過去の雑記 01年 4月

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4月21日
夕方、ユタへ。参加者は、大森望、久世信、小浜徹也、志村弘之、代島正樹、高橋良平、林、福井健太、藤元直樹、みーめ、みなとみらい子、三村美衣、柳下毅一郎(あいうえお順、敬称略)。記憶にある主な話題は、SFセミナー、『貼雑年賦』、「素人向け」に意味はあるか、矢野徹作品録、古いファンジン、関西の海水浴場、とあるコートの話、SFファンが嫌いなSFファン、司会のあり方など。遠くでは例によって大会の打ち合わせもされていたらしいが良く知らない。

いろいろあって、西早稲田のCoCo壱で照り焼きチキンカレーを食べる。照り焼きチキンをカレーに入れてもただのチキンカレーにしかならないので要注意だ。いや、5辛で食べたのが敗因かもしれないが。

4月22日
津原泰水『ペニス』読了。

4月23日
ロバート・J・ソウヤー『フラッシュフォワード』をいまさら読了。ふーん。
サービス精神が旺盛なのも良し悪しだね。

瀬名アンケートに回答し損ねる。締切り一時間前の午後11時、さて落ち着いてアンケートにでも答えようか、という段になって、初めて氏の著作で読み終えたものが『パラサイト・イヴ』だけだという事実に思い至ったのだから、まったくもって仕方が無い。不慮の事故という奴だね。まあ、いいや。空いた時間でオールディスでも読んでよう。

4月24日
つい油断して『ふしぎ遊戯』なぞ見てしまう。

見てしまったら、個人的に大嫌いな「最終一話前の大復活祭」をやっていた。これだから、いまどきのマンガ/アニメはよう。 < いまどきじゃないだろう
生き返らせるくらいなら、殺さずに盛り上げる知恵をつけとけ。

# もちろん、どうしても死んで復活しなければならない、ということはあり得る。しかし、それはまた別の話だ。

風呂上りにWebを巡回しつつ、打ち合わせ用の資料を読み返さないと、などと殊勝なことを考えていたら、不意を討たれる。まさか、そう来るとは。

4月25日
帰りがけに本屋に寄り、マンガだの、マンガだの、文庫本だのを購入。

『新・SFハンドブック』をパラパラと眺める。どうも読んだことがある文章があると思ったら、一部の作品評などは前回のものを再録しているのだった。そうか、だから「大幅」改稿なのか。
文章はちゃんと読んでからとして、とりあえずカラー口絵だ。寺田克也の『虎よ、虎よ!』が凄い。このガリー・フォイルは間違いなく夢に出る。

『蒼天航路』22巻を斜め読み。今回はついに赤壁。そうか、この作品の赤壁は、こんな原因で起きていたのか。って、それは無茶だろう。

間違いだかなんだかメール到着。「えー、メル友に応募した58歳の主婦の方。僕はメールを出した記憶が無いので、それは、誰かが僕のアドレスを騙ってメールを出したんだと思います」。という内容を相手に伝えたいのだが、見知らぬ他人にメールを出す勇気が無いのだった。

4月26日
ひさしぶりにかちました。めでたい。
# 1点差なのに連打で7点入れてもなあ。

村枝賢一『RED』7巻(講談社アッパーズKC)読了。ありがたいことに、まだ快調。連載開始時の凍りつくほどの凄みはなくなったものの、アクションの力は健在。船の中という閉鎖空間が許す範囲で、大活劇を繰り広げてくれる。みごと。

4月27日
ときどき、柏駅内のミニコンビニに行列ができていることがある。つねづね、なんでこの人たちはこんな商品の少ないコンビニで行列しているのだろうと不思議に思っていたのだが、今日、人々が手に手にマークシート用紙を携えていることに気づいた。
なるほど、totoだったのか。

「戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマー」を見る。げ、おもしろいぞ、これ。まあ、スタースクリームやサウンドウェーブが出てきただけでスイッチを押されてたんで、ただ懐かしがってるだけだという説もあるんだけど。あ、実も蓋も無いナレーションだ!くぅ、燃える!

