GTRのチューニングヴァリエーション
- ノーマル
これはポリシーの問題ですが、改造車はどんなにうまく改造しても、全体として
バランスをうまく整えることは、なかなか難しいのです。その点、ノーマル車は
よく考えて作っています。それを部分的に改造すれば、どこかのバランスが狂う
ようです。もしトコトン改造するなら、レース用のマシーンになってしまうんで
しょう。それを日常的に使用するのは、いろんな意味合いで不可能でしょう。
町中での使い勝手が良く出来てるのは、やはりノーマル車だといえるのです。
すかす、なにか物足りないんですよねえ。そこのところが問題なんだよなあー。
- ブーストアップ
チューニングとして、多くの皆さんが最初に経験するのは、このタイプが多いん
じゃあないでしょうか。正直言いまして、多分ブーストアップがもっともコスト
パフォーマンスは、いいのだと思うのです。加給圧をうまくコントロールし
然調もうまく調整したら、もうけっこうよく走ります。ノーマルタービンの
耐久力内のブーストに抑えたとしても、400馬力近くがゲット出来るし、壊れる
心配はまあ無いし、使い勝手もノーマルとなんら変わりは無いでしょうしねえ。
費用的にも、概ね5ケタ以内でオオケエですし、メンテもそんなにかかりません。
使いきった後の下取りにも、きっとそんなに支障は無いはずです。正直に白状さえ
しなければ・・・。でも出来ればガスケット交換と、カム交換をして欲しいような
気がしますねえ。もう、あまり追加費用はかかりませんし、そのかわりに走りは
格段に良くなると思います。
- タービン交換(T3Gツイン)
タービン交換はどのタービンを使うにしても、ノーマルより相当多い量の、空気を
充填するので、最高出力に関しては、相当の増加が期待できます。満足感も相当に
大きいものが得られるでしょう。しかし、同時にまた落とし穴もあるのですねえ。
というのも、タービンはブーストを上げれば、チョイスしたそのタービンの能力に
応じて、どれだけでもエンジンに空気を押し込もうとします。つまり、ブーストを
上げれば上げるほど、馬力が出る仕組みともいえるのです(まあ、燃料の問題は
ありますが、ここでは省きます)。すかす、これは考え方によってはえらく危険な
ことなんですねえ。エンジンの対応能力を超えて、燃焼が拡大していく可能性が
あるということです。それによって過大な応力が発生すると、エンジンは非常に
キビシイ状況におかれる事になるわけです。ですからそれを防ぐために、エンジンの
方にも手をいれる事になるわけです。でも、もしどうしてもエンジンノーマルで
行きたいのなら仕方ありませんが、それなら出来れば最高出力は500馬力くらいに
抑えておく必要があると思われるのです。長期的には、ノーマルエンジンは、それ
以上の負荷には、耐えられそうにはありません。高負荷でのエンジンブローは、
その被害も、少なくない金額を予想しなくてはなりません。もし強化部品を使用
しないで、それ以上の出力をお望みなら、少なくともオーバーホールで組み直した
エンジンでないと、お勧めは出来ません。
- T3Gツインハイコンプ
私が、最初RB26のエンジン本体に手を加えだした頃というのは、まだまだRB26の
チューニングは発展途上であり、チューニングメニューには多様性が無く、単調な
指向性のものでした。つまり最高出力を競っていたわけです。どこのだれが何馬力
出したとかの話が、雑誌にも幅を利かせていて、まだまだ、低速とか中間とかの
使い勝手が、検討されてはいなかったのです。ただ私の車は町中で使うのですから、
中間がダメではしょうがありません。ですから、最高出力は少し犠牲にしてでも、
中間のピックアップに重点を置いたわけです。HKS関西では以前にハイコンプ仕様の
車を作っていたこともあり、それでいくことになりました。圧縮は9.0でブーストは
1.3でした。出来上がった燃焼室のカタチは、スキッシュエリアがほとんど削られて
いて、シリンダーヘッドを下から見ると、まあーるい燃焼室が整然と6つ並んで
おりました。最高出力は約500馬力でしたが。でも、中間トルクが太く、町中では
なかなか使いやすく、踏めば前に出る軽い車でした。ヨーイドンでもまず負け
ませんでした。ただ分かってたんですが、上の伸びはいまいちでした。当然ですな、
ははは。このハイコンプ仕様は1台目の33にも採用して、その時は約550馬力くらい
でした。
- 2530ツイン
2台目の33のときには、RB26のチューニングメニューも、ほぼ完成されていて、
ハイコンプでなくても、中間ピックアップは十分確保できるようになったので、
通常のターボチューンの形態に復帰致しました。これには2530タービンが、
ボールベアリングを使用していることが、大きく作用したのでしょう。実際、
日常の使用に関しては、以前のハイコンプの時と変わらないばかりか、返って
使いやすいくらいです。この時で約620馬力です。インジェクターはニスモ600ccが
ほぼ全開です。
- ちょっと番外ですけど
ボールベアリングタービンの特徴で、ちょっと気になったことをご報告までに。
それはボールベアリングは、分解チェックが出来難い構造になっておりますから、
ブローしてるかダイジョウブかのチェックが出来ないのです。つまり、タービン
ブローらしいことが確定的だったら、交換するしか方法はありません。ブローしてる
かどうかをチェックしようがないのです。それから回転がスムースなためにツイン
タービンの場合、サージングも起きやすいのです。
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