'bout JAZZ sokohaka


相変らず聴き散らかしてるんですが、コンテンツにまとめようとすると、
色々データも調べなきゃいけないし、念入りに推敲しなきゃいけないで、
どうも更新のペースが落ちてきました…。
そこで"'bout JAZZ"のコーナーよりも気楽に書けるコーナーを設ける事にしました。
ありがたい事に「しほたつ(仮名)の文章を読んだら、なんか聴きたくなる。」と
云ってくれる人が多少なりといはります。
「これぞ逸品!」と云うモノを厳選するのではなくて、
私ならではの判定の甘さで(笑)、「そこはかとなく良い」モノを取り上げていきましょう。
読んでるうちに聴きたいものがどんどん増えていくようなコーナーにしたいと思います。

1   2   3   4   5


LIVE / JOACHIM KUHN & DANIEL HUMAIR & J.F.JENNY-CLARK (CMP)
キューン&ユメール&ジェニークラークの最強トリオのライヴです。
1989年の録音で、そんなに音質は良くないですが、
エネルギッシュな演奏を聴くのにちょうど良い感じかもしれません。
特にユメールのドラムのシンバル音が良い感じで、
ウッズのヨーロピアンリズムマシンの時と同じ空気が漂っています。
それにしてもこの三人の演奏は凄まじいです。
キューンの鬼気迫るピアノにグネグネと絡みつくジェニークラークのベース。

のべつまくなしのユメールのドラムがこれでもかと鼓舞する。
正にピアノトリオの理想形でしょう。
聴きドコロは…、全部です。観客の熱狂も頷けます。
(2004.2.22)

 

INVASION OF THE BOOTY SHAKERS
             / JACK WALRATH & THE MASTERS OF SUSUPENCE (SAVANT
"変なジャズ"で取り上げた方が良いかもしれないくらい
ゲテモノなアルバムなんですが、真剣にカッコいいのでこっちに掲載(笑)。
ジャックウォラス自身が節操のない人ですけど、
そこにマイルスグリフィスのヴォーカルが入りーの、
ビルビッグフォードのギターが入りーので、
ジャズとロックのあいのこみたいなケッタイな音楽が出来上がりました。

マイルスグリフィスのヴォーカルってジェイホーキンスみたいな感じで
シャガレ声でシャウトしまくるので、およそジャズ的ではありません。
バラッドを唄っても、ラップをやっても、声が薄ら笑いしてます(笑)。
冒頭の"RATS AND MOLES"を聴いて、「こらあかんわ。」と思った人は、
そのまま中古屋にでも売りに行ってください。
私は家宝にします。
(2004.2.22)

 

FIRE / FLEURINE (COAST TO COAT)
前作のブラッドメルドーとのデュオで可能性を広げたフルーリンですが、
今回は、デュオからミディアムコンボまでアレンジに変化を加えて、
幅広い選曲でアルバムを作り上げました。
タイトル曲はブルーススプリングスティンの曲、だそうです。知らんかった。
とにかく余りジャズヴォーカルとして馴染みのない曲が殆どで、
私なんかは、フルーリンのオリジナルが並んでるくらいの感覚で聴きました。
全体としてギター中心のユニットが多く、ジャズと云うより、MPB的かも。
あまり声に魅力のない人ですが、雰囲気作りが巧いです。

(2004.2.22)

 

PIANO SHORT STORIES / DONALD BROWN (SPACE TIME RECORDS)
ドナルドブラウンの1995年のピアノソロアルバム。
唄モノスタンダードと自他オリジナル曲がバランス良く並んでいます。
私だけかもしれませんが、ドナルドブラウンには、
「CARTUNES/(MUSE)」で感じた”ケッタイなセンス”を期待してしまうんです。
そう云う面で食い足りないアルバムも多々あったんですけど、
このアルバムは彼臭さがかなり味わえる作品でした。
一曲目の"I DIDN'T KNOW WHAT TIME IT WAS"のアレンジがいきなり良い!
このイントロから誰が「時さえ忘れて」が出てくると思うでしょうか。
"DOLPHIN DANCE"のイントロも然り。
オリジナルの"IN WALKED IN TOOT"のテーマなんて、
モンクよりタガが外れてるかも(笑)。
彼は頻繁にストライドとかブギウギとかのリズムを使いますが、
これが効果的な時もあれば、ただ古臭くなってしまう時もあるみたいですね。
"I'M THRUE WITH LOVE"や"GIVE ME THE SIMPLE LIFE"での
バラッドプレイはオーソドックスで美しいです。

