'bout JAZZ sokohaka


相変らず聴き散らかしてるんですが、コンテンツにまとめようとすると、
色々データも調べなきゃいけないし、念入りに推敲しなきゃいけないで、
どうも更新のペースが落ちてきました…。
そこで"'bout JAZZ"のコーナーよりも気楽に書けるコーナーを設ける事にしました。
ありがたい事に「しほたつ(仮名)の文章を読んだら、なんか聴きたくなる。」と
云ってくれる人が多少なりといはります。
「これぞ逸品!」と云うモノを厳選するのではなくて、
私ならではの判定の甘さで(笑)、「そこはかとなく良い」モノを取り上げていきましょう。
読んでるうちに聴きたいものがどんどん増えていくようなコーナーにしたいと思います。

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PLAYS JON EBERSON / TRI O TRANG (CURLING LEGS)
下の方でも取り上げたTRI O TRANGの2003年録音のアルバム。
チューバ+サックス+ピアノと云う変則トリオに、
今回はギターとドラムを加えて、少しはまともな音楽になって…、
ないですね。相変わらず挑発的なとげとげしいアンサンブル。
「PLAYS JON EBERSON」って云われても誰かわかりませんが、
参加してるギターリストがJON EBERSONその人。
バラッド"ARMANAQ"のメロディラインに独特の美意識を感じ取れます。
いつまでも手の届かないトコロに憧れに近い美しさの高みを求めてる感じ。
って、意味不明の表現ですか(笑)。
(2005.7.24)

 

3 / HANS BENNINK & MICHIEL BORSTLAP & ERNST GLERUM (55 RECORDS)
ボルストラップのピアノトリオ作品と云うより、正に3なアルバム。
1+1+1で繰り広げられる触発と親和の駆け引きが凄いです。
"ROUND MIDNIGHT"とか"TAKE THE A TRAIN"と云った
超有名曲も演ってますが、凡百の演奏とは訳が違います。
逆に「スタンダードがここまで…。」って感覚で捉えられるので
オリジナル以上にこのユニットの凄みが伝わるかもしれません。
こんな暴走機関車状態のAトレインには乗りたくないなぁ〜(笑)。
(2005.7.24)

 

A NIGHT IN INDONESIA / PAUL VAN KEMENADE (SELF-PRODUSE?)
「JUST FOR THE OCASION」を聴いて以来、気になり続けてる
このPAUL VAN KEMENADE(AS)なんですが、
プレイヤーとしてよりも哀愁を帯びた作曲センスが好きなのかも。
このアルバムは2001年に録音された作品です。
タイトルにインドネシアの夜とありますが、
けっしてエリントンの「極東組曲」みたいに変な東洋フレーズで
脱力する事はありませんのでご安心下さい(笑)。
どちらかと云うとアンサンブルに重点を置いたユニットなので
激しいソロの応酬などは望むべくもないですけど、
完成度の高い音楽表現に魅力を感じます。
タイトル曲をはじめ"COMING UP SOON"や"SWEET AND LUCKY"etc.…、
凝った構成と良い意味でキャッチーなメロディラインが心地良い。
(2005.7.24)

 

TIVEDEN / PER HENRIK WALLIN (PHONO SUECIA)
冒頭から鳴り響く不協和音は極めてモンキッシュ。
その後に飛び出してくるビッグバンドサウンドもグデグデの不協和。
モンクの「ブリリアントコーナーズ」を更に醜悪にした感じ。
総勢11管によるアンサンブルは混沌の泥沼をのたうち、
きっと普通の感覚で聴くと「なんじゃこりゃ?」なんでしょうが、
それが変態的な美しさを湛えてて実にかっこよろしい。
フリージャズの様な破壊された異常さとは違って、
奇妙な形に構築されたものの異常さと感じます。
最も好きなトラックは"WEAREALGHTHOUSE"です。
ごたごたとしたサウンドが一瞬綺麗に調和する対比が面白い。
(2005.7.24)

