過去の雑記 99年 7月上

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7月 1日
fj.rec.comicsで立ち読みの是非が話題となっている。本論の方は泥沼化の様相を呈しているので追う気はないが、一部に若干興味を惹く話題もあった。もっとも興味深かったのは「現在の漫画雑誌の出版点数は多すぎる」という指摘。これは普段からさまざまな場面で感じるところではある。例えば角川/富士見/電撃系小説、例えばTVアニメ、例えばコンシュマーゲーム。全体を個人で把握するために過酷なまでの努力を必要とするのは自然なことか。もっと適当な量という物があるのではないか。そう思う瞬間は確かにある。
話をマンガ雑誌に限っても、現在の雑誌数は確かに過剰だ。各雑誌でユニークなものはごく少数であり、大半はどうとでも交換可能な穴埋めに過ぎない。冗長部を縮約し、雑誌数を半分にしてもらえればどれほどありがたいことか。
が、それはきっと喜ばしいことではない。雑誌数が半分になったとき、真っ先に犠牲になるのは万人向けの焦点のぼやけたどうでもいい作品ではなく、マニア受けの先鋭化した自分にだけ意味のある作品だろう。これは、追っているマイナー誌掲載のマンガが軒並み打ち切りになってきた事実からも、証明できる。少なくとも、僕が読みたい作品は真っ先に打ち切られるだろう。読みたい作品が無くなった結果、全体が把握できるようになったとしても何の意味があるだろうか。
だいたい、追いきれないから全体量を減らせというのはマニアとしての敗北宣言だ。

芳林堂高田馬場店で『遠き神々の炎』をついに購入。購入したので満足してしまい込みそうだが。

7月 2日
明日は長野へのドライブなので早目に帰宅、するはずがなぜか神保町にいる自分に気づく。世の中、油断するとどんな事が起こるか分からない。

とりあえず、神保町ブックセンターへ。ここのショーウィンドウを見ていると実に心が安らいでくる。これは歩書房のレジ横の値段でも同じなのだが、常識を超えた幻想的な値段というのは人をおおらかな気分にさせる効果があるのだ。ここの銀背を買ったんだと思えば、大抵のサンリオは安く感じるよな。
おおらかな気分のままカスミ書房に寄って、さらにおおらかな気分になったりしながらブックパワーワンダーへ。いきなり、レジに山積みの銀背の山がなによりも目を惹く。とりあえず、SFMをチェックする振りなどして様子を見ていると、山の中から本を抜いている人がいた。どうやら買ってもいい物らしい。先客が去った瞬間に声を掛け、3200番台の山をチェックさせてもらうと、幸運なことにスタージョン『奇妙な触合い』が見つかった。早速、購入する。これもきっと、「人間万事塞翁が馬」という奴だろう。あれ?「人間至る所青山有り」だっけ?

帰りがけに、『奇妙な触合い』を読み始める。とりあえず「みどり猿との情事」。……。全体としては悪くないんだが、ヒロインの感情の動きは素晴らしいんだが、時に鋭利な文章もあるんだが……。訳、悪くない?

7月 3日
てなわけでやねこんである。西葛西駅で同乗する藤元直樹さんと合流し、藤澤さん(7)の運転でピカチュウ号が西葛西を出発したのが午前10時。豪雨で60km/h制限だの50km/h制限だのという表示が踊り、一時はどうなることかと思ったが、午後4時、無事会場のグリーンプラザ白馬に到着した。

ロビーでいろんな方に挨拶をした後、部屋に行って荷物を仕舞い込む。おそらくツインであろう部屋に8人が泊まるというのはなかなか驚いたが、スタッフは車中泊だのという噂を考えてみればしかたのないことだろう。オープニング開始までの時間、怪しげなデータをやり取りする藤澤さんと細木さん(8)の姿を眺めながら、パンフレットと一緒に入っていたハヤカワ文庫解説目録をチェックして過ごす。そうか、ラッカーは壊滅したか。

そんなこんなをしているうちにオープニングだ。いきなり星雲賞という構成は評価の分かれる所だと思うが、まあ便利っていやあ便利。飽きたら途中退出できるし。そんな訳で寸劇は見ずに退出してたり。ひどい奴である。