(2004.1.18)

 

NEW CONCEPTION OF JAZZ / BUGGE WESSELTOFT (JAZZLAND)
"NEW CONCEPTION OF JAZZ"とは大きく出ましたなー(笑)。
これはアルバムタイトルと云うよりも、彼がここ数年、
求めてるテーマみたいな感じでしょうか。
メンバーも構成も入れ替わって数枚のアルバムが発売されております。
この「NEW CONCEPTION OF JAZZ」が1995〜96年録音で、
私の知る限りでは一番古いモノ。
ま、コンセプトは大上段ですけど、やろうとしてる事は別に小難しくはなく
カッコいいサウンドの追求であります。
エレクトリック系バリバリでサンプリング、プログラムが多用されています。
曲によってはご本人のヴォーカルも入ります。
全体的にはテクノ寄りのサウンドなのですが、
そこにトランペット、サックス、バスクラなどが絡んで、
ジャズファンにも安心の展開になっていきます(笑)。
タブーなしにジャズを拡張していけば、こうなるって感じ。
中でも"POEM"が凄い。
(2004.1.18)

 

FREE FOR 3 / THE DECEMBER THIRTYJAZZ TRIO (JAZZHALO)
かなりのフリーフォームで展開するピアノトリオ。
でも、ご安心を。
インプロヴィゼーションとは名ばかりの単なるドシャメシャや
アイデア不足の退屈な展開などとは無縁の質の高い演奏です。
混沌と調和の間で離合集散する三人のプレイが実にスリリング。
アルバム全体が3曲から成る3つの組曲で構成されているのもミソで、
展開にきっちりと緩急を与えて、演奏に説得力を生む要因に。
12月30日トリオと名乗っておりますが、録音は、2001年の9月。
リーダーは、ピアノのGIORGIO OCCHIPINTI。
(2004.1.18)

 

NY-1  LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD / MARTIAL SOLAL (BLUE NOTE)
マーシャルソラールの2001年のヴィレッジヴァンガードでのライヴです。
お客さんの拍手に迎えられておきながら、
いきなり聴き手を突き放すような冷徹なプレイが始まります(笑)。
さすがソラール!
"WHAT IS THIS THING CALLED LOVE"とか"BODY & SOUL"の様な
スタンダードも数曲弾いてますが、
他は愛娘のクラウディアソラールの曲って云うのが特徴的です。
しかしそれがまた、一癖も二癖もある曲ばかり。
ベースのFRANCOIS MOUTINも高音域を多用したソロで
イカツイじじいに張り合ってます。
ドラムのビルステュワートもこれでもかーって躍動に溢れて素晴らしいですが、
やや少しまとも過ぎるかも??
(2003.12.20)

 

MY OWN FOOLOSOPHY / CLAUDIA SOLAL (NIGHT & DAY)
って事で、クラウディアソラールのヴォーカルアルバムです。
前にHPのどこかで紹介したかもしれませんが、すっかり忘れました。
あの親父からこんなに綺麗な娘が?!と云う下世話な興味はさておき、
音楽性については、やはり血を引いてるなぁと感じます。
"THIS MASQUERADE"とか"OUT OF THIS WORLD"の様な
スタンダードも数曲唄ってますが、
他はクラウディアソラールの曲って云うのが特徴的です。
しかしそれがまた、一癖も二癖もある曲ばかり。
例えば"THE COLOUR OF YOUR SOUL"なんて、
絶対に唄うのに無理がある位、メロディラインが飛びまくるんですが、
それをピアノとユニゾったりするんですよ。
しかもそのピアニストがトロティニョンだったりするから驚きです。
全体を通して、この手の厳しい曲が多いので、癒されるどころか、
クタクタになってしまいますけど(笑)、
彼女の声は澄んでいて、とても美しいです。
(2003.12.20)

