の裏側を考える場合に、総会屋という存在を見ることは欠かせない。総会屋ってほとんど極道でしょう。総会屋がなぜ出てくるかと言うと、会社に闇の部分があるからですよね。闇の部分をなくさなければ、総会屋は次々と出てくる。


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  佐高信、辻野晃一郎「日本最高のカギを握るソニーのDNA」(講談社)
2018613日(水)

 

 

<その5>
◆(辻野)ソニーはない市場を作っていくタイプです。二番手商法ともいわれた松下はすでにある市場を奪っていったり、誰かほかの企業が作った市場を追いかけていくタイプです。

コメント:ソニーの役員等の幹部は、ほぼ全員が戦前の海軍における技術系の高級軍人たちである。海軍における技術の蓄積を戦後、民需転換したにすぎない。戦後のソニーの基礎技術は戦前の海軍においてすでに出来あがっていたものである。ソニーというと、戦後の新興勢力、ベンチャー企業というイメージがあるが、あれは大ウソである。

◆(辻野)何も挑戦しない人が、上にのぼっていくのを目の当たりにして思ったのは、ソニーですら、こんなふうになってしまったけれども、こんな光景は日本のあらゆる企業にはびこっているし、日本の国そのものがそうなんだということです。

コメント:よく挑戦と言うが、これは挑戦しても現在は利益(リターン)がとれなくなっているという事実を無視したはなしである。だから、社内政治に長けた人間が出世してしまうのである。昔は投資した金額に見合った利益が取れていたが、世の中に物が出回ってしまった今日は、そこが難しいのである。それ故、人件費等を減額して、無理して利益を出しているのである。
投資してもリターンが得られない時代、つまり人類史に500年続いた経済成長に限界がきてしまったのである。換言すれば、資本主義の終焉ということである。


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  佐高信、辻野晃一郎「日本最高のカギを握るソニーのDNA」(講談社)
2018612日(火)

 

 

<その4>
◆(辻野)ベータの敗因として、よくいわれるのは録画時間です。ベータが標準で1時間だったのに対して、VHSは2時間。画質と録画時間はトレードオフになりますが技術にプライドを持つソニーは画質を優先しました。一方でVHS陣営は、画質よりも録画時間を優先しました。

コメント:技術プライドよりも顧客の利便を優先させないと事業経営の世界では勝てない。

◆(辻野)政界、財界の、後に影響力を持つような人たちと人脈を作り、それがその後、ソニーがアメリカで事業を大きくする上で役立ってくる。キッシンジャーやロックフェラーとも長年の交流を持っていましたからね。今の時代でも盛田さんクラスの発想力と行動力と人脈をもった日本人経営者は少ないんじゃないかと思います。

コメント:アメリカの最大の権力者はロックフェラー財閥である。キッシンジャーもその1人で外交分野ではアメリカのトップである。アメリカの大統領もロックフェラーの使用人にすぎないと言われるほどに裏からアメリカ社会を牛耳っている。ロックフェラー財閥がいかにあこぎなことをやってきたかについては全く知らないようである。


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  佐高信、辻野晃一郎「日本最高のカギを握るソニーのDNA」(講談社)
2018611日(月)

 

 

<その3>
◆(佐高)東芝問題に関わって私は東芝に扇会という監視機関があることを重要視しています。私から見ると、修養団の禊研修を最も受けさせているのが電機業界だった。その研修の講師は「馬鹿になって物事に挑むきっかけをつかませる」と言うんです。つまり馬鹿を作るのだと言っている。しかし、馬鹿には独創的な判断なんてできないんですよね。

コメント:就職が就社となっているのが日本社会である。本当の意味での働き方改革とは、会社や役所に勤めないことではないのか。

◆(辻野)「仕事の褒美は仕事だ」ということで、次なる過酷なビジネスをあてがわれたわけです。

コメント:古き良き時代のはなしである。

◆(辻野)パソコンビジネスは、あっという間にコモディティ化してきましたが、マイクロソフトとインテルは大儲けです。ウィンドウズ・パソコンというのは、インテルのCPUとマイクロソフトのウィンドウズOSの組合せです。

コメント:ビジネスでは仕組み作りが重要で、流行っている商売を追いかけまわしても意味がない。


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  佐高信、辻野晃一郎「日本最高のカギを握るソニーのDNA」(講談社)
201868日(金)

 

 

<その2>
◆(佐高)「1993年に盛田さんが経団連の会長になることがほぼ決まっていたのに、脳内出血で倒れてしまった。それでトヨタの豊田章一郎が会長になる。あそこが財界の歴史として、一つの分岐点なんですよね。」

コメント:経団連という組織は財界自らが作ったものではなく、官僚機構が自分たちの政策を徹底させるために作った組織である。誰が会長になるウンヌンではなく、本来は解体すべき組織ではないのか。

◆(佐高)辻野さんにとっては、当たり前のことでしょうけどソニーには社宅というものがないでしょう。本田さんも社宅はできるだけ作るべきではないと言っていた。ところが日本の場合、「社宅があります」というのが学生に対する売り文句になる。

コメント:社宅には税務上のメリットがある。いや正しく言うと、不公平税制というべきだが役人も官舎として恩恵を受けているため改正が行われていない。


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  佐高信、辻野晃一郎「日本最高のカギを握るソニーのDNA」(講談社)
201867日(木)

 

 

いわゆるソニー礼讃本であるが、若干の違和感を持ちながらも読み応えはあった。以下本書より、インパクトのあるくだりを要約しながら私見を述べてみたい。

<その1>
◆(辻野)「皆さん、学生時代はどんなに失敗しても、試験は0点でしょう。だけどビジネスの世界では失敗すると、マイナスに沈んでいくんだ」という話を盛田さんが入社式でしていました。

コメント:ビジネスそのものは確かにそういう一面があるが、仮にビジネスに失敗したとしても一般サラリーマンの給与はマイナスにはならない。事業家とは違うのである。

◆(辻野)「私たちが入社した時代は、すでに井深さんにしても、盛田さんにしても、雲の上の存在でした。我々からすると遥かかなたにいる、憧れの存在という感じで。」

コメント:大企業に勤め続ける人たちのある種の典型的な発想である。人間の評価は本来部分肯定、部分否定であるべきだと思うのだが、自分というものがないと雲の上の人などと言い出してしまう。また、事業活動とは顧客へのサービス活動だから、もっともっと外へ気持ちが向かうべきなのに実に内向きなのである。


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  高井洋子「すぐに1億円」(ダイヤモンド社)
2018327日(火)

 

 

<その2>
◆コメダ珈琲店は、名古屋を拠点に2017年11月時点で、全国に784店展開。スターバックス、ドトールコーヒーに次いで国内3位の店舗数を誇ります。

◆しっかり収益が上がる本命商品、本命サービスを持つと、企業は驚くほどの利益を確保できるようになるのです。

◆ビジネスモデルで、売上1億円を簡単に実現する方法は、
・おとり商品・サービスで集客する
・何度も買い続けてもらえるような仕組みを作る
・最終的には、本命商品・サービスで収益を上げる。

◆小さな失敗のひとつや二つ、気にする必要はありません。逆に失敗を恐れ、何もしないことのほうが問題。天と地ほどの差がついてしまいます。
大切なのは、致命的な失敗をしないこと。だからこそ、しっかりと戦略を立てて、実験を重ねて、最高のビジネスモデルを完成させるのです。


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  高井洋子「すぐに1億円」(ダイヤモンド社)
2018326日(月)

 

 

小さな会社のビジネスモデル超入門というのがサブタイトルである。ここで言うビジネスモデルとは儲かる仕組みのことである。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介することとしたい。

<その1>
◆業種を問わず、経営者の皆さんは、売上を作るプレイヤーの役回りを降りて、ビジネスモデルを作る時間を取ってください。

◆企業やお店は定期的に入ってくる売上のストック化を目指すべきですし、その仕組みを作る必要があるのです。

◆美容室は顧客をカルテ化している程度で、たとえば毎月、会費を取っているような店はほとんど存在しないでしょう。でも、美容室だって携帯電話の通信費のように継続的にお客様からお金をいただく会員ビジネスを作り出すことは可能なんですよ。

◆日本一高いクッキーを販売しているのは、日本で初めて洋菓子専門店といわれている「村上開新堂」です。0号缶から5号缶までのサイズがあるのですが、一番大きな5号缶で何と2万6,000円(1,950g)もします。
「村上開新堂」のサイトを見るとわかるのですが、何と一見さんお断り。ご紹介制度を設けています。とにかく希少性を打ち出しています。


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  丹道夫「富士そばはなぜアルバイトにボーナスを出すのか」(集英社新書)
2018219日(月)

 

 

<その4>
◆その社長が出した結論は「飲食業は正当な価格で心のこもったサービスを提供し、余裕のある営業をした方が長続きする」でした。それ以来、富士そばはその教えを守り続けているわけです。

◆嫌らしい言い方をすると、CMはドーピングに似たところがあります。短期的には 大きな効果が表れますがその効果は決して長続きしません。

◆一般的に運というものは存在するかどうかはっきりせず、とらえどころのないイメージを持たれていますが、確実にあるものだということ。そして、その正体は、つまるところ情報だと思うのです。

◆山道に迷ったとき、普通であれば元のルートに戻ろうとして、あわててあちこち動き回ってしまうのではないでしょうか。しかし、本当は「その場に留まり体力を温存する」というのが助かる可能性を高める、一つの方法だそうです。その情報を知っている人であれば、むやみに動かずに待ち続けるでしょう。その結果、救助隊に救われたのであれば、単純に運が良かったわけではなく、情報があったからこそ助かったと言えるでしょう。情報を持っておくことで運は拾えるものなのです。


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  丹道夫「富士そばはなぜアルバイトにボーナスを出すのか」(集英社新書)
2018216日(金)

 

 

<その3>
◆1つの出店の基準として、「5分間に100名以上通る場所」という条件もあります。その際、注目するのが通行人の「色」です。サラリーマンが身に着けるのは、ほとんどが黒っぽいスーツ。つまり通行人全体の印象として黒ければ黒いほど、出店は成功する可能性が高いと言えます。

◆1食450円のお店というと、実は探してもそんなに多くありません。だからこそ、富士そばの単価の安さは、絶対的な武器になり得るわけです。かけそば1杯300円のラインは、よほどのことがないかぎり、死守しなければならないと思っています。

◆飲食店を支えてくれるのは「値段が多少高くても、ここの料理が好きだから、いつも行くんだ!」という固定ファンです。一時期キャンペーンをやったというだけの理由でそういうありがたいファンが生まれることはめったにありません。

◆「丹さんは商売というのがわかっていませんね。いいですか。商品を安売りしてはいけません。なぜか。商品を安売りすると、一気に来客が増える。そうなると、従業員が 疲れて、サービスが悪化する。すると客に迷惑がかかる。しかも、忙しいわりには経営者の利益が薄くなる。従業員も客も経営者も誰も利を得ない。悪い方向へ向かうだけです。」


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  丹道夫「富士そばはなぜアルバイトにボーナスを出すのか」(集英社新書)
2018215日(木)

 

 

<その2>
◆従業員を叱るときには、人前で叱ることにしています。そして叱られた人には、ちゃんと頭を下げて、謝ることを望みます。黙っていては、反省しているか、ふて腐れているか、よくわかりません。

◆大人になると変なプライドが生まれて、なかなか謝れなくなる。しかし私の経験上、成功する人は謝る勇気を持っている人でした。私もいつまでも、自分が間違ってた、悪かったと思えば、たとえ相手が誰であろうと、素直に頭を下げられる人間ではいたいものです。

◆人は動くからこそ失敗するわけで、何もやらない人は、そもそも失敗すらできません。「自分は失敗していない」と胸を張る人は「何もしていない」と自ら告白しているようなものです。

◆良い教育とは何か。100人いれば100通りの答えが出てくるのでしょうが、私は「できるかぎりの失敗をさせてやり、心から反省する機会を与える」ことだと思っています。この心から反省する機会は「自発的に行動して失敗した経験」だけから生まれます。

◆富士そばは一言で表すと「自由」。自由だから発想を実現させやすい。それがここまで、富士そばを大きくした原動力のような気がしています。


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  丹道夫「富士そばはなぜアルバイトにボーナスを出すのか」(集英社新書)
2018214日(水)

 

 

本のタイトルそのものには本質的な意味はない。ただ、本の内容は大変勉強になった。以下、本書より参考となったくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆何よりも気をつけているのは、従業員のやる気を損なうような言葉を決して発しないこと。しかし世の中にはここで躓く経営者が実に多いように思います。

◆絶対に利を独り占めしないこと。そして必ずみんなに分配すること。そうしないと結局、自分には返ってこないからね。

◆成功するには、一つのことを集中して持続しなさい。このときに、その言葉の本当の意味とありがたさが初めて身に沁みてわかったのです。

◆沈む夕日は朝日ほど華やかではない。だけど、最期の命を燃やし、尽くそうとして輝いているんだ。

◆私が叱る人というのは、大きくわくれば次の3通りのいずれかです。
1.失敗を恐れて何もしない人、怠けている人
2.失敗から何も学ぼうとしない人
3.他人の失敗をあざ笑う人


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  坪内知佳「荒くれ漁師をたばねる力」(朝日新聞出版) 
2018111日(木)

 

 

<その5>
◆相手に自分の主張をぶつけるばっかりで相手の言うことを聞いてあげないでしょう?押して押しまくっても伝わらないんだから、引いてみたらいいんじゃないの?

◆先輩たちはみんな格好よくて。海の上では、誰もが真剣な顔をしているんです。下手したら死ぬかもしれない職業ですよね。いままで、そんな仕事を見たことなくて、漁師ってすごいなと素直に尊敬できました。

◆私にとって、すべてのことは目的に到達するための通過点である。何かうまくいかないことが起きても、それは失敗でなくプロセスにすぎない。

◆この事業をやりながら、だんだん固まってきたものがある。とくに初期、くり返しみんなで言っていたのは、目の前にいる人を人として大切にしようということだ。

◆でもさんざん漁師たちとぶつかる中で「人はみんな違うんだ。」「違ってもいいんだ。」ということが実感として、感じ取れるようになってきた。自分を簡単に変えられないように、人は容易には変わらない。

◆私は「人は生きるために働くのか、働くために生きるのか」つねに小さな頃から考え続けてきたように思う。


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  坪内知佳「荒くれ漁師をたばねる力」(朝日新聞出版) 
2018110日(水)

 

 

<その4>
◆こんな小娘に言われたくないと思いましたが、確かに正論というか、的を射ているので反論できませんでしたね。

◆自分らが獲る魚が想像と全然違う料理になって出てきて、こんなふうになるんだ、と驚きましたね。やはり、獲ったものが最終的にどういう形になるのか目の前で見せてもらうと、これから漁をするときも、気持ちが違ってきます。

◆その優しさがどこから来たのかというと、漁師は運命共同体だからなんです。危険な仕事だからこそ、お互い助け合わないとやっていけません。人に優しくしないと、自分が助けてもらえないから、というのもあると思います。彼女の場合も、最初はただのビッグマウスかと思いましたが、自分のためではなく、人のために頑張っているというのが本当に見えるので、やっぱり芯にあるのは優しさなんでしょうね。


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  坪内知佳「荒くれ漁師をたばねる力」(朝日新聞出版) 
201819日(火)

 

 

<その3>
◆萩でその日の朝とれた魚を鮮魚BOXに詰めて、宅配便で東京に送り、最速で8時間後には新鮮な魚がお客さんに届く。これが「萩大島船団丸」の「6次産業化」のビジネスモデルの目玉であった。

◆最初は、私たちを救いに来た天使に見えました。でも関わるうちに悪魔に変わってきました。本当にキツい人です。相手が男だろうと、年上だろうと全然躊躇せずに向かってくる。気の強さは半端じゃありません。

◆いまでも腹の立つことはたくさんあります。でもみんなが彼女についていくのは、彼女は絶対にあきらめない。やると言ったらやるし、危機があっても必ず解決策を見つけてくれる有言実行の人だからです。

◆ここらの風習ではどんなに落ちぶれた漁師でも、上座に座らせるのが習わしです。なぜならば、漁師は一攫千金が狙えるからです。一晩で何千万円も水揚げがあることもある。落ちぶれた漁師でも、いつ億万長者になるかわかりません。


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  坪内知佳「荒くれ漁師をたばねる力」(朝日新聞出版) 
201815日(金)

 

 

<その2>
◆萩を含む山口県地域の海では、数十年前から急激に魚が獲れなくなっていた。山口県の漁業生産量はピーク時には年間約25万トンもあったがたった30年で3万トンにまで減ってしまった。

◆彼らは決まって「そんなやり方はふつうと違う」と言う。自分の中でむくむくと怒りが湧いてくるのを感じた。(いったいふつうってなんなの?そのふつうがダメだったからこそ、いま漁業がガタガタになってるんじゃないの!?)

◆もともと私は「ふつうの人生」に挫折した人間だ。かつてはキャリアの成功を夢見ていたけれども挫折し、大学も中退。結婚だってうまくいかなかった。みんなにとっての「ふつう」を目指しても、絶対に人は幸せになることができない、と自分の人生でつくづく思い知った。

◆漁協と対立することはモノ、カネの流れを断たれてしまうことを意味していた。さらに深刻なのは、その対立により船を動かす燃油も、魚を詰める箱や氷も一切の資材が購入できなくなるというリスクが生まれるのだ。


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  坪内知佳「荒くれ漁師をたばねる力」(朝日新聞出版) 
201814日(木)

 

 

ド素人だった24歳の専業主婦が業界に革命を起こした話。これがこの本のサブタイトルである。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとしたい。

<その1>
◆海に漁に出ても、いままでのようには魚は獲れなくなり、さらに魚を食べる人が減って、魚は安価でしか売れなくなってしまったという。それなのに、船を動かす燃料費だけはどんどん高騰していく。資材費もかさむうえ、後を継いでくれる人もいない。

◆6次産業とは生産者が生産だけでなく、製造・加工や流通・販売まで一貫して自らの手で行い、所得を上げようという国の施策だ。

◆漁師の世界は排他的といわれるが、それはあくまでも同業者に対してのことだ。よそものが自分たちに興味を持ってくれるのは大好きなのである。

◆「萩大島船団丸」の「第6次化事業」のアウトラインはこうだ。萩大島で獲れた魚のうちアジとサバはいままで通り、萩の市場に出荷する。そしてそのほかに漁で一緒に獲れたスズキやイサキなどの混獲魚を「鮮魚BOX」として箱に詰め合わせ、消費者に直接販売するというものだ。


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  有森隆 「巨大倒産」 (さくら舎) 
20171229日(金)

 

 

<その5>
◆1970年代、西武百貨店を核とする西武流通グループをユニークなグループたらしめたのは、新しい業態のパルコや無印良品という、まったく未知の分野を開拓したからである。詩人経営者堤清二の感性経営の成果と謳われた。西武流通グループは1985年に西武セゾングループ、さらに90年には西武の冠を外し、セゾングループと改称。同時に生活総合産業へと転換した。消費に限らず「人びとの生活のあらゆる分野に密着した産業」と自ら規定した。

◆三光汽船の経営は、とどのつまり投機商法だった。自民党の大物政治家と経済学博士の絶妙なコンビ。大阪の小さな船舶会社を日本の海運業の2割のシェアを占める大会社に飛躍させた。ふたりに共通していたのは大ばくちを打てることだ。仮りに10年間博打を打ったとしよう。たとえ9回成功したとしても、最期の1回で読み違いをすれば結局勝ったことにはならない。ドボンである。2人のコンビの大博打商法は敗れるべくして敗れたのである。


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  有森隆 「巨大倒産」 (さくら舎) 
20171228日(木)

 

 

<その4>
◆堤義明のプリンスホテルにスケールではなく質で対抗したのがホテル西洋銀座だった。少ない部屋数で、最高のラグジュアリーを提供する画期的なホテルと評された。

◆ホテル西洋銀座の知名度を上げた立役者は田崎真也だろう。田崎は1989年にオープンしたホテル西洋銀座へ、シェフ・ソムリエとして入社した。

◆凡人には難解な言葉が矢継ぎ早に飛んでくる。セゾングループの幹部社員たちには、詩人の感性から発せられる言葉が最後まで理解できなかったのだろう。トップがイメージを口にするだけで、具体的な指示をしなければ、組織は動かない。
バブル崩壊後、セゾングループがあっけなく解体した根本的原因は清二が経営者と詩人・小説家の2足のわらじを履いていたことにあったのではないか。第一線で働く人々は詩人・小説家が経営者として成功することなどないことを感覚というか肌でわかっていた。


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  有森隆 「巨大倒産」 (さくら舎) 
20171227日(水)

 

 

<その3>
◆カナダの製油所NRCによる3億ドル(日本円で1000億円)の焦げつきが安宅産業の息の根を止めた。NRCのオーナーはレバノン系米国人、ジョン・シャヒーン。シャヒーンの実態は秘密のヴェールに包まれ、NRCの経営状況は安宅にはほとんど知らされなかった。

◆「絶対に潰れない」とされてきた総合商社の不倒神話が崩れた。
安宅は企業として、なぜこうも脆かったのか。それは「社賓」という肩書を持つ安宅英一の存在を抜きにして語れない。彼の思想の根本にあったのは、「安宅産業は安宅家の会社」である。経営者も社員も安宅一族の僕なのだ。

◆堤清二は1948年(昭和23年)、東京大学経済学部に入学直後、日本共産党に入党。東大細胞(支部の意味)の活動家となった。共産党に入党したため、父親の西武グループの創始者、堤康次郎から勘当された。清二は経営者としては異端だ。財界で唯一、ベトナム戦争に表立って反対した。

◆渡辺恒雄は氏家斉一郎(日本テレビ)を共産党に誘い、そして氏家が清二の入党をオルグした関係だ。


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  有森隆 「巨大倒産」 (さくら舎) 
20171226日(火)

 

 

<その2>
◆名誉会長の豊田喜一郎が豊田家の「一代一業」の家訓に沿ってはじめた住宅事業を失敗するわけにはいかなかった、からだ。成功させるためには、ミサワは欠かせない重要なパーツだったのである。

◆ミサワホームは耐久性やデザイン性に優れた商品開発を進め、人気ブランドとなった。昭和48年(1973年)には大和ハウス工業、積水ハウスを抜いて、売上げで念願の業界トップに上り詰めた。三澤千代治は、若手起業家のスーパースターとして、メディアの寵児となった。

◆大番頭的存在であった山本幸男が、日航ジャンボ機墜落事件で逝去したことがミサワホームのバブル期の投資に歯止めがかからなくなった大きな原因とされている。

◆三澤さんの情報収集力やアイデアはすごい。しかし、思いつきも多く、下の人間はどうしてそういうが出たのか、過程を知らないからついていけないことも多い。今のまま投資を続けていくと、住宅業界の堤清二になりかねない。

◆そごうの水島マジックの舞台裏をお話しておこう。百貨店用地の周辺の土地を取得し、百貨店の開業で地価があがったところで、不動産の時価への評価替えをおこない、利益を捻出した。それだから新しい百貨店をオープンしたとたんに黒字になったのである。


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  有森隆 「巨大倒産」 (さくら舎) 
20171225日(月)

 

 

サブタイトルは「絶対潰れない会社」を潰した社長たちとなっている。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとしたい。

<その1>
◆リーダーの要件をふたつあげるとすれば、ひとつは危機の予知能力と修羅場に強いこと。もうひとつは、組織に自分の言葉で正確に意思を伝えることだ。言語も意味も明晰でなければならない。

