書名:55歳からのフルマラソン
著者:江上 剛
発行所:新潮社
発行年月日:2012/5/20
ページ:184頁
定価:680円+税
日本振興銀行の経営破綻による混乱のさなか、代表執行役社長(当時)小畠晴喜(江上剛)はふとしたきっかけで走り始める。ストレス続きで精神的にもどん底だった小畠晴喜は五十代半ばを過ぎたメタボの高年者。著者が走ることについてのエッセー集。まだ2,3年の経験ですが、走ってる人にとってはなるほどとうなずきながら読める気楽な本です。走り始めて半年でフルマラソンに挑戦する。
仲間との走りながらの無駄話、男、女、肩書きなど全く関係ない、そんな近所づきあいに目覚めた著者、仕事一辺倒だった男は近所の人たちとはつきあい方を知らない。また興味もない。ただ50代にもなると会社、仕事以外の知り合いはいない。ただ走るという単純な行為、だけに集う人々を生き生きと書いている。仕事の同僚のAさんは経営破綻による混乱に巻き込まれて自殺してしまう。
著者がそうならなかったのは「走る」ことを見つけたことだと言っている。ちょっとマラソン賛歌的な感じもするが、なかなか面白い。また著者の得意のビジネスとしてのフルマラソンブーム。「走る」というイベント、マラソン大会に参加して走る人。走る人を迎え、応援する人。そのプラットホームをコーディネイトすることで走る人、迎える人(街)に楽しく喜んでお金を使って貰える街おこしが出来るのでは?含蓄のあることが書いてある。気楽に読める一書です。
本書より
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「マラソンは誰がやっても、いつから始めても、ただがむしゃらにやれば、結果がついてくる。それも魅力の一つなのだ。」
「プロセスが、確実にタイムにつながる(素人レベルでの話ではあるが)のがマラソンなのだ。・・・練習は裏切らない。プロセスはタイムへの道、それがマラソンだ。/世の中複雑すぎる。人脈や情報や何やかや、努力以外のことが多すぎる。努力すれば、真面目にコツコツやれば幸せになれると言うほど、世の中は甘くない。そんなことはわかりきっている。しかし、マラソンの中には、コツコツ努力すれば報われるという誰もが信じている、信じていたプロセスがあるのだ。」
「マラソンは唯一、過去の自分だけがライバルだ。」
江上 剛(えがみ ごう、1954年1月7日 - 、本名小畠晴喜(こはた はるき))は、兵庫県氷上郡山南町(現・丹波市)出身の日本の作家、コメンテーター、日本振興銀行元・取締役兼代表執行役社長。元みずほ銀行築地支店長。)