 

HEARTDROPS / VINCE BENEDETTI (TCB)
リーダはVINCE BENEDETTIってトロンボニストなんですけど、
ジャケットにも書いてある通り「meets DIANA KRALL」って事で、
そっちを目当てに買った人が全体の98%占めます(出口調査)。
でも、アルバムを一聴した瞬間から、
VINCE BENEDETTIの曲のセンスの良さに耳を奪われる事になるでしょう。
ホント、聴き手を自然体にさせてくれる様な心地よい曲揃いなんです。
全曲オリジナルなんですけど、中でも"THE NEWS"と
"SUNSHINE EXPRESS"が個人的にお気に入り。
ダイアナクラールはゲスト参加じゃなくて、全曲で唄ってますから、
本来の目的としても(笑)、満足できる作品だと思います。
ラスト二曲が3分程度の尺に収めた"RADIO/SHORT VERSION"ってのが
商売っ気出ててちょっとヤダねー。
(2003.12.20)

 

HOPE / PIOTR WOJTASK (POWER BROS. RECORDS)
初っ端の"HOPE"がカッコ良過ぎます。
ピョートルボイヴォイタシクの2001年録音のアルバム。
サックスがデイヴリーブマンなので、
オーソドックスなハードバップ系の演奏の中に
ゴニョゴニョとしたリーブマンらしさが混ざりこんで、
逆に良くなった感じがします。
同じレーベルから、ビリーハーパー等との「QUEST」や
ポーランドのミュージシャンとの「ESCAPE」ってのも出てますので
聞き比べて見るのも面白いのではないでしょうか?
まぁ、「QUEST」は殆どハーパー色が強すぎるので、
この「HOPE」か「QUEST」が彼らしい作品と云えそうですが。
LESZEK MOZDZERのピアノも時に歯切れ良く、時に繊細に、
表現の幅が広いです。

(2003.12.20)

 

MAN IN THE AIR / KURT ELLING (BLUE NOTE)
カートエリングの2003年録音のアルバム。
この人の場合、クォリティの高さは聴く前から確約済みですね。
いつもの様に取り上げる曲はやっぱりインストのヴォーカリーズ化で
メセニー、コルトレーン、ハンコック、ボブミンツァetc.…、
彼の好みのでた人選になっております。
個人的には、その豪華な顔ぶれの中にボビーワトソンの
"JEWEL"が取り上げられているのが嬉しいです。
「FLIRTNG IN TWILIGHT/(BLUE NOTE)」の中でも
"ORANGE BLOSSOMS IN SUMMERTIME"を唄ってたし、
きっとボビーワトソン&ホライズン辺りも好きなんだろうと勝手に想像。
さて、今回はヴァイブのステフォンハリスが良い味を出してます。
特に絡み合いが美しいのは"IN THE WINELIGHT"。
グローヴァーワシントンのスムース口当たりとは違って、
どこか物憂い雰囲気を湛えたボディ感のある赤ワインの光と云う感じ。
って、よーわからん表現やなー(笑)。
他に短いテイクですが"THE UNCERTAINTY OF THE POET"は
オーヴァーダビングによるカートエリングのアカペラになってます。凄い!
(2003.12.7)

 

MUSIC FOR JAZZ ORCHESTRA / ALBERT MANGELSDORFF (SKIP RECORDS)
マンゲルスドルフの2002年のオーケストラ作品です。
フリーの混沌とした演奏を想像していたら、さにあらず。
ガッシリと構築されたオーケストラサウンドは硬質でカッコいい。
アルバムの大半を占める"CONCERT FOR JAZZ ORCHESTRA"は
アンサンブルの魅力とソロの魅力が活かされるアレンジが見事です。
ソリストの個性も強烈でマンゲルスドルフのトロンボーンはもちろんの事、
REINER WINTERSCHLADEN(TP)、VLADYSLAV SENDECKI(PF)、
PETER BOLTE(AS)と存在感誇示しまくりです。
単なるソロ回しに陥らない、正に協奏曲ですね、これは。
(2003.12.7)