企画で最初に参加したのは「SFセミナー☆オールナイト」の一本目、巽孝之&小谷真理による「『日本SF論争史』出版予告編」。内容はタイトル通り、今秋発売予定の『日本SF論争史』の内容紹介。論争それ自体の話よりも裏話の方が面白かったのは会場の雰囲気からして当然か。野阿梓の突っ込みも見事で、和気藹藹と話は進んでいった。「クズSF論争」についてはもう少し突っ込んだ話が聞きたかった気もするが、そんな質問をする勇気は当然無かったので仕方がない。合宿企画としては割と面白かった方かな。

次は同じく「SFセミナー☆オールナイト」の「『グリンプス』のロックを聴く」。『グリンプス』のストーリーを語りながら、作中のロック・ナンバーを紹介する企画。小川隆と浜田玲のかけあいも地味ながら味があり結構楽しめたが、これを完全に聞いてしまうと飯を食いに行く時間が取れないので、しかたなく途中退出。しばらくうろうろして飯を食いに行く同行者を探すがどうもタイミングが悪かったらしく相手が見当たらない。諦めて独りで飯を食いに行く。が、これは結果的に悪くなかったかも。バイキング形式の夕食はかなりの種類と量で、これで話し相手がいたら不用意に時間が潰れてしまったかもしれない。<そうまでして自己正当化せんでも。

ディーラーズで暗黒星雲賞謹製の水玉マグカップ&湯飲み、PARADOX40号、未来趣味1、3、4号、宇宙塵195号などを購入し、「SFセミナー☆オールナイト」に戻る。今度は3コマ目、「SFコレクターのつくり方」だ。最近コレクターデビューをして以来、どんどん濃いコレクターになっているという噂の代島正樹を司会に、牧眞司・北原尚彦・日下三蔵の三氏がコレクター道を熱く語る、という企画なのだが、これが……。パネラーのキャラが濃すぎる上、観客が輪をかけて濃いってんだから話を制御するのは至難の技。その上、話をいいかげん脱線させておいて、「この企画は君を鍛えてんだから話を進めなきゃ」などという血も涙も無い突っ込みが入るんだから、司会の代島正樹も大変だ。
パネラーが如何に邪悪かっていうと、「あなたのこの1冊を見せて下さい」という質問に、「今日松本の古本屋をまわって買ってきた」ダンボール1箱の本を見せる日下三蔵を例に挙げておけば問題はないだろう。他の二人も似たり寄ったりで、突然善光寺周辺の古本屋を襲撃した三村美衣さんを相手に古本屋情報の交換をはじめるなど、溢れんばかりの邪悪さを発揮する。あまつさえ観客側の三村さんと若尾天星さん(名古屋ファンダムの中心的存在らしい。放浪の名オークショナー。パネラーを見て「こんな若い奴等がパネラーとは」と嘆いたときには、さすがに感じ入りました。)が全開で飛ばすんだから制御なんて出来るはずも無いのだ。この状況下で、それでも全体をなんとかとりまとめた代島さんには惜しみない賛辞を送りたい。最後に、この場で交わされた言葉のうち(どういう意味でかは別として)心に残った発言を記録しておこう。
「こんなところに貴重な本を持ってくるわけないじゃないか。」(牧)(企画の趣旨は……)
「本を買う理由はあっても買わない理由はありません。」(牧)
(「本を整理するコツは?」)「家を買うことです。」(牧)
(「尊敬するコレクターは?」)「ああはなりたくないという相手なら一杯います。」(日下)
「本を買う金が無ければ本を売ればいいんです。本を転がせば家も立ちます。」(若尾さん(客席から))
銀背箱の謎など書誌学的に興味深い話などもあったが、この企画で最も大きな収穫は、「自分は大丈夫」という安心感を得たことだ。

