過去の雑記 03年12月上

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12月 1日
収録短篇が良いとの評判につられて『鋼の錬金術師 パーフェクトガイドブック』を買う。確かに良い。良いが。裏表紙漫画も良いが。コミックスサイズの本で、800円といわれるとちょっと。字も詰まってるし、ファン向けサービスもちゃんとあるし、謎本と思うと良心的な作りではあるのだけれどもだ。

唐突に、「素顔のユリーマ」「素顔のユーリマ」だと思い込んでいたことに気づく。わぁ。あわてて修正しました。多分、Euremaというつづりに引っ張られたのだと思うのだが、eurekaが「ユリイカ」になるんだから、「ユリーマ」が正しいのが当然ですわね。こう、恥かしさのあまり消え去りたくなるような間違いである。そんなわけで間違いでした。すみません。

ところで、この短篇に出てくる発明の女神ユリーマというのは、本当に古代ギリシャの女神なのか。eurema+goddessでgoogle様にお伺いを立てても、ラファティの当該短篇と、キチョウの学名しかひっかからない。Euresisという名の発明を司るニンフを描いた絵は見つかったが。eureka(見つけた)とeurema(キチョウ)を引っ掛けたラファティの造語と言いたいところだけど、どうなんだろう。えーと、まずはキチョウの学名の由来を調べるべきか。

唐突ついでに。時折見かけるようになったアナログ・ゲームという語を見るたびに違和感を覚える今日この頃。この語が対象にしているらしいボード/カード・ゲームは、たいていの場合デジタル値しか扱わないのだから、まったく(デジタルと対比される)アナログでないと思うのだ。コンピュータゲームのほうがまだ、ステップを小さく取れる分、アナログに近く見えるのではないか。無理に新しい語を作らなくても、ボード・ゲームなり、カード・ゲームなりと呼べばよかろう物に。

今調べたら、ピン・ボールを指してアナログ・ゲームと呼ぶ例があった。これは確かに(時空が離散値でない限り)連続量を取り扱うゲームなのでアナログ・ゲームの名に相応しい。ボードゲームをアナログゲームなどと呼ぶ筋の悪い用例はいつ出来たのだろう。

コミケ由来と思われる非電源ゲームというのは簡にして要を得た、すばらしい名称だと思う。電池を使用するボードゲームの位置付けが危うくなるという些細な欠点はあるが。

12月 2日
いろいろと考慮せねばならないこともあるわけだが、「小宮山、ロッテ復帰」の報の前にはすべて色褪せてしまうのだ。ロッテ時代から好きな選手だったので、是非とも活躍して欲しい。欲しいが、どうしても去年のR・ローズの影がちらつくのだよなあ。

それでも、ボビー・バレンタインの復帰をはじめとする千葉ロッテ・フロントの努力は評価できる。新庄獲得を柱に新たなフランチャイズでの人気定着を狙う北海道日ハム・フロントも立派だ。それに比べて、われらが横浜は……。コストパフォーマンスが売りの下柳の値段をいたずらにつりあげて、あげくにただでさえ少ない投手陣を失っていくというのはどういう冗談なのか。そう、冗談だよな。きっと本気の補強が控えているのだよな。未来に夢を見ることが出来る何かが。そうだよな。そうだと言ってくれ……。

12月 3日
飯を食うのをサボっていたら、痛みを感じるほど腹が減ったので、勢いで弁当ひとつとカップヌードルを食う。

喰いすぎで気持ち悪くて吐きそう。 < 愚か者

寺田貴信・原作、富士原昌幸・作画『超機人 龍虎王伝奇』上下(双葉社・アクションコミックス)。SRWαのプレ・ストーリー。四神をモチーフとした巨大ロボという燃える設定なのだが、雑誌の休刊もあって中途半端に終わっているのが残念無念。お約束もきちんと果たし、口上もちゃんとあげ、アクションもちゃんとこなしているのに、いま一歩盛り上がりに欠けていたので雑誌が続いたとしても正しく着地できたという保障はないが。でもだがしかしそれでなお。欠点込みで好きだったんだけどなあ。

