韓国旅行記 【友達と会う韓国旅行4】


1997年5月 2日(金)

モギョクタンへ

 さてさて、今日は「朝からCDショップ巡りだー」と張り切って起きたはいいけど、案内役のYUKI会長がいつまでたっても起きてこない。昨日遅かったんだろうか?とりあえずぼーっとしててもしょうがないので、あしやんと二人で「モギョクタン」(沐浴湯:風呂屋)に行くことにした。今、宿泊している「カンファジャンヨグアン」にはこの「モギョクタン」が併設されているのだが、あしやんのたっての希望もあり、近くにある別の「モギョクタン」に行くことにした。

 カンファジャンの前の道を渡り、路地に入ると欧米系バックパッカー長期滞在者(沈没者?)のメッカ、ロンリープラネットルートの「デウォンヨグアン」(大元旅館)がある。この並びにある「モギョクタン」に行くのだ。二人して歩いていくと早速金髪のねーちゃんが「デウォンヨグアン」から出てきた。「おおおお、風呂に行くんかー」と2人で後をつけて(いや、ナチュラルに僕らの前を歩いているのだ。僕らも風呂屋に向かうのだから)行くと、そのねーちゃんは風呂屋に入らずにすたすたと去っていってしまった。しかしかなりラフな格好だし、どこに行くんだろう?気になったけど、まぁ仕方ないので風呂屋に入った。

 風呂屋は、まぁ、普通の規模といって良い広さだった。受付で金を払って中に入る。ちゃんと散髪するところもある。ロッカーに服を入れて風呂の方に向かった。
 風呂場もまぁまぁの広さだ。サウナもある。アカスリ台ももちろんあって、既におじさんがゴシゴシとやられていた。とりあえず体を洗ったり湯船につかったりする。サウナの方は熱すぎて入れなかった。因みに韓国の風呂屋は大抵サウナがついている。そういうもんらしい。
 う〜ん、アカスリやってもらいたいなーと思って見ていたけど、当分終わりそうにないので諦めて帰ることにした。ついでに休憩室を覗いてみたら、案の定、朝っぱらから寝ている人が数人いた。休憩室とはサウナの仮眠室を想定してもらえればぴったりだ。しかしこれは本当に謎だ。何で朝から寝ている人がいるんだ? 韓国最大の謎かも知れない。

 帰りがけに近くの「ほかほか弁当屋さん」で朝飯を買う。二人して弁当をぶら下げて帰ってくるとYUKI会長もお目覚めのようだった。会長の部屋で二人して弁当を食いながら今日の予定などを話し合う。そのうちYUKI会長が、

 「ちょっと風呂に行って来るから」

と言い残して部屋を出ていってしまった。それからかなりの時間うだうだとしていたけど、会長が帰ってきたのにあわせて、YUKI会長、あしやん、僕の3人でCDの卸屋さんに向かった。


セウンサンガでCDあさり

CDショップ カンファジャンヨグアンから歩いてセウンサンガ(世運商街)に向かう。鍾路沿いにずっと歩いていけばいいのだ。地下鉄1号線の「鍾路3街」と「鍾路5街」の間、宋廟の正面だ。
 途中で昨日行った「バラックのどぶろくの店」の場所を確認ながら歩いていくと、間もなくしてセウンサンガが見えてくる。CD屋は鍾路沿いにも数軒あった。確かに安いようだ。ヒットチャートのボードなどがないので、現在、何が流行っているのかとかはよく分からないが、あらかじめ買いたいものが決まっているのだったらここに来た方が安い。

 数軒あらして、CDを何枚か買う。裏通りの方にも回ってみると、やはり安売りのCD屋が数軒あった。確かにこの辺りは安いようだ。しかし韓国人自体もこういうところに安売りの店があるってことを知らないかも知れない。要チェックポイントだ。(注:この当時は、この辺りに問屋が並んでいましたが、今はどうか分かりません)

