過去の雑記 01年 8月

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8月21日
今日も今日とて背中が痛い。社会人として最低限度の愛想を維持するのも結構大変だったり。ちゃんと眠れば多少マシになりそうなんだけど、2時間寝ると起きちまうんだよなあ。

SF大会で買ってきた草上仁『よろずお直し業』(徳間デュアル文庫)をパラパラとめくる。懐かしさのあまり涙が出そうだ。すべてのものを直す力を持つ男を主人公とした連作ファンタジー。甘いといやあ甘い話なんだが、疲れているときにはこの甘さが心地よい。草上仁の人情路線の最高峰だと思うのでちっとは話題になって欲しいものだ。
しかし、これを再刊するかデュアル。

8月22日
通勤時の直撃を覚悟していたのに起きてみたら台風はまだ伊勢湾。拍子抜けしながら職場に着き、しばらくディスプレイに向かっていると次第に雨脚が強くなる。これ、これこそ嵐という奴よ。吹けよ風、呼べよ嵐、One of these days!と盛り上がったのも束の間。昼飯を食いに行くときには傘もいらぬほどの小降りに成り下がり、帰り際には晴れ間さえ覗いているというていたらく。まったくもって困ったものである。

河出の『20世紀SF5』を半分ほど読む。例によってギブスンの短篇は心の底から内容を忘れていた。読んでいる間は楽しんでんだがなあ。前半は変化球気味の作品が多いためか、なかなか緊張感がわいてこないのは困り者。『20世紀SF4』までいかれるとさすがにくどいが、もうちょい速球があっても。少なくとも「世界の広さ」が支えてくれるはずの後半に期待。< 価値観がやや歪んでないか?

8月23日
SF大会の星新一クイズがそこはかとなく話題になっていたようなのでを確認してみる。あれ?どっかで聞いたような問題だと思ったけど、これ作ったの僕だ

作ったクイズが褒められるってのはこんなにも嬉しいものだったのか。クイズ製作マニアの人の気持ちが少し分かったよ。ああ、でも、この問題はあくまでペーパーテスト用にデザインした問題だから、一問ずつ見せていくには不向きだと思うんだが。

しかしあれですね。作者が見返してみて6割解く自信がないクイズってのはどうかと思いますね。

あ、すでに確証はないけど、答がエヌ氏の問題は作らなかったはずです。 > 一歩さん

8月24日
中村融&山岸真・編『20世紀SF5 1980年代 冬のマーケット』(河出文庫)読了。期待通り後半はボリュームがあった。

全体としては決して悪いもんではないが、60年代、70年代が続いた後では分が悪かったかややインパクトに欠ける。時代を余すところなく捕らえようとすると個々の要素に避けるページ数が少なくなるというのが問題なのだろう。あと1000ページあれば印象は違ったんだろうけど。 < それは「あと」と表現すべきページ数か?

集中ではガーンズバックとステープルドンの融合といえないこともないスティーグラー「やさしき誘惑」、奇想と叙情が見事に調和したワトスン「世界の広さ」が良かった。

8月25日
中野のモーニングショーを見にいこうと思っていたのだが眠気に負けて寝てしまう。まあいいさ。また今度だ。

昼過ぎに再度目を醒まし、ふとテレビを見ると「ダイターン3」をやっていた。そうかANIMAXのサンライズ祭りは今日だったか。やっていたのは、ゆうきまさみもパロディを書いたというプロデューサー・カルロスの登場する回。宇宙空間をしっかりと踏みしめ見得を切るダイターンの雄姿などけれんたっぷりの演出が非常に楽しかった。名古屋テレビ枠のサンライズはさすがにあなどれない。

いまさら『サンダイバー』を買うついでに島本和彦『吼えろペン』を買って読む。今回はアシスタント紹介編。つっこみ役、ヤスの活躍を描いた第8話「真夜中の戦士たち!!」が秀逸。熱血属性の英雄は、炎尾燃とキャラがかぶるためか機能してないなと思ったことである。

さらについでに星新一原作のマンガが載っているという水牧先生(10)の情報を元にミステリーボニータ最新号をチェック。本当に載っていたが本当に載っているだけだった。確かに忠実に漫画化しているけどさあ。

帰宅後、「カウボーイビバップ」一挙放映前編を途中から見る。あ、面白いや、これ。ハードボイルド風のストーリーと、シャープな絵柄がちゃんとマッチしており、実に好み。しまった本屋なんぞに行かず、これを見ているほうが有意義だったか。

8月26日
睡眠不足を押して朝っぱらから中野武蔵野ホールまで出向いてモーニング・ショー「イジー・バルタの世界」Bプログラムを観る。上映作は「謎かけと飴玉」「プロジェクト」「手袋の失われた世界」「最後の盗み」「見捨てられたクラブ」「ゴーレム・パイロット版」「セルフポートレート」