企画終了後、若尾天星さんと代島さんがとてつもなく濃い話をしているのを聴いたり、ミュータンツの梶谷さんと話をしたりするうちに少々聞き逃してしまったが、次の企画「牧流・SF史集中講義」へ。SFスキャナー出張版も聴きたかったのだがあえてこちらを選んでみた次第。
中身は小田原市の市民講座で話されたものというだけあって見事に一般向け。シェリーから始まる全8回のSF史は実に正統的なものだ。シェリー、ポオ、ヴェルヌに始まり、ウエルズ&ステープルドン、ガーンズバック、キャンベルスクール、クラーク&レム、ニューウェイヴ、日本SF、サイバーパンクと歴史的流れとエポックの双方に気を配った構成。50年代や70年代を無視しているあたり8回の講座でSFを語るということの難しさを感じさせてくれた。基本的には知っている話ではあったが、知識の再整理という意味でも、一般向けにSF史を語るとどうなるかという点でも興味深かった。でも、やはりセミナー合宿という器なら「ラブレーの系譜でラファティを語るSF史」の方が聴きたかったかな。「スリック雑誌が50年代SFに与えた影響」でも可。

続いて「フェミニズム」と行けばあまりにもべただったのだが、少しはファニッシュな企画も楽しまないとと考え直し、「SFクイズ」に。オークションで若尾天星さんの名調子を聴くというのにも魅力を感じたが、クイズの魅力には勝てないよね、などと安易に考えていたことを後悔するのはまだまだ先のことなのである。

まあ、それはともかくクイズだ。プロを中心とした解答者が解答する観戦主体のクイズ。基本的には記憶問題なのだが意外と皆苦戦している。大会実行委員長や塩澤快浩はともかく、小浜徹也に大森望、山岸真といったいずれ劣らぬ化物達があれほど苦戦するとは意外。確かに、そんなもんしらねーよという問題も多かったが、普通に覚えているはずのものを結構あったはず。往年に比べると実力が衰えているのは否めないのでは。
などと無責任な批判をしているが自分も読んだはずの本のネタが思い出せなかったり、記憶力の低下を痛感させられていたりする。いや、25過ぎると駄目ですね。本当に。
そんな中、前半をぶっちぎりのトップで終えたのは案の定山岸真。2位につけた大森・小浜としては観客参加形式の後半で逆点を狙いたかったはずなのだが、これが全然駄目。ビンゴの達成者が、解答者からプレゼントを貰う代わりに点数を与えるという形式だったのだが、このプレゼントの一番人気が山岸真というのでは順位争いは全く盛り上がらない。参加者の勝負にかける情熱の差が出てしまったか。
しかし、前半ぶっちぎりのトップがいると聞いていたら、例えプレゼントが下らないものだろうがどうだろうが、2位に配点するのが常識というものだろう。場の盛り上げをわかっていない参加者にも困ったものである。
もちろん、勝ち目の無い参加者に配点するなんてのも以ての外だ。え?すでに逆転の望みの無かった小浜徹也に配点したお前はどうなんだって?
あの時点で、大森望が山岸真を上回る可能性はほとんど無かったのだから、2、3位の順位逆転を狙いに行くのは当然のことではないか。例え、それで貰えるプレゼントが「星雲賞受賞の帯」だったとしても。

クイズが終ってしまうと見るべき企画が無くなってしまったので、会場内をうろうろ。SFセミナーの部屋の前で鈴木力氏に会ったので、彼の『もてない男』論を聞く。そのうち福井健太氏も現れたので、野球の話や美少女ゲームの話など。
結構長い間話し込んではいたが、クイズ終了(午前2時半)からエンディング開始(午前8時半)までの6時間はそう簡単には終らない。鈴木力さんが離脱したので、福井さんとともに別の話し相手を求めラウンジへ。小浜さん達の席に混じりしばらくクイズの話などをする。
が、それでも夜は終らない。午前6時には、みな部屋に戻っていってしまったので、また居場所を探さねばならなくなった。確かに部屋に戻って寝るという考え方もあるのだが、それを実現するためには、部屋にはすでに6人以上いるという現実を何とかする必要があるのだ。しかたなく、またラウンジに戻ってみると、奥にDASACONスタッフの人を中心に何人か知った人がいたので、座の端に混ぜてもらう。えーと、なんの話をしていたかな。とりあえず、朝食の場で森さんが、野田さんと志村さんの関係について、何かを野田さんに把握させようとしていたことだけは印象に残っている。いやぁ、何が問題だったのだろう。