 

THE SPEED OF LIFE / MADELINE EASTMAN (MAD-KAT RECORDS)
前作「BARE」ではピアノ1本をバックに深い表現力を見せた彼女でしたが、
今度のアルバムではピアノトリオ+トランペットを伴って、
よりジャズらしいサウンドに方向付けしてきた感じです。
以前のスタイルに戻ったと云う話もありますが(笑)、
何だか「BARE」以前よりも粗さがなくなった気がするのは私だけ?
いつも素晴らしいメンバーを揃えてくる彼女ですけど、
今回もこれまた凄い。
トリオがRANDY PORTER(PF),RUFUS REID(B),AKIRA TANA(DS)。
トランペットのMIKE OLMOSって人は無名(?)ながらも
ミュートを中心にツボ得たクールなプレイでバックに徹してます。
中でも私が好きなのは"SOMEDAY WE'LL ALL BE FREE"や
"WAIT TILL YOU SEE HER"と云った曲で見せる優しい唄い口。
ベンシドランのアレンジによる超スローの"GET HAPPY"も面白いです。
元歌が全然わからなかったけど(笑)。
そう云えば他のアルバムでも"YOU ARE MY SUNSHINE"を
スローのマイナーで唄ってたなぁ…(笑)。
(2003.12.7)

 

SEREINE / CLAUD BARTHELEMY (LABEL BLEU)
これがジャズかどうかなんて狭義の分類は、もはや意味がないでしょう。
とにかく最初の"MUNIR"を耳にした瞬間から、
二度と忘れられない音楽が1つ増える事になります。
表現したいモノが頭の中に渦を巻いていて、
それを音にするためなら、手段を選ばない…。
バルテルミにはそんな桁外れの才能とセンスがある様に思います。
(2003.12.7)

 

IT'S A NICE THOUGHT / SARAH MOULE (LINN)
SARAH MOULE(VO)によって吹きこまれた
FRAN LANDESMAN(LYRICS)&SIMON WALLACE(MUSIC)のソングブック!
って云っても、誰一人知らない人なんですけど(笑)。
LINNレーベルに惹かれて聴いてみたら、とても良いアルバムでした。
まずはSARAH MOULEの声が魅力的。
大人の歌を唄える軽めのハスキーヴォイスです。
クレアマーティンに似てる様な気がするのは、
LINNレーベルからくる先入観でしょうか?(笑)
そして、FRAN LANDESMAN&SIMON WALLACEの曲がスマートで都会的。
オーソドックスなジャズらしさを持ちながらも新鮮なメロディなんです。
歌詞も"JAZZ ALIENS"なんてユニークなモノとか、
"WHEN YOUR COMPUTER CRASHES"なんて縁起でもないモノとか(笑)、
なかなか凝っております。
(2003.12.7)

 

SEPT VARIATIONS SUR LENNIE TRISTANO
                                             / STEPHAN OLIVA & FRANCOIS RAULIN (SKETCH)
ステファンオリヴァーとフランソワローランによるトリスターノへのオマージュ。
トリスターノの曲やコニッツの曲に加えて両者のオリジナルが並びます。
ピアノ×2、ベース×2、リード×2、ギター×1、ドラム×1と云う
かなりケッタイな編成で、入れ替わり立ち代り音絵巻を展開します。
少ない音数で対位的に微妙な均衡を見せる曲があったかと思うと
役割がぶつかる混沌とした音塊が暴力的に襲ってくる曲があったりする。
局面によってはジャズと云うよりチャンバーミュージック的。
決してトリスターノ的とは云えないですが、
トリスターノ好きの琴線に触れることは間違いないでしょう。
ホント聴きドコロだらけのアルバムですが、
中でもコニッツの"TAUTOLOGY"、ローランの"EAST PGAN"が素晴らしい。
その場の即興演奏と思える"GASPATION"も良いですし、
混沌と秩序を巧みに対比させたローランの"VICTORY"も見事。

