過去の雑記 01年 1月

雑記のトップへ

前回へ
1月21日
殊能将之『黒い仏』読了。傑作。ミステリネイティヴは怒るだろう、そりゃ。いやもう言及すれば必ずネタバレになりそうな話なんで、とりあえず同色フォント。
巻末の参考文献一覧を見てしまっていたので、クトゥルフであることはわかっていたし、ブリッシュへの献辞とタイトルから、ラストは邪神による世界の破滅になることは予想がついていたわけだが、ミステリとしてここまで掟破りをするとは思ってもみなかった。おそるべし、殊能将之。まあでも、途中まででさんざん「クトゥルフテーマのバカミスです」と仄めかしている上に、"More Light"からの「黄衣の王」の引用で止めが刺さってるんだから、怒る方が悪いよな。
えーと、SFファン的には諸手を挙げて歓迎したいタイプの作品なんで、ほぼ文句はない。薄すぎて、蘊蓄を十分に楽しめなかったのが不満といえば不満か。

半年ぶりに髪を切りに行く。迷った末に近所の床屋に入ったのだが、やたら饒舌な店員でちょっと辟易。しかし、僕は根が良い人なので、うるさいだまれしずかにしろなどとは言わず、適当に相槌を打ちつつ会話するのだった。
まあでも、SFの人でも、宇宙の人でもない人と宇宙の話をするのはちょっと面白かった。そうか、ひょっとして普通の人は火星までのざっとの距離を知らなかったりするのか。
なお、髪のできあがりは大変面白くなった。次は違う店に行こう。

火浦功『大豪快。』読了。あの中学生の夏の日の思い出は幻ではなかったよ。
若干、作中人物から作者へのツッコミが増えすぎている感があるが、まあそこはそれ。無駄な言葉は本当に無駄なものだけにするストイックでスチャラカな文体は健在。それだけでも読んだ甲斐はあるというもんだ。物語もそれなりに動き、うまくするとあと二冊か三冊で終わりそう。唯一の問題は、あと28年ないし42年間待たなきゃいけないことだな。

ところで、室温24度設定で毛布をかぶって寝ているのに寒気がするのは気のせいですか?

1月22日
朝っぱらから咽が痛いは寒気がするはで、どう自分を偽ってみても風邪を引いている感じ。ともかく体温を測ってみると37度8分だった。うーむ、微妙。仕事がせっぱ詰まっていることもあり、我慢して出社してみる。……みたが、ろくな状態じゃないことが判明。コンパイルの待ち時間に眠り込んでしまうような体調で、作業するのはいかがなものかと思いますね、ぼかあ。
日程的な面からすれば終バスぎりぎりまで作業したいところなのだが、体力が尽きたので20時過ぎに帰宅。この体調で、電車を1分差で乗り過ごすのは、拷問だと思います。

大量に食い物を買い込みつつ、部屋に戻り体温を測る。38度6分。寝よ。

1月23日
1時間単位で細切れに眠る。本格的に目が覚めた6時過ぎの時点で体温を測ると、まだ38度台だった。この調子で今日出社するといやな長引きかたをすると判断し、休むことを決意。9時過ぎに会社に休む旨伝えて、そのまま寝ているとどんどん体温が下がっていった。現金な体だな、おい。

夕方過ぎまで寝て過ごし、その後ボチボチ宿題のプログラムなどを進める。心なしか、会社にいるときより進みが良いような。実際は、バグを作りこむ率が高まるから作業効率は同程度なんだろうけど。無理して明日に影響が出ないうちに就寝。って三時回ってるってばよう。

ちなみに敗因は、つい見つけてしまった邪神占いなぞやってしまったあたり。言われてみればそんな感じかもという結果ではあったが、ちょっとマイナーな神様だったんで盛り上がりは今一つ。まあ、知り合いの誕生日を試すうち、色んな意味で爆笑できる結果に出会えたので十分元は取れましたが。

元ってなんだよ。

1月24日
まだ体調に若干の不安はあるが、仕事が切羽詰っている関係上休んでばかりもいられない。だらだらと出社して地味にデバッグ&プログラム。2月は本気で仕事をせざるを得ないようだ。< 今までは本気じゃなかったんかい

昼飯が食べきれない、少し走ると息が上がる、階段を昇ることが辛いなど様々な症状を鑑み、定時間日の特例残業許可は要請しないことを決意。仕事の目処が立ってないと言やあその通りだが、わが身かわいさは道理が引っ込むとの教えもある。素直に帰って寝ることにする。

寝ることにしたっていうのに、なぜチャレンジングにも風呂に入って歌詞カードなんか眺めてますか。 > おれ

1月25日
睡眠が効いたのか体力はかなり回復。毎朝1本、リポビタンDを飲む生活にもそろそろおさらばできそうだ。

昼休みにSFマガジンを購入。手にとって、レジに直行し、袋に詰まったまま開けてないので内容はまったくわからない。どんな内容なんだろう。ドキドキ。

2時間ほど残業した後、かなりやさぐれた気分で帰宅。よんどころない事情によりそのまま6時前までうろうろする。ああもうなんだかまったくもってほんとにどうしたもんだか。

