書名:かかし長屋 浅草人情物語
著者:半村良
発行所:祥伝社
発行年月日:1999/6/20
定価:590 円+税
住人がかかしのようにボロを着ているところからかかし長屋。江戸時代の浅草が舞台。証源寺の先の住職が貧乏長屋をもう少しましな割り長屋を作って、市井の人々を住まわせ、仕事の世話、病気の世話などをおこなって、酷い生活はこれ以下にはなるなと住民を応援している。そんな長屋に住む人々の人情噺。流行っているお菓子屋へ嫁に望まれるかかし長屋にすむ娘を我が事のようにみんなが応援する。貧乏ではあるけれど忘れてはいない人情溢れる生活を半村良の文章に踊らされながら読み進んでいく。江戸言葉で人と人のやり取りなど落語を彷彿とされる人情小咄になっている。みんなで持ち寄って酒を飲む場面など良い感じがする。その場に自分も行ってみたいような気にさせてくれる。
本書より
-----------------------------
走る走る、和尚が走る。坊主と乞食は走らないなどと、わけ知り顔に言うのは嘘だ。・・・中略・・・走る走る飛ぶように走る。走る和尚は人助け。かかし長屋を守のが、いまは生き甲斐になっていて、柴田までが守られる。走る走る和尚が走る。和尚は走って良い気分らしい。