他にもこの二人でトリスターノに取り組んだアルバムがあります。
(2003.12.7)

 

SHADOWS IN THE RAIN / CHRISTOF LAUER (ACT)
スティングの名曲の数々を素材に高いレベルで音楽を再構築した作品。
決して「スティングの曲をジャズ風にアレンジしてみました。」って
売れ線狙いではありませんので、かなりの心構えが必要です(笑)。
ACTレーベルではありますが、ECM好きな方にもお薦めです(笑)。
数曲でストリングス入りのトラックもあるんですけど、
それがテンションを与える為に効果的に用いられています。
また"SHADOWS IN THE RAIN"ではSISEL ENDRESENがゲスト参加。
もう何曲か唄って欲しかったなぁ…。
だって美しく儚げにユニットの空気に融け込んでいるんですよ。
(2003.3.2)

 

STRINGS' SPIRIT / HENRI TEXIER  AZUR QUINTET (LABEL BLEU)
ストリングス入りの演奏と云うのは、
なかなか満足できるものが少ないです。
これは私の好みの問題なので、一般的ではないと思いますが、
甘く美しいストリングスは極端に苦手で、
厳しい緊張感のあるアレンジが好きなんです。
更に破綻をきたしているくらいのアレンジでも可(笑)。
そんなモンで、このアンリテキシェの2002年録音のアルバムは、
初っ端のストリングスがいきなり琴線に触れ捲くりました。
正に現代音楽のチャンバーミュージック状態。
ただその後、テケテケとしたドラムが入ってくるところで一瞬脱力(笑)。
そこんとこ、どうにかならんかったんかなー。
でもジャズクインテットとストリングスが絡み合うアレンジで
次第にテンションが上がっていきます。
ストリングスアレンジはクロードバルテルミー。
よく「ジャズとクラシックの融合」って胡散臭い言葉が使われますが、
違う土俵のモノがそう簡単に融合できる訳ないですよね。
でも、この演奏は、方向性は異なるけれども、
本質的には共通項を持つ二つの音楽を
リーダーとアレンジャーの力量で結びつけた稀有な作品だと思います。
何だか訳のわからない事を書いてますが、
それだけ考えさせられる作品だったと云う事であります(笑)。
(2003.3.2)

 

TIMELESS MONK / MIKE MELILLO & FRANCO D'ANDREA (PHILOLOGY)
マイクメリロがフィルウッズのユニットにいた頃の映像を見て、
密かに「このピアニストは地味に変だぞ〜。」と思ってました。
エネルギッシュなウッズのユニットで異彩を放ってました。
彼のリーダー作にはソングブック的なモノが幾つかありますが、
これもモンクの曲集。
しかもフランコダンドレアとのデュオです。
なんかそそられるでしょう(笑)。
二人とも音数を抑えて、隙間の空いたプレイをしています。
勝手な会話をしてる様で、実は妙に噛み合ってるんですよ。
一番好きなのは"十三日の金曜日"の演奏なんですが、
陰鬱なウォーキングに乗せて、二人の細かい分子の様な音が
ブラウン運動で飛びまわっているかの様です。
(2003.3.2)

 

THE ISLAND / FOOTPRINTS FEATURING JOAN CARROLL (SELF PRODUCE)
とにかくストーレートに気持ちの良いアルバムです。
トランペット+ピアノトリオのユニット、フットプリンツが
ヴォーカルのジョアンキャロルをフィーチャーした形なんですが、
不勉強ながらどっちも知りませんでした(笑)。
でも、ジョアンキャロルのヴォーカルがとても伸びやかで良いんですよ。
音程も安定していて、いつも余力を残している感じで
表情付けにもゆとりが感じられます。
支えるフットプリンツのメンバーも安定した実力者揃いです。
ピアノのANDREW LANGHAMの音の粒立ちは一聴の価値ありです。
特に速いフレーズでのハッキリとした音の連なりはとても心地良い。
トランペット&フリューゲルのMICHAEL BERGLUNDもソツがないです。
こう書くと刺激の少ないスムースなジャズっぽく思われそうですが、
…ま、そうかもしれませんね(笑)。
クレアフィッシャーの"MORNING"やケニーランキンの"HAVEN'T WE MET"
の様な新鮮な選曲もアルバムの印象を良くしてます。
(2003.2.1)