◆借入金は、年間売上高の5割が標準で、どんなに多くても10割は超えてはならない。―――というのがメーカーの経理の鉄則だ。ところが大昭和製紙は借入金の売上高を大きく上回っていた。

◆経営破綻した企業の再生は容易ではない。坪内はシベリア抑留で体験したスターリン主義のやり方を経営に取り入れた。恐怖心を抱かせ服従させた。信賞必罰の人事を徹底した。抜擢と降格をくりかえしたことから、「エレベーター人事」という俗称までついた。平社員から役員への3段階4段階の飛び級がある反面、役員が倉庫番になることも平気で行われた。プライドを粉々にする洗脳教育もやった。スターリン的独裁で、社員の不満を押さえつけた。まさに、いまでいうブラック企業そのものだった。


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  畔柳茂樹「最強の農起業!」(かんき出版)
20171222日(金)

 

 

<その6>
◆栽培技術は愛知県農業大学校の新規就農者コースに参加して週2回学んだ。肥料、土壌、植物生理制度、経営などを座学と実習で習得した。有難いことに手厚く保護されている農業だから、一切費用はかからない。

◆農業で家族が安定した生活を送れるようになるには、とにかく儲かる農業経営をしなければならない。儲かる農業にするにはなにが必要か。私なりに考えると次の2つだ。生産性向上とお客様とつながることだ。

◆その不安がない農家には共通点がある。その農家が口をそろえて「私は誰に何を売っているかわかっています。どこの誰に買ってもらって食べてもらっているかがわかっています。自分の顧客が何を求めているかを考え、常に選んでもらえる農業をやっているから不安はないです。」と言っていた。

◆お客様につながる農業にもいろいろなやり方がある。私のように観光農園もあれば、通販宅配というやり方もある。どんなやり方でも構わないができれば、地域にお住いのお客様に直接ふれあい、交流できるものの方が良いつながりを実感できるではないかと思う。観光農園はとてもオススメな事業形態だ。


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  畔柳茂樹「最強の農起業!」(かんき出版)
20171221日(木)

 

 

<その5>
◆僕がまず言っておきたいことは、農業ほど伸びしろのある産業はないということ。(中略)農業では当たり前のことができていないから、やればどんどん生産性が上がるはず。農業の成長産業化、儲かる農業への転換は必ずできます。

◆農業には4つの問題点がある。
1つ目は、農業には生産性という考え方がないことだ。時間当たりで考えて、効率化していく発想がない。労働時間を無視したトータルの売上・利益ばかりを追いかけている。
2つ目は、農業はIT化が著しく遅れていることだ。
3つ目は、農業は価格を自分で決められないことだ。
4つ目は、農業はお客様の顔が見えないことだ。市場出荷している農業には、どんなお客様が購入し、そして満足しているかがまったくわからない。

◆非農家の新規就農者にとって最初のハードルが農地探しだ。私の実家には、幸い農地があった。自らは耕作せず、近隣の専業農家に完全に委託していた農地ではあったが、所有していたことは幸運だ。


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  畔柳茂樹「最強の農起業!」(かんき出版)
20171220日(水)

 

 

<その4>
◆環境にやさしいか、農薬の使用料などから検証すると、トマト、メロン、ブドウは農薬の使用回数が一般的に相当多くなるのに対して、ブルーベリーはやり方次第で無農薬栽培も可能だとわかった。

◆ブルーベリーといえば、「目に良い」というのが一般的だがむしろ、アンチエイジングの方がその機能性の特徴を的確に表している。

◆GDPの総額では世界第3位だがこれは人口が多いからという理由にほかならない。先進国で人口1億人以上の国は米国と日本しかない。このGDPを1人当たり、時間当たりに置きなおしてみると、まったく違う世界が見えてくる。日本の生産性が驚くほど低いことを示している客観的データがある。

◆短期間で極めて生産性が高い農業を可能にしたのは「無人栽培」「観光農園」「IT集客」の3つによるところが大きい。

◆日本の農業の再生は可能なのか。もう手遅れなのかもしれない。これだけ進化のない業界だから、衰退して斜陽化していくのは、ある意味当然だ。一概に年齢だけでは測れないと思うが、就業者の平均年齢が67歳という農業は、すでに持続の可能性を失っていると言えるだろう。


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  畔柳茂樹「最強の農起業!」(かんき出版)
20171218日(月)

 

 

<その2>
◆戦略とは相手の弱みに対して、自分が持っている最大の武器をぶつけていくことだ。そう考えると生産性の発想が乏しい農業の世界にデンソーで培った生産性、合理化技術を存分に生かした施策や仕組みを展開することができたことは、利益性を高めた大きな要因ではないかと考えている。

◆どんな農業をするかは具体的には決まっていなかったが、こんな農業をしてみたいという方向性は3つ持っていた。1つ目は「お客さんと交流できる」こと。これはサラリーマン時代の反動だった。デンソーは顧客が最終ユーザーではなく、トヨタ、ホンダをはじめとする自動車メーカー、典型的な「BtoB」の企業。お客様の顔が見えないことにいつも違和感を覚えていた。
2つ目は「人と地球にやさしい」こと。どうせ新しく始めるなら、ナチュラルでシンプルな地球環境に負荷のかからない農業にしたかった。
3つ目は、「目新しく斬新」であること。他人のやっていることはやりたくない。新しい形の農業で、自分の道を切り拓いていけるようにしたかった。


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  畔柳茂樹「最強の農起業!」(かんき出版)
20171215日(金)

 

 

ブルーベリー観光農園で失敗しない農業経営というのがサブタイトルである。非常に興味深い内容ではあるが、農地に適した土地を相続財産として所有していたことが、成功の大きな要因となっているため、誰でもこの経営手法を使えるわけではない。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆年間の営業日わずか60日余りで1万人を集客し、2,000万円超を売り上げて、残りの9ヶ月余りを週休5日程度で悠々自適に暮らす。およそ従来の農業のイメージとは程遠い夢のような生活を実現した。

◆斜陽産業の農業でありながら、このような生産性の高い農業を可能にしたのは、次の3本の柱によるところが大きい。それは、素人でも可能な「無人栽培」「観光農園システム」そしてネットとメディアを活用した「IT集客」。


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  尾形幸弘「斎藤一人の勝手に人が育つ経営の極意」(サンマーク出版)
20171205日()

 

 

<その5>
◆戦後の雇用のないときは、規模が大きいとそれだけたくさんの人を雇用できるから社会的な意義があったんです。でも今は会社もたくさんできたから、次の社会的意義は、しっかりと利益を出して税金を納めることなんです。

◆店舗数とかシェアのように、対比しやすい数字があると一般的には分かりやすいかもしれないけど、プロから見れば、ゼロは100をかけても1000をかけてもゼロなんだよ。店舗数とかシェアの数だけに驚く人って素人なんです。

◆真の社会貢献は「世間が困ってることに貢献すること」なんだよね。今の時代は高齢化やそれに伴う税収の不足が問題になっているんです。だから今は人を雇うことも大事だけど、企業がしっかり利益を出して税金を納めることがいちばん重要なんだよね。

◆若い人たちが、「世の中の役に立つためにNPO法人とかを立ち上げて…」っていうんだけど、それほど世の中に役に立ちたいんだったら、税金を払わなくて済むNPOじゃなくて、起業するにしても会社で働くにしても、しっかり利益を出して、税金を納めることを考えたほうがいいと思うんだよ。


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  尾形幸弘「斎藤一人の勝手に人が育つ経営の極意」(サンマーク出版)
20171204日(月)

 

 

<その4>
◆商売にコツがあれば、それは教えられるんです。ところがコツってないの。だから儲かっている会社でも2代目、3代目ってなると、つぶれるところが出てくるんだよ。
歌舞伎や芸事ってコツがあるから教えられるんです。商売にはコツがない上、時代も変わるから、常にその変化に合わせていかないとダメなんだよ。

◆世の中の95%の会社は、借金をしているそうです。でも私の会社は今まで一度も借金をしたことがありません。

◆借金すると、経営が早いんです。店舗を増やすのでも、利益の中からだと出店資金が貯まるのに時間がかかるけど、銀行から借りればすぐなんです。ただ、そこで考えなければならないのは「借金をしないとできない仕事を増やしていって、果たしてそれでいいのか?」ていうことなの。

◆3店舗経営している人よりも、100店舗経営している人のほうが優秀だと思っちゃうんだよね。でも実際は、3店舗だけど100店舗経営している人よりも多くの利益を出す人がいるんです。


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  尾形幸弘「斎藤一人の勝手に人が育つ経営の極意」(サンマーク出版)
20171201日(金)

 

 

<その3>
◆だから、借金をして「商売をしている人って、本当に危なっかしい。」借金するほど出金をしてるんだから、知恵がほとんど出てないよな。商売は「お金」を出さずに「知恵」を出す。これが基本中の基本だから、絶対に忘れちゃいけないよ。

◆何度も言うけど、商売は出金(経費)が少ないヤツが勝つようになっているんだよ。これさえ覚えておけば、商売は絶対にうまくいくよ。

◆それとな、人を新しく雇うときは、よーく考えて入れるんだぞ。「人を増やさなくても、今の3倍、10倍、売上を上げる方法ってないだろうか。」って、知恵を出すんだよ。

◆社長になると、必ずしなければいけない修行があるんだよ。それは、会社の雰囲気に合わない従業員をキッパリ断って、辞めてもらうことなんだよ。

◆利益を出すためにいちばん重要なのが、自社の商品やサービスの値段をどうやって決めるかです。値決めをするときって、まず、その値段で自分の会社が成り立つかどうかを考えないといけません。その商品の原価に加えてかかる経費を払い、なおかつ従業員に給料を払っていけるだけの利益を出せる値段をつけないとダメなの。それで、その値段で売れないんだとすれば、きつい言い方かもしれないけど、やってもしょうがないんだよね。


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  尾形幸弘「斎藤一人の勝手に人が育つ経営の極意」(サンマーク出版)
20171130日(木)

 

 

<その2>
◆会社の仕事とは、結局、社長が決定したことを実行して報告して、改良する。この繰り返しです。「継続は力なり」といいますが、ただ続けるだけではなく、改良を加えて、良いものをさらに重ねて良くしていく作業が必要です。

◆報告の価値をより高めるために、報告をする側と受ける側には双方、守らなければならない大切な「決まりごと」があります。それは、「報告する時は、必ず悪いことを先にいう。」これに対して、報告を聞く側が守らなければこと。それは悪いことでも報告しやすい雰囲気を作ることです。

◆パーティーや異業種交流会に行くと、名刺の数は増えるけど仕事に結びつかないよな。だいたい、そんなものなの。人との付き合いで大切なのは、目の前にいる人を大切にすることなんだよ。これが基本。

◆出世する人と、しない人の違いは、エネルギーの注ぎ方だけ。出世する人は自分の仕事に関係のあることにエネルギーを注ぐんだよ。


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  尾形幸弘「斎藤一人の勝手に人が育つ経営の極意」(サンマーク出版)
20171129日(水)

 

 

人が育つとか人を育てると言ったことがあたかも事業経営に非常に重要な問題であるかのような、錯覚を多くの人が持っている。
優秀な人材が、もし本当にいるとしてもそんな人がサラリーマンをやり続けることは絶対にない。必ずやめていくのである。人材待望論を乗り越えていくことが事業経営そのものではないのか。
以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して紹介していきたい。

<その1>
◆社長の決定したことにいちいち反論してくるのは、ダメな幹部です。優秀な幹部・管理職とは、社長の決定をすぐに実行する人のことです。

◆社長の決定したことを実行するのが幹部の役割ですが、でもうまくいかないことも必ず出てきます。だから常に実行した後の報告が必要です。その報告もすぐでないといけません。「あとで」とか、「全部終わってから」では遅いのです。実行後の途中報告が重要なのです。


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  川村一彦「65歳医師はじめて挑む病院経営」(幻冬舎)
20171115日(火)

 

 

<その6>
◆実は病院の赤字経営は珍しくない。およその数字だが公立病院は7割、民間病院でも4割は赤字という状況だ。独立法人など、税金の支払いの負担のない病院は経営が安定している。しかし診療報酬改定により、多くの病院では経営が厳しさを増している。特に、経営を担う人の知識や経験が不十分であると、医療現場はしっかりしていても、病院の経営は傾いていく。

◆そもそも医師という仕事は人のためにある。病気を治し、命を救うことは大きなやりがいである。ただ、ほかの職業に比べて給料が高いため、そういった考えが薄れやすい側面もある。

◆経営再生には、経営の知識や経験が必要です。理事長になった当初、私もこの二つを身に付けようと必死に取り組みました。
しかし、やっていくうちに分かったのがそれ以上に大事なものがあるということです。それが協力者であり、理解者なのだと私は思います。


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  川村一彦「65歳医師はじめて挑む病院経営」(幻冬舎)
20171114日(火)

 

 

<その5>
◆私は経営を考えるためには経済を知る必要があり、経済を知るためには政治を知る必要があると思った。逆に見ていくと、政治を知れば経済が分かり、経済を知ればそのときに適した経営が見えてくる。そういう視点は、医師として、現場に立っているときには持ったことがなかった。これも経営を基礎から学んだことによって得た成果の一つだった。

◆人道的という点でこのときに私がもう一つ心に決めたことがある。それは、療養型病院を姥捨山にしないことだ。療養型病院は患者を寝かせておくだけの病院と誤解されることがある。しかし、そうではない。そうであってはならい。

◆どの時代を振り返っても、世の中に受け入られるのは人や地域や社会のためになる事業であり企業である。自分本位で利益を追求する組織は決して繁栄しないのだ。


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  川村一彦「65歳医師はじめて挑む病院経営」(幻冬舎)
20171113日(月)

 

 

<その4>
◆私は外科医だ。もっと外科の色を出す治療に方針を転換すればいいのではないか。療養型病院のなかで、最期まで前向きな治療を続けるところはほとんどない。人がやらないことをやる。うまくいかないだろうと思っていることをやる。

◆肺炎の場合は、抗生剤を使い治療する。低栄養を改善し、栄養をコントロールする。外科的な処置が必要な場合はその治療を継続する。最後まで最善を尽くすのだ。ただ寝かしておくだけの看取りはしない。それが私が考えた基本方針だった。

◆偉そうなことを言うわけではないが、政治は重要だ。これから経営を担うかもしれない若い人ほど、政治がどう動いているかを見る視点が求められる。私は若くはないが、実際に経営を担う立場になり、その重要性を実感した。いろいろ学んでいく過程で私は政治、経済、経営のその関係性が3段重ねになっているイメージを持った。土台となるいちばん下が政治。その上に経済。いちばん上が経営である。


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  川村一彦「65歳医師はじめて挑む病院経営」(幻冬舎)
20171110日(金)

 

 

<その3>
◆経営に正解はない。読んでいくうちに、そういう思いが強くなっていくのを感じた。そこが医療と異なるところだ。医療の場合、例えばこういう病気にはこう対処するといった正解がある。もちろん、その正解は技術の進歩などによって変わっていくのわけだが、その時々での正解の方法というものがある。

◆例えば武将に関する本からは、人心掌握のコツや組織づくりの考え方を学ぶことができた。戦いや戦争に関する本からは勝因・敗因を学んだ。それらは病院再建にも大いに役立っている。一言でいうなら、歴史は壮大な勝負の記録だ。戦いの本質を知るという点から見れば、ビジネス書から現代流の経営を知ることよりも学べるものが多い。学びそのものが深い。

◆徳川軍は無敵と呼べるほど強かったわけではなく、武田信玄に完敗したこともある。それでも長期政権を確立できたのは、ほかの勢力より強くなろうとするのではなく、ほかの勢力を弱くしようと考えたからだと私は思った。徳川幕府は武家諸法度という大名統制の法律を作った。具体的には、新たに城を建ててはいけない。幕府の許可なく城を修理してはいけない。幕府の許可なく大名同士が結婚してはならないことを定めたものだ。


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  川村一彦「65歳医師はじめて挑む病院経営」(幻冬舎)
2017119日(木)

 

 

<その2>
◆経営を担う立場として、私には知識と経験が絶対的に不足していた。それを補うにはどうするか。それまでの人生の2倍の努力が必要になる覚悟をし、猛勉強するしかない。そう考え、片っ端から会社経営に関する本を読むことにした。銀行と対峙するための本も読み漁った。医師として治療の最前線に立ちながら、経営というもう一つの役目も背負うことにした。

◆経営を学ぶ手段として考えても、本は最良であると思った。というのは、インターネットで得られる情報は局所的で表面的だからである。欲しい情報がすばやく手に入るという点では、インターネットは忙しい現代人向きだ。しかし私が欲していたのは、小手先の情報ではない。断片的な情報を得ても、実際の経営には役に立たないだろうと思った。経営に限らずだが、物事の本質をつかむには腰を据えて学ぶ必要がある。情報を得るのではなく、考え方の根本を学ぶ。そのための方法として、私は本が最良の教科書になると思ったのだ。


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  川村一彦「65歳医師はじめて挑む病院経営」(幻冬舎)
2017118日(水)

 

 

本書はタイトルでは65歳とあるが、実際は66歳で前理事長が病気で倒れたために、病院経営を始めた医師の物語である。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約してご紹介させていただきたい。

<その1>
◆赤字の主な原因は人件費とMS法人に支払っていた病院の家賃である。資料を見ると、多いときで支出の7割を人件費が占めるほどになっていた。病院は医師や看護師といった有資格者が働く場所であるため、一般企業と比べて人件費が高くなる。かといって人を減らすと、医療サービスの質が低下する可能性がある。
そのような事情から病院は人件費の管理に消極的だった。結果、余剰人員がいる状態が当たり前になる。家賃についても、周辺地域の地価はデフレ傾向にあったが賃料を交渉した形跡はない。人件費と家賃という固定費について、病院はなんの手立ても打ってこなかったのである。


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  中野剛志「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学」(講談社)
201794日(月)

 

 

<その6>
◆この異様に長期にわたる金融緩和がバブル膨張させたのです。バブルは金融市場の自由化と低金利政策の長期化がもたらしたものでした。ついでに言えば、いずれもアメリカ政府の要求に従った結果です。

◆アメリカでは、1990年代はIT革命にもかかわらず、30歳以下の起業家の比率は低下ないしは停滞しており、特に2010年以降は激減している。

◆本書で強調したように、イノベーションを殺す病の元凶は、短期主義にあります。だから、短期主義とは逆に、「長期主義」を企業目標に掲げるのが良いと思うのです。もっとも、会社をできるだけ長く存続させるということは、決して守りに徹するということではありません。その反対に、常に先を読み、イノベーションの努力を怠らないようにしなければ、会社を持続させることはできません。


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  中野剛志「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学」(講談社)
201791日(金)

 

 

<その5>
◆イノベーションとは、「外から異質なものを取り込み、内部資源を組み合わせる」ことですから、異質なものが取り込まれないクローズドな同質性の高い日本企業では改善改良はできても、イノベーションは起きえない。冨山和彦氏はそう断言するのです。

◆冨山氏は、「自動車産業は、クローズドシステムによる改善改良によってGMに勝ち、世界を席巻したという過去があります」と述べていますが、これは端的に言って間違いです。

◆イノベーションとは、技術シーズの事業化だけではなく、技術シーズの開発も含むというのが一般的な理解でしょう。しかも、技術シーズの開発はイノベーションのスタート地点なのです。そうだとするならば「あらゆるイノベーションとは、オープン・イノベーションだ」などとは言うべきではないでしょう。

◆アメリカで提唱されている経営手法や制度は、日本には馴染まないというだけではなく、アメリカでもうまくいっていないのです。


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  中野剛志「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学」(講談社)
2017831日(木)

 

 

<その4>
◆ならば、どうやれば人材の優劣を見抜くことができるのでしょうか。荻生徂徠の答えは、人材を評価するには実際に使ってみることだというものです。しかもただ使うのではなく、あれこれ指示せずに、好きなようにやらせてみるがよいというものです。

◆大企業は撤退が苦手ですね。いったん始めると止められない、「社長直轄だから」「実は専務のプロジェクトだから」という具合におかしな作用が働いてしまう。

◆ベンチャー企業は画期的なイノベーションには不向きである。というのは、何も日本に限られたことではありません。それはアメリカでも同じなのです。

◆イノベーションが画期的なものであればあるほど、不確実性はより高まり、民間主体では失敗のリスクを負うことが難しくなります。例えば、一つの新薬を開発するためには、17年ほどの歳月を要し、400億円以上の費用がかかるというのに、開発に成功する確率は0.01%しかないと言われています。そんなイノベーションはリスクが高すぎて、民間企業や民間金融機関では、とうてい抱えられません。


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  中野剛志「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学」(講談社)
2017830日(水)

 

 

<その3>
◆つまりケインズが言っているのは、投資という行為は、将来に起きることを確率論的に計算することができず、結果が見えないままに行うものなのであって、投資家は合理的な計算の結果としてではなく、非合理的な衝動にかられて、投資するのだということです。

◆リスクを取るということは、失敗したら財産を失い、場合によっては路頭に迷うということです。だいたい自分たちは官僚というリスクの少ない安定した立場にいながら、国民に対してリスクをとれなどと奨励するなんて、トチ狂っているとは思いませんか?官僚ごときに「リスクをとる姿勢が欠けている」などと「上から目線」で説教されて、国民は腹が立たないのでしょうか。

◆ベンチャー・キャピタルは「人」の何を見ているのかと言えば、何のことはない、学歴と職歴とコネを見ていたに過ぎなかったというわけです。言い換えれば、シリコンバレーというのは、エリート限定の閉鎖的な共同体だったのです。


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  中野剛志「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学」(講談社)
2017829日(火)

 

 

<その2>
◆確かにITは、ハイテク・ベンチャー企業の苗床になっているかもしれません。しかしITそれ自体は、ベンチャー企業が創造したものではありません。それはアメリカの政府の軍事政策の産物だったのです。

◆アメリカ最初のベンチャー・キャピタルとされるのは、1946年に誕生したボストンのARDですが、このARDは大戦中に開発された軍事技術を民間転用することを目的として設立されたものでした。

◆投資を決める条件として、日本では、ビジネスモデル、売り上げ、技術を重視しますが、シリコンバレーでは、何より「人」を見ます。

◆コミットメント、情熱の強さみたいなものは、事業の成否を分ける最も重要なポイントです。

◆ベンチャー・キャピタルの審査は非常に厳しく、投資した会社が悪い状態にあるのを放っておくならば潰す。

◆では、ベンチャー・キャピタルはハイテク・ベンチャー企業のイノベーションでなければ、何に対して資金を供給しているのでしょうか。それはおそらく、もっぱらハイテクの事業化に対してだと思われます。つまりイノベーション全体というよりは、その後半部分の事業化に対する投資です。


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  中野剛志「真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学」(講談社)
2017828日(月)

 

 

なかなか読み応えのある本である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約してご紹介してみたい。

<その1>
◆アメリカにおける企業の開業率は、1980年代半ばからは低下傾向にあります。2009年以降の開業率は1977年の約半分にまで減り、しかも2010年前後には、開業率より廃業率の方が上回っている有り様です。

◆そもそもアメリカは過去40年間、低い生産性を記録し続けており「大停滞」と呼ぶべき状況にある。画期的なイノベーションも起きなくなっている。IT革命はそれほど大きなインパクトをもつものではない。

