- 7月21日
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ふと思い立って柏西市民プールに行ってみる。どうせ、お子様向けの小さなプールに25メートルプールが申し訳程度についてくるだけの、ご家族向けお手ごろ施設だろうと思ったら、これが意外や意外、その通りだった。まあ、なにはともあれ水に浸かり、泳ぐまねをしてみたのだが、どうもなんだか。点在する子供にぶつからないように泳ぐというのは意外と体力を消耗し、30分も泳ぐと息も絶え絶えに。納得し難い思いを抱きつつ、プールを後にする。いや、体力が落ちたから30分もたないとかいうのではなく。いや。いや。
日がな一日洗濯をしつつ、街中を散歩。ただ今、柏祭りの真っ最中なので、そこかしこに人と屋台があふれている。なんかこう、がんばってるなあという感じのするお祭りであることだよ。
オールスターもろくに観ずにユタに向かう。プロ野球ファンとしてどうかと思わなくも無いが、入来弟ごときが先発のオールスターなんぞ観てもしょうがないのでかまわないのだ。
今日の参加者は、大森望、小浜徹也、志村弘之、代島正樹、高橋良平、茅原友貴、林、福井健太、柳下毅一郎。聞こえてきた範囲での主な話題は、大会企画、目録落ち、最近の映画、小説すばる、豪華な名刺、レム全集(ありません)、ブロードウェイビルの恐怖、オルガスマシン、コミケ、とある書皮、今日も貼雑年譜、ミリタリマニアの業の深さなど。代島さんが小浜さんに計画的な嫌がらせ(違う……かも)をしていたのが特に印象に残っている。
- 7月22日
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ふらふらと柏祭りを見て歩く。のんびり眺めているうちに、これはこれでありかもという気になってきた。祭りというと、地元以外の人間には敷居が高いいかにも共同体の中で自然発生してきたものというイメージがあり、それが違和感につながっていたのだが、文化祭だって祭りなんだよな。そう考えてみると、この全市挙げての文化祭というお祭りのあり方も悪くない。とりあえずケバブはうまかったし。
ただ徹頭徹尾家族向けなので一人で歩くのはやや辛いかも。一緒に歩く相手がいないという事実はいかんともしがたいし、現地調達を考えるがらでもないんで部屋に戻ってフテ寝することに。 < それはさすがに寂しくないか?
最新のハヤカワ文庫目録SF部門をチェック。今回も目録落ちがほとんどないので、きちんとしたリストは挙げない。目録落ち8作9冊(うちローダンの定期落ち5)、新刊(文庫落ち含む)18作20冊、復刊18作22冊で、28作33冊の増加。復刊フェアの直後だけにかなりタイトル数、作家数とも回復している感じ。個人的にはどうでもいいところの復刊が多いという憾みはあるものの、全体としては喜ばしい傾向か。
目録落ちタイトルを具体的に挙げると、パトリック・オリアリー『時間旅行者は緑の海に漂う』、ジェイムズ・アラン・ガードナー『ファイナルジェンダー ―神々の翼に乗って―』(上下)と旧版SFハンドブックにローダン5冊。落ちるべきものが落ちただけかも。ガードナーの作品はとんでもなく寿命が短い印象があったが、調べてみると2年弱はもっていた。意外とがんばったな。
次のチェックは来年初頭。前回今回と増加傾向にあるだけに、大鉈が振るわれるんじゃないかと今からわくわくしているよ。 < おい
オールスターを拾い観る。観るたびに横浜の選手がヒットを打っていたので少し心が和んだ。石井琢朗の盛田に対する辛辣な一言も聞けたし収穫の多い一戦でしたね。岡島も打たれたし。
- 7月23日
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いきているきろくより、SF専門出会いサイト。やっぱり待ち合わせは幕張ですか?