 

HANDS & INCANTATION
    / ELISABETH KONTOMANOU & JEAN-MICHEL PILC (STEEPLECHASE)
ジャンミシェルピルクの歌伴モノです。あー、びっくり(笑)。
どんな歌伴をしてるんだろうと興味津々で聴いたみたら、
やっぱり普通じゃありませんでした。
「手と呪文」と名づけられたタイトルが表すとおり、
二人のプレイはただの歌と伴奏の関係に収まってません。
かなり前衛の領域にまで入り込み、絶叫や奇声が飛び交うので
何度、アンプのボリュームを絞ったことか(笑)。
フリーインプロヴィゼーションに近いトラックが多いですが、
"WHAT A DIFFERENCE A DAY MAKES"、"NE ME QUITTE PAS"、
"LA VIE EN ROSE"、"YOU'VE CHANGED"、"ROUND MIDNIGHT"等の
スタンダードは比較的まともに唄っております。
でも逆にそれらの方がピルクの伴奏の奇妙さが際立ち、
よくもまあ、こんな伴奏で唄えるな〜って関心する程です。
特に"ROUND MIDNIGHT"は凄い。
ただでさえインスト曲で音が飛びまくるのに、ピルクの邪魔が入る中、
しっかりと唄いきる彼女に拍手(笑)。
あんまり褒めてませんが、面白いアルバムではあります。
ヴォーカルに癒しを求めて聴くと全然ダメですけど…(笑)。
個人的にはJEANNE LEE & RAN BLAKEのデュオと近い肌触りを感じつつ、
久々に刺激的な作品を聴いた気がします。
ちなみに"NE ME QUITTE PAS"は"IF YOU GO AWAY"の仏語原題。
(2005.5.22)

 

LE PERTURBATEUR
  / FRANCOISE TOULLEC & WILLIAM NOBLET & CLAUDIA SOLAL (GAZUL)
ヤバ目のヴォーカルモノをもう一枚。
まともな歌を唄ってないので、ヴォイスと云った方が良いかも。
私もクラウディアソラール目当てに買って、面食らいました。
「MY OWN FOOLOSOPHY/(NIGHT & DAY)」で見られた
彼女の作曲センス等を期待すると、全く当て外れになります。
全編に渡って、ヴォイス+ピアノ+(PERCと云うより)鳴り物による
インプロヴィゼーションに終始しますので、
かなりの免疫が必要かもしれません。
やはり親爺さんの遺伝子は濃ゆく入ってる様です(笑)。
いや、この立派な前衛ぶりは親爺さん以上かも?
きまぐれな音の離合集散ではありますが、
それ故に偶然の瞬間を聴き逃せない、油断ならぬ作品と云えます。
(2005.5.22)

 

SOMETHING OLD SOMETHING NEW / FRANK GLOVER (FGA)
以前このコーナーで「SIMAMESE TWINS」ってアルバムを取り上げてから、
ずっとこの人の作品を探してたのですが、なかなか入手できませんでした。
で、やっと見つけたのがコレ。
ジャケットにも小さく書かれている通り
"MUSIC FOR CLARINET AND STRING ORCHESTRA"。
だからって、甘くオールドファッションな音楽を想像してはいけません。
エッジの利いたクラリネットと体感温度の冷ややかなストリングス、
更に、ピアノが「SIMAMESE TWINS」と同じCLAUDE SIFFERLENです。
"INVITATION"でのFRANK GLOVERのアドリブは本当に凄い。
クラリネットのリードを声帯の様に操り、難解なフレーズが乱高下します。
オリジナルに混じって"NATURE BOY"や"STARDUST"や
"LONG AGO AND FAR AWAY"と云った有名曲も演奏されておりますが、
原曲の良さを損なわず、それでいて気を衒い過ぎず、
バランスの取れたフレッシュなサウンドに仕上げてあります。
(2005.5.14)