12月 4日
近所の書店に『世界の中心で愛を叫んだけもの』が山積みになっていた。それはもう、こぼれ落ちんばかりに山積み。なんとなく意図はわからんでもないが、きっと失敗すると思うな。

近所の書店で、「ロレンスの作品集を手に取る」「メガネ」に「ハイソックス」の「女子高生」を見かけた。もちろん黒髪のロング。結果としての姿が琴線に触れたかどうかはともかく、記号の集合というのは、そのものとしての価値をもつものだなあと感じ入ったことである。

「R.O.D the TV」の時間帯変更に気づき損ねた……。

SFM考課表は、もう集計できる状態なんですが、気合が足りないのでもう少し後で。プリーストがぶっちぎりの大人気。

12月 5日
TRICK3、ダジャレ短歌篇(違う)の後編を観る。おお、堤・蒔田コンビなのに面白い。くだらない手品ネタはいれずに、小ネタの面白さだけでの真っ向勝負。ミステリとしてのトリックはともかく、TRICKとしてはちゃんと面白かった。嫌な展開に嫌な展開を重ねてダメな落ちという畳み掛けもTRICKらしく。良い回でした。横溝パロの数々も良かったが、前後篇通してのギャグでは、黒部進に対する「父さん、ジョワッチは止める約束だろ」(だったと思う)がベスト。ベストっつーても。

12月 6日
夕方から元ユタ。「某さんお誕生日おめでとう」読書会に参加する予定もあったが、案の定、本を読むのが間に合わなかった。読書会自体に参加をしないのはともかく、参加人数を聞いて2次会参加を断るのは仁義を欠く気もしたが。

しかし、これはこれで浮世の義理的には正しかったのである。今日の元ユタ参加者は堺三保、林、添野知生、福井健太、大森望(到着順、敬称略)とたった5名。8時過ぎまで二人っきりという状態で、僕が行かないとかなり辛そうな状態。新規参加者を強く期待したいところである。今日の主な話題は、まんがの森インタビュー本、アメコミの近況、年度ベストSF、年度ベストミステリ、年度ベスト映画、クローン大戦、留学、便利な事故、戦隊物第1話評論家、娯楽作品が戦争を語る上での仁義、あるいは娯楽作品の持つべき倫理性、アメコミ映画あれこれ、もえたん、横浜の惨状と阪神の安心、実は面白い今期のTRICK、推理物における映像と小説の違い、古典の価値、最近終わったSFまんがの共通点、今期のアニメなど。新宿書店に寄って帰宅。

なにをかいまさらシリーズ、『ディファレンス・エンジン』読了。だからどうした感が非常に強い。みごとに腐っているので今読む必要はかけらもないね。とりあえず、ハッカーを意味もなくクラッカーと呼ぶのだけはなんとかしてくれ。

12月 7日
SFM考課表更新。プリーストの「ディスチャージ」が頭二つリード。年間でも平均でトップという結果。考課表的には、これと、小川一水「老ヴォールの惑星」が今年のベストとなった。

朝っぱらから阿佐ヶ谷でアニメを観る。常磐線が乗ろうとする直前に人身事故で止まったり、乗ろうとした中央線が中野止まりだったり、さまざまな妨害を受けながらも、どうにか1本目に少し遅れたくらいで間に合った。……なぜ、それが一番観たかったジャック・ドゥルーアン「風景画家」だったりするかなあ。で、その「風景画家」。ピン・スクリーン独特の陰影は出ているものの、ネタがやや高踏的なんで期待したほどは感心しなかった。椅子に座ってリラックスしてみたら、また感想が変わるかもしれないが、アレクセイエフの「禿山の一夜」と比べてしまうと見劣りするというしか。Eプロのほかの作品で印象に残ったのは、メリエス「月世界旅行」。前回見たと思っていたのだが一切記憶になかった。大砲の砲弾に乗り込んで月の顔にめり込むまでは知っていたのだが、続きがあるとわかったのが今回最大の収獲。大時代な画面も大変宜しい。Fプロでは初見の「バンビ、ゴジラに会う」が良かった。一発ネタを一発ネタに終わらせない心意気がすばらしい。絵画がそのままのタッチでアニメーションするという無茶なアニメ「雌牛」、砂がアニメーションするという無理なアニメ「砂の城」、ガラスがアニメーションするという無謀なアニメ「水玉の幻想」のそこまでやるか三部作(三部作ちゃう)は何度観ても、無理・無茶・無謀で感動する。

