書名:不等辺三角形
著者:内田 康夫
発行所:講談社
発行年月日:2010/4/20
ページ:365頁
定価:1700円+税
内田康夫の浅見光彦シリーズ、この作品は 作家生活三十周年&講談社創業百周年記念書き下ろし作品とか。このシリーズのおもしろ所はあまり有名でない地方の街などが出てくる。そしてその街に興味を抱いてしまう。今回は奥松島、丸森(宮城県南部)など。
名古屋の旧家の別荘として建てられた「陽奇荘」に長い間置かれていた仙台箪笥の修理を依頼された箪笥職人の井上孝夫・邦香父娘は仙台から箪笥を引き取りに行く。帰りに近くのコンビニで「陽奇荘」の箪笥の噂を聞く、幽霊箪笥と呼ばれていると。しばらくしてこの箪笥の修理を依頼した中沢こと(柏倉)が中川区の運河で死体で発見される。井上孝夫は箪笥を解体する内に五言絶句が書かれた古い紙きれと箪笥の板に「在不等辺三角形之重心」が書かれているのを発見する。また幽霊箪笥を見せて欲しいと行ってきた男が奥松島の海に浮かぶ。
浅見光彦は旧家の持ち主、名古屋の有名な百貨店の社長から真相究明を兄を通じて依頼される。五言絶句と「在不等辺三角形之重心」という謎の一文に疑問をもった。二つの死と漢詩を結ぶ接点とは!?
「陽奇荘」は戦前有名人、財界の重鎮、中国、朝鮮からの留学生など多士済々の人々が集っていた。そんな中に「汪兆銘」がいた。「汪兆銘」の謎も絡んで物語が進んで行く。いつものように気楽に読める作品です。