 

SWEET SURPRISE / TRUDY KERR (FMR RECORDS)
TRUDY KERRの1997年のアルバム。
左の画像が赤茶けて見えるのは、
元からこんな色なのか、棚で売れ残ってるうちに色褪せたのか、
どっちかよくわかりません(笑)。
あまり名前も聞かない人ですけど、
丁寧で癖のない唄い方がとっても可愛らしく、
選曲の良さも相俟って、一時へヴィーローテーションで聴いてました。
中でも"I'VE GOT BE ME"の16ビート系のアレンジに合わせて
伸びやかな声で軽やかにシャウト(矛盾してる?)のが心地いい。
スローの"THAT'S ALL"はスマートな語り口で、これまた心地いい。
でも、実際は"SWEET SURPRISE"や"OCEAN"あたりの
ジャス臭くない曲の方が声質に合ってるかもね。

以前blogに書いた記憶のある
「MY OLD FRAME/(JAZZIZIT)」は
チェットベイカーの愛唱&愛奏曲集。
「SWEET SURPRISE」よりもジャズっぽいけど
ちょっと平凡なアルバムに映ってしまいます。
ピアノは入ってますが、バリトンサックスの響きが
どことなくマリガンのオリジナルカルテットを彷彿とさせます。
(2005.5.14)

 

THE LIFE OF A SONG / GERI ALLEN (TELARC)
天才ジェリアレンの6年ぶりのリーダーアルバムが出ました。
しかも殆どがトリオによる構成と云うのが嬉しい。
しかも11曲中8曲が彼女のオリジナルと云うリキの入れ様。
ぶっちゃけ1990年頃のジェリアレンほどの切れ味はありませんけど
それでも時折ジェリアレンらしい"胃痛フレーズ"が出てきます。
あ、胃痛フレーズって云うのは、私が勝手に云ってるだけなんですが、
昔のジェリアレンって聴いてると胃がキリキリする様な
緊張感に襲われたのですよ。
ま、モチアン&ヘイデンとのトリオだったってのも大きな要素だと思いますが、
ノイローゼ気味に音が内に篭っていく様な感じは
このトリオでしか出せない気がします。
で、今回のアルバムはディジョネット&ホランド。
やはりこの顔合わせだと骨格がしっかりしてきますね。
ジェリアレンのピアノが力強く外に向けて拡散していく感じがあります。
"LBWS HOUSE(THE REMIX)","HOLDIN' COURT"あたりが
個人的にはかつての彼女らしさを感じて好きですね。
特に前者は昔の曲の焼き直しだし。
パウエルの"DANCE OF THE INFIDELS"の解釈も面白いです。
(2004.9.20)

 

VOICES OF POHJOLA / ALEXI TUOMARILA (IGLOO)
ピアノのALEXI TUOMARILAをリーダーに
NICOLAS KUMMERT(TS),CHRISTOPHE DEVISSCHER(B),
TEUN VERBRUGGEN(DS)と云うメンバーで2001年に録音されました。
わかりやすく云えば、現在進行形のヨーロッパサウンド。
今風のドライでクールなスタイルって、ともすれば没個性的になりがちですが、
彼らの演奏は適度にノスタルジックなメロディが散りばめてあって、
その絶妙なバランスでもって、音楽を聴かせ切るトコロがウマイ。
またところどころでピアノやベースのソロ曲を配置して
CD一枚を組曲さながらのドラマティックな構成にしています。
こう云った工夫が彼らのプレイの一つ一つを更に生き生きしてる感じ。
他にも「02/(FINLANDIA RECORDS)」って
2002年録音のアルバムを聴きましたが、
これまた同じ方向性でクォリティの高い演奏がぎっしり。
(2004.9.20)

 

