やねこん疲れをとるため、有給。これでゆっくりとハヤカワ文庫解説目録をチェックできる。
が、その前に99年5月のハヤカワ文庫挟み込み広告を無くしたことに気づいたので、サラ・ゼッテル『大いなる復活のとき』を買ってくる。ああ、諦めて読むのか、これ。
まあ、それはそれとして目録落ちのチェックだ。結果はSF-MLにも流したのだが、2点ほど意外な事実があった。
まずは全体。
タイトル 冊数 作家数(作家別分類記号の数)
99年1月 365 / 414 86
99年7月 368 / 421 89
というわけで驚いたことに前回に続き微増だ。ここ1、2年のハードカバーの充実ぶりや、他社の出版状況を考え合わせても、全体状況は上向いているとしか思えない。ひょっとしたらSFのインディアン・サマーくらいは訪れているのかも。
次に目録落ちタイトル。
以下の通りなのだが、いくつか驚いたタイトルが並んでいる。
269 ア-1-3 永遠の終り アシモフ
1093 ア-2-7 タイム・パトロール/時間線の迷路 上下 アンダースン
68 ア-3-1 地球人のお荷物 アンダースン&ディクスン ホーカ
238 ウ-1-4 見えざる破壊者 ブリッシュ 宇宙大作戦
253 ウ-1-5 謎の精神寄生体 ブリッシュ 宇宙大作戦
441 ウ-1-13 上陸休暇中止! ブリッシュ 宇宙大作戦
234 ウ-2-1 スラン ヴァン・ヴォクト
700 ウ-4-8 母なる夜 ヴォネガット
1199 ヌ-1-2 花粉戦争 ヌーン
1076 ハ-1-29 フライデイ 上下 ハインライン
1043 ハ-9-1 天の筏 バクスター
742 マ-1-3 キラシャンドラ マキャフリイ
973 ラ-3-5 セックス・スフィア ラッカー
1092 ラ-3-6 時空の支配者 ラッカー
1161 ラ-3-8 ハッカーと蟻 ラッカー
宇宙英雄ローダン210-213
そう、アシモフとマキャフリイだ。確かに落ちたのは1冊ずつに過ぎないが、目録落ちに最後まで抵抗していたこの二人も、目録落ちの例外ではないことを示した価値は大きい。あとはディックの牙城に穴があけば例外は完全に無くなる。そうなれば目録掲載作の流動化はより激しくなるだろう。大作家の作品というだけで目録に残っているタイトルが、ガンガン目録落ちするようになれば、僕の愛するマイナー作品が復刊される可能性も大きくなるはずだ。とりあえずその日に向けて『キャプテン・ジャック・ゾディアック』を大々的に宣伝しておこう。
付記:今回の目録で一番目を惹くのはルーディ・ラッカーの壊滅状態かもしれない。が、個人的にはあまり悲観していない。ラッカーは過去にも何度か復刊を経験しているのだから、何か1作でも残り続けていれば、いつか再度復刊される日も来るだろう。数年のサイクルで目録落ち・再掲載を繰り返すのが、オールタイムベスト20位以下の作品のあるべき姿ではないかと思う。読者たる我々のやるべきことは、目録落ちを徒に嘆くことではなく、その作品が存在したことを忘れられないようにすることだろう。語るべき相手は出版社だけではない。次代の読者だ。