'bout JAZZ sokohaka


相変らず聴き散らかしてるんですが、コンテンツにまとめようとすると、
色々データも調べなきゃいけないし、念入りに推敲しなきゃいけないで、
どうも更新のペースが落ちてきました…。
そこで"'bout JAZZ"のコーナーよりも気楽に書けるコーナーを設ける事にしました。
ありがたい事に「しほたつ(仮名)の文章を読んだら、なんか聴きたくなる。」と
云ってくれる人が多少なりといはります。
「これぞ逸品!」と云うモノを厳選するのではなくて、
私ならではの判定の甘さで(笑)、「そこはかとなく良い」モノを取り上げていきましょう。
読んでるうちに聴きたいものがどんどん増えていくようなコーナーにしたいと思います。

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COINSIDENCES / STEPHAN OLIVA (HARMONIA MUNDI)
STEPHAN OLIVA(PF)とBRUNO CHEVILLON(B)のデュオアルバム。
毎度の事ながらこの人の演奏はストイック。緊張感が張り詰めています。
はっきり云ってCD一枚聴き切るのはとてもしんどいです。
聴き流してしまえば、静かなデュオなんでしょうけど、
この音遣いはいちいち耳と脳と心にチクチクと刺激を与えてくる。
ベーシストの楽器表記に"CONTRABASSE & OLYMPIA"と書かれていて、
「OLIMPIAって何だ?民族楽器?」と思ったら、タイプライターでした。
タイピングの音を効果音として使っています。
ジャケットの訳のわからない写真もそれなのかもしれませんね。
観念的な詩を朗読している様なモーションの少ない演奏が多い中、
アルペジオのみで構成された"CHUTE LIBRE"はとても印象的。
(2007.05.13)

 

A DAY OUT / 浜崎航 (JAZZ INN LOVELY)
ジェフキーザー目当てに買った
「ACCIDENTALLY YOURS/JAY THOMAS&浜崎航(McVITY)」が
かなりオーソドックスなハードバップだったので、
私の中で浜崎航はスルーしてしまっていました。
ところが覚王山のSTAR EYESで生の音を聴いてびっくり。
素晴らしい音色、豊かなイマジネーション、隙のないテクニック、
そして、諧謔味の効いたフレージング。
圧倒されて、その日の晩に買ったのがこのアルバムです。
ピアノのPHILLIP STRANGE以外は名古屋メンバー。
あの夜のライヴの様な暑さはないけれども、
スタジオ録音らしい繊細な表現にまで拘ったフレーズは
聴き手を音の深淵にまで導いてくれます。
フルートも巧い。
(2007.05.13)

 

BRAZILIAN DUOS / LUCIANA SOUZA (SUNNYSIDE)
ブラジル出身のヴォーカリストルシアーナスーザの2002年のアルバム。
知り合いのベースの人に教えてもらいました。
全編ギターとのデュオですが、ギターリストは入れ替わります。
続編も出てて、2005年のグラミー候補になったのだそうです。
その辺りの名声はともかく、技術と歌心を併せ持った優れた歌手ですね。
速い曲も凄いけど、バラッドがまた良いです。
余計なフェイクをせず、感情を噛み殺すように唄う"PRA DIZER ADEUS"は
正に絶品です。
あっと云う間にCD一枚が終わってしまうほど、
次から次へと魅力的な曲が飛び出してきます。
両親の作った2曲"DOCEMENTE"と"O BOLO"、
トニーニョオルタの"VIVER DE AMOR"、
ドリバルカイミの"SAUDADE DA BAHIA"と続く、ラスト4曲だけでも
幸せの極みですよ、ホント。
(2007.05.13)

 

A WALK IN THE PARK / DENA DEROSE (MAX JAZZ)
blogの方には書いたんですが、こっちには書いてませんでした。
好きと云うより惚れ込んでます。
最近一番のお気に入りの歌手です。
大人っぽく、それでいてかわいらしく、ストレートな唄い方。
アップテンポよし、バラッド更によしと、死角がありません。
スタンダードの選曲もよければ、オリジナルも魅力的です。
特に"HOME WITH YOU"は美しい。
それから、ピアノも歌手の余興レベルじゃないです。
たっぷりアドリブパートを弾いてますし
んでもって、更にスキャットでユニゾったりします。
歌に高い音楽性を持たせようとすると、
時として歌心がなくなったりしがちですが、
この人の音楽はそれらを両立できてる気がするのです。