そんなこんなをしているうちに密かに怖れていたエンディングがはじまってしまった。『海外SF翻訳作品集成』がファンジン大賞エディトリアル部門を受賞したのだが、作成者のAmeqさんがやねこんに参加していないので代わりに授賞式に出なければならないのだ。世の中で何が苦手って人前で話すことが一番苦手な人間にはかなり過酷な状況である。
壇上には知人もいたので少しは落ち着くかと思ったのだが、残念ながらそんなことはなく、ずっとうわずったまま行動することとなった。
大原まり子ファンクラブ・森太郎氏など授賞式に出ることを当日朝要請されたというのに、終始落ち着いて行動しており感心するほどだった。やはり演劇経験者は舞台度胸が違う。受賞者(代理)挨拶でも、かろうじて頼まれていた内容だけは喋ることができたが、全体としては支離滅裂。その後のエンディングは、自責の念に駆られながら見ることになってしまったことであるよ。次回は、この反省を生かしてもう少し練習して舞台に挑もう。 < 次回ってのは何だ次回ってのは

そんなこんなのうちにエンディングは終了。藤澤さんのピカチュウ号が異様にウケていたので、出発に手間取ったが、しばらくするうちになんとかブームも去り、ついに白馬グリーンプラザを後にした。

7月 4日
つーわけで、エンディング後である。
帰りは西に向かう水牧先生(10)も合流したため、松本から中央道に乗るルート。松本までは、さすがに眠かったので後部シートで倒れていたが、なにやらDAIVAとか、文字セットの話とかを聞いた記憶がある。確かに、「く」の長い奴は欲しいかも。

松本市内で昼飯を摂るためフラフラしていると古本屋を発見。いくら松本全市の古本屋が日下三蔵に荒らされた後だといっても、目指す本さえ重ならなければ問題はない。というわけで、食事のことも忘れて本屋に寄ってみると、これが中途半端に良い店だった。このラインナップなら日下禍の影響も少なかろうと、60年代生まれは欲しがらないような本を購入する。

購入したのは、星新一『進化した猿たち』『新・進化した猿たち』(早川書房)、アシモフ『輝けクェーサー』(培風館)、ラファティ『イースターワインに到着』(サンリオ)、『子供たちの午後』(青心社)の5冊。ラファティの2冊は当然持っているわけだが、適当な値段だったのでDASACONのオークション用に購入しておいた。ちなみにフライング交渉も受け付けなくも無い(ただし、物々交換のみ)のでそういう方は秘密裏にご連絡を(笑)。

昼飯後、水牧と別れ中央道に乗って東京へ。この辺からは完全に眠り込んでいたんで碌に会話が出来ていない。同乗していた、藤澤さん(7)や藤元さんにご迷惑を掛けていないことを願うばかりであることだよ。
そういえば藤元さんに昨日のオークションの結果を教えて頂いたのはこのあたりか。SFマガジン創刊号が3000円、2,3号が1000円台というのはいくらなんでも間違っているとしか言いようが無い。天はきっとこのような不埒な行為を許さないので、その部屋にいた人は反省するように。

不二家系列の制服レストラン(ここへ行くことを提案した方は、目当ての制服を着た者がいないことで致命的なダメージを受けていたようである)で清算をした後、三鷹まで送って頂き、帰宅。

7月 5日
古書ワタナベによって棚を見ていると、とんでもない物を見つけてしまった。この店は高いながらも納得できる値段の物が多く、割と信頼していたのだが、いくらなんでもこれは。<ジェイムスン教授>の揃いが8000円は無いだろう。確かに、<ジェイムスン教授>は素晴らしい物語だが、あれはあくまで4冊2000円以内で読むから価値があるのであって、8000円出してまで読む話では無いぞ。本の価格が、中身の「格」ではなく、希少価値で決まるのはよくない傾向ですね。いや、仕方が無いのはわかってんだけど。

荒俣宏『ホラー小説講義』(角川書房)を購入。そうまで、ホラーで推すか角川。まあ、少なくとも図版は多いんで良しとしよう。

7月 6日
仕事の話は、極力書かないようにと思っていたのだが、どうしても記しておきたいネタがあったので一点だけ。
今日は、つくば宇宙センターで仕事だったのだが、帰りは飲むことになってしまい遅くなった。それはまあ、良い。付き合いの必要性はわかっている。しかし。
なぜ宇宙実験棟のロビーなんぞに、カウンターバーがある。> NASDA