◆シェーンは、アメリカの起業家が魅力的なハイテク産業ではなく、建設業や小売業といった、ごく一般的な産業において開業する傾向がより高いという事実を示します。

◆さて、これまでの議論から、なぜアメリカだけがITベンチャー大国でシリコン・バレーにハイテク・ベンチャー企業が集積しているのか、その答えが出てきたように思います。それは一言で言えば、アメリカが世界最大の軍事大国だからなのです。日本がアメリカのようなベンチャー大国になれない最大の理由は小学校教育のせいでも、税制のせいでも、親方日の丸の文化のせいでも、外国人が少ないからでも、英語が話せないからでもありません。単に軍事大国ではないからなのです。


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  田脇宗城「不動産投資は新築木造3階建てアパートで始めなさい」(あさ出版)
2017824日(木)

 

 

<その5>
◆これは入居者を集める際のチェック的なものになります。東よりも西から日が差し込みやすい土地が有利です。単身者が物件の内見に来るのは大体が昼以降、つまり西日の差している時間帯です。日が差しているほうが室内は明るく、入居者の印象がいいので西向きの物件をお勧めします、というわけです。

◆入居率を上げるための工夫はシンプルです。入居希望者がはじめてアパートを訪れたときに、気に入ってもらうことがひとつ。そして、実際に住み始めた入居者に嫌がられないことです。

◆入居者に喜ばれる設備について、まとめておきましょう。
1.オートロック、2.バス・トイレ別、3.ウォークインクローゼット、4.シューズボックス、5.浴室乾燥機&室内壁付物干し、6.2口ガスコンロ、7.宅配ボックス、8.自動販売機

◆売れ残り物件の中には、住宅や高層マンションを建てるには向いていなくても、新築・木造・3階建てアパートの経営をするには最適な土地が混在していることがあります。


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  田脇宗城「不動産投資は新築木造3階建てアパートで始めなさい」(あさ出版)
2017823日(水)

 

 

<その4>
◆木造3階建ての場合、構造計算にともなう審査をパスしないといけない。というのは、2階建てに比べて、安全面に対する法的規制が厳しくなるためです。

◆厳密には4階建ての木造建築は可能です。しかし、コストが膨らんでしまい、安価な資材である木材の強みが薄れてしまうので、あえて4階以上の建物にする必要性はないというのが私の考えです。

◆駅の乗降数も目安として把握しておきましょう。1日の乗降数が平均2万以上の駅を推奨します。1万人以下の乗降数だと、たとえ主要路線にある駅だとしても入居者の集まりは悪くなってしまいます。

◆ここでもうひとつ大事なこととして、憶えておいてほしいのですが、単身者は、南向き物件を強く希望することはありません。日中の多くは外で過ごしますし、洗濯物も部屋干しや乾燥機などで済ませるので、日当たりへのこだわりが少ないのです。


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  田脇宗城「不動産投資は新築木造3階建てアパートで始めなさい」(あさ出版)
2017822日(火)

 

 

<その3>
◆耐用年数が長いというのは、長期間にわたって収入を得られるというメリットがある反面、時代に遅れた物件になってしまいがちというデメリットがあります。

◆アパートでもっとも空室になりやすい部屋は1階です。全部屋数に対して1階の割合が低いほど、空室発生によるいリスクは下げられることになります。

◆角部屋の数で多いほど人気の高いアパートになり、オーナーへ入ってくる収入も高いものになります。この点からも、3階建てのアパートの良さが引き立っています。

◆私が3階建てを建築するのにふさわしいと考えているのがこの建ぺい率60%で容積率160%の土地です。

◆将来的にかかるメンテナンスのひとつに、シロアリ対策があります。シロアリというのはある限定されたエリアだけに、つきまとう話であって、出てこないところは、まったく出てきません。


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  田脇宗城「不動産投資は新築木造3階建てアパートで始めなさい」(あさ出版)
2017821日(月)

 

 

<その2>
◆自己資金を持っていて、融資の返済期間を短く設定できるのであれば、中古物件は投資に適しています。中古物件は利回りが高いので、投資回収効率は良いですし、短期間で償却すれば税金対策にもなります。一方、借入残高が減りやすく、資産価値としての評価の高い新築物件はサラリーマン大家に最適です。

◆建築費が安く投資回収スピードが速い点で、木造建築はサラリーマン大家向きと言えます。

◆対して木造ですがオリンピック需要からは、いい意味で蚊帳の外にいます。工場も違えば工事に関わる職人さんたちもまったく違う人たちです。かかる費用に今も昔もさほど差はありません。

◆入居促進費は不動産投資すべてに共通する費用ですが、もともと利率の低いワンルームマンション投資では、これが大きな出費となることもあり得ます。

◆三角形だろうが以上に細長かろうが木造ならお手の物。土地の形に合わせ、無駄なくスペースを最大限に使い、土地の大きさを活かしながら建物を建てることができます。


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  田脇宗城「不動産投資は新築木造3階建てアパートで始めなさい」(あさ出版)
2017818日(金)

 

 

不動産建設会社の社長が書いた本で、なかなか説得力があって面白い。
以下本書より参考となるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆これは私も本事業を進めていくうちにわかったことですが、新築・木造・3階建てアパートはほかの建物に比べて、とにかく入居率が高いです。私の会社を例にすると、平均して入居率は96%以上という数値を達成できています。

◆なぜ高い入居率を達成できるのか。
第一に挙げられるのは、部屋数を最大限確保できるという点です。同じ土地の面積があったとして、その土地に建つ2階建アパートが4部屋×2階の8部屋ならば、3階建は3部屋×3階の9部屋が確保できます。この1部屋の差は家賃収入の面で大きく違ってきます。しかも一部屋当たりの間取りも広くできるので、入居者に選ばれやすく空室になりにくいメリットがあります。

◆融資を受ける上で重要となってくるのは金利です。新築は超低金利で融資を受けられます。例えば、中古であれば4.5%のところ、新築だと0.8%といったところです。


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  倉石灯、角内創「資産家たちはなぜ今、テキサスを買い始めたのか?」(ぱる出版)
201783日(木)

 

 

<その3>
◆テキサスの場合、木造の物件であれば、建物が価値の約8割を占めます。たとえば土地と建物を合わせて、2,500万円の物件なら建物の会計上の価額が約2,000万円です。

◆2015年現在、65才以上の人が日本の場合は、人口の26%を占めましたが、アメリカの場合は15%にとどまっていました。もちろん、アメリカでも高齢化が進んでいますが、移住してくる人も多いため、この割合は比較的低くなっています。

◆日本での住宅不動産取引の約90%「新築」であり、中古住宅の取引は約10%に留まっています。しかしながらアメリカでは、新築住宅の取引が市場全体の約20%、中古住宅が約80%となっており、日本とは正反対となっています。

◆アメリカで、中古物件が取引の大半を占める理由の1つとしては、「新築の物件でも中古の物件でも良いものは良い」という価値観です。
もう1つの大きな理由は「物件を建築するための許認可を得るのにコストが高く、時間も長くかかってしまう」という許認可取得の事情です。


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  倉石灯、角内創「資産家たちはなぜ今、テキサスを買い始めたのか?」(ぱる出版)
201782日(水)

 

 

<その2>
◆日本の新幹線が導入されれば、ダラス〜ヒューストンの移動が90分に短縮されます。現在・車で約4時間、飛行機では約70分ですが空港への移動、保安検査などを考えると、飛行機より新幹線の方が速いでしょう。

◆テキサスの不動産イチオシの最大の理由は、「テキサス不動産の価格がまだ圧倒的に安い!」ということです。例えば、ダラス市では新築2階建て、建築面積200u、敷地面積800uぐらいの住宅を約2,000〜4,000万円で購入できます。
同じような大きさの戸建てをロサンゼルス・サンフランシスコ・ニューヨーク・ハワイのホノルルで購入しようとすると、軽く1億円以上になってしまいます。

◆テキサスの不動産市場の売買件数すなわち流動性はリーマンショック前の基準を確実に超えています。これがイチオシの理由の2番目です。

◆アメリカの住宅は、ほとんどの物件が木造です。木造の物件は日本では25年〜30年経つと解体され、建て替えられるのが一般的です。アメリカの場合、築年数が30年〜75年の物件が非常に多いのです。こういった物件がリノベーションされ、普通に流通されています。


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  倉石灯、角内創「資産家たちはなぜ今、テキサスを買い始めたのか?」(ぱる出版)
201781日(火)

 

 

知り合いの不動産会社の人間がアメリカのテキサス州のアパート物件を日本の資産家向けに販売していると営業に見えた。テキサス州のダラスからヒューストンまで日本が裏で20兆円ほど用意して、新幹線を作るという計画があることを思い出した。アメリカはお金が全くないので出さない。これにたてつく政権は失脚させられるのである。
ダラスがアメリカの最大財閥つまり最高権力者であるロックフェラー財閥の本拠地であることがテキサス州を新幹線立地として選んだ理由であろう。以下、本書より、インパクトのあるくだりを要約してご紹介しておきたい。

<その1>
◆テキサスは独立国家であれば、世界10位に入るほどの経済規模を誇るほどの州です。金額ベースでは、テキサスのGDPは約180兆円でオーストラリアやロシアよりも大きいのです。

◆アメリカではアラスカ州に次ぐ2番目に面積の大きい州で、日本の1.84倍の領土です。人口は約2700万人で人口の大半がヒューストン、サンアントニオ、ダラス、オースティンの4つの都市に集中しています。


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  小林忍「経営の定石の失敗学」(ディスカヴァー)
201758日(月)

 

 

<その4>
◆「営業部門なのに、なぜかいつもオフィスでパソコンとにらめっこしている。」

外へ出るべきは営業マンのみならず、経営陣も一緒である。内部管理型経営では、高収益体質の会社は絶対に作れない。営業マンはフリー訪問ではなく、定期訪問にしたり、訪問の件数を1日、5件程度などと、明確なルールを作るべきである。

◆「(実績原価ではなく)予定原価を元にした利益額が月次利益速報として報告されており、経営陣の判断を惑わしていたのです。」

どういう数値情報を作成するかは、社長をはじめとする経営陣が決めるべきことである。それをスタッフが決めるからおかしなことになる。
また、原価計算なるものには何の意味もない。支出を変動費と固定費に区分けして、収益性をチェックしていくべきである。


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  小林忍「経営の定石の失敗学」(ディスカヴァー)
201752日(火)

 

 

<その3>
◆「目標達成のためにギリギリまで粘りに粘ってがんばる姿――しかし、これは見方を変えれば、最後の最後まで嘘をつき続けただけとも言えなくもありません。」

実施責任(きちんと行うかどうか)は社員にあるが、その結果に対する責任つまり利益責任は社長にある。この根本原則がわかっていないのである。

◆「社員のモチベーションという耳当たりの良い言葉の裏に、<問題先送り体質>が見えたとたんに、会社は当の社員から一気に見放されたのです。」

社員のモチベーションは、トップ経営陣の力強いリーダーシップに対するリアクションとしてのみ存在する。自然発生的には生まれない。もし、強い強いモチベーションを持っている人がいたとすれば、その人は会社を起こして独立していくのである。


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  小林忍「経営の定石の失敗学」(ディスカヴァー)
201751日(月)

 

 

<その2>
◆「社長の意に沿う報告ばかりが続々と上がってきたのです。」

そもそも報告とは、社長の明確な指示に対するリターンなのである。明確な指示がなければ、報告そのものに意味がない。

◆「ワイワイガヤガヤと議論した挙句に何も決められなかったのです。」

会議とはそもそも、情報の伝達と交換の場である。みんなで話し合って何かを決める場ではない。決定とは、社長の仕事であって社員の仕事ではないのである。

◆「社長の判断の根拠となった現場情報は幻だったのです。」

ここで言う現場とは工場などのものを作っている現場のことらしい。事業経営とは顧客にものやサービスを販売するという市場活動のことである。つまり本当の現場情報とは顧客の要求やライバル会社の動向のことなのである。


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  小林忍「経営の定石の失敗学」(ディスカヴァー)
2017428日(金)

 

 

本書は経営の定石に取り組んでいた会社なのになぜか会社が傾いてしまったことについて述べたものである。換言すれば経営の定石に取り組む上ではずしてはいけないポイントがあり、はずしてしまうと、かえって逆効果になるということである。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約するとともに、私の論評を加えていきたい。

<その1>
◆「結局、経営陣はデータを詳細に読み込むことなく、説明だけを頼りに経営判断をしていたのです。」

そもそも、経営判断に必要な資料は、経営陣が要求するものであり、スタッフが勝手に作るものではない。その大前提がわかっていないからおかしくなるのである。

◆「スピードが自己目的化してしまうと、それはおっちょこちょいの暴走経営でしかありません。」

経営判断を間違えるのは、必要な情報を持ち合わせていないからである。
それは、経営陣が顧客との接点がないことと、必要な数値情報とは何かがわかっていないからである。


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  川勝宜昭「日本電産永守重信社長からのファクス42枚」(プレジデント社)
2017427日(木)

 

 

<その3>
◆カルロス・ゴーンが1〜2年で立直した最大の要因は、「業績未達を2年続けた役員はクビ!」という、ゴーン宣言です。
これで社内が引き締まり、上級幹部が役員室を空にして、行動するようになったことで、物事を徹底する体質に転換し、プラン・プラン会社は解消されたのです。

◆日本電産内には、「結果責任主義」という言葉があります。経営者は結果に責任を負っているわけですから、その結果が出るように行動し、経営するという意味です。

◆担当した1社目の会社を、永守社長の方針どおり、「1年以内に黒字化」できた私は「なぜ、私を採用したのですか」と直接永守社長に質問してみました。私の質問に対して、永守社長は即答でした。「君は、逃げないと思ったからだ。」

◆日産時代の左脳が肥大化した私にとっては、売上増大は、「マーケティング戦略」や「製品・市場戦略」などこそ本筋であないかと思っていましたから、「訪問件数月100件」を達成すれば売上が上がるなど、名にし負うカリスマ経営者の方針とはいえ、とても信じられないことでした。


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  川勝宜昭「日本電産永守重信社長からのファクス42枚」(プレジデント社)
2017426日(水)

 

 

<その2>
◆日本電産の再建は人員リストラも資産の切り売りも一切行いません。被買収会社の役員陣もそのまま引き継ぎます。行うのは「意識改革」です。

◆永守社長から届いたファクスには、「見積もりは24時間以内に出させよ」の文言が入っていました。それまでは、営業マンがやっと顧客からもらった見積もりを早くて1週間、遅ければ2〜3週間もかけて届けていました。

◆永守社長の「再建の指針」には、最初に「意識改革」に関するものが数項目。次がコストダウンの項目。続いて売上強化。最後にリーダーの心構え。その最後に「会社を1年以内に黒字化すべし」で結んでありました。

◆業績の悪い会社の1番の原因は、「物事を徹底してやらないこと」。これに尽きると断言できます。

◆業種が悪くなってもそれを嘆くだけで、社長以下経営幹部が対策会議は行っても、自ら挽回の行動には出ないのです。


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  川勝宜昭「日本電産永守重信社長からのファクス42枚」(プレジデント社)
2017425日(火)

 

 

著者の川勝氏が日本電産からグループ会社へ派遣され、企業再建の現場に立った7年間において永守社長から毎日のように送られてきたファクスの中から、重要性の高いものが本書にまとめられている。
以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆店員の意識を変えることによって、お客の気分を百倍よくすることはそれほど難しいことではない。この店が繁盛しているのは、ズバリ店員の意識の高さなんです。おそらくこのラーメン屋の経営者は、ラーメンの味にこだわる以上に店員の意識改革にこだわっているのだと思います。
私の人材に対する考え方もこれとまったく同じです。能力の高い人を採用するというよりも、人並みの能力を持つ人材を採用して、彼らの意識を高めることに全力を傾注します。

◆人の能力差はあるといってもせいぜい5倍。しかし意識の差は100倍もある。能力は磨いてあげるのは難しいが、意識は磨けば磨くほど上げられる。だから企業を強くしたかったら社員の意識を磨け。


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  小林せかい「ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由」(太田出版)
2017410日(月)

 

 

<その4>
◆「あつらえ」の提供時間は18時から。ランチタイムでは「あつらえ」を行っていません。これはビジネス用のランチニーズ(=早く・安く)と「あつらえ」が一致しないためです。

◆私が年少の時に10年間茶道を学んでいたことも大きいのかもしれません。茶道の世界ではあからさまに口に出して表現することを好みません。掛け軸や飾られている花はいつも季節や節句にあわせて変わるのですがひっそりしています。それを気づけなければ、それまでなのです。お客様が来るかどうかわからなくても万全の用意をして、しかし、それを客人に悟られない、そんな茶道のあり方は、自分のおもてなし観にずいぶん影響を与えたと思います。
過度ではない、ちょうどいい距離の関係性。言葉にするとありがちな一文ですが、このような体験によって体現する過程で独特の色が付いていったのかもしれません。


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  小林せかい「ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由」(太田出版)
201747日(金)

 

 

<その3>
◆メニューを毎日変えているため、毎日来られるお客様も多くいらっしゃいます。1日60人くらいの来客があり、毎日来られる方は10名弱なので、全体の1割程度といったところ。2日に一度程度になると、全体の3分の1程度まで高くなります。頻繁に足を運んで頂ける理由は様々でしょうが、バランスが取れ、季節感のある日替わりメニューであることは、理由の1つだと思います。

◆未来食堂には、メニューがありません。その代わり、リクエストに応じておかずの「あつらえ」ができます。
「あつらえ」は好みの材料を指定したり、体調や気分に合わせて1品をオーダーメイドするシステムです。未来食堂では「あつらえ」を一律400円と定め、食材を可視化することで初めてのお客様でも明朗な料金体系の中で、「あつらえ」を受けることができます。


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  小林せかい「ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由」(太田出版)
201746日(木)

 

 

<その2>
◆従業員は、私1人だけ。ただし、「まかない」というしくみがあり、1度来店したことのあるお客様なら誰でも、店の仕事を50分手伝うと1食無料になります。この「まかない」のおかげで近隣の方はもちろん、全国からやってくる方々が未来食堂を手伝ってくれています。

◆一般的な飲食店がランチタイムのお客様の滞在時間を「配膳・食事・食後の一服」と分け、10分・10分・10分の平均30分と見積ったとしましょう。未来食堂の場合は、最初の10分を0秒にしたいと考えているのです。そうすると、お客様は急がされることなく、結果的に、滞在時間が10分短くなります。未来食堂が目指しているのはそういった、お客様のためになる効率化なのです。

◆さて、日替わりのメニューは基本的に同じものは二度と作らない。本当に「日替わり」です。王道おかず(ハンバーグやしょうが焼きなど)は複数回作ることもありますけが、それでも2か月程度は間をあけます。


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  小林せかい「ただめしを食べさせる食堂が今日も黒字の理由」(太田出版)
201745日(水)

 

 

著者は東工大理学部数学科卒のコンピュータのエンジニアだった人である。この本には、小さな会社を経営するための原理・原則がたくさん書かれている。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約してご紹介していきたい。

<その1>
◆「メニューが多ければ多いほど、お客様の好みにあった食事が提供できる。」「飲食店では、誰がいつ頼んでも同じ味付けで提供するべき」私の経営する未来食堂は、このような既存の常識からスタートしません。

◆未来食堂は、神保町にあるカウンターだけの小さな定食屋。メニューは毎日日替わりで1種類だけ。夜は昼と同じ定食1種類に加えて、おかずのオーダーメイド「あつらえ」ができる定食屋です。
定食は900円。一度来ると永久に使える100円割引券をお渡ししているので、2回目以降は800円。提供メニューを1種類に絞り効率化することで、お客様が着席してから5秒で定食をお出しできるなど、ビジネス街のランチニーズである「限られた昼の時間の中で、おいしいものを早く食べたい」を実現しています。


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  柴田隆介著「会社もけっこう面白い」(日経新聞社)
20161116日(水)

 

 

<その3>
◆「柴田君、これは一体何かネ」
「社長とはどういう機能を果たさねばならぬのかを書いてあります。あなたのやりかたへの批判でもあります。」
「フーン。まァ読ましてもらうワ。えらいことになったなァ。」
「反論なりご意見なりは、いついただけますか?」
「あっそうか。いつがいい?」
「早い方がいいです。」
「じゃあなるべく早くな。弱ったなアー。」

◆最近の社員採用の風潮に一言ある。 多くの学生は、怠惰であり、無責任であると、オレは感じる。そして彼らに媚びるが如くに、給料や休日の数や厚生施設で説得に当たろうとする風潮が気に入らない。重要なのは、我々自身が誇りをもって、何事かを成しつつあるや否やである。もしあればそれを若者に語るべきである。彼らは、応えるであろうと、オレは思っている。

◆業務の維持・管理ではなく、変革と創造のみが我々を救うであろう。ビジネスは戦いである。ヴェンチャーにあっては、特に然り。
内にあっては、過去を否定し、変革を迫り、完全を究めつつ、外に対しては、広く真摯な交友を求め、独自性を主張し、新たな商品・サービスを創造する。これ、ヴェンチャー幹部の任務なり。その突破や、その構想、その情熱にできうれば部下の若者たちの賛意を献身を期待する。
これ、ヴェンチャー幹部の統率力に非ずや。心意気に非ずや。


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  柴田隆介著「会社もけっこう面白い」(日経新聞社)
20161115日(火)

 

 

<その2>
◆ビジネスというものは、理性的に冷たく運営されるというイメージを持っていたのだが、どうも違う。調査や選択肢の検討などはない。だしぬけに、社長のイラダチと共に結論が出る。不思議だった。物事は恐ろしく乱暴に決まる。

◆この頃「日経ビジネス」という雑誌に、エルムのことが取り上げられた。「異色企業」というページである。エルムがそれほど有名になっていたからではない。種を明かせば、日経新聞社の親友、鞍田がたまたまその連載物に空きがあり手配してくれたのである。確か、「全学連集団が今オフコンに」とか何とか、そんな記事になった。取材に来た記者がそもそも全学連崩れであった。

◆そのタカラブネを辞める時が来た。ある日、社長が「君は最近、少しなれなれしい。社長室長の役目は社長をエラくすることにあり、社長室長がエラくなることではない」と言った。至言である。トップとスタッフは必要以上に親密になってはいけないのである。


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  柴田隆介著「会社もけっこう面白い」(日経新聞社)
20161114日(月)

 

 

これは大阪にあるエルムというコンピュータ関連の会社の創業社長の物語である。実は、私はエルムという会社と過去に取引を行ったということもあり、大変面白く読ませてもらった。
また著者の柴田氏は京大時代に60年安保闘争に関わった人でもある。そのため60年安保当時、全学連の委員長だった唐牛健太郎氏とも一時期エルムで仕事をしていたというはなしも出てくる。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約してご紹介していきたい。

<その1>
◆この頃、全国の大学で全共闘運動が盛んになった。東大安田講堂での学生と警察との攻防は生々しくテレビ放映された。京大でも助手共闘会議が生まれ、オレは工学部では、数少ないメンバーとなった。

◆オレは大学にも研究にも夢を失っていた。大学に尊厳はなく、教官の多くは己の身を守ることに汲々としていた。大学は真理を追求する場ではなく、全体として権力に奉仕するための場であった。


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  田村潤 「キリンビール 高知支店の奇跡」(講談社)
20161013日(木)

 

 

<その4> 
◆わたしの考えでは、仕事とはすなわち理念に裏打ちされたビジョンを達成するものです。「上から命令された施策や企画を忠実にこなすこと」のみで仕事だとする考え方は間違っています。疑問をもたず、ただこなすだけの仕事は面白くない。自分のやり方を創意工夫すればその経験が自分の営業力とに蓄積される。また細部にわたる上からの強制は、とかく営業マンに必要な「お客様の視点」が見えなくなってしまうものなのです。