# まあ何の略かは考えるまでもないだろうけど。
一時の気の迷いで再び荒川沖まで歩いてしまう。今度も所要時間五〇分。時速6〜7kmはコンスタントに出せる数字であるようだ。問題はスーツで歩くと汗でずぶぬれになるという事実だな。
- 7月24日
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会議で職場近くに来ていた矢来さん(7)と夕食。むちゃくちゃうまいとんかつを奢っていただいた。持つべきものは太っ腹の先輩である。矢来さん、ごちそうさまです。
- 7月25日
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近所の書店で長谷川裕一を中心にいろいろと買う。新刊平台がある書店で、棚挿ししか存在しない新刊というのはむちゃくちゃ見つけにくいもんですね。
長谷川裕一『クロノアイズ』4巻(講談社ZKC)ざっと読了。一冊丸ごとアトランティス篇。時間ものの醍醐味がこれでもか、これでもかと詰め込まれているのはさすが。首領ハデスの圧倒的な存在感に敵幹部達がかすんでしまったのは残念だが、この展開ではしかたがないか。ストーリーテラー長谷川裕一の魅力が存分に味わえる名編。
長谷川裕一『竜が滅ぶ日』(講談社ZKC)読了。スーロボ大戦販促用アナザーストーリー漫画。マジンガー対ゲッターというベタな話をきっちりとまとめ上げた佳作。安易に人死にを出さない姿勢には強く好感が持てる。
「スーパーロボットマガジンVol.1」(双葉社)も読む。スーロボ大戦アンソロ本を雑誌化したもの。まあいろいろと難しいところも多い雑誌ではある。ブロッケン伯爵の最期に微妙にらしさが感じられる伊藤伸平「鉄十字軍団VSマジンガールズ」が収穫といえば収穫か。藤井昌浩「UFOロボ大戦争」のガッタイガー対グレンダイザーというアイデアは悪くないのだが、だが、だが。せめてダイザーにもう少し重量感があればね。
- 7月26日
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ニール・ゲイマン『ネバーウェア』(インターブックス)読了。旅立ちの都市から外に出ないオズ。
ロンドンの一角。ごくふつうに会社に勤め、分不相応の美女とつきあう気弱な青年。ある日、傷ついた少女を助けたことから彼の不幸は始まった。何もかもが彼から失われていく。恋人が、仕事が、金が、住まいが、そして自分自身が。平穏な日常を取り戻すため、彼は、ロンドンの地下に広がるもうひとつの都市、下なるロンドンに足を踏み入れる。
大都市のすぐ隣にある異界という設定、テンポ良く事件の起こる構成、どこかひねたキャラクター、皮肉な笑いにふちどられた文体、もうすべてが好み。いかにもテレビ風な語り口も含め全面的に肯定したい。今年読んだ翻訳小説ではダントツのベストだ。
ああ、でも、やはり、ロンドン地下鉄マップは欲しかったな。
- 7月27日
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そんなこんなで(例によって唐突な書き出し)、今月前半はイアン・ワトスンの諸作を読み返したり、大雑把な作品リストを作ったりするうちにつぶれてしまったわけだが、その過程で実に今更なことに気付いた。
とりあえずワトスンの非常に大雑把な作品リスト。雑誌に載ったきりの作品は多分フォローできてないとか、長篇と短篇の区別が曖昧とか洒落にならないくらいいいかげんなリストなんで引用はしないように。
- 'Roof Garden Under Saturn'
- 'The Flags of Africa'
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- "The Embedding",「乳のごとき君の血潮」「銀座の恋の物語」
- 'Our Loves So Truly Meridional',他2作
- 『ヨナ・キット』,'On Cooking the First Hero in Spring',他3作
- 『オルガスマシン(仏語版)』,'The Event Horizon',他1作
- "Alien Embassy",『マーシャン・インカ』,'Agoraphobia, 2000 A.D.',他1作
- "Miracle Visitors",「我が魂は金魚鉢の中を泳ぎ」,「超低速時間移行機」,他4作
