渋谷区の税理士 中川尚税理士事務所

 

中川尚の飛耳長目(税理士読書日記)TEL 東京・渋谷 03-3462-6595

 

  丹羽宇一郎「会社がなくなる日」(講談社)
20211112日(金)

 

 

<その4>
◆将来、中国が民の声に耳を傾ける体制になるにはどうすればいいか。アメリカのように地方分権を推し進めた連邦国家に移行して、間接的に国民の声を政治に反映させる以外ないというのが私のかねてからの持論です。
中国の面積はアメリカとほぼ同じで、EU加盟27ヶ国を合わせた面積の2倍もあります。34の行政区では同じ国とは思えないほど文化、風土、生活環境は異なっていました。
人口的には100万以上の都市が93もあり、1000万以上の都市は重慶、上海、北京、成都など13もあります。対外的には強固な中央集権国家に思える中国も、実質的には各省の独立性があるのです。

◆巨額資金を投じて大規模事業を展開するアメリカや中国のマネをしても仕方ありません。日本人の特性を工作機械から時計、アニメ、ゲームなど精巧緻密なものづくり技術にあります。そうした特性を生かした仕事を開拓していけばいい。


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  丹羽宇一郎「会社がなくなる日」(講談社)
20211111日(木)

 

 

<その3>
◆これから20年〜30年間は「大企業の中小企業化」が進み、ある臨界点に達したところで再び「中小企業の大企業化」が始まるでしょう。つまりあと2、30年したら1970年代と同じように「中小企業の大企業化」が起きるということです。
資本主義はそうやって進化しているように見えて、同様のことを繰り返し、反復しつつも進化している。

◆「大企業の中小企業化」によって、何が起こるかと言えばまたもや貧富の格差拡大です。大企業は少数の管理職的高給エリート正社員からなり、中小企業は低賃金のエリート社員からなる。こうした階層が生まれていくでしょう。


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  丹羽宇一郎「会社がなくなる日」(講談社)
20211110日(水)

 

 

<その2>
◆経済がグローバル化する中で大きな壁となっているのが世界全体に共通する会計基準がないことです。企業の言語は会計であり、世界全体の産業界は共通言語を持っていないことになります。
企業の「利益」の概念をどう定義するか。何をもって「生産性」と呼ぶのか、減価償却は何年でしているのか。投資した時の税金はどれくらいか。各々についての基準が世界で統一されていません。

◆たとえば、中国の自動車会社とアメリカの自動車会社をただちに同じ市場に上場できるかと言えばできないでしょう。
社会主義国で計画経済を勧める中国では、生産量が即売上になります。車を1000万台つくったら売り上げも1000万台。通常の資本主義国ではありえません。


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  丹羽宇一郎「会社がなくなる日」(講談社)
2021119日(火)

 

 

元伊藤忠の丹羽氏の著作だがここのところ妙に多い気がする。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい

<その1>
◆100年以上の歴史を持つニューヨーク・ダウですが算出開始から現在まで残っている会社は皆無です。当初の構成銘柄は鉄道株と工業株が中心でした。いまではアップルやマイクロソフト、IBMなどIT関連銘柄が多数組み込まれています。
その入れ替えを見ると、名門企業であろうと成熟企業であろうと容赦なく弾かれていることがわかります。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021414日(水)

 

 

<その19>
◆アメリカでは「リベラル」は政府によるほぼすべての種類の規制や管理に対する支持を意味するようになった。そのせいで自由を本気で信じている多くの人の頭が混乱してしまった。結果として、真のリベラルが自分たちを保守と名乗らざるを得ない羽目に陥ったのだから、まことに嘆わしい。

◆「みんなのため」「弱者を保護するため」などと、もっともらしい耳触りのいい言葉をつらねて、その実、行われていることは利権確保であり、官僚による統制であることが多い。利権屋は与党政治家と官僚ばかりでなく野党も同じです。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021413日(火)

 

 

<その18>
◆「いつまでに何をやります」というのは大事ですから、任期制限を導入しましょう。国会議員は同じ選挙区から3〜5回までしか出馬できないことにするのです。すると議員は腐敗できなくなり、有権者のほうを向いて約束を果たすことになります。

◆政治家が各種領域においてそれ専門の仕事をしている官僚に「素手」では太刀打ちできません。そのために必要なのが民間のシンクタンクです。独立したシンクタンクが政策的に政治家を支えていく体制にしなければいけないのです。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021412日(月)

 

 

<その17>
◆予備選挙を導入するとそういう大番狂わせが起きます。逆に導入しない限り、各選挙区で永遠に安倍晋三、麻生太郎、小泉進次郎のような政治家が勝つのです。
選挙が行われるだけで民主主義国だというなら、形ばかりの選挙を行い、実質的に選挙が無意味な半独裁国もまた、れっきとして民主主義国ということになってしまいます。問題は選挙の仕組みと実態なのです。

◆実は20世紀初頭まで、アメリカですら民主主義の象徴である大統領選挙に予備選はありませんでした。はじめて導入したその理由は腐敗防止です。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
202149日(金)

 

 

<その16>
◆選挙では基本的に選挙区ごとに強い勢力が決まっています。衆議院の場合、勝敗のきわどい選挙区は全体の10%程度に過ぎません。比例の部分は動きますが、小選挙区に関しては少なくともそうなのです。

◆実質的な民主主義を実現するためにはそもそも候補者選定の段階で有権者の力が反映されるシステム、予備選挙が必要です。党幹部の指名ではなく住民が選挙区の候補者を選べる仕組みです。

◆アメリカには世襲議員がほとんどいません。予備選挙によって、実質的な民主主義が機能するよう担保されているからです。なお、アメリカの場合 政党に登録した人だけが投票する閉鎖型予備選挙と、支持政党にかかわらず投票できる開放型予備選挙があり、各地域の党組織によって異なります。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
202148日(木)

 

 

<その15>
◆今の財務省は慢性的に増税したい省庁であるように見えます。なぜ増税したいかというと増税したほうが出世できるからです。

◆現在、福祉と公共事業と地方交付税に多くの予算(歳出のほぼ半分)が割かれています。しかし、ここを削ると選挙で困る人が出てくるので、抵抗がものすごく強い。それで増税してモノを言わない無党派層から巻き上げているのです。
もし絶対に増税できない、むしろ減税しなければならないとなると、予算を削るしかなく、財務省はその優秀な頭脳をフルに活用して、無駄な事業をなくす作業に入るはずです。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
202147日(水)

 

 

<その14>
◆規制の経済分析などほとんど行っていないので、まずは各規制が経済的にどの程度の損失をもたらしているのか計算するところからスタートしなければいけません。

◆2010年に民主党政権が導入した「事業仕分け」も大失敗でした。各事業ごとに「絶対に必要」ロジックが出来上がっているのです。言い訳させたら天下一品の官僚相手に戦って廃止させていくのは大変手間がかかります。ほとんど不可能。逆に説得されてしまいます。
それよりまず減税によって税収を絞りましょう。歳入全体を縮小すると後は勝手に財務省がやる。あの仕事は彼らが適任です。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
202146日(火)

 

 

<その13>
◆1970年代末にケ小平が実権を握って以来、中国は改革開放政策を進めてきました。
そして、その政策をリードした評論家たち、つまり中国で主流の経済学者は実は減税派でした。
そしてマルクスやケインズ学派はむしろ外野に追いやられ、もはや主流ではありませんでした。

◆今、日本では法律が急速に増えています。これは「立法爆発」と呼ばれますが、法律が増えることは規制が増えることを意味します。1980年代に比べると2倍程度に増加しています。新しい規制をどんどん作って、古くいらなくなった規制をそのままにしているからです。
法律・規制が増えるほど、歳出が増えます。その法律・規制に対応するコンプライアンスで儲ける人も2倍に増えているということです。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
202145日(月)

 

 

<その12>
◆経済成長しない国は結局負けます。経済成長を阻んでいる大きな原因の一つが高額の税負担です。経済力とは安全保障であり、外交でもあります。経済が落ち込んでいては国は守れない。他にどんないいことを言っていたとしても、増税に賛成している人は日本を強くて安全な国にするつもりなどないのです。

◆日本の場合は禁止すると国民がやらない。中途半端な法治国家であるというか、国民に遵法精神がありすぎる。もちろん法律を破れとは言いません。しかし国民が従順なのをいいことに政治家や官僚が好き勝手にしている。だから、おかしな法律の方を何とかしなければならないのです。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
202142日(金)

 

 

<その11>
◆一般有権者もまたシングルイシューで、下げたい税金やなくしたい規制に関して、ガンガン政治家に打ち込んでいけばいいのです。その上で政治家が結論を出す。
ですから「それだけ言っていてはいけない」 「全体のバランスを見なくては」という御用学者は全部無視していい。それは政治家が考えることであって、有権者がそこを考慮して要求を引っ込める必要はありません。

◆日本は規制が多すぎです。終身雇用などによって勤労者の流動性が阻害され、必要な部門に人材が回らないなどいろいろと効率が悪い。
しかも旧態依然とした企業が規制で守られていて、いつまで経っても大企業の名前が変わりません。
第2次大戦後、日本が立ち直ったのはおかしな規制がなかったからです。日本は再びボロボロになって壊滅的な段階までいったらもう一度復活するかもしれません。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
202141日(木)

 

 

<その10>
◆「利権をよこせ連合」は直接、永田町や霞が関に行って生きた情報に接しています。陳情し情報を提供しこれからできる規制や法律の内容を変更しています。
つまり、彼らは発表前の原稿作成、いわば台本づくりに携わっているのです。
すべての修正が済んで出来上がったシナリオを見せられるのが記者クラブ。それをまとめた(薄めた)ものを読んだり、見たりしているのが無党派層です。
あれはニュース(新しいもの)と呼ぶに値しません。それを見聞きしても、もう何もできません。すべて決まったことなのです。その他大勢はただ従うだけ。そんなものをいくら読んでも賢くなどなりません。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021331日(水)

 

 

<その9>
◆小泉・竹中改革は「税金を下げろ連合」の目指す路線とは全然違うものです。本当の自由化は正社員と派遣とバイトの差別のなくすことです。すべて一律に金銭解雇でサクッといけば同一賃金、同一労働となり、身分ではなく仕事で働けるようになります。雇う側も解雇時の労働リスクがなくなるので雇用がしやすくなります。これによって平等に働く職場、本当の働き方改革が実現します。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021330日(火)

 

 

<その8>
◆弱い産業と思われている農業にしても、規制や補助金だらけだから弱いのです。農協は流通・資材等の事実上の独占などさまざまな問題が指摘されており、日本の農業生産性の向上の足枷となったとされています。お米の生産調整を行う減反政策は、いたずらに稲作農家の生産性を低下させています。また農地の販売規制があることで、農業生産の大規模化はなかなか進みません。なぜか。零細農家の保護する名目で、その役割を担うとされる農協が日本の農業生産性の改革を遅らせてきたのです。

◆学校も民営化すればいい。もっと言えば、行かなくてもいい。もちろん行っていいますけれど。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021329日(月)

 

 

<その7>
◆東北を復興させるために増税するとはどういうことでしょうか。復興させるためなら、減税するのが筋でしょう。例えば東北地方をしばらく無税にしたとします。今とはまったく違った発展を遂げた可能性があります。

◆金持ち高齢者の資金が若い人たちに回るように相続税・贈与税は廃止すべきです。これに賛同するあなた、立派な「税金下げろ連合」の一員です。

◆なぜ、日本からグーグルやアマゾン、フェイスブックやツイッターが出なかったのか。これもウーバーと同じです。すべて規制のせいです。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021326日(金)

 

 

<その6>
◆日本はひたすらアメリカの巨大な政府を目指す人たちの言論と政策を輸入し続けていました。ここに最大の問題があります。アメリカの最新の民主主義と思われているもの、それは実は民主主義ではなく設計主義です。政治家と官僚が世の中のすべてをコントロールできるのだという発想に基づいているのです。

◆役人は「欲しい」とは言わず「必要だ」と言います。
社会保障費も彼らの口実に過ぎません。そんな使う側の主張に合わせて、税金は増えるばかり。政治家や官僚の要求は無限です。これに合わせて税金を払っていてはキリがありません。
有権者ははっきりと主張しなければいけません。
「オレの給料をいくらだと思っているんだ!払っている税金は多すぎる。減らせ!お前たち節約しろ!」


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021325日(木)

 

 

<その5>
◆トランプ政権の最初の2年間は「税金を下げろ連合」はやりたい放題できました。この2年間のうちに、トランプは大幅減税と大量の規制廃止を行いました。オバマ時代の規制をことごとく廃止。特にエネルギー規制を廃止したことによって、アメリカは石油の輸出国になりました。新しい産業を一つ興したのです。

◆アメリカの選挙は献金額でほぼ決まると言っても過言ではありません。献金を受けそれで広告を打ちまくる。これによって支持率が増す。また支持者自身が自ら運動員となって、各家庭を回るという二重構造になっているのです。そこは民主党のほうが一枚上手です。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021324日(水)

 

 

<その4>
◆「2対1ルール」を聞いたことがない人が多いと思いますので説明します。これはトランプ大統領が就任直後に出した大統領令で、一言で言って「新しい規制を1つ作りたかったら、いらない規制を2つ廃止しろ」というルールです。つまりトランプ大統領は規制廃止をアメリカ各省庁の役人にやらせたのです。

◆役人というのは細かいことを延々議論する性質を持った人々です。
役人はなぜ規制を作りたがるか。それは自分の実績になり、出世や天下りにつながるからです。作成者はその規制や関連法案に関するエキスパートですからこの分野の専門家として一目置かれることになります。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021323日(火)

 

 

<その3>
◆共和党には保守派と主流派があります。
保守派の人々にとって大事なのは、合衆国建国の理念でもある「自由」です。結果「政府からの自由」が重視され、「小さな政府」を求めます。アメリカ内に広範な草の根ネットワークを持っていて、減税団体もその一つ。つまり「税金を下げろ連合」は保守派の運動です。
これに対して主流派は「中道」と言えば聞こえがいいのですが、あまりポリシーはない。というかはっきり言って理念より利権が大事な人たちです。

◆トランプ大統領の誕生は民主党から共和党への政権交代であったと同時に保守派が主流派に勝った瞬間でもありました。保守派はロナルド・レーガン以来ですから24年ぶりになります。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021322日(月)

 

 

<その2>
◆減税派が躍進した象徴的な出来事は、1992年のアメリカ大統領選挙におけるジョージ・ブッシュ現職大統領の落選です。ブッシュは1988年の大統領選挙で、増税はしないと約束して当選したのです。ところがブッシュは90年に民主党議会と妥協して増税したのです。

◆下院は日本の衆議院に相当するものですが解散はありません。下院は1955年以来ずっと民主党に支配されていました。その下院でこのときなんと共和党が多数派を占めたのです。40年ぶりの快挙なので「保守革命」と呼ばれています。「税金を下げろ連合」が一丸となって「税金を下げます」と主張する議員を当選させたのです。


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  渡瀬裕哉「税金を下げろ、規制をなくせ、日本経済復活の処方箋」(光文社新書)
2021319日(金)

 

 

典型的な新自由主義者の主張である。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介することとしたい。
<その1>
◆つまり 有権者は、まず「すべての増税に反対する」と議員に約束をさせる。そして、各議員が本当に反対したか、質問や議決に当たっての投票など議場での行動を評価する。裏切った議員は次の選挙で落とす(票を入れない)。共和党陣営に関してはこれが徹底されているのです。
民主党陣営にも有権者の団体があり、議員の実際の行動を見て評価し、次回の選挙の参考にする点は同じです。ただ、民主党は増税したい人たちなので評価基準は当然違います。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020729日(水)

 

 

<その11>
◆また共産主義諸国というのは、平等だったから崩壊したわけではありません。むしろ資本主義諸国よりも格差が激しく不公平だったから崩壊したのです。
資本主義が絶対的に正しい経済思想ではなく、共産主義よりは資本主義の方がまだましだったというだけの話なのです。
◆ピケティは論文や著書の中で、貧富の格差の解決策について提言しています。
その提言は、特に奇をてらったものではなく、「所得税や相続税の累進性の強化」と「世界的な資産税の強化」です。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020728日(火)

 

 

<その10>
◆仮想通貨は理論的には「ネット上で取引のすべてを多くの人が監視できるため、不透明な取引は、生じない」ということになっていました。が、実際は流出事件が起きたときに、誰が盗ったのかさえ、判明しないケースが多かったのです。
◆ピケティは「1990年を契機に貧富の格差が進んでいる」と述べていますが、1990年あたりに世界で何があったかを検証すると答えは簡単に出てきます。ソ連、東欧の共産主義圏の崩壊です。
◆その後、世界は一気にマネーゲームの方向へ傾きました。「資本主義こそが正しい」とばかりに企業や投資家に限りなく自由を与え、便宜を図る政策を取り始めたのです。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020727日(月)

 

 

<その9>
◆つまり、財政赤字など気にせずにまた税収などあてにすることなく公共投資を行うことができる。という主張である。
◆そして、行うべき公共投資として「求職している人すべてに仕事を与える社会保障プログラム」の創設を提案しています。これは、政府が求職している人すべてにその人に合った仕事を与えようという社会保障制度を新たにつくるというものです。
これは公共事業で間接的に失業を減らすのではなく、政府が直接、全失業者を雇用するという意味である。
◆国家が通貨発行権を持つ場合、もっとも懸念されることは、通貨を発行しすぎて経済社会を混乱させるという点です。この問題点についてMMTでは具体的な対処法は語られていません。「インフレに注意してればいい」ということだけで済まされているのです。

◆通貨を発行しすぎれば、インフレになるということは、古今東西の国家も知っていたはずです。知っていたにも関わらず、「通貨の発行しすぎ」を止めることができなかったのです。
だから「インフレに注意していれば」という理屈は対処法としてはあまりに弱いものだと思われます。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020722日(水)

 

 

<その8>
◆ただただ経済を自由にしていれば、諸問題が自動的に解決するわけではないのです。しかも、マネタリズムや新自由主義の考え方は、規制しなくてはならないものまで、規制を解いてしまったために、後ほど、世界は大きな打撃を受けることになります。

◆その最大のものは、1999年に「グラス・スティーガル法」を骨抜きにしてしまったことです。なぜこの法律ができたかというと、銀行業務と証券業務を兼ねていると銀行がある会社の証券を扱っていいた場合に、その会社から銀行融資を頼まれると断ることができなくなります。これにより銀行の倒産を招きやすいのです。

◆MMT(現代貨幣理論)は、ざっくり言えば、「自国の通貨建てで、国債を発行している国は、国債を償却(返済)するには、自国の通貨を自由に発行する権利を持っているのだから国債はいつでも償却(返済)できる。」ということです。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020721日(火)

 

 

<その7>
◆ミントン・フリードマンのマネタリズムというのは、表向きは貨幣論の形をとっていましたが、実際は規制を撤廃してすべてを市場に任せるという市場原理主義ともいえる経済理論でした。

◆第二次世界大戦後、東ヨーロッパに次々に誕生した共産主義国の国々は戦災からの復興は著しいものがありましたが、その後の経済成長が思わしくありませんでした。1970年代に入ると西欧の自由主義諸国と東欧の共産主義諸国で経済状態に大きな差が出てきました。

◆そして、1989年に東西冷戦の象徴とされていたベルリンの壁が壊され、東欧諸国の共産主義政権が次々に倒れていったのです。
これを見て自由主義陣営は大きな誤解をしました。もともと共産主義というのは自由主義経済の欠陥をただすためにおこった思想です。貧富の格差・不景気のときの失業などによって、人々の不満が高まったために共産主義という思想が勃興したのです。共産主義というシステムはそれらの問題の解決策としては失敗しました。だからと言って自由主義経済に問題がないわけではないのです。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020720日(月)

 

 

<その6>
◆第二次世界大戦後、かつては世界経済で無敵を誇っていたアメリカ経済が陰りはじめ、輸出が減り、輸入がどんどん増えました。代金としてアメリカドルを受け取った各国がそれを金に換えました。そのためアメリカは瞬く間に流出してしまったのです。

◆1971年にアメリカのニクソン大統領がドルと金の交換の停止を発表したのです。
そのため、世界中の多くの国々の通貨は金との結びつきがなくなったのです。

◆あなたは、お金というものがどうやって発行され、どうやって社会に流れてくるのかご存知でしたでしょうか。答えは「借金」です。
企業や国などが銀行からお金を借りることによってお金は回るのです。

◆ミントン・フリードマンは、「景気の回復は財政出動ではなく金融緩和によって実現できる」という経済理論を主張するようになります。これはケインズの経済理論のアンチテーゼでもありました。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020717日(金)

 

 

<その5>
◆戦後の世界経済は、自由主義と共産主義のいいところ取りのような方向に動くようになります。
自由主義の競争原理で経済発展を促しつつも、社会保障や累進課税などで貧富の差を修正しまた野放しにしていてはダメな分野、たとえば公害や環境問題に関する分野などでは、規制を加えるというように、です。
◆経済というものをすべて「技術革新」に結びつけて考えたところにシュンペーター「罪」があるのです。好景気、不景気の波の原因というのは、技術革新だけではないはずで、様々な要因が絡んでくるものです。

◆第一次世界大戦後、アメリカだけは金の保有量を激増させました。資源が豊富で工業力もあるアメリカは第一次世界大戦から第二次世界大戦にかけて、世界経済において一人勝ちの状態が続いていました。
第二次世界大戦終了時には世界中の金の7割を保有していたのです。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020716日(木)

 

 

<その4>
◆ケインズは「常態的」に「無駄な公共事業」をガンガンやれとは言っていないのです。「不景気のとき」に限って、「社会に有益な事業」をやれと言っているのです

◆ケインズは「金利を下げれば、確かに年金生活者などにとっては不利になるが、それでも景気をよくして失業者をなくすことが先決である」として、金利を下げるべきだと主張したのです。

◆ケインズは金利だけでなく、通貨量自体を国家が管理すべきとも提言しました。
ケインズは第一次世界大戦後すぐに、金本位制をやめて管理通貨制に移行するように、イギリスに提言したのです。

◆見過ごされがちですが、ケインズの追求したテーマは「失業をなくすこと」でした。彼の著作のほとんどでは、このテーマが挙げられているのです。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020715日(水)

 

 

<その3>
◆これにより「ケインズ経済理論の敗北」などと言われることがありました。
しかしその見方は正しくはありません。ケインズ理論というのは、「不況のときは」積極的な財政投資をしろと言っているものであり、のべつまくなしに、積極的な財政投資を行えとは言っていないのです。ケインズの言う「不況」とは、経済循環においての「不況期」のことです。
◆ケインズは1946年に亡くなっていますので、戦後の慢性的な不況というものを知りません。ケインズは、一つの理論に固執するというよりは、その時代の経済情勢に合わせて、適切な対処法を指示するタイプの学者だったので、もし存命だったならば、慢性的な不況に対して、別の対処法を提示していたものと思われます。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020714日(火)

 

 

<その2>
◆また計画経済というのは、各人の「創意工夫」というものがまったく生じません。「よりいい物を作る」  「より効率的な方法を考える」ということが不可能なのです。
◆ケインズは失業が増えるよりも失業を抑えて、インフルになった方がいいと主張したのです。
◆ケインズの経済理論はその後の世界大恐慌以降、もてはやされることになります。アメリカのニューディール政策はケインズ理論をもとに行われたとされています。
◆第二次世界大戦後もケインズ理論は世界中の経済政策に影響を与えました。
ですが1980年代になって、欧米諸国は積極的な財政投資を行う「大きな政府」からなるべく財政投資を減らす「小さな政府」に方向転換をしました。それは、積極的な財政投資を行っても景気は良くならず、財政赤字ばかりが積み上がるという傾向が現れたからです。


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  大村大次郎「教養として知っておきたい33の経済理論」(彩図社)
2020713日(月)

 

 

元国税調査官の大村氏の著作であるが本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。
<その1>
◆「人は自分が損をすることになっても、誰かが得になることを阻むことがある」
有体に言えば、自分が儲かることよりも他者が儲かることが気になって気になってしょうがない人がこの社会には一定数存在するということである。
◆「たくさんの種類のジャムを置くより、数種類のジャムを置いた方が売り上げは伸びる」
種類は絞り込むがその中で高額のものから低額のものまで用意しておくと、中長期的に売上が伸びるのである。
◆ソ連や東欧の共産主義諸国が崩壊したのは、経済の失敗が最大の原因です。共産主義というのは経済面で非常に効率が悪かったのです。
共産主義国の企業(工場等)では「計画経済」つまり、計画通りに行う義務がありました。それは、計画より少なくてもならないし、多くてもならないのです。


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  松尾匡「この経済政策や民主主義を救う」(大月書店)
2020221日(金)

 

 

<その4>
◆つまり、これらの世界の大物左派リベラル派の論者たちが共通して「安倍政権の経済政策は正しい」と言っているのは、インフレ目標のもと大規模な金融緩和でつくり出したおカネで、政府支出をおこなうという枠組みについてだけであって、消費税増税にも法人税減税にも規制緩和にもみんな反対で政府支出は格差縮小や教育に使うべきであり[トリクルダウン]などもってのほかと思っているわけです。

◆その他安倍政権の経済政策には批判すべき点がありますが「第一の矢」「第二の矢」に関しては、よく聞かれる批判とは逆に「こんなものでは足りない!」「もっと!」という批判をこそすべきであると思います。緩和マネーを財源にして政府支出すれば、福祉や医療やいろいろなことが充実できて雇用も増やせるのですから。

◆当初のヒトラー政権はいつ吹き飛んでしまうかわからない脆弱な政権でした。この経済政策の成功によって国民の圧倒的な支持を獲得することができてヒトラーは戦争へ突き進むことができたわけです。
私たちの目の前にこの歴史が待っているのではないかと身ぶるいします。


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  松尾匡「この経済政策や民主主義を救う」(大月書店)
2020220日(木)

 

 

<その3>
◆金融緩和に反対するとか、健全財政を志向するとかは欧米では右派の主張です。
逆に左派ほど金融緩和を志向するのが常識です。
左派は金融緩和で雇用を増やすことを求めていて、そのために中央銀行を民主的コントロールのもとにおくとまで言っています。

◆ケインズは資本主義経済では民間の自由に任せておいたのでは総需要が不足して大量の失業が残ったまま経済が落ち着いてしまうと主張しました。そこから抜け出すためには、政府が積極的に介入して総需要を拡大させなければならないと言いました。
具体的には中央銀行がおカネをたくさん発行する金融緩和政策や政府が支出をたくさんして、財やサービスを買ってやる財政拡大政策を唱えたのです。

◆結局、民主党政権は財源を気にして公約は実現できず、震災復興もままならず、景気も回復せず、人々の期待を裏切って崩壊したのでした。
もし、日銀の独立性を攻めて大胆な金融緩和でおカネをつくり出し、それを財源にしたならば増税も実質的な財政赤字拡大もなく公約は何もかも実現でき震災復興もみごとにでき、おまけによって景気も回復して、一石二鳥も三鳥も得ることができて、今ごろ民主党政権は続いていたでしょう。


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  松尾匡「この経済政策や民主主義を救う」(大月書店)
2020219日(水)

 

 

