'bout JAZZ sokohaka


相変らず聴き散らかしてるんですが、コンテンツにまとめようとすると、
色々データも調べなきゃいけないし、念入りに推敲しなきゃいけないで、
どうも更新のペースが落ちてきました…。
そこで"'bout JAZZ"のコーナーよりも気楽に書けるコーナーを設ける事にしました。
ありがたい事に「しほたつ(仮名)の文章を読んだら、なんか聴きたくなる。」と
云ってくれる人が多少なりといはります。
「これぞ逸品!」と云うモノを厳選するのではなくて、
私ならではの判定の甘さで(笑)、「そこはかとなく良い」モノを取り上げていきましょう。
読んでるうちに聴きたいものがどんどん増えていくようなコーナーにしたいと思います。

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FOOTPRINTS LIVE! / WAYNE SHORTER (VERVE)
了見の狭い事を云ってしまいますが、
やっぱりショーターはアコースティックなフォームで存分にソロを聴きたい!
その永年の思いをそこそこ(?)かなえてくれるアルバムです。
"FOOTPRINTS"や"JUJU"辺りの昔の曲から
"AUNG SAN SUU KYI"と云った90年代の曲まで、
魅力的なオリジナルが殆どと云うのが嬉しいです。
しかしそれらは断片的なテーマの提示にとどまり、
もはや原曲の形をとどめてません。
なんせ今のショーターですから、決してありがちな4ビートに陥らない。
尾崎放哉の自由律俳句の様に、インスピレーションを掻き立てられる
パッセージが浮かんでは消えていきます。
それにダニーロペレスの奔放なピアノが纏わりついて、
更に高いスリルを生んでいます。
(2002.5.19)

 

CONVICTION〜THOUGHTS OF BILL EVANS / ROSEANNA VITRO (A RECORDS)
ROSEANNA VITROの唄うエヴァンス曲集です。
ピアノ陣が豪華でフレッドハーシュ、マークソスキン、
アレンファーナムの3人が入れ代わり立ち代り歌伴を務めております。
エヴァンスの曲って美しいですが、唄い難そうな曲が多いですね。
ヴォーカリストの能力がモロにでそうですけど、
ROSEANNA VITROは雰囲気で誤魔化す事もなく、
ヴォーカルの為に書かれた曲の如く自然に歌いこなしています。
"FUNKALLERO"を唄ってるのって初めて聴きました。
歌詞をつけたのはKAREN GALLINGERって女性ヴォーカルで
その人もエヴァンス曲集を出しているみたいですね。
また探して見ようっと。
彼女のオリジナル"CONVICTION"はエヴァンスの曲以上に
エヴァンスらしく(笑)、音程の飛び捲くる難曲です。
(2002.5.19)

 

PLAYGROUND
  / THE AMSTERDAM JAZZ QUINTET WITH FEE CLAASSEN (CHALLANGE)
ジャズヴォーカルってスタンダードを唄うモノってのが相場になってて、
オリジナル曲中心の作品は極端に少ないですよね。
うーん、ジャズ以外なら当たり前の事なのにねぇ…。
って事でアムステルダムジャズクインテットとフィークラッセンの
全編オリジナルのアルバムを取り上げて見ました。
とにかく全ての曲が魅力的!
洗練されたメロディをさりげないフィークラッセンの歌声が
理屈抜きに気持ち良い。
頑張り過ぎない自然な音楽がすーっと入ってきますね。
(2002.5.19)

 

SMILE LOVE AND SPICE / VIKTORIA TOLSTOY (SITTEL)
2001年のヴィクトリアトルストイのアルバムが良かったので、
それ以前のアルバムも何枚か聴いてみました。
中でもこのアルバムが気持ち良かったので紹介します。
録音は1994年。彼女のファーストアルバムみたいですね。
ジャズテイストに嵌りきらない彼女のスタイルで
スタンダードを唄っているのが逆に新鮮です。
でもやっぱり彼女の魅力が良くでているのは
ヴァイブのERIK KJELLBERGのオリジナル曲なのです。
"REMEMBER BILL","SMILE,LOVE AND SPICE",
"OUR WAY","DREAM IN YOUR LIFE"の4曲は甲乙つけ難し。
(2002.5.19)