さらに「伝説の勇者 ダ・ガーン」も見る。ジェットセイバーとシャトルセイバーが登場してセイバーズが勢ぞろい。変形シーンがたっぷりあったのでたいへん楽しめたことである。あれだね。ロボットアニメは合体変形して何ぼだね。
エコアニメなので自然食品礼賛なシーンもあるわけだが、主人公が「やっぱりハンバーガー」なので安心。勇者シリーズは能天気で良い。

腹が痛くて眠れません。

4月28日
腹が痛くて目が覚めるが、腹が痛いので寝てしまう。
なんてことをやっていたら、昼過ぎになってしまい病院に行き損なった。明日は日曜で、明後日は休日だから、病院が開くのは月曜か……。まあ、二週間我慢したんだから、あと二日くらい。うぅ、痛い。

えー、わがままを聞いてくださった皆さんにはお手数をおかけしました。ご不満も色々とおありでしょうが、そういう奴なんだってことでどうかひとつ。諦めていただけると幸い。

村枝賢一『仮面ライダーSPIRITS』(講談社ZKC)を読む。良い。正義のため、平和のため、人々の幸福のため、孤独な戦いを続ける異形の戦士、仮面ライダー。悲劇性に焦点をあてればいくらでも盛り上げられるところを、敢えて深入りせず、悪の非道と正義の力を描写することに全力を尽くす。これぞ王道。
もちろん、「異形の悲しみ」を無視しているわけではない(第二話参照)。それを踏まえた上で、アクションの迫力をこそ主としているのだ。そう、活劇の冴えなくしてなんの少年漫画か、なんのヒーローか。
安易に過去の亡霊を呼び寄せるキャラクタービジネスには辟易しているのだが、この作品なら満足できる。過去に対する敬意を払った上で、その精神をつかみ、現代のものとして蘇らせた名品。これを、同時代のものとして味わえる少年たちは幸せだ。

しかし、本郷、風見はまあともかく、一文字隼人は幼すぎないか。< そこに突っ込むか

ブライアン・オールディス『スーパートイズ』(竹書房)読了。一応、物語性を忘れていない表題作は良いのだが、他の作品があまりにも読みづらい。映画原作だからといって手に取る読者は耐えられるのか、これ?変に理想主義的なヴィジョンに、娯楽性を無視するかのような構成に、味も素っ気もない平板な文体。これをどうやって楽しめと。終盤、意地になって読み進めたが、後に残るは徒労感ばかり。表題作だけ読めば十分でしょう。これを商業誌でレビューしなきゃならない人は大変だなあ。

4月29日
田中啓文『禍記(マガツフミ)』(徳間書店)を読み終える。主に伝奇小説系の作品を集めた作品集。「各篇が禁断の偽書「禍記」に記載された物語」という設定や、枠となる「禍記」の展開、そしてSFマガジン掲載作だけが浮いているというあたりまで含めて、牧野修『忌まわしい匣』(集英社)そっくり。ホラーで枠物語をやってるんだからしかたが無いんだろうけど。ちょっともったいない。
# もちろん、あちらは電波で、こちらは妖怪なので、作品の雰囲気は大きく違う。

集中では、田舎の因習に見えたものが世界の運命を左右するにまで到る正統派伝奇、「天使蝶」が良かった。蝶の羽の生えた赤ん坊のイメージのグロテスクさは体調の悪いときに読むと堪える。
単独作品としてのベストは「黄泉津鳥舟」なんだけど、あまりにも枠に馴染んでないので作品集中の一作としては評価を下げざるを得ない。遠未来を舞台にしたSFと、現代を舞台にしたホラーを馴染ませるのは、器が向いていない。

朝も早くに起きだし、カナダ大使館のほうに向かう。JR→千代田線乗り継ぎの切符を買って、神保町をうろついてから半蔵門線に乗って青山という計画だったのに、ついJR単独の切符を買ってしまいいきなり方針転換。渋谷の本屋とCD屋を物色してから、のんびり歩いて青山まで向かうことに。おかしい。こんなはずでは。