◆勝つことの大事さを認識してもらうには、商品力によるのではなく、営業力すなわち自分たちの力で勝つことを経験してもらう必要があると思いました。それには現場の実行力を上げることです。競合する会社はどこでもやっていることにそれほどの差はありません。それなのに、会社間で大きな差がつくのは実行力の差です。


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  田村潤 「キリンビール 高知支店の奇跡」(講談社)
20161012日(水)

 

 

<その3> 
◆本来、数字が悪くなったら、現場の営業を強化しなければならないはずですが、社内の会議を強化してしまう。わたしは、会議を重ねて、新しい対策プランをつくろうとしている実情を見かねて、「何をやっているんだ。数字が悪いのだから、現場でビールを売ること!会議でビールは売れないのだから。明日から会議は禁止」という指示を出しました。

◆会議の廃止は思わぬ良い効果を生み出していきました。水と油の関係だった営業部門と企画部門の関係がよくなったのです。企画部門の担当者は、会議がないので報告の材料がない。しかたなく、現場の人間に直接話を聞くようになり、自然、企画部門の目も現場に向くようになり、現場に関心を持つようになりました。

◆会議廃止で目に見えるいちばんの効果は、内勤の人数を減らすことに直結したことです。資料作成や事前打ち合わせなど、会議の準備と報告書が必要なくなったため、内勤業務が削減され、内勤者を現場の営業にまわすことができました。


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  田村潤 「キリンビール 高知支店の奇跡」(講談社)
20161011日(火)

 

 

<その2> 
◆実は今までは直接、料飲店に行くスタイルの営業は、あまりやっていませんでした。料飲店に酒を配達する酒販店へのセールスが主の、間接営業だったのです。

◆「結果のコミュニケーション」とは、コンサルティング会社のアドバイスをもらいながら導入した手法で、メンバーが自発的な目標を定め、リーダーとの間で約定(コミットメント)したら、その合意の結果をしっかり検討する、というものです。

◆そして営業マン自ら、これまでキリンの社内ではよしとされてきた「量より質の営業スタイル」を「間違っている」と否定し始めます。


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  田村潤 「キリンビール 高知支店の奇跡」(講談社)
2016107日(金)

 

 

かなり売れている本である。内容としては、普通の話であるが、事業経営とは、あまり縁のなかったサラリーマンには受けるのかもしれない。以下、本書より参考となるくだりを要約して御紹介することとする。

<その1>  
◆これだけは絶対にやってはいけないということはわかっているつもりでした。ひとつは、自分で考えて確信をもてることしか部下に言ってはいけないということ。もうひとつは、総花的な営業です。・・・・敵の立場でいちばん嫌なのは、相手が繰り返し同じポイントをしつこく突いてくることでしょう。

◆負けから勝ちに転じさせるには、なぜ、負けているか、その原因を見つけ、それに応じた施策を絞る必要があると思いました。

◆大きな施策として、わたしは、「料飲店のマーケットに集中して営業をかけよう」という戦略に絞り込みました。 本来なら、大きい市場(家庭でのビールは75%)に注力すべきですが、わたしは、営業力の効きやすい料飲店にターゲットを絞りました。


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 ジェローム・シュシヤン「ターゲット ゴディバはなぜ、売上2倍を5年間で達成したのか?」(高橋書店)
201696日(火)

 

 

<その3> 
◆「第二の人生をどうするか。これを考えなければならない。」とは、ピーター・ドラッカーの言葉です。「知的職業に就いた人は、その仕事に飽きがくるときがある。そのときのために、もう一つの仕事を準備しておきなさい。」というのです。

◆私の育ったフランスでは、何ごとも他人との競争です。子供の頃から相手に勝つことが大切だと教えられます。 それはフランスだけではなく、ヨーロッパの人間の考え方も、ほとんどがそうではないでしょうか。


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 ジェローム・シュシヤン「ターゲット ゴディバはなぜ、売上2倍を5年間で達成したのか?」(高橋書店)
201695日(月)

 

 

<その2> 
◆ターゲットを狙うのではなく、ターゲットであるお客様と自分が一体になる。お客様との距離が消滅すれば狙わなくても当たる。ビジネスは常にお客様の立場に立って考えることが大切。狙わないからこそ、的を正しくいることができたのです。

◆彼女は、「店内が清潔かどうかを見ます」と答えました。たいていの営業担当は、売上げ、来客数、利益、購入率、といった基準で、お店をみて評価します。しかし、彼女は数字の結果だけではなく、販売する前の状態、過程に注目していたのです。

◆もし、あなたが会社に入り、出世しようと思うなら、何を心がけるべきでしょうか?私の経験から一番におすすめすることは、その場その場で決断できる人になることです。


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 ジェローム・シュシヤン「ターゲット ゴディバはなぜ、売上2倍を5年間で達成したのか?」(高橋書店)
201692日(金)

 

 

本書は、フランス人社長が、日本で成功したビジネス論である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1> 
◆こうして、出来上がったのが、次の戦略プランです。
アスピレーショナル(憧れ)&アクセシブル(行きやすい)を実現する。

◆戦略プランが明確になると、ゴディバ・ジャパンのチームは次の3つの柱を立てました。

@広告…テレビ広告を利用した「憧れ」のイメージ要素の強化。

A製品…ギフトだけではない、自分のご褒美としてのゴディバ「MY GODIVA キャンペーン」の提案。 アイスクリームなど夏季用商品の開発。

B販売チャネル…コンビニエンスストアなどを含む新たな販売チャネルの開拓。47都道府県すべてへの直営店出店など販売場所の拡充。


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 和仁 達也 「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの会話術」(かんき出版)
2016817日(水)

 

 

<その4> 
◆私がコンサルタントを雇ったのは、自分が苦手な部分をフォローしてほしいと思ったからである。つまり、お金についてドンブリ経営であることや、やりたいことをまとめる話し相手として期待しているのであって、自分にとって一番やりがいがある商品開発や商品をいかに売るかというマーケティングにまで、あれこれ口出しされたいわけではない。

◆コンサルタントの主義主張や考え、思いを押し付けるのではなく、社長の考えを社内に浸透させるための潤滑油となるのが「パートナー型」コンサルタントの役割であるということに気づいた瞬間でもあったのです。

◆報酬の違いを生むのは、コンサルタントの知識やスキルの差ではなく、「見込み客のどの困りごとにアプローチしているのか」の差です。そして高度な知識やスキルが必要になるのは、その後の話です。


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 和仁 達也 「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの会話術」(かんき出版)
2016816日(火)

 

 

<その3>  
◆コンサルタントは言葉を使って行動させ、気づきを与え、成果を引き出す仕事です。したがって、高度な言語化スキル、すなわち、物事や現象を簡潔な言葉で定義付けする力が問われるわけです。言語化スキルは(本質をつかむ力)×(ボキャブラリー力)です。

◆正しいやり方を教えても、クライアントが動いてくれないのは、それをやる意味づけがされていないからです。

◆コンサルティングの仕事で相手の相談に乗る際にもっとも大切なことの1つは、問題の核心を突き止めることです。そして、相手の相談や質問の意図を正確に把握して、その上で相手が本当に必要とする答えを返してあげるのです。


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 和仁 達也 「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの会話術」(かんき出版)
2016810日(水)

 

 

<その2> 
◆単価の高いコンサルタントは、見込み客の頭の上にある「お困りごとトップ3」にアプローチします。それは、見込み客にとって夜も眠れないくらい重要なお困りごとです。

◆大切なことは、相手がいったことに反応するのではなく、相手の真意を汲み取って、そこに答えること。それができたとき、「ああ、この人はよくわかっている」と信頼と尊敬が芽生でるのです。

◆「先に言えば説明、後で言えば言い訳」これは大切な教訓です。つまり、先に言っておけば、相手もそのつもりで、心の準備をしてくれるけれど、後で言うと、相手にがっかり感や不満を感じさせてしまい、言い訳にしかならない、ということです。


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 和仁 達也 「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの会話術」(かんき出版)
201689日(火)

 

 

著者の著書を一度ここで紹介している。前書は決定版とあるのに対して、本書は特別版という位置付けになっているが、その違いはよくわからない。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとしたい。

<その1> 
◆成果を出すコンサルタントと停滞しているコンサルタントの違いは、能力の差でも知識量の差でもないと。その違いを直接的にもたらしているのは「対話の型」の有無だ。

◆コンサルタントには、そのアプローチ法の観点で分類すると、2つの型があります。1つは「先生型」コンサルタント。もう1つは「パートナー型」コンサルタントです。
「先生型」とは、クライアントの知らないことを教えるアプローチです。ところが、このやり方は短期集中でいくには良いのですが、複数年にわたって良い関係を継続するには向いていません。これに対して、「パートナー型」は相手が見落としていた盲点を気づかせるんです。


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 有森 隆「社長解任、権力抗争の内幕」(さくら舎)
201652日(月)

 

 

<その4>  
◆国鉄の経営は、東海道新幹線が開通した1964年(昭和39年)から破綻の兆しをみせはじめていた。同年度に300億円の赤字に転落して以来、一度も黒字になることなく、悪化の一途をたどっていた。

◆動労のトップである松崎明は、ことあるごとに、「列車を動かすのは大変だが、止めるほど簡単なものはない。俺がこれから電話すれば、山手線を一発で止めることができる」とJR東日本の経営陣を恫喝してきました。

◆高学歴社会になって、土光が心底嫌がったインテリ経営ばかりになっている。インテリ経営者の経営手法は万国共通だ。官僚主義である。
官僚主義がはびこると、関心は社内に向く。陰謀が三度のメシより好きな社内政治家が横行して凄まじい派閥抗争が繰り広げられる。やられたらやり返す。お互いの刺し合いで、憎悪の連鎖が生じるのが常だ。


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 有森 隆「社長解任、権力抗争の内幕」(さくら舎)
2016428日(木)

 

 

<その3>  
◆毒舌の社会評論家として数々の名言を残した大宅壮一によれば、日本人のタイプは田舎者と江戸っ子に二分される。田舎者は大目標を設定して人生をまっしぐらに突き進む。人一倍、出世欲、権力欲、名誉欲が強い。江戸っ子はなにごとによらず淡泊だ。

◆日産社内で語り継がれている川又のエピソードがある。川又は芸者を後妻にしたが、この女性が紫色がとても好きだったので、日産はバイオレットという名前の新車を売り出した。本当の話である。

◆JR東日本は、首都圏、JR東海は東海道新幹線というドル箱路線を譲り受けたのに対し、JR関西は私鉄王国だ。企業規模の大きい巨大な私鉄との競争が激しい地域で、西日本はハンディを背負っての旅立ちだった。


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 有森 隆「社長解任、権力抗争の内幕」(さくら舎)
2016427日(水)

 

 

<その2> 
◆株式会社は業績がすべてだ。業績が落ちればトップのクビが飛ぶ。ところが、電力料金の集金人と発電所の技術者で成り立つ電力会社は、トップを誰にするかを業績と無関係に決めている。誰にくっついて、引き立ててもらえるかが決め手となる。役員は御殿女中のようなものだ。役員たちが三度のメシより好きな人事抗争に明け暮れるのはこのためだ。長期政権の果ての人事抗争は、まさに関西電力の病理そのものだった。

◆日経連のおもな任務は、共産主義を水際で防ぐこと。具体的には労働組合対策だった。共産主義革命への危機感は、現代では想像もつかないほど強かった。米ソが対立する冷戦時代に資本主義を守ることが財界人の至上命題だった。左翼の牙城であるマスコミの世界に、保守メディアをつくる必要性に迫られていた。反共マスコミの担当として、水野成夫を文化放送に、鹿内信隆をニッポン放送に送りこんだ。


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 有森 隆「社長解任、権力抗争の内幕」(さくら舎)
2016422日(金)

 

 

仕事は出来ても権力闘争には弱いと出世はしない。とは言え、権力闘争ばかりでは、会社はつぶれてしまう。以下、本書よりインパクトのあるくだりを御紹介してみたい。

<その1> 
◆権力抗争を突き動かすエネルギーは嫉妬と憎悪である。そして、それは、しばしば正義の仮面をかぶって現れるものなのである。

◆トヨタの経営の転換点になったのは、1970年代の2度の石油ショックである。それが燃費性能のアップに磨きをかけるきっかけになった。石油をガブ飲みする大型車をつくってきた米ビッグスリーの凋落がはじまり、燃費の良い小型車中心のトヨタが台頭していく分かれ目になった。良質で廉価な小型車を追求してきたことがトヨタの成功の原点だ。

◆業績が順調に動いているときには、経営者の力量の有無は目立たない。飛行機を自動操縦しているようなものだからだ。問題は企業が逆境に置かれたときだ。苦境におちいったとき、どう対処するのかで、経営者の本当の実力がわかる。


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 安田隆夫 「安売り王・一代」 (文春新書)
2016229日(月)

 

 

<その5> 
◆「私は人一倍負けず嫌いだが、じつは負けの数も人一倍多い。にもかかわらず、何とかここまで到達できたのは、何回負けても絶対に「大負け」はしなかったからである。」

【コメント】先にも書いたが、経営において、一番重要なことはリスクヘッジだということがここからも分かる。

◆「小さなたくさんの失敗(負け)」と「数少ない大きな成功(勝ち)があればいい。要は、大勝ちによるプラスが、小さな負けで積み上がったマイナスを上回ればいいのだ。」 

【コメント】ここで大事なことは、社長も書いてあるとおり、もうけられる時には、思いっきりもうけないとダメだということである。 

◆「神の子たるイエス・キリストですら、わずか12人しかいない弟子の中の1人に裏切られ、はりつけに処せられたのだから、凡人であるわれわれが、そう簡単に人のことなど見抜けるわけがない。」 

【コメント】 実はこの本のなかで、ここが一番気にかかったところである。要するに、どんなに経験を重ねても瞬時に人を見抜く力は身につかないということである。 


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 安田隆夫 「安売り王・一代」 (文春新書)
2016226日(金)

 

 

<その4> 
◆「そもそも私は人材育成とか教育といった「上から目線」の言葉が大嫌いだ。だいたい、「上司に育成されたい!」などと本気で思っている若者なんているわけがない。「人は育てるものではなく、自ら育つもの」という考え方が権限委譲の前提になっている。自己育成の場を整備し、機会とチャンスを与え続ける・・・、これが私の人材開発における基本姿勢だ。」

【コメント】人材教育とは、よく考えるとおかしな言葉である。なぜならば、教育しなくても勝手に勉強する人々が人材だからである。

◆「ビジョナリーカンパニー最大の共通項は、「ビジョンと理念に基づく経営をしており、カリスマ経営者を必要としていない」という点に尽きるだろう。」

【コメント】とは言うものの、会社を高収益体質にするためのビジョンと理念は、カリスマ経営者にしか作れないものである。


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 安田隆夫 「安売り王・一代」 (文春新書)
2016225日(木)

 

 

<その3> 
◆「じつはナイトマーケットこそ、日本の流通業界に残された最後の大金鉱脈である。日本の小売業総販売額は、約141兆円だが、そのほとんどはデイマーケットだ。しかし、私は少なくとも、その2割強、30兆円程度は、夜間売上に移行する可能性があるとみている。」

【コメント】 血圧の高い人は、朝は得意だが夜は苦手。逆に血圧の低い人は朝は苦手で、夜は得意である。ナイトマーケットは血圧の低い社長でなければ向いていない。ところが、一般的にバイタリティのある人は朝から元気な高血圧型人間である。そういう意味では、低血圧の安田社長は、自分に有利な分野で戦っているのである。

◆「だから私の信条は、攻めは他人がやらないことをアグレッシブに。しかし、守りはベーシックにだ。そもそも守りの基礎ができていなければ、アグレッシブな攻撃など怖くて仕掛けようがない。」

【コメント】 この主張を私なりに解釈すると、経営で一番大事なことはリスクヘッジだということになる。


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 安田隆夫 「安売り王・一代」 (文春新書)
2016224日(水)

 

 

<その2> 
◆「ドンキの原点に立ち返ることにした。自らに権限を封印し、部下に経営そのものの権限委譲をするしかないと思い至った。その答えは、ひとつ、勇退だ。」

【コメント】経営者というのは、成功体験は語れるが、成功原理は語れないものである。このことを前提にして経営者の話を聞く必要がある。現実に安田社長は引退していないし、権限委譲と言いながら、私には正しくワンマン経営をしているようにしか見えない。

◆「私自身、生来、人一倍妬み深く、我欲と不満が強くて、ハングリー度の高い人間である。」

【コメント】 嫉妬心とは、マイナスのエネルギーである。それに対して、我欲や不満、及びハングリー精神の強さはプラスのエネルギーである。妬みの強い人とは、自分の利益や満足よりも、人の利益や成功が気になってしょうがない人のことである。


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 安田隆夫 「安売り王・一代」 (文春新書)
2016223日(火)

 

 

ドン・キホーテの創業者である安田社長の著書である。以下、本書より参考となるくだりを要約して御紹介するとともに私の意見も付加してみたい。

<その1> 
◆「ドンキという企業の本質をひとことでいうなら、それは、権限委譲だ。部下に全幅の信頼を置いて権限委譲したからこそ、社員は見違えるように働き出した。・・・」

【コメント】 と書いているが、言葉の本当の意味での権限委譲をしたのかどうかは疑わしいと思う。まず安田氏の基本方針があって、その方針の枠組みの中で仕事をしているのだから、権限など委譲していないと思う。もし本当に委譲したとしたら、業績が悪化した場合の責任をその社員がとることになる。そんなことを社員は絶対に望まない。
結果に対する責任、つまり利益責任は社長にある。社員には社長の方針通りに実施するという実施責任があるというのが正しい経営の考え方であろう。


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 和田一郎 「僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語」(バジリコ)
201628日(月)

 

 

<その3> 
◆知らず知らずのうちに、大きな企業で学んだマネジメントの方法を当然のものと思っていた。大きな組織では自分の配下にどんなに問題を起こす人間がいても、なんとか使いこなすことが求められた。が、自分で事業をするときにはとくに小さな事業を一から立ち上げるときは、大企業のやり方は通用しない。指示に従わない者、足を引っ張る者をいっしょに連れていく余裕はない。そういう者を連れて行こうすると、道連れにされて倒れるのは誰あろうと自分なのだ。

◆自分が正しいと思うやり方で、一生懸命に働き、それで日々に必要なお金をいただく、評価してくれるのは顧客だけというシンプルな生活。


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 和田一郎 「僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語」(バジリコ)
201625日(金)

 

 

<その2> 
◆つまるところ、ビジネスの核心は、「売ること」であり、売ることさえできれば、他のことはあとからなんとでも修正できるのだ。
会社員として、何年も勤めてきた者にとって、自分の名前で何かを売るということは、とても難しく感じる。ある程度考えてみる。だが、絶対に正解と思える答えが見つからなくても、とにかく、何かとっかかりのあるものを売ってみる。それこそが正攻法なのだと思える。

◆できることなら、小さな金額の仕入でとにかく売ってみる。売れなければ他の方法を試せばいいし、売れたならもっと効率的に売る方法や単価を上げる方法を考えて、また、小さな単位でやってみればいいいのだ。そして、資金に余裕が出るにしたがって、その単価をどんどん大きくしていけばいい。


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 和田一郎 「僕が四十二歳で脱サラして、妻と始めた小さな起業の物語」(バジリコ)
201624日(木)

 

 

本の帯には、「会社を辞めて14年、1000万円の元手で商売を始め、現在年商3億円。孫正義でもなく、ホリエモンでもない、市井に生きる脱サラリーマンの泣き笑いの起業奮闘記。」と書かれている。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1> 
◆「会社を辞めたって、誰でも食べていくことはできるよ。頭のいい人は、頭で、身体の頑強な人は身体で、どちらもない人は情に訴えて」。僕は先輩のこの言葉を信じることにした。

◆結局のところ、他人のアドバイスを聞くなということも、他人のアドバイスを素直に聞けということも、どちらも正しいのである。その使い分けが将来をきめるような気がしてならない。


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 長谷川和廣 「利益を出せる人、出せない人」(かんき出版)
20151125日(水)

 

 

<その2> 
◆無理に売るな! 客の好むものも売るな! 客のためになるものを売れ! 