 

BILLIE BROOKS-BOOKER ERVIN-NURIA FELIU
                                           -TETE MONTOLIU-ERICH PETER / (PDI)
ちゃんとしたタイトルのないアルバムで、名前と顔が並んでるだけですが、
その顔ぶれが凄いですよねー。
スペインの女性ヴォーカリスト、ヌリアフェリューのバックを務める
テテモントリューとブッカーアーヴィンの顔合わせ!
"LULLABY OF BIRDLAND"、"BYE BYE BLACKBIRD"、"MISTY"etc.…、
超スタンダード大会なんですが、スペイン語の響きも助けて実に新鮮。
しかし、個人的な聴きドコロは、やっぱりブッカーアーヴィンと
テテモントリューの熱い演奏なのであります。
"JUST FRIENDS"でのブッカーアーヴィンの垂れ流しフレーズが実に痛快!
最初フルパワー、次第にクタクタなスタイルは相変らず(笑)。
モントリューの強靭なスイング感も心地よいです。
(2002.5.12)

 

MUSIC BOX / STEFAN KARLSSON (TROPPE NOTE)
洗練された今風の曲もあれば、モーダルな曲もあり、
管を入れてかなりフリーなアプローチを見せる曲もあり。
色んなスタイルの曲が一枚に収まってる感じですね。
全曲オリジナルでCDのブックレットには譜面と解説まで書かれてます。
しかもラストトラックはインタヴューだったりするのです(笑)。
まー、かなりもったいぶった作りになっておりますが、
1曲1曲の魅力はかなり高いです。
"A THREE IN FOUR"や"INFINITE"辺りのモーダルなのも良いし、
サックスのMARC SOLISを加えたバラッド"PIECE OF MIND"も良いなぁ。
(2002.5.12)

 

THE NEXT MUSIC / CARLO MORENA (GROOVE)
CARLO MORENAってピアニストのアルバムです。
でもお目当てはゲストのリックマーギッツァなのでした(爆)。
トリオメンバーのオリジナル曲が大半を占めていますが、
どの曲もセンスが良くて、漂うようなマーギッツァのサックスに良く合います。
中でも"EYES"は繊細で美しいバラッドだと思います。
しかし一番のお気に入りはサックス&ピアノデュオによる
スタンダードの"OLD FOLKS"なのでした。
アルバムの主旨に背く様で申し訳ありません(笑)。
(2002.5.12)

 

ESMERALDA FERRARA SINGS BILL EVANS / (PHILOLOGY)
ESMERALDA FERRARAって女性ヴォーカリストのエヴァンス愛奏曲集。
初っ端"BLUE IN GREEN"で3分40秒までヴォーカルが出てこないので、
「あれ?ヴォーカルアルバムとちゃうんか?」と確認してしまいました(笑)。
"A TIMELESS PLACE(=THE PEACOCKS)"を取り上げてるだけで
どんなアルバムでも思わず買ってしまう私なんですが、
このアルバムのもなかなか宜しおます。
難しいBメロをアカペラで唄い始める辺り、なかなか挑発的です。
音程がとてもシッカリしていて余裕のピーコックスであります。
更には"FIVE"まで唄ってるのにはビビりました。
でも器楽的にバリバリ唄い捲くるのではなく、
無理なスキャットやフェイクもせず、
テーマを丹念に唄う事に集中している感じが良いですね。
それだけでアルバムの雰囲気は充分彼女の色に染まっています。
(2002.5.12)

 

STORMS/NOCTURENES
              / TIM GARLAND & GOEFF KEEZER & JOE LOCKE (SIROCCO JAZZ)
リードとピアノとマレットの三人による珍しい編成です。
誰がサイドマンと云う訳ではなく、対等に複雑に音が絡み合います。
ドラムとベースがいないので、全体に音が浮遊し続けてる感じですね。
ビートルズの"BLACKBIRD"を除けば、後は全部オリジナル。
半分以上がサックスのティムガーラーンドの作品ですが、
ジャケット写真の様な朝靄の静かな情景をイメージさせる曲が多いです。
一方キーザーの曲は躍動感のあるミディアム以上の曲が中心なので
アルバム全体のバランスが取れています。
(2002.5.6)