 今回CD屋巡りをして面白かったのは、韓国もの、西洋もの以外に中華(香港・台湾)もの結構売られていたことだ。結局僕は「フェイ・ウォン」の「天空」1枚しか買わなかったけど、アーロン・クォックを始めとする四天王関係や、ヴィヴィアン・チョウなどのヴィジュアル系までそれなりにそろっていた。状況としては日本と同じくらいなのではないだろうか? いや、スターTVが見られることもあるのでそれ以上かも知れない。
 お昼も過ぎてきたので3人でメシを食い、そこで午後に別の用事のあるYUKI会長と別れた。


【東大門市場でマンガ店巡り】

 ここからは「あしやん」と2人でマンガ店巡りだ。マンガ店はトンデムンシジャン(東大門市場)の西の端近くにあった。鍾路の通りからすぐ見えるところにある。気をつけて歩いていけば、見つけることができるだろう。

 ここへは、あしやんの案内できたんだけど、実は一度来たことのある店だった。なるほど彼が言っていたのはこの店だったのか。などと思いながら店に入り、物色を始める。

 僕の第一の目的は高橋留美子著「めぞん1刻」の韓国語版「ドレミ ハウス」(右の絵)の最新刊までを買うことだった。探してみると13巻まで出ているようだった。1軒目は全巻そろっていないのでパス。2件目でセットになっているのを発見、購入することになった。その店では12冊で10冊分のお金しか取らなかった。割引販売をしているらしい。

 実のところ、マンガは韓国語の中でも「パンマル」などの話し言葉の勉強には最適なんじゃないかと思っている。もちろんTVドラマなどが一番いいのだけれど、聞き取りが難しい場合が多い。字幕付きというのもそれ程ない。それに比べてマンガは状況も「絵」でわかるし、こういう場面でこういう表現を使うのだなと「字」を見て理解することができる。ドラマを見て耳を慣らすのと同時に、マンガで表現のバリエーションを広げることができると思っているのだ。

 ところで、あしやんの方も何冊か買い込んでいた。これであしやん君の韓国語の実力も少しは上がることだろう。
 僕は目的のものを買い終えたのだが、あしやんの方はまだ買いそびれているものがあるようだった。なになに? え?
「動物のお医者さん」

 なるほど「動物のお医者さん」かぁ。面白いマンガだ。実は僕は少女マンガフリークでもあるのだが、ま、それはおいておこう。とにかく一緒になって探してみたけど、それらしいものはなかった。そもそも「動物のお医者さん」の韓国語の題名はなんというのだろう?

 「なぁ、あしやん。韓国語の題名はなんての?」

 「いや・・・・わからん」

 「わからんって、どないして探すん。聞いてけーへんかったん?」

 「ん・・・・・」

 「じゃ、お店の人に聞いてみたらいいじゃん、韓国語で」

 「・・・パイザさん聞いてよぉ・・・・」

 ということで店の人に聞いてみることにしたけど、どうやって説明すりゃいいんだ?とにかく、僕はこのマンガ、詳細に記憶に残っていなかったので、記憶の糸をたぐりながら店に人に聞いてみた。

 「あの・・・すいません。マンガの題名を知りたいんですけど・・・女向けで・・・動物のお医者さんの話で(そのままやないかっ!)、学校で、大学で、大きな犬が出て来るんですよ」

 最初は店の人もちんぷんかんぷんだったけど、そのうち店の奥の方にいた人が、何か思いついたような顔で答えた。

 「あ、それはダクトスコだよ」

 「えええ? ダ、ダクト?

(ダクト=暖房用・冷房用の空気を送ったり、電線・水道のパイプを通したりするための、くだ。送風管。送水管。:三省堂国語辞典より)

 「ええ、ダクト・スコ」

 「ダクト?・・・ダクトー?・・・・あ! doctor!・・・doctor school!」

 「ええ、ダクト・スコ」

 なるほど、「ドクタースクール」なわけね。納得。たぶんそれであっているだろう。確かに韓国人がdoctor schoolを韓国風に発音すると「ダクト・スコ」だな。それらしいタイトルだ。で、それはあるのかと聞くと、売り切れだった。確認できなかったのが残念だ。でも売られているのは間違いないようなので、韓国在住の方はぜひ確認して欲しい。