もっと注目されてしかるべきミュージシャンだと思います。
(2007.05.13)

 

KRISSVIT / TORBJORN ZETTERBERG (MOSEROBIE MUSIC)
前に「THE TORBJORN ZETTERBERG HOT FIVE/(M.M.P)」を
取り上げましたけど、今度はノネットです。
フロント6管って、分厚いサウンドと云うより、音の団子状態です。
とは云え、ドシャメシャの無制御な音楽ではなく、
団子状態のところと、すっきりとアンサンブルするところと、
色々サウンドに変化を持たせておりますので、
そんな聴きにくい音楽ではありません。
パーソネルにはオルガンと書かれてるのに、
オルガンの音がしないなぁと思っていたら、
ラストの曲が終わって2分以上のブランクがあって、
パイプオルガンの演奏が飛び出してきました。
うーん、この狙いは??
PER'TEXAS'JOHANSSONも参加してますが、
どの音が彼なのか聴き取るのは難しい(笑)。
(2007.05.13)

 

STRAIGHT UP / CECILIA STALIN (P-VINE)
CECILIA STALINの2005年録音のファースト(かな?)アルバム。
初っ端の"STRAIGHT UP"で魅力は十二分に伝わってきます。
古臭いジャズっぽさなど微塵もない。心地よくも芯のあるサウンド。
いい曲だし、いいアレンジだし、メンバーに恵まれたなぁと
ライナーを見てビックリ。ほぼ全部この人がやってました。
(シークレットトラックのアレンジはPER'TEXAS'JOHANSSON。)
仕掛けの多いアレンジの中で自分を魅せるツボ心得てますわ。
やっぱりタイトル曲や"FAST FOOD"辺りが受けるんでしょうけど
個人的に7拍子のボレロ"LOVERS BOLLERO"の気だるい雰囲気も
捨てがたい。

うん。いいアルバムです。
(2007.05.13)

 

DOUBLE DOOR
            / KARL-MARTIN ALMQVIST & MATHIAS LANDAEUS (PROPHONE)
サックスとピアノのデュオです。
ピアノと単音楽器のデュオって好きなフォームです。
ビートやハーモニーの流動性がありながらも、
お互いの綱引きから生まれる主張と協調の鬩ぎあいが
ソロにもトリオ以上にもない味わいを生んでる気がするからです。
このアルバムには私がデュオに期待するそんな空気が溢れてます。
まずはピアノのMATHIAS LANDAEUSの音使いに触発されました。
例えば2曲目の"WILLIAMSBURG WINTER"。
ホントに美しい曲です。
でも、調和のとれた流れの中に少し危険な音をさりげなく入れてる。
このセンスだけでこの人が好きになってしまいました。
KARL-MARTIN ALMQVISTのサックスは音が太く表情も豊かですね。
吹き過ぎる事なく知性的にピアノと対話してる感じです。
"TWO FELLOW FREAKS"の神経の行き届いた抑揚の付け方に
唸らされました。
殆どが二人のオリジナルですが、1曲だけスタンダードを演ってます。
それが"SPRING CAN REALLY HANG YOU UP THE MOST"って云うのも
個人的には嬉しかったり。
(2007.04.04)

 

TRIBUTE / EMILIE-CLAIRE BARLOW (EMPRESS MUSIC GROUP)
ホントに巧いヴォーカルです。スキャットは天才的。
それでいて声が可愛らしく、丁寧な曲も唄えます。
やや節回しに媚びたところがあるので同性受けはしないでしょうが、
ジャズ好きの殿方には堪らないモノがあるのではないでしょうか(笑)。
何枚か聴きましたがこのアルバムが今のところ一番好きですねぇ。
器用さが裏目に出て、あれやこれやになってる感じは否めませんが、
唄うのが楽しくて仕方ないって感じがストレートに伝わってくるので、
聴いてて心地よいのですよ。
冒頭が"AIR MAIL SPECIAL〜スウィングしなけりゃ意味がない"。
エラに敬意を表してスキャットは丸侭コピー。
でもエラよりも巧い(笑)。
それからホーザパッソスに捧げた"DE FLOR EM FLOR"なんて
個人的には「をー。エーとこついてくるがなー。」って感じですよ。
"SPAIN"のスキャットも流石ですがテーマ部分のみです。
アドリブ性はないですが凄い事は凄い。
(2007.04.04)