KINDRED / STEFON HARRIS & JACKY TERRASSON (BLUE NOTE)
ヴァイブのステフォンハリスとピアノのジャッキーテラソンによる
2001年録音のアルバムです。
グラミー賞候補だったか、受賞したか…、
ま、とにかく一般的にも評価された作品であります。
あまり一般的なモノが出てこない当コーナーに於いては意外な盤選?(笑)
とにかく二人の資質のぶつかりあいが半端じゃないですね。
あまりエモーショナルな深みは感じられませんが、
これだけ高い音楽性と即興性とテクニックが絡み合えば
音絵巻だけで充分楽しめる。
ドラム&ベース入りのトラックが殆どですけど、
"WHAT IS THIS THING CALLED LOVE"はデュオによる演奏。 
正に二人の真剣勝負とも云うべきテンションの高さ。
テーマもそこそこに2バースチェンジでフレーズの応酬を経て
次第に入り乱れてソリへの展開。
叩きながら&弾きながら、相手のフレーズにしっかり呼応してるところが凄い。
カルテット演奏になると構成がしっかりしてくるので、
デュオの様なスリリングな味わいは薄らぎますけど、
二人の音の折り重なりの心地よさは変わりません。
ただスローナンバーではエモーションよりもムードが先に立つ感じ。
もうちょっと深みが出てくれば感動の度合いも増す気はしますね。
(2004.7.17)

 

MODERN DRAMA / JANE IRA BLOOM (COLUMBIA→KOCH)
女性ソプラノサックス奏者のジェーンアイラブルームの
1987年録音のアルバムです。
ジャケ写の顔、かなり鬼気迫るモノがあります。
左のサイズではわかりにくいので拡大画像も用意しました。CLICK!
何やらオーラの様なモノまで写っています(笑)。

彼女はいつもかなり狂気的なトコロまで踏み込んだプレイをしますが、
その凄まじさではこのアルバムが一番凄いかもしれません。
自分の音楽表現の為であれば、かなり実験的な事もやります。
オーヴァーダビングも随所に散りばめられてますし、
サックスの音もかなりエフェクターで歪めてたりします。
正統派ジャズファンからは眉を顰められそうだなぁ(笑)。

例えば、"NFL"なんかは、スタジアムの情景描写。
ホイッスルの音、高く舞い上がるボール、ぶつかり合う選手。
そして、最後にはマーチングバンドが登場。
目の前を横切っていきます。これには笑いました。
また"THE RACE"も描写モノ。
サックスの音を多重でパンして走る車のドップラー効果を表現したり、
ベースでエンジン音の模写をしたりしています。
アイデア一発って感じもしないではないですが、
かのクラシックの作曲家のオネゲルだって
「パシフィック231」(機関車の描写)や「ラグビー」なんて曲を残してますから
音楽で映像を表現しようとする気持ちもわからなくもないです。

あと特筆すべきは、彼女に感化されてか、他メンバーのプレイも
普段から比べて常軌を逸しているところでしょうか。
ピアノのフレッドハーシュもヴァイブのデヴィッドフリードマンも
明らかにオカシイ(笑)。
(2004.5.16)

 

SOLAL LOCKWOOD / MARTIAL SOLAL & DIDIER LOCKWOOD (JMS)
マーシャルソラールとヴァイオリンのディディエロックウッドの
1993年録音のデュオアルバム。
二人の資質は対極とはいかないまでも、
かなり離れているんじゃないかなと思います。
それ故、曲によってはソラール寄りになったりロックウッド寄りになったり
様々な変化を見せるところが面白いですね。
例えば"DIFFICULT BLUES"はモロにソラール寄りの演奏。
小難しいフレーズが絡み合うソラールファンには堪らない作品です。
ここでのロックウッドを聴いて
「ヴァイオリンってこんな硬質な音も出せるのかー。」と驚きました。
ヴィブラートも殆どかかってないし、アタックも強い。
一方、ロックウッドのオリジナル"MISS COPELAND"や"BALANINA"は
ヴァイオリンに合った愛らしい曲で
「ソラールってこんな優しい音も出せるのかー。」と驚きました(笑)。