昨日買った『ホラー小説講義』を拾い読み。全体は良さそうなのだが、細部が微妙に気になる。スクブスを男淫夢魔とインクブスを女淫夢魔と言ってみたり(76p)、『家畜人ヤプー』を紹介する勢いが余ってかガリヴァーの方までヤプーと言ってしまったり(114p)。他にも確信が持てないので書きはしないが、疑問に思う所がちらほら。著者が荒俣宏だけに、こちらがまちがってんじゃないかと思ってしまうあたりも、嫌な点だ。ああ、気になる。

7月 7日
やねこん疲れをとるため、有給。これでゆっくりとハヤカワ文庫解説目録をチェックできる。

が、その前に99年5月のハヤカワ文庫挟み込み広告を無くしたことに気づいたので、サラ・ゼッテル『大いなる復活のとき』を買ってくる。ああ、諦めて読むのか、これ。

まあ、それはそれとして目録落ちのチェックだ。結果はSF-MLにも流したのだが、2点ほど意外な事実があった。
まずは全体。
        タイトル  冊数 作家数(作家別分類記号の数)
99年1月    365  /  414 86
99年7月    368  /  421 89
というわけで驚いたことに前回に続き微増だ。ここ1、2年のハードカバーの充実ぶりや、他社の出版状況を考え合わせても、全体状況は上向いているとしか思えない。ひょっとしたらSFのインディアン・サマーくらいは訪れているのかも。

次に目録落ちタイトル。
以下の通りなのだが、いくつか驚いたタイトルが並んでいる。
269  ア-1-3  永遠の終り アシモフ
1093 ア-2-7  タイム・パトロール/時間線の迷路 上下 アンダースン
68   ア-3-1  地球人のお荷物 アンダースン&ディクスン ホーカ
238  ウ-1-4  見えざる破壊者 ブリッシュ 宇宙大作戦
253  ウ-1-5  謎の精神寄生体 ブリッシュ 宇宙大作戦
441  ウ-1-13 上陸休暇中止! ブリッシュ 宇宙大作戦
234  ウ-2-1  スラン ヴァン・ヴォクト
700  ウ-4-8  母なる夜 ヴォネガット 
1199 ヌ-1-2  花粉戦争 ヌーン
1076 ハ-1-29 フライデイ 上下 ハインライン
1043 ハ-9-1  天の筏 バクスター
742  マ-1-3  キラシャンドラ マキャフリイ
973  ラ-3-5  セックス・スフィア ラッカー
1092 ラ-3-6  時空の支配者 ラッカー
1161 ラ-3-8  ハッカーと蟻 ラッカー
宇宙英雄ローダン210-213
そう、アシモフとマキャフリイだ。確かに落ちたのは1冊ずつに過ぎないが、目録落ちに最後まで抵抗していたこの二人も、目録落ちの例外ではないことを示した価値は大きい。あとはディックの牙城に穴があけば例外は完全に無くなる。そうなれば目録掲載作の流動化はより激しくなるだろう。大作家の作品というだけで目録に残っているタイトルが、ガンガン目録落ちするようになれば、僕の愛するマイナー作品が復刊される可能性も大きくなるはずだ。とりあえずその日に向けて『キャプテン・ジャック・ゾディアック』を大々的に宣伝しておこう。

付記:今回の目録で一番目を惹くのはルーディ・ラッカーの壊滅状態かもしれない。が、個人的にはあまり悲観していない。ラッカーは過去にも何度か復刊を経験しているのだから、何か1作でも残り続けていれば、いつか再度復刊される日も来るだろう。数年のサイクルで目録落ち・再掲載を繰り返すのが、オールタイムベスト20位以下の作品のあるべき姿ではないかと思う。読者たる我々のやるべきことは、目録落ちを徒に嘆くことではなく、その作品が存在したことを忘れられないようにすることだろう。語るべき相手は出版社だけではない。次代の読者だ。

7月 8日
光瀬龍が死んだ。星新一に並ぶ大物だという認識はあるが、単独著作を読んだことがないので今一つ実感がわかない。昨年の500号にも原稿をよせるなど、星新一より遥かに現役に近い所にいた作家の死なのだから、インパクトはより大きいのだろうが、個人的には、ここ10年ほどのSFMに掲載された短篇によって構築された「耄碌した小説しか書かない人」という印象しかないからなあ。まあ、きっと大変なことなのだろう。