CD屋(TSUTAYA、HMV、TOWER RECORD)では山本正之のニューアルバム、「続々山本正之大全集」を探したのだが、見つからず。第二期シングル文庫の「遥かなる日本酒ライス」を手に入れるだけに終わった。こんなことでは、旧マサユキストMLの人々にマサユキスト失格の烙印を押されてしまいそうだ。近いうちに秋葉原に行って気合入れて捜そう。

表参道のケンタッキーで昼飯をたべつつ、Book 1stで買ったマンガを読んで時間を調節する。
大橋ツヨシ『プー一族』1巻(竹書房)は、5人のプー太郎たちのまったりとした生活を描く4コマ。光画部のそれを思いおこさせるような、停滞した時間が心地よい。ちょっと説教くさいのが難点か。
竹本泉『てけてけマイハート』1巻(竹書房)は4コマ誌掲載のコママンガ。「ヒロインは24歳なのに中学生にしか見えない」という設定だけで、定型の1話完結話を月刊連載しているのは賞賛に値する。それが面白いかというのは置くとして。

そんなこんなのうちに時間が来たのでカナダ大使館へ。SFセミナー特別篇「カナダSFの世界」に参加する。会場に着くなり、添野さんや、堺さんや、深上さんといったSF Onlineの方々に挨拶をする自分は、まるで社会人のようだと思ったことだよ。今日も「この人と、この人には最低限挨拶せねば」といった意識が強すぎて、知人の方へのご挨拶が十分ではなかったような。安田ママさん、u-kiさん他、皆様方には失礼をいたしました。

最低限ちょい下あたりの義理を果たしているうちに、パネルが始まった。
一コマ目は、山岸真・北原尚彦・加藤逸人「カナダSFの現在」(司会・井手聡司)。カナダSFの歴史、邦訳されているカナダSF、現代カナダSFの注目作家、と必要十分な構成でカナダSFを語る企画。司会のそつの無さもあり正しくそれなりに楽しめた。ただ、ソウヤーへのよいしょが過ぎるのは気持ち悪かったか。いや、すべて事実なのかもしれないけど。
二コマ目は、浅倉久志・森優・山野浩一「ジュディス・メリルという人がいた」(司会・牧眞司)。実際に会ったことがある人々が、名アンソロジストにして、ニューウェーヴの伝道師、ジュディス・メリルの思い出を語る。素材の良さが功を奏したか、単純な面白さはダントツ。メリルの波乱万丈の生涯を聞いているだけでじゅうぶん楽しめるという。すごいぞメリル。
三コマ目は、「ロバート・J・ソウヤー インタビュー」(聞き手 野田令子)。京フェスの繰り返しかとたかを括っていたら、予想外の面白さ。善人ぶりを全面に押したてた前回よりも、自身の哲学を開陳した今回の方が出来は良い。ああ、しかし、作品から受けるイメージそのままの人だなあ。こうまでそのままだと、裏に何かあるんじゃと勘繰りたくなるぞ。< 邪推が過ぎます

すべての企画が終了した後はレセプション。過去に声を交わしたことのある人の6割くらいにしか挨拶できなかったのに1時間もったという事実に愕然とする。これはいけない。こんなことでは、山田(博)さん(8)に、後ろ指さされてしまいそうではないか。

閉会後、堺さんたち先行組と合流して飲……もうと思ったら、セミナースタッフ組に、アンサンブル組まで登場し、30人近い大所帯に。レセプションで軽く酒が入っていたこともあってか、みな良い感じに出来上がっており、大騒動となったのだった。とりあえず、幹事属性の人というのは大変だなあと思ったことだよ。

徹夜カラオケを決意した人々の誘惑を振り切り帰宅。営団銀座線→JR常磐線なら乗り換え1回のはずなのに、半蔵門線だの丸の内線だのに乗ってしまったのは内緒だ。

4月30日
寝不足で都内に出かけて歩き回っていたら体調が悪くなりかけたので1回休み。寝たら治ったんで、気にされることはありません。> 同行の諸氏

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