 

LIVE AT THE JAZZ BAKERY / SARA GAZAREK (STILETTO)
ウチのblogでサラガザレクの「YOURS」ってアルバムの事を
最初にちょこっと書いたのが2005年10月3日。
それからずーっと検索ワードのトップの方に君臨してました。
考えてみれば、ウチなんかが上位にヒットしてる状態が
正に"密かなブーム"って感じなのかもしれません。
余談はこのくらいにして、サラガザレクの二枚目のアルバムについて。
ライヴでも素晴らしいパフォーマンスを聴かせてくれております。
歌と歌伴の関係ではなく、メンバー全員で音楽を作ってる感じは
「YOURS」の雰囲気そのまま。
そこにライヴ独特のくつろいだムードと独特の熱気が加味されて
何とも幸せな時間を過ごさせてくれる極上の仕上がりになってます。
曲も幾つか重なってるので、「YOURS」を先に聴いた方が
楽しさが倍増すると思います。
(2007.04.04)

 

SERENITY / BOBO STENSON (ECM)
このアルバムを取り上げるのは二回目になります。
以前、確か「秋に聴く。重いジャズ特集」で書いた記憶があります。
先日、たまたまメールでこのアルバムの名前が出てきたので、
久しぶりに聴いてみる事にしました。
ボボステンソンについて、今更私が美辞麗句を並べる意味はないですが、
ホント非日常的な音楽だと思います。
食事をしながらとかパソコンをしながらとかでは聴けない、
生活に馴染まないテンションが張り詰めています。
冷ややかでいて、耽美的。透明だけど濁りや翳りがある。
繊細に変化する音楽に対峙するには聴き手も相当の集中が必要です。
パワーのあるフリージャズの方がまだ入り込みやすいくらいです。
そう云った環境を持てない人が多いから、
日常と馴染むPOPSの方が強いんだろうなぁ、って思います。

あ、完全な雑感になってしまいました…。
(2007.04.04)

 

EXPOSITION SANS TABLEAU / MARTIAL SOLAL (NOCTURNE)
マーシャルソラルNEWDECABANDのアルバム。
編成はピアノトリオ+金管アンサンブル+ヴォイス。
ヴォイスはクラウディアソラルです。
如何にもソラルらしい棘と毒のあるアレンジながら、
ピアノトリオ作品より聴きやすいかもしれません。
調性の薄い難しい音が積み重なってるんですが、
リズムに関してはタイトに進行しています。
ハーモニーもメロディが難解な上に
リズムまでルーズだと流石にしんどいですもん。
この辺りジョージラッセルを聴いてもいつも思う事です。
関係ないですが、譜面を見つめるソラルのジャケを見てると
ピエールブーレーズとイメージが重なってしまう。
(2007.04.04)


 

LIVE / HELGE LIEN (CURLING LEGS)
2004年から2005年にかけてのライヴ音源です。
オーソドックスなピアノ&ベース&ドラムの編成ではありますが、
ピアノトリオを聴いてる感じは希薄です。
ドラムがドラムらしくなく、パーカッション的なイメージが強い為か、
ビートに乗って素直に音楽が進行していく部分が少ないのです。
常に張り詰めた空気の中、ライヴ会場は実験工房に。
個人的には、冷たい湖面の様な"NAV OG NATT"が好きです。
(2006.02.05)

 

EASY TO LOVE / ROBERTA GAMBARINI (GROOVIN' HIGH RECORDS)
日本盤(55RECORDS)の帯には
「エラ・サラ・カーメンの再来!!」と書かれております。
一気に三人纏めて再来しちゃったのかと笑ってしまいましたが、
はっきり云えば「カーメンの再来」です。
声質も似てますし、タイトル曲の"EASY TO LOVE"を聴いても、
節回しまで髣髴とさせるトコロがあります。
歌唱力は高く、若い(と思う)のに堂々とした唄いっぷりです。
個人的には、可愛らしさがないので、好みではありませんが、
こう云う王道を行くヴォーカリストは必ず必要だと思います。
"LOVER MAN"や"ON THE SUNNY SIDE OF THE STREET"や
"LOVER, COME BACK TO ME"など、「如何にも」な曲が続く中に、
いきなりエヴァンスの"TWO LONELY PEOPLE"が出てきて吃驚。
(2006.02.05)