とっけび・ワダノリ登場

 さて、マンガも買ったことだし、重たい荷物を持ってうろうろするのもなんなので、一旦カンファジャンヨグアンに帰ることにした。
 カンファジャンへはバスで帰ろう。鍾路を西向きに走っていて、胴体に「カンファムン」(光化門)と書いているバスなら間違いなく通るはずだ。そう思ってあしやんに言うと、すごく不安げな顔になった。何で? そう思って聞いてみると、どうもバスにはあんまり乗ったことがないようだ。おお、それはいい機会じゃないか。
 一旦鍾路を北側に渡って、バス停に近づく。そのうち「カンファムン」と書かれたバスが来たので乗り込む。バスは疾走し、鍾閣、教保文庫、イスンシン像の前を超えて歩道橋前辺りで停まった。ちょうどいい。カンファジャンの横にあるスーパーマーケットの裏当たりだ。あしやんは「これは便利だ」と言いながらバスの番号を控えていたけど何番だったっけ?(僕は忘れた)

 ヨグアンに戻り、部屋で休憩をする。しかしこの「マンガ12冊」は結構重い。後で郵便局から小包で日本に送ってしまおっと。

 再びヨグアンの部屋でうだうだ、ゴロゴロしているとあしやんが、

 「そろそろ、とっけびさんとワダノリさんが来る頃だなぁ」

と言い出した。そうか、そんな時間なのか。とっけびさんは「テグ」(大邱)に住んでいる韓国人の彼女と密会したあと、ソウルに向かっているとのことだ。そんな話をしていると「噂をすれば影」で二人が現れたのだった。

 とっけびさんは韓国ポピュラー音楽学会の関西メンバーで、20代後半だ。現在、あしやんと一緒に大阪の崇禅寺(そうぜんじ)にあるアジア図書館で韓国語を勉強している。訪韓回数はそれ程多くはないようだが、「テグ」(大邱)にはよく行っているらしい。実にマメな男だ。中肉中背で典型的日本人という感じ。そして会社の釜山支店行きを熱望しているという噂だ。実現すればいいね。「テグ」(大邱)にも近いし。それから言うまでもないが、テグ(大邱)以外にも土地土地にたくさんの知り合い(たぶん、当然、女性であろう)がいる模様。やはりマメな男はもてるのだろうか? 因みに、韓国以外ではシンガポールも詳しいらしい。そしてやはりシンガポールにも・・・・・???。

 一方、ワダノリさんも韓国ポピュラー音楽学会のメンバーで、キムワンソン(金完宣)の熱烈なファンとして知られる。恐らく日本人で彼ほどキムワンソンに入れあげている人はいないのではないか。実際、彼女の動向には異常なまでに詳しい。どのようにしてフォローしているのか不思議なくらいだ。僕と同じくらいの年齢で、やせ形。韓国語はかなり喋れるらしい。今回のテグ組の通訳だったようだ。

 さて、とっけび、ワダノリ両氏も同じ4階に部屋を確保した。それからしばらく話をした後、ナンデムンシジャン(南大門市場)にでも行こうかということになり、4人で出かけることになった。僕はとりあえず郵便局に行って小包を出したかったので、先に出かけて郵便局で待ち合わせることにした。


郵便局の梱包サービス

 郵便局はイスンシン像がある大きな交差点の角、教保文庫の向かいにある。皆より一足先に出かけて、郵便局の建物に入った。例の梱包サービスは右奥の方にあった。送りたいものを持っていくと、その場で梱包してくれるサービスだ。たいていのものは小包にしてもらえる。近づいてみると若い女の人が客の求めに応じて荷造りをしていた。僕もその台にマンガ「ドレミハウス」12冊とジヘさんのおみやげの聖書を置き、梱包してもらうことにした。

 女の人はそのマンガの山を一瞥すると適当な大きさの段ボール箱を選び、てきぱきと組み立てていった。そしてマンガを中に詰め込み、隙間を発泡スチロールで埋めていく。実に手際がいい。あっという間にできあがってしまった。
 その女の人に梱包サービス代を支払い、あとは国際郵便のカウンターに行って必要書類に記入すればそれでOKだ。実際、教保文庫の向かいにあるだけあって、僕のほかにも本を持ち込んで梱包してもらっている人がたくさんいた。