◆仕事における唯一の間違いは、間違いを犯すことを恐れることである。また成功するためには、好きなことをやってはだめで、お客様のためでないといけない。

◆ビジネスはどんな小さな案件でも「決定する」という判断力が伴うので、短時間の思考は危険です。

◆多くの場合、人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ。

◆リーダーシップとマネジメントはまったく別物である。意義ある変革と成功に導く原動力はリーダーシップであって、マネージメントではない。
リーダーシップの重要性とその役目には3つある。
1.組織の進路を設定する。
2.組織のメンバーの人心を統一する。
3.メンバーの動機付けと啓発。


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 長谷川和廣 「利益を出せる人、出せない人」(かんき出版)
20151124日(火)

 

 

本書は社長のノートシリーズの3冊目にあたる本である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、ご紹介することとしたい。

<その1> 
◆自分に負荷をかけずに現状維持を望む人からは利益を出す発現は生まれない。

◆仕事ができる人とは、「自分の頭で考え、自分で判断できる人」のことです。

◆赤字会社の再生をしていて思うこと、―それはトップや幹部といわれるリーダーの指示が曖昧だということ。―たとえば、「交際費は10%削減」という指示を出すリーダーがほとんどで、具体的かつピンポイントで指示する人が少ない。

◆ドラッカーにいわく、「会議は必ず行うべきものではなく、むしろ、例外が起こったときに、開催すべきもの」という指摘です。つまり、会議は予想外のことが発生したときに、どう対処すべきかを話し合う場なのです。


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 湯澤剛 「ある日突然40億円の借金を背負う それでも人生はなんとかなる」(PHP)
2015108日(木)

 

 

<その8> 
◆「中小企業は、「大企業になれなかった会社」ではない。「大企業になる前の段階にある弱い会社でもない。「特定の分野に特化している企業」のことである。」

(コメント) 
つまり、その特定の分野においては、中小企業は大企業よりも優れていなければ、存在価値がないことになる。


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 湯澤剛 「ある日突然40億円の借金を背負う それでも人生はなんとかなる」(PHP)
2015107日(水)

 

 

<その7> 
◆「それまで全くダメだった店に優秀な店長が入ると、0だった利益が200万円くらいになることもある。そのほかのスタッフは変わらなくても、である。」

(コメント) 
優秀な店長がいるときは、業績が上がるが、やめると下がってしまう。これでは経営が安定しない。トップ(社長)の方針を明確にして、店長に依存しすぎない体制を作らなければならない。

◆「これまで私は「どうやって経営するか」について、徹底的に実行し、利益を上げてきた。しかし、「何のために経営するか」についてまで考えたことがなかった。」

(コメント) 
まず、理念があって、それから戦略・戦術を考えていくべきだと主張する人がいるが、私は、この社長のとおりに、戦略・戦術を先行させたほうが、理念について考えやすいのではないかと考えている。 この戦略であれば、もうかるが、理念として、そういうことはやりたくないという発想が出てくるほうが、自然だと思う。


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 湯澤剛 「ある日突然40億円の借金を背負う それでも人生はなんとかなる」(PHP)
2015106日(火)

 

 

<その6> 
◆「どうせ何もかもうまくいっていなのなら、何かひとつでいいから、「うまくいっていること」を作る。どこか1店舗に資源を集中して、「成功モデル店」を作ることにした。「まともに稼働している店」をつくるのだ。」

(コメント)
いわゆる「一点突破・全面展開」の戦略である。これも立派である。弱者は力を一点に集中させるしか生き残れないのである。あれもこれもやろうとすると何もやっていないのと同じである。

◆「若者や女性客は一度は偵察かたがた来てくれたが、リピートしなかった。もともとうちの固定客だった中高年男性客も去っていった。」

(コメント)
飲食にしても、アパレルにしても、若者や女性客をメイン顧客にすると、ほとんどが失敗する。ライバルが多すぎるし、リピーター化しずらい客層なのである。商売とは、需要の多さよりも、供給つまり同業他社の少なさに着眼すべきなのである。


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 湯澤剛 「ある日突然40億円の借金を背負う それでも人生はなんとかなる」(PHP)
2015105日(月)

 

 

<その5> 
◆「期限を区切り、一定の期間だけ必死にやろうと決めた。この期間だけは、どんなに辛くても屈辱的であっても、目の前のことに集中しようと決めた。その期間を5年とした。」

(コメント) 
この考え方は非常に重要だと思う。人の借金の返済なんかにエネルギ―を使い過ぎてはいけない。その後の人生において、パワーが全開しないのである。

◆「今すぐ何とかしなければいけない問題に対処していくのと同時に、本当に必要な取り組みにも対処しなければならない。そこで、緊急事態への「当面策」と、問題の発生原因にメスを入れる「根本策」を並行して行おうと決めた。」

(コメント)  
この当りが、この社長の優秀なところである。こういう考えはなかなか出来ないものである。普通は目先のことにしか関心が行かないのである。


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 湯澤剛 「ある日突然40億円の借金を背負う それでも人生はなんとかなる」(PHP)
2015102日(金)

 

 

<その4> 
◆「私が困ったのは、いわゆる「メンター(師)」と呼べる人がいなかったことだった。たとえば、赤字企業のたたみ方を熟知している専門家や、同じような苦境を経験している経営者が近くにいてくれたら、最初からもっと合理的な判断ができただろうし、心強かったことだろう。」

(コメント) 
メンター(師)は自分から積極的に探さないとめぐり合えないものである。事業を始める時は、まず、メンター探しからである。

◆「過去に啓蒙書やビジネス書で読んだ言葉は、当時の自分には何の支えにもならなかった。40億の借金と1億の未払金というリアルな絶望の前には、どんな金言も机上の空論としか思えなかった。」

(コメント)書物から学ぶにも、それを普遍化する力が必要である。また、普遍化するにはある程度の現場経験が必要となる。大企業のサラリーマン経験しかないと、書物から学ぶには少々時間がかかる。


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 湯澤剛 「ある日突然40億円の借金を背負う それでも人生はなんとかなる」(PHP)
2015101日(木)

 

 

<その3> 
◆「金融機関、特にメガバンクとの付き合い方にも細心の注意を払った。」 

(コメント) 
世の社長族は銀行に気を使いすぎである。他の取引先と同様、もっと自然体でいいと思う。一番重要なことは、証書借入だけにして、手形借入をやらないことである。手形借入をするために、銀行に潰されてしまうのである。

◆「支払い帳を隅から隅までチェックしてみると、出るわ出るわ、無駄な支払いが次々と発覚した。」

(コメント) 
経理に係る人間は、請求書が来ると、相手の言われたとおりに払ってしまう。それが二重請求であるとか、ムダな支出であるとかなどとはあまり考えない。また、売上金の入金関係に関しては、さらに関心が低くなる。経営者が率先して、その指導のもとで経理マンを使っていくしかないのである。


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 湯澤剛 「ある日突然40億円の借金を背負う それでも人生はなんとかなる」(PHP)
2015930日(水)

 

 

<その2>  
◆「会社を継いだといっても、当面、私のすることといえば、「資金繰り表」「先付け小切手」「念書」の3つを持ってひたすら方々へ謝罪して回ることだった。」

(コメント) 
ここで、資金繰り表(これを作れる人は少ない)と念書は重要だが、先付け小切手は絶対に切ってはいけない。もし約定通りに支払えなかった時は、小切手や手形は相手方にとって、法的手段を行使しやすくなるため、絶対にやってはならない。

◆「5000万円以上の税金の滞納があった私は、鎌倉市から東京国税局へ頻繁に通っていた。しょっちゅう呼び出されて「どれだけ払えるんですか?」と聞かれ、その都度支払い計画を持って行く。」

(コメント) 
この後の文章からもわかるが、店舗の保証金を差し押さえられるかもしれないと思って、毎月の返済額を高額に設定しているのであろう。だから、途中で約定した額を払えなくなり、遂に信用を失ってしまう。
6か月分の約定が多いと思うが、本当に払える額だけしか 払える と言ってはいけないのである。
商売を継続している限りは、保証金の差し押さえはありえない。余計の心配は無意味である。


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 湯澤剛 「ある日突然40億円の借金を背負う それでも人生はなんとかなる」(PHP)
2015929日(火)

 

 

本書は父親の急死により36才で突然倒産寸前の家業(居酒屋)と40億円の借金を引き継ぐことになった不運の男の泥まみれの10年間の記録である。
売上高は20億円、借金が40億円であれば、普通は倒産処理が原則である。それをやらなかったのは、それなりの理由もあったようだが、実際は適切なアドバイザーがいなかったことが、一番大きな理由であると思われる。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介するとともに、私のコメントも付してみたい。

<その1> 
◆「当時の顧問税理士は、ほとんど税務申告の捺印のみの付き合いだったので、こんなピンチでも頼りにならなかった。私が相談をもちかけても「私もよく把握していないのです。」というばかりであった。」

(コメント)
よくある税理士に対する評価である。しかし、実際はこういう経営者たちは税理士への顧問料をきちんと払わない人ばかりである。正当な報酬を支払わなければ、役に立つ税理士との付き合いはできないということを知るべきである。


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 海老一宏 「一流と言われる3%のビジネスマンがやっている誰でもできる50のこと」 明日香出版社
201587日(金)

 

 

<その3> 
◆私が気づいた成果が出ない人の共通点は、すべてのベースとなる「物事の受け取り方が悪い」ということです。「物事の受け取り方が悪い」とは、ズバリいうと「何事に対しても前向きさ、積極性が足りない」というシンプルなことです。自分の置かれている環境にも、向き合う相手にも、降りかかる災難にもすべて前向きさが足りないのです。

◆運ではない。何事もどう考えるかが大切だと。そして、もし、運というものがあるとしたら、それは前向きさが連れてくるものだと。

◆危機をたくさん乗り越えることで、人間は進歩します。その理由は2つあります。ひとつは、いうまでもなく、危機に対応する経験を積むことで、応用力が身につくこと。そして、もうひとつは、危機を経験することでメンタル面で強くなっていくことです。

◆タフなマインドを持つためには、ポイントが3つあります。ひとつ目は、いくら考えても解決できない悩みや問題は考えないとうにすることです。2つ目は、楽観的な気持ちを持つことです。3つ目は、「失敗や挫折、大きな問題が自分を成長させる」という気持ちを信じることです。




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 海老一宏 「一流と言われる3%のビジネスマンがやっている誰でもできる50のこと」 明日香出版社
201586日(木)

 

 

<その2> 
◆人脈が多い人に共通しているのは、人間観察をするとき、人の悪いところを気にするのではなく、その人のいいところを見出せるところです。

◆自分の考えがまずあって、それを確認したり、具体化したりするための知識を得るために本を読んだり、人の話を聞いたりするのです。

◆もし、自分がゼネラリストだと思っているとしたら、ちょっと今後のキャリアに注意が必要です。

◆社長を目指した方がいい人には特徴があります。それは何かというと、私の経験では「何をしても最終的に判断したい人、仕切りたがり屋の人、意見のある人」です。こういう感受性の強い人、企画力の強い人は一国一城のタイプです。




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 北方雅人・久保俊介 「稲盛流コンパ」 日経BP社
2015723日(木)

 

 

サブタイトルが最強組織をつくる究極の飲み会となっている。以下、本書より、インパクトのあるくだりを要約して御紹介していく。

◆昼間だと一方的な訓話のようになってしまい、会話のキャッチボールができません。酒が入ると本音が出る。酒が潤滑油になって人間性が出るのです。本当の意味で人間対人間の会話になってくる。だから、昼間に話すのとは納得感が全然違う。

◆稲盛流コンパでは、手酌をしてはいけない。他人より先に、手酌で自分の器を満たすのは、利己の表れ、周りの器に目を配りながら、酒が少なくなったら、さっとつぐ。そうして、相手に酒を注いでいれば、自分の器が空くこともない。

◆「人心掌握に要諦はない。一緒に酒でも飲んで胸襟を開き、分かってもらうしかない。


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 水沼啓幸 「地域一番コンサルタント」になる方法 (同文館出版)
201578日(水)

 

 

<その2> 
◆地域で長く営業を継続していくためには、大幅な値上げを我慢する必要があります。料金上昇が続く地域においては、それが支払える企業にのみターゲットが絞られてしまい、将来の事業が先細ってしまいます。

◆キラーコンテンツ、つまり、売りになるコンサルティングサービスは、大手コンサルティング会社に比べて安く販売することが重要です。
自分を知ってもらうためにあえて、強いサービスを使いやすくしておくのです。そして、お客様の満足度が高まれば、キラーコンテンツ以外の仕事についても依頼がくることになります。ここできっちりと利益を確保すればよいのです。

◆私は、人脈と呼べる方は、「こちらの頼みごとをしたり、会いたいときに、実際に会って話を聞いてくれる人」と定義しています。

◆せっかく人のつながりもあって、話すと優秀なのに、その後のアフターフォローが惜しいという人が少なくないように感じます。「仕事がない」と言っている人に限って、行動量が少なく、人脈形成にも熱心ではないことが伺えるのです。


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 水沼啓幸 「地域一番コンサルタント」になる方法 (同文館出版)
201577日(火)

 

 

著者は地方銀行出身の中小企業診断士である。本書より参考となるくだりを要約して御紹介したい。

<その1> 
◆私は地域で一番のコンサルタントになるためには、「業種」ではなく「分野」をテーマにしてコンテンツを作成、マーケティングを行っていくことがよいと考えています。特に経営者が必要としているか、あるいは、苦手としている分野をテーマとすると効果的です。
分野とは、金融、資金繰りを含めた財務、商品開発等のマーケティング、製造業でいえば、技術開発のような分野をテーマにしたコンテンツのことです。

◆コンサルタントで営業ができない人の場合、@お客様との距離感がつかめないAうまく問題点を共有できないB納得して行動してもらえないなどの弊害が出ることになります。


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 野呂エイシロウ 「ネクタイを毎日3本買う人は、なぜスゴイ仕事ができるのか」 (祥伝社)
201576日(月)

 

 

<その2> 
◆誰も貧乏くさい人にアイディアを話そうとは思わないし、貧乏くさい人からものを買おうとは思いません。

◆お金については、一度決めたら、くじゃくじゃ考えないことです。

◆常にいいことだけを考えるようにする。もし悪いことが浮かんだら消し去る。

◆「会社の支給してくれる範囲でしかお金は使いたくない」と考えていると、会社の奴隷になってしまいます。

◆本を読まなくても生きていけるが、一流の人にはなれない。

◆一流を目指すのなら、自分の周りから「アマチュア」を排除する。


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 野呂エイシロウ 「ネクタイを毎日3本買う人は、なぜスゴイ仕事ができるのか」 (祥伝社)
201573日(金)

 

 

本書の意味は、稲盛和夫氏の「見た目はその人の一番外側の中身」という言葉につきるのだろう。以下、参考となるくだりを要約して御紹介しておく。

<その1> 
◆ジャケットを着ただけで、それまで知らなかった世界が開いたのです。

◆無理をしてでも自分の見た目を上げれば、それに仕事や収入はついてきます。

◆ビジネスの見た目は、相手がどう思うかがすべて。

◆「やってみて」と言われたら、一流の人は、とにかくやってみる。ダメな人はやらない理由を探し始める。

◆一流の人は、クールビズを当たり前のように無視する。

◆カバンは手に提げて持つのが基本だ。リュックはNG。

◆紙袋をバッグ代わりに使うのはNG。


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 河野滋 「私に影響されなさい」(文芸春秋)
201572日(木)

 

 

会社経営101の極意が書かれているが、インパクトのあるくだりを要約して御紹介したい。

◆経営の鉄の道でとりわけ重要なのが、「自分の師を見つけること」です。何人いても構いません。師とする人の条件は2つ。1つは「成功者であること」。もう1つは「自分にないものを持っている人であること」です。

◆尊敬できる師を見つけたら、勉強のお金を惜しんではなりません。師の経験、知恵、教訓を深く学べば、自分を発見できます。

◆無料の情報は無価値。有料の情報だけに価値はあります。

◆常日頃から、物事をすべて数字で考える習慣をつけているかどうかです。その上で、自他に対して曖昧さを許さない姿勢を貫くことが重要なのです。

◆ダイエー建設のような生まれたての零細企業にとって、元請になるための道はごくごく限られています。あれもダメ、これもダメといって残ったのが、戸建ての住宅建築。その中でも分譲ではなく、注文建築に的を絞ることにしました。
つまり、中小零細は手掛ける分野を徹底的に絞り込むことが元請になることの鉄則です。

◆私は撤退を得意技としており、その際には、執着、拘泥、後悔、未練を危機回避の大敵と考え、わずかな兆候でも感じたら、すぐさま思考の中から蹴り出してしまいます。


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 牟田 学「社長のいき方」(PHP研究所)
2015519日(火)

 

 

<その8> 
◆5年も6年も前の商品が、売上の70%以上占めている会社は、新陳代謝が極めて悪く、業種も良くないところが多い。

◆成長は、人口、世帯数、得意先とする会社数と比例している。だから、成長には限界があるが、同じ別の新しい商品を売ることによって、打つ手は無限となる。

◆まず、社長が全体の傾向や景気や理念を話す。次に社員が具体的な実務で業績向上策を話すことだ。まず、全体を話すことが成功の手順である。すぐに実務に及んではいけない。


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 牟田 学「社長のいき方」(PHP研究所)
2015518日(月)

 

 

<その7>  
◆繁盛している新事業をよくみてみると、現業として、過去から存在していたものが多い。つまり、「業種的にはすでにあった」。ところが、どことなく異なってみえたり、やり方が違ったりして、新規と判断されているものが多い。

◆FTAもTPPへの参加も、力が拮抗した二国間や多国間で行うのが基本である。拮抗していなければ、量や質を規制しなければならない。

◆社長業の中で、最も大事なことは、社長や周りの人々に希望を与えることである。

◆メーカーにしろ、問屋にしろ、売上を飛躍的に伸ばすためには、商品やサービスを取り扱っていただいている末端の小売現場の拡販が最も大事なことである。


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 牟田 学「社長のいき方」(PHP研究所)
2015515日(金)

 

 

<その6> 
◆社長はコンピュータを過信するが、組織の中でごく少数の人材にはパソコンを使わせないことも大切である。生産や商品の開発の分野でさえも、昨今では手づくりの良さを失わないというのが売れている。
絵と写真とは、同じ被写体でも異なった芸術性がある。絵はその曲がった線に美しさがあるが、写真は直線に美がある。
効率を激しく追い求める時に、情や感性の豊かな社員を少人数用いることをお勧めしたい。

◆意気込んで新事業や新商品に着手したものの、うまく軌道に乗らない。こういう会社が昨今非常に多い。
それは、実験をするという思想や手法に社長が疎いからだ。

◆成功は目的を変えざるにある。成功する人の多くは、目的を変えないで一つのことをやり続けた人ばかりである。


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 牟田 学「社長のいき方」(PHP研究所)
2015514日(木)

 

 

<その5>  
◆会社の魅力とは、成長性・収益性・採算性が根本である。
成長性とは売上の伸長性のこと。収益性とは粗利益の伸びである。採算性とは経常利益を出し続けることだ。

◆経営者の意識が個体である企業の利益の追求ばかりに偏重し、自国を守ることから離れて、安価なアジアへ生産も仕入もシフトしてしまった。メーカーがない国は栄えない。メーカーの取り分は7割、問屋は1割、小売りは2割である。

◆集団は基本的に少数でなければ、精鋭は育たないのだ。その場合、経験値だけでいえば、強いリーダーが存在しても、有能なサブリーダーがいても、集団は15名を超えないようにしている。


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 牟田 学「社長のいき方」(PHP研究所)
2015513日(水)

 

 

<その4>  
◆社長業には勉強が欠かせない。一生涯が勉強である。何事か迷った時、問題に直面した時に、解決する方法はたくさんあるが、過去に読んだ本に判断を委ねたり、影響を受けたりすることは非常に多い。時にはその問題に関する専門家に相談することも多い。もともと専門家も知識を本から学んだという人が多いのだ。大事なことは、迷いや問題が生じた時に、解決するんだという強い目的意識を持っているかどうかである。その意識が不足していたら、いくら良書を読んでも、他人に問うても、身に付かないし、解決できないものだ。

◆新規開拓に効果的な方法に次の4点セットがある。
 1点目は、カタログを作成することだ。決して
 分厚くない、クドクド説明しない、急所を説明
 した販促専用のものを作成する。

 2点目に、そのカタログに添付する手紙を書く
 ことだ。趣旨を明確にしたためる。

 3点目は返信用ハガキをつくること。

 4点目は社長・担当者の名刺をクリップ止め用
 につくること。


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 牟田 学「社長のいき方」(PHP研究所)
2015512日(火)

 

 

<その3>  
◆新商品の開発で特に大事にして欲しいことがある。それは「誰に売るか」というお客様を特定して「くくる」ことである。的を外さない。これがスタート時から重要である。

◆記憶力が勝った人は、創業するのに不向きな人が多いし、他の道を選び、事業の道は選択しない。大抵、役人や学者になる。記憶力の人は書や他社に学ぶことが多い。それに対し、新しい事業や商品やシステムは画期的で前例がないというところに価値がある。繁盛店も、成功も、模倣や真似事の中にはない。社長に大事なのは、創造力である。

◆事業も数多く見すぎると、強い選択眼を持っていないと繁栄しない。勉強の一番の欠点は独自性を失うことである。どこにでも存在するものに陥ってしまう。会社も店も商品も哲学も思想も、独自性がないと永く繁栄しない。


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 牟田 学「社長のいき方」(PHP研究所)
2015511日(月)

 

 

<その2> 
◆実行は正しく果敢にすることである。戦いの場合、約95%は攻撃が大事である。守備だけでは勝ち目が少ない。

◆先進国である日本は、基本的に先端的な産業や独自の未来市場を開発して生きる以外に道はない。

◆イノベーションとは、過去を否定することである。日本は高いレベルの技術や新しいルールを築くことこそが生きる道である。

◆経営計画書がない会社でよく起こっているケースは、売上が落ち込んでいることだ。そこには重大な原因が潜んでいる。まず、売っている商品やサービスの売価を洗わなければならない。同時に、前年対比でのお客様の減少の実数を洗うべきである。この2つのことが、大原因であるからだ。計画書に大原因への対応を書かなければ、誰も手を打てないのだ。


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 牟田 学「社長のいき方」(PHP研究所)
201558日(金)

 

 

社長専門のコンサルタントの牟田氏の著書である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>  
◆長い目でみる… 雇われ社長になると、在任期間の業績が気になる。そのため先行して設備投資をしない。新事業に投資しない。金がかかるものは、みんな止める。工場を持たないで外注をする。ファブレスになるとやがて時流に後れ、技術革新に追随できなくなる。アメリカの多くが、その結果である。

◆M&Aには、恨みを残さない上手な成功手法がある。その1つは、これまで事業を継続してやってきた従来からの社長に、二期とか三期にわたって同じように経営をやってもらうことである。


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 裴英洙 「なぜ、一流の人は、『疲れ』を翌日に持ち越さないのか」 (ダイヤモンド社)
20141225日(木)

 

 

<その3> 
◆私自身「飲み会接待への考え方」を次の5つに決めています。

@基本的に2次会はいかない。

A平日週1回は夜の予定をフリーにしておく。

B開始時間をできるだけ早めにしてもらう。

Cお酒の種類が多い店、食事の種類が多い店にする。

D乾杯はビールにし、その後は、糖質が少ないワインや焼酎、ウイスキーなどのアルコールをメインにする。

◆疲れているから肉を食べないではなく、肉を食べないから疲れている。良質なたんぱく質を含む赤身の肉は体力的な効果はもちろん、集中力や思考力までアップさせてくれる。


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 裴英洙 「なぜ、一流の人は、『疲れ』を翌日に持ち越さないのか」 (ダイヤモンド社)
20141224日(水)

 

 

<その2> 
◆睡眠とは、寝床に入ってから眠たくなるのを待つのではなく、眠たくなってから寝床に入る、のが正解です。

◆体力的な疲労同様、脳の疲労にもタンパク質が大きくかかわっているというわけです。タンパク質不足では、体力が落ちるように、脳のパワーも落ちてしまい、健全な思考パターンが生まれにくくなります。

◆人は立位や座位に比べ、横たわると肝臓への血流が増えます。その結果、肝臓へ流れる栄養素も増え、肝臓の回復が早まります。




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 裴英洙 「なぜ、一流の人は、『疲れ』を翌日に持ち越さないのか」 (ダイヤモンド社)
20141222日(月)

 

 

ハードワーク、不摂生、不規則な毎日をやめられない人の最速で体を回復させる具体的な方法と本の帯に書かれている。以下、本書より参考となるくだりを要約して御紹介することとしたい。

<その1> 
◆A氏のライフスタイルには不眠になる「条件」がいつも隠されていました。

@仕事ばかりで運動はほとんどしない。

A時間がなくて寝る前に夕食をドカ食いする。

Bコーヒーを時間構わず多飲する。

Cベッドに行く前にタバコを一服する。

◆「朝イチ予定」があると、人は驚くほど目覚めたときから頭がしゃきっとなり、だらだらすることなく一日をスタートさせることができます。




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 小山昇 「強い会社はどんな営業をやっているのか?」 (あさ出版)
20141216日(火)

 

 

<その3>  
◆人材を教育するにあたって大切なのは―、知識を与えるだけでは駄目だということです。部下に知識を与えたら、実践させなくてはならない。

◆会社はどれほどお客様本位の経営をしていても(そしてそれがお客様に歓迎されていても)新たなお客様を獲得していく営業努力を続けなければ、いずれ先細りになっていくというのが冷厳な事実です。

◆30年前、日本は製造立国として世界に名を馳せていました。全産業のうち実に80パーセントが製造業という時代にあっては、より良い製品がつくれる機械をもっている、あるいは大量に生産できる設備をもっていることが競争優位でした。つまり、資本の差がそのまま会社の強い・弱いを決定していた。




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 小山昇 「強い会社はどんな営業をやっているのか?」 (あさ出版)
20141215日(月)

 

 

<その2> 
◆シェアナンバーワンになるメリットを列挙しておきましょう。

(1)競争に強くなる。多くのお客様は「どこでも売っている」「よく見かける」ので商品やサービスを選ぶ。

(2)ブランド力が向上する。特に日用品に関しては、「店頭で見かけた回数、量」がほぼそのままブランド力の強さになる。

(3)さらなるシェアの向上が望める。ますます強くなり「理想的な循環」ができる。

(4)利益率が高まる。たくさん売れることにより、スケールメリットが発揮できるようになる。

(5)優秀な人材確保が容易になる。認知度が高まる。商品性能で差別化しにくい時には、人材が最大の差別化要素である。

◆では営業担当者にとって、一番大切な資質とは何か。一言、ヒアリング能力です。このお客様はなにを求めているのか。何に不便、不安を感じているのか。こうしたことを聞き出してふさわしい解決策―、すなわち、これこそ、あなたの会社の商品サービスです―、を提案する。これができれば売れます。




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 小山昇 「強い会社はどんな営業をやっているのか?」 (あさ出版)
20141212日(金)

 

 

本書より参考になるくだりを要約して、御紹介することとする。

<その1> 
◆黙っていても受験生が集まってきたのも、今は昔。現在ではどこの学校も……….あの手、この手で学生集めにやっきになっています。私の見るところ、それを一番熱心にやり、効果を出しているのが明治大学ですね。就職サポートに力を入れる。有名スポーツ選手を入学させる。学生に各種アンケートを取る。校舎をインテリジェントビルに建て直す。付属高校からの進学者のうち成績上位者50名は授業料の大幅な減免措置を行ない、学校全体のレベルの底上げをはかる。雑誌社から取材が来るほど学食を充実させる。…….