そんなこんなで、阿佐ヶ谷通いもやっと終了。A-F,G,J,K,M,Nの各プログラムを観たうえで最大の収獲は大藤信郎「幽霊船」。影絵の効果を最大限に活かして柔かい美しさを紡いでいる。「くじら」に比べて明らかに技法が進歩しているところも評価したい。リプチンスキ『タンゴ』も良かった。技法のため技法、トリックのためのトリックであっても、ここまで突き詰めれば立派に作品になるという。画面が反復しながら複雑化していく過程が、BGMのタンゴとぴったりあっていて大変気持ちが良かった。

三日連続でカレーを食ったり、古本屋に寄ったりした後、新宿西口YSに寄って、いまさら『操り人形』とGJの最新号を買う。東部戦線なんてかけらも興味ないのに、どうするつもりなんだろう。> おれ

テレビ『鋼の錬金術師』7,8話を観る。いやあ、実にいい感じに嫌な話に仕上がってますね。エドが脆すぎるという声も納得だが、2年前の話という設定だし、まあそんなものか。軍もしっかりいけすかない組織になっていている。この調子で立派なトラウマ・アニメの道を歩んでいただきたい。現実はろくでもない、世の中は正義ばかりじゃ動いてない、と知らしめることもまんが・アニメの使命だし。そして、それでも前を向くことを教えるのが、まんが・アニメの倫理だ。

12月 8日
昨日寄ったYSで、サンタの格好をしたクトゥルフのぬいぐるみを見つけた。それはもう大変愛らしく、是非とも誰かにプレゼントしたいと思ったのだが、なんとしたことか。プレゼントできる相手というものがまったく思いつかないのだった。

これが、ここ数日でもっとも悲しかったことです。

そうか、ものを贈る相手もいないのか……。

12月 9日
晩飯を食ってすぐに50分で9km歩いて直後に椅子に座って30分うたた寝をしたら気持ち悪くなった。順番を変えるだけでもかなり健康的になるような気はするのだが、自然の流れ(腹が痛くなったのでとりあえず空腹を満たす→適切なバスが無くなったので歩いて駅に向かう→電車がすぐに来たので飛び乗り空席に座って寝る)なのでいかんともしがたい。体調の悪さを酒でごまかすくらいしか、できることは無い。

適度に香りの抜けたオランダ・ジンと軽めのチョコレートは良く合うようだ。さて、目の奥の痛みも弱くなってきたことだし、本でも読みますか。

本読んでません。それはともかく。gobbledygook経由で歓喜の声(12/7)。良い人が取って、良かったと思います。

12月10日
いままでの会議の概念を打ち砕かれるような会議、というか打ち合わせに参加する。これがありなのか。楽しいし、長期的には有意義な気もしないでもないから良いけど。

「三百年後の世界人口は九十億」というニュースからたどりついた日本の世代別人口統計(2000年)。これで世代毎の男女比を見ると、いい感じにアンバランスであることが良くわかる。総人口では女性の方が4%強多いのだが、40代以下では逆に男性の方が多いのだね。「出生時には男が数%多く、死亡率の差で男女比が逆転する」という話は知っていたけど、改めて数字でみると納得感が違う。
20〜30代に限ると男性は女性より2%多い感じ。て、ことは、すべての男女が同世代の間で1対1の関係を結ぼうとするというモデルだと、この辺では、男の2%が必ずあぶれるわけですね。つまり、50人に1人は理想的な状態でも相手がいないと。なんか、良くあることみたいなんで、気にしなくても良いみたいですよ、ご同輩。

小田ひで次『ミヨリの森』(秋田書店)と村枝賢一『RED』14巻(講談社)を買ってくる。読むのはきれいな体になってから。

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