 

HIGHWAY PICNIC / MARTINEZ MOVE (A RECORDS)
サックスのMIGUEL MARTINEZを中心としたワンホーンユニット。
これが実にかっこええんですわ。
オーソドックスなスタイルを下敷きにしている事で、
そこからハミ出る新しい部分が逆に際立ちます。
全般にファンキーでキャッチーな香りを漂わせつつ、
かなり捻くれたフレージングを吹き捲る様が面白い。
これを「小難し系ファンキー」と名付けましょう(笑)。
ジョージラッセルの"EZZ-THETIC"を取り上げていたり、
リーコニッツがライナーを書いてたりするのも、
「ふふーん、なるほどねー。」って感じです。
オリジナルのテーマも魅力的な曲が多く、
"BLUES CALL"や"MOVE'S GROOVE"あたりが小気味良い。
(2002.5.6)

 

LYRICS / HENRYK MISKIEWICZ & SIMPLE ACOUSTIC TRIO (JAZZ FORUN)
リード奏者のHENRYK MISKIEWICZと
アクースティックなピアノトリオによるアルバム。
タイトルにもあるようにリリカルな曲表現をテーマにしております。
どうもリリカルと云うとエヴァンス系のピアノと枕詞っぽいですが(笑)、
このアルバムのライナーでMISKIEWICZが云ってるリリックは、
インストルメンタルでも演奏者から聴き手へ様々な物語を伝える事のできる、
と云ったニュアンスの様です。
ま、そんな頭でっかちな事考えなくてもなかなか良いアルバムです。
"LYRICS"や"THEME FROM SPARTAKUS"のバラッドプレイもよし、
ラストのアッチェが燃える"GATE OF THE HAPPINESS"もよし。
聴き手の勘違いであっても色々なモノを感じ取る事が
そもそもの音楽の楽しみだと思いますもんね。
(2002.5.6)

 

DO UT DEM / ANGELO CANELLI (YVP)
このANGELO CANELLIはイタリアのピアニスト。
YVPレーベルでピアノとなると、思わずエンリコを思い浮かべてしまいますが、
エンリコ級の期待をしてこのピアノトリオアルバムを聴いたとしても
決して裏切られる事はないと、私が断言…しようかなーどうしようかなー(笑)。
とにかく、ヨーロッパ系の美しい端正なピアノではなく、
非常にジャズ的なスリルを含んだ演奏である事は間違いありません。
一応、「そこはか」コーナーで取り上げましたが、
その他のアルバムを聴いてみて、メインコーナーに移すかもしれません。
どのトラックも三人の駆け引きに緊張感が溢れていて素晴らしいです。
オリジナルも良いですが、スタンダードのアレンジも痛快。
こんな"SURRY WITH THE FRINGE ON TOP"、聴いた事ないっ!
(2002.5.6)

 

THAT'S THE STYLE / 八木隆幸
なんかジャズを長く聴いていると、だんだん捻くれてきて
昔は大好きで良く聴いていたオスカーピーターソンを
素直に「好き。」と云えなくなってきます(笑)。
この八木隆幸氏の自主制作(?)アルバムを聴いて、
やっぱりスイング感とハッピーフィーリングにどっぷり浸る事が
こんなに気持ち良い事だったんだと思い出しました。
非常にオスカーピーターソンに傾倒した演奏で
トリオのフォームも初期のドラムレススタイル。(PF,G,B)
八木氏のピアノと橋本裕氏のギターは非常に相性が良く、
2人の掛け合いは楽しさの極みでしょう。
またトリオのドライヴ感を生んでいるのは原満章氏の
美しい音色の確実なベースである事も見逃せませんね。
(2002.5.6)

 

PLAY IT COOL / LEA DeLARIA (WARNER BROS.)
ミュージカルとか映画音楽を取り上げたアルバムです。
このLEA DeLARIAっておばちゃん、かなりのビッグファットママですが、
体格を誇示した様なパワフルな唄い方じゃなくて、
話しかけてくる様な自然さに味がありますね。
そんなに上手くないですけど。
バックはピアノ'N'ベースからビッグバンドまで様々ですが、
ピアノでギルゴールドステインとブラッドメルドーが参加してたりします。
オープニングの"THE BALLAD OF SWEENEY TODD"が
スインギーで気持ち良い。
一転して陰鬱なメルドーとの"COOL"や"WITH EVERY BREATH I TAKE"
も印象的なトラックです。(2002.4.29)