1月26日
体調もほぼ回復した、当面の作業もひとつ片付いたとあって、ここ数日続いている愚痴日記もそろそろ終わり。にしたいんだが、本業が修羅場であるという最大の理由が片付かない以上、そうも行くかどうか。とりあえずなにはさておき、僕は眠い。

ひょっとして、僕がとんでもなく働き者であるかのように勘違いしている人もいるかもしれないので、一言だけ注意しておこう。こんな忙しい忙しいといっておきながら、僕の今月の残業時間は、五時間あるかないかだ。日ごろ、如何に働いてないかがうかがえる数字だね。

明日は休日出勤をしようかなあ、と悩んでいるうちに直属上司が帰ってしまい、休日出勤の方法の確認がしづらくなる(注:数ヶ月前にこの事業所に配置替えになったばかりなのでシステムに慣れていない)。どうしたもんかと先輩に相談してみると、いいよやめとけ、とのお言葉を頂いた。ようし。お墨付きがあるんだから、うちで寝てよう。
あ、帰る前に宿題用のファイルを用意しておかないと。< うちで作業するなら同じでは

夜中寸前に帰宅し、「もののけ姫」をラスト40分だけ見たり。14インチの画面で見ると哀しくなる類の映画だなあ。この映画、テレビでラスト30分とか、ラスト40分とかしか見たことないんだけど、どうやって始まるんだろう。

深夜、片付いたはずのものが帰ってきた。休日出勤しなかったのは大正解だったか。

1月27日
朝から大雪。休出しなかったのは大正解として、その他いろいろと期待通りとはいかず理不尽な怒りにかられる今日この頃。いや、今日この頃では無しに。

まあ、天に怒りをぶつけていても何も進まないので粛々と作業。……したからと言って進まないものは進まないもんだねえ。

一応の段落くらいはついたので、次は別の作業の予定。なんか今月、本気で新刊を読んでないぞ。どうしてくれよう。

とりあえず、『初めの終わり』『タクラマカン』くらいは読んでおきたいと強く思う今日この頃。

だから、今日この頃では無く。

1月28日
Webで、昨日から渋谷ユーロスペースでやっているはずの「シュワンクマイエルまつり」の詳細を確認する。どうやら「アリス」「ファウスト」「シュワンクマエイル短編集」「悦楽共犯者」の四本立てという豪儀なプログラムらしい。
うーむ。期間中の土日は残り2月3、4日のみ。3日は映画を見にいく予定が立っていて、4日は休出の可能性が高い、と考えると見にいくタイミングが取りづらいなあ。
「短編集」「ファウスト」はビデオを持ってるし、「アリス」は一度見ているから、「悦楽共犯者」さえ見られれば良いといや良いんだけど、結局チャンスは日曜だけなんだよね。ビデオかDVDを売ってるかどうか見てきてからかな。

1月29日
西川魯介『屈折リーベ』(白泉社ジェッツコミックス)読了。作品としての評価はまた後日として、とりあえず。どうやら僕は眼鏡属性の人ではないらしい。

今日に限って車で来ていた同期に騙されて(←それは、言い過ぎ)、退社時刻がバスの到着2分前となる。会社からバス停までは徒歩5分。次のバスは31分後。それはあれですか。今年ついに数えで30、病み上がりな上、生来、体力というものに欠けているこの僕に全力疾走しろと?

確かに、1分遅れてきたバスに30秒の余裕を持って乗ることはできた。できたが。止めてから5分以上にわたって呼吸も心拍も戻らないような急な運動は体に悪いと思うのだよ。

1月30日
中村融&山岸真・編『初めの終わり』(河出文庫)を読み終える。個人的ベストはブリッシュ「芸術作品」。って、それはアンソロジーのテーマとは大きく外れたところで読んでいるような。

全体から受けた印象は「40年代と変わらない」というもの。<宇宙テーマ>の40年代と<社会学テーマ>の50年代という対比はあるが、作品スタイルの面ではほとんど区別がつかない。テーマだけの話だと、40年代に書かれた<社会学テーマ>の作品も、50年代に書かれた<宇宙テーマ>の作品もあるわけで、1作、2作をポンと出された時に40年代か50年代かを判定するのは至難といえる。60年代で文体の全体傾向ががらっと変わることを考えると、ニューウェーブの影響ってのは侮れないらしい。

何をいまさらわかりきったことを言いだすか、ってな感想だが、頭だけでわかっていたことを実感したような気がした(←やや弱気)、というあたりで受け取っていただけるとありがたい。なお、個々の短篇の感想はまた後日。

1月31日
いっぺんにつけの回ってきた感のある本業を泣きながらこなしつつ、SFMを読み進む。ああ、イーガンはこんなに無茶なのに、バクスターはこんなにベタなのに、マクドナルドはこんなにかっこいいのに、どうしてこんなに忙しいのだろう。< 錯乱しているらしい

しかし『黒い仏』をSFファンに薦めるのは良いが、「本格ミステリ」と言い切るのはどうか。> 渡辺英樹

次回へ

このページのトップへ