聴く人の好みで聴きドコロが違ってくると思われますが、
個人的にはやっぱりソラールのオリジナルに興奮しますね。
"L'ALLE THIERS ET LE POTEAU LAID"なんか
ソラールの作品の中でも屈指の名曲だと思うのですが、如何でしょう?
(2004.5.8)

 

KYANOS / JON BALKE & MAGNETIC NORTH ORCHESTRA (ECM)
JON BALKE&MAGNETIC NORTH ORCHESTRAの
2001年録音のアルバム。
オーケストラと名乗りつつも構成は7人です。って、少なっ。
手元の1993年の「FURTHER/(ECM)」ってアルバムを見ると
11人いましたから更にシェイプアップされたのでしょうか?(笑)
PER JORGENSEN(TP,VO),MORTEN HALLE(SAX,FL),
ARVE HENRIKSEN(TP),SVANTE HENRYSON(CELLO),
JON BALKE(PF,KEY),ANDERS JORMIN(B),
AUDUN KLEIVE(DS)と云うちょっとイビツな編成です。
ですから、普通のオーケストラサウンドとは全く異なります。
トランペットこそ2本ありますが、他は全部バラバラの編成。
コンボ演奏なら別に普通の事ですが、オーケストラとしては異様です。
「FUTHER」のトランペット×2+サックス×2+弦楽三重奏の構成と比べると
そもそものアレンジの方向性が全然違う事に気付きます。
全曲に渡って、切れ目らしい切れ目は1、2箇所しかなく、
一体どの楽器が鳴っているのかわからない微妙な音の積み重なり。
そして、各楽器が離合集散をしながら、少しづつ表情を変えていきます。

思うに、これほどi-tuneのビジュアライザーの似合うアルバムはないでしょう(笑)。
(2004.4.18)

 

THE TORBJORN ZETTERBERG HOT FIVE / (M.M.P)
ごりごりで野太い漢(おとこ)のジャズです。
リーダーはベースのTORBJORN ZETTERBERGですが、
個人的なお目当てはサックスのPER'TEXAS'JOHNSSONでした。
それにもう一本JONAS KULLHAMMARが加わり、
それはもうえげつなくパワフルな演奏を展開しています。
音作り自体は新しくない、と云うより古いくらいかもしれません。
わかりやすいハードバップの香りを残した曲が並んでいます。
要は、ただ勢いだけでゴリゴリやってるんじゃなくて、
ちゃんと曲を組み立てた上で暴れまくっているトコロが魅力だと思うのです。
また、コントラバスクラリネットやらバスサックスによるアンサンブルは
醜悪なサウンドの中にえも云われぬ心地よさがあります。

それはそうと、内ジャケットの写真に
なぜかオタフクの焼きそばソースが写っています。
一体これはどーゆー事?
(2004.4.11)

 

DOOR IN THE FIELD / JIM RIDL (DREAMBOX MEDIA)
立て続けにジムリドルをもう一枚。
2002年から2003年にかけてレコーディングされています。
ピアノトリオを核に、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、
曲に因ってはアコーディオンが加えられています。
とは云っても、チャンバーミュージック的ではなく、ちゃんとピアノトリオ的。
で、アルバムタイトルも示すように、今回はアウトドア派(笑)。
表題曲をはじめ、"SUN ON MY HAND"、"SWEET CLOVER"、
"GREEN MEADOW WALTZ"など、自然の風景を題材にしたモノが多いです。
なのに、やっぱりどこかシリアスで陰鬱な空気が全体を支配しています。
全曲中最も長い"THIRTY FOOT CEILING"がお気に入り。
速めの5拍子を正確なリズムとタッチでグイグイと押し捲っています。
ライヴでもこんなノリをすりゃ良いのにねー(笑)。
(2004.4.11)