<その2>
◆では、「安倍さんよりもっと好況」を実現する手段は何でしょうか。それは「日銀の緩和マネーを福祉・医療・教育・子育て支援にどんどんつぎこみます」ということです。

◆日銀が国債を買うと、その代金が政府の手に渡ります。このカネをそのまま福祉・医療・教育・子育て支援などに使うわけです。金融緩和と政府支出の組合せです。

◆逆に言えば、物価が上がったのを追いかけて生産がスムーズに拡大できるならば、インフレが進行いったりはしません。これまでの日本経済のようにたくさんの失業者がいる状態では失業者を雇っていけば生産を増すことができます。これができる間は、インフレが悪化することはないのです。

◆したがって、私たちの掲げる政策にはたとえば2%をインフレ目標に掲げるならば、つじつまの合うまでに最低賃金や年金や生活保護や社会保障給付も2%かそれ以上で引き上げていくことを盛り込むべきです。


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  松尾匡「この経済政策や民主主義を救う」(大月書店)
2020218日(火)

 

 

著者は山本太郎の経済ブレインである。
アベノミクスとは次の3本の矢からできている。
[1]大胆な金融政策
[2]機動的な財政政策
[3]民間投資を喚起する成長戦略
著者は[3]はともかくも[1][2]をもっともっと積極的に進めろ、アベノミクスレベルでは弱すぎると主張する。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。
<その1>
◆政界には青木幹夫参議院議員の提唱した経験より「青木の法則」というものがあるそうで、内閣支持率プラス与党第一党支持率が50%を切ると内閣が倒れるということです。最近の安倍内閣では80%近くもあることになります。

◆そのために左派リベラル派の野党がまず掲げるべき経済政策のスローガンは「安倍さんよりもっと好況を実現します!」ということ以外にありません。景気拡大に後ろ向きのことを言ったら、自殺行為になります。


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  ルディー和子「経済の不都合な話」(日経新聞社)
20181029日(月)

 

 

<その8>
◆最初の経済学者とされるアダム・スミスがニュートンから大きな影響を受けたことは、よく知られている。スミスは、万有引力を含めたニュートン力学を、「人類によってこれまでになされた最も偉大な発見」、そして、その考え方ですべての諸原理を説明できると絶賛している。

◆ギリシアの代表的哲学者というとソクラテス、プラトン、アリストテレスの3人の名前がすぐ思い出される。哲学の祖ソクラテスの孫弟子にあたるアリストテレスが使った講義ノートや研究ノートは550冊あり、そこで扱われたテーマは、現在の自然科学や社会科学のほとんどの学問に発展したといわれる。アリストテレスが「万学の祖」と呼ばれる所以だ。

◆スウェーデン国立銀行が経済学賞を創立したのには、政治的背景があるといわれる。60年代のスウェーデンの金融やビジネス業界は「自由市場経済」に強い関心をもっており、中央銀行への政治的介入や管理をゆるめたいと考えていた。


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  ルディー和子「経済の不都合な話」(日経新聞社)
20181026日(金)

 

 

<その7>
◆ニュートンが万有引力を発見したというのが定説になっている。が、正確には、惑星の運行に関してはドイツの天文学者ヨハネス・ケプラーが先輩天文学者による膨大な観測記録から法則を発見していた。その法則から、万有引力の法則を数学的に導き出し証明したのがニュートンだ。証明の過程で、ニュートンは微分積分法を開発している。つまりニュートンは優秀な物理学者であるとともに、微分積分法を発明した偉大な数学者でもあったのだ。

◆数式に偏りすぎる経済学者を批判して、「自分たちの言葉である数学で経済現象を表現することだけに関心がある」とよく言われる。それをまねれば、ニュートンは観測された現象を、数学という語源で表現し、証明したことで、万有引力の発見者とみなされるようになったともいえる。


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  ルディー和子「経済の不都合な話」(日経新聞社)
20181025日(木)

 

 

<その6>
◆メーカーが小売業よりも力をもち、流通チャネルをコントロールしていたころは、価値にもとづいて価格を決める考え方が常識となっていた。が、小売業がメーカーよりも力をもつようになってからは、価格は価値の一要素に落ちぶれてしまったのだ。

◆従来の小売業やメーカーの売上停滞が目立つなか、その成長ぶりで2000年代に注目を集めるようになったのがユニクロやニトリといった製造小売業だ。つまり、商品の企画から製造、物流、販売まで一貫して運営する業態である。業種は違うがマクドナルドや吉野家といったファーストチェーンも商品の企画生産から販売まで一貫して自社の管理下で運営している。

◆世界の大学や大学院においても、経済学の中心は、現代の主流となっている新古典派経済学だ。そして、経済学専攻の学生は多くの時間を数学や数式、経済データを統計的に処理して実証分析するテクニックを習得することに費やす。複雑な数式モデルを駆使することはできるようになっても、社会の実態を学ぶことがないので、それを経済政策やビジネス戦略に変換する洞察力を得ることはない。


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  ルディー和子「経済の不都合な話」(日経新聞社)
20181024日(水)

 

 

<その5>
◆どんな環境変化がおきても、小さな組織なら融通性があり適応しやすい。そしてターゲットを絞った商品やサービスを提供していればどんな時代でも一定の顧客数と売上を見込める。恐竜(団体の大きい企業)が絶滅した地球環境でも、人類の祖先であるネズミのような小さな哺乳類(小さな企業)は生き延びた。

◆アダム・スミスは最初の経済学書といわれる「国富論」のなかで「労働量が価値を決め、価値が価格を決める」とした。国富論が発表された1776年は、アダム・スミスが住んでいた英国で第一次産業革命がはじまり、変化のうねりが社会を大きく動かそうとしている時代だった。

◆顧客側の満足度が価値を決めるという、現代に通じる考え方が登場するのはアダム・スミスの労働価値説から100年後の1870年代となる。経済学では、効用を顧客の満足度とし、効用に基づいて価値が決まるとした。


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  ルディー和子「経済の不都合な話」(日経新聞社)
20181023日(火)

 

 

<その4>
◆株主の要求に従いたくなかったら上場しなければよい。日本でも、サントリーを筆頭に、YKK、竹中工務店、海外でも家具のイケア、玩具のレゴなど非上場でも大きい企業はある。

◆韓国銀行が2008年に発表した報告書によると、世界で(41ヶ国)200年以上の歴史をもつ会社は、5568社あるという。日本3146社、ドイツ837社、オランダ222社、フランス196社と、断トツに日本がナンバー1だ。

◆日本に長寿の会社が多いのは、歴史的に他国に侵略されたことがないためだと言われる。業種的には、酒、食べ物(菓子やレストラン)や旅館を生業とするところが多く、家族で継承してきた小規模企業がほとんどだ。帝国データバンクが日本の100年以上の歴史をもつ企業2万8972社を調べたところ(2016年)、従業員数50人未満が87.9%、年商10億円未満が86.8%だった。


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  ルディー和子「経済の不都合な話」(日経新聞社)
20181022日(月)

 

 

<その3>
◆このように、顧客ベースを持った小売業が始める金融サービスは固定費が低く成功するようにできている。だが問題がある。利益率が低く、場合によって、粗利の1円、2円の違いに目の色を変えるスーパーなどの小売業をやっていると、利益率も利益額も高い金融サービスを始めることで、小売業という商売がバカらしくなってくるのだ。
その結果として、シアーズやテスコのように、店舗が何となく薄汚れた感じになり、店員の数も減り、サービスも悪くなる。活気のない店舗からは顧客が離れていく。

◆上場企業の所有者は株主であり、収益をもたらしてくれるのは顧客だ。だが、株主も顧客も特定の会社の存続を切に願っているわけではない。株主は特定の会社の存続に固執してはいないのだから、株主の言うことを聞いていたら、破綻を招くこともあると、コダックの例で紹介した。


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  ルディー和子「経済の不都合な話」(日経新聞社)
20181019日(金)

 

 

<その2>
◆90年代の米国では、主要企業の株の半分以上を機関投資家である年金基金がコントロールするようになっていた。そして年金基金を運用するという性格上、短期的に売り買いして儲けるのではなく、長期投資を目的とするため、株価や株主還元の上がり下がりに敏感に反応し、経営にも口出しするようになっていた。そして、機関投資家が会社に求める内容も、80年代の要求とは異なるものになっていた。

◆株主は、会社の所有者かもしれない。が、だからといって、特定の会社の存続を真に望んでいるわけではない。

◆たとえば、日本のSNSの草分けといわれるミクシィは、いまでは売上の93%、利益の98%をゲーム事業から得ている。

◆データ資本という言葉を目にするようになった。大規模なビッグデータから、新たなサービスが生まれる。データが収益の源となり貨幣の代わりとなる状況を米インテルのブライアン・クルザニッチCEOは、「20世紀に石油が世の中を変革したように、次の世紀以降はデータが世の中を変革する」と語っている。


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  ルディー和子「経済の不都合な話」(日経新聞社)
20181018日(木)

 

 

タテマエだけの社長と経済学者は読まないで下さい。と本の帯に書かれている。要するに机上の空論とやらを批判しているようである。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介することとしたい。

<その1>
◆会社の寿命はどんどん短くなっている。1980年代に「会社の寿命は30年」と言われたものだが、東京商工リサーチの調査によると、2014年に倒産した企業の平均寿命は23.5年だそうだ。

◆企業の目的は存続することだと言い切る経営者の心理もよくわかる。だが、生き続けることを目的として、企業が存在する・・・というのは、よく考えてみるとおかしな論理だ。

◆日本の多くの経営者がいまでも信奉するピーター・ドラッガーは、1950年代に出版された経営書において、「企業の目的の正しい定義はただ1つ。顧客を創造することだ。」と書いている。だが、この論理は実際にはもはや通用しない。


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 明石順平「アベノミクスによろしく」(インターナショナル新書)
2018525日(金)

 

 

<その2>
◆民進党は憲法を主な争点にしようとしたが、これは、国民を無視した争点設定だった。世論調査では、重視する争点を憲法と答えた人は10%しかいなかったからね。一番重視されたのは、社会保障で53%。次が景気や雇用で45%だ。で、社会保障だって結局経済がうまく回ってお金を捻出できるようにしないといけないから、争点は経済にすべきだったと思うよ。

◆円安になると、外国の投資家からすれば、日本株がお買い得になる。例えば1ドル80円だったら、800円の株を1株買うのに、100ドル必要だ。ところが、1ドル100円だったら、8000円の株を買うのに80ドルで済むことになる。

◆東京証券取引所の時価総額は世界の株式市場の約7%を占めるにすぎない。その割合からするとGPIFが日本株に25%も投資しているのは、違和感があるね。


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 明石順平「アベノミクスによろしく」(インターナショナル新書)
2018524日(木)

 

 

<その1>
アベノミクスについて書かれた本は多々ありますが、本書ほど「わかりやすさ」に重点を置いた本はないと思います。と著者は書いているが、実際はかなり難しい内容になっている。
以下、本書より参考となるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆日銀の金融緩和の中心的方法は、具体的に言うと、民間銀行が持っている国債を買い入れることだ。

◆日銀が供給する通貨のことを「マネタリーベース」という。これはより具体的に言うと、「日本銀行券発行高(紙幣)」+「貨幣流通高(硬貨)」+「日銀当座預金」の合計値のことだ。異次元の金融緩和は、このうち「日銀当座預金」のお金を増やしていく政策なんだ。ざっくり言えば、日銀が民間銀行に供給するお金を増やす政策だと考えればいい。

◆なぜ、実質の賃金が下がったのかといえば、増税の影響もあるけど、それに加えて、アベノミクスによる無理な円安が響いたからだよね。そして、その結果、消費が記録的に冷え込み、肝心の実質GDPが全然、伸びなかった。ここらへんをわかりやすく国民に伝えないとダメだよね。


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 植草一秀「あなたの資産が倍になる」(ビジネス社)
2018226日(月)

 

 

<その5>
◆消費税は1989年度に導入されたが、1989年度の税収は54.9兆円だった。2016年度の国税収入は55.5円でほぼ同額である。
この27年間に起きた変化は
・法人税が9兆円減り
・所得税が4兆円減り
・消費税が14兆円増えただけど、これ以外の何物でもない。
社会保障拡充のための消費税増税という話は完全なウソである。法人税と所得税の負担を激減させるために消費税を大増税し続けてきた、というのが真実である。

◆日本政府の債務残高は2015年1262兆円だった。たしかに1000兆円を超す借金があるのは事実だ。しかしもっと重要な事実が存在する。それは日本政府の資産残高が1325兆円あるという事実だ。つまり日本政府は差引63兆円の資産超過なのである。したがって、日本政府は危機にはない。シロアリを退治せずに消費税を引き上げなければならない理由は皆無である。


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 植草一秀「あなたの資産が倍になる」(ビジネス社)
2018223日(金)

 

 

<その4>
◆安倍首相は日本の名目GDPが拡大したことを、アベノミクスの成果だと主張したのである。そもそも名目GDPの増加をアピールすることが滑稽すぎる。インフレ率が100%、実質経済成長率がマイナス50%の経済を考えればよく分かる。このとき名目GDPはプラス50%だが、実質GDP成長率はマイナス50%だ。名目GDPが50%アップでも実質的に経済活動が50%ダウンなら、これを喜ぶものはいない。100万円の所得が150万円になっても、物価が2倍になれば、実質の所得は50%もダウンしてしまうのだ。

◆日銀は量的緩和を持続し、日銀が保有する国債残高はすでに400兆円を突破している。諸外国と比較しても、あまりにも過大な資産保有残高に達している。何らかの要因で長期金利が上昇する。すなわち債券価格が急落すれば、日銀が含み損失を抱え込むことになる。そのことが、日銀の負債である通貨を大損させる。日本円の信用を著しく低下させる要因になる懸念がある。


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 植草一秀「あなたの資産が倍になる」(ビジネス社)
2018222日(木)

 

 

<その3>
◆この4半期ごとの実質経済成長率の年換算値推移を確認すると、意外な事実が浮かび上がる。2009年から2012年にかけて存続した民主党政権下の年率実質経済成長率の単純平均値はプラス1.8%である。これに対し、2012年2月に発足した第2次安倍政権以降の実質経済成長率の平均値はプラス1.4%にとどまっている。

◆一般の国民生活者・消費者・そして労働者にとって、もっとも重要な経済変数は、1人当たりの実質賃金である。この実質賃金指数の推移を見ると、民主党政権時代は、ほぼ横ばい推移を示したことが分かる。政権発足当初、鳩山由紀夫政権時代には実質賃金が上昇している。しかし、菅直人政権下、野田佳彦政権下では実質賃金指数は緩やかに、低下が生じた。全体として、民主党政権時代には、実質賃金水準は横ばいで推移した。
これに対して、2012年の第2次安倍政権発足以後の実質賃金は驚くなかれ、約5%の大幅減少を示している。年収200万円の所得が、年収190万円に減少したことになる。この5%の減少は、所得のない個人にとっては極めて重要な死活問題だ。


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 植草一秀「あなたの資産が倍になる」(ビジネス社)
2018221日(水)

 

 

<その2>
◆筆者は、民主主義と資本主義は対立概念であり、資本主義の欠陥を補うために民主主義が発展してきたのだと考えている。しかし資本の論理は明確で、資本の利益の飽くなき追求、利益の極大化を目指すものである。
TPPに代表されるグローバリズムは、まさに巨大資本の利益極大化を実現するための国家の上位に君臨する枠組み、制度であると理解することができる。

◆中国のGDPが日本を追い抜いたのは、2010年だが、それからわずか7年の間に日本経済の規模は中国経済の半分以下の水準になってしまった。成長から取り残された日本経済、失われた10年は失われた20年となり、そして失われた30年を経過してきた。

◆急激な変化が想定されているのが自動車産業の中核技術の変化である。現在の自動車の大半はエンジン自動車であるが、次世代の自動車は非エンジン自動車になると予想されている。有力な技術は電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)であると想定されている。この2つの技術が併存することは考えられない。どちらかが淘汰され、1つに収束する可能性が高い。


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 植草一秀「あなたの資産が倍になる」(ビジネス社)
2018220日(火)

 

 

実際の本書の内容はタイトルとは異なり、植草氏の政治や経済全般についての論評が書かれている。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとしたい。

<その1>
◆「米国では共和党の地盤が強い州と民主党の地盤が強い州とが、かなり、はっきりと分かれる。東西の海沿いの地域で民主党が強く、内陸部で共和党が強い傾向がある。大統領選の帰趨を決めるのは五大湖から東海岸にかけての一帯と、フロリダ、テキサスなどの選挙人数が多い重要州である。」
トランプは製造業が衰退し、多くの中間所得者層の白人労働者が没落した地域である、五大湖から東海岸にかけての一帯に重点を置いて、選挙戦を展開した。「ラストベルト=さびついた地域」と呼ばれる地域の労働者の不満を吸い上げるかたちで、この地域でほぼ全面的な勝利を獲得した。これが大統領選勝利をもたらした要因であり、戦術的な巧みさが光った選挙であったと言える。


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 木曽崇「夜遊びの経済学」(光文社新書)
201797日(木)

 

 

<その3>
◆そんな中、ニューヨークと同様に近年地下鉄の24時間化を実現した都市がある。それが第2章において「ナイト・ツアー」というナイトタイムエコノミー振興の独自政策を採用したことをご紹介したイギリスの首都ロンドン市だ。

◆「水清ければ魚棲まず」とは、人格があまりに潔癖すぎると人が近づきにくく、周りの人から親しまれないことをたとえた孔子による教えの一説であるがこの格言こそがまさに本書でご紹介したナイトエコノミーの存在を象徴的に言い表したものではないか。

◆ここまで示してきたとおり、ナイトタイムエコノミーの振興は、現在「遊休」となっている都市資産を活用し、新たな消費機会を創出し、域内事業者の収益性向上を実現する施策である。また、この施策は域内不動産の価値を高めながら同時にそこから期待される固定資産税や都市計画税としての地域財源の向上を目指すという地域経済にとって非常によい循環を期待できる都市政策である。


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 木曽崇「夜遊びの経済学」(光文社新書)
201796日(水)

 

 

<その2>
◆イギリス国内のナイトタイムエコノミーの経済規模が、年間およそ9兆5,700億円にも達すると調査結果を発表した。直接雇用総数は130万人、国内5番目の「雇用主産業」となっている。

◆新宿歌舞伎町にある「ロボットレストラン」は、2012年に開業したロボットに扮したダンサー達がショーを提供する飲食店であるがたった180座席の小さな施設に毎月1万2,000人以上の観客が詰めかけ、実にその8割を訪日外国人が占めているという。

◆近年、特に目立つのは日本を訪れる外国人観光客の存在であり、事実この地域を訪れる観光客のうち6〜7割が外国人であるという。日本の古い街並みを求める外国人観光客は、この地域に集まり、夕暮れから夜半にかけてゴールデン街での街歩きを楽しむ。2009年には、フランスの有名観光ガイドブックの「ミシュラン」において、観光地として、2つ星の評価を獲得、バブルの崩壊と共に一時はゴーストタウン化新宿ゴールデン街が文字通り東京随一のナイトタイムエコノミー街として、復活を遂げたのである。


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 木曽崇「夜遊びの経済学」(光文社新書)
201795日(火)

 

 

本の帯には、「観光振興、地域活性、経済成長の最終戦略」と書かれているが本当だろうか。以下本書よりインパクトのあるくだりを要約してご紹介していきたい。

<その1>
◆本書がテーマとして扱うナイトタイムエコノミーは、一般的に「9時-5時」などと呼称される昼間に行われる経済活動に対し、日が落ちた以降、すなわち「アフターファイブ」の夕刻から翌朝までの間に行われる経済活動の総称であるが、このような「夜の経済活動」に対する偏見は、日本社会から拭い去られていない。

◆2016年の日本国内のハロウィンの市場規模は1,345億円にもおよび既に同年のバレンタインの市場規模である1,340億円を超えたとされている。

◆調査対象となった日本人500名に対する調査では、全体の68.2%が何かしらの形でクリスマス関連のイベントに参加している。一方、同調査においてハロウィンに参加したと回答していたのは全体のおよそ14.8%程度であり、これはバレンタインデーの参加率である29.8%と比べても半分程度という非常に低い参加率となっている。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017314日(火)

 

 

<その24> 
◆(佐高)組織は常に個のアナーキーな精神が生きていないと腐ります。
私は昔から自治労と日教組は連合から抜けろと言っている。彼らは連合に金を出さなければいいんです。出したら連合と共犯になる。反原発を主張しても、連合に金を出したらそれは矛盾になるはずです

◆(浜)怒ることができないというのは知性の荒廃です。怒らないというのは、知的感受性も低下しているということでしょう。こんなけしからんことがあっていいわけがないと思えるかどうか。人の痛みに思いを馳せて涙することこそ人間の本質ですけど、その涙は「なぜこんなひどい目に遭わせるのか」という怒りに通じるものです。稲田朋美の涙は「なぜ私をこんなに苛めるのか」と言う幼稚な涙です。幼稚な涙と崇高な涙があります。安倍がすぐキレるのと、稲田の涙は精神の幼稚さの表れです。

◆(佐高)マルクスは、いわゆるルンペン・プロレタアートを社会運動の主体にほどんどなり得ず、反動の側に使われやすい人たちだと、罵倒的な言い方で酷評しました。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017313日(月)

 

 

<その23> 
◆(浜)総理大臣の記者会見なんかを見ていても、ICレコーダーで録っているはずなのに、なぜそこでキーボードを打ち込む必要があるのかといつも思う。文字化するのは後で音声を聞きながらやればいい。嘘をついたり、ビビったり、話している人の表情から読み取ることがあるのだから、記者たるもの、それを見ておくべきです。

◆(浜)そもそも労働組合というものが何のためにあるのかという認識が本質的にできていない。過去も知らない。労働運動という言葉さえもあまり使われなくなってしまった。労働運動とは人権闘争です。労働者の人権を守るための闘争であり、それを実現するために組合です。それを知らない組合員が圧倒的多数なのではないでしょうか?


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017310日(金)

 

 

<その22> 
◆(浜)彼らがガバナンスを語るときには絶対に出てこない概念が一つある。それは企業の社会的責任という概念です。彼らがガバナンスを語るときときには「もっと効率的に儲けられる体制を徹底的に構築せよ」という意味しかない。ところが、ガバナンスの強化が世界的に言われるようになったのは、実はまさに稼ぐことばかりを考えるなという脈絡からでした。アホノミクスは正反対の視点から企業の管理のあり方をとらえている。

◆(浜)逆に知性が解放されていていないと感じることが多いですね。「こんなこと言っていいんですか」「こんなこと考えていいんですか」という空気を彼らから感じてしまう。お行儀のいい答えをまず先に知りたがるという感じかあります。やはりネットですぐ検索してしまって、だいたいのコンセンサスがこのあたりだと調べてから、あたりをつけて発言する。そういう発想になってしまっているようです。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
201739日(木)

 

 

<その21> 
◆(浜)司令塔を求めてしまうんですね。「リーダーシップが不在だ」などという言い方が近頃やたらと出てきますが、そんなに皆リードしてもらいたいのかと、私は不思議に思います。リーダーと言われる奴を見たら本能的にやっつけたくなるくらいの感覚がないとだめでしょう。

◆(佐高)都はるみの「大阪しぐれ」に、「尽くし足りない私が悪い」という歌詞がありましてね。これはまさしくサラリーマンの歌ですよ。それを都はるみに言ったら。彼女は目を丸くしていました(笑)つまり会社組織の人間は、組織の突き上げに向かわず、自分を責めてしまうんです。

◆(佐高)修養団という社会教育団体がある。戦前に草の根ファシズムを支えた団体ですが、戦後もこれも停止させることができませんでした。それどころか、住友、日立、東芝、松下など、多くの企業が今のこれを支えている。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
201738日(水)

 

 

<その20> 
◆(浜)彼らの構造改革と言う場合は、だいたい規制緩和と同義ですが、規制緩和と構造改革という言い方には注意が必要です。規制緩和と構造改革という2つの言葉が出てくるときは、人権侵害していい状況をつくろうと言っているに等しい。

◆(浜)もう一つ、イエスは反貧困、反格差の守護者でもあった。この立場はキリスト教のなかで徹底しています。富める者のおごりへの怒り、貧しい者への共感というのはキリスト教の底流をなす精神だと言えると思います。イエスがいちばん怒るのが、無関心という事です。人の痛みがわからないということにものすごく厳しい。それが自分のせいで貧しくなった人でなくても、その前を通り過ぎてしまうことは許しがたいことだという発想が強固にある。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
201737日(火)

 

 

<その19> 
◆(浜)イギリスに比べると、大陸欧州、特にフランスやドイツはもう少し権威主義的です。歴史的に宮廷文化の社会ですから、フランス官僚なんて大変に威張っています。イギリスにそういった権威主義がないのは、本質的に海賊魂があるからだと思います。

◆(佐高)官僚がはびこる社会は、言葉に対して責任がなくなる。立場が変わると、言うこと、やることを平気で変えるのが官僚ですから。

◆(浜)イギリス人は意外としつこいです。嫌なことをよく覚えていて、また嫌がられそうなタイミングでそのことを言挙げすることに、こよなき喜びを感じるところがある。本当は、ジャーナリズムはそうではないといけない。物覚えが良くて、意地が悪い


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
201736日(月)

 

 

<その18> 
◆(佐高)マルクスは大英博物館図書館に通いつめて「資本論」を書くわけですからね。それと、フェビアン協会(19世紀後半に創設された社会人主義知識人による団体)をはじめ、イギリスの労働運動や社会運動の蓄積の上に、マルクスという存在があったわけですよね。しかし今日、マルクスといえば革命家というイメージばかりで語られてしまう。

◆(浜)マルクスの革命家的な肖像、あるいは破壊活動分子というイメージをつくり上げたのはフリードリヒ・エンゲルスとも言えるでしょうが、実はマルクスは革命家ではない。本当の革命家はやはりレーニンでしょう。本質的にマルクスは研究家だと思います。「資本論」は資本の運用メカニズム解明するために書いたわけで、革命運動のプロパガンダのために書いたのではないし、革命マニュアルでもない。いみじくもマルクスが自分はマルクス主義者ではないと言ったのは、そういう思いもあったのでしょう。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
201733日(金)

 

 

<その17> 
◆(佐高)しかも彼らが次にいう事は「対案を出せ」です。批判する側に対案を要求して、批判に耳を貸さないという態度をとる。

◆(浜)「対案を出せ」は議会制民主主義上のルール違反です。与党と野党が対等な位置づけで対案合戦をするのが議会ではない。提案をしなければいけないのは与党であって、野党はそれを精査・審査・評価する側です。明らかに野党は批判的審査員なんです。そんな基礎的なことがどうしてわからないのか。

◆(佐高)イギリスの知的風土についてうかがいたいのですが、ある意味で、マルクスとその著作もイギリスが生んだという面がありますよね。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
201732日(木)

 

 

<その16> 
◆(浜)それがトリクルダウンだという言い方自体がおかしいんです。この言葉は、「貧乏人はおこぼれが垂れてくるのを待っていろ」という発想自体を、差別的でとんでもないと批判するために生まれた。それを知っている人ならば、「トリクルダウンを狙おう」とか「トリクルダウンがあるから、大企業から手当てしましょう」などという言い方はしないはずです。

