書名:日本人の忘れもの
著者:中西進
発行所:ウェッジ文庫
発行年月日:2009/9/11
定価:667 円+税
奈良県立万葉文化館長の著者が二十一世紀はこころの時代と、日本人がわすれてきたものをひとつひとつ挙げながら、解説してくれる。「まける」では「負けるが勝ち」、値段を安くして貰うことを負けて貰う等、相手に活かされる道を探ることを重視してきた日本人。今は勝つことばかり、儲けることばかりに走っている。「かみさま」隣からのもらい物、必ず神棚に供えて、後で頂く習慣、お下がりという。八百万の神がいる。神仏分離がよくて、神仏習合は時代遅れと葬り去った明治以後、どんどんかみさまが消えていく。どこかに忘れてきたのでは?
京都に帰省するときに新横浜駅で出会った一冊の本です。万葉集などの研究などされている方で、なかなか鋭い視点で時折ビックリしたり、感動したりしながら一気に読んでしまった。これもご縁ですね。
本書より
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二十一世紀はこころの時代
「お下がり」は
神さまからのいただきもの、
神棚は聖なる場所、
心のよりどころだった。
神棚をなくし、
よりどころを失った
日本人が心ゆたかに生きるために
思い出すべき
ことばの花束二十一章
かつでの日本人は、こころの豊かさを持っていた。だが物質文明の発達によって、多くの日本人が心のゆたかさをどこかに忘れてきたのではないだろうか。人間を尊重する心のゆたかな社会をつくってゆくために、私たちが心がけるべきことは何か。古代から現代をつらぬく日本人の精神史を探究し続けてきた中西進が、すべての日本人に贈る言葉の花束二十一章