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 大嶋祥誉 「マッキンゼーのエリートが大切にしている 39 の仕事の習慣」
(アスコム)
20141114日(金)

 

 

39の習慣のうち、私が気に入ったものをいくつか紹介しておこう。

<習慣1> 
◆いい仕事の第1歩は、何が問題なのかを把握すること。「そもそも…」のゼロ発想で問題の本質に近づこう。 

<習慣7>
◆大切なのは、バリューの大きさ。労働時間は無関係。時間は自分でマネジメントしよう。

<習慣10> 
◆上司と話すときは、つねに「YES!」。ピュアで、素直で、明るい人は、無敵。

<習慣13> 
◆30秒で3つのポイント。「@現状の把握 A現状の解釈 B解決策の提案」に分けて説明する訓練をしよう! 

<習慣20> 
◆机の状態は、あなたの頭の中の状態。ダンドリ上手な人は、みんな机がきれい。 

<習慣22> 
◆電話のかけすぎ、かけなさすぎに注意。メールと電話を併用して、相手の真意をくみ取ろう。

<習慣25> 
◆相手と同じ土俵に立つと相手のためにならない。別の視点で解決策を考えよう。 

<習慣26>
◆「問い」を上手に使って、相手に自発的に答えを出してもらう。 

<習慣31> 
◆「自分でやったほうが速い」という考えは、だれかの上司になった時点で捨ててしまおう! 

<習慣36> 
◆一般論を言わず、直感が鋭く、専門性が高い。そんなメンター(よき指導者。すぐれた助言者)を見つければ、モチベーションアップ。 




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 野村宜功 「本当に強い会社を作るための新常識」(東洋経済新報社)
2014924日(水)

 

 

<その3>
◆人材採用は、1人の採用でも、大きな設備投資と同じ慎重さで行う必要があります。本当に採用する価値のある人かどうかは、面接だけではなかなかわかりません。短い期間でも一緒に働いてみるのがベストです。

◆中小企業では売上高が下降している原因の多くは、企業内部、特に「販売員」や「営業員」に問題があることが多いので、その働きぶりに注目しておくことが大事です。

◆かつて私が勤めていたコンサルティング会社のトップは、「社長(後継者)は、営業、金、人事を握れば社内で強い」と語っていました。これは名言であると、今でも思っています。実際に社内を掌握するためには、この3つを押えておく必要があります。

◆日本電産の永守重信社長が「トップが直接一般社員に危機意識を強く訴え過ぎると、社内や職場に悲壮感が漂いはじめて、自信を失ったり、積極性や意欲に歯止めをかけてしまったりするなど、逆効果になる」とおっしゃいます。トップは元気よく笑顔で「うちの会社はこう行く!」とわかりやすい言葉で語るべきです。一方で幹部にはシビアな言葉で危機意識を存分に煽ってください。


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 野村宜功 「本当に強い会社を作るための新常識」(東洋経済新報社)
2014922日(月)

 

 

<その2>
◆いろんな事業に多角化して経営が傾くと、マスコミからは「選択と集中」をしなかったと叩かれ、「選択と集中」をした結果、コア事業にこだわり過ぎて経営が傾くと、「〇〇事業への依存から脱し切れなかった」などと叩かれます。経営者と言うのは、結果でした評価されない存在ですが、本当に難しいですね。

◆経理がしっかりしている会社とは、具体的には以下のような会社です。
 □経営の数字がスピーディにわかる会社
 □部門別や商品・製品の種類別の損益が「見
  える化」されている会社
 □売掛金の管理が「ばっちり」なされている会
  社
 □在庫の管理がしっかりなされている会社
 □仮払金の精算ルールが厳しい会社

◆間接人員の代表選手は、総務(人事)、経理です。私としては100人までの会社では、総務・経理はできれば2人で、200人までの会社では、3人までとなすようにがんばってほしいものです。




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 野村宜功 「本当に強い会社を作るための新常識」(東洋経済新報社)
2014919日(金)

 

 

著者は政府系金融機関出身の中小企業診断士である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとしたい。

<その1>
◆「日経ビジネス」2012年12月10日号の特集「富裕層の正体」によれば、超優良企業が多い(したがって金持ちの経営者が多い)のは、ニッチ製造業、特に@市場規模が3億円以下で大企業が参入してないA類似品のないオリジナル品B商品が部品ではなく完成品という3条件が揃った分野で、具体的には特殊用途の運搬車両、や食品機械、防災用品、包装機械などとのことです。

◆日本では昔から、営業を分離して各地に販社を設立したり、生産だけを独立会社にするという機能別分社がよく行われてきた。しかし、それを長く放置すれば、宿命として、「創って、作って、売る」のサイクルが分離され、その切断面で政治性がはびこり、組織のスピードが低下し、事業の創造性や戦略性が殺される。日本企業で経営者が育たないのは、優秀な人材を機能別効率化の世界に放り込んだまま、晩年になるまで「創って、作って、売る」の全体経営責任を経験させないからである。


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 澤田秀雄「運をつかむ技術」(小学館)
2014828日(木)

 

 

<その3>
◆いま、ハウステンボスの花のメインイベントとなっているのは、ゴールデンウィークから梅雨入り前にかけて行われる「100万本のバラ祭」である。

◆失敗を乗り越えられる人、失敗から新たなことを見出せる人は決して元気を失わない。元気が最大の財産 であることを知っているからだ。

◆もっとも手っ取り早く気を高め、運を上げるには、良い気の出ている、あるいは運のいい人や会社と付き合うことだ。

◆そもそもリアルがあってのバーチャルなのであって、バーチャルの価値は、リアルがあってこそだ。バーチャルの本質的な価値がリアルを超えることはありえない。それがわかった上で、バーチャルなものを使っているうちはいいのだが、近年は、どうもリアルが存在しているという前提を忘れてしまった人たちが増えているように思う。


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 澤田秀雄「運をつかむ技術」(小学館)
2014827日(水)

 

 

<その2>
◆魚が食いついても、えさだけ食い逃げされるかもしれない。途中まで引き上げた魚を逃がしてしまうこともあるだろう。でも、それさえも楽しんでしまえばいい。必ずまたチャンスはやってくるのだから。

◆真剣な失敗の積み重ねがとんでもない大成功を生む。大発明につながる。いま日本人や日本企業に足りないのは、そこなのではないだろうか。

◆そして、施行計画と実際の施行のように書物で得た知識を実際に試してみることで、初めて経験値として蓄積されることを知ることになる。

◆思い切って手を打っていくには、収支の改善はもちろん、これまで背負ってきた金銭面での問題をあらかじめ除いておく必要があるということだった。

◆それでも、どうしても削れない案件や部署もある。そこで、私は経費を削れないのであれば、「1.2倍速く動くこと」ことを従業員に求めた。


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 澤田秀雄「運をつかむ技術」(小学館)
2014826日(火)

 

 

この本には15年間赤字のハウステンボスを1年間で黒字にしたその手法が書かれている。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1> 
◆入場料が高いと感じたから試しに安くしてみたところ、一向に客足は戻らない。一方で好評の催し物やアトラクションがあれば、むしろ入場料を値上げしても、客足は増えていった。こうした経験はこれまでの私のビジネスの常識にはなかったことだ。

◆企業経営にあって政治に欠けているのは、「いつまでに何をするか、いつまでにどう変えるか」という理念プラス時間の概念だと思うのだ。

◆本当に考えなければいけないことは、水や食糧がないことではなく、この船の目的場がないことなのではないだろうか。


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 五藤万晶「コンサルタントのためのキラーコンテンツで稼ぐ法」(同文館出版)
2014731日(木)

 

 

<その4>
◆コンサルタントの仕事の本質は、「新たに生み出したもの、独自の方法として体系化したもの、自分が発案した効果的なノウハウを教えること」です。

◆コンサルティングと称していても、どこにでもあるような情報や、他の人でもできる程度のことしかしていないなら、診断やアドバイスはできてもコンサルティングはできないということです。そういう意味では、言葉は悪いですが私はよく、「学んだことを教えてもカネにならない」とお伝えしています。マネてもいいノウハウとは、ズバリ「考え方」です。別の言葉で言えば「思考方法」や「思考回路」と言えばわかりやすいでしょうか。
答えやノウハウそのもの、またやり方そのものをマネると「パクリ」ですが、答えを導き出す思考方法は大いにマネるべきなのです。

◆大事なことは、勉強したり学んだことを組み立てるのではなく、期待されるテーマやイメージを先に作り、それに足りない部分を埋めるということです。

◆「何かありませんか?」という受け身ではなく、独自に考えた、「これどうですか?」という企画提案型にすることこそ、売れるコンサルティングを実践していく第1歩なのです。


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 五藤万晶「コンサルタントのためのキラーコンテンツで稼ぐ法」(同文館出版)
2014730日(水)

 

 

<その3>
◆一流コンサルタントを目指すなら、コンサルティングテーマが基本的に「経営者対象」でなければ成立しません。いくら似ていても、セミナー講師や研修講師とは、テーマ設定や対象がまるで違うのです。

◆そもそも、世間で言われている成功方法に問題が多いのは、「自分はこれで成功した。」という現象を、さも「本質的な考え方や手法」のように語って教えていることがほとんどだからです。

◆コンサルタントにとって「独自性」はきわめて重要なものです。その独自性を支えているのが「専門性」であり、これらは一対のものです。専門性がなくなれば、必ず独自性も失われてしまいます。

◆いずれにしろ、違う職業を目指しているなら、ともかく売れるコンサルタントになるためには、パーソナル情報をずらずらっと出すのはやめることです。
やればやるほど、「二流臭」が出てきて、本物の経営者は近寄って来なくなります。

◆本来、コンサルティングとは「実務ノウハウの提供」が仕事であり、「仕組みを導入したり仕組みができあがって稼働する」ようにしてあげるのが仕事です。そういう意味で売れない二流コンサルタントに限って「実務の代行」を行っています。


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 五藤万晶「コンサルタントのためのキラーコンテンツで稼ぐ法」(同文館出版)
2014729日(火)

 

 

<その2>
◆どうやってキラーコンテンツを作るかというと、「自分自身の経験やノウハウを独自の手法として体系化」ということです。最大のキーポイントは、自分自身の経験やノウハウに基づいてつくり出すという点です。

◆面白いもので、経営者向けのセミナーの場合、話の上手下手というのはあまり重要視されません。経営者視点で「儲かる話をしているか」「信頼に足る人物で、実務の匂いがするか」という点が大きなポイントになります。

◆これはキラーコンテントとともに、コンサルティングのメニューの特徴を明確にするために、「資金500万円、6ヶ月で貴社の通販事業部を立ち上げます。」というキャッチコピーを用意。これが奏功したのと、セミナーで経営者から信頼を勝ち得ていたということが大きな理由です。

◆もちろん、コンサルティングにおいて、「真摯さ」というのは非常に大切です。S先生の場合、依頼された経営者にうかがってみると、実直な人柄と最後まで逃げない姿勢が高く評価されていました。


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 五藤万晶「コンサルタントのためのキラーコンテンツで稼ぐ法」(同文館出版)
2014728日(月)

 

 

著者はコンサルタントのためのコンサルタントである。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介したい。

<その1>
◆私の経験から言えば、売れているコンサルタントとテレビ出演はまったく無関係です。むしろ、本物の実務コンサルタントは、表舞台にはほとんど登場しません。また、話も決して上手とは限らないし、セミナーが苦手という方もいます。さらに本を出していない方も大勢います。

◆売れているコンサルタント、一流のコンサルタントに共通していることは、独自の強みや特徴(これをキラーコンテンツと呼ぶ)を持っている点です。そのコンサルティングは、他の誰でもなく自分にしかできず、マネも難しく「他に替えがきかない独自性」こそがキラーコンテンツと呼べるものです。

◆10年以上、会社の現場や第一線で活躍してきた方なら、必ずと言っていいほどキラーコンテンツづくりは可能です。


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 岩松正記「誰からも取引したいと言われる会社の条件」(クロスメディアパブリッシング)
2014723日(水)

 

 

<その2>
◆同じ会社と取引していても、担当者が変わると取引量が激減したり、またその逆もある。

◆取引されない会社の5つの絶対条件
・その1 利益を共有できないところとは取引しない。
・その2 態度が悪いところとは取引しない。
・その3 悪評のあるところとは取引しない。
・その4 能力のないところとは取引しない。
・その5 義理を忘れるようなところとは取引しない。

◆選ばれる会社の5つの絶対条件
・その1 値段・価格に魅力があれば選ばれる。
・その2 紹介してくれた相手次第で選ばれる。
・その3 お金の面で信用できれば選ばれる。
・その4 担当者が気に入られれば選ばれる。
・その5 トップが惚れられれば選ばれる。


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 岩松正記「誰からも取引したいと言われる会社の条件」(クロスメディアパブリッシング)
2014722日(火)

 

 

この本の著者は山一證券出身の税理士である。以下、本書より参考となるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆本書では新規開拓と、それ以上に既存客のフォローが重要だという観点に立っています。
取引というものは、一回こっきりのものではなく、できるだけ永続的に続くものでなければなりません。

◆徹底して相手のことをヒアリングしていきます。そのやり方が実にスマート。相手が話したくなるような雰囲気をつくり出すんですね。それと、そのヒアリングに基づいた商品提案。これが緻密にできていて、相手のニーズにぴったり合ったものや代替案のものなど、考え尽されて選びやすい提案を行うのです。
どうしてそういうことができるのか。それは江上治氏が「人に興味があるから」です。

◆相手に関心を持つというのは、商売に限らず人間関係の鉄則ですが、それを最初に徹底してやるからこそ、相手にベストな提案ができるようになるわけですね。それはつまり人に対して好奇心があるかないかではないでしょうか。


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 藤冨雅則「営業を設計する技術」(かんき出版)
2014716日(水)

 

 

<その2>
◆顧客というのは自分の課題や問題点、希望や理想などを理解してくれる営業マンに好意を抱くという原理原則がある。

◆購買行動には、次のような普遍の購買心理が働く。
(1) 人は「興味」のあるものにしか注意を向けない。
(2) 人は注意を向けても「信用」しなければ行動しようとしない。
(3) 人は行動しようと思っても、それが本当に最適な行動だと確信しなければ、実際には行動には移さない。

◆世の中は、過去の常識を覆し、新しい常識を打ち出した人(企業)を新しいリーダーとみなす。リーダーとして注目されれば、知名度が向上して、集客や新規開拓が一気に進めやすくなる。

◆どのような危機に瀕しても、市場を作り上げるチカラを持っている企業は必ず生き残れるものである。


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 藤冨雅則「営業を設計する技術」(かんき出版)
2014715日(火)

 

 

「誰もが諦めた商品が突如売れ始めた。その営業手順を一挙公開」と本の帯には書かれているが、以下本書よりインパクトのあるくだりを御紹介していこう。

<その1>
◆日本マクドナルド鰍フ創業者である故・藤田社長も「文化は高いところから低いところに流れる」という思想を強く持ちながら事業展開をしていた。

◆金持ちから流行るモノは息が長いが大衆から流行るモノはスグに消滅する。

◆販売や営業の世界では、購入後のイメージをどれだけ商談相手の脳に描いていくことができるかが成約率向上のカギを握る。

◆売上が上がらない根源を突き詰めると、基本的に2つの要素しかない。1つは商品が悪い。2つ目は売り方が悪い、のどちらかである。


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 高島郁夫「遊ばない社員はいらない」(ダイヤモンド社)
2014617日(火)

 

 

<その2>
◆教えたり、人を指導したりする人は、基本的に人に好かれなければその任務をまっとうすることはできないと思う。

◆社内にはデザイナーが複数いるがいままで見てきて優秀なデザイナーはほとんどフリーハンドでスケッチから入る。できの悪いデザイナーほどパソコンで描き始めるのである。
デザイナーに必要なのはパソコンスキルではない。アイデアなのだ。アイデアを生むには、それは練習するしかない。つまり何枚スケッチを描くかである。一日に何枚も描くのである。アイデアが湧かなければ雑誌をめくったり、外に出ていろいろな店を見たりするしかない。そういう中からだんだんコツをつかんでいくのである。

◆何のために働くのかは考えなくていい。必死に働くことによって見えてくる。そして仕事が楽しくなってくる。


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 高島郁夫「遊ばない社員はいらない」(ダイヤモンド社)
2014616日(月)

 

 

本書は株式会社バルスというインテリア関連企業(東証一部上場企業)の社長の著作である。
以下、参考となるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆オフィス内で多いのは書類をパンチした後の丸い小さな紙クズ。小さいけれど意外に目立つ。拾いづらい。でも拾うこの単純なことがこれもまたできない人は、私は商売に向いていないと思う。商売のキホンな気づきである。人が困っていることに気づくから、ニーズを拾うことができる。そして商品やサービスが生まれるのである。

◆遅刻する人がいる。月曜、金曜、雨の日が多い。ましてやそういう人は休日出勤も多い。私は遅刻を絶対に許さない。遅刻している人にはわからないだろうが、確実にまわりの評価は下がっている。それが社会のマナーというものだ。

◆私は本当の意味で作業は仕事じゃないと考えている。一番大事な仕事は考えることではないだろうか。


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 鎌田聖一郎「おかげさまでご紹介営業しています」(すばる舎)
2013516日(金)

 

 

<その2>
◆日常での夫婦や友人との会話でも「相手は何を聞かれたら一番嬉しいのか」を意識することが大切です。

◆テレビや本、新聞、インターネットなど、ネタを集める方法はたくさんありますが、その中でも私のネタ元は直接人から聞いた話や自分が実際に体験したことが中心です。

◆トークは「何を話すか」というより、「どのように伝えるか」がとても大事です。つまり、どれだけ知識を持っていてもお客様に伝えられなければ、お客様の役に立つことはできないのです。

◆紹介で何より注意しなければならないのは、まだ見ぬ紹介先の人ではなく、自分に協力しようとしてくれている紹介者に嫌な思いをさせないことなのです。

◆私の場合は、約4000人の既契約者がいるので、お客様に呼ばれたときはもちろん直接会いに行きますが、そうでなければ、お客様全員に定期的に会ったり電話したりすることは時間的に難しく、ご迷惑をおかけしています。
そこで、2つの鉄則(お客様から忘れられないことと、自分がお客様を忘れないこと)を補うために、ハガキやメール、冊子を送っています。


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 鎌田聖一郎「おかげさまでご紹介営業しています」(すばる舎)
2013515日(木)

 

 

著者の鎌田氏とは10年以上前に私が主催した経営塾に参加してきた時以来のおつきあいである。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆紹介が途切れなければ、見込み客探しに多くの時間を割かなくてもお客様と出会えるので、アフターフォローにも十分な時間を費やすことができるのです。

◆紹介が途切れない状態を目指すには、お客様との関係を築いていくときに、契約を追わないことが大切だと私は考えています。

◆お客様に四、五回もお会いするのは、私の営業活動のゴールが契約ではなく、紹介だからです。

◆ご相談の案件を増やすというのは、保険以外のご相談を率先して受けるようにするということです。

◆一般的には、契約直後に紹介の話をお客様に切り出すことが多いのですが、私の経験上では、契約直後よりもコンサルティング中のほうが、ご紹介をいただける確率が高いと思います。

◆「保険に入りたい」と言っていない人のご紹介をいただくには、保険に直接関係のない要件でも自分がお会いしている事例を数多くお客様にお伝えしていくことが大切です。


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 安田 正「一流役員が実践している仕事の流儀」(クロスメディア・パブリッシング)
201343日(木)

 

 

<その3>
◆「接待をする時の食べるペース、
三流は、マイペースで食べる。
二流は、相手が遅ければ合わせる。
一流は、相手が早食いでも合わせられる。」
⇒ 人と自分との動きをシンクロさせるのは、普段からの練習が必要だ。

◆「誰かと話をしている時、
三流は、メモを取らず忘れる。
二流は、相手の言葉を細かく書きとめる。
一流は、自分の考えをメモに取る。
⇒ 人の話を聞いていても、それを自分の発想に結びつける力を持っている。

◆「平社員で終わる人は、意見が無い。
部長止まりの人は、意見はあるが信念が無い。
役員に上り詰める人は、信念を体を張って貫く。」
⇒ アイデンティティをしっかり捉えてゆらぎない。


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 安田 正「一流役員が実践している仕事の流儀」(クロスメディア・パブリッシング)
201342日(水)

 

 

<その2>
◆「相手を説得したい時、
平社員は、感情に訴えかける。
部長は、合理性を説く。
役員は、自分の土俵に上げる。」
⇒ 自分が有利になれる話の展開の方法を知っている。

◆「人脈について、
平社員は、名刺の数が人脈だと思っている。
部長は、人脈はずっと不変だと思っている。
役員は、持ち運べる人脈を持っている。」
⇒ 会社や立場が変わると活用できるのが有 の人脈だ。

◆「会議中に、
平社員は、何も発言せずに、ただ聞いている。
部長は、自分の仕事ばかり考えている
役員は、アピールするチャンスをうかがっている。」
⇒ 議論を前進させるための術を心得ている。

◆「手帳を選ぶとき、
三流は、毎年使いやすそうな手帳を探して買う。
二流は、手帳を持たずにITツールを使う。
一流は、同じ手帳を使い続ける。」
⇒ 行動の効率性を高めるには、それを支えるツールが大切になる。


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 安田 正「一流役員が実践している仕事の流儀」(クロスメディア・パブリッシング)
201341日(火)

 

 

「小さな習慣の積み重ねが10年後、20年後にオーラとなってあらわれる。」というのが著者の主張である。以下、本書より参考となる習慣を御紹介していきたい。

<その1>
◆「夜遅かった時の翌朝、
平社員は、ギリギリまで寝る。
部長は、妥協して早起きをあきらめる。
役員は、必ず毎日5時に起床することに決めている。」
⇒ 決めたことを必ず守れるか否かで意思の強さがわかる。

◆「立食パーティーの時、
平社員は、点になる。
部長は、円になる。
役員は、円の中心になる。」
⇒ 人を魅了する話し方、立ち振る舞いをよくわきまえている。


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 中里良一「嫌な取引先は切ってよい」(角川書店)
2013318日(火)

 

 

<その3>
◆増収増益が悪いことだとは言わないが、「増収増益=内部の体質も強い会社」とは限らない。とくに、製造業の場合、内部留保があるように見えても、ほとんどが不動産や設備などの資産に化けていて、現預金は少ないという会社も多いはずだ。
増収増益を目指すことは、会社を弱体化させる危険性をはらんでいる。

◆私は、「人間は、頑張らないまま願いがかなうとダメになる。」と思っている。だから本当に好きなものを作りたい、あるいは嫌な取引先を切りたいのなら、死にもの狂いで頑張る姿を見せてほしいというのが正直な思いだ。