- "God's World",'The False Braille Catalogue'
- "The Gardens of Delight",『デクストロII 接触』,「大商い」,「2080年世界SF大会レポート」,他2作
- "Deathhunter",'The Artistic Touch',他6作
- 『オルガスマシン(英語版:未発表)』,「知識のミルク」,他6作
- "Chekhov's Journey",「スロー・バード」,「世界の広さ」,他7作
- "Converts",『川の書』,『星の書』,「寒冷の女王」,「バビロンの記憶」,他8作
- 『存在の書』,「ポンと開けよう、カロピー!」,「絶壁に暮らす人々」,「アイダホがダイヴしたとき」,他10作
- 「大西洋横断大遠泳」,他6作
- "The Power",「アミールの時計」,他5作
- "The Fire Worm","Meat","The Whores of Babylon",「ジョーンの世界」,他7作
- 'Letters from the Monkey Alphabet',他3作
- "Inquisitor",「サマーファイア旅団と、白亜紀で」,他13作
- 'The Odor of Cocktail Cigarettes',他1作
- 'The Coming of Vertumnus',他5作
- "Mana 1 Lucky's Harvest","Space Marine",'An Eye for An Eye',他1作
- "The Fallen Moon","Harlequin",'The Bible in Blood'
- "Chaos Child",'Ahead!',他1作
- "Hard Questions",「夕方、はやく」,他9作
- "Oracle",'The China Cottage',他4作
- 'The Bible in Blood',他5作
- 'The Case of the Glass Slipper',他3作
- 'When Thought-Mail Failed'
以前からワトスンの長篇のガチャガチャな文章と、短篇のなめらかな文章のギャップが気になってはいたのだが、このリストをつくってみて納得した。単に練習を積んで文章が巧くなっていたのだな。「スロー・バード」「世界の広さ」あたりの巧さも、『川の書』と同年(『川の書』を構成する中篇はほとんど83年発表)なんだから当然のこと。こんな単純な落ちだったとは。
しかし改めて眺めてみても80年以前と以降では文章の出来がまったく違うね。こうなると<黒き流れ>以降の長篇も読んでみたいところだが邦訳は……。無理か、やはり。
- 7月28日
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奈蔵記より「ダメ人間だもの」。結果はダメ人間で、詳細結果は非常識ダメ人間。うるせー、そんなこた本人がいちばんよくわかってらー。
昼過ぎに中野に出て、武蔵野ホールで「ぼくらと遊ぼう! Bプログラム」を観る。上映作はトルンカ「バネ男とSS」、ベネシュ「Pat&Mat」(「蓄音機」「スケート」「陶芸」「朝食」)、ポヤル「ぼくらと遊ぼう」(「水辺の話」「おかゆの話」「帽子の話」)。
「バネ男とSS」は(おそらく)ドイツ占領下のチェコを舞台に、ナチスの圧政に立ち向かう正義のヒーローバネ男の活躍をコミカルに描いたセルアニメ。映像、内容ともにとてつもなく古いがその分安心してみてられた。
他はイマイチ。半分くらい寝てました。強いて言えば、わざわざピクニックに来たはずなのに、湧き水を水道に改造したり、大量の洗剤を使って洗車をはじめたり、テレビを据え付けたり、周囲の環境を破壊しまくる「Pat&Mat」の「朝食」が比較的良かったか。
夕方から新宿に移動し、名大SF研OB-ML東京分会で飲み。途中、「偶然通りかかった」藤澤さん(7)としばし話す。ポイントカードで買おうとどうしようと、1時間8000円弱のDVDはそれなりに高いと思うんですが。> 藤澤さん
「今日、うち、夕飯すき焼きだから」と昭和30年代の子供のようなコメントを残して去っていった藤澤さんと別れ、まさみやで飲む。田口さん(9)に最近の映画の話を聞いたり、住田(11)、堀川(12)に最近のアニメの話を聞いたり。6時前に店に入って、出るのが11時というのはさすがに無茶だと思ったことである。