◆(浜)「原発が嫌だという感情論でなく、中立的な立場で科学的に考えないといけない。経済合理性を追求すれば、日本は原発再稼働なしにやっていけない」などという言い方がよくなされます。 しかし今一度念押ししておかなければなりませんが、経済合理性ということの本源的な意味は、基本的人権を侵害しないということです。これをアダム・スミスが言っている。マルクスの信条も同じだと考えていいでしょう。基本的人権のいちばんの基礎は生存権です。原発がいかに生存権を脅かすかということは、スリーマイル島で、チェルノブイリで、3.11で、繰り返し証明されていることであるはずです。そこに、経済合理性があるという言い方自体、経済合理性という言葉の誤用ですし、言葉の本来の意味をまったく理解できていない。そもそも経済というものが理解できていないということです。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
201731日(水)

 

 

<その15> 
◆(浜)FRB元議員であるアラン・グリースパンはマエストロの異名をもち、金融の神様みたいに崇め奉られている人ですけれども、彼はバブルは防げないと言った。バブルは防ごうとしてもしかたがない、ただ後始末をすればいいと言ったんです。しかしそれは根本的な間違いです。。

◆(佐高)白無垢が一番汚れやすい。「自分は中立です」とか「私は左派ではない」とか言う人が多いけれども、そんなものは人が評価することであって、自分で自己判定する必要はない。

◆(佐高)「資本論」は生産力の発展を歴史的必然として描き出していますよね。それを単に生産力が増せばいいのだと解釈をすると、日本的経営にぴったりとはまる。しかしそこでは、労働力の価値の低下や労働者の疎外という問題をまったく外してしまっている。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017228日(火)

 

 

<その14> 
◆(浜)元を正せば、アダム・スミスは人間のあり方を厳格に追求した人です。「道徳感情論」なる本を書いているくらいですから、人間の営みとしての経済活動が本来どうあるべきかという観点から思索を重ねて、重商主義はおかしい、人間の価値はどれくらいの金銀財宝と交換できるかで決められるものではないと明言しました。

◆(浜)カール・マルクスにも哲学的感性がきわめて深くありました。むしろ、そういう観点で経済を考えていたからこそ、資本主義の再生産メカニズムに内在している人権侵害や搾取の力学を見抜くことができたわけです。それが経済学というものです。哲学を確立せず、掘り下げもせず、数字や金儲けばかり語るのは経済学ではない。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017227日(月)

 

 

<その13> 
◆(佐高)経営学と経営者も同じようにどんどんつまらなくなったと思いました。今の経営者って面白く無いんです。面白かったのは、例外的に本田宗一郎くらいでしょうか。なぜだろうと考えてみると、リクルートの江副浩正にしろ、堀江貴文にしろ、一つ象徴的に言うと、彼らは小説をほとんど読まないそうです。金を稼ぐことは良いことだという単純な行動原理で動いていて、人間というものの、単純に割り切れない豊かさや膨らみや暗部に向き合う知力がない。

◆(浜)あまり好きな言葉ではありませんが、かつての日本人で「財界人」と言われた人たちは、それなりに哲学性や文学性をもって物事を見ていましたね。保守政治家にも哲学があった。そうした資質がどんどん消え失せて、テクニシャンに徹するほかないという態度が世の中に蔓延している。多くの経済学者たちは経済技術屋になっていて、経済技術の最新用語で話せなければいけないと思っている。こういう情況も、偽物たちに騙されやすくなっている温床だと思います。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017224日(金)

 

 

<その12> 
◆(佐高)エスペラント語は統一語というよりも、補助語の側面がありますよね。人々が今話している言語に取って代わるというわけじゃない。

◆(浜)実験でないものは科学ではない。唯一の回答が出ないものは科学ではない。再現性がないと科学ではない。そう言った言い方に対して経済学が、社会科学とはそういうものではない、いわんや経済学は人間の営みであるから自然科学とは異なるんだと力強く逆襲できず、自然科学と同様の客観性や再現性や実験性があると仕立てようとして、どんどん数字にのめり込んでいったいったという経緯が1つの問題としてあったと思います。さらに大型コンピューターが出現して、それを使うことのできない学問は現代の学問ではないという発想がビックデータコンプレックスを生んでしまった。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017223日(木)

 

 

<その11> 
◆(浜)言語を統一しないというのは、むしろ議論の余地なく、EU各国すべての言葉がきちんとそこに存在していなければならないという考えがあってのことだと思います。会議に用意された通訳の数たるや大変なものですけれど、独自言語の保持は民主主義の根幹でもあるという認識は根深いと思います。

◆(浜)言語の統一はファシズム体制が最初にやろうとすることです。独自の言語を人々から奪うということ、それと同じくらい、通貨統一にも合理性がないと言えるかもしれません。

◆(浜)欧州諸国が一つの共同体の一員になってしまえば、ヨーロッパ人同士が殺し合うという惨劇を繰り返さずに済むであろう。この理念は素晴らしいものであり、そこに異論を差し挟む余地はないんですが、しかしそのために経済統合という道筋を選んだことが、かえって正反対の仇を招いてしまった気がします


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017222日(水)

 

 

<その10> 
◆(浜)アンチ・グローバルを掲げて運動している人たちが世界中にいます。IMFの総会やWTO(世界貿易機関)の会合が開かれると、建物を包囲するなど、反対運動が必ず展開されますよね。あの人たちは反グローバルを表明しているわけですが、よくよく見ると、彼らのアンチは国家の強権、国家主義に対するアンチなんです。

◆(浜)経済活動というのは取引です。そして取引とは人と人とが出会うことにほかならない。大規模化し、効率化し、一括化し、標準化することが広がれば広がるほど、実は経営活動は本来の姿から遠ざかる。人と人との出会いがなくなればなくなるほど、経済は衰退に向かう。

◆(佐高)事業パートナーである移動販売車の人たちの中で、平均より売り上げを伸ばすのは、高齢者たちへの観察が深い人だそうです。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017221日(火)

 

 

<その9> 
◆(佐高)欧州では、食料自給率が低い国は戦争をしたがるというレッテルが貼られるというんですね。欧州の食料自給率が90%以上あるのに比べて、日本の食料自給率は40%を割っています。TPPが実施されればさらに低くなったでしょう。安倍法制と戦争がセットであることは自明ですが、食料自給率と戦争の関わりという観点もあるなと思ったんです。

◆(浜)ジャグディーシュ・バグワティー(インド系アメリカ人の学者)の言葉としてよく引き合いに出されるのが、自由貿易こそ戦争に対する最大の防波堤であるということです。国々が交易を通じて互いに依存し合うことが、喧嘩の歯止めになる。そこからさらに踏み込んで考えると、ひょっとすると世界中の国々の食料自給率がゼロになることが、全世界的に相互依存的に生きるための理想的な姿なのではないかとも考えるのです。

 


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017220日(月)

 

 

<その8> 
◆(佐高)軍人から税金を徴収しようとしたら、「帝国軍人から税金を取るとは何事か」と税務署が脅された。それで恐ろしくなった税務署が、いやおうなく徴収できる天引き制に切り替えたそうですよ。

◆(浜)国はお国のために役立つ人間しか求めず、国民もそういう観点から自己評価をしてしまう。そういうところに公助というものをどう位置づけるかですね。安倍政権が明確に言ったのは、公助は頑張る人のためにある、自助能力のある人を支えるために公助があるのだという考え方です。これに対して私たちは、あらゆる弱者の根源的な生存を主張しなければならないと思っています。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017217日(金)

 

 

<その7> 
◆(佐高)またそのときを振り返って、右翼のほうが温かかったとも雨宮処凛は言っています。左翼は「マルクスを読んでいるのか」などと詰め寄られかねない、上から裁断するような雰囲気があったと。それを聞いて、社会の発見と同時に、反体制運動が人間的な温かさを取り戻すことが大事ではないかと私は思いました。

◆(浜)公助とは、人間が持っている当然の権利が実現するためにあるシステムです。どんな弱者であろうと、いかに与太郎であろうと、いかに失敗した者であろうと、いかなる人もまともに生きる権利がある。それを保障するために公助があるという認識が定着しないといけません。

◆(浜)最近よく思うのが、人はなぜ税金を払うのか?ということです。税金は自分のために払うものではない。いかなる人でもまともに生きられる社会状況を保障する。そのために払うのが税金だと言っていいでしょう。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017216日(木)

 

 

<その6> 
◆(浜)アメリカは知的な柔軟性と多様性が、意外と定着していないんですね。人種のるつぼと言いながら、意外と多様性を受容するのが下手な面がある。自分たちが描いている自己イメージとは違う実体を持っている国だという気がします。

◆(浜)ただ、私はオバマ登場の当初から懸念していたことが1つあります。この人は「不本意男」になるのではないかということです。「不本意ながら」「これは私の真意ではないのですが」と言いながら、だんだん一国主義的な、あるいは昔ながらのアメリカニズムに引っ張られることにならないかと思っていた。

◆(浜)極貧層と超リッチ層がトランプを支持している。アメリカンドリームの両極を占めている層がトランプに吸い寄せられる。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017215日(水)

 

 

<その5> 
◆(佐高)学生時代に読んだのですが、レオ・ヒューバーマン(アメリカのジャーナリストであり、社会主義の運動家)が面白いことを書いていた。アメリカ人が共産主義について知っていることは、それが嫌いだということだけだ、と。そういう反共の土壌がアメリカにはずっとある。しかし、その壁を越えるほどに1:99化が進んだ。サンダースの目指す社会民主主義は、かぎりなく共産主義に近いですよね。

◆(浜)アメリカでは、共産主義とは何かを考えること自体が罪だという風土がずっとあって、そこに大いなる誤解も生まれている。彼らが共産主義と呼んで脅えているのは、実は全体主義ですよね。民主主義対全体主義という構図が、資本主義対共産主義と頭の中ですり替えられたまま、今日まで来ています。国民皆保険や社会保険制度に危機感を持つのは、根深い反共のDNAが今なお生きているからでもあるでしょう。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017214日(火)

 

 

<その4> 
◆(浜)労働法制は生産性を上げるためではなく、労働者の権利を守るためにあるんですから、労働法制を変えるのは何のためかという原理原則が議論のなかでもっとハイライトされてしかるべきです。

◆(浜)労働組合は、人権意識がないし、自分たちが労働運動の主体だと思っていないように見える。いまや生活協同組合のほうが人権運動団体として重要なことをやっている印象がある。

◆(浜)ただヒラリーがここまで来られた唯一の理由は、彼女が女性だったからかもしれない。男だという他に何の取り柄もないのにいいポジションについている人たちがいるのと同じように、ある意味では、女という以外に取り柄がない。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017213日(月)

 

 

<その3> 
◆(浜)危険な言葉ですね。「マーケット」という言い方をすることで、金に人格を与えてしまう。「マーケットが求めている」「マーケットの言うことを聞かなければ」「マーケットとの対話」という言い方がなされますよね。安倍政権は、自分たちは市場との対話の達人であるから、自分たちの思惑通りに株も上がれば円も下がるのだと思い込み、特にアベノミクスの初期はこの言い方で人気を煽ろうとしていた。

◆(浜)アベノミクスのなかでは、株価は高ければ高いほどいいということになっているらしい。とてもじゃないけど、これを経済効果とは言えない。そこにあるのは、強いものをより強くし、大きい者をより大きくし、勝ち組が徹底的に勝ち続けることによって世界の中心で輝くのだという発想でしょう。


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
2017210日(金)

 

 

<その2> 
◆(浜)出世志向や権力志向が非常に強い人たちが安倍的人間象の周りに集まる。世耕弘成なども含めて彼らを新自由主義集団と総称していいと思いますが、新自由主義を突き詰めていくと実は全体主義になるのだと思います。

◆(佐高)自分で責任を取らない奴ほど、自己責任を他人に求める。自分は自らの手を汚さなくていい地位にいて、責任を人に押し付ける。今、自己責任を声高に言っている奴こそ、ひどい状況をもたらした戦犯でしょう。 

◆(浜)ハト派は人に目が向いて、タカ派は国に目が行っていたということでしょうね。日本人の生存権がしっかりと保証される状態を早く実現しなければいけないという発想と、日本国を早く強くしなければいけないという発想の根本的な違いが、あの時代にはそういう風に出たわけです。 


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 佐高信,浜矩子 「どアホノミクスの正体」 (講談社)
201729日(木)

 

 

アベノミクス批判本の中で秀逸なもののひとつである。以下、本書よりインパクトのあるとなるくだりを要約して御紹介していきたい。 

<その1> 
◆(佐高)緊張関係がなくなり、日銀は完全に政権と一体化してしまった。浜さんは城山作品に即して、中央銀行を「民主主義の最後の防波堤」と規定されましたが、防波堤が決壊して濁流に呑み込まれたという意味で、今の日本社会は完全にファシズムの時代に入ったと言ってもいいのではありませんか。

◆(佐高)安倍が竹中の子飼いに過ぎないということを亀井はひどく心配していた。今はタカ派の富国強硬路線と竹中的な新自由主義がミックスしてしまった最悪の状態です。


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 デービッド・アトキンソン 「新・観光立国論」 (東洋経済新報社)
20151020日(火)

 

 

<その7> 
◆オリンピックを観戦するために、日本にやってきた外国人観光客たちが、日本のあまりに整備されていない文化財、都市の景観、多言語対応交通機関の不親切さを目の当たりにしたら、どうでしょう。つまり、オリンピックというのは、世界中から外国人観光客が訪れるという特需が期待される一方で、厳しい目でチェックされる「審判の日」でもあるのです。


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 デービッド・アトキンソン 「新・観光立国論」 (東洋経済新報社)
20151019日(月)

 

 

<その6> 
◆来日当初、私が驚いたのは、日本における住宅の「内装」です。だいたいどこの家も壁が白、グレー、ベージュ。たまに縞模様を見かけることもありますが、それもたいして、雰囲気の違いがありません。

◆本当にその国の伝統文化や歴史建造物や遺跡などに理解を示す「目利き層」であれば、そこで多くの時間を費やし、多くのお金を消費するはずです。実際に海外のさまざまな国のデータでは、文化財などに興味のある観光客は、1日10万円を消費するというデータが出ています。
では、京都を訪れる外国人観光客1人当たりの消費額はいくらなのかというと、1万3000円に満たないのです。これは、京都にやってくる外国人観光客の内訳を見れば、よくわかります。トップは台湾、ついでアメリカ、中国となっています。オーストラリア、ドイツ、カナダ、イギリス、フランス、イタリアという「文化的観光にお金を落とす外国人」が圧倒的に少ないのです。


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 デービッド・アトキンソン 「新・観光立国論」 (東洋経済新報社)
20151016日(金)

 

 

<その5> 
◆「客」には選択の自由があるので、自国のルールばかりを押し付けるような国にわざわざやってきません。「観光立国」を目指すというなら、それを調整する必要があるのではないでしょうか、という問題を提起しているのです。

◆海外の観光サービス業では、「できません」と答えるよりも、どちらかと言えば、「それをやるのには、追加で、これだけ別料金がかかります」という具合にチャージをかけていくことのほうが多い印象です。

◆外国人観光客の不満を集めているのが、「値段の高さ」です。東京で観光をしてから京都に行こうと思った場合、4人家族で新幹線のグリーン席にでも乗れば、交通費だけで往復10万円を超えます。JR東海は潤いますが、京都市の調査によると、目的地である京都には1万3000円しかお金を落としていないのです。


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 デービッド・アトキンソン 「新・観光立国論」 (東洋経済新報社)
20151015日(木)

 

 

<その4> 
◆日本には、「おもてなし文化」などという実態のないぼんやりとした民間信仰よりも、世界に誇れるような観光資源がたくさんあります。それを正しく発信さえすれば、外国人観光客の増加に結びつくような「高い評価」につながるとすら考えています。

◆すでに決まっている「おもてなし」に関しては、非の打ち所のない素晴らしいものであっても、マニュアルにないリクエストがあると、対応できないのが、日本の法人のサービスだと言われています。もっとストレートに言ってしまうと、一般的に「頭が固い」と思われるのです。


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 デービッド・アトキンソン 「新・観光立国論」 (東洋経済新報社)
20151014日(水)

 

 

<その3> 
◆「観光大国」という高い評価をされている国というのは、総じて、この4つの条件を満たしています。その4条件とは、「気候」「自然」「文化」「食事」です。

◆アメリカのマスメディアの記事のなかで、日本の5つの魅力をこのように述べています。

1.歴史的名所(姫路城、熊本城、日光東照宮)
2.京都の寺社(清水寺、三十三間堂)
3.伝統体験(旅館、お茶、相撲)
4.食事
5.自然(スキー、沖縄、富士山)

ポイントは、治安がよい、電車が正確、マナー意識が高いなどについては、一切触れられていないことです。


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 デービッド・アトキンソン 「新・観光立国論」 (東洋経済新報社)
20151013日(火)

 

 

<その2> 
◆それは「議論の文化」です。イギリスでは、議論での攻撃というのは、あくまでも、その意見に対する攻撃であって、個人に対する攻撃として受け止めてはならないという文化が、社会全体に浸透しています。

◆つまり、身もふたもない言い方をしてしまうと、ある程度の基礎ができると、GDPはその国の技術力だとか、ポテンシャルより、人口の増減によって、大きく左右されるものなのです。

◆実は大正時代に、日本はすでに先進国のなかでも、高いレベルの経済成長を達成していました。1939年とは、GDPで世界第5位のフランスと、あまり差のない第6位でした。つまり、日本は、戦前からすでに経済大国だったのです。


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 デービッド・アトキンソン 「新・観光立国論」 (東洋経済新報社)
2015109日(金)

 

 

著者の主張は、簡単に言えば、日本の人口減少への対応として、移民ではなく、短期移民、つまり、外国人観光客をふやすことの提言である。

以下、本書より、インパクトのあるくだりを要約して御紹介していこう。

<その1> 
◆観光を産業として位置付けるのですから、観光客がお金をたくさん落とす機会をもっと用意すること、および観光客数だけに注目するのではなく、お金をたくさん使ってくれる人々を多く呼び込む必要があることに注意しなければなりません。

◆人口が右肩下がりで減っていくこの国において、事実を客観的に分析すると、GDPを大きく成長させていく方法は、そう多くはありません。その有力な1つが、人口減少を補うほど、多くの観光客を受け入れる、つまり、日本が「観光立国」の道を歩んでいくことにほかならないのです。


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 竹信 三恵子 『ピケティ 「21世紀の資本」の読み方』 (金曜日)
201526日(金)

 

 

<その5> 
◆日本の教育は男女平等だと思われがちですが、高等教育になると、俄然、差がついてしまいます。その理由としては、男女の賃金格差が大きく、教育費をかけて大学を卒業しても、女性ではその費用を回収するだけの仕事がないという思いが親にあるからです。

◆「反貧困ネットワーク」という組織があります。日本社会に広がり始めたさまざまな貧困問題に取り組む人たちが助け合って、貧困をなくそうとする取り組みです。その集まりでよく聞く言葉は、「貧困は直視しないで放置していると増大する」というものです。ピケティの格差論と通じる言葉です。放置すれば成長が解決してくれたり、テクノロジーが解決してくれたりするというものは、成長やテクノロジーが勝手に生きて動いているという見方です。でも成長もテクノロジーも、みな人間が動かしているものです。そうであるならば、私たちが成長やテクノロジーを格差や貧困を縮小する方向で動かさなければ、それらは、そのような機能を果たさないことは明らかです。


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 竹信 三恵子 『ピケティ 「21世紀の資本」の読み方』 (金曜日)
201525日(木)

 

 

<その4> 
◆ピケティの測定によると、20世紀の初めの国の財政規模は、国民所得の1割程度でした。この規模で国家にできることは、国防と治安、司法程度です。いわゆる「警察国家」です。
 それが2度の戦争を経験して国家の役割は大きくなり、医療や教育を国民に提供するのは国家の義務となりました。年金・失業保険などの社会保険も当たり前のものとなり、財政規模は、国民所得の3〜5割程度の国は珍しくなくなったというのです。こうした社会的サービスを提案する国家をピケティは、社会的国家と呼びます。そのような社会的国家の維持が世界的資本税によって容易になるということです。

◆格差の拡大を深刻にとらえる政党は、社民・共産など数えるほどになってしまいました。これでは国民を2分するはずのテーマである「格差や貧困はひがみや気のせい」VS「深刻な社会問題」は、国会の争点になりません。


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 竹信 三恵子 『ピケティ 「21世紀の資本」の読み方』 (金曜日)
201524日(水)

 

 

<その3> 
◆格差の拡大を止める方法について、ピケティは何を提案しているのでしょうか。

 副作用なしで格差を解決する決め手として、ピケティが提唱するのは、まず、所得税への累進課税の引き上げです。グローバル化の中、世界各国は富裕層がより条件が有利な国へ逃げていかないよう競争し、もっとも高い所得層にかかる税率(所得税の最高税率)は、1980年代以降、相次いで大幅に引き下げられてきました。
 ピケティが所得税の累進課税強化を提唱するのは、税の増収が目的ではありません。税によって過剰な取り分が規制されることがないと、高額な報酬を求める動きは高まり、報酬格差が野放図に増えていくからです。

 もうひとつが「世界的資本税」です。住宅、不動産、金融資産などすべての資産から負債を引いた純資産に累進税を課し、しかも国境を越えて全世界で行う、という提案です。


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 竹信 三恵子 『ピケティ 「21世紀の資本」の読み方』 (金曜日)
201523日(火)

 

 

<その2>  
◆格差がすべて悪いとは言えません。資産の増加とともに、働き手の所得もそれなりに増え、底辺層も含めて、生活水準が上がる方向に向かえば、それはそれでいいことです。ただ、それが行きすぎれば、さまざまな問題を生みます。あまり格差が大きいと、高所得層は低所得層に対する想像力が働かなくなります。その結果、低所得層をさらに増やす政策が取られることになりかねません。たとえば、低所得層への教育がおろそかになれば、将来の有用な労働力の確保が難しくなります。すでに米国では、ハーバード大学の学生の親の収入を平均すると、上位2%の年収と同じだという結果も出ています。多数の中低所得層の所得を上げる政策にトップの人々が熱心でなくなれば、消費も盛り上がらず、経済はさらに成長しなくなり、子育ても難しくなってなると、人口は減少し続けるかもしれません。こうした階層の固定化に低所得層が不満を抱き、しかもそれを国内政治で解決してもらえなくなると、怒りは海外へ向かいかねません。排外主義や外国人労働者への敵対感情が高まったり、国際連帯による幅広い問題解決が妨げられたりする可能性も高まると、ピケティは懸念します。


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 竹信 三恵子 『ピケティ 「21世紀の資本」の読み方』 (金曜日)
201522日(月)

 

 

著者の竹信氏は元朝日新聞の記者で労働問題や貧困問題を主に担当してきた方である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>  
◆ピケティのメッセージは、格差を放置せず、平等へ向けた格差縮小の力を創出することこそが人類の知恵の発揮のしどころ、というものです。

◆なぜ第一次大戦から第二次大戦と、その前後の期間、格差は縮小したのでしょうか。簡単に言えば、戦争や大不況という外からのショックがあったからで、こうした外的な力なしでは、格差は拡大し続けるというのが、ピケティの論理なのです。


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 菅井 敏之 「お金が貯まるのはどっち!?」 (アスコム)
20141127日(木)

 

 

<その2> 
◆物件価格の目安は、貸した場合に取れる家賃の200倍です。それは投資利回りで見たときは、(年間の家賃収入÷物件価格)=6%にあたります。 

◆10万円で貸して、価格が2000万円くらいの物件は、残念ながらそれほど多くありません。ただ王子や巣鴨、赤羽といった地域は、都心から近いにもかかわらず、まるで放置されているような場所です。物件は安いのに、家賃はそこそこ取れる穴場でもあります。 

◆書きなぐったような乱暴な字を書く人は、延滞する人が多い。融資は慎重にしなさい。 


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 菅井 敏之 「お金が貯まるのはどっち!?」 (アスコム)
20141126日(水)

 

 

本書は元三井銀行支店長が書いたお金を増やす25の法則である。以下、本書より参考となるくだりを要約して御紹介することとする。 

<その1> 
◆銀行が住宅ローンを融資するときの基本スタンスは、返済比率を手取収入の35%に抑えることです。

◆ギャンブルの還元率を見ていくと、パチンコは約95%(店によって多少異なる)、競馬や競輪は75%、それに比べて、宝くじは45%しかありません。 

◆私は銀行員時代、借金を返済できずに自己破産してしまった人を数多く見てきました。じつは破産してしまう原因は、借り入れの総額ではなく、借り入れの本数にあります。全体の借金は500万円ほどでも借り入れ本数が多いため、毎月のキャッシュ負担が大きくなってしまう。そうして結局、払いきれずに破綻するケースがとても多いのです。 


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 水野和夫  「資本主義の終焉と歴史の危機」 (集英新書)
20141111日(火)

 

 

<その6> 
◆誕生時から過剰利潤を求めた資本主義は、欠陥のある仕組みだったとそろそろ認めるほうがいいのではないでしょうか。これまでダンテやシェイクスピア、あるいはアダム・スミス、マルクス、ケインズといった偉大な思想家たちが、その欠陥を是正しようと命がけでたたかってきたから、資本主義は8世紀にわたって支持され、先進国に限れば、豊かな社会を築いてきたのです。

◆いくら資本を再投資しようとも、利潤をあげるシステムが消滅すれば、資本の増殖はストップします。そのサインが利子率ゼロということです。利子率がゼロに近づいたということは、資本主義の自己増殖が臨界点に達していること、すなわち、資本主義が終焉期に入っていることを意味します。


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 水野和夫  「資本主義の終焉と歴史の危機」 (集英新書)
20141110日(月)

 

 

<その5>
◆マルクスの「共産党宣言」とは真逆に、現在は万国の資本家だけが団結して、国家も労働者も団結できずにいる状態です。労働者が連帯するのは、現実的には難しい以上、国家が団結しなければ、資本主義にブレーキをかけることはできません。 

◆日本の利子率は世界でもっとも低く、史上に例を見ないほど長期にわたって超低金利の時代が続いています。利子率がもっとも低いということは、資本がもっとも過剰にあることと同義です。しかし、その日本で、およそ3割強の世帯が金融資産をまったくもたずにいるという状態が現出しているのです。


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 水野和夫  「資本主義の終焉と歴史の危機」 (集英新書)
2014117日(金)

 

 

<その4>
◆成長に期待をかければかけるほど、すなわち資本が前進しようとすればするほど、雇用を犠牲にするのです。グローバリゼーションがもたらす資源価格の高騰によって、先進国は実物経済から高い利潤をあげることができない。その現実から目をそらして、なお過去の成長イデオロギーにすがりついたまま猛進すれば、日本の中間層はこぞって没落せざるをえません。