 

TOO DARN HOT! / CLAIRE MARTIN (LINN RECORDS)
見事に作りこまれた完成度の高いアルバムです。
英国の歌姫クレアマーチンによるアメリカンソングブック。
ハスキーながら重くない彼女の声質を活かして
ミディアム以上のテンポの曲が多めの構成になっていますね。
初っ端から"SOMETHING COMING"、"LOVE AT LAST"、
"THE GENTLEMAN IS A DOPE"と飛ばし捲くった後は、
"THESE FOOLISH THINGS"でホッと一息かと思いきや、
これまたミディアムビートのアレンジとなっております。
彼女のアルバムってどれを聴いても、良い意味で疲れるんですよね。
ダレるところがなく、全編に渡ってクールな緊張感が立ち込めてますから。
唄も隙がなければ、演奏も本気。
音楽的刺激を満たしてくれる貴重なヴォーカリストだと思います。
私の好きなジェフキーザーが一曲だけ参加、曲を提供してますが、
これはちょっとありきたりな感じで今一つかもしれません。
それを期待して買うとちょっと肩透かしかも?
ジャケ写を見てると、どんどん若返ってるような〜(笑)。
(2003.2.1)


 

SIAMESE TWINS / FRANK GLOVER & CLAUDE SIFFERLEN (FGA PRODUCTIONS)
クラリネットとピアニストのデュオアルバム。
…と聞いて、頭の中でオールドスタイルなサウンドを想像した方は、
それを一旦全部壊してください。ガラガラガッシャーン(笑)。
これは、ソプラノサックス以上にエッジの利いた高音を撒き散らすクラと
かなりアグレッシヴな領域まで踏みこむピアノのデュオなんです。
(あ、ジャケットは女性の顔が2人なので勘違いしそうですけど、
二人とも♂ですからね。)
初っ端がコリアの"STEPS-WHAT WAS"ですから、
方向性がわかりますよね。
とにかく絡み合いのスリルが半端じゃないんです。
他にもコルトレーンの"COUNT DOWN"や
パーカーの"CONFIRMATION"etc.…
クラリネットよりもサックスへの対抗意識に燃え滾る様な選曲(笑)。
当然クラリネットの柔らかく潤んだ音色を活かして
"DEAR OLD STOCKHOLM"なんて曲も演ってますけど、
決してベタなメロウさに浸る演奏には陥っておりません。
調べて見ましたところ、クラリネットのFRANK GLOVERは
リーダーアルバムを他に2枚出している模様。
公式HPはこちら。
http://www.frankglover.com/
ピアノのCLAUDE SIFFERLENはHPが見つかりませんでした。
気になるミュージシャンを同時に2人も見つけてしまったって感じです。
(2002.12.30)

 

MIDDLEHOPE / REBECCA MARTIN (FRESH SOUND)
ジャズらしさを残しながら新鮮な驚きがあるヴォーカルって
微妙なトコロだと思いません?
ピアノトリオバックに手垢に塗れたスタンダードを
「誰かが唄ってた様に唄う」ってのは余りに刺激がなさ過ぎますけど、
逆に流行りのリズムでオリジナルをゴリゴリ唄われてもこれまたツラい。
そう考えると、この人の方向性って個人的にはしっくりきました。
全体的に物憂い空気を漂わせながら、レアなスタンダードを唄う。
サックスとギター2本とベースとドラムと云う構成も面白いです。
有名な"BEWITCHED"なんかも唄ってるんですけど、
アレンジが異質なので耳当りが新しいんですね。
やっぱりフレッシュサウンドニュータレントのカラーなのかもしれません。
但し、狙いは良いんだけど、どこか物足りない気がするのも事実。
もう頭一つ魅力が抜け出してくれたら大ファンになっちゃうんだけどなー(笑)。
(2002.12.30)

 

Home