 

GOING WALK ABOUT / LOET VAN DER LEE (A RECORDS)
LOET VAN DER LEEって若手のトランペッターのアルバムです。
でも私の目当てはピアノのミケルボルストラップだったのでした。
実際、内容的にも際立つアクセントはボルストラップのピアノだと思えます。
"GP"ってフランコアンブロセッティの曲や
「THE SEXTET LIVE!/MICHIEL BORSTLAP(CHALLANGE)」でも演ってた
"GIJS"にしても、一番際立っているのは間違いなくボルストラップです。

全体として、活きの良いA RECORDSらしいアルバムですね。
(2002.4.29)

 

KEY OF LOVE / KIRSTEN CAMBELL (MARSHMALLOW)
カナダでローカルに活動しているヴォーカリストなんだそうです。
ジャケットに写ったちょっとキツイ目つきのおばちゃんのイメージからは
到底想像できないくらいキュートで伸びやかなヴォーカルが実に魅力的。
節回しも厭味がなくて、実に丁寧。
ピアノ&ギター&ベースのトリオの柔らかなバッキングと相俟って
すーっと気持ちの中に入ってくるサウンドなんですよね。
あれこれ聴き疲れた時に疲労をリセットしてくれる様なアルバム。
中でも"GIVE ME TIME"、"IF A WERE A BELL"と続くあたりが好き。
(2002.4.29)

 

ANGEL / SHELLEY SCOWN (ORIGIN)
オーストラリアのジャズ事情ってどうなんだか知りませんが、
このアルバムはヨーロッパの香りがします。
リーダーのSHELLEY SCOWNってヴォーカリスト、
今風のヨーロッパ系の尖がったピアノトリオに馴染む歌手だと思いました。
一般的なジャズヴォーカルのイメージとは違うと思いますが、
近寄りがたいくらい冷たく美しい声質は一聴の価値ありでしょう。
オリジナル半分、スタンダード半分くらいのバランスもイイカンジです。
夜のしじまに消え入りそうな"NIGHT AND DAY"って初めて聴きました。
PAUL GRABOWSKYのピアノも粒立ちが美しく素晴らしい。
(2002.4.29)

 

FUN CITY / VIRG DZURINKO (NEW ARTISTS RECORDS)
全編ピアノソロのVIRG DZURINKOのアルバム。
初っ端の2曲、笑ってしまうくらいトリスターノです。
トリスターノの発掘モノだと云っても騙せるくらい(笑)。
かなり研究してる人なんでしょうね。
3曲目以降はしばらくシリアスなピアノ小品集と云った趣きになります。
終盤でトリスターノ色が再び出てきますが、更に凄まじい。
"BLUES FOR LENNIE"なんて、ウォーキングしながらの五連符ですもん。
(2002.4.29)

 

SOMETHING FROM THE PAST...
            / ANDREI RAZIN & IGOR IVANUSHKIN (JAZZ LAND PYCCKAR CEPNR)
                                           ※レーベル名、正しくはRとNは左右逆の文字です。
このコーナーらしいアルバムを取り上げましょう。
第一印象は良いけど、絶対に飽きるのがわかってる一目惚れ盤です(笑)。
全編ピアノとベースのデュオによる作品で、
初っ端から躍動感溢れる"BILLIE'S BOUNCE"を聴かせてくれます。
強靭なバネの利いたピアノのタッチは実に気持ち良いです。
特に"RAG-TIME"ってオリジナル曲で特徴が良く出ていて面白いですね。
途中、オスカーピーターソンそっくりになったり(左手の使い方がそのもの)、
ルーツを覗かせる一面もあります。
全体として隙がないピアニストだと思いますが、器用貧乏な香りが…。
好きなんだけど、飽きるんですよねぇ、悲しい事に。
私にとってロジャーケラウェイとかもこの部類です。
(2002.4.29)

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