書名:蒼穹の昴(上)
著者:浅田 次郎
発行所:講談社
発行年月日:1996/4/18
ページ:351頁
定価:1800円+税
書名:蒼穹の昴(下)
著者:浅田 次郎
発行所:講談社
発行年月日:1996/4/18
ページ:412頁
定価:1800円+税
この本は中国の清朝末期、西太后と光緒帝の時代、清王朝の息も絶え絶えの時代、西欧と日本という近代列強に目をつけられた清朝の最後の時代の話です。主要は人物は素封家の次男坊(妾の子)で科挙の試験を受け進士なる梁文秀、どんどこの貧乏の出自から、自らを去勢し、宦官となる李春雲やがて梁文秀は光緒帝に仕え李春雲は西太后に使える。中国王朝で立身出世していく典型的な過程を二人が辿る。
清朝内部の西太后と光緒帝という施政者である叔母と甥の物語である。
その二人と役人、宦官、軍人などが虚々実々の活動をする。そして世界の動きは欧米列強、日本の動きも活発になっていく。清朝の内部崩壊の過程を綴っている。史実とフィクションを織り交ぜて描かれている。李春雲(春児)は小徳張、梁文秀(史了)は梁啓超という人がそれぞれのモデルではないかと言われている。清朝の絶頂期に君臨した乾隆帝、このとき中国の領土が最大になる。乾隆帝の時代は良い時代、西太后の時代は腐った時代として描かれている。
中国の社会の制度が定着して、融通の付かない時代になってしまった。科挙の制度、宦官の制度、若き光緒帝は改革に意欲を示すが、保守的な腐った役人は誰も付いてこない。そしてまたしても西太后が政権の座に戻ってくる。清朝末期の王朝の内部を詳しく描いている。知らなかったことも多く興味を持って読んだ。登場人物が多く、覚えにくい名前が多い、また超長編で読むのに時間がかかった。