 

LIVE / JIM RIDL (DREAMBOX MEDIA)
ジムリドルトリオによる1999年のライヴ録音です。
聴き手を寄せ付けない哲学者のぼやきみたいなスタイルが災いしてか
あまりお客さんは入っていない様です。拍手もまばら…(笑)。
オリジナル中心で、"CARAVAN"と"CHEROKEE"の2曲が既成曲。
しかし、これとて、テーマは割とストレートに演奏しているものの、
ソロが悦に入ってくると、自己との対話の中で次第に盛り上がっていって、
第三者は入っていけない様な状態になっていきます。
リズムに対しても、素直に乗っていかず、わざとズレを楽しんでいるみたい。
全てに於いて、確信犯的に捻くれたピアノだと思います。
比較的近代現代のクラシックのピアノ曲を聴いてるのと感覚が近いので
私個人的には思いっきりストライクなのですが…。
(2004.3.27)

 

AT THIS POINT IN MY LIFE / DONALD BROWN (SPACE TIME RECORDS)
ドナルドブラウンの2000年録音のアルバムです。
どうもこの人はジャケットで損してる様な気がしてなりません(笑)。
個人的に彼の音楽は大好きなのですが、どちらかと云うと、
コンポーザー&アレンジャーとしての魅力の方が上です。
フロントに2〜3管加えた編成で、どんなブラウン臭いサウンドが
飛び出してくるのかってトコロに興味が集中します。
そう云った意味では、サックスとトランペットをフロントに加え、
更にギターとパーカッションまで加わったこのアルバムの編成は理想的。
重厚なエレベのイントロから始まる"RETURN FROM THE SEVENTIES"や
5曲からなる"SUITE:IN SEARCH OF THE BUSH MAN ESSLET"など
ニンマリする様なブラウンミュージック(勝手に命名)が炸裂。
"DOROTHY'S LOVE LETTER"も良い曲でブラウンのソロも熱いのですが、
なぜかフェイドアウト。
こらこら、自分のリーダー作で自分のソロをフェイドアウトするな〜(笑)。
"NO MAN'S LAND"って曲もありますが、ネイティヴアメリカンに捧げられた
彼のオリジナルで、エンリコとは何の関係もありません。
(2004.3.27)

 

LIKER / TRI O'TRANG (NOR-CD)
LARS ANDREAS HAUGとHERGE LIENとTORBEN SNEKKESTADの
トリオによるアルバムなんですが、ヘルゲリエンのピアノトリオだと思って
聴いたら面食らう作品ですね。
チューバとピアノとサックスと云う超変則トリオだからです。
ジャケットのどこにも楽器編成が書かれてないのは、わざとでしょうか?(笑)
しかしながら、このユニット、決して奇を衒ったモノではない事は、
音を聴けばわかります。
表現しようとしている音楽の幅の広いこと広いこと。
"IF SO"や"DET LILLA LJUSET"の様な美しいアンサンブルから、
"LILLE.."や"HURTIG"の様な激しい即興演奏まで、
どれもそれぞれの音が濃密に絡み合って深く調和している様に感じられます。
アルバムラストの"BELLA"にはCAMILLA SUSANN HAUG(VO)が参加して、
幽玄の美に花を添えています。
(2004.3.27)

 