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 中里良一「嫌な取引先は切ってよい」(角川書店)
2013317日(月)

 

 

<その2>
◆社員を本当の意味でちゃんと人として見ているなら、経営者はたくさん無駄なことをする会社を目指すべきだと思う。「あれば便利」なものを作ったり、売ったりしていくには、作り手や売り手に気持ちの豊かさがなければならない。この気持の豊かさというのは、たくさん無駄なことをしているからこそ生まれてくるものではないだろうか。

◆あるメディア関係者から言われたのは「マスコミは一生懸命、特徴のある会社を探している、でもそんな会社はほとんどない。」ということだ。その人いわく、沢山メーカーがマスコミにアピールするのは自社の技術ばかりである。だがマスコミからすれば技術についてわかりやすくとんがった会社でないと取り上げにくい。


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 中里良一「嫌な取引先は切ってよい」(角川書店)
2013314日(金)

 

 

著者が経営する中里スプリング製作所は過去30年間で49社の取引先を切ってきたということだが、それは中里社長に類まれなる営業力があるからである。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆私は、取引先を増やしていく過程でお客様の業種・業界の分散化を図ってきた。どんなに取引先の社数が多くても、1つの業種に偏っていると、その業種がダメになってきたときの影響が大きい。だから10ぐらいの主要業種で、それぞれ1割くらいずつ売り上げが立つようにするわけだ。

◆ウチの、より特徴的な取り組みは、支払条件の異なるお客様を開拓していったことだ。日銭稼ぎは処理が増えて面倒な面があるが、キャッシュの出入りを調整しやすいのは、大きな強みになる。


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 与沢翼「秒速で10億円稼ぐありえない成功のカラクリ」(ソフトバンククリエイティブ)
2013130日(木)

 

 

<その2>
◆目標達成とは言い換えれば現実と目標のギャップを埋めていくことである。そのためには正しい「現状認識」ができていなければ話にならない。

◆成功したいけれど誰かに何か言われるのはイヤだという人間にはそもそも成功は向いていない。

◆自分が誰かに教えるという行為ほど自分を成長させてくれるものはない。誰かに教えるということは、つまり自分が「どれだけわかっているかどうか」を確認する効果もある。

◆他人からの発言に対して事業家には守るべき2つの鉄則がある。1つは「絶対に反論しない」。2つ目は「上から見下さない」ということだ。

◆何が成功者と成功に届かない人を分けるのか、と何度も自問した。最後まで消えなかった答えは「究極勇気があるかないか」ということだ。


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 与沢翼「秒速で10億円稼ぐありえない成功のカラクリ」(ソフトバンククリエイティブ)
2013129日(水)

 

 

<その1>
本のタイトルはふざけているが内容は意外に真面目に出来ている。 以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆大企業を頂点とする20世紀型の成功モデルで既得権益を得ている人たちからすれば個人が自分で豊かになる方法を身につけられるのは都合が悪い。個人には「自分でできることなんて大したことない」と思い込んでもらっている方が彼らの利益になるからだ。

◆自分の好きなことをしたい、そしてお金も稼ぎたいという二兎を追う者は中途半端になりがちで、結局どちらも満足できない結果に終わることが多いからだ。

◆世の中は分別のない人間によって進歩がしめられる。これは「進取の精神」で知られるイギリスの劇作家ジョージ・バーナード・ショーの言葉だ。分別のある人というのは今の世の中の環境に自分の方から合わせていく。それに対して分別のない人間はお前らの方こそ合わせろと言う。あの有名予備校の講師のおかげで流行語みたいになったが、成功者は皆「いつか」ではなく「今やる」ことを習慣にしている。


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 森田隼人「大繁盛の秘密教えます!」(角川フォレスタ)
20131127日(水)

 

 

<その4>
◆せっかく借金して自分の店を作るのに、なんでわがままを通さないんだろうと僕は思うんです。 自分のお金を払ってやることくらい、自分のやりたいことをやったらいいと思うんです。 それは店を作ることだけでなく、どんな事業でも、旅行に行くのも、お酒を飲むのも同じです。自分が思っていないことを実現できない人は商売ができません。 できないというより立ち上がらない。

◆六花界のお客さんのリピート率は、8割を超えています。 でも店には10人くらいしか入れないので、お客さんには毎日来てほしくても受け入れることができなくなります。 そうなった時にどうするのか、それがビジョンです。

◆自分で商売をして成功することまで考えたら、とにかく仲間を増やしてください。友だちを増やせない人は、何をやっても上手くいきません。

◆人と接しているうちに考えも変わってくるし、商売のタネも見つかります。人間は実現できることしか想像できないらしいですよ。 人と向き合うことによって自分が見えてくる。自分が見えることによって、やらなければならないことが見えてくるのです。


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 森田隼人「大繁盛の秘密教えます!」(角川フォレスタ)
20131126日(火)

 

 

<その3>
◆僕が考えたことは「美味しいけど高い」「美味しいけど遠い」「美味しいけど緊張する」という、 リピーターにならない「・・・けど」という理由をなくすことです。

◆薄利多売で数字を追うビジネスよりも、お客さんに愛されてリピーターがたくさんいる方が潰れないですよね。

◆信用というのはその人を信用してもらうというより、「その人が言っていること」を信用してもらうのです。 「この人が言うたんやったら」という信用を、いくつも積み重ねることがとても重要です。

◆その街が好きでその街で開業したい気持ちはとても大切ですが、そうすると自分がやりたいことがブレてしまいます。 先に決めるのは場所ではなく、やること、やりたいことです。できるなら、どう成功するかまで決めるべきです。


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 森田隼人「大繁盛の秘密教えます!」(角川フォレスタ)
20131125日(月)

 

 

<その2>
◆そして実は僕は料理ができなかった。 優れた料理が出せなくても、仕入さえ頑張ればお客さんから料金をいただける食材というのが、焼くだけでも調理できる肉でした。

◆僕はお客さんが居心地のいい空間を創ってあげることの方が大事だと思ったので、 厨房を狭くしてお客さんのいるスペースをできるだけ広くすることにしました。

◆接客とは「人が喜ぶこと」です。何でもいいのです。 これは飲食に限らずどんな業界でも同様です。 サービスですから、目に見えても見えなくても、お客さんが見えなくても、お客さんが便利だと思ったり喜ぶことをしなければ接客にはなりません。

◆最初に六花界のことが広まったのはミクシィでした。「神田になんだかおもしろい焼肉屋があるらしい」というカキコミを見て来てくれた人たちがいました。 その人たちがまたブログを書いて、六花界に来てくれる人が増えたのです。


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 森田隼人「大繁盛の秘密教えます!」(角川フォレスタ)
20131122日(金)

 

 

<その1>
神田にある2.2坪というセマイ立ち飲み焼肉店のはなしである。1回に10人のお客を入れ、一晩で4回転させる。つまり1日40人×2,500円。 10万円の売上となるようである。 以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆肉は和牛の極上ロースをはじめ、すべて1皿
500円。日本酒は大吟醸でも1杯400円と、肉も酒もいいモノを安くわかりやすい値段設定で提供しています。 六花界は面積当たりにすると、日本で最も日本酒を売っている立ち飲み屋に違いありません。

◆お客さんのリピート率が、なんと8割を超えるスーパー楽しいエンターテインメント会場なのです。

◆僕は潰れない飲食店を作るために「流行り廃りがないものって何だろう?」と考えて、結局「肉」は廃れないということに行きつきました。


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 村田朋博「経営危機には給料を増やす!」(日本経済新聞出版社)
20131022日(火)

 

 

<その3>
◆ファナックのほかにもSMC、オムロンなど生産財産業は、総じて高い利益率を記録しています。 とりわけ過去10年で生産財に転換して成功したのが三菱電機でしょう。

◆キーエンスはなぜ営業利益率50%なのか。
よく同社と議論しましたが、同社からの答えの1つは「徹底すること」でした。 50%は、あらゆる工程で差別化を少しずつ積み重ねた結果なのです。

◆世界銀行や国際労働機関の調査によれば、世界の失業者数はなんと2億人。そのうち25歳未満が90%程度を占めるそうです。 なかでもスペインの失業率は25%。25歳以下はなんと56
%という惨状です。若者の2人に1人が失業を誰が予想したでしょうか。 世界に失業をばら撒いた犯人の責任は重大です。


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 村田朋博「経営危機には給料を増やす!」(日本経済新聞出版社)
20131021日(月)

 

 

<その2>
◆筆者は、日本の半導体産業の凋落の要因の1つは「販売」にあるのではないかと思っています。日本の半導体企業は販売を外部に依存してきました。 そうすると大前提となる顧客の声が聞こえなくなってしまいます。この結果、メーカーは自己満足的な開発をしてしまったのではないでしょうか。

◆「営業はここが負けている、ここが負けている、と言うんですね。それで負けているところを全部よくしたら相手より少し上のものができるんです。 ところが1年、2年たつと相手もよくなる。 こんな競争をやっていたら駄目だということで、私はとにかく最初にここは負けていてもいいところを決めろ、と」 (コマツの坂根社長)


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 村田朋博「経営危機には給料を増やす!」(日本経済新聞出版社)
20131018日(金)

 

 

<その1>
「常識」を疑う経営という意味においては興味深いが、内容的には違和感のある部分もある。 以下本書より参考となるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆ある顧客から大口の引き合いがありました。 しかしそれを受注してしまうと全社売上高の35%程度が特定の顧客になってしまい、 経営の自由度が奪われ不安定になるからとの考えから、キーエンスはこれを断ってしまったのです。

◆「コンピュータ産業では技術のユニバック、営業のIBMといわれ、自動車では技術の日産、販売のトヨタといわれ、 家電では技術の日立、東芝に対して、販売の松下といわれたが、すべて営業が強い方が勝っている。」
「営業が技術者の独りよがりを戒めることができ、顧客が本当にほしいものはこれだといえる強い営業マンがいることが大切。 鼻の高い技術者をやりこめることができる企業が成長する。」
(富士通の山本卓三元社長)の発言


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 坂本孝「俺のイタリアン、俺のフレンチ」(商業界)
201389日(金)

 

 

<その2>
◆例えば、ホテルのレストランなら、年に数回しかメニューが変わりません。それでは料理人としての自分のアイデアや技術を磨く場所がないのと同然ではないでしょうか。

◆調理師学校を出て10年後同級生で料理界に残っている人は1割に満たないといいます。その理由は「仕事がつまらない」「未来が見えない」ということではないでしょうか。

◆飲食店は繁盛するところもあれば潰れてしまうところもあります。ではどうしてそんなことになってしまうのでしょうか。勝ち負けの要因は差別化のポイントがあるかないかだと思います。では飲食店における差別化とは「コストパフォーマンス」ということに尽きるでしょう。

◆ブックオフは本の価値ではなく、きれいかどうかだけで価格を決める。それ以外のことは絶対にいりません。定価1,000円のきれいな本を
100円で仕入れて500円で売るというのが基本です。


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 坂本孝「俺のイタリアン、俺のフレンチ」(商業界)
201388日(木)

 

 

<その1>
ブックオフの創業者である坂本氏の著書である。
以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆ビジネスの戦いに勝つ条件は、そのビジネスモデルに「競争優位性」があること。そして参入障壁が高いことです。私は事業家として歩んできた人生の中でこの法則を学んできました。

◆私はこの競争優位性を飲食業の中で追及しました。私の行ったことは、一流の料理人が一流の料理をつくりかつてないおいしさとリーズナブルな価格で提供し、そしてお客様に驚くほどに「おいしい!」「安い!」と感じていただくことでした。

◆ブックオフのビジネスモデルは5分間でできるほど簡単なのです。ですからたくさんの方々が参入してきました。しかし今、競合店はあまり残っていません。それは私がブックオフで競争優位性をつくったからです。

◆人というのは、スキルを磨くためにある一定期間で量をこなす能力を絶対につけないと匠にはなれません。苦労を乗り越えて匠になった瞬間他の会社ではできないことができるようになるのです。


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 前田和人「なぜ税理士は経営者の期待に応えられないのか」(かんき出版)
2013719日(金)

 

 

<その4>
◆「税務申告にはグレーゾーンがたくさんある。税務調査官によって見解が異なる。この二つの課題があるということになるでしょう。」
税務の世界はグレーゾーンだらけだと考えている人も多いが、それは間違いである。 税務調査で間違いを指摘されたときに格好がつかないため、見解の相違なのだと言っているに過ぎない。税務調査では納税者がまずきちんと主張をする。 それを税務当局が明確に否定できなければ、納税者の主張が通るのである。つまりひとつひとつの税理処理を、税法に基づいてやっておけばよい。 税法の解釈権は税務当局のみにあるのではなく、納税者側にもあることを肝に銘じておこう。

◆「税務調査で否認された場合に責任をとるのは誰でしょうか。 社長が税理士に「困るじゃないか」と言うのはちょっとお門違いで、本来その責任は社長がとるべきものです。」
お金を支払ってプロ(専門家)に任せているのに責任はそのお金を支払った側にあるという論理は、私には全く理解できない。 それではだれもプロを信用しなくなってしまうだろう。何事に関しても責任を取りたがらない元銀行員らしい主張である。


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 前田和人「なぜ税理士は経営者の期待に応えられないのか」(かんき出版)
2013718日(木)

 

 

<その3>
◆「税理士と銀行は同じ一つの決算書でも違うところを見ています。 そしてそれは「銀行からお金を借りる場合に、税理士は銀行の決算書の見方を知らずにはすまされない」ということを意味します。」
銀行関係者というのはいつもこの手の主張を展開するが、全く無意味なはなしである。 銀行というところは、創業後2〜3年くらいは別として、基本的にお金を貸し過ぎてしまうところである。 つまり普通に事業経営をやっていれば、お金はいくらでも借り入れるのである。 普通に事業経営をするとは、毎月月次決算をするとか最低でもむこう6ケ月分の資金繰り表を作成するなどの、最低限の管理業務が含まれることは言うまでもない。

◆「かつては税務署用の赤字決算書と銀行提出用の黒字決算書、二つの決算書を用意する税理士もいたようですが、そんなことは言語道断。」
銀行員は社長に決算期近くになると、今期は黒字になりますか、黒字にならないと今後の追加融資は出来なくなりますよ、などと言い出す。 赤字会社が決算期直前に急に黒字転換できるわけないので、必ず税理士に粉飾要求をしてくるのである。 (あまり悪気はないのだろうが)そもそもにおいて銀行員の対応に問題があるからこそ、(もちろん税理士にも問題があるが)粉飾問題は生じるのである。


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 前田和人「なぜ税理士は経営者の期待に応えられないのか」(かんき出版)
2013717日(水)

 

 

<その2>
◆「もし究極の選択として、税理士が税務署の判断と顧問先の意向のどちらかを選ばざるをえないとしたら、多くの税理士は税務署の判断を選ぶはずです。」
税理士は税務の専門家なのだから税務署の判断でもなく、顧問先の意向でもなく、税理士自身で判断をするものなのである。 その場合顧問先の現場をきちんと踏まえてのことになることは、言うまでもない。 銀行の軸足がいつも金融庁に向いているからと言って、税理士の軸足も税務署に向いているなどと言うのは、下衆の勘繰りと言わざるをえない。

◆「「試算表をつくらなくてよい」と考えている税理士は、私には「経営者を支援しよう」といった気概がない税理士、 誤解を恐れずにいえば、ただの「事務処理係」「帳簿屋さん」のように思えてなりません。」
この発言の中で、気になることが2つある。 ひとつは試算表(つまり月次決算を組むこと)を作ろうとしないのは、税理士ではなく社長の方なのであるという事実を知らないことである。 もし本当に社長が月次決算を必要とすると考えるのであれば、それに対応できる税理士に代えればよい。それだけのことである。 ところが実際は顧問料が高くなるからと言って、今の安い税理士にしがみついているのである。もうひとつは「事務処理係」「帳簿屋さん」という言い方である。 つまりダメな税理士でも帳簿程度であれば、うまく指導できると考えているようである。これは間違いである。 優秀な税理士は帳簿指導も経営指導も両方きちんとできるし、ダメな税理士は実は両方ともできないのである。 要するに基本的なことがきちんと出来れば、難しいことも出来るものなのである。


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 前田和人「なぜ税理士は経営者の期待に応えられないのか」(かんき出版)
2013716日(火)

 

 

<その1>
本書のカバーには「たたき上げの元地銀融資担当者が教える銀行融資を引き出すための税理士操縦術」とも書かれているが、非常に違和感の残った本である。 以下本書より違和感のある箇所を指摘するとともにコメントを付していきたい。

◆「いろいろな社長と話をして思うのは、「最近の税理士ってホント、聞かれないことには答えなくなった」ということです。」
こういう社長というのは顧問料の安い税理士を求め、会社の経営に関してきちんとコメントできる税理士に依頼していないことのあらわれなのである。 優秀な社長はめったに税理士を変えない。つまり最近の税理士はなどという言い方は絶対にしないものである。

◆「銀行マンは、あなたが頼りにする税理士を「お金の専門家」とはまったく見ていません。」
この文章の前文に、銀行マンは「融資の専門家」ではありますが、「お金の専門家」ではありませんとある。 お金の専門家ではないと認めている銀行マンに、税理士がお金の専門家でないと何故判断できるのだろうか。全く理解に苦しむ発言である。 また銀行マンは、本当に融資の専門家だろうか。私は今日の銀行マンは融資の専門家にはなりえないと思っている。 何故ならば銀行マンは事業の経営というものが、そもそも理解できていないからである。それ由に銀行というところは、不良債権のヤマを作ってしまうのである。


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 松野恵介「なぜ あの会社は安売りせずに利益を上げ続けているのか」(実業之日本社)
2013516日(木)

 

 

<その2>
◆どんなに小さな店でも、お客さまに役立つコンテンツを持っている。そしてコンテンツさえしっかりしていれば発信はインターネットやしゃれたDMじゃなくても十分に効果がある。

◆お客様に聞かれるより前に、コンテンツを発信する。そのことがお客さまの来店につながる。結果を恐れずどんどん発信してみる。お客さまの反応が答え。

◆「温泉旅館がお客さまにかかわるのはどこからどこまでだと思いますか。」
この質問に対するホテル五龍館の女将の中村ゆかりさんの回答は次のようになります。
「チェックインからチェックアウトまでというのは、売り手側、いわゆる女将側の発想かもしれない。お客さまの立場に立って考えると、お客さまは旅館に来るのではなくて、旅行に来ている。旅行というのは家を出たときから家に帰るまでだ。その間にたまたま旅館があるだけ。ということは、旅館の女将として、いかにお客さまの旅行をサポートして、たくさんの思い出づくりをしてもらうか、という発想が重要なのではないか?」

◆聞かれたら答えるのではなく、注文を受けたら答えるのではなく、事前に持っているコンテンツを提案して、そのコンテンツを通して信用してもらうということです。コンテンツを発信するということは「結果的に売るための行為」であり、決して「売り込み」ではありません。

◆共存共栄の時代には、それぞれの個性が大事になってくる。


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 松野恵介「なぜ あの会社は安売りせずに利益を上げ続けているのか」(実業之日本社)
2013515日(水)

 

 

マーケティング・コンサルタントという肩書きを持つ松野氏の著書である。 以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆僕はお役立ち情報や行動を総称して「コンテンツ」と考えている。
そして会社全体やお店全体で蓄積したコンテンツを社員1人ひとりが個人の得意な媒体を使って発信していくのです。

◆そのコンテンツ力と発信力の掛け算が売上高に大きく影響する、と思います。つまり、「今の時代はモノを売るビジネスからコンテンツ力と発信力でお客様の体験のお手伝いをするビジネスへ変換する時期なんだ」と思います。

◆ここで紹介する3軒の旅館は決してモノ(料理、部屋、お風呂)を売ろうなんて思っていません。
この3軒の特徴は、それぞれ「家族との思い出づくりなら」「老人会の若返りの宿なら」「元気をもらいに行くなら」となっています。

◆「売る立場」から離れて「○○アドバイザー」と発想を変えてみる。
アドバイザーとして、お客様の不便や不満、不安を解消するために、自分は何ができるかを第一に考える。


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 田中弥生「ドラッカー 2020年の日本人への「預言」」(集英社)
2013313日(水)

 

 

<その5>
◆例えば、途上国の子供たちに文房具を配った。社会教育のためのセミナーや研修を実施したというだけでは、成果としては、十分ではないということです。つまり文房具をもらった子供たちが字を書けるようになること、社会教育セミナーを受けた人々の知識や行動に変化をもたらすことをめざすべき成果とすべきであるということです。

◆計画とは「一定期間内に達成すべき目標と、それを達成するための方法を定義することです。そして「計画とは技術ではなく責任である」とドラッカーは言うのです。

◆ドラッカーが「自由」を社会の原理とすべきだと考えたのは、人間を不完全なものであると考えたからです。「いかなる人間といえども完全な善も悪もありえない」とドラッカーは言います。完全な善を認めた途端に、他の異なる者を排除することになるからです。それは専制や全体主義への道につながるものであるとドラッカーは考えました。

◆保守主義とは、「人間は完全な存在ではなく、過ちを犯す不完全な存在である」という前提のもとに、過去の歴史において先人たちが生み出した知恵や慣習、伝統から学び、それを現在の社会にいかし、次世代にむけて、その教訓を引きついてゆくことを基本とする思想です。

◆ドラッカーの思想の原点とは、「1人ひとりが位置と役割をもつ自由な社会」です。それは青年ドラッカーが、ナチズムの全体主義を前に悟り、嫌悪し、苦悩した末、自ら導き出した答えなのです。


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 田中弥生「ドラッカー 2020年の日本人への「預言」」(集英社)
2013312日(火)

 

 

<その4>
◆非営利組織の特徴として、ボランティアのほかに、評価の問題があります。ドラッカーは「非営利組織には、企業と異なり、業績を計るための利益という「ものさし」がない。財務分析によって、自らを律するということがない」と言っています。しかし、だからこそ非営利組織には、マネジメントが必要であるとドラッカーは言うのです。

◆ドラッカーは非営利組織の使命においては、機会、能力、コミットメントがポイントであると言っています。
機会とは非営利組織の活動を必要とする社会ニーズのこと。能力とは組織が有する知識、技術の質と量のこと。コミットメントとは自発的な覚悟と約束というべきものである。とドラッカーは考えています。

◆ドラッカーは「非営利組織には2種類の顧客がいることを忘れてはならない」と言います。
それは非営利組織からサービスを受ける人々と非営利組織を支援してくれる人々のことです。

◆ドラッカーは「顧客から何を学ぶべきかを徹底的に考えなさい」と言っています。2つの顧客のいずれについてもあてはまります。そして、「顧客の声を組織内の議論や意思決定において反映させるべきだ」と言いました。この助言は組織が内向きになり、陳腐化することを防ぐためにも重要なのです。


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 田中弥生「ドラッカー 2020年の日本人への「預言」」(集英社)
2013311日(月)

 

 

<その3>
◆なぜ、知識ワーカーは非営利組織でのボランティアを望むのでしょうか。そこには知識ワーカーの本質的な問題が横たわっているのです。非営利組織は、人々の生活に密着した社会的な課題に取り組み、解決策を見出す存在です。
しかし非営利組織にはもうひとつ重要な役割があるのです。ドラッカーは、「知識社会には、ひとりひとりの人間にとって自らの社会的地位と機能を見出すコミュニティが必要である」と言いました。そのコミュニティの役割を果すのが非営利組織とボランティアなのです。

