ナチュラルヒーリング研究会
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Johhny K Moritaka
2004.6.18 vol.18

ボランティアで仲良くなった女の子が天に帰りました。20歳頃の事故で首から下が付随になり、10年間ベッドの上で生き続けてきた命です。僕と同じ気管切開で、声も出なくて、ただ頭だけを動かす生活が終わったのです。彼女に捧げるメルヘンの第2話です。
生まれ変わるということ
ひとは生きている内に何度か生まれ変わるものでしょうか。
先日、教育テレビの「トップランナー」という番組で、ギタリストの布袋寅泰さんが、一歩間違えば助からなかった転倒事故を振り返って、「あの事故で生まれ変わった、試練を与えた神があるとすれば、その神に感謝している」と話していました。管理人は彼の言うことがわかります。自分も生まれ変わったからです。それは4年前のことですが――。
人生の師と仰ぐ芹沢光治良の名前を初めて聞いたのは、先生の友人でもある湯川れい子さんの知人からでした。その後、一読して芹沢文学に魅せられ、世界で初めて芹沢氏のHPを開設したのです。丁度このナチュラルヒーリングのHPを作成するのにホームページ作成を勉強したばかりで、喜々として創り上げたものでした。
このホームページ、最初は全く趣味の域でしたが、作家の懐の広さから世界に広がり、今では遠くパリ、ケルン、リヨン、ロンドンなどにもホームページの読者があります。
開設2年目の夏、軽井沢にある芹沢氏の山荘を初めて訪ねました。ホームページにこの山荘の写真を掲載するためです。写真を撮らせてもらうだけのつもりでしたが、中には丁度お孫さんがいらっしゃって、芹沢文学など読んだこともない友人二人も一緒に招き入れて、親しくお話を聞かせてくださいました。
それから2ヶ月後、未知の婦人より手紙が届きました。差出人は軽井沢でお会いしたお孫さんのお母様、つまり芹沢氏の娘さんでした。芹沢氏の故郷沼津で芹沢文学の集いがあり、そこで親しくしている紳士から「芹沢文学のHPを開いている森高さんという青年がいる」と紹介されたそうです。その方は、ホームページを通して親しくして頂いている方でした。
お母様は家へ戻り、軽井沢の山荘の記帳簿に目を通していると、集いで聞いた名前があって、娘さんにも聞いたのでしょう。「山荘にも訪れてくれたそうで、私は先に帰っておりまして、お会いできなくて残念でしたが、ご縁が在ればお会いできますね」という内容でした。
葉書が届いたその日にお返事を書きましたが、その直後、胸に痛みを覚えて入院したのです。診察した医師は「もう手術をしても助かりません。申し訳ないが手術はできません」とはっきり父に告げました。その頃までに、3度の大手術を全て受け持ってくれた医師がそう言うのだから、これは天寿であると父も諦めて、ただありがとうございましたと頭を下げました。
その翌朝のことです。医師が僕の枕元に来て「手術したいか」としみじみした口調で聞くのです。「ええ、お願いします」と答えると、「じゃあやるか」と呟いて、部屋を去っていきました。父は後に何が起こったかわからなかったと話しました。
難しい手術は成功。僕は夢を見ていました。病室の外に天理教の2代目教祖井出クニが夫の勘治郎と共にいました。どうやらもう一度やってみろと言ってくれています。ここで断っておくと、僕は無宗教ですが母は創価学会です。日蓮上人を信奉し、子どもの頃は毎日のように法華経を唱えるよう強いられたものでした。
術後のながい眠りから覚めると、父が1通の封書を持ってきました。差出人は芹沢氏の娘さんです。封を切ると、中からマリア様のメダルとマリア様に抱かれたイエス・キリストのカードが出てきました。手紙の消印は手術当日――。
それから退院までの間に体験したことは、書く術を持ちません。ただ言えることは、自分でさえ気づかないようなこころの奥底に秘めていることまで知っている存在が、常に自分と共に在るということです。僕はこの時から生まれ変わったのでしょう。それまではひとりで生きてきましたがそれからはその見えない存在と対話しながら生きているのですから。
芹沢氏の娘さんから、子どもの頃に井出クニに可愛がられたという話を聞いたのは、それからずっと後のことです。この綴れ折りの糸は、どこまで遡っていけばいいのでしょう。山荘を訪れたこと、HPを開いたこと、初めて芹沢文学を手にしたあの日――。
「ひとというのは、ただ素直に生きていけばいいのではないだろうか。必要な時に必要なものが与えられるのだから。そうやって生きていく中で、自分の力ではどうしようもないと感じる大事にぶつかることもあるかもしれない。長く長く堪えなければならないつらい時もあるかもしれない。だからこそ、そうなる前に自分の望む生き方を見つけることが、ひとの使命ではないだろうか。その道がどんなに些細な道に見えても、真に天にかなった生き方であれば、いつか地道にこの世界を変えていく力になるのではないだろうか」
そんな事をぼんやりと考えて空を見上げていると、どこからか形のない想いが降りてきます。
「どんな時も、強く生きてください。平和なこころを、強い意志で、この世界の仲間たちと――」
自由になって何をしていますか。やりたかったことをみんなやってるのかな。いっぱい喋ってるかな。オシャレもしてるのかな。短い間だったけど、ありがとう――。
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