GEORGE RUSSELL SEXTET AT THE FIVE SPOT / (DECCA)
ジョージラッセルがデッカに残したアルバム。
録音は1960年で、この年の終わりにリヴァーサイドに移籍して
名盤「EZZ-THETICS」等4枚のアルバムを残す事になるので、
このデッカ盤はそのプロトタイプと云った感じになります。
ライナーの英語を斜め読みしたところ、これはスモールコンボによる
初めてのアルバムだったみたいですね。
既に彼の音楽らしい小難しくてクールなカッコよさが横溢しております。
メンバー的には後のドンエリス、ドルフィには及びませんが、
逆にラッセルのカラーに全員が染まっている感じで、纏まりはあります。
リーダーが観念的で難しい話をするもんだから、みんなも必死で合わせてる(笑)。
リヴァーサイドでも一緒にやってるデイヴベイカー(TB)はここでも凄いです。
コルトレーンの"MOMENT'S NOTICE"をトロンボーンで吹き捲ってます。
リヴァーサイド時代のラッセルが好きな人には絶対お薦めの一枚ですね。
ファイヴスポットとタイトルにありますが、ライヴ盤ではない様です。
拍手の音とかも聴こえませんし、録音状態はスタジオ並み。
あと、裏ジャケにはデイヴヤング(AS)って書いてますけど、
どう聴いてもテナーです。
(2004.3.14)

 

SECOND RHYTHM / PRYSM (BLUE NOTE)
ブルーノートフランスが誇る(?)プリズムの1997年録音のアルバムです。
後の「TIME」よりは少しインパクトに欠けますが、それでも高いレベルの演奏。
現在進行形のピアノトリオとして、理想の形ではないでしょうか?
演奏自体も頑強な三つ巴なんですけど、
作曲面でも全員がオリジナルを提供しあっているのが凄いですね。
このアルバムの聴きドコロは一番長い"FALSE ROOTS"でしょうか。
全体として抑制された演奏が多い中で、エネルギッシュな演奏が際立つ。
変化に富んだ展開がなかなかスリリングです。
(2004.3.14)

 

DOING MY THING / JAN DE HAAS (DEWERF)
ヤンデハースのアルバムは「FOR THE ONE AND ONLY/(IGLOO)」が
良かったので、このアルバムも期待せずにはいられませんでした。
メンバーがドラム以外変わらずで、ギターが加わっています。
初っ端がストラッドなブルースなので面食らいますが、
2曲目の"E.G."で「FOR THE ONE AND ONLY」の雰囲気を取り戻します。
きびきびとした躍動感のあるPIET VERBISTのベースも良いです。
前作との大きな違いであるギターのHENDRIK BRAECKMANの参加は、
サウンドの幅を広げる意味で非常に大きな役割を果たしており、
特に"SOLITUDE"では比類なき美しさを描き出しています。
日本発売元のガッツの帯では、
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ナタリー・ロリエ(P)が全面参加した、
ファン必携の新録アルバムがここに登場。
ベルギーの新進気鋭のヴィブラフォン走者のリーダ作だが、
「サイレント・スプリング」「トンブクトゥ」にも通じる雰囲気にも
満ち溢れており、ロリエのハードドライヴィングなピアノも健在。
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と、完全にロリエを売りにしております(笑)。ハース可哀想。
(2004.3.14)

 

THE FUSE IS LIT / EUGENE MASLOV (MACK AVENUE RECORDS)
以前に「AUTUMN IN NEW ENGLAND/(BROWNSTONE RECORDS)」を
聴いた事しかなかったものですから、このアルバムを聴いて驚きました。
もう全く別人です。
「AUTUMN IN NEW ENGLAND」はスタンダード中心の
良く云えば品の良いピアノトリオ作品でしたが、
「THE FUSE IS LIT」では、音に隙間を空けるのが勿体無いかのように
幾何学的に入り組んだフレーズを弾き捲くっております。
それで凄みが増しているかと云うと、そうでもなくて、
饒舌な人の一言一言が逆に説得力を失うみたいに右から左に抜けていきます。
あ、何か全然褒めてないな〜(笑)。
聴き込むタイプの人ではないと思いますけど、
弾き捲くりの爽快感を楽しみたい時、引っ張り出してきてはどうでしょう。
"THE WITCH(BABA-YAGA)"なんて、魅力ある曲ですよ。
これ、オリジナル曲ですので、次にキエフの大門は続きません(謎)。
(2004.3.14)


 

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