◆知識ワーカーは明確な目的のもとに、自らの知識や専門性を用いて、成果を出し、達成感を得ることを強く求める人々です。非営利組織に参加することは、「世のため人のため」だけではなく、知識ワーカーに特有の達成欲求を満たすことでもあるのです。

◆ドラッカーは、1995年のオウム真理教の地下鉄サリン事件こそ、日本社会が知識ワーカーの欲求を満たしきれず、社会が痛んでゆく不吉な予兆であるとのべました。

◆現代の社会と政治は、あまりに巨大かつ複雑なものとなり、もはや、市民性、すなわち市民としての責任ある社会参加を不可能にしてしまった。市民としてわれわれにできることは、数年に1度投票し、毎年税金を払うことだけである。
しかし社会セクターの組織ボランティアとしてならば、1人ひとりの人間が再び世の中を変えることができる。


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 田中弥生「ドラッカー 2020年の日本人への「預言」」(集英社)
201338日(金)

 

 

<その2>
◆なぜ、労働寿命は延びたのでしょうか。ドラッカーは、「医学の進歩とは、ほとんど関係なく、その原因は農業から都市部への人口移動である」と言いました。
この人口移動を可能にしたのが、科学的農法と科学的管理法でした。これにより生産性が飛躍的に伸び、少人数でより多くの農産物を生産することができるようになり、また危険な作業が取り除かれ事故件数が飛躍的に減少したのです。

◆ドラッカーは、非営利組織には課題解決力や規模の成長にもまして、重要な役割があることに気づいていました。それは、「ボランティアの場を知識ワーカーに提供すること」です。

◆アメリカ労働局のデータによれば、2005年のボランティア行動率は52%です。ボランティア行動率とは成人男女の内、ボランティアに参加した人の割合をさします。
ちなみに、日本のボランティア行動率28%、英国は44%です。

◆「銀行の仕事は給料も良く、大変面白いが、それだけでは何かを貢献しているという実感が持てないというのだ。そんなことを言うのは、彼女が若いからではない。彼女が50才に手が届くのだから」とドラッカーは言ったのです。


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 田中弥生「ドラッカー 2020年の日本人への「預言」」(集英社)
201337日(木)

 

 

ドラッカーの唯一の日本の愛弟子である田中弥生氏の著書である。
以下、興味深いくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆ナチスは全体主義ですが軍国主義ではありません。日本では全体主義と軍国主義の区別が曖昧ですが、この点を明確にしないと、なぜドラッカーがナチスを深く敵視したのかを理解できないのです。

◆知識といえば、心理の追究、知の探究であり、それ自体に意義があり、現実社会とは隔離された高尚なものと久しく捉えられてきました。
しかし、ドラッカーが考える知識とはそれとは対極にありました。「知識とは行動に結びついたときに、意味を持つのであって、そうでないのならば単なる情報だ」と言っていました。

◆ドラッカーは「多様な非営利組織とボランティアの存在がアメリカ社会の大きな強みである」と言いました。

◆日本では学校や病院は準政府部門として理解する人が多いのですが、アメリカの私立の学校や病院は、NPOと同じような民間非営利組織として認識されています。

◆ドラッカーは「アメリカの非営利セクターが急成長してきた要因として、マネジメントを導入したからだ。」と述べています。しかし、それだけでなく、社会が非営利組織を求めていたということも大きな要因です。その社会こそ知識社会です。


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 冨山和彦「結果を出すリーダーはみな非情である」(ダイヤモンド社)
2013226日(火)

 

 

<その3>
◆「経営における勝ち負けはシェアではないという点だ。勝ち負けを決するのは「儲かるか、儲からないか」以外にない。」
このことそのものには異論はない。しかしながらシェアがとれる商売をやっていかないと利益は出ないというのもまた、真実である。
特に中小企業の経営者はシェアというものを意識せずに商売をやっている傾向にある。

◆「私もいくつかの取締役をやっているが、心がけているのは、社長にどうアクセルを踏ませるか、ハンドルを切らせるかである。
本気でブレーキを踏ませなければならない場面など、ほとんど経験したことがない。」
サラリーマン社長が相手だとブレーキを踏ませる機会など少ないのかもしれないが、オーナー社長で小規模な会社だとブレーキのアドバイスもけっこうあるものである。とは言うものの、一般的には経営者という人種は、案外、優柔不断で物事をスパッと決められない人ばかりである。

◆「いわゆる「失われた20年」の間、東証平均株価が3分の1に減少した間も、持続的に企業価値を高めてきた会社の共通点は、トップの顔が見える会社、最終的には誰がものを決めているかはっきりしている会社ばかりなのだ。」
ダスキン、日本電産、京セラ、楽天、日産、コマツ・・・などのことを指しているのだが、事業経営の成否は社長次第で決まるという意味においては異論はない。


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 冨山和彦「結果を出すリーダーはみな非情である」(ダイヤモンド社)
2013225日(月)

 

 

<その2>
◆「トップのコミュニケーションには、組織の空気を少しずつ変えていく根気強さが必要だ。しつこさと言ってもいい。」
これまた内部管理のはなしである。アメリカの経営学の本をまるく繙くと、経営の重要テーマは「理念」と「戦略」と「組織」と書いてある。冨山氏もそうだがアメリカの経営学を勉強した人は、どうしても組織や人事のはなしが多くなる。アメリカでは、いろいろな人種の人がいるため、組織の問題が大きなテーマになるのはわからないでもないが、日本では組織論はあまり意味を持たないのである。

◆「いくら細かいコスト削減策を積み上げたところで、客席の稼働率が一定水準を下回れば確実に赤字になる。コスト削減より稼働率が儲けを大きく左右する経済構造は、LCC(格安航空会社)もレガシーキャリア(従来型の航空会社)も変わらないのである。」
この指摘は非常に重要である。稼働率を高めることが業績向上につながる商売は航空会社以外にも、ホテルや飲食店など案外多い。しかしながらそのことが認識できている経営者は実に少ない。


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 冨山和彦「結果を出すリーダーはみな非情である」(ダイヤモンド社)
2013222日(金)

 

 

冨山氏の主張には納得できる部分と全く納得できない部分の両方がある。
以下、本書より著者の主張のうち特徴的な部分を紹介するとともに、私のコメントを付してみたい。

<その1>
◆「ストレスに負けて論理的な思考力を失ってしまう人、正常な判断ができなくなってしまう経営者は予想以上に多い。」
これに関しては全く同感であるが、経営者になる前のトレーニング不足が大きいと思われる。

◆「私が見てきたダメな経営者というのは圧倒的に情に流される人が多い。」
反面、情に背を向けて合理にひたすら突っ走る人もうまくいかないと説いている。つまり、情理にも合理にも強くないと経営者としては大成しないということだろう。
上記のはなしも含めて、事業経営とは組織の舵取りとか人をうまく使いこなすというイメージがあるが、私はそういう内部管理は事業経営の本質ではないと考えている。
つまり、内部管理にいくら力を入れても業績は向上しないということである。

◆「これはリーダーに限った話ではないが、有事において役に立つやつというのは、基本的に度胸が据わっていないとダメだ。度胸は鍛えられるのかと言えば、半分は持って生まれた性格によるだろうが、残りの半分は「この会社を首になっても、おれは生きていける」という自信や覚悟の有無によるのではないか」
具体的には自分の専門分野についての知識や情報がきちんと整理されていることと、人的ネットワーク(人脈)があることにつきると思う。
この2つを兼ね備えたビジネスマンは本当に少ないものである。


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 坂本光司「社員と顧客を大切にする会社」(PHPビジネス新書)
2013214日(木)

 

 

<その2>
◆「岩の湯という旅館が1年先まで予約がとれない理由は、社員のちょっとした心配りであったり、気遣いであったり、思いもしなかったひと言や行動なのです。」
価格や品質ではなく、人的サービスがもっとも重要であるという著者の主張には全く同感である。
旅館やホテルの経営者というのは一般的に料理だとか、設備などのハードなものへの関心が強く、人的サービスなどソフトなものへは興味を示さない傾向にある。このことで私自身がコンサルティングを行う場合、いつも苦労させられているのである。

◆「戦略の重要性といわれますが、戦略より大事なのが経営理念です。なぜならば、経営理念は目的だから。戦略は目的を実現するための手段です。」
純理論的にはこの著者の主張は間違っていない。しかしながら、現実的にはまず戦略、つまりもうけるコツを考え抜いて、その後から理念をつくった方が、普通の経営者にはやりやすいと思う。
理念は重要ではあるが、もうけるコツがわかっていない会社はすぐつぶれてしまうのである。

◆「経営者やリーダーは社員第一主義に変わらなければなりません。変わりたくないという人は、経営者やリーダーをやめるしかない。」
著者の主張では、社員は顧客よりも株主よりも先に大切にしなければならないことになっている。
社員の意向を尊重して顧客を無視している会社の末路を著者は知らないようである。著者が研究対象としている優良企業というのはオリジナリティのある商品を持っているはずである。つまり、他でその商品を買うことが出来ないため、多少顧客を無視して、社員のわがままを尊重していても問題が出ないのである。
電力会社がその良い例ではないか。


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 坂本光司「社員と顧客を大切にする会社」(PHPビジネス新書)
2013213日(水)

 

 

サブタイトルに「「7つの法則」を実践する優良企業48」とあるが、その7つの法則とは以下のものと著者は定義付けている。
  法則1.社員の幸せを第一に考える
  法則2.障がい者雇用を尽力する
  法則3.高齢者を積極的に活用する
  法則4.女性を重要な戦力に変える
  法則5.仕入先とWIN・WINの関係になる
  法則6.顧客に対して感動を与える
  法則7.地域社会との絆を大切にする
以下、本書より著者の主張のうち特徴的な部分を紹介するとともに、私のコメントを付してみたい。

<その1>
◆「私の役7,000社の研究では、休みの多い会社ほど、労働時間の短い会社ほど業績がいいことがわかっています。」
業績が上がったら休みを増やすのではなく、休みを増やすから業績が上がるのだ(労働時間についても同様)というのが著者の主張であるが、これは明らかに物事の表面しか見ていない学者の意見である。
もし著者の主張が正しいとするならば、世の中の業績の悪い会社のすべてが休みを多くし、労働時間を減らすことによって、業績が良くなるはずである。そんなバカなことは断じてない。典型的な学者の観念論である。
会社の業績は、事業構造で決まる。つまりどんな商品(サービス)を、どのような売り方で、どのような顧客層に売るかで収益性が決まるのである。
業績が良くなると高い給与も出せるため良い人材が集まる。良い人材は早く仕事もこなせるため、結果として休日もふやせるし、労働時間も短くなっていくのである。
著者は1度、業績の悪い会社のコンサルティングをやってみたら良いのである。必ず自分の主張の間違いに気付くはずである。


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 西田順生「儲けの9割は値決めで決まる」(中経出版)
2013116日(水)

 

 

<その3>
◆「スペックが変われば、原価が変わる。原価が変われば売価を変える。」これは経営の基本中の基本であるにもかかわらず、案外ないがしろにしている企業が多い。

◆ソフト代については別途料金をもらえるかどうかは別として、「これだけの時間とお金がかかっている」ということを観客に伝えることが大切です。

◆私はこれまで数々の会社で経営指導してきましたが、9割以上の確率で発生していたのが請求漏れです。入ってくるはずのお金が入ってこなかったという意味では請求漏れも「6条件」のひとつといえるでしょう。

◆サンプルをつくる場合は、試作代を請求するのが原則です。特に受注製品の場合は、お客様と共同開発することが多いため、なおさらです。下請けだけが負担するのは割に合わないといわざるをえません。

◆トップは交渉決裂となり、さらにお客様から「「取引停止」を宣告される最悪の状況を想定し、そのピンチを切り抜ける方策にめどをつけておかなければなりません。


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 西田順生「儲けの9割は値決めで決まる」(中経出版)
2013115日(月)

 

 

<その2>
◆売価には「表」と「裏」があります。「表の売価」を設定するには、その陰に潜んでいる各種の条件を前もって決めておく必要があるのです。その条件のことを「裏の売価の6条件」と呼んでいます。
その条件とは次の6つです。
@スペック、Aサービス、B数量、C時間、D値引(入金)、E現物

@スペックとは、製品の仕様、商品やサービスの内容のことですが、スペックの変更があった時に変更に応じた売価設定がされているかどうかということです。

A据え付けや修理などのサービスの中には、本来は有償にしなければならないものがありますが、それを無償でやっていないかということです。

B販売数量に応じて売価の単価を変えていますかということです。数量が減れば当然、単価は高くなるのです。

C特急で仕事をたのまれた時は、売価を通常よりも高く設定していますかということです。

D現場で(つまり経営者の知らないことろで、)勝手な値引きが行われていませんかということです。

E顧客からの預かり品や支給品といった現物を、無償で自社の倉庫においてませんかということです。


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 西田順生「儲けの9割は値決めで決まる」(中経出版)
2013111日(金)

 

 

<その1>
コストカットよりも、目先の売上確保よりも、まず「値決め」に全力を注ぎなさいというのが収益改善コンサルタントである著者、西田氏の主張である。
特に西田氏は、本書において、「表の売価」ではなく「裏の売価」に焦点を当てています。
以下、本書より参考となるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆職人経営の会社経営者は、「もっともっと儲ける」という意識を強く強く持ち、従業員にもそれを徹底的に植え付けないと、いつまでたっても儲かる会社に変身することはできないのです。

◆実は、JALの場合「安全面以外に無駄な部分がたくさんありました。たとえば、JALの社員でさえ、「飛行機を1回飛ばすといくら儲かるのか」を把握していなかったくらいです。信じられませんよね。

◆確かに、月次決算書を見て売上や支出の問題を反省することも重要ですが、「売上を上げろ!コストを下げろ!」という大雑把な指示だけでは、なかなか利益は上がりません。なぜならば「自分たちがつくっている製品、提供しているサービスが1つ売れるといくら儲かるのか」がわからないと従業員たちのモチベーションが上がらないからです。


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 恩田乾次郎「進化する医療系キャリアデザイン」(しののめ出版)
2012109日(火)

 

 

<その7>
◆かつて医師は医局からの紹介によって転職することが一般的でした。 しかし医局制度の崩壊に伴い、近年では自分の理想とする待遇・給料を実現できる病院を求めて、積極的に行動する医師が増えてきています。

◆ここ数年、求人側が薬剤師に求めるスキルが大きく変わってきました。 大学病院や総合病院の前に店舗を構えた、いわゆる門前薬局で経営が成り立っていた時代はクスリに対する知識や実務能力が必要とされていましたが、現在最も重要視されているのは「コミュニケーションスキル」です。


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 恩田乾次郎「進化する医療系キャリアデザイン」(しののめ出版)
2012105日(金)

 

 

<その6>
◆医療、介護業界は高齢化社会の進行に加え医療機器や新薬開発もあり、景気に関係なく安定成長を続けています。産業別就業者数において、医療介護分野は全体の10%以上に達しており、 さらにその割合は高まる傾向にあります。また有効求人倍率も専門的、技術的職業の有効求人倍率と比較しても高く、まさに売り手市場になっています。

◆医療業界への人材紹介業は、医療現場における人材不足を解消するだけでなく、就業環境の向上を図るための一助になるものと思っています。 実際、当社の登録者数は平成5年が薬剤師数約700名でしたが、平成21年には2,840名(薬剤師)1,230名(医師)7,860名(看護師)となり、年々増えています。


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 恩田乾次郎「進化する医療系キャリアデザイン」(しののめ出版)
2012104日(木)

 

 

<その5>
◆介護福祉士はケアワーカーとも呼ばれ、体や精神上の障害があって日常生活をスムーズに送れない人(要介護者)の入浴や排泄、食事などの介護を行ったり、 要介護者本人や介護にあたる人に対して、介護に関する指導を行う専門職です。 今後はホームヘルパーを廃止し介護福祉士への一本化が進められているので、いずれは介護福祉士が介護職に就くために最低限必要な資格となるでしょう。

◆ケアマネージャーという職業は、平成12年に制定された介護保険制度によって需要が高まり、今や介護支援者の中でも人気の資格試験です。 要介護認定申請の代行業務ケアプランの策定、介護保険の支給限度基準額の上限管理、給付管理業務などが主な仕事で、介護保険制度の中心的な役割を担う重要な職業です。 そういう点で言えば、介護サービスがうまく運営されるか否かは、ケアマネージャーの腕にかかっていると言っても過言ではありません。


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 恩田乾次郎「進化する医療系キャリアデザイン」(しののめ出版)
2012103日(水)

 

 

<その4>
◆外国人看護師の国家試験の合格率の低さは日本語による試験の壁が厚かったことが窺えます。とはいえ生命に関わる現場である限り、医師や患者と意思疎通ができる日本語能力は必要不可欠です。 看護師不足の解消の一つの方策として外国人看護師の受け入れを検討するのであれば、日本語教育の充実や在留期間の見直しなども、視野に入れるべきではないかと思います。

◆看護師が、医師の下で指示に従って病気になった患者さんの看護をするのに対して、保健師は人が病気にならないように予防する活動を行います。 ただし保健師の資格は、看護師免許を持っていなければ取得できません。


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 恩田乾次郎「進化する医療系キャリアデザイン」(しののめ出版)
2012102日(火)

 

 

<その3>
◆約26万人いる薬剤師が、すべて薬剤師として働いているわけではありません。 主に従事している業務の種別をみると、 薬局の従事者は
50.7%、病院・診療所の従事者は18.8%となっており、患者たちと向き合う仕事をしている人 (つまり本当の意味での薬剤師の仕事) は
70%未満です。

◆調剤薬局を併設したドラッグストアで働く調剤師には、クスリの専門家として健康情報を発信する、健康アドバイザー的な役割を担っていくことが期待されています。


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 恩田乾次郎「進化する医療系キャリアデザイン」(しののめ出版)
2012101日(月)

 

 

<その2>
◆医師不足の大きな原因の一つとして「地域格差」があげられます。人口千人当たりの医師数は東京都が3.19人と最も大きく、最少の茨城県と比べて4.56倍の差があります。

◆二つ目の要因は「医師の絶対数の不足」です。日本の医師数は千人当たり2.1人で、OECD平均の3.1人を大きく下回っています。日米欧の主要7ヵ国(G7)においては最低です。

◆そして三つ目の要因は「診療科のアンバランスによる不足」です。産婦人科、産科医と小児医は、特にその傾向が顕著で社会問題化しています。


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 恩田乾次郎「進化する医療系キャリアデザイン」(しののめ出版)
2012928日(金)

 

 

<その1>
本書は著者の恩田社長からの贈呈本である。 以下参考となった箇所を要約して御紹介していきたい。

◆この論文(1983年に発表)の主張のポイントは次の3点です。
@このまま租税、社会保障負担が増大すれば日本社会の活力が失われる。
A治療中心の医療より、予防・健康管理・生活指導などに重点をおいた方が効率的である。
B医療サービスの供給は、一県一大学政策もあって近い将来医師過剰が憂えられ、病床数も世界一、高額医療機器導入も世界的に高い。 (この論文の著者は厚生省事務次官を務めた吉村仁氏で、その後の医療政策の骨格となった考え方です。) これにのっとりわが国は、過去25年以上にわたって医療費抑制を第一にした医療制度改革が行われました。


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 村上龍「カンブリア宮殿」(日本経済新聞出版社)
2012911日(火)

 

 

<その4>
◆我々の商いというのはご贔屓にしていただくしかない。地域の方に密着して商売をするしかないんです。 それをシステムだとかデータだとかを持ち出して効率ばかり追いかけてしまいがちなんですが、やはり原点は「話してナンボ」だと思うんですね。(ダイシン百貨店社長)

◆松谷さんはその典型だが、成功している中小企業経営者には旧来の「中小企業」というイメージが無い。 清潔な職場、意欲的な製品開発、合理的な経営システム、誇り高い社員・・・。油まみれで苦労して働くという概念から遠い。長い不況の中、中高年の男性の多くは苦しそうに生きている。 松谷さんの自然な笑顔がとても印象深かった。(村上龍:松谷氏とはマニー会長の松谷貫司氏のこと)

◆銀行時代というのはどちらかというと数字がすべてで、重要性があるかどうかを数字で判断してきました。 今は立場が変わったこともありますが、数字よりも仕事のプロセスや流れをきちっと押さえていくことが大切で、数字はあとからついてくるものだというように考え方がかなり変わったと感じています。(亀田製菓社長)

◆漢方薬は新薬がなかなか出ないので薬価が下がっていくのです。これがツムラの一番の問題です。2年に1回薬価改定がありまして、この20年間で約4割下がっているんです。(ツムラ会長)

◆漢方薬とは中国の医学、効き目が遅い、副作用が無い、保険がきかない。これらはすべて誤解です。(ツムラ会長)


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 村上龍「カンブリア宮殿」(日本経済新聞出版社)
2012910日(月)

 

 

<その3>
◆小ロットで作れるということはいわゆる在庫レスということですので、売れたものだけを作ることができるのです。今までのファッション業界は売れるかどうかわからないものも大量生産していたのです。 しかし我々は欲しいもの、あるいは売れたものだけを作る。そういう21世紀型のものづくりをこのITで具現化することができました。(セーレン会長兼社長)
※ここでいうITとは、店頭のパソコンで色や形、柄を選べば自分だけのオリジナルの1着が作れるという、ビスコテックスというシステムのことを指している。

◆苦境の中でも理解者というのは必ずいます。そういう人達に助けられて、なんとかこぎつけました。(セーレン会長兼社長)

◆ここがチャンスというときには「やるぞ」と。でも「やるぞ」と言って失敗したら後が無いのだから絶対に失敗しないように理論武装はきちんとやる。 大きくなってもそういう思考の習慣が残っているんです。(雪国まいたけ社長)


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 村上龍「カンブリア宮殿」(日本経済新聞出版社)
201297日(金)

 

 

<その2>
◆私達はリピーターというものの定義を明確にしています。10年前に一度いらした方にまたいらしていただいたというのは、リピーターとは呼んでいません。基本的には13か月以内にまた来ていただいた方がリピーターとなります。 そういう意味でのリピーターが20数%というのは高いと思います。(星野リゾート社長)

◆ものづくりというのは現地の人の心をいかにつかめるか、現地の人の考え方をいかに吸収するか、ここが一番大事なんです。だから現地で寝泊まりして一緒に食住しながら彼らの考え方、気持ちを学んでいった。 それが農業開発につながっていくのです。(山梨日立建機社長)


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 村上龍「カンブリア宮殿」(日本経済新聞出版社)
201296日(木)

 

 

<その1>
本書は2000年より6年間続いている経営者へのインタヴィー番組を単行本化したものである。何冊か類書は出ているはずだが本書は2010年度に放映されたものを集めている。 TVを見ていると村上氏の突っ込みが弱いなあという印象を持っていたが、単行本になってみるとなかなかの内容である。もっともインパクトのあった放送分を抜粋して本にしたわけだから当然なのかもしれない。 以下本書より参考となった部分を要約して御紹介しておこう。

◆例外なく全てのゲストは「考え抜く」人達だが特に印象に残っているのは「ダイシン百貨店」の西山氏と「山梨日立建機」の雨宮氏だ。西山氏は高齢者が多い地域、商圏を優先して考え、雨宮氏は「何がやりたいか」を考え、カンボジアなどでの地雷除去を続けている。 「自分に何ができるか」という問い掛けが結果的に地域や社会への貢献に結び付く。そこに本来の企業経営の大切なヒントがあるように思えてならない。(村上龍)


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