「結局、新宿まで飲みに来ただけだ」とうらめしげにカラオケに誘おうとする堀川を振り払い、日が変わる前に帰宅。
- 7月29日
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二日酔い気味の頭に活を入れつつ、あさりよしとお『なつのロケット』を買って読む。小学生がみんなで夏休みにロケットを打ち上げる話。これだけ。これだけの中に、「小学生」「みんなで」「夏休み」「ロケット」が過不足無く詰め込まれている。すべての「少年」に薦める。
世間的には参院選であるべきなのだろうが、あんな結果のわかりきったレースを見ても退屈なので注目するのはプロ野球。阪神との最下位決定戦は、主砲・野村の一振りで同点とした横浜が休み明けの勢いのまま突っ走り3タテ。休み前から通算の6連勝で、ついに借金を2まで戻した。もちろん、この調子で行くと信じるほどうぶなファンではないつもりだが、次節が得意の広島戦だけに、ちょっとばかし期待はしていたり。ひょっとしたら8月中に5割復帰も夢では。どきどき。
まあ、とりあえず。週末の読売戦に勝ち越してくれれば、それでいいかな。
時期外れな上に、まったく話の本筋とは関係ないところへのコメントで恐縮だが、見下げ果てた日々の企て 7月24日「これはSFではない」の最後の段より。
たとえばSF系と漫画系の更新時刻一覧に登録されてる日記見ていても、雑誌、単行本合わせて漫画系サイトのほうが買ってる量使っている金額ともに多いような気がしてなりません。
小説より漫画の方が(ふつう)読書速度が速いので、同金額or同冊数なら漫画の方が積読になりにくい(ので積読の罪悪感を感じずに量を買える)ってのと、ジャンル全体としての規模はSF小説より漫画の方が大きいので投資額が同等なら漫画の方が取捨選択の余地が大きい(=自分の趣味を反映できる)ってのがあるかも。
創元SFと早川SFは全部買うってのはハードカバーいれてもたかだか5千円/月前後なんで、やってもいいけど、そんなことしたら今のハヤカワ文庫SFのラインナップ(=シリーズもの中心)を肯定してるみたいでいやだなあ、とか。今後も出て欲しいタイプの本が出たときには読む読まないは置いといて買っているが、そんなものは年に数冊あるやなしやなので購買額には反映しないし。
国内SFはまた別の話だけど翻訳SFについてはこんな感じかと。
# ハードカバーは買わない主義とか言い出す人も多いんで、全体的に買い支え意識が低いのは確かなんだろうけど。
なんだか、いらいらして眠れないので、ついでのメモ。
せっかくミハエルがこけたってーのに、へたれクルサードもお付き合い。おかげで、次節ミハエルが優勝すると、4節を残してドライバーズが決まってしまうという情けない事態に。コンストラクターズもフェラーリがマクラーレンに6ポイント以上差をつけると次節で決定。せめてイタリアGPまでは興味を繋ぐため、がんばれラルフ。
- 7月30日
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ハヤカワ文庫の夏フェア用販促ブックレット、ハヤカワ・オデッセイを読む。まあ、いろいろと気になる点はあるが、書き下ろしエッセイが良かったのですべて許す気になった。小学校の国語教科書を思わせる整然たる文章の瀬名秀明、『道具づくし』というあたりにらしさが光る柴田元幸を差し置いても特筆すべきは貴志祐介。本に呼ばれるという古本探求者最大の至福について語っているのだが、その体験談の中で探していた本というのが、『宇宙知性チョッキ―』。なんて、なんていい人なんだ。今まで著書を読んだこと無かったけど、これからはファンになるよ。著書を読むかどうかは別にして。
- 7月31日
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山田風太郎が死んでしまった。20世紀も終わったんだから、1960〜70年代に活躍した層(今の60〜70代)が死んでいくのはあたりまえなんだが、ここまでのビッグネームに逝かれるとさすがにインパクトがある。彼にふさわしい言葉かどうかはわからないが、とりあえず。R.I.P.
というわけで山風追悼のため『妖説忠臣蔵』(集英社文庫)から「赤穂飛脚」を読む。ごく普通の時代小説なのに面白いなあ。