◆私から見れば、デフレよりも雇用改善のない景気回復のほうが大問題です。雇用の荒廃は、民主的な資本の分配ができなくなったことを意味しますから、民主主義の崩壊を加速させます。そうなれば、新しいシステムの構築どころの話ではありません。雇用なき経済成長は結果として、日本そのものの地盤沈下を引き起こし、日本の政治的・経済的な焦土と化してしまう危険性すらあるのです。したがって、アベノミクスのごとく過剰な金融緩和と財政出動、さらに規制緩和によって、成長を追い求めることは、危機を加速させるだけであり、バブル崩壊と過剰設備によって、国民の賃金はさらに削減されてしまうことになります。


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 水野和夫  「資本主義の終焉と歴史の危機」 (集英新書)
2014116日(木)

 

 

<その3>
◆近代システムは、先進国に限られた話とはいえ、中間層をつくり上げる仕組みとしては最適なものでした。中間層が民主主義と資本主義を支持することで、近代システムは成り立っていました。

◆日本はバブル崩壊後、いわゆる「失われた20年」に突入しましたが、成長率が高い中国のバブル崩壊が世界経済に与える影響は、日本の比ではないでしょう。日本の「失われた20年」は外部にBRICSの近代化がありました。21世紀の中国には、日本にとってのBRICSは存在しないのです。

◆資本主義の限界とは、資本の実物投資の利潤率が低下し、資本の拡大再生産ができなくなってしまうことです。そのため、土地や証券といった「電子・金融空間」にマネーを注ぎ込み、バブルを引き起こすことで、資本主義が正常運転しているかのような偽装を図るのです。


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 水野和夫  「資本主義の終焉と歴史の危機」 (集英新書)
2014115日(水)

 

 

<その2>
◆近代化とは、電気やガソリンを使った快適な生活だと言うことができます。電気やガソリンを使って、より遠くへ、より早くへ、そしてエアコンのある家、オフィスということになります。電気やガスは、大半が化石燃料からつくられています。

◆今までは2割の先進国が8割の途上国を貧しくさせたままで発展してきたために、先進国に属する国では、国民全員が一定の豊かさを享受することができました。しかし、グローバリゼーションの進んだ現代では、資本はやすやすと国境を越えていきます。ゆえに貧富の2極化が国内に現れるのです。

◆すでに先進国では1970年代半ばを境として、中間層の没落が始まっています。アメリカでは所得上位1%の富裕層が全所得の占める割合が1970年の8.9%から2007年の23.5%にまで高まりました。実に1928年以来の高い水準です。


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 水野和夫  「資本主義の終焉と歴史の危機」 (集英新書)
2014114日(火)

 

 

「金利ゼロ、利潤率ゼロ、資本主義の死」と本の帯に書いている。以下、インパクトのあるくだりを要約して御紹介したい。

<その1>
◆日本の一人あたり実質GDPに中国いつ追いつくかを試算すると、およそ20年後になります。2012年時点での日本と中国の一人あたり実質GDPには4倍の開きがありますが、将来の成長率を日本1%、中国を8%とすると、20年後に日中の一人あたり実質GDPは同水準になるのです。

◆16世紀に近代化が幕を開けて以来、約500年をかけて、2010年時点の先進国12.4億人は豊かになりました。この近代資本主義の特徴は、およそ全人口の2割弱にあたる先進国が独占的に地球上の資源を安く手に入れられることを前提にしています。


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 冨山和彦  「なぜローカル経済から日本は甦るのか」 (PHP新書)
2014107日(火)

 

 

<その4>
◆この議論で必ず抜け落ちているのが、日本の限界集落の多くが、戦後にできたという事実である。日本の各地の人口は、いまだにほとんどの地域で戦前より多い。島根県が2014年に70万人を割り込み、1920年以降で最低水準になった。それは全国でもわずかな地域で、岩手県でさえまだ戦前より多い。

◆限界集落の多くは、戦後の引き揚げと都会の空襲被害で焼け出された人で、増加した人口を吸収するためにつくられた。昭和20年代、限界集落の人口は一気に増大したが、ある時期を迎えると自然現象のフェーズに入る。太平洋側が工業化し、大量の雇用を必要としたため、東北や日本海側からすさまじい勢いで流出した。

◆アベノミックス第3の矢の成長戦略メニューっておおむね正しいんだけれど、何かピンとこないんだよね。これ、要は大手製造業やIT企業などのグローバル成長を意識したメニューなんだけど、日本経済でこうした産業が占める割合って、もはやせいぜい3割程度。雇用にいたっては2割くらいなんだ。


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 冨山和彦  「なぜローカル経済から日本は甦るのか」 (PHP新書)
2014106日(月)

 

 

<その3>
◆アメリカで最も安定的に高収益を稼ぎ出す金融機関を御存知だろうか。ローリスク・ハイリターンで、業種の振れ幅小さく、ROEが持続的に高い銀行である。答えはウェルズ・ファーゴだ。ウェルズ・ファーゴという銀行は、グローバル金融にはまったく背を向けたスーパー地銀である。それでもアメリカの4大銀行の1つに数えられ、2014年第1四半期の利益は4大銀行で最大の水準だ。

◆信用保証制度による融資規模は、他国に比べて日本が突出している。他国で最も多いアメリカでさえ、1兆6,000億円程度に収まっているのに、日本は12兆円に迫ろうかという額の融資を保証している。保証割合も突出している。とにかく懸命に中小企業を潰さないようにがんばってきた跡がうかがえる。


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 冨山和彦  「なぜローカル経済から日本は甦るのか」 (PHP新書)
2014103日(金)

 

 

<その2>
◆日本の研究開発投資は、圧倒的に民間企業に依存していて、公的機関と民間企業の比率はおおむね1対2だと言われている。これに対して、欧米では正反対の2対1になる。日本は最低限、この比率をひっくり返すべきだろう。

◆潜在的能力が高い学生にとっては、大手電機メーカーや銀行、財務省はあこがれの職場ではなくなっている。ただ、その代わりに行く場所のイメージもなくなってしまったので、取りあえずコンサルティングファームや投資ファンドへ行ってしまう。結果として、コンサルティングファームや投資ファンドを経験してからベンチャーを立ち上げる若者が増えている。こうした流れは歓迎していい。


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 冨山和彦  「なぜローカル経済から日本は甦るのか」 (PHP新書)
2014102日(木)

 

 

冨山氏の主張はなかなかおもしろいが、私としては部分肯定・部分否定である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介することとする。

<その1>
◆経済学者という人種は、自分の説明しやすいことばかり議論する傾向がある。どうしても明快な答えが導き出せる上場企業の議論に偏っていく。しかし、上場企業の経済活動が日本のGDPに占める割合は30パーセント程度にすぎない。雇用はさらに少なく、企業数に至っては数パーセントしかない。上場企業の議論しかしないのは、本質的な問題から逃げているだけのように見える。

◆優秀なエリートが日本国籍を求めてきた場合、積極的に認めたほうがいい。移民という言葉を使って、日本ではわけのわからない感情的な議論になってしまうので、、むしろ、グリーンカードのように永住して働く権利という形式から認めていったほうがいい。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014714日(月)

 

 

<その15>
◆投資にまつわる情報では、「必ず勝つ」という謳い文句をよく耳にしたり、目にしたりするでしょう。しかしながら、このアプローチは決定的に間違っています。相場に「絶対」や「必ず」はないのです。少なくとも、そういった発想はプロと呼ばれる人たちはしません。なぜなら人間は万能ではなく、間違える可能性があるという前提に立っているからです。

◆「15,000円で買う」注文と「14,000円で売る」注文を同時に出します。これだけでは確実に言えることなのですが、16年間取引をする中で1度も足りとも、この「取引を止める」注文を出さずに相場に算入したことは私はありません。出口が決められないなら参加しない。これはプロの現場では当たり前のことなのです。

◆経済のグローバル化が進む中で、大企業が利益を上げるための施策を最も打ち出してきた国のひとつは日本であったということは言えるでしょう。それが行き過ぎてしまったため、「失われた20年」の間に格差が広がってしまった。これからは国の経済活動の根幹を担う大多数の一般国民、中間層にとって有効な施策が実施されていかなければなりません。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014714日(月)

 

 

<その15>
◆投資にまつわる情報では、「必ず勝つ」という謳い文句をよく耳にしたり、目にしたりするでしょう。しかしながら、このアプローチは決定的に間違っています。相場に「絶対」や「必ず」はないのです。少なくとも、そういった発想はプロと呼ばれる人たちはしません。なぜなら人間は万能ではなく、間違える可能性があるという前提に立っているからです。

◆「15,000円で買う」注文と「14,000円で売る」注文を同時に出します。これだけでは確実に言えることなのですが、16年間取引をする中で1度も足りとも、この「取引を止める」注文を出さずに相場に算入したことは私はありません。出口が決められないなら参加しない。これはプロの現場では当たり前のことなのです。

◆経済のグローバル化が進む中で、大企業が利益を上げるための施策を最も打ち出してきた国のひとつは日本であったということは言えるでしょう。それが行き過ぎてしまったため、「失われた20年」の間に格差が広がってしまった。これからは国の経済活動の根幹を担う大多数の一般国民、中間層にとって有効な施策が実施されていかなければなりません。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014711日(金)

 

 

<その14>
◆西洋かぶれと言われそうですが、外国の方と話していて実感するのは、いろんなことが忌憚なく話せることで、政治の話もそうですが「ここまで言ったら相手はどう思うかな」とあまり思わないですみます。 ◆ともかく今の日本の社会システムがおかしいのははっきりしていて、働いても働いても、それこそ過労死するくらい働いても暮らしがよくならないということが現実に存在している。要は富の再分配ができていない。だから子供の貧困率も高くなっています。

◆文学の強みは、自分と違う人物に己を投影して、多様な人生を生きてみることができる。いわゆる思想書では、自分の視点から離れてみるといった体験は得られません。その意味で経済や政治を学んだ人には、大文学と呼ばれる作品を読んでもらいたい。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014710日(木)

 

 

<その13>
◆ヨーロッパの統合にあたってのアイデアや方針はフランスから出ています。その思想の源にあるのは、フランスの普遍主義です。国際連盟や国際連合、不戦条約の発想はフランスから出てきました。

◆先進国の中で格差は拡がっていますが、いちばん拡がっていないのが実は元から階層のあったフランスで比較的ましと言えます。加えて長らく社会党政権が強かったので社民的な力が社会の根底に相当あります。そのため右派がそうそう突っ走れない事情もあるでしょう。

◆でも本来ならばきちんと議論すれば相手を傷つけることはないはずです。というのは、議論は互いの違いを前提にして行うのですから、違うからこそ分かることも多く、むしろ楽しい作業のはずです。
しかし日本の場合、議論は敵対するか同調するかになってしまいがちです。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
201479日(水)

 

 

<その12>
◆戦略家の強者は、問題のすり替えに長けています。経済現象などがその最たるものですが、物事には原因と結果があります。
たとえば格差の問題などがこれにあたりますが、その原因を追究する際に本来突き詰めるべきは所得の再分配のスキームが日本全体でおかしくなっている部分であるにもかかわらず、結果として発生している円高、デフレなどが直接の原因かのように掲げられてしまいます。

◆円高、デフレは結果であって、原因ではないのです。結果に原因を求めても問題は解決しないのはあたり前で、問題の所在を見誤ってきたからこそ日本は「失われた20年」などというものを経験せざるを得なくなってしまったと考えます。本質的なアプローチがされていないことが余りにも多すぎるのです。

◆平等になったこと自体が悪いわけではないのですが互いの地位が近くなると嫉妬が深くなるものです。ひるがえって階級が離れている相手はあまり嫉妬の対象にはならないのですね。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
201478日(火)

 

 

<その11>
◆大蔵省は予算編成権を握っているという点で日本の中枢だったんです。現在の財務省も予算配分への影響力がまったくなくなってしまったわけではありませんが、建前上は首相の諮問機関である経済財政諮問会議に移されました。
その結果、大蔵省が各省庁の個別の事業について厳しく査定するというかつての予算編成は財務省の元では徐々に行われなくなりました。各省庁に対しては、基本的に彼らの希望どおり予算を配分し、実際にどのような使い道に回すかは、各省庁がご自分でお決めくださいという、弛緩したものに変わってしまったんです。

◆たとえば原発だって、本当にしなければならないのは地震が起きたときにどれくらい危険なのか、その上で原発をどうするのか。そういう議論です。
またTPPであれば、これに参加することによって、日本の医療がどうなるのかなど、国民生活に直結する分野について意見が戦わされなければ、ならないはずなのに、そうでない部分にばかり焦点が当たる。

◆米公文書館の本拠地はワシントンD.C.にありますが、今や全米30か所の大統領図書館にも併せて保管されています・というのも、年間10億ページを超える文書が公開されているため、本拠地だけでは保管しようにも場所がありません。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
201477日(月)

 

 

<その10>
◆2012年にオスプレイが普天間や岩国に配備されたときに、当時の野田首相は(オスプレイの)配備は米国政府の方針なので、(日本政府として)どうしろこうしろという話ではない」と言ってしまいました。拒否する権限が日本政府にあるにもかかわらず拒否できないと言う。ですから1960年に想定していたよりも、米軍への従属性と言うのは強まっているんです。

◆ドイツは敗戦により国家そのものがいったんはなくなってしまいました。
国家が消滅したところから、いかに新しい国をつくっていくかについて、誰もが真剣に考えた。そこで冷戦が始まると、米国が東ドイツへの牽制のために利用したい思惑もあって西ドイツという国家を認めてあげることになった。日本の歩みはドイツとは真逆で、日本国家は残してもらえたけれど、その代償として完全な従属を受け入れたんです。

◆ドイツでは戦後すぐに、すべての新聞社が解体され、今あるドイツの新聞社はすべて戦後に新しく設立されたらしいのです。戦意高揚のために協力した新聞社が連続性を断たれることなく戦後も続いている。そういう異常さが日本にある。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
201474日(金)

 

 

<その9>
◆日本では「他国に対して秘密が漏れない体制をつくろう」などと言って特定秘密保護法のような法律をつくってしまいましたが、これは核時代の安全保障としては最も下手なやり方です。
というのは、核の時代において、相手に攻撃させないことの担保は自分たちの戦略を説明し、自分の行動基準を明確にすることによってはじめてできるものだからです。

◆米国は1971年の8月15日に金本位制を停止しましたが、このニクソン・ショックに至った理由は米国の赤字、特に貿易収支が1960年代の10年間で目も当てられないほど膨れ上がってしまったからでした。
金本位制のもとでは、貿易赤字は国内からの金の流出に直結しますから、米国が保有する公的金は60年時点で2万トンだったのがその後10年で1万トンまで減ってしまった。米国はそれに焦り、金本位制を停止したんです。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
201473日(木)

 

 

<その8>
◆ドイツの場合、基地と経済環境、それぞれの重要性を秤にかけて、経済のほうが重要だと判断すれば、「基地はいらない」と言えるんです。そして、現実に返還を進めてきました。

◆ところが日本ではまったく違います。本来返還を要求しても構わない普天間のような基地であっても、米国との関係が悪くなることを必要以上に恐がり、決して返還を求めない。

◆なぜ、米国は安倍首相が靖国神社に参拝したときにあそこまで強く非難したかと言えば、それは米国が靖国の問題を、単に日米間の問題ではなく、中国の反応を考慮しつつ対処しなければいけない問題と捉え始めたからです。

◆核大国同士の安全保障において最も重要なことは、相手が攻撃しないことをどう担保するかということです。また何よりやってはいけないことがどちらかが不確実性のある行動を取ることです。だから核保有国はどんな小さな不確実性も潰すために、ものすごく密接な対話をやっているんです。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
201472日(水)

 

 

<その7>
◆資本主義の弊害を調整するのが税金である。
――しかし翻って現在の消費税や法人税の在り方は、通商交渉を熾烈にし、世界中の一般国民を疲弊させるだけです。応能負担の原理に沿って負担できる人が払うことで国民生活を支え、社会の均衡と安定を図るという本来、税に備わった機能はほとんど発揮されない状況になっています。

◆ニクソン政権下で国家安全保障問題担当大統領補佐官のキッシンジャー氏は、どんな問題に対応する場合でも、そこには@短期的な経済的展望、A長期的な経済的な展望、そしてB政治的な見方が必要であると指摘していたのが印象的でした。そしてほとんどの経済人は@の見方しかしない。つまり目の前にある経済問題しか見ていないと指弾しています。

◆米国による対日政策の変遷を見ると、戦後しばらくは日本に再軍備をさせないことだけを企図していました。しかしそれもソ連との冷戦が始まったことで、できるだけ日本を有効に利用したいとの方針に転換しました。国内に作った基地を自由に使えるようにしたのです。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
201471日(火)

 

 

<その6>
◆為替の引き下げ競争と同様、法人税引き下げ競争は、他の国から自分のところに企業やお金が流れるようにする「近隣窮乏化政策」にほかなりません。

◆今まで経済とか金融に関する取り組みしかしていなかったG20が、やっと税金の問題、タックスヘイブンの規制問題に取り組み始めた。財政赤字に悩み続けてきた各国がようやく、少しだけ目を覚まし自分たちが立ち直る道を模索し始めたんです。

◆消費税導入の20余年は、日米関係が冷え込んだ20余年でもあります。日本バッシング(批判)が日本パッシング(無視)となり、最終的には日本ナッシング(無価値)とまで言われる状況になりました。米国の対日要求は年次改革要望書に代表されるように非常に過酷となり、それが「失われた20年」と偶然重なっただけと片付けるのは、あまりにも戦略国家米国を甘く見過ぎているのではないでしょうか。何らかの対抗手段として強硬な態度を取られてきたと考えるほうがむしろつじつまが合います。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014630日(月)

 

 

<その5>
◆たとえ外国に拠点をもっていて、全額が外国で挙げた利益だという計算ができたとしても、日本の企業である以上は、10%だけは、日本国内で稼いだ所得として法人税を払うとい制度に改めたんです。

◆法律(税法)をつくるときは、全部経団連の了承をもらわないといけませんから、大蔵省は案がでると、全部経団連にもっていって、経団連の審査を受ける。
政治献金を介した政官癒着の構図です。だから税制というのは、基本的には経済界、経団連の意向によってできているわけだね。

◆国税庁の会社標本調査における黒字法人の申告所得額と、財務省の法人企業統計における黒字法人の利益額とを比べることです。前者をA、後者をBとして比べると、企業会計と税務会計の差異によって、AはBの約70%相当になっています。

◆消費税にも逆進性があるけど、法人税はもっとひどい。日本の法人税の現状は、巨大企業が極小の税負担であるのに対して、中小企業が極大というまったくの逆進だということです。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014627日(金)

 

 

<その4>
◆国民が本当のことを知らないのは、政府が完全にマスコミを支配しているからです。
そのせいで国民は、消費税増税以外の手段ではもう国が成り立たないと思い込んでしまっているわけだ。見事に国民を洗脳したと言えますね。

◆僕は、税金とは負担能力に応じて払うものだという信念をもった人間である。

◆会社法は年次改革要望書、つまりアメリカの要求によってできたもの。だから日本の経営者は、会社法の施行後、経営のあり方をアメリカナイズした。短期利益、株主利益中心主義です。

◆日本の法人税制で高いのは税率であって、税金そのものは高くないという複雑怪奇なメカニズムがあります。

◆税金を逃れる方法としては、「脱税」と「節税」それに「避税」があるわけだけど、脱税は不正で、節税は国民の権利、両者のあいだには、避税というグレーゾーンがあって、大半の企業はそれをやっているわけです。

◆避税が可能となるのは、よくある手段としては、「外国税額控除」を拡大させたり、「移転価格操作」などのスキームを使うわけです。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014626日(木)

 

 

<その3>
◆日本のメディアに消費税の還付金の話は、ほとんど出ないのはなぜでしょうか。
この話題を取り上げようとする大手新聞社は基本的には皆無です。取材してくれるのは地方紙か、ブロック紙に限られてますね。あとラジオは時々、取材してくれますが、テレビはまったくダメですね。テレビのドル箱スポンサーと言えば、やはりトヨタかホンダか日産。そういうところの名前を挙げながら私が還付金の話をすると、それだけでオンエアできなくなってしまいます。

◆非常に興味深いのは、TPPは関税の引き下げ、消費税は関税の引き上げという相反する効果をもたらすにもかかわらず日本国内でTPPに賛成している人はもれなく消費税にも賛成していることです。

◆ヨーロッパでは、今すべての国が付加価値税を導入しています。というのも、EUの運営費は加盟国の付加価値税の税収の一定割合で賄うことになっているからです。

◆ベンチャー投資額の統計を見ると、消費税のないアメリカの投資額がダントツで、2位は日本、3位はカナダなんですよね。税率が低ければ低いほどベンチャー投資額は大きく、20%ちかいところは、軒並みベンチャー企業は隆盛しにくいという結果が如実に出ています。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014625日(水)

 

 

<その2>
◆消費税は財源の確保のためと言われますが、消費税を導入してから20数年、政府の歳入は減る一方です。それに対して歳出つまり社会保障費などは増加の一途であることはみなさんがご存知の通りです。この状況から言えることは、少なくとも消費税だけで財源を確保しようと思っても限界があることはハッキリしています。

◆消費税が5%の場合、徴税額は約13兆円とされています。ところが一部の企業に還付金が渡されているために、実際の徴税額は10兆円にまで落ちてしまっています。

◆消費税はそもそも歳入を捻出するための税制ではなく、輸出企業優位の税制として編み出されたものであるというものは税制の専門家であれば周知の事実なのですが、そうした話は日本国民には伝えられていないのです。

◆消費税の納税義務者は事業者であるとされている一方、負担者が誰かということは規定すらされていません。

◆消費税は今、世界で137か国が採用していますが先進国で唯一採用していないのはアメリカです。


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 岩本沙弓「あなたの知らない日本経済のカラクリ」(自由国民社)
2014624日(火)

 

 

著者と4名の知識人との対談集である。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆そうした経済的な盛り上がり、そしてそれに続く崩壊の中で最も打撃を受けるのはどうしても一般国民であり、中間層と呼ばれる人たちです。富裕層は経済破綻の時期には富が集中するという現象が起きやすいのです。と言うのも株式市場、為替市場など「市場」と名のつくところはすべてゼロサムゲームの世界です。
誰かの損失は誰かの得なのです。

◆結局のところ、経済の好調不況の波が激しいほど、振幅が大きければ大きいほど、そして波が発生する頻度が大きければ大きいほど、一般国民は疲弊し、その度に富は一部の富裕層へ流れていくという構図です。そろそろこうした状況に国民は気が付くべきではないでしょうか。

◆そこで問題となるのは、変動金利で発行ずみの国債と固定金利で発行ずみの国債は、それぞれどれくらいあるのか、ということです。
2012年3月末の時点では普通国債の残高は669兆円ありました。そのうち変動金利のものは522兆円程ですから、市場金利が変動しても影響を受けるのは全体の1割以下です。1割以下の債券の話をもち出して、さも全体の債券の利払いが影響されるかのように語るのはおかしな話です。


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 山田順「税務署が隠したい増税の正体」(文春新書)
201464日(水)

 

 

<その7>
◆現在、日本の株式市場のメインプレイヤーは、外国人投資家である。株価に大きな影響を与える売買では、外国人投資家が圧倒している。いまから10年前の2003年、外国人の売買比率は47.5%だったが、2006年には58.1%となり、2013年8月時点では、63.1%となっている。つまり、現在の日本株は外国人が売り買いし、それに個人投資家がついていくという状況になっているのだ。

◆「マイナンバー法」(行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)が国会で成立したのは、2013年5月24日のことである。このとき、日本中が橋下徹大阪市長の慰安婦発言で騒がしく、その前には、株価が1000円以上暴落したため、ほとんどニュースにはならなかった。

◆じつは、マイナンバー制度と言うのは、私たち国民にとっても非常に便利な制度である。なにより、これまで国や地方共同体がばらばらに管理してきた情報が一本化される。そうなれば、行政手続きのたびに何書類もの書類を提出する必要がなくなる。


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 山田順「税務署が隠したい増税の正体」(文春新書)
201463日(火)

 

 

<その6>
◆総務省の調べによると、1983年から2008年までの25年間で30〜39歳の持ち家率は53%から39%に減っている。この世代では、賃貸物件で暮らしている人でじつに6割にも達している。

◆ちょっと考えただけでも、NISAは、非課税を売りにしているだけで、本当は使い勝手が悪い。これでは投資初心者が手を出してもうまく使えないだろう。とはいえ、金融機関としてはこれで稼がなければならないので、どんなお客にも開設を勧めている。

◆世界的に見て、日本ほどファンドの手数料が高い国はない。最近は安くなったとはいえ、販売手数料が約2%、信託報酬は約1.5%〜2%で、これはアメリカの販売手数料の平均が約1.4%、信託報酬の平均が約0.6%であるのに比べると異常に高い。

◆株を買っている個人の延べ人数が約4600万人ということは、重複口座数を考えると、このうちの約3分の1、約1500万人が株投資をしていると考えられる。


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 山田順「税務署が隠したい増税の正体」(文春新書)
201462日(月)

 

 

<その5>
◆いまから30年ほど先といえば、2040年前後。30年の住宅ローンを組めば、やっとのことで完済できるころだ。しかしこのとき、物件の価値はよくて半分になっているという。野村総研の試算によると、2040年には全国の空き家率は40%を超えるという。

◆2020年東京オリンピックは、世界一高齢化(高齢化率30%に迫ると推定)が進んだ「老人の街」で開かれることになる。これでは首都圏の人口増エリアでさえも、マンション住宅を購入する意味はほとんどない。

◆アベノミクスが始まって以来、日本の金融機関のリスクは増している。これまで、日本の金融機関は国債や地方債の利ざやと、個人向け住宅ローンの貸付で、ほとんどの収益を上げてきた。アベノミクスが期待する企業向け貸し出しによる収益などは、微々たるもので、住宅ローンの貸し出しによる収益がかなり大きなウェイトを占めている。


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 山田順「税務署が隠したい増税の正体」(文春新書)
2014530日(金)

 

 

<その4>
◆あなたの勤務先の会社と税務署に、あなたの個人情報のほぼすべてを知る権利があるのだろうか?
家族構成から妻のパート先、子供の進学先あるいは離婚経験の有無など、ほぼすべての個人情報は把握されているのだ。残念ながら会社はあなたの個人情報を税務署に提供している。

◆国税庁の新人職員は「脱税は殺人と同じくらい重い罪」と教え込まれているという。税金によって国家が成り立っている以上、脱税は「国家の根幹」を揺るがすからである。

◆私たちはメディアで「日本人の個人の金融資産総額は約1500兆円」といった表現をしばしば耳にする。個人金融資産といっても、そこには個人事業主が持つ事業性資金が含まれているので、それを差し引くと、いわゆる本当の意味での個人金融資産は約460兆円とされている。


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 山田順「税務署が隠したい増税の正体」(文春新書)
2014529日(木)

 

 

<その3>
◆現在の国税庁の花形は、国際業務課である。国税と言えばだれもが思い浮かべるのが、「マルサ」(査察部)だが、ここ数年は、国際業務課がマルサをしのぐ活躍をしている。ここには、英語はもちろん、主要な外国語ができるエキスパートが集められ海外の税務当局と協力して租税回避や脱税を調べている。

◆憲法には「納税の義務」だけが書かれていて、「納税者の権利」が書かれていないのは「おかしい」という意見もある。納税者の権利というのは、たとえば、税務署(国)から情報提供や税務申告をするための支援を受ける権利、不服があれば、不服申し立てができる権利、正当な税額のみを負担する権利、個人情報が保護される権利などをいう。