「謎かけと飴玉」はバルタのデビュー作。謎の主人公が飴を食べながらなぞなぞに挑戦するレリーフアニメ。ストーリー云々という点を置いても何を見せたいのかが良く分からない。

「プロジェクト」は製図台上の図面にマンションを書いていく“だけ”の映画。ただ図面に線を引くだけの作業のBGMが工事の轟音という冒頭からにやにやさせられる。空き部屋の一つ一つに個性あふれる家庭を貼っていくあたりまでが本当に良くできていだけに、ラストが風刺としか読めないのがもったいない。

「手袋の失われた世界」は工事現場から発掘されたフィルムに映った手袋たちの演じる映画(という設定の映画)。手袋たちの演技が絶妙。まさか手袋のストリップが色っぽいとは。

「最後の盗み」は古びた屋敷に入った盗賊の運命を描いたホラー。モノクロの実写フィルムに彩色するという手法はさぞや大変だろうとは思うが、苦労に見合う効果をあげているとは思えない。

「見捨てられたクラブ」は廃屋に見捨てられたマネキン達の演じるドラマ。これもマネキン達の演技に尽きる。きしみ音をあげながら不器用に歩くマネキンの不気味さは曰くいいがたいもの。繰り返しのギャグも巧く決まっており高く評価したい作品なのだが、パンクなマネキン達が登場するあたりから先が余分。10分長い。

「ゴーレム・パイロット版」はユダヤ人の老人がプラハの街に観た幻想(?)。粘土をベースにした幻想的な画面は確かに美しい。

「セルフポートレート」はバルタ、パヴェル・コウツキー、シュワンクマイエルの三人が、自分の得意なアニメーション技法を駆使して描いた自画像。バルタの美しさも、コウツキーの滑稽さも悪くはないが、シュワンクマイエルと比較されては一段落ちるか。あの目玉と舌は何度見てもやはり印象深い。

今日一日摂った食事が、叉焼麺、カツ丼、豚汁と豚ばかりであることに気づく。まあ、ためしに測ってみた体脂肪率が13%だったから別にいいか。
# 実は20%台で隠れ肥満というおちだと思っていたのでちょっと意外。

8月27日
暗闇に潜んでいた自分のミスに襲われ一回休み。ご迷惑をおかけした方々、申し訳ありません。

日が変わる直前に確認したところ、方々の尽力のおかげでなんとかなった模様。そうか、この時点でもなんとかなるのか。

一時の気の迷いで買ってしまった青心社文庫の新刊、『全寮体験、みんなでたべて 2』をパラパラと眺める。レズもの(これはまだいい)少年向けポルノ(29にもなろうかというのにどうかとは思うがよしとしよう)の2巻なんてなんで買う気になったんだろう。1巻なんて見たこともないのに。
それなりにそれなりなそれではあったが、敢えてコメントは差し控えるとして。青心社文庫っていつのまにか完全にYAポルノの叢書になってたんすね。

8月28日
職場は翌日に向けて独特のムードを漂わせつつあったが、直接は関係ないので早めにあがって会社の飲み会に参加。特にだからどうということのない飲み会だったが、店員のおねえちゃんが女教師眼鏡(古いアニメで「ヒステリックな女教師」キャラがかけているタイプの眼鏡)の似合う美人だったのでちょっと得した気分。この眼鏡、実在したのか。

8月29日
職場でH2Aの打上げを見る。テレメータのグラフを眺めながら、サイエンスチャンネルのNASDA番組で打上げを見るってのはそこそこに贅沢な体験のような気がする。そらまあ、職場の大半の人はそっから先が修羅場なんで贅沢がどうとか言ってられる様子じゃありませんでしたが。

とりあえず今朝の仕事(打上げが30日にずれた場合のためのほんのちょっとしたあまり主要じゃない解析)が無駄になったのは大変喜ばしいことである。

8月30日
職場はいい感じに修羅場の雰囲気が漂っている。その中でひとり教科書を読み続けるのはかなり色々とあれだ。

Webを回るうちに先日来気になっていたインド・ヨーロッパ語族の類縁関係図を見つける。どうやらケルト語派とロマンス語派が近しいというのは常識だったようだ。しかしこの樹形図はいろいろと勉強になる。そうか、バルト語はドイツ語よりもヒンドゥー語に近いのか、とか。

8月31日
色々と考え中。考える前に眼を動かす必要もあるんだが。

のむのむさんの(本名で認識している人をハンドルネーム然としたハンドルネームで呼ぶのって違和感があるなあ)8月29日分日記で「(小松左京の長篇を)林哲矢は読んでそう」と言及されたが、実はほとんど読んでいなかったりする。読んだのは『果しなき流れの果に』『エスパイ』(笑)くらいか。ご期待に添えず申し訳ない。

実は、元々国内SFが苦手で光瀬、眉村、平井、豊田、半村とほとんど読んでなかったり。というわけで、僕の国内SF話は話十分の一くらいに聞いといていただくのが無難かと。

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