バックアップCD-ROMにメリットはあるのか

パソコン雑誌ではWindows 98の前評判をあおっているようですね。しかし、一方では、ソフトメーカーは本気で対応しようとしていないとか、マイクロソフトも個人ユーザーむけにWindows NTを考えているという報道まで出ている状態。これでは、Windows 98の立場は、発売前からはしごを外されているかのようです。でも、たとえ目新しさが無い上に短命であっても、私はWindows 98を心待ちにしています。なぜなら、あの、バックアップCD-ROMを使わずに、OSのインストールができるからです。

Windows 95がプレインストールされた製品には、再インストール用のバックアップCD-ROMと、セットアップディスクと書かれた起動ディスク、それにWindows 95と書かれていてホログラムのシールが貼られた冊子が同封されてきます。冊子の表紙には、間に「OEM」という文字がはさまった何桁ものコード番号が印刷されていて、インストール時にこれを入力する必要があります。また、インストールソフトは(機種によりますが)起動時にハードウエアのチェックを行い、他のハードウエアにWindows 95をインストールできないようにしています。ハードのチェックが終わると、最初にCドライブ(AT互換機の場合)をフォーマットし、そこにWindows 95をインストールし、オプションによってはソフトのインストールもします。しかし、この再インストールの道のりは必ずしも平たんではなく、苦労の果てにまっさらきれいなハードディスクが出来上がるという達成感があるからか、これをするのが癖になる人もいるようです(^^)。

私がmibio NXやらLibrettoの再インストールで苦労したことを、ここに書いたことがありますが(1/23, 2/6, 2/20)、その後、さらにIBMのThinkPad 560XへのWindows 95の再インストールもしました。まさに、癖になるとはこのことですね(笑)。ThinkPadの再インストールでは、インストール後にPCカードが使えなくなる問題に遭遇しました。原因が分からずに悩んでいたのですが、マニュアルの間に、紙一枚の補足資料を見つけて解決しました。この機種については、補足資料に従って手順の一部を修正しないとPCカードが使えなくなるのです。こうした経験を通して言えるのは、まず、純正のCD-ROMが無い場合には、最初のCD-ROMの認識のところで非常に苦労すること。次に、マニュアルに忠実に再インストールをしないと、元の通りにならないばかりか、いきなりSafe Modeなんてことになる場合もあるということです。まずは、落ち着いて一語一句間違わずにインストールすることです。例えば、ThinkPadでは古いバージョンのWindows 95だったので、インストールする途中で、USBやらPCカードのドライバーをマニュアルでインストールしたり、オーディオやビデオのドライバーの設定も必要でした。でも、こんな再インストールのコツを覚えてなんになるのでしょうか。市販のOSパッケージであれば、同じマイクロソフトの製品でも、もっと簡単ですよ。

例えば、Windows NTの市販パッケージには、3枚のインストールディスクとCD-ROMが入っています。フロッピーを入れて起動すると、まず、接続されているCD-ROMドライブを自分で探して、互換性リストに載っているアダプタであれば、そのまま使用できます。全てではないにしても、複数のメーカーのCD-ROMドライブを使用できるという点は、ユーザーの立場から見ると非常に大きな差です。なぜなら、ここでつまづくと、CD-ROMを持っているのに何も始まらないということになるからです。もちろん、インストール後にハードウエアに依存したドライバーを組み込むことは必要ですが、その手順を間違えたからと言ってOSが壊れるようなことはありません。再インストールの発想は、非常事態にともかく購入時の状態に戻すという事なのでしょうが、金を払って買ったOSなのに特定のハードウエアにしかインストールできないし、インストールに使えるCD-ROMドライブにも制限があるなんて、なんか納得できないものがあります。しかし、プレインストールされたWindows 95の使用許諾書には、はっきりと「新しいコンピュータシステムに付随していない場合、ソフトウエア製品(Windows 95のこと)を使用または複製することはできません」と書かれています。つまり、普通のソフトは、一度に一台のハードで使うかぎりは、インストールできるハードに制限はありませんが、プレインストールのWindows 95に限っては、Windows NTをインストールしたのでいらなくなったからと言って、よそのハードにインストールすることはできないのです。

プレインストールというのが、いつから主流になったのかは覚えていませんが、少なくともWindows 3.1の頃のパソコンでは、OSを別に買ってインストールしていたように思います。それが、電源を入れればすぐに使えるといううたい文句で、OSやソフトがプレインストールされるようになってきて、同時にバックアップCD-ROMなんてものが付くようになったのでしょう。でも、これって本当にユーザーとってメリットあるのでしょうか。Macintoshなどは昔から、買ってきて電源をいれれば使える状態になっています。それに、インストール用のCD-ROMは、ハードディスクをフォーマットしなくてもシステムだけをインストールすることができますし、インストーラーの手順も、標準インストールをするのであれば簡単そのものです。どちらかというとマニアックなWindows 95の再インストール手順に比べれば、初心者でもできるインストール作業だと思います。ハードとOSがもともと一体となっているMacintoshと、そうでないWindows 95を比較するのは意味が無いかも知れませんが、プレインストールだから必然的にマニアックな再インストールが必要という理屈にはならない筈です。そんなわけで、私は、バックアップCD-ROMを使った再インストールは、ユーザーの利便を考えたものではなく、ただの不法コピー防止のためのハードウエアプロテクトに過ぎないと思うのです。

1998.04.03
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