◆<日本国憲法第29条:財産権は、これを侵してはならない>
<自民党の第29条改正案:財産権は保障する>
憲法はそもそも、国家が暴走する恐れがあるので、それを国民側から規制するためのもの(これを近代立憲主義という)である。それが改正案ではまったく逆になっている。


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 山田順「税務署が隠したい増税の正体」(文春新書)
2014528日(水)

 

 

<その2>
◆すでに国民年金保険料の納付率は2012年度末現在で59.0%と6割を切っている。なんと4割の人間が払っていないか、払えなくなっている。

◆日本の場合、社会保険料の事業主負担は50%を超えている。これはアメリカの42.8%、イギリスの41.6%、オランダの31%に比べて高い。この高負担に耐えられず、社会保険料を滞納する中小企業は激増している。

◆じつは当時の私は、出版社に勤務する編集者だったので、日本の財政危機に関して取材し、それに関する本を何冊か編集して出版している。そうしながら感じたのはその増え続ける債務に対して、財務官僚たちの危機意識が驚くほど低いということだった。彼らの多くは自分の任期中に危機が顕在化しないことを願うばかりで、長期的な日本の財政に関してはほとんど考えていないと言ってよかった。また「財政危機というのはウソで、増税するための方便」という官僚もいた。現在もそう言っている識者がいる。


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 山田順「税務署が隠したい増税の正体」(文春新書)
2014527日(火)

 

 

税の専門家によって書かれた本ではなく、ジャーナリストが取材に基づいて書かれた本である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していくことにしたい。

<その1>
◆消費税増税よりももっと大事なことは2013年に「マイナンバー法」と「特定秘密保護法」という恐ろしい法律が、相次いで国会で成立したことである。
今後、私たちのほぼすべての情報が国家を運営する官僚機構に握られ、国民に都合の良いことしか知らされないうえ、プライバシーも丸裸にされてしまうからだ。

◆つまり、マイナンバー制度というのは、よくよく考えてれば、今後の日本国が突き進む「重税路線」とワンセットになっていることがよくわかると思う。「マイナンバー法」は、2016年1月から運用が開始されるが、すでに運用開始を目指した準備作業が行われている。

◆未来を分析、予測することは容易なことではない。しかし現在の情報社会がどうなるかは、じつは確実に予測できる。結論から書いてしまうと、この先、私たちの社会はジョージ・オーウェルが小説「1984年」で描いた世界「監視社会」に近づいていく。


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 小幡績「成長戦略のまやかし」(PHP新書)
2014418日(金)

 

 

<その3>
◆単純に考えても、大幅な貿易赤字が定着しており、輸出よりも輸入のほうが多いのだから、円が弱くなることによる輸入品の価格上昇、コスト増加の影響のほうが輸出における利益増加よりも多くなるのは必然である。

◆国民の人的資本の蓄積を国家戦略として行う場合、学校をベースに考えないのは世界で日本だけである。よい学校へ行けというが、教育の中身は問わない。大学は役に立たないというばかりで、具体的な要求はまったくない。大学の教育は意味がないといいながら有名大学の卒業生を採用したがる。これはきわめて不思議なことである。

◆この20年のあいだに、日本経済から失われたのは、新しいものを生み出す力だ。イノベーションを起こして新しいものを生み出すためには供給サイドの能力をアップさせることが必要だ。力のないものどうしが競争しても何も生まれない。インセンティブをいくらつけても、新しいものは誕生しない。表面的に、短期的に勝負に勝とうとするだけで、小手先になる。宣伝、広告、売り込み…付け焼刃だ。イノベーションはそれとは違う。これを生み出すこと、日本は基礎から再構築する必要がある。


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 小幡績「成長戦略のまやかし」(PHP新書)
2014417日(木)

 

 

<その2>
◆日本はつねに景気が悪いということになっている。景気がよいといってきたのは、かつての日銀と私だけだと世間から激しい攻撃を受けてきた。「景気がよい」と私が講演でいえば、「学者先生は、現場のこと、苦しみがおわかりにならない」といわれ、二度と呼んでもらえない。

◆日本は景気が悪いのではなく実力が低下してしまったのだ。失われたのは好景気ではなく実力なのだ。

◆株価などの資産価格は、金融政策で大きく変化するが、その変化は実体経済が、よくなったかどうかとは無関係であるという事実である。

◆円安による利益増加の最大の理由は、海外子会社の利益増強である。これが日本企業の利益改善にもっとも大きく寄与し、株価上昇に寄与した。輸出企業である必要はない。グローバルに活動し、海外で利益を上げているほとんどすべての優良大企業は、利益が増加し、決算上方修正、株価は上昇となった。たとえば、ある自動車会社のアメリカ子会社の利益が10億ドルだったとしよう。円換算では1ドル80円なら800億円だが、100円になれば1000億円、今期末の決算は、即上方修正、200億円の増額である。


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 小幡績「成長戦略のまやかし」(PHP新書)
2014416日(水)

 

 

規制緩和、設備投資減税、特区戦略、財政出動…残念ながらすべて間違いだ。これが著者の主張である。以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆そもそも企業を支援するということ自体が間違っている。企業あるいは産業という箱のなかにおいて、どの箱が生き残るかわからないなかで、目の前にある箱、たとえば現時点において、それがもっとも丈夫にみえる箱であっても、その箱を守り抜こうという政策自体が誤りなのだ。企業が主役ではなく、人間が主役、個人が主役なのである。

◆茶道は欧米人が虜になる日本文化の典型例だが、私の妻は、海外の人たちと一緒にある組織で茶道を習っている。ほんとうにさまざまな欧米人がやってくるという。茶道を学ぶことへの真摯さは日本人達をはるかに超えている。

◆シンガポールでは、自動車の保有は厳しく制限されており、自動車を買うときには自動車を保有して運転する権利も買わなければならない。これが10年で数百万円する。10年経ったらまた、数百万円を支払わないといけない。この結果、普通の日本車が1000万円近くすることになり、自動車を保有している人の割合は全人口の1割にすぎない。


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 野口悠紀雄「金融緩和で日本は破綻する」(ダイヤモンド社)
201423日(月)

 

 

<その2>
◆従来方式の金融緩和が続くかぎりいかに「追加緩和」がなされようと経済の実態には何の変化も生じない。しかし日銀による国債の直接引き受けを認めれば事態は一変する。なぜなら政府は税制改正なしに、そして市場の制約なしにいくらでも財源を調達できるからである。

◆円安になると日本の輸出が増えると思っている人が多いのだが国内のインフレを反映した円安は円の実質価値を下げることにはならないので輸出は増えない。したがって円安とインフレの悪循環だけが生じて日本経済が急速に破壊される恐れがある。

◆現在の日本経済が抱える問題は、金融緩和や財政拡大などのマクロ経済政策で解決できるものではない。とくに金融緩和は問題を一時的に見えなくするための「麻薬」でしかない。日本経済を活性化させるためには構造改革が不可欠である。

◆日本で消費者物価指数が上昇しないのは、財価格が下落しているからである。それは新興国の工業化によって工業製品の価格が下落したからである。このことは耐久消費財の価格下落がきわめて著しいことを見れば明らかだ。


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 野口悠紀雄「金融緩和で日本は破綻する」(ダイヤモンド社)
2014131日(金)

 

 

<その1>
去年の初めに出たアベノミクス批判本のひとつである。以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆日本では2001年から「量的緩和」という緩和政策が実行された。アメリカでは経済危機後にQEと呼ばれる緩和政策が実行された。このため金融緩和が何をもたらすかについてたくさんの証拠が蓄積された。それらを紹介するのが本書の目的だが結論をひと言で言えば「緩和政策は経済活性化という目的を達成できなかった」というものだ。

◆安倍政権はインフレ目標をこれまでの1%から2%に引き上げるとしている。しかしこの目標を実現できないことは明らかだ。実現不可能な目標をあえて掲げるのは量的緩和政策の真の目的が「日銀による財政赤字のファイナンス」であり、それをいつまでも続けるためである。


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 植草一秀「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」(講談社)
20131219日(木)

 

 

<その8>
◆私はこの憲法改正草案の主要論点を「1+3」で整理しています。「1」は根本原理の問題:すなわち立憲主義の否定です。 「3」は人権抑制、国権強化、戦争体制確立です。 自民党草案の根本原理の問題点は「主権者が憲法によって国家権力を抑制する」との立憲主義の大原則が棄て去られていると判断できることです。

◆日本が真の意味での独立を勝ち得ていないのは、日本の為政者の多くが対米追従の行動をとってきたからに他なりません。 しかしながら戦後史のなかに、日本の真の独立を希求し、米国に対しても言うべきことを言う行動をとった政治家が少なからず存在します。 重光葵、鳩山一郎、石橋湛山、田中角栄、鳩山由紀夫、小沢一郎といった人々がこの系譜に連なる人々です。


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 植草一秀「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」(講談社)
20131218日(水)

 

 

<その7>
◆米国は「社会保障」ではなく「自助」を基礎に置く制度を採用しています。各個人が自分の責任で、自分の医療保障、老後保障を行うという考え方です。 同時に市場原理が重視され、価格決定が市場原理に委ねられています。 また知的所有権に対する保護が手厚く、たとえば医薬品では開発メーカーの権利を強く保護しています。

◆小泉さんが郵政民営化を目指した理由には、@最初の選挙で応援してくれなかった郵政への恨み。 A大蔵族議員である小泉さんのバックにいた銀行界が、郵貯潰しを悲願としてきたこと。 B米国が郵政民営化を強く求めたこと。の3点があるようですが、実際には3つ目の理由がもっとも強かったと思います。

◆危機を打破するためには私たち主権者が自分の頭でものを考え、すべてのものを一度疑ってみる必要があると思います。 塩野七生さんがある著書の中で「ルネサンスとは、ひと言で言えばすべてを疑うこと」と書かれています。 すべてを疑い自分の目で見て自分の頭で考えることが、何よりも大事だと思います。


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 植草一秀「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」(講談社)
20131217日(火)

 

 

<その6>
◆財務省は、常に社会保障支出のように支払う金額が自動的に決まる「プログラム支出」をカットする一方、 裁量によって予算配分を決める公共事業や天下り機関への支出などを温存します。 財政危機を叫びながら社会保障支出は冷酷に切り刻み、自分たちの利権につながる支出には大盤振る舞いしているのが現実なのです。

◆年次改革要望書の提示は2008年で終了しました。翌09年に発足した鳩山政権が要望書を中止したためです。 その代わりであるかのように、日米経済調和対話と呼ばれる新しい文書が登場しました。これと並行して進行したのが米国のTPP参加でした。

◆2008年の保険医療支出のGDP比は、日本が8%であったのに対して米国は17%でした。 医療が自由化されている米国では、医療にかかる費用がすべての面で極めて高価です。 要するに米国資本は、医療行為はもちろん医療機器、医薬品のすべてにおいて、日本で自由化を進めることで大きな果実をもぎ取ろうと考えているのです。


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 植草一秀「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」(講談社)
20131216日(月)

 

 

<その5>
◆日本のバブルの生成と崩壊のメカニズムは、比較的単純明快です。1986年から90年にかけての4年間に、銀行、ゴルフ会員権などの価格が暴騰しました。 1987年から90年にかけての4年間に、銀行やノンバンクと呼ばれる金融機関が増加させた融資残高は約200兆円でした。 このお金のほぼすべてが、資産の購入に振り向けられました。この資金の力によって資産価格が大暴騰したのです。

◆経済が深刻な不況に陥るときに最後に事態を打開できるのは、財政政策しかありません。 経済学者ケインズが明らかにしたように、金融政策は不況下においては有効に効果を発揮し得ないからです。 サブプライム危機に襲われた日本、米国、そして欧州で不況を打開するために、財政政策が活用されました。


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 植草一秀「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」(講談社)
20131213日(金)

 

 

<その4>
◆インフレは「パイを拡大させる」現象ではなく「パイの配分を変える現象」なのです。 インフレによって得をする者がいる一方、必ず損をする者が存在します。

◆概略を一言で言えば、小泉・竹中政権は金融恐慌を引き起こすとの脅しをかけて株価を暴落させ、 最後には銀行を救済して株価を大反発させるシナリオを描き、それを実行したのだと思われるのです。 裏で糸を引いたのは米国。 小泉・竹中政権は外資に巨大な利得を供与するために米国の支配者の指令に従って、この政策の運営を実行したのだと私は理解しています。

◆安倍さんは2013年4〜6月期のGDP統計数値を見て、2013年秋に消費税増税を最終決定すると言っています。 数値が高いものになるのは確定的です。安倍政権が編成した13兆円の補正予算が、2013年4〜6月期に一気に執行されるからです。


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 植草一秀「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」(講談社)
20131212日(木)

 

 

<その3>
◆円ドル為替レートが1ドル100円を突破したのは米国金利の上昇によるものです。 それは米国の中央銀行であるFRBが、金融緩和を縮小するのではないかとの思惑が浮上したためです。

◆なぜこのようなインフレが起きたかというと、日本でもドイツでも中央銀行が政府の支配下に置かれ、政府の要請でお金をばらまきすぎたからです。 その結果としてお金の価値が、無に帰してしまったわけです。

◆財務省の経済政策運営能力の欠如こそ、日本経済の長期低迷、日本の失われた20年の主犯なのです。 財務省こそが「デフレ」を生み出した責任を問われるべき存在で、これを日本銀行の責任にしてしまおうとの工作は、不正で不当なものだと言わざるを得ません。

◆日本銀行は財務省にとって最重要の天下り先であり続けてきました。財務省の天下りポストの両横綱が、日本銀行総裁と東京証券取引所理事長でした。 ところが1990年代後半に表面化した大蔵省接待汚職事件の影響で大蔵省、財務省は、この2つの最重要ポストを両方とも失ってしまいました。


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 植草一秀「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」(講談社)
20131211日(水)

 

 

<その2>
◆金融政策運営については、乱暴に整理すれば2つの流派が存在します。 「インフレ誘導は可能である」との立場を取る流派と、「インフレ誘導は可能ではない」との立場を取る流派です。 それぞれの流派が自説の正しさを主張するのですが、決着はついていません。 高いインフレ率を低いインフレ率に誘導することについては、金融政策によって対応できることが過去の実績によって確認されてきました。 ところがいま問題となっているのはその逆です。

◆アベノミクスにおいては金利や量的金融指標の操作という、 いわゆる「伝統的な金融政策手段」を超えた形−たとえば、日銀がこれまで「投資不適格」として保有できなかったような資産を取得して 日銀資産を劣化させることによって、インフレを誘導するものだと解釈できるのです。 私はここに、インフレ誘導に積極的でインフレ誘導は必ずできるとする、アベノミクスの大きなリスク= アベノリスクが潜んでいると見ているわけです。


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 植草一秀「アベノリスク 日本を融解させる7つの大罪」(講談社)
20131210日(火)

 

 

<その1>
ここのところ精力的に言論活動を復活させてきている植草氏の著作である。以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆経済学者で財政政策の重要性を説いたのがケインズ、マネーサプライをコントロールしてインフレ率をコントロールすることができると唱えたのがフリードマン、 長期的な経済成長のメカニズムを解き明かしたのがシュンベーターです。

◆あたりまえの政策を実行しただけで絶賛を受ける政権と、批判ばかりされる政権とが生まれるのは、 メディアを支配する本当の権力者=米国、官僚機構や大資本が、その時点の政権を支持しているのか、それとも攻撃しているのかに依存するのであって、 政権の実力とはほぼ無関係なのです。


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 三橋貴明「日本経済は、中国がなくてもまったく心配ない」(WAC)
20131129日(金)

 

 

<その2>
◆「日本には、まだまだ投資しなければならないものがたくさんあります。必要な公共投資を十分行うだけでも、かなりの投資額になるはずです。 日本は内需拡大で十分やっていけるのです。」
公共投資は日本のGDPの10%〜15%に過ぎない。輸出は20%近くある。 中国への輸出不振はどうでもよくて、公共投資は重要だと説くのが全く理解に苦しむ。日本のGDPの60%は個人消費である。 三橋氏の主張には、この個人消費を活性化させるという発想がない。それより数段少ない公共投資に燃えてしまうのである。


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 三橋貴明「日本経済は、中国がなくてもまったく心配ない」(WAC)
20131128日(木)

 

 

<その1>
著者の三橋氏は典型的な反アジア主義者である。それゆえ中国と聞いただけで頭に血が上ってしまうようである。 中国が日本経済にとって重要かどうかという視点よりも、隣国とは友好的な関係をつくっていく。このことは国際社会の常識である。 以下本書より困った人である三橋氏の核となる主張を2点ほど要約して引用し、それに関して私のコメントを付しておきたい。

◆「中国・香港向けの輸出額は対GDP比で見ると2.79%となっています。 GDPのわずか約3%にしか過ぎないものに依存しているという表現は成り立つでしょうか。」
この主張には2つの視点が抜け落ちている。約3%と言っても、それは直接輸出を行っている部分だけである。 つまりA社が原材料をB社に売り、それをB社が中国に売っている場合のA社の売上は、3%にはカウントされていないのである。 直接は輸出を行っていないA社の売上は統計数字に現れてこないのである。 もうひとつの視点は輸出関連の売上の方が、国内売上よりも数段利益が出やすいという事実である。 輸出は中国以外でも新興国向けが中心となるため、売価に関して日本国内ほどにうるさくないというのが実際である。


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 林原靖「破綻」(WAC)
20131121日(木)

 

 

<その2>
◆世界中の医薬品は化学合成法が主流だ。薬効と副作用は紙の裏表のように分離できないしその差の大きなものがすぐれた医薬品と呼ばれる。 林原株式会社の開発したインターフェロンは人間の生きた細胞が自然に作るので、副作用というものがない。

◆私は兄である健社長に言った。「販売を他社任せにするのではなく、自分たちの作ったものは自分たちに売らせてほしいのです。 われわれにはトレハロースという未知の商品があります。これを全力投球で育て上げないと利益は増えません。」

◆意外と思われるかもしれないが、世界では株式公開している大企業はトップランクに入らない。 国をも動かすトップ企業は、よくも悪くもファミリーが支配する企業だ。

◆なにしろ非上場ですから、財務諸表が完全無欠でないことぐらい常識的に想定できたといってもおかしくない。 借入については銀行側の都合がまったくないとは思えないし、長年にわたって双方ともお互いさまという点もいっぱいあったと思うんです。

◆東京を拠点とする都市型銀行、いや中央の官僚組織や学識者、知識人やマスコミも含めていずれもオーナー的体質の企業を本能的にきらっている。


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 林原靖「破綻」(WAC)
20131120日(水)

 

 

<その1>
この本の帯には「岡山の世界的優良企業である林原株式会社は、なぜ銀行に潰されたのか!?」と書かれている。 その答えは決算を粉飾していたからということになる。 そのことは本書に書かれているが、それでは何故粉飾決算をしてしまったのかとか(粉飾しなくても充分利益を出していたのに)、 あるいはどのような手法を使うと銀行が企業を潰すことが可能なのか、については本書に書かれていない。 要するに著者自身今回の問題の本質が理解できていないようである。つまり同じような問題が起きると、また同じような失敗をしてしまうということである。 上記に対する答えを私がまとめるとすると以下のようになる。 まず粉飾決算をしないようにするためには、月次決算体制を構築し、かつ会計事務所の監査を受けることである。それ以外に方法はない。 次の銀行に潰される会社は、必ず手形借入を行っている。借入には手形借入と証書借入の2種類あるが、証書借入しかない会社は潰されないのである。
以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆「勝負には勝つことも負けることもある。大事なのは勝つことではなく、自分の正しいと思ったことに最善を尽くすことなんだ。」 と父は私に言ったことがある。


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 中原圭介「アベノミクスの不都合な真実」(角川書店)
20131114日(木)

 

 

<その8>
◆オバマ大統領は2012年の一般教書演説で「我々の足下には100年分のガスが眠っている。 いずれはエネルギーの輸入量を半分にでき、天然ガスだけで60万人を雇用できる。」とシェールガスへの大きな期待を語っています。

◆今後アメリカの失業率が下がり、労働参加率が上がっていくことが「景気回復」のひとつの指標になると思いますが、 それはFRBの金融緩和の結果ではなく、シェール革命によるエネルギー価格の低下にともなって起きるものです。

◆もはや売上が伸びることが賃上げに直結し、それが消費を増やし需要が増えて値段が上がるという「景気回復」は、先進国においてはあり得ないと考えたほうがいい。 これは日本もアメリカも同じことです。アメリカは「デフレ」で復活してくるはずです。 私がなぜそう考えているかといえば、シェールガスの採掘と普及はあらたな産業革命にもあたるできごとだからです。産業革命はデフレを引き起こすのです。

◆シャープ、パナソニック、ソニーの沈没した原因のひとつが、エコポイントだったと思います。この補助金は国内の需要をいったん急激に押し上げた。 それが経営者の油断につながったのではないでしょうか。明らかに海外メーカーとの競争において対応が遅れた。 設備投資のタイミングも間違った。


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 中原圭介「アベノミクスの不都合な真実」(角川書店)
20131113日(水)

 

 

<その7>
◆皮肉なことに自然エネルギー発電への挑戦はその発電コストの高さ、採算性の悪さを明らかにするものになりました。 シェールガスの安さに太刀打ちできるものではなかったのです。 それによって多くの企業はシェールガスの積極的な利用へと急速に舵を切り、自然エネルギーから離れていくことにもなったのです。

◆アメリカでは原発の新設撤回、廃炉決定が増えていく一方で、ガス火力発電所の新設をしようという動きが強まっています。 アメリカには電力会社が3,000以上もあります。日本と違い発送電分離を行っているからですが、小規模な石油火力発電所がどんどん増えていました。 しかしこの流れが止まり、20社ほどが統合して大規模なガス火力発電所を造ろうという動きが広がっています。 電力供給コストを下げるためには、それが一番だということがはっきりしてきました。

◆シェールガスに吸い寄せられるように各国がアメリカに投資を始めています。 国内への回帰だけでなく、すでに日本、欧州からもエネルギーコストの安さによって、製造業はアメリカに進出する動きを見せている。


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 中原圭介「アベノミクスの不都合な真実」(角川書店)
20131112日(火)

 

 

<その6>
◆リフレ派は2008年以降しか数字を見せません。しかし実は2001年から2004年までの4年間で、190兆円という巨額の量的緩和を行っています。 FRBの2倍の規模の量的緩和をしていた時期もあるのです。 にもかかわらず、日本は
1999年以降ずっとデフレのままです。インフレは起きていない。

◆要するに日本のリフレ派は、ほぼ全員がフリードマン、クルーグマン、バーナンキといった、リフレ派経済学者たちの主張どおりのことをしようとしているわけです。 「日銀批判」もまたフリードマンとクルーグマンの受け売りです。

◆アメリカの地方銀行の財政状態も最悪期に比べれば持ち直しました。 破綻した銀行数は2009年140行、2010年157行、2011年は92行、2012年も51行、2013年は5月までに14行です。


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 中原圭介「アベノミクスの不都合な真実」(角川書店)
20131111日(月)

 

 

<その5>
◆リフレ派の経済学者たちは、アメリカやヨーロッパの国民より日本人の生活がずっとマシなことを知らないとしか思えません。

◆「デフレ円高のせいで失業率が高く、非正規雇用が増えている」こんなことを言う人までいる。 非正規雇用が増えたのは先進国共通の事実ですが、これはデフレでも円高とも関係ありません。むしろ経済グローバル化とエネルギー価格の高騰が原因です。 しかも先進国の中で唯一インフレを嫌っているドイツは、アメリカと比較すればずっと正規雇用の社員が多いのです。

◆シャープ、パナソニック、ソニーがダメになったのは円高による不可抗力ではありません。 自分たちの商品の競争力を理解していなかったし、時代の流れも読めなかったからで、これは経営者の能力の問題です。


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 中原圭介「アベノミクスの不都合な真実」(角川書店)
2013118日(金)

 

 

<その4>
◆まるで何もかも「デフレ」が起点になって悪いことが起きるように言われている。低成長は「デフレのせい」ではなく、低成長の結果が「デフレ」だからです。

◆日本はけっしてムリなインフレは目指さず今のままデフレ状態を辛抱し、その間に成長産業をしっかり育成すべきです。 その上にしか真の景気回復はあり得えません。

◆「銀行におカネがあっても、需要がなければ企業は借りない」
「円安で一部の企業が儲かっても、エネルギーコストが高ければ給料は簡単には上がらない」
「株価が上がっても実体経済が回復しなければ経済的な経済成長は望めない」
「給料が上がらず物価が上がれば、生活は苦しくなるだけ」
これはすべて自明のことです。 しかし「リフレ派」の人たちは、まったく逆のことを言ってリフレ政策を推し進めています。


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 中原圭介「アベノミクスの不都合な真実」(角川書店)
2013117日(木)

 

 

<その3>
◆リフレ派は「円安で輸出も増えていく」と言いますが、それが通用するのは世界中が好景気で、日本の製品をどんどん買ってくれる余裕のある場合の話です。

◆今の日本経済にとって継続的な円安は100円が限界値だと、私は思っています。 これ以上円安が続くと、貿易収支どころか日本の経営収支が赤字に転落する可能性があります。

◆国債の利回りが2%あるいは3%に近くなったとき、本当の意味で日本の「危機」がやってくるのだと思います。

◆今の政策、日銀のリフレ政策は「悪いインフレ」に向かわせようとするものです。 ムリにインフレにしようとすることで「物価だけ上がり、給料は上がらない」という苦しい未来を招く。

◆韓国はウォン安による輸出産業振興をめざした。 輸出企業は競争力を高め2011年のGDPは2007年より27%増え平均賃金も6%伸びましたが、物価が上昇し続け実質賃金は大きく低下している。


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 中原圭介「アベノミクスの不都合な真実」(角川書店)
2013116日(水)

 

 

<その2>
◆FRBにせよ、アベノミクスを支える日本のリフレ派にせよ、見事に抜け落ちているのは「消費者の買い物の現場」であり、「設備投資をする中小企業の現場」 「賃金をもらう労働者の現場」です。もっとも大切なこの3つがすべて抜けてしまっているのです。

◆もっとも考えなくてはいけないのは「金融緩和によって物価が上がり給料は上がらず、国民生活は今以上に苦しくなる」という未来です。 私はこのケースこそが最も可能性の高い未来だと思っています。

◆「インフレ」というのは20世紀特有の現象です。その最大の原因は世界的な大戦争です。 膨大な戦費調達の必要が生まれ、それによって財政が大幅に悪化して不況になるという状態だったのです。

◆もともと日本は基本的にドル建て輸出が多かったのですが、円高が進むにつれ輸出産業はドル建て取引を縮小し、 その結果輸出に占めるドル建て取引を5割程度にまで減らしてきました。 一方輸入は7割がドル建てです。つまり日本は円高に強くなり円安に弱い国になってしまったのです。


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 中原圭介「アベノミクスの不都合な真実」(角川書店)
2013115日(火)

 

 