とりあえず、今の興味は今日泊亜蘭が逝くまでに何人死ぬかだな。

7月 9日
草上仁の『東京開化えれきのからくり』が出ていたので、手に取ってみた。カバー折り返しを見て愕然。草上仁って、全滅してたんだ。

早速、帰ってから最新の目録をチェックしてみたのだが、本当に1冊も(いや、もちろん『東京開化えれきのからくり』は載っているので1冊しかと言うべきか)残っていなかった。
ふだんSFMを読む際には退屈だの飽きただのと言ってはいたが、彼の諸作、特に初期の短篇は、SF入門としても小説入門としても実に優れた作品だと思っていたのだが。こういう素晴らしい職人を犠牲にしてまで、グインを出さねばならんのか、早川書房。目先の利益のため、この手の作家を切ることは、自分の首を絞めることだと思うんだがなあ。
#まあ、カジシンの作品集があるなら、キャラがかぶっているから草上仁はいらないという立場はありうる。

本の雑誌8月号をざっと眺める。エンターテインメント小説の99年上半期ベストをやっているが、どうやらSFは話題にすら上らないようだ。今年度上半期のSFは大豊作で、エンターテインメントと断言できる作品に限っても、『エンディミオン』という超大作があるのだが。ガジェットがSFであることは、思ったより重い足枷なのかもしれない。
もちろん、ハードカバー500ページ超4冊で構成されるシリーズの3作目である事実の方が強く影響している可能性もあるが。

7月10日
昨日の草上仁が壊滅していたという事実が気になったので、とりあえず数年間サボっていた文庫JAの目録落ちチェックをはじめる。
いやあ、いるわいるわ。全作品が目録落ちだったり、壊滅寸前だったりする作家がぼろぼろ。もちろん、代替出版社が実質存在しない(早川落ちを創元が出すという状況は、そうそうありそうに無い)海外SFとは違い、JAから消えても他の出版社で出続けている可能性はあるわけだが、なかなかそうもいかなかったりするわけで。
しかし、水見稜、中井紀夫あたりは気づいてたんですが、野阿梓、岬兄悟、久美沙織、東野司なんかも全滅してたんですね。新刊1作とはいえ生き残っている草上仁がマシな方ってのはなんだか。ハルキ文庫も古典(第1・第2世代の名作)だけじゃなくて、『山の上の交響楽』とか『くらげの日』の再刊をしたりしないものか。いや、早川からの復刊はなかなか期待出来ないし。
なんせ、目録で生きている文庫JA 229冊のうち、栗本薫関係だけで92冊あって、これが減る目処が立たないんだからなあ。

アシモフ『輝けクェーサー』(培風館)を読了。中身はいつものF&SFの科学エッセイ。山高昭・訳じゃないためか微妙に引っかかって読みづらかったが、内容は楽しめた。まあしかし、78年出版のものだけに探して読む価値はない。

アンドレ・ヨレス『メールヒェンの起源』(講談社学術文庫)も読了。聖人伝、一族物語、神話など、作者の特定できない「文学」作品について、その形式から本質を探るという内容。あくまでドイツ語で言うところの「聖人伝」なり「一族物語」なり「神話」なりについて語るので、今一歩納得が行かなかったり理解できなかったりという部分が多い。もう少し、周辺を勉強してからじゃないと是非の判断がつかないようだ。
とりあえず、メールヒェンは「民衆の倫理観(PTA的な倫理ではなく、善良なものは報われるべきだ、とか不幸は救済されるべきだ、とかの正義意識)に忠実に従うことで、民衆の心理的バランスを取る装置である」という考察は面白かった。

つい、ふらふらとペプシのペットボトルを買う。出たのはNUTE GUNRAY(HEAD)とOBI-WAN KENOBI(1)。別にいらないので、欲しい方は言って下さい、差し上げます。
しかし、あれですね。1日にペプシ500mlを2本飲むというのは拷問に近いですね。8時間以上間隔が空いていたのに、2本目は飲み干せなかったよ。

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