 

BAPTISTE TROTIGNON & DAVID EL-MALEK
                       & DARRYL HANN & DRE PALLEMAERTS / (NAIVE)
BAPTISTE TROTIGNON(PF)とDAVID EL-MALEK(TS)が
オリジナル曲を半分づつ書いて密度の濃いアルバムを作りました。
音楽は難しいけど、決して難解で人を拒絶するタイプじゃありません。
聴いていてイマジネーションを掻き立てられるので、
ぐぐっとのめり込んでしまいます。
何よりもカッコイイ。
二人の曲を聴き比べると、トロティニョンの方が捻くれてる?
それはそうと、このジャケ、HATHUT RECORDS?(笑)。
(2006.02.05)

 

LIVE AT IRIDIUM,NEW TORK / JEAN-MICHEL PILC (DREYFUS)
ピルクの2004年の10月録音のアルバム。
期待通り、やっぱりピルクです。
挑発的なジャケ写のまんまの演奏で、ライヴに関わらず曲の間を空けず、
5曲目まで連続して演奏しています。
"FOOT PRINTS"の様なベースパターンの"NO PRINT"に始まり、
"JACKIE-ING PART2"に至るまで、ライヴ録音だと忘れてました(笑)。
彼らにとって1曲の区切りなんてあんまり関係ないのかもしれません。
ぶっちゃけた話、何を演っても割と展開はワンパターンで
調性の危ういパーカッシヴなヒートアップの仕方をしますけど、
そのエネルギー量が凄まじいんですよね。
かなりフリーな展開にまで進むので、暴走してると思いきや、
ドラム、ベースとのキメがビシッと決まる。
何が合図になってるのか全然わからない。
ライヴで観た時もアイコンタクトとか殆どなかった様に思いますし…。
個人的には"MR RG"のトリオ三位一体の攻撃に鳥肌が立ちました。
(2005.11.16)

 

APH-O-RISM'S / HANS LUDEMANN (JAZZHAUS MUSIK)
かなりクセモノのドイツ(?)のピアニストです。
音が全て難しいっ。
初っ端の"WIE DU"は6+7の変拍子でメカニカルなテーマ。
音の強弱だけでなくテンポにまで変化を付けて表情付けしてます。
更に消え入るようなカデンツァが緊張感一杯の"STELLA BY STAR WAR"は
当然"STELLA BY STAR LIGHT"のコードです。(ってテーマも殆どマンマ)
続く"PRIZ"はどうやら"SOMEDAY MY PRINCE WILL COME"。
かなり捻くれた曲の解釈で、元の曲の生き生きとした生命感を抜き取り、
蝋人形にした様な冷徹な美しさが横溢しています。
"RUCK AN RUUL"は変なロックンロール。キチ●イのダンスですわ(笑)。
ベースのHARTMUT KRACHTも凄い。
録音年代を見てびっくり。1991年って、かなり前ですね。
最近の録音だとばかり思っていました。
(2005.10.30)

 

SIMPLY BE / CAROLYN BREUER & FEE CLAASSEN (CHALLANGE)
FEE CLAASSENと云えば、アムステルダムジャズクインテットとの
ヴォーカルが印象的でした。
また、FAY CLAASSENも同一人物だと思うんですが、
「FAY CLAASSEN WITH A SONG IN MY HEART/(CHALLANGE)」も
一部ストリングス入りの聴かせるアルバムでした。
そんでもって、今回のアルバムはキャロリンブロイヤーとのユニット。
聴く前から期待に胸が高鳴りました。いや、純粋な意味で(笑)。
録音が少しのぺ〜っとしてるのが気になりますけど、
器楽的なメロディラインをガンガン唄い捲くってます。
決して音程がしっかりしている訳ではありませんが、
ハスキーで少し金属的な響きのある声質はこう云うユニットにピッタリです。
キャロリンブロイヤーって綺麗なだけの人だと思い込んでたんですが
なかなかツボを得たプレイをする人だったのですね。
先入観はいけませんね。
個人的には"EMPTY"と"MANTENHA FE"がお気に入り。
ブロイヤーのオリジナル、"SECRET DREAMS"も美しいバラッドです。
それにしてもチャレンジさん、せっかくの女性二人なんだからさー、
もうちょっとデザイン考えましょうよ。
(2005.10.30)