<その1>
アベノミクス批判派の一人であるが内容には若干の問題があり、「カリスマエコノミストの警告」という出版社の持ち上げ方には相当の疑問が残る。 以下本書より参考となるくだりを要約して御紹介することとしたい。

◆いつも政策の批判派がメディアでコメントを求められることはあっても、 「少数派の意見」として「一応こういう意見もあることを付け加えました」という程度の扱いになりがちです。

◆私はアベノミクスを全否定しているわけではありません。成長戦略については、本当に実行できればすばらしいというものも含まれています。
TPPへの参加も安倍総理の英断だったと思っています。

◆現在は90〜100円で推移しています。 これ
以上の円安はさらに状況を悪化させるでしょう。 円安が1円進むと、日本のエネルギーコストは2,200億円〜2,400億円増える計算です。


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 藤巻健史・宿輪純一「円安VS円高どちらの道を選択すべきか」
(東洋経済新報社)
20131031日(木)

 

 

<その6>
◆(宿輪)経済面から言えば第2次世界大戦の原因となったのは、ドイツを中心として発生した「ハイパーインフレ」です。 つまり「インフレ」がトラウマで、インフレを抑えることがもっとも大事な経済的な目標となっていました。 (つまり短期的な景気よりもインフレを抑えることが重要)

◆(宿輪)ギリシャについては、そもそもユーロに加盟できる実力がありませんでしたが、1年間の猶予を与えて経済改革を進めさせユーロに加盟させました。 しかし実際には実力はつかず虚偽の申告をして、後のギリシャ・ショックの原因となりました。

◆(宿輪)レーガノミクスのもっとも大事な柱は「教育」でした。競争原理の導入によって教育を強化して国を再興させました。 アメリカでもケネディ大統領の時代までは、教育も現在の日本の「ゆとり教育」と同様に平等主義を重視しており、競争原理は排除されていました。

◆(宿輪)「規制の緩和」こそ「コストのかからない公共投資」です。経済改革の推進にも必須です。 ドイツの財政赤字はGDP対比約80%ですが、これはドイツは景気対策として基本的には財政政策は使わず、規制緩和を主として行われるからです。

◆(宿輪)現在の経済政策の大きな目的は経済成長と物価安定です。物価の安定とは先に書いたようにインフレ、デフレの管理です。 経済成長とは景気と言っても構いませんが、基本的にGDPの伸び率です。


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 藤巻健史・宿輪純一「円安VS円高どちらの道を選択すべきか」
(東洋経済新報社)
20131030日(水)

 

 

<その5>
◆(宿輪)アベノミクスの特徴の一つで今までの政策と最も違うのは、「期待」を重視して働きかけている点です。 しかし実体から乖離した「期待」はいつかは現実に直面するものであり「バブル」となってしまうので注意が必要です。

◆(宿輪)「永遠」の円安政策はありえません。その間に競争力を強化して最終的に円高に向かわなければならないのです。 つまり言いたいことは「競争力の強化」こそが大事ということです。

◆(宿輪)日本経済における円安政策とは、いわば日本経済・商品の安売りです。 安売りを続けることだけで長年生き残っている企業は、残念ながら筆者の知る限りありません。 価値戦略とは商品等の価値、すなわち競争力を高めるものであり「企業戦略の基本中の基本」と言えるでしょう。

◆(宿輪)通貨市場に影響を与える政策は3つあります。為替介入、金融緩和、資本規制です。 そのうち資本規制は止血的な機能であり、新興国の通貨の暴落を防ぐ時に使います。 為替介入は米国や欧州などの先進国や新興国からの非難も多くなかなかできません。それで今回は金融緩和「アベノミクス」というわけです。


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 藤巻健史・宿輪純一「円安VS円高どちらの道を選択すべきか」
(東洋経済新報社)
20131029日(火)

 

 

<その4>
◆(藤巻)強い国のリスク資産におカネを動かすと言う発想がないから、日本にはいつまでたっても大金持ちが生まれなかったのだと思います。 そしてそういう人がいないから円売りドル買いが起こらず円が実態以上に放置されたと思うのです。

◆(藤巻)私は円高傾向は終了し、円安が続くと思っています。理由の第一は「円のレベルは、国力に比べてまだ異常に高い」と思うからです。 円安に変わったと思う第二の理由は日米経済格差の存在です。米国ではシェールガス革命が起きています。 もともと国力の強かった米国が資源国になるのです。円安傾向になったと思う第三の理由は、日本の累積赤字があまりに巨額だからです。

◆(藤巻)私は常に円安が良いと言っているわけではありません。日本が弱い時には、円安が良いと言っているだけです。 通貨は国力に合わせて変動すべきものであり、それが世界経済、日本経済にとってベストだということです。


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 藤巻健史・宿輪純一「円安VS円高どちらの道を選択すべきか」
(東洋経済新報社)
20131028日(月)

 

 

<その3>
◆(藤巻)円安を導く手法としては、1,550兆円近くある「個人資産」を動かすことが一番の方法だと考えます。 5%を海外へ持っていけば簡単に円安に進むはずです。しかしそのためには起爆剤が必要です。その一つの方法が「大量介入」です。 具体的にはPBという「政府短期証券」を発行し、それで集めた円を売ってドルに換えるのです。二つの目の案は、日銀による「アメリカ国債購入」です。 さらに三つ目の案は、国債を「ドル建て」で発行するということです。四番目の手段は「通貨庁」を創設することです。 通貨政策は非常に重要ですから、財務省の課レベルの仕事ではないでしょう。金融庁ができたために不良債権問題は脚光を浴びました。 あれと同じことを狙うべきです。その他の円安誘導策として考えられるのは、「マル外」があります。 外貨預金を昔の「マル優」みたいに非課税にすれば良いとも思います。 さらにマイナス金利の導入もおもしろいと思います。 円預金をすれば金利を払わなければならないのにドル預金なら金利をもらえるのですから、国民が円からドルに預金をシフトさせて大幅円安です。 実は通貨政策は金融政策や財政政策よりも難しい。 なぜかというと金融政策や財政政策は景気が悪ければ金融を緩め、財政出動をすればいいというように政策が一方に定まっています。 ところが通貨政策は、その時の状況によって円高と円安のどちらが良いかを判断しなければならないからです。


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 藤巻健史・宿輪純一「円安VS円高どちらの道を選択すべきか」
(東洋経済新報社)
20131025日(金)

 

 

<その2>
◆(藤巻)日本の農業は「TPP反対」「関税撤廃反対」ではなく、「円安を!」と主張すべきだと申し上げました。 ちなみに米国の農業団体や自動車労組は「ドル安を!」と主張して、よくニュースになったりしています。

◆(藤巻)1980年代は1人民元160円でした。それが今では10分の1にまで安くなり、1人民元16円程度です。 「中国は労賃が安いから成長した」とよく言われますが、本当は通貨が安くなったから「世界の工場」として急成長したのです。

◆(藤巻)自国通貨が世界の基軸通貨であることは「最大の問題」です。たとえば日本車がほしいと思えば、ドルを印刷するだけで日本車が買えるからです。 日本は輸出してドルを入手しないと他国の物品を買えませんが、米国は紙幣を印刷すれば世界の富を何でも買えるのです。

◆(藤巻)日本は今や完全に貿易赤字国です。日本の経常黒字が大きいのは、所得収支が大きくなったからです。 所得収支というのは、海外の子会社からの配当金や利息です。


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 藤巻健史・宿輪純一「円安VS円高どちらの道を選択すべきか」
(東洋経済新報社)
20131024日(木)

 

 

<その1>
その国の経済の力が他国よりも強くなっていけば、その国の通貨は強くなっていくことは必然である。 それ故にどちらを選択すべきかなどという議論はナンセンスである。 円安によって輸入価格が上がれば国内産業を保護されると藤巻氏は主張するが、日本経済が良くなっていけば円高になるわけだから、 やはり関税でもって国内産業を保護していくことが王道である。 以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆(藤巻)日本の場合いくら量的緩和をやっても円安には動かない。したがって量的緩和で経済が成長するなんてことはありません。 ただ「円高是正」というアベノミクスの方向性そのものは間違っていません。

◆(藤巻)円高の被害というと大多数の人が輸出のことしか考えませんが、円高でダメージを被るのは輸出業者だけではありません。 内需産業の代表である農業をダメにしたのも、じつは円高だということを強調しておきたいと思います。


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 船瀬俊介「「日本病」経済の真相!」(ビジネス社)
20131017日(木)

 

 

<その6>
◆現代建築の五重苦は「短命」「結露」「断熱」「防音」「化学汚染」だ。しかし大学ではこれらの解決方法どころか、存在すら教えていない。

◆東京−大阪間を浮上走行で1時間!こういえばだれもがリニア・モーターカーを連想する。しかしそうではない。未来列車「エアロ・トレイン」だ。 建設費は新幹線と同じ。輸送コスト4分の1。まさに夢の未来列車だ。これに対してリニア新幹線構想は、まさに真逆の悪夢だ。 10兆円のプロジェクトとしてJR東海がスタート。わたしは「リニア計画は100%破綻する」と予測している。100%失敗する。 そう断言するのは、まずリニア・モーターカーが発生する有害電磁波が乗客を攻撃するからだ。リニア中央新幹線の正体は強烈なガン発生装置だった。 この真実はすぐに明らかになる。すると乗客はゼロとなる。10兆円リニア狂気の暴走は日本を破滅に追いやるだろう。 それに対する「エアロ・トレイン」は、リニアのように磁気で浮上するのではない。見てわかるようにこの列車には翼がある。一種の飛行機なのだ。 両翼に発生した「揚力」で列車は1mほど浮上し、その高さを飛行する。


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 船瀬俊介「「日本病」経済の真相!」(ビジネス社)
20131016日(水)

 

 

<その5>
◆岸信介に与えられた指令は、日本政府の首相となって日米軍事同盟を締結することだった。彼は命令に忠実に遂行し、安保条約を締結した。 のちにCIA極秘ファイルで、岸は15年間にわたってCIA秘密工作資金約150億円を密かに受け取っていたことが露見。 その大半が自民党の活動資金となった。つまり自民党自体が、アメリカの情報機関の丸抱え組織であった。

◆日本人はシステム思考のできない民族だ。「かくすれば、かくなるものと知りながらやむにやまれぬ大和魂」吉田松陰(1830年〜59年)の歌である。 若き俊英とうたわれている松陰にして、論理が同じところをグルグルと回っている。こうすればこうなるとわかってはいるけれど、どうしようもない。 それを大和魂と呼ぶ。それはつまり非条理の精神だ。思考とは本来システム的であるべきだ。Aを行えばBという結果が出る。 そのBからCという状況が生み出され、Dに至る。そのDからさらに・・・と、思索と論理を展開していく。


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 船瀬俊介「「日本病」経済の真相!」(ビジネス社)
20131015日(火)

 

 

<その4>
◆マスコミの五つの大罪を列挙しておく。かれらは自民政権の庇護の下、5つの特権を謳歌してきた。
(1)記者クラブ制度(諸外国に例なし。公正競争を阻害し、独禁法違反)
(2)クロスメディア制度(新聞社が放送局を所有。欧米では禁止されている)
(3)電波免許制(国民財産の電波を特権的に使用して、他に開放しない)
(4)特定利益供与(新聞社等の土地は政府がただ同然で払い下げたもの)
(5)政権と癒着(権力を監視すべきマスコミ首脳が、政権の委員会にゾロゾロ)

◆安倍晋三の祖父−岸信介は、A級戦犯容疑者として巣鴨プリズンに収容されていた。 他のA級戦犯の絞首刑の処刑がはじまったとき、なぜかGHQは岸を釈放した。同時に巣鴨プリズンを出たのが正力松太郎だった。 もうひとり児玉誉士夫もいた。三人はGHQ本部に連行され、そこで「指導」を受けたと伝えられる。

◆正力の役割は、アメリカ利権を受け継ぐ原子力政策の推進だった。さらに所有する読売新聞や日本テレビ網による、原子力平和利用の大々的キャンペーン。 アメリカの秘密工作員だから、その走狗として動くのはあたりまえ。


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 船瀬俊介「「日本病」経済の真相!」(ビジネス社)
20131011日(金)

 

 

<その3>
◆「遅れず、休まず、働かず」役人仕事を揶揄した言葉だ。働いているふりさえしていればいい。まちがっても新しいことはやらないことだ。

◆英国の学者トマス・モアの著書「ユートピア」がある。これは「共産的理想社会」を描いたものだ。 その語意はラテン語で「存在しえない世界」という意味である。実になんとも皮肉である。

◆3.11福島第一原発事故のとき、テレビに登場した原子力安全委員会の斑目委員長の挙動もおかしかった。 「わたしはなんでここにいるんでしょう?」
原発裁判での証言でも「危険を考えていたら原発なんてできませんヨ!」と仰天証言を平然と行っている。

◆考えてほしい。9.11世界同時多発テロはアメリカ軍部が仕掛けたものであることを示す証拠が、それこそ「象が歩いた跡」のように残されていた。 なのに世界のマスメディアは、この事実すら伝えることができない。


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 船瀬俊介「「日本病」経済の真相!」(ビジネス社)
20131010日(木)

 

 

<その2>
◆世界規模でのビジネス競争に勝つには、世界的に受けられる人気商品を開発しなければならない。 それは「オンリーワン」とは対極の「ポピュラーワン」の商品だ。

◆長い歴史の間、トップに求められたのは、この「調整力」だった。だから日本の組織では調整力に長けた人が出世する。 「調整力」とは一言でいえば「足して二で割る」。これを「なあなあ」で収めるという。長い鎖国が続いた江戸時代ならそれでよかっただろう。 しかし今や国際化の時代。あらゆる物事がグローバル化している。今の時代は「調整力」より「突破力」だ。混沌、迷妄を突き抜ける力がないと道は拓けない。

◆本来産業界において絶対的な技術などは存在しない。 いきおい企業間の製品モデルの模倣や技術転用は、特許侵害ギリギリのところで頻繁に行われている。(ジャーナリスト森功氏)


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 船瀬俊介「「日本病」経済の真相!」(ビジネス社)
2013109日(水)

 

 

<その1>
「株高、円安はまもなく終息する」というサブタイトルの付いた本である。以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆じつは2000年代、日本企業は儲かっていた。小泉内閣が発足した2001年から10年間で、企業収益は28兆円から45兆円に膨らんでいる。 ところが賃金総額は266兆円から245兆円に減っている。利益は6割も増えているのに賃金は1割近く減らされた。 それは小泉による雇用法改悪で、正社員が370万人も減らされたからだ。

◆名門シャープはどうして失敗したのか?理由は簡単だ。巨大工場を所有したからだ。国内生産にこだわったからだ。 それは垂直統合型経営と呼ばれる。はやくいえば系列だ。このケイレツ式が敗北した。それがシャープの破綻となったのだ。 世界の経営はこの閉鎖方式から解放方式に180度転換している。解放方式とは一言で言えば「アウトソーシング」つまり外注だ。内注から外注へ−。 アップルの奇跡の成功の秘訣は、一にも二にもこのアウトソーシングにつきる。「アウトソーシング」のメリットは身軽ということだ。 できるだけ企業は重たい荷物を持たないほうがいい。余計な工場は持たない。余計な施設は持たない。余計な人員は抱えない。 家電技術者はあっさり言う。「今では技術と工場と資金さえあれば、液晶テレビなんてどこでも作れますよ」世界の亀山でなくともよかったのだ。


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 菊池真「円安恐慌」(日経プレミアシリーズ)
2013926日(木)

 

 

<その2>
◆過去財政的に行き詰まり、中央銀行が新発国債を引き受けた例がいくつかありますが、例外なく通貨は暴落、急激なインフレから金利は急上昇しました。 「例外なく」と書きましたが、実は最近になって例外が1つできました。米国の中央銀行であるFRBです。 これは米ドルが現在でも事実上の基軸通貨であり、世界中で外貨準備を米ドルで保有する需要があり、 世界情勢が落ち着けばFRBが保有する米国債の買い手が世界中に存在すると市場が見ているためです。 しかしながら日本の場合は違います。日本の国債の需要など全くないとは言えませんが、世界では限定的なものです。 つまり円は暴落し、さらに国債格付けは下げられ、国債の流通利回りは急上昇することになるのです。

◆ドル/円の為替レートは110円、120円と節目を次々と超え円安進行が加速しています。世界通貨の中での円の独歩安です。日本株は大幅下落です。 多くの方は「円安が進行すればするほど日本株は上昇を続ける」と見ているようですが、とてもそうは見えません。 この段階になると日本国債は大幅下落しているわけですから、そこで大量の含み損を抱える日本の金融機関には間違いなく経済不安が出てきます。 そして円安進行が止まらず、輸入物価上昇をはじめ円安の弊害が議論され始めるようになった時、問題は表面化します。


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 菊池真「円安恐慌」(日経プレミアシリーズ)
2013925日(水)

 

 

<その1>
本の帯には「米国の金融政策転換が円安のトリガーを引く。その先に待っているのがコストプッシュ・インフレの恐怖と財政破綻だ。」と書かれている。 以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

◆三菱東京UFJ銀行は国債を約50兆円保有しています。 一般的に1%の金利上昇で国債の価格は3%程度下落しますので50兆円の3%つまり1.5兆円の損失が出ます。 自己資本が約10兆円ですから、金利が3%程度になると自己資本の3分の1がなくなり、 金利が7%程度に上昇すると、自己資本がすべてなくなるほどの損失が発生することになります。


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 石角完爾、田中秀敏
「アベノミクスが引き金になる 日本国債 暴落のシナリオ」(中経出版)
2013918日(水)

 

 

<その3>
◆超低金利から金利急騰への転回は「いつ」起きるかはわかりません。しかし歴史を振り返ると経済覇権国が衰退するときに起こっています。

◆過去の国債の歴史を振り返ると、国債暴落・金利急騰の前は、低金利状態が必ず起こっています。今の日本国債は、まさにこの状況に当てはまります。

◆日本では戦後赤字国債の発行を財政法で禁止しました。 戦前・戦中に赤字国債を大量発行したため敗戦後デフォルト(履行不能)となり、ハイパーインフレをもたらしたことへの反省があったためです。 しかし、1964年の東京オリンピック後の不況から脱出するために、65年に赤字国債の発行を特例法で解禁しました。 そして税収が増えたバブル経済の時代を除き、毎年赤字国債の発行を続けています。

◆日本国債の暴落によってそれ(ツケを払わされること)が始まっても、IMFも、アメリカも、中国も誰も日本を助けるようとはしないでしょう。 なぜなら日本国債はほとんどすべて日本人、日本の金融機関、日銀、日本の政府系金融機関が持っているからです。


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 石角完爾、田中秀敏
「アベノミクスが引き金になる 日本国債 暴落のシナリオ」(中経出版)
2013917日(火)

 

 

<その2>
◆「デフレは悪でインフレは善」。このような思い込みが広がっているようです。 日本はデフレと言いますが、後で示すように日本の消費者物価は横ばいで、デフレとは言い難い状況です。

◆その賃金低下は賃金が安い中国など外国との競争の結果です。「デフレが企業収益の低下をもたらし、賃金を下げた」という多くの人の思い込み、 そして安倍首相など自民党の政治家が述べた主張は、他の原因で起こった結果を原因と取り違えているのです。

◆デフレは確かに社会を停滞させますが、それだけで国が滅びた例は見たことがありません。 デフレだけに政策の焦点を譲り人為的な行為を加えると、複雑な経済システムは混乱するだけでしょう。

◆世界の投資家は逆説的な形で日本への関心を強めつつあります。 いずれ日本国債が暴落し日本が混乱すると予想しており、そのときに、日本の国債、株式、企業、不動産などすべて安く買いたたこうとしているのです。 日本の国債の暴落はすぐ間近に来ていると見通しているのです。


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 石角完爾、田中秀敏
「アベノミクスが引き金になる 日本国債 暴落のシナリオ」(中経出版)
2013913日(金)

 

 

<その1>
アベノミクス批判本の1つである。アベノミクス批判派においては、日本国債の暴落が批判内容の中核をなしている。 以下本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していこう。

◆アベノミクスと日本に世界から期待が集まるというイメージは、残念ながら幻想にすぎません。 米国のメディアは海外の情報を日本のメディアよりも多く伝えますが、アベノミクスを肯定的に扱っていませんし、大きくも取り上げていません。

◆日本経済は、これから述べていくように大量の問題を抱えます。ところがアベノミクスでは、その原因としてデフレのみをクローズアップしています。 それを解消しても他の問題はまったく解決しません。

◆当時アメリカは今の日本と同じように製造業の海外移転が進んで産業構造が変わる過程でした。 それに気づかず為替切り下げという過去の成功例を繰り返してしまったのです。いくら通貨をいじっても経済成長や雇用が生まれるとは限らない。 このことがプラザ合意の歴史で示されているのではないでしょうか。


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 渡邉哲也「儲−国益にかなえば経済はもっとすごくなる!」(ビジネス社)
2013821日(水)

 

 

<その5>
◆1978年の改革開放以降、中国はずっとGDP成長率8%にこだわり続けてきた。 なぜ8%なのかといえば、債券やファンドの形で中国に流れ込んでいる欧米からの借入の金利が平均8%だったからだ。

◆TPPに関しては、それ自体の枠組みは正解だと思う。その枠組みとはずばり、中韓抜きの日米のアジアにおける支配体制だ。 日本とアメリカが組み、日本の経済力とアメリカの軍事力によりアジアを支配していく構想である。

[コメント] 戦後日本はアメリカに洗脳されてきたと言ってみたり、アメリカの言いなりになることが前提のTPPに賛成してみたり、本当にわけのわからない人である。 私は中国や韓国との友好な関係をつくるという発想がない人は、日本の国益を語る資格はないと思っている。


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 渡邉哲也「儲−国益にかなえば経済はもっとすごくなる!」(ビジネス社)
2013820日(火)

 

 

<その4>
◆日本の国債の金利が上がる場面がくれば、日銀が買えばいいだけのことである。 だから国債金利を下げようと思えば、日銀が大量に買えばいい。いくらでも下がる。

[コメント]
この部分がアベノミクスの主張の中で、唯一正しいところである。ただ、通貨供給量が増加してバブルになることへの対応策がないのである。 金融バブルが実体経済を底上げすると勘違いしているようである。

◆「自分の持つ自由と同じ価値の自由を他人も持っている。」これがリベラルであり、本来の自由という言葉の意味である。 それに対して一部の人たちが使う自由はフリーダムであり、抑制やバランスのない自由となる。このような自由が反乱すると社会に混乱をもたらすものとなる。


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 渡邉哲也「儲−国益にかなえば経済はもっとすごくなる!」(ビジネス社)
2013819日(月)

 

 

<その3>
◆これは常に大企業が悪いと大企業を目の敵とする、共産党や旧社会党の「欺瞞」ともリンクしてくるわけである。

[コメント]
著者の主張には、こういう抽象的というか感覚的なはなしが多い。革新政党の大企業批判のどこが具体的におかしいのかは、何も言えないのである。 日本社会の最大のタブーは大企業批判であるぐらい、理解してもらいたいものである。

◆東日本大震災で人を救ったのは、間違いなくコンクリートであり、道路であり、箱物であり、公共事業であった。 公共事業を絶対悪とする考え方は間違っていると思う。

[コメント]
公共事業そのものを単純に絶対悪などと考えている人など、この世の中に1人もいない。感情的になりすぎである。 著者のすべての主張が、このように感情的というか思い込みなのである。


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 渡邉哲也「儲−国益にかなえば経済はもっとすごくなる!」(ビジネス社)
2013813日(火)

 

 

<その2>
◆産業におカネをまけば、それなりの乗数効果が期待でき、雇用を下支えし、税収としての税の還元が期待できる。 しかし個人にばらまいた場合この多くが「貯蓄」の形で死蔵することになり、即効性のある費用対効果は期待できない。

[コメント]
個人へのバラマキでも富裕層であれば貯蓄をしてしまうが、大衆層であれば必ずや消費にむかうものである。 このような基本的な事実認識すらできていないとは驚きである。 産業へのバラマキつまり公共事業はGDPの10%〜15%程度であるため、影響力は案外小さいものである。 それに比べると個人消費はGDPの60%になるため影響力は大きいのである。また著者はバラマキという言葉を正しく認識できていない。 バラマキとは、特定の業界や人々におカネを配ることを言うのである。要するに子ども手当はバラマキではない。


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 渡邉哲也「儲−国益にかなえば経済はもっとすごくなる!」(ビジネス社)
2013812日(月)

 

 

<その1>
自民党イデオローグの著作である。 以下本書より印象的な箇所を要約して御紹介していきたい。

◆「スウェーデンの主要産業は言わずと知れた軍事産業である。 人殺しのための戦器をつくり、医療がまともに受けられず、仕事がなくてワークシェアリングに熱心なこの国を、誰が理想の国だと称揚しているのだろうか。」

◆「よく個人情報がどうこう取り沙汰されるけれど自分に非がなければ、別に何のことはない。 だからマイナンバーに反対する人とは汚いやましい金をもらっているか、税金を納めていないか、この二択のどちらかではないだろうか。」

[コメント]
  こういう感覚的な思い込みだけでわめきたてるのが、自民党イデオローグの特徴のひとつである。 国家権力が、個人のどの部分にまで踏み込むことが許されるのかという問題認識がないのである。国民主権という概念が理解できていないのだろう。

◆「アフラックとはアメリカンファミリーというアメリカの保険会社であることは確かなのだが、実はその収益の80%が日本から出ていることを知っている人は少ない。」


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 三橋貴明「2013年大転換する世界 逆襲する日本」 (徳間書店)
2013626日(水)

 

 

<その8>
◆ユーログローバリズムに取りこまれている国は
「国債を自由に発行できず、財政政策を独自で行えない」
「通貨も自由に発行できず、政策金利も独自で決められない。」
「国内の雇用を改善するために関税を引き上げることも許されない。」
「為替レートを引き下げて競争力を獲得することもできない。」
「ユーロ圏内の労働者の移動を自由に認めなければならない。」
などなど自由という言葉を愛する新古典派経済学者が好む「自由」という言葉は、民間企業にとっての自由であり、国家にとっての自由ではないのだ。国家にとっての自由は、国民の自由でもある。少なくとも国民主権国家にとってはそうだ。

◆政府の負債は、国民経済の規模に合わせて積み上がっていくもので、基本的に返済する必要はないものである。もちろん、返済する必要がある負債もあるが、それは共通通貨(あるいは外貨)立ての負債のみになる。少なくとも日本の円建て国債や、アメリカのドル建て国債については、日本政府やアメリカ政府は実質的に返済する必要はない。

◆ギリシャ政府が借りていたお金は、自国では発行できない共通通貨ユーロであり、かつ債権者は、ドイツとフランスの銀行である。現在のギリシャは、ドイツやフランスから緊縮財政を強いられているがこれは両国が自国の銀行を守るためなのである。


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 三橋貴明「2013年大転換する世界 逆襲する日本」 (徳間書店)
2013625日(火)

 

 

<その7>
◆関税と為替レート(の下落)は、生産性が低い後発組が先行組から自由市場、さらには雇用と所得を守るための盾といえる。ところがユーログローバリズムの支配下に置かれた国々は、高生産性の国からどれだけ一方的に輸出攻勢をかけられても、それに対抗する手段をもたないのである。

