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フェスティバル名曲コンサート
歌劇「カルメン」他

日時
2000年7月16日(日)午後6:00開演
場所
フェスティバルホール
演奏
大阪シンフォニカー/大阪シンフォニカー合唱団
独奏
野村朋亨(Vc)
独唱
六車智香(S・ミカエラ)、田中友輝子(Ms・カルメン)、山本祐之(T・ホセ)、田中勉(Br・エスカミーリョ)
指揮
牧村邦彦
曲目
1.ドヴォルザーク…チェロ協奏曲
2.ビゼー…歌劇「カルメン」抜粋(演奏会形式)日本語版
座席
Rサイド2階C列9番(夜の部)

4回もイッちゃった

 振り返ってみると、この8日間で4回もコンサートに出掛けているんですね。我ながらよくやるよと思いますが、今年は11月と12月の頭と年末に同じくらいの爆発があるんで、これくらいで驚いちゃいけないよと自分に言い聞かせています。(ちっとは控えろよな)

ドヴォルザーク…チェロ協奏曲

 今日のソリストはシンフォニカーの特別首席奏者である野村朋亨氏が担当した。彼のソロを簡単に述べると、テクニックは非常に安定しており、チェロも充分鳴り響いていて、安心して聞くことができた。
 しかしソリストとしての演奏としては華(もしくは毒)がなく、ソロに関しては何の感慨も得られなかったというのが正直な所だ。
 一方、バックを務めるシンフォニカーの出来はすばらしく、決め所での盛り上げ方がツボにはまっていて、曲に没頭することが出来た。特に第1楽章などはこれで曲が終わっても良いくらいの昂揚感で、思わず拍手をしてしまったお客がいたくらいだ。
 今日の指揮者である牧村邦彦氏のプロフィールにコンチェルトとオペラのエキスパートだと記載されていたが、そのサポートの見事さはなかなかのものだった。

ビゼー…歌劇「カルメン」

 後半のカルメンはハイライトを演奏会形式で行われ、歌詞は日本語に翻訳されて歌われた。配役は一番上の演奏会データの所を見てもらうとして、曲順は次の12曲が選ばれた。
前奏曲
第1幕より 「タバコエ女の合唱」「ハバネラ」「二重唱」
第2幕より 「合唱」「トレアドール」「花の歌」「フィナーレ」
第3幕より 「ミカエラのアリア」
第4幕より 間奏曲「行進曲と合唱」「フィナーレ」

 歌詞を日本語で歌うことには賛否両論あると思う。もともとの言語と違う言葉を無理してメロディに乗せてしまうため、どうしても苦しい部分があるのは否めない。しかしオペラは“劇”であるため、その内容を観客に伝える必要性があり、その一つの方法として日本語に翻訳することは充分に意味があることだろう。原典主義も結構だが、その辺は柔軟に対処しよう。
 と、言ってみた所でその歌詞の内容が解らなかったら意味がない。今日の出演者の中で歌詞を聞き取ることが出来たのはカルメンの六車氏とエスカミーリョの田中氏だけで、ほかのソリスト2名とコーラスの言葉を聞き取るのは非常に困難であった。

 まあ堅い話をしてしまったが、実際は前奏曲が始まると客席はノリノリで、非常にウキウキとした気分で一杯になった。堅苦しい雰囲気はなく、リラックスしたなかで進行していった。
 特に今回見事だと感じたのはカルメンのハバネラ。性悪な女という空気を醸し出していて、歌唱の確かさも合わせ、今日のコンサートに来て本当に良かったと思った。バラをさっと投げ、歌が終わるとこの日一番の拍手が起こった。見ると指揮者も拍手をしていたぐらいだ。
 その次はエスカミーリョのトレアドール。堂々とした歌いっぷりがよく、非常にかっこよく感じた。
 そして牧村の指揮は小気味よく、またオーケストラを出しゃばらせることはほとんどせず、始終独唱陣のサポート役に徹した音楽作りだった。
 このオペラ、悲劇で幕が閉じるが、聞き終えた後はとても充実した気分になった。暖かい拍手が会場を埋めていった。

とっておき(?)の曲

 鳴り止まない拍手に応え、指揮者と独唱陣がステージに登場するとアンコールがかかった。合唱と独唱陣が声を合わせて歌い、オケがそれに伴奏をつけた。
 プログラムに「最後にとっておき(?)の曲をアンコールとして演奏します」と書いてあったが、とっておき過ぎて曲名は解らなかった。(ウソ、私が知らないだけ)
 青春の歌のような爽やかなものだった。それにしてもこのコンサートでかかるアンコール曲はいつも知らないものばかりだ。私が特殊なのか?
 曲名を知らないのもちょっと悔しかったので、いろいろ調べてみるとアンコールは「ウィッズユー・スマイル」だったそうです。(やっぱり知らん……)

おわりに

 余り期待していなかっただけに、この楽しさは大きな収穫でした。オケに対して技術がうんぬんと言うのはこのコンサートに限っては無粋のような気がします。
 来年(もし続けることができたのなら)「椿姫」だそうです。指揮は今日と同じ牧村さんだそうですので、興味のある方は今後の情報に注意していて下さい。
 なお大阪シンフォニカー第71回定期演奏会(11月29日)はやはり牧村さん指揮で「蝶々夫人」を演奏会形式で行うそうです。合わせてこちらもどうぞ。(大阪シンフォニカーのWebサイトへはここから行けます

 総じて、とても楽しかった演奏会でした。

 さて次回は佐渡裕/20世紀の交響楽展の最終回としてウエストサイドストーリーとラプソディインブルーです。ユタカの師匠であるレニーの作品はもちろんのこと、最近あちこちのオケとこの曲で協演しまくっている山下洋輔のピアノが非常に楽しみな演奏会です。


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