ナンデムンシジャンへ

 さて、荷物も送ったことなので4人でナンデムンシジャン(南大門市場)に行くとしよう。メガネを買いに行くのだ。韓国や香港などで流行っている「猫目型メガネ」を買うのだ。横長の楕円形で、ほとんど目の大きさと同じくらいの小さいレンズのメガネだ。日本人がよくかけている大きさのメガネは、日本では標準なのだが韓国では「おじさん臭い」と敬遠される。はっきり言って、若い年齢の人で「猫目型メガネ」以外のメガネをしている人を見たことがない。韓国ではメガネの形が30代後半くらいで完全に2局分化しているのだ。おじさん=日本人型、若者=猫目型だ。しかもこれは韓国に限ったことではなくて、香港などでも同じ現象が見られる。むしろアジアの中では日本が取り残された形になっている。日本ではメガネ屋に行っても「猫目型メガネ」を置いているところはない。欧米の流行には敏感な日本なのに、アジアの流行には全くと言っていいほど無頓着だ。日本らしいと言えばそれまでなのだが、何か滑稽だ。

 ナンデムンシジャン(南大門市場)へは歩いても知れてる距離なので、ぶらぶらと歩きもって行くことになった。ついでに途中にある旅行社でとっけびさん、あしやんが帰りの航空券を発券してもらうことにした。
 その旅行社はチョンノ(鍾路)と市庁前広場の間にあるビルの上階にある「ディスカバリートラベル」だ。エレベーターを降りると正面に入り口が見える。実は昨日、カンファジャンに戻ってくる前に僕もここで発券してもらっていたのだ。さすがに昨日の今日なので僕の顔を覚えていたらしく、女子社員がこちらを見て「また来たの?」という感じでにこっと笑った。

 ここは日本語をしゃべるスタッフがいるので韓国語ができない人でも安心して交渉ができる。ただ僕の場合は、最初に「あなたは韓国語を分かりますか?」と聞かれて「イェー」と答えると、「じゃ、あなたはこちら」と日本語の喋れないスタッフに回されて、終始韓国語で交渉しないといけなかった。ま、それはそれで面白かった。

 あしやんたちはというと、何だかいろいろあったらしくて少し揉めたりしていたけど無事航空券を発券してもらった。

 僕はもう発券してもらっていて暇なので、ついでに「セマウル号」の社内誌に出ていた韓国の超人気TVドラマ「モレシゲ」(砂時計)のロケ地について聞いてみた。例のトンヘ(東海:日本海のこと)から登る朝日が見える海岸の駅「チョンドンジン駅」(正東津駅)だ。さすがに「モレシゲ」については全員が知っていた。やはり大ブームを巻き起こしただけあって有名なのだ。あしやんの発券担当の女の人などは、あしやんの発券をそっちのけでこちらの方を調べてくれたりした。(すまない)そんな話をしていると横にいた客の一人が「私はツアーでそこに行ったことがある」と言いだした。ううむ、やはり韓国人に深く浸透しているようだ。韓国通を目指す人は、このドラマをチェックすべきだろう。

 発券を終え、旅行社を後にした4人はそこから再びナンデムンシジャン(南大門市場)へ向かう。この市場の中には「メガネ屋」がそれほど星の数ほどある。そしてそれが激安競争を繰り広げているというわけだ。ナンデムンシジャン(南大門市場)のそばには卸売りもたくさんある。はっきり言って狙い目なのだ。

 

第一話 金浦空港から韓国入り 友達と合流して宿に入り、仁川で夕食 
第二話 大田に移動 ペンパルに会う 食堂のおじさんの車で科学館などを訪問
第三話 大田の名所 宝文山公園を訪問 ソウルに帰ってバラック小屋のマッコルリ堪能
第四話 マンガ(めぞん一刻の韓国語版)を問屋で購入したり、街中を徘徊
>>第五話 めがねを購入したあと、カラオケへ