◆2012年10月7日、スペインの法人税収が金融危機が始まる以前(要はバブル期)と比べ、3分の2近く減少していることが判明した。税収が3分の2になりつつあるのではなく、3分の1近くに減ってしまったわけだから、誤解しないでほしい。
スペインの法人税が減少した原因は、大きく2つ考えられる。
@中小企業の破綻が増加していること。
Aスペインの大企業が国内市場に見切りをつけ、海外に重点を移していること。

◆オランド新大統領は、大統領選出馬に際した演説において、
「われわれの敵には、名前がなく、顔もなく、政党に属してもいません。立候補も選挙の洗礼も受けたこともありません。それでもわれわれを支配しています。その敵とは金融界です。」


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 三橋貴明「2013年大転換する世界 逆襲する日本」 (徳間書店)
2013624日(月)

 

 

<その6>
◆筆者は、ギリシャはユーロから離脱しても輸出できる製品がないのではなく、そもそもギリシャはユーロに加盟していたからこそ外国に輸出できる製品がない、という視点が正しいのではないかと思う。
要するに、一定の為替レートのもとで、ドイツから自動車をフランスから農作物を輸入すればよいため、自国企業のみで満たすべく供給能力を高めようとしなかったのだ。

◆日本の輸出依存型が20%を超えていたことは、高度成長期を含め、戦後は1度もない(戦前はあった。)少なくとも戦後の日本が輸出依存国(相対的に)だった事実はないのである。

◆2010年のドイツの輸出の約4割がユーロ圏、約3割がユーロ圏以外のヨーロッパである。つまり、ドイツの輸出先の約7割がヨーロッパ地域なのだ。

◆ユーロ加盟国間では為替レートが変動しない。ギリシャの1ユーロは対独貿易赤字がどれだけ膨れ上がってもつねにドイツの1ユーロは一定に保たれる。


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 三橋貴明「2013年大転換する世界 逆襲する日本」 (徳間書店)
2013621日(金)

 

 

<その5>
◆実際にはギリシャ人の労働時間はドイツ人よりも長い。ウソを世界に広められたギリシャ人が怒るのは無理もない話だ。労働時間だけ見ると、ギリシャ人は間違いなく日本人やドイツ人よりも働いている。

◆ギリシャ人は日本人やドイツ人よりも長い時間、働いているにもかかわらず、所得は少ないのである。つまり生産性が低いのである。

◆ギリシャ人は消費が大好きだ。ギリシャでもっとも大きな産業は実は観光ではなく小売業である。ギリシャのGDPに占める個人消費の割合はなんと74.5%に達している。ちなみに、日本を含めた先進国では、個人消費がGDPに占める割合は60%程度(アメリカは70%)である。

◆ギリシャ人が(経済規模に比して)これだけ巨大な消費をする以上、ギリシャにおける雇用の担い手は小売業になる。これもまたギリシャ問題の1つなのだがギリシャの小売業は基本的には中小零細企業で、大企業が少ない。


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 三橋貴明「2013年大転換する世界 逆襲する日本」 (徳間書店)
2013620日(木)

 

 

<その4>
◆グローバリズムとは、基本的には供給能力を引き上げ、物価を押し下げる政策である。バブル崩壊後のデフレに苦しむ国がグローバリズムに突っ走ると、デフレは深刻化する。結果的には、失業率が高まり、国民のあいだに不安感、絶望感、閉塞感が蓄積されていき、最終的には民主主義が壊れてしまう。

◆わが国の公共投資はピークの1996年と比べ、すでに半分以上にまで縮小されてしまった。

◆小泉政権下の日本では、大手輸出企業は労働分配率を引き下げつつ、配当金を拡大するという、日本人の気質に合うとは思えない経営方針を貫いていたのである。
日本の製造業の配当金は2001年から2006年にかけてなんと4倍にも伸びているが、労働分配率は下がっているのである。

◆1990年の日本のバブル崩壊はたんなるわが国の国内問題にすぎなかった。諸外国のなかで、日本のバブル崩壊の影響を受けた国は1つもない。それに対し、2007年以降のアメリカのバブル崩壊は、ユーロ危機を引き起こし、世界的な経済の混乱へとつながった。


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 三橋貴明「2013年大転換する世界 逆襲する日本」 (徳間書店)
2013619日(水)

 

 

<その3>
◆もともと「メイド・イン・○○○○」という表示は、外国製品と自国製品とを峻別する保護貿易手法の1つである。そして輸出入の規制は、なにも関税にはかぎらないのである。

◆なぜか昨今の世界ではグローバリズムの名のもとに、主権を飛び越えた制度設計が行われつつある。主権を越えた制度設計とは具体的に何を意味するかといえば、ずばり国際条約だ。国際条約はその国の国内法の上位に位置づけられる。TPPやFTAの条文に合わせて、法律を設計しなければならないのである。

◆アメリカあるいはオーストラリアは国土の特性上、農産業の生産性が日本と比較して極端に高い。農家1戸当たりの平均農地面積は、日本が2ヘクタール(2010年)であるのに対し、アメリカは1860ヘクタール(2008年)、オーストラリアが3068.4ヘクタール(同)である。

◆国土面積は、世界のわずか0.25%にすぎないにもかかわらず、マグニチュード6以上の大地震の2割が集中する。


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 三橋貴明「2013年大転換する世界 逆襲する日本」 (徳間書店)
2013618日(火)

 

 

<その2>
◆発展途上国などが、自国企業、自国製品を成長させ、国内の雇用を改善するには外国製品からの保護が必要である。なにしろ、先進国の製造業に関する生産性は極端に高いので、国内市場で制限なしで外国企業と自国企業と自由競争させると、間違いなく自国企業が負ける。

◆現在、トップクラスの生産性を誇るドイツにしても、19世紀前半にイギリス製品から自国企業を保護することで経済成長を遂げたのだ。(ついでに書くと、じつはアメリカも同じだ。)当時、いち早く産業革命を経験したイギリス製造業の生産性はまさに圧倒的だった。一時は、なんと世界の輸出製品の半分がイギリス製という事態になったのである。

◆近代におけるグローバリズムや自由貿易は、たんに帝国主義諸国が外国市場(あえて植民地とは書かない)を獲得するためのお題目として用いられたにすぎなかった。アメリカのペリー大佐が日本に黒船を率いて来航し、わが国が何を失ったかを思い起こしてほしい。もちろん、関税自主権だ。(日米修好通商条約による。)


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 三橋貴明「2013年大転換する世界 逆襲する日本」 (徳間書店)
2013617日(月)

 

 

面白いと言えば面白いが、ずれていると言えばずれているのが三橋本の特徴である。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆本書は、たんに2013年の行く末を占った本ではない。むしろ、日本という大国の有権者として、2013年をどうするべきなのかを考えるための1冊である。2013年がいかなる年になるかは、今後の日本国民1人ひとりの選択に委ねられているというのが真実なのだ。

◆筆者はみずからの価値観に基づいて、グローバル化は必然的に民主主義を壊す経済モデルであり、国民経済の「国民を豊かにし、安全に暮らせるようにする」という目的に反する悪ではないか、とにらんでいる。

◆グローバル化あるいはグローバリズムとはおもに以下の3つについて国境線を越えた移動の自由を認めることである。
@モノとサービスの輸出入(貿易)
A資本の移動(直接投資、証券投資)
B労働者の移動


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 副島隆彦「浮かれバブル景気から衰退させられる日本」 (徳間書店)
2013611日(火)

 

 

<その3>
◆アメリカのシェールガス革命はインチキである。私はこのように断言する。現在騒がれているアメリカのシェールガス革命は、あと1年で化けの皮がはがれるだろう。
その理由は、地中の深いところにあるシェールガスを取り出す際に、地表の近くにある水を汚すからだ。人間が生きるために必要な大切な水を汚染するような技術はどうせ長続きはしない。アメリカ国内では、すでにシェールガス革命を危ぶむニュース記事がどんどん出てくる。ヨーロッパやロシアからシェールガスの取り出しの危険性がはっきり指摘された。

◆北方四島のうち三島だけ(国後島を除く)日本に返す(面積から言って半分)というような交渉を裏で密かにやっているようである。この話し合いがつけば、日本とロシアは「戦争終結条約」であるところの日ロ平和条約を締結できるのだ。この交渉を安倍・麻生・森3人で必死にやっている。この動きを私は理解できるし、国益重視でこのことをやらなければならない。アメリカはまたしても妨害してくるだろう。しかしその圧力を穢いカネを使ってでもはね除けて、日ロの平和条約締結に今度こそこぎ着けなければいけない。

◆日本の大銀行各行はアメリカ財務省に一札入れさせられていて、「買ってある米国債は絶対売りません。」という約束を取りつけられている。このことは、公然と日本の金融業界で話されていることだ。市場で売れないということは、流動性がないということだ。流動性がないということは、資産とはいえないということだ。


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 副島隆彦「浮かれバブル景気から衰退させられる日本」 (徳間書店)
2013610日(月)

 

 

<その2>
◆@自然災害(大地震、大津波)が来て、A金融恐慌が来て、B戦争が来る。この人類史(世界史)の80年周期で繰り返す歴史の大法則を軽く見ないでください。

◆日本とアメリカの中央銀行がジャブジャブに資金供給を拡大し、その資金を株式市場に流入させていく。それを実際に担っているのがアメリカのヘッジファンドと呼ばれる投機筋だ。これは大銀行の子会社群である金融バクチ集団だ。

◆アメリカは株価が上がり続けないと経済全体が支障を来たす。日本では株式投資をしている人は5%程度しかいないが、アメリカでは普通のサラリーマン層(国民の2割)がごく普通に株式投資をしている。アメリカでは貧困層を除き、多くの人たちが資産の3割とかを株式で持っている。だからバーナンキ議長が無理やりでも株価を吊り上げない訳にはゆかないのだ。


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 副島隆彦「浮かれバブル景気から衰退させられる日本」 (徳間書店)
201367日(金)

 

 

アベノミクスは日米密約でつくられたバブル景気であるというのが副島氏の主張である。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆「安倍政権、50兆円外債購入ファンド設立の見通し。購入の大半は米国債となる見通し。複数証券会社、前日銀副総裁の言」
これは、2013年の1月13日のブルームバーグ(米の金融通信会社の最大手)に出た記事である。

◆なぜドル・円の為替が1ドル80円から96円まで16円も急激な円安になったのか。それは日本政府自身が裏で円資金を売って米国債を買っているからだ。それとアメリカのヘッジファンドという金融バクチ屋たちが、日本政府に呼応し、連携して円売りドル買いを続けているからだ。

◆日経平均株価は円安も手伝って勢いよく高騰している。1万3000円付近までは上昇していく。それから尖閣諸島あたりの中国との軍事衝突らしきものが起きると、秋には日本の株価は下落を始めるだろう。


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 渡邉哲也「これからすごいことになる日本経済」 (徳間書店)
201363日(月)

 

 

<その4>
◆いわゆる新自由主義あるいは市場原理主義的な主張をする人達は、旧来の体制をすべて否定し、構造改革や「グレート・リセット」のような破壊論をふりかざす。
だが、破壊論というのはいちばん危険なのだ。いわゆる「チャブ台返し」が好きな人も多いが、ひっくり返したものは必ず誰かが後片付けをしなくてはならない。そして実はこの後片付けがいちばん大変なのである。

◆現在シャープをはじめ、日本の家電メーカーが経営の危機に陥っている。もちろん、円高によって日本企業が苦しめられたという事実もあるが、もう一つの要因に挙げられるのが強すぎる流通が家電メーカーに行き過ぎた競争を強いていることである。
家電製品を買う場所としてすっかり定着した家電量販店だが、いまは大手5社がほとんどのシェアを握っている状態で、製造元のメーカーよりもこの小売店の方が強い発言力を持ってしまっている。
電機メーカーの業績悪化の最大の要因は、家電量販店の寡占化なのである。

◆社会主義が悪いのかというとそうではなく、社会主義原理主義や共産主義原理主義のような考え方が良くないだけである。原理主義的になるのではなくて、半官半民型の日本型資本主義という形でいいのではないか。そういった可能性について、もう一度見直すべきではないのか、というのが筆者が主張したいことである。


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 渡邉哲也「これからすごいことになる日本経済」 (徳間書店)
2013531日(金)

 

 

<その3>
◆アメリカで売っているアメリカ車は、そのほとんどがアメリカでつくられていない。ところがアメリカで売られている日本車はそのほとんどがアメリカ製だという事実がある。

◆これまで正しいと思われていた「グローバリズム」や「新自由主義」は急速に終焉へと向かっている。
これらは経済において国境をなくし、政府による規制を撤廃し、資本の自由な移動をめざすものだが、その結果が、中国や韓国での外資による資本占領や資本逃避なのである。

◆新自由主義的な考え方やシカゴ学派というのはアメリカではすでに終わった学問になりつつある。それがいま日本の財界やマスコミ、大学での経済学での全盛期を迎えているというおかしな状況になっている。

◆水の量というのは、国家にとって非常に大切で、水量の限界がその地域に住むことのできる人々の限界を示す。水を制するものが国を制するのである。だから世界にとって、もっとも危険な問題は水が不足することなのである。


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 渡邉哲也「これからすごいことになる日本経済」 (徳間書店)
2013530日(木)

 

 

<その2>
◆ユーロを刷ることができるのは、ECB(ヨーロッパ中央銀行)だけである。ユーロ加盟国は、お金を刷る権利を、このECBにすべて預けてしまっている。だから、ひとたび自国で債務危機が起きても、自己都合で通貨を刷ることができないのだ。これは、自国通貨を持つ国が発行した外貨建て国債より危険が高い。

◆お金を刷ることによって銀行がお金を調達しやすくなるので、信用創造は生まれやすくなる。しかし、その本質にある実体経済をどう改変させるかという動きがともなわないとまったく意味を持たないのだ。

◆確かにアメリカがマーケットとしては非常に大きいのは事実だ。ヨーロッパも全体で、それに同じぐらいの規模のマーケットがある。
だが、その次に大きい市場というのは、実は日本である。(中国ではない)

◆いまだに「日本は貿易立国だからグローバル化が重要だ」という人がいるのには驚きだ。日本の輸出依存度は11%程度にすぎず、先進国でも低いほうだ。しかもこれまで20%を越えたことがない。ちなみに2009年の数字で韓国の輸出依存度は43.4%、中国は24.5%、アメリカは7.4%である。要するに日本は外需依存ではなく圧倒的に内需の国なのだ。


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 渡邉哲也「これからすごいことになる日本経済」 (徳間書店)
2013529日(水)

 

 

アベノミクス礼賛本のひとつである。 厳密に言うと著者は安倍首相の支持者というよりも、反民主党・親自民党のイデオローグである。
民主党のやってきたことはすべてあやまりで自民党のやっていることはすべて正しいという考えの持ち主である。安倍自民党を批判する朝日新聞については、次の様に書いている。
「朝日新聞が言うようにアベノミクスの通貨量を増やすということが世界経済に無用の混乱を生じさせるというなら、すでにその手法を使ってきた欧米諸外国を早くから批判すべきだろう。自国批判に徹するところが反日新聞と言われている朝日新聞らしいところである。」(この内容については要約してまとめてある)
要するに、マスメディアの最重要業務が自国の権力監視であるということすら、この著者は認識出来ていないのである。
以下、本書より著者の主張の核となる部分を要約していきたい。

<その1>
◆ドイツはこのユーロ危機をきっかけに「ドイツ第四帝国」を誕生させたい意向があるともいわれているし、実際に、そういう状況になりつつある。
いま「世界の指導者のなかでももっとも影響力のあるのは誰か?」問われると、多くの人がドイツのメルケル首相と答える。ある意味、アメリカの大統領よりも強くなってしまったわけだ。


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 三橋貴明「それでも日本経済が世界最強という真実」 (ワック)
2013522日(水)

 

 

<その4>
◆世界主要国の医療費の状況を見ると、日本の医療費は対GDP比率8%とOECD諸国の中では下から数えた方が早いレベルです。しかも日本の場合、医療費に占める公的支出の対GDP比率が6%以上ですので、国民が実際に支払っている医療費は2%以下ということになります。
ちなみに飛びぬけて高いアメリカの医療費は、対GDP比率で日本の約2倍。にもかかわらず公的支出は日本と大差ありませんので、アメリカ国民の医療費負担はGDPの8.7%にも及ぶのです。

◆東京都市圏の総人口はおよそ3500万人。同一言語、同一文化圏の人間が3500万人も集まっているのですから、考えてみれば途轍もない話です。人種のるつぼと呼ばれるニューヨーク都市圏でさえ約2000万人です。事実、これだけのメガロポリスが地球上に存在したことは一度たりともないはずです。

◆世界最大規模でかつハイレベルな同質性を持った国内市場は様々な分野で熟成された産業を生み出してきましたが、その最たるものはやはり、漫画、アニメ、ゲームなどのコンテンツ産業、ソフト分野でしょう。特に漫画のパワーは、世界を圧倒しています。


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 三橋貴明「それでも日本経済が世界最強という真実」 (ワック)
2013521日(火)

 

 

<その3>
◆日本のエネルギー効率は世界一です。同じGDPを稼ぐのにどれくらいエネルギーを必要とするかを見てみると、主要国は軒並み日本より効率が悪く、アメリカは2倍になっています。極端に悪すぎるのはロシアで、日本の18倍ものエネルギーを要しています。

◆世界各国はどの国も自国の食糧自給率を算出していますが、その際に使われているのは生産高をベースにする計算方法です。日本の農水省はカロリーをベースにした独自の計算方法で行っています。
このカロリーベースでは、日本の食糧自給率は40%ですが、一般的な生産高ベースで計算し直すとおよそ60〜70%程度に落ち着きます。つまり世間一般に思われているほど日本の農業は弱くないのです。

◆日本国内の農業生産高は、中国、アメリカ、インド、ブラジルに次いで5番目に位置しています。広大な土地と人口を持つそれらの大国と肩を並べる、世界第5位の農業大国なのです。


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 三橋貴明「それでも日本経済が世界最強という真実」 (ワック)
2013520日(月)

 

 

<その2>
◆日本は今、デフレだから円高になっているわけで、「デフレで円高」なのではないのです。日本のデフレを解消すれば円高も落ち着きます。日本銀行が国債を買い取る形で日本の通貨を発行し、それを政府が公共事業などの財政支出に使えば、日本はデフレから脱却できるはずなのです。ところが正しい政策には背を向け、効果のない為替介入を繰り返しています。

◆GDPとは、「政府支出」「民間投資」「純輸出」「個人消費」の総和です。不景気でお金を使わない以上、まずは「政府支出」を増やして需要が増えていくように仕向けなければならないのです。

◆「GNI」という指標は「Gross national income」の略で、「国民総所得」の意味です。GDPは「国内総生産」ですから「外国からの日本の所得」が含まれていません。またそれとは逆に「外国の日本からの所得」が含まれてしまっています。

◆経常収支は「貿易収支」「サービス収支」「所得収支」「経常移転収支」の4つを合計したものです。
「貿易収支」とはつまり「財(製品)」の輸出と輸入の収支です。
「財」ではなく、観光や特許使用料、運搬、医療などなど「サービス」の輸出入の収支が「サービス収支」。
「所得収支」とは外国での働いてもらった日本人の給料や対外資産からくる配当金等です。
「経常移転収支」は、外国との援助のやり取りに関する統計です。日本は援助国ですので、こちらは常に赤字になっています。


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 三橋貴明「それでも日本経済が世界最強という真実」 (ワック)
2013517日(金)

 

 

三橋氏の主張の中で、インパクトのあるくだりを本文よりご紹介してみたい。

<その1>
◆中央銀行の国債買い取りで借金をチャラにする手段は、どこの国でもできるというわけではありません。国債の100%が自国通貨建てで、貸し手の95%が日本国民であるためにできる日本だからこそできる必殺技です。特にこの「自国通貨建て」であることが日本政府が破綻しない最大のポイントなのです。

◆世界のほとんどの国の政府は当たり前のように外貨建てで借りています。「絶対破綻しない」と言い切れる日本(及びアメリカ)は、例外中の例外なのです。

◆「円高→破綻」という結論も問題外。何しろ、これまで通貨暴落で破綻した国は山のように存在しますが、通貨高で破綻した国など歴史上一つも存在していないのですから。

◆実のところデフレと通貨高は、「同じ現象」の表裏に過ぎません。国内のモノやサービスに対して通貨の価値が「上昇」することがデフレ(物価下落)であり、外国通貨に対して国内通貨の価値が「上昇」するのが通貨高というはなしです。


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 藤巻健史「ひとたまりもない日本」 (朝日新聞出版)
201359日(木)

 

 

<その3>
◆なぜ日本経済が成長しないのかという問題には、いろいろな理由があるが一番の原因は、貨幣に関した変数であるデフレや円高にある。

(略)

円が3割上昇し、ウォンが3割下落したとしたら、日本企業は韓国企業に7割近いハンディキャップを負うことになる。エルピーダメモリもそれで倒産した。輸出企業に7割もの負担をかけておいて、産業再編や技術進歩でそれを克服しろというのでは、政府も日銀も酷にすぎる。(浜田宏一教授)

◆中国は米国からの人民元切り上げ要求に頑として、応えようとはしません。1980年代の1人民元160円だった頃に比べて12分の1のままです。
これは円高で国力を衰退させていった日本の愚かな行為を学んだからだと思います。

◆私は「年がら年中、円安がいい」と言っているわけではありません。私の主張は「景気が悪い時は円安、景気がいい時は円高!」なのです。

◆米国の自動車労組や農業団体はよく「ドル安を!」と主張してニュースになるのに、どうして日本の労組や農業団体は「円安を!」と主張しないのかずっと疑問に思っています。日本人が為替の重要性に気が付いていない証拠だと思います。


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 藤巻健史「ひとたまりもない日本」 (朝日新聞出版)
201358日(水)

 

 

<その2>
◆金融業とは信用リスク(倒産するリスク)を計りながら、集めたお金を融資するのが仕事です。それなのに、国債という自分たちより破綻リスクの低いところに融資(国債投資)をしているのです。ならば預金者は直接に国に融資(個人国債の購入)をした方がいいに決まっています。預金者の代わりに信用リスクを評価するという金融業としての本来の仕事を、いま銀行はしていないのです。

◆日本のマスコミは、あるときは売上高、あるときは営業利益、あるときは純利益をと、企業にとって都合のいい数字を発表どおりに報道することが目立ちますが、米国はすべて純利益で統一されています。

◆世界がグローバル化して国際競争が起きているとき、利益を上げないと企業は他企業に飲み込まれ、日本人の仕事はなくなっていく厳しい現実がある。

◆日本に住んでいない人についても、預金の利息に、源泉徴収がかかるはずです。米国国債が源泉徴収を廃止したとたん、世界中が取引を開始したのと裏返しですが、外国人は源泉税がかかるのを異常なほどに嫌がります。


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 藤巻健史「ひとたまりもない日本」 (朝日新聞出版)
201357日(火)

 

 

藤巻氏はある種の典型的な財政再建論者である。それと同時に円安推進論者だったので、アベノミックスへの批判は意外である。
以下、本書より氏の主張がわかりやすく書かれている部分を要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆「量的緩和を!」の大合唱は、金融政策も財政政策も最大限行っているにもかかわらず、景気が良くならないフラストレーションが日銀をスケープゴートにしているだけの話なのです。

◆学者先生や評論家先生にはわからないかもしれませんが、私の実務感覚でいえば、これはもうお金が「ジャブジャブ」の状況です。

◆インフレ率を制御できる金融政策とは「金利をいじくる」ことしかないのです。量的緩和とは、暴れ馬を作り出すだけで「益少なくして弊害甚大」な政策なのです。

◆景気を良くするのが最終目標でインフレにすること自体は最終目標ではありません。それなら、景気との相関関係が明確でないインフレ率を日銀が目標にするのは無意味だと思うのです。たしかにデフレだと不景気から抜け出せないのは事実です。しかし逆は真なりではありません。


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 小幡績「リフレはヤバイ」 (ディスカヴァー21)
2013424日(水)

 

 

<その6>
◆最後に、リフレ政策の対案となるべき政策を提言したいと思います。
日本経済にとって必要なのは雇用です。それ以外ありません。なぜなら、人間こそが経済を動かす力であり、社会を豊かにするものだからです。
政策としては若年雇用の確保へ、そしてその質の向上。これに全力を挙げるべきです。
この具体策はまた、改めて別の機会にしたいと思いますが、ひとつの提案は、学校をつくることです。
高等専門学校、いわゆる高専を拡大、充実させます。高専は工業系の学校が多く、日本の技術者のひとつの核となっています。
この高専を工学以外の分野にも広げ、充実させるのです。


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 小幡績「リフレはヤバイ」 (ディスカヴァー21)
2013423日(火)

 

 

<その5>
◆通貨が安いほうがいい、というのは古いのです。なぜ古いのか?
第一に時代が変わりました。世界の先進国は低成長時代を迎え、つまりフローからストックの時代に入ったのです。フローとは毎年の所得。フローの積み重ねがストックで年々GDPの積み重ねが国富、国の資産になるわけです。
ストックの時代には通貨が高いほうがいい。ストックが、つまり資産が高く評価されるからです。
海外の資産や不動産、企業は安く買える一方、日本の資産、企業や土地は、海外の人々が買いたければ、高い大金を払う必要があるからです。
通貨は安いほうがいいというのは1970年代までの古い常識なのです。
時代そのものが変わったので通貨が強いほうがよくなったのですが、日本が変わったことも、日本にとって円が高いほうが国益になる第二の理由です。
日本はもはや超成熟国家です。
高齢化ばかりに話題がふられますが、実はこれまでのノウハウなどの蓄積がものすごい、経済にとって大きな財産が蓄積されています。
これらの財産の評価をグローバルには下げることになる通貨安というのは、問題外なのです。
第三にビジネスモデルが古い。
グローバル企業とは基軸通貨であるドルで経営戦略を考える企業のことです。しかしながらフローで稼ぎ続ける限り、あくまでもどこかで円に換金しないといけません。つまり円思考から抜け出せない。そうではなくて、ストック、資産価値でしかもドルで考えないといけないのです。


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 小幡績「リフレはヤバイ」 (ディスカヴァー21)
2013422日(月)

 

 

<その4>
◆最後にリフレ派だけでなく多くの人が犯している根本的な誤りについて、指摘しておきましょう。
それは、おカネがぐるぐる回れば、景気がよくなるということです。公共事業を闇雲にやること。思い切った規模で財政支出をすること。これらにより、景気がよくなると思っている人が多いようです。
これらの政策は、伝統的なケインズ政策だと思われており、みなが信じていますが、今の日本では逆効果、長期的には日本はマイナスです。
高度成長期までは財政出動して、あるいは金融を大幅に緩和して、景気浮上のきっかけをつくることは効果がありました。
しかし、今は人口減少、経済の成熟化で、成長力自体が落ちていますから将来成長しないという見通しは変わりません。

◆経済学的には通貨は高いほうが基本的にはその経済にはプラスなのです。自国の資産は、ほとんどが自国通貨に連動していますから、国富の増大とは、通貨価値の上昇にほかならないです。


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 小幡績「リフレはヤバイ」 (ディスカヴァー21)
2013419日(金)

