過去の雑記 01年 8月上

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8月 1日
ふと気がつくとgoogleのトップイメージがエーデルワイスとスイス国旗になっていた。どうやら8月1日はスイスの独立記念日らしい。確か7月14日のフランス革命記念日にも、花火とフランス国旗になっていたのだが、今後も各国の記念日ごとにトップを変えていくのだろうか。7月21日のベルギー独立記念日には何も無かったような気もするが。

2月11日にフジヤマと日章旗になるかどうか注目していきたい。< ならないだろう

8月 2日
「著名人の死という奴は連鎖する」と言ったのは唐沢俊一だったか。先日、山田風太郎が死んだと思ったら、今度はポール・アンダースンが逝ってしまった。享年74。

『脳波』『タイム・パトロール』<ホーカ>も読んだことが無いので、これといった感慨は無いが、時の流れだけは実感できた。ああ、光瀬龍が死んだときの印象に近いな。

それはそれとして。山田風太郎が享年79、アンダースンが享年74ということは、ふたりはほぼ同世代らしい。意外なんだか納得なんだか。国内外の主な作家の名前を挙げてそれぞれの生存年に線を引いた表を作るのは面白いだろうなあ、と、ずっと考えているのだがなかなか踏ん切りがつかない。誰かSF大会あわせで作らないものか。

8月 3日
恩田陸『上と外6 みんなの国』(幻冬舎文庫)読了。思った以上にきれいにまとまった。ありとあらゆる道具立てを駆使して危機を盛り上げた徹底した娯楽小説志向は、高く評価すべきか。あまり「愛する」気にはならない作品だが、読んでる間ずっと楽しめた。「最近、なにか面白い小説あった?」と聞かれたら、とりあえずこれを挙げてみよう。

いや、ここ半年でもっとも面白かったのは『ΑΩ』なんだけど、相手を見極めずにこれを薦める勇気は。

むちゃくちゃ久しぶりに「タモリ倶楽部」を観る。今日は「匿名リサーチ200SEX」。ミミズ千匹とは何かについて深く追求していた。勉強になるなあ。
しかし。元番組のうさんくささを見事に再現したもんだ。本家より質高いかも。

8月 4日
恩田陸『ドミノ』(角川書店)読了。恩田陸っていつからこんなに巧くなった?

東京駅を舞台に28人の登場人物の「事件」が交錯するアクションコメディ。事件の関連付け、タイミングとも絶妙で、あの、プロットに致命的な欠陥のある恩田陸とは思えない出来。本当に恩田陸か、これ。

プロットの完成度が上がった分、個々のシーンの鮮烈さが犠牲になっている感はあるが、この作品の場合、それは欠点とはいえない。読み始めたら止まらないタイプの作品として非常に良く出来ている。これは『上と外』より上だなあ。

なんかこう、「恩田陸を読むこと」に求めていたものとは違う結果が得られたような気もするが、面白かったからいいや。

「小説すばる」8月号から小林泰三「予め決定されている明日」を読む。

ω次元の片隅で延々と算盤をはじき続ける算盤人のケムロ。彼はふとした偶然から、無限に続く計算の目的を知ってしまった。その計算はひとつの仮想世界を生み出しているのだ。仮想世界に思いを馳せるうち、仕事が遅れた彼は絶望的な量の懲罰作業を与えられる。この仕事をこなすには、仮想世界の力を借りるしかない。彼は禁を破り、仮想世界に干渉することを決意する。

すでに各所で言及があるが、グレッグ・イーガンの『順列都市』にも比すべき思索に満ち溢れた作品。高踏的な思索と、真に迫る恐怖の融合は、さすが超・ハード・SF・ホラーの第一人者というべきか。これを読まずに本年度中短篇ベストを語る莫れというべき傑作。

我孫子まで花火を見にいこうか、ユタに行こうかと迷っているうちに結局どちらにもいかないことに。一応、北千住までは行きかけたんだが、気が変わってうちに戻ってしまった。これが本当の「虻蜂取らず」という奴だな。まあ、別の目的は果たしたから良しとしよう。

付記:添野さんの情報によれば、この日のユタ参加者は以下の通り。
添野知生、久世信、志村弘之、小江雅美、小浜徹也、三村美衣、高橋良平、山本和人、SF人妻、大森望、福井健太、柳下毅一郎(概ね入店順、敬称略)。
なぜ参加もしていない例会の参加者リストがここにあるかというと……、世の中は「そういうものだ」からかな。

8月 5日
寝て過ごした一日。起きてテレビ見て寝て起きてテレビ見たら一日終わった。プロ野球中継を6試合見たのが敗因だろう。こんなに見たのに、最大の見所、中村(D)の2点タイムリーレーザービーム送球は見逃してるし。