 

ODD OR EVEN / 田中信正 KARTELL (BAJ RECORDS)
田中信正さんって凄いピアニストがいる、って、
知り合いに教えてもらいました。
その人が実際に生で田中信正さんを聴いた印象は
「こんなピアニストが日本にいるとは。」と云うモノでした。
そこまで云われて聴かない訳にはいかない。
かなり期待してこのアルバムを聴いたんですけど、
過度な期待をしていたにも関わらず、更にその上をいく凄まじさでした。
のっけの"VAMP"でもうヤラれました。ギブです(笑)。
全編に渡って、聴き手がクタクタになるくらいのエネルギーが
ぎしぎしに詰まってますので、一回に付き3曲を限度に聴くと良いでしょう。
"TEA FOR TWO"に至っては1曲聴くだけでHPを使い果たします。
こんな形で"二人でお茶を"したくないです(笑)。
ご本人がジェリアレンを尊敬していると語っていたらしいので、
その辺りのジャズが好物な方は是非聴いて欲しいです。

最近、これからの活躍が期待される素晴らしいプレイヤーのCDが
HMVのネットストアで買えるケースが多いのは嬉しい事です。
(2005.10.30)

 

LES FLEURS BLEUES / STEFANO BOLLANI (LABEL BLEU)
ステファノボラーニと云えば、日本ではヴィーナスレーベルから
「愛のかたらい」だの「けれど恋は」だの、
店頭で手に取るのが羞恥プレイの様なアルバムが出てますけど
ヨーロッパの方ではイカツいラベルブルーで作品を出してます。
元々クラシック系の人ではないかと思えるのは、
フレーズがジャズっぽくないせい。
ソロピアノのフォーマットが多いのもその関係かもしれませんね。
このアルバムでもトリオのトラックよりもソロのトラックの方が面白いです。
どうもトリオになると"合奏"的なイメージが漂ったり、
バラッドになると一気に甘くなったり、
シャンソンみたいな曲を唄ってみたりと、スタイルが一環してない。
できれば"L'HISTOIRE QUI AVANCE"の様なゴリゴリした曲を中心に
全体のバランスを考えたアルバムを作って欲しいです。
(2005.10.30)

 

SPROUT / 高須賀はつえ (AZUL RECORDS)
関東を中心に活動してるヴォーカリスト高須賀はつえさんの
ファーストアルバムです。
初っ端が"君の瞳に恋してる"で、続いてナシメントの"BRIDGE"。
割とポップな曲中心の楽しい感じなのかなと思いきや、
その次の"I THOUGHT ABOUT YOU"で一気に引き締まります。
とにかくこの曲が素晴らしいです。
個人的にこの曲は大好きなのですが、
今まで聴いた"I THOUGHT ABOUT YOU"の中でも屈指の情感。
思いっきりスローテンポでピアノ一本をバックにたおやかに唄います。
しかもピアノは中村真。
ヴォーカルの息遣いとピアノの間合いをたっぷり味わいたいトラックです。
ビートの強い曲が多い中で、ピアノとのデュオの3つの曲、
コレと"YOU'VE CHANGED"と"LOVERMAN"が一段と心に沁みますね。
ポップス作品もしっかりと自分の表現で唄っているトコロが素晴らしい。
(2005.10.16)

 