 

 

<その3>
◆インフレが経済にとってよい、というのが、リフレ派の根本的な誤りのひとつですが、リフレ派のもうひとつの誤りは起きるはずのないインフレを起そうとしている、ということです。
風自体は金融政策で起こすことはできません。それには実際の需要が喚起されなくてはならないのです。財政政策はその手段のひとつですが、これも国のきっかけにすぎず、風自体は民間の需要、消費や投資が継続的に生まれない限り、吹き続けることはありません。
インフレが起きるかどうかは、需要が強いかどうかにかかっています。そして需要の強さは、所得に応じます。ですから雇用が増え、給料が上がれば需要が増え、その結果、物価も上がってきますが、そうでない限り物価は上がりません。
唯一物価が上がる可能性があるのは輸入インフレです。

◆リフレで株価が上がるのはなぜでしょうか?
株価が上がるのは大きく分けて二つの理由があり、ひとつはとても望ましいものですが、もうひとつはたいへん危険なシナリオです。
望ましいシナリオとは景気がよくなって株価が上がることです。
もうひとつの危険なシナリオとはおカネがあふれることにより株価が上がるケースです。
お金があふれると言っても、金融資産市場にしか行かなくなるのです。資産バブルが起きて終わりです。


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 小幡績「リフレはヤバイ」 (ディスカヴァー21)
2013418日(木)

 

 

<その2>
◆輸出はドル建てで行っているよりも、円建てのもののほうが多いです。日本企業にしかつくれない基幹部品、ニッチであっても重要な部品。あるいは、部品に限らず、非常に魅力的な日本製品。こういったものを日本は数多く輸出しています。
このような力のある製品が多いので、今や、円安で直ちに得をする企業、輸出が増える企業というのは少数派なのです。
一方、輸入のほとんどはドル建てです。理由は、原油などのエネルギー資源が輸入の多くを占めており、その次に多いものも、鉱物資源などの資源と小麦などの食糧だからです。

◆円安は、現在の日本経済にとってはよくありません。長期的には間違いなくそうです。
ただし、短期的にはいい可能性があります。輸出が回復する大企業もあり、その大企業の下請けの中小企業も廃業しなくてすみ、雇用は一部維持され、また株価も上がり、雰囲気がよくなる。ということで「円安もいい」という考え方もあります。
それにもかかわらず、リフレ政策は極めて危険です。それは輸入インフレが起きる可能性があるからです。


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 小幡績「リフレはヤバイ」 (ディスカヴァー21)
2013417日(水)

 

 

リフレとはインフレをわざと起こすことであるが、本書はアベノミクス批判本のひとつである。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して御紹介していきたい。

<その1>
◆なぜ「リフレ政策」が悪いのか。それはリフレが国債を暴落させるからである。国債が暴落するのは、円安と名目金利上昇となるからだ。国債が暴落すれば、大量に保有している銀行は、経営破綻に追い込まれる

◆リフレ政策はインフレをいったん起こしてしまうと、そのインフレが制御不能になってしまうことが問題なのではない。インフレを起せないのに、インフレを起そうとすることが問題なのだ。つまり歪みだけが蓄積し、その歪みが副作用という言葉を超えて、日本経済を危機に追い込むことになる。

◆インフレになれば、景気がよくなるという前提がそもそも間違いで、原因と結果が逆で景気がよくなった結果、インフレになってくるということなのです。


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 高橋伸彰「ケインズはこう言った」 (NHK出版)
201343日(水)

 

 

<その3>
◆私はこうした成長論(年率1%)こそ、現代の日本における「奇想」だと考えている。それでも成長戦略という奇想に未来を託すのか、分配政策を見直し資本主義の純化に歯止めをかけるのか、あるいは資本主義という歴史的システムの崩壊を待つのか。

◆いずれにしても喫緊の課題はデフレ脱却でもなく、財政再建でもなく、資本主義の純化による雇用の不安を止めることである。

◆古典派もマネタリストも、貨幣供給量と物価の間には比例的な関係があり、また労働の需給は実質賃金によって決まると見なした。だから古典派は貨幣賃金の引き下げに応じない労働組合に失業の原因を求め、マネタリストは金融緩和によって物価を上げれば、失業率は減るとケインズが説いたと意図的に解釈したのである。

◆ケインズは非自発的失業の主因は、経済全体の需要不足にあると主張している。実質賃金の高止まりが非自発的失業の原因だと主張したことは、ないのである。

◆いかなる人間知性であろうとも、社会の運行を司る知識のすべてを理解することはできない。だから、人間の裁量的判断(政府)に依存しない自主的なルールに基づく、非人格的メカニズム(市場)が必要だ。―これがハイエクの主張だ。


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 高橋伸彰「ケインズはこう言った」 (NHK出版)
201342日(火)

 

 

<その2>
◆「新自由主義」にはオリジナルな経済思想など何ひとつなく、市場の階級権力の回復のために、都合の良い経済理論を、整合性も体系性もないまま場当たり的に動員したとハーヴェイは指摘している。

◆欧米諸国では高齢者になると経済格差が縮小する傾向があるのに、なぜ、日本では逆に格差が拡大するのかについて経済学者は考察すべきだった。

◆失業率が高止まりを続けても、また労働運動が激化しても、それが大勢の危機にまで発展しない間は雇用の安定よりも企業の利益に直接影響を与える物価安定のほうが、資本主義を体現した企業にとっては重要な問題である。
しかし雇用の悪化が社会不安を引き起こし、資本主義の崩壊にまで発展する危険が高まれば事態は一変する。

◆戦後の日本において1990年代後半に至るまでデフレが生じなかったのは、新規の投資による生産性上昇の成果や春闘による定期的な賃上げを通して雇用者に還元されてきたからである。つまり労働需給の逼迫を背景にして、労働組合が企業の利潤最大化の貫徹に歯止めをかけてきたことがデフレを抑えてきたのである。


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 高橋伸彰「ケインズはこう言った」 (NHK出版)
201341日(月)

 

 

財政危機やデフレ脱却よりも、雇用の安定化の方が日本経済において、より重要な問題であるという著者の主張には共感を覚える。
ただし、どのようにして雇用を安定化させるかという方法論については、今ひとつはっきりしない。
以下、本書よりインパクトのあるくだりを要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆現在の喫緊の課題は、デフレ脱却でも財政再建でもない。何よりも雇用の不安を止めることである。そしてケインズもまた、そのような視点から提言を試みるに違いない。
それが本書を貫く問題意識である。

◆ケインズの「一般理論」は難解であり、誤解されることの多い古典である。本当は「一般理論」が難解なのではなく、多様な人間が営む複雑な経済を一貫した緻密な論理で語ることがむずかしいのである。

◆ケインズは物価が上昇すれば、失業は減るなどという主張は一切していない。

◆「新自由主義」の元祖と言われるハイエクは市場も人間も万能ではないが、それでも市場の方が人間よりもましだと考えた。


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 菊池英博「日本を滅ぼす消費税増税」 (講談社)
201336日(水)

 

 

<その6>
◆新自由主義と共存共栄資本主義の対立軸


■基本理念

○新自由主義:
・大企業と官僚の利益を優先
・従米優先
・中国排除

○共存共栄資本主義:
・国民の生活優先・人間尊重
・親米しかし従米ならず
・アジア重視


■政治

○新自由主義:
・官僚・財務省主導
・行政改革放棄

○共存共栄資本主義:
・政治主導、官民協調
・大胆な行政改革


■経済

○新自由主義:
・デフレ国家化促進、デフレ解消放棄、
内需抑制、成長抑制
・TPP賛成

○共存共栄資本主義:
・デフレ解消優先、内需拡大、成長重視
・TPP反対


■税制

○新自由主義:
・所得税は富裕層優遇
・消費税増税
・法人税最高税率引き下げ
・フラット税制

○共存共栄資本主義:
・所得税は富裕層増税
・低所得者層減税
・消費税引き上げ反対
・景気回復で法人・個人所得の増収
 → 大企業法人税引き上げ
・富裕層増税・累進課税
 → 所得再分配


■社会問題

○新自由主義:
・格差拡大方針

○共存共栄資本主義:
・格差縮小方針


■その他

○新自由主義:
・輸出優先
・人口対策実らず

○共存共栄資本主義:
・国内需要の喚起
・国内経済の振興で人口増加
・育児環境の改善


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 菊池英博「日本を滅ぼす消費税増税」 (講談社)
201335日(火)

 

 

<その5>
◆日本国民の「最大多数の最大幸福」を実現するための基本理念は次の点に求められる。
(1)新自由主義(市場原理主義、グローバリズム)と決別する。
(2)日本国家を再建するため、「官民協調」で再建策を樹立する。
(3)輸出立国から社会立国、福祉国家へ転換する。
(4)産業構造を内需主導型に転換し、「社会的共通資本」の整備・拡充を重視する。
(5)国民の預貯金を日本国民のために使う。
(6)日本国民の雇用を重視する国家理念を確立すること。株主より雇用を優先。
(7)共同体組織で食糧の自給率向上と農業を輸出産業として育成する。

◆21世紀に入って、世界を覆う大きな対立軸は、「新自由主義・市場原理主義のグローバリズム」と呼ばれる思想と、「生活が第一、人間尊重」を基本とする「共存共栄資本主義」思想である。


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 菊池英博「日本を滅ぼす消費税増税」 (講談社)
201334日(月)

 

 

<その4>
◆私は、2012年3月2日の衆議院予算委員会で、通常の予算とは別に「緊急補正予算5年100兆円」を提案した。その提案内容をもとにして長期デフレを脱却する具体的な政策を提言したい。

(1)政策レジームの変更、「デフレの解消」を財政政策の根幹に位置付け、デフレ政策の象徴である「基礎的財政収支均衡政策」を撤廃する。
(2)毎年の予算とは別に「緊急補正予算100兆円、5年間で実行、毎年最低20兆円支出」を準備する。
(3)政府の投資の実行先とは、
@国民の生活に直結した社会的インフラ(環境)の整備と再構築。つまり、橋梁・幹線道路・水道管の更新、公営住宅棟の更新などである。
A脱原発、脱石油を目的とした新エネルギー開発への設備投資・開発投資。「10年間で原発をゼロにする」を目標とする。
B港湾施設の近代化と老朽施設の破棄と新設を進める。
C医療施設の更新、老朽化した病院の更新、最先端の医療機器の開発。
D教育・研究支援費の増額。
E地震・津波対策をベースとした大規模インフラ投資。


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 菊池英博「日本を滅ぼす消費税増税」 (講談社)
201331日(金)

 

 

<その3>
◆「恐慌型デフレ」の解消に成功した国に共通した経済政策は次のとおりである。
(1)財政主導・金融フォローの政策を採ったこと。
(2)長期間、政府投資を継続して実施したこと。
(3)財政再建の数値目標を設定しないこと。
(4)景気回復によって名目GDPを増加させる政策を優先し、債務を圧縮する政策を採らないこと。

◆政府財務省の大罪をまとめてみる。
(1)均衡財政に固執する。
(2)橋本財政改革の失敗を糊塗しようとしている。
(3)増税するために財政危機を煽る。
ここで言う財政危機とは、本来「経済力が落ちて税収が減り、国債を発行しても買い手がなく、金利が上昇していくこと」の意味である。
(4)デフレが解消すると、金利が上がるから財政負担が増えると杞憂する。

◆「日本の財政は純債務で見るべきです。だから政府の債務の実態は、新聞発表の半分に過ぎません。これを記事にするとデスクにボツにされてしまいます。」
「純債務のことを書くと財務省が嫌がってニュースをくれなくなります。」
これは全国紙の記者が私のところに取材に来たときに吐いた言葉である。


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 菊池英博「日本を滅ぼす消費税増税」 (講談社)
2013228日(木)

 

 

<その2>
◆日本のデフレは1998年から始まっており、すでに15年経過しているのに、解消の兆しは全くなく、かえって深刻になっている。近代資本主義に入ってからの長期デフレは1925年に始まって、1932年に終息した昭和のデフレと、1929年10月に始まって1933年4月に終わったアメリカ大恐慌のデフレである。したがって現在のデフレは20世紀以降の最長記録を更新中である。

◆デフレが始まった直前の1997年を基準(100)としてみると、2012年までの累積デフレ率は21%に達している。昭和のデフレも5年間で累積デフレ率は同様の21%に達していたのである。

◆一国の景気動向を見るとき、政府もマスコミもおもに消費動向が増えたとか減ったとかで判断している。しかし、消費は投資の結果に過ぎない。最初に投資が増えれば、事業が拡大され、生産活動が発生し、雇用が生まれ、所得を生み出し、その中から消費が生まれる。

◆私は「日本の財政は純債務で把握すべきであり、純債務でみれば、日本は財政危機ではない」という見解である。


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 菊池英博「日本を滅ぼす消費税増税」 (講談社)
2013227日(水)

 

 

文藝春秋2009年7月号で国内外のエコノミスト25名中ナンバー1にランクされたこともある菊池英博氏の著書である。
以下、重要となる菊池氏の主張を本書より要約して、御紹介していきたい。

<その1>
◆国民の六割が「消費税増税は実施すべきではない」という意見を持つなかで、大マスコミでは、反対派の意見が経済財政面からほとんど報ぜられずに、しかも消費税増税に不利な情報を隠ぺいして、国民を消費税増税やむなしとマインドコントロールしようとしてきたことが確認されている。

◆日本のデフレは恐慌型デフレであり、金融緩和だけでは解消しない。財政支出によって有効需要を喚起し、金融がこれにフォローしていく政策しか解消への道はない。これは、昭和恐慌、米国大恐慌、クリントン大統領の財政再建策の経験から明白である。

◆法人税の引き下げで最大の利益を得るのは、大企業とその株主である。消費税を5%から10%へと倍増すれば、消費税の還付金が3兆円から6兆円に倍増し、3兆円の増加分の多くは輸出額の多い大企業の益税となる。
こうした消費税増税では、庶民から取り上げた消費税が大企業の利益になる仕組みになっており、企業間格差を拡大し、国民の所得格差も拡大する。消費税増税によるデフレの深刻化で一般国民の所得が減り、所得税が減る。大企業は法人税減税と消費税増税の益税で、利益が増加しているのに法人税納付額は減少する。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
2013212日(火)

 

 

<その9>
◆(植草):現在のマスメディア体制は、16社体制と呼ばれています。全国紙と全国のキー局は5社ずつの10社で地方紙の全国ニュースは9割方が共同と時事の2社からの配信ですから、どの地方紙を見ても同じ内容です。どの地方紙も権力側に軸足を置いています。そして「皆様の」NHK、地方ブロック紙の北海道、中日、西日本を合わせて16社になります。このうち地方ブロック紙の中日、北海道、西日本だけが批評精神というか、メディア精神を辛うじて持っているのだと思いますが、この体制の下で、メディアの人の堕落が顕著ですが、どこに原因があるのかよくわかりません。学生の時に高邁な理想を持って役所に就職した人があっという間に変質する。
一番の直接的な原因は人事評価システムだと思います。役所では市民のために貢献する人ではなくて、役所に貢献した人が出世する現実を見ると皆その方向へ行ってしまう。

◆(植草):基本的に小泉・竹中路線とみんなの党と大阪維新は根が共通で、新自由主義的な色彩が非常に強く、対米隷属、対米従属で、大資本とつながっている。だから、いままでの日本の支配勢力をマイナーチェンジしただけにすぎないと見ています。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
201328日(金)

 

 

<その8>
◆(植草):民主党が掲げた、財務省から4Kと呼ばれている政策です。「高校授業無償化」「子ども手当」「高速道路料金の無料化」「農家の戸別所得補償」などです。これらの支出は全部、国から市民に直接給付される財政資金です。いわゆるガラス張りの予算措置でこのようなガラス張りを官僚と利権政治家が一番嫌うのです。
制度によって1円単位までガラス張りなので、利権を取る、財政資金をかすめ取る余地がゼロだからです。

◆(斉藤):僕はね、やっぱり1人ひとりの生活を考えたときに、とんでもない歪んだ社会になるのを怖れるんです。何度も言いましたが、消費税増税で転嫁ができない中小零細が全部潰れる。もともとこの人たちは競争力を奪われているし後継者はいないしで、もうこれ以上やっていけなくなりますから、どんどん廃業するでしょう。そもそも自営業とか零細企業という業態そのものが成立できなくなる。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
201327日(木)

 

 

<その7> ◆(植草):権力者が利権の構造を維持するためには、国民には眠っていてもらいたいと思うでしょう。マイケル・ムーアの映画の中に「権力が現れるものは、国民の教育、健康、そして自信だ」という言葉が出てきます。この3つを奪うことが民衆を支配する手法だというわけです。

◆(斉藤):僕は今まで日本社会に対する異議申し立てばかりしてきたんですが 、そういう立場からして見ると不思議に思うことが多々あります。世の中には優秀な人、いっぱいいますよね。仕事ができて度胸もある。だけどみなさん、自分 の所属する組織や集団に対しては驚くほど従順な人です。わずかな葛藤さえもない。ちゃんと保身することも大事なんだけど、保身以外の関心がないという社会というのはいくらなんでもちょっと異常だと思います。

◆(植草):財務省の本音は財政赤字拡大が官僚利権切り込みを強要する事態を恐れ、先回りをして増税してしまおうということなのでしょう。さらに輪を掛けておかしいのは、増税方針が本決まりになった途端に10年で200兆円の公共事業を実施するかどうかという国土強靭化法案が出てきたことです。これが財政危機説がねつ造であることの最大の証拠です。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
201326日(水)

 

 

<その6>
◆(植草):先ほどの競争の例えで言えば、生まれたときにゴールを切っている人と、一生かかってもスタートにすらたどり着けない人を競争させて、「頑張った人が報われる社会」だと宣伝されることになりかねません。

◆(斉藤):富裕税はぜひ導入すべきでしょう。大地主に対しては固定資産税の拡大も必要だと思うし、相続税もそうだと思います。相続税は、最近拡大の方向だというんですが現実には、「下」に拡げさせているだけじゃなんじゃないですか。今までだったら相続税を払わないで済んできた人のほうに拡げているだけで「下」からむしろうとする。この方向ではなく、とんでもない億万長者の人からもっと取るという方向に向かわないといけない。

◆(斉藤):消費税に頼らない財源の基本的な問題は、応能負担でいくべきだということです。応能負担の原則で仮りに財源が本当に足りないんであれば、消費税以外の増税税目というのが決まってくる。それは所得税の累進の強化であり法人税の適正化であり例のメガバンクみたいなところからとる。彼らは公的資金を注入されながら税金は取られないみたいなアホなことになっている。それと宗教法人課税を適切に行う。大雑把にいうとこんなメニューが考えられると思います。
消費税はまさにその応能負担とは正反対であり、応不能負担原則みたいになっちゃっている。新自由主義イデオロギーの下で消費税を基幹税にするということは、弱い者いじめを社会の規範にするということです。
能力がないところに課税をして、無理矢理頑張らせて払わせるか、でなければかろうじて持っている資産を売り飛ばせて払わせるか、全部差し押さえるか・・・まさに強盗そのものの税制なのが現状だと思いますね。それの反対を行くべきだと思います。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
201325日(火)

 

 

<その5>
◆(斉藤):通産省のキャリア官僚OBに取材をしたのですが、高度成長が果たされた最大の要因は何かという質問に対して、二つあるっていうんですよ。一つはほとんどギャグなんだけど、「わが省の産業政策」(笑)。もう一つは「戦争です」って。
注:ここで言う戦争とは朝鮮戦争とベトナム戦争のこと。

◆(斉藤):もともと家柄に恵まれていたわけではない学歴エリートが出世するには、お金持ちが言いたいけど言いにくいことを代弁することで引き上げていただくしかないのかな。最近の僕はそういうふうに考えては、この世の中の無常を感じるようになってきた。
要は、いま言われている成長論というのは、どこまでも大資本の利益のためだけにあるのであって、けっして社会全体のための成長ではない。このままではパイの全体が拡大しても、大企業に丸ごと持って行かれてしまうので、普通の人間にとってはほとんど意味がない。

◆(斉藤):会社を上場させて、株式を分割して、株価を吊り上げて錬金術のように巨大な不労所得を得る。これを竹中平蔵さんは「頑張った人」と呼んだわけです。これは「頑張った」のではなく「うまいことをやった」にすぎません。「うまいこと」をやるために、法律の抜け穴をくぐってきているかも知れません。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
201324日(月)

 

 

<その4>
◆(斉藤):軽減税率の問題は必ず全ての業界が●の業界は、軽減税率にしてくれと言い出すでしょう。ということは財務省の天下りのやり放題になるわけで、汚職だらけの世の中になるということです。

◆(斉藤):これも国税庁の資料です。毎年発生する、新規発生滞納額ですが、いまだいたい全体の半分なんですね、消費税の滞納が。国税収入に占めるウェイトと滞納の割合が同じぐらいというならわかりますけど、消費税のウェイトは20数%程度なんですからね。一方では法人税、所得税の滞納ははるかに少ないわけです。つまり消費税は仕組み自体に無理がありすぎるから、払うにも払えないが滞納が多いということでしょう。

◆(斉藤):実態は弱肉強食なんてものではない。はるかに邪悪な、汚らしい意図がね。大店法(大規模小売店舗立地法)のときなんかはまだしも、「イコールフィッティング」という建前があったじゃないですか。大手も中小も対等の立場で競争が行えるように基盤・要件を同一にするという。とは言ってもホンネの部分はカネのある方をより有利にしようってだけの話なので、僕はそのロジック自体が気にくわないんだけど、でも消費税は「イコールフィッティング」どころじゃなくて、弱いほうにもっぱら負担を強いることを前提としています。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
201321日(金)

 

 

<その3>
◆(斉藤):戦前と今と何が違うんだか。戦前は「国家無問責」という言葉があり、官僚は天皇に責任を負っているのであって、国民に負っているのではないとされた。だから公権力の行使に当たる行為によって市民に損害を加えても国家は責任を負わなくてもよい、とされたわけです。

◆(植草):これらの問題を通じて私が痛感するのは、日本の行政権力の中での法務省と財務省という2つの官僚機構の権力集中です。
法務省というのは検察庁を通じて基本的人権の根幹のところの身体の自由を制限し拘束する強制権力を持ちます。もう1つが財務省です。財務省の強権の背後には国税庁による刑事告発権があります。相手が政治家でも財務省が国権を使って攻撃しようとすれば基本的に何でもできる。

◆(斉藤):源泉の目的は戦争遂行のため増税・大衆課税化に収れんされます。明らかにナチスの真似なのは年末調整です。

◆(斉藤):僕はインボイスにも反対です。というのは、納税義務者が仕入税額控除を受ける関係でインボイスで身元をあまりにもはっきりさせてしまうと、非課税事業者から誰もものを買ってくれなくなるからです。
インボイスの導入はすなわち、非課税の1000万円未満の事業者を潰すのと同義になってしまう。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
2013131日(木)

 

 

<その2>
◆(植草):増税の目的は官僚利権を維持するための財源確保策である。官僚機構にとって何よりも大事な官僚利権を維持するには財源が必要です。このまま財政事情の悪化が深刻化すると、いよいよ官僚利権を切らなければなくなる。そうなる前に、予防的に大増税で財源を確保しておこう。これがいま消費増税を強引に進めている本当の理由だと思うのです

◆(斉藤):財政危機論についてですが、消費税増税反対ってやると必ず、じゃあ財政財源をどうするんだという反論が返ってくる。財政危機というのは財務省がそうアナウンスしているだけのストーリーなのに、どうしてそんなのが問答無用の大前提になるのか。お前も少なくとも素人で何も知らないくせに、何でそんなに無条件で信じ込んでいるんだと思う。

◆(植草):財政再建を実現するためには、構造赤字と循環赤字を明確に区別して、適切な手順で対応することが絶対に必要なのです。具体的には、まず景気回復によって循環赤字をなくす。そして景気回復を実現させたうえでムダな支出カットや増税などで構造赤字を削減する。この手順を確実に守ることが鉄則なのです。


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 植草一秀×斎藤貴男「消費税増税「乱」は終わらない」(同時代社)
2013130日(水)

 

 

<その1>
◆(斉藤):広島の原爆の日の平和祈念式典の後の記者会見で菅さんは「核抑止力はわが国に必要」だと平然と言い放ちましたよね。自民党の総理でもそこまで言えなかったようなことを、わざわざ原爆を落とされた日の広島で言った。市民運動家でも何でもないじゃないかと思ったことがありました。

◆(植草):菅さんは総理の椅子を掴むために、財務省と結託すること、アメリカと結託することを軸に置いたと思われるのですが、同じ時期に広がり始めたヨーロッパの債務危機に乗じて財務省が日本の財政危機説を菅さんや野田さんに洗脳していったのだと思います。

◆(植草):一般には民主党政権に期待はしたが、国民は裏切られたと言われていますが、これは事実誤認です。そうではなく、2009年9月に政権交代が実現したが、この「革命」政権は2010年6月に倒され、守旧政権が樹立されたというのが正しい。菅直人政権、野田佳彦政権は、旧政復古政権であり、この2つの政権による施政が国民の期待に反していることは必然なのだと思っています。


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 柴山桂太「静かなる大恐慌」(集英社新書)
2013110日(木)

 

 

<その3>
◆保護主義への要求は、アメリカやヨーロッパなど先進国においてすら、きわめて強いものがあります。そして、その動きは完全な自由貿易の実現を目指そうとすればするほど、反動として大きくなるのです。

◆日本はこの20年間で輸出依存度をほぼ2倍にまで増やしました。その結果、グローバル経済全体の景気が好調なときには成長し、グローバル経済が少しでも減速すると激しい景気後退を体験するショックに対して脆弱な体質になってしまったのです。

◆グローバル化が進むほど政府規模は大きくなるという実証研究があります。同じ先進国でもヨーロッパは日米に比べて「大きな政府」、つまり政府支出の規模が大きいという特徴があることはよく知られています。それは戦後ヨーロッパの域内貿易が盛んになったことの帰結なのです。

◆日本を「大きな政府」路線へ切り換えていくことなしにグローバル化がもたらす経済社会の不安定化に耐えることはできません。「小さな政府」を続けながら、グローバル化を進めることは不可能なのです。


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 柴山桂太「静かなる大恐慌」(集英社新書)
201319日(水)

 

 

<その2>
◆二度のグローバル化に共通しているのは輸出を中心に成長する新興国が急激に台頭してくること。そしてひとたびショックが起きたときは、大きな打撃を受けるのも新興国であるということです。

◆ケインズは、政府による適切な需要管理が海外市場をめぐる国家の剥き出しの争いを防ぐためにも重要だと説いています。世界的な不況が持続すると、輸出や海外投資によって外国の需要を取り込む動きが、各国の対立を激しくします。国家間の対立を避けるためにも、各国が主体的に内需を拡大するしかない、と考えたのです。

◆グローバル化のもとで人々の不満を抑えるためには、政府規模の拡大は、ほとんど不可避となります。新自由主義がいうように、グローバル化のもとで、「小さな政府」にすることは、社会的な不安や不満を大きくし、政治を不安定にする可能性が高いといえます。


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 柴山桂太「静かなる大恐慌」(集英社新書)
201318日(火)