「小説すばる」から倉阪鬼一郎「卵」、牧野修「憑依奇譚」、田中啓文「イルカは笑う」を読む。それぞれに悪くは無いが、小林泰三の短篇の出来があまりに良かったので印象が薄くなっているのは否定し難い。ああ、田中啓文は往年のカジシン・ダークサイドの作品のようでちょっと驚いた。

山田風太郎『妖説忠臣蔵』(集英社文庫)読了。山風は忍法帖しか読んでいなかったので、かなり印象と作風が違ったが、無難に楽しめた。中では、マイナーキャラの悲哀を描く「俺も四十七士」が良かった。

8月 6日
平日の散歩を楽しんでいると後ろから謎の会話が聞こえてきた。そこにいたのは小学校高学年とおぼしき女の子二人。昨日のロウガことガオシルバーがいかにかっこよかったかについて熱心に語る彼女たちの姿に、いろいろと思うところのあった真夏の一時である。

夕方、池袋ジュンク堂により、ひらいたかこ原画展を見る。ふらっと立ち寄っただけのはずなのに、気がつくと画集を手にとっていたのは何かの陰謀か。とりあえず原画のコピーを買わずに済んだだけでも良しとしよう。欲しいけど。

ついでに騙されて唐沢なをき『電脳炎 ウィン版』3巻(小学館ビッグコミックススペシャル)を買ってしまう。特にどうということはない、パソコンネタ唐沢4コマ。マック版だけは買わないようにしようと改めて天に誓ったことである。

8月 7日
海に行こうと思っていたのだが、天気が悪かったので延期する。3時間以上寝過ごしたのが問題と言う声もあるが、きっと気のせいだろう。

そんなこんなで時間が出来てしまったので、野田線に乗って書店へ。各階にある喫茶店が、すべて同じような客層で埋まっている光景はちょっとすごいかも。

夕方、柏に戻り、「千と千尋の神隠し」を観る。大変に美しいファンタジー。冒頭、足元の草が風にざわめくシーンから作品世界に入り込めた。個々のシーンの鮮烈さが頭に焼きついて、ストーリー全体なんて些細なところには全く気が回らなかったよ。

8月 8日
曇天にもかかわらず海に行く。この気温じゃ泳ぐのは無理だろうと思いつつ現地についてみたら、波が高いから遊泳禁止のおまけまでついてきたのだった。おいおい。

しかたが無いので、波打ち際でふらふらとしていたのだが、これが意外と楽しい。波がひく際に足元の砂がえぐられていく不思議さは他では得難い感覚だ。思わず一時間近く遊んじまったよ。泳げなかったのは残念だが、それなりに楽しかったので良しとしよう。な。> 同行者

8月 9日
ボーっと、夏の甲子園で愛知県代表が負けるのを見たり、週刊ベースボールを読み耽ったり。夏休みの醍醐味ともいえる非生産的な一日。醍醐味を毎日味わっていると言う説はあるが。

雷句誠『金色のガッシュ!!』2巻(少年サンデーコミックス)を読む。熱血とギャグが高いレベルでバランスしており、安心して読める。集中では(集中?)巻末のコルルのエピソードがツボ。

つい油断して「うたばん」を見てしまう。なんとなく石川と吉澤の区別がつくような気がしてきた。加護と辻はもう大丈夫(変なのが加護、致命的に変なのが辻)。これで全員把握した、と思ったらまた増えるんだよなあ。モー娘。の道は果てなく険しい。

仕事をふられそうになったがスケジュール的にきつかったので、知り合いを何人か売る。どうなるんだろう。どきどき。

8月10日
都内まで映画を見にいくついでにジュンク堂に寄って、再度ひらいたかこ原画展を観る。いいなあ。色使いもいいんだけど、それ以上に「人物」の表情が好み。あの目が。目が。

中野武蔵野ホールで「ぼくらと遊ぼう! Cプログラム」を観る。上映作はトルンカ「楽しいサーカス」「コントラバス物語」、ベネシュ「Pat&Mat」(「クロスワードパズル」「雨」「りんご」「テレビ」)、ポヤル「ぼくらと遊ぼう」(「セイウチの話」「犬の話」)。
「楽しいサーカス」はトルンカの過去に見た作品の中では最低。あまりに退屈だったんでつい「コントラバス物語」まで寝てしまったという。それなりにきれいではあったけど。
「Pat&Mat」は全般に好調。中でも、タイトルが最後できいてくる「クロスワードパズル」が気に入った。
ポヤルは結局、最後まで肌に合わず。大きい熊の性格の悪さはそこそこ魅力的なんだけど、どうも。対象年齢の問題か。

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