THE BIRD IN ME / GINA HARKELL (33 RECORDS)
このGINA HARKELLってヴォーカリスト、音程がかなり不安定。
はっきり云って上手くないです。
でも今から十年以上前に「NEW BORN BLUE/(33 RECORDS)」って
アルバムのタイトル曲を聴いた時、その声にぐっとくるものがあって、
それ以来、新譜が出ていないかずっとチェックし続けています。
何だか明るい中に翳がある声質なのです。
この微妙な感覚は説明してもわからないでしょうし、
他の人には感じられないものなのかもしれません。
つまりは、私が勝手なイメージを膨らませて
彼女を過大評価しているだけなんですけどね…。
アルバムの大半をオリジナル曲が占めており、
それらのもの悲しいメロディラインを彼女の声質で唄われると、
知らず知らずの内に俯いて静かに聴き入ってしまうのです。
"DID YOU SEE HER SMILE?"、"STATELESS"、"WINTERTIME"etc.…、
美しい曲が続きます。
この人を聴いてると、唄は上手けりゃ良いんじゃないって思います。
(2005.10.16)

 

SO AM I ... / YOUN SUN NAH (IN CIRCUM GIRUM)
フランスを拠点に活動している韓国出身のヴォーカリストです。
このアルバムは2004年にヨーロッパ系のバックで録音されています。
全曲、彼女かメンバーのオリジナルで、非常に音楽性が高い。
アドリブ回しして盛り上げてナンボみたいな緩い部分は皆無です。
一曲一曲が濃密なストーリー性を持っていて、ドラマティックに展開します。
特筆すべきは弱音の味わいです。
ウィスパー系の唄い方に絡みつくのは、消え入りそうなクァルテットの音。
時折、ハングル語での歌詞が入り、意味はわからなくても、
音の響きの美しさを感じさせてくれます。
タイトル曲の"SO AM I..."がとりわけ瑞々しいですね。
(2005.10.16)

 

OUTSIDE BY THE SWING / 山中千尋 (VERVE)
まず最初に謝ります。
聴かず嫌いでした。
澤○工房デビューと云うので、勝手にイメージを作ってしまってました。
いやー、凄いピアノを弾きますね!
"OUTSIDE BY THE SWING"と"IMPULSIVE"を聴いて、
久々に鳥肌が立ちました。
激しい音でも、柔らかい音でも、粒立ちがはっきりしてるのが印象的。
録音がいい事もあって、音に芯がある様に感じます。
ロバートハースト、ジェフワッツのサポートも正に本気です。
ちょっと器用さを見せ過ぎているのが気になるところですが…。
(2005.9.18)

 

LEGS TO MAKE US LONGER / KAKI KING (RED INK)
たしか以前に彼女の事を書いた筈なのに、
サイト内を見当たらないのでおかしいなと思ったら、blogの方でした。
「EVERBODY LOVES YOU/(VELOUR RECORDINGS)」
ってアルバムを取り上げてますので、良かったらそちらも。ココ
その時も彼女の超絶ギターを聴いて圧倒されたんですが、
今回のコレも大概ですわ。
テクニック云々よりも描きたい音楽のスケールがとてつもない気がします。
完全なソロアルバムではなく、トラックによって若干のミュージシャンが
参加しておりますが、あくまでも彼女主導のワンマンプレイ。
断続的なコードストロークだけで情景的な音楽を描いた"FRAME"、
ノイズを見事にコントロールしている"PLAYING WITH PINK NOISE"、
美しい7拍子の旋律が印象的な"NEANDERTHAL"、
そして、彼女の音楽表現の幅の広さを感じさせる哀愁の"LIES"etc.…。
どれをとっても素晴らしいプレイばかりです。
(2005.9.18)

 

DIALOGUES / FREDERIC FAVAREL & RICHIE BEIRACH (A RECORDS)
続けてギターを取り上げます。
あまりギターは聴かないので、この人がどんな人が全然知りません。
上のKAKI KINGがONE AND ONLYなスタイルで
ワンマンなプレイを展開しているのに対して、
このアルバムはFREDERIC FAVARELとバイラークの二人で
音楽を構築しようとするのが良くわかります。
ま、デュオって、それが当たり前なんですが(笑)。
オーソドックスで取り立てて目立ったプレイヤーではありませんが、
バイラークとの相性は良いです。
クリーンな音色で人肌のギターを聴かせてくれます。
バイラークのピアノがやや冷たいのでそれに温かみを加えてる感じ。
全曲二人のオリジナルでポエトリーな作品が多いです。
(2005.9.18)

 

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