次の文章へ進む
前の文章へ戻る
「古典派からのメッセージ・1999年〜2000年編」目次へ戻る
表紙へ戻る

 

日本型投資銀行とは何か(承前)

 

Y 中期展望

 

三大変更

 企業文化を変え、日本型投資銀行としての経営を軌道に乗せた上で、三年後に三大変更を行いたい。一番目は行名変更である。いろいろな手垢がつきすぎている現在の行名から「日本投資銀行」へ名称を変えたい。企業の中身を変えるとともに、名は体を顕わすような名称にしたい。

 二つ目は経営トップの呼称変更である。「頭取」の呼称から「社長」の呼称へ変更したい。いかにも護送船団に乗ってきた従来の銀行のイメージが染み付いている「頭取」という特殊な呼称を廃し、純粋に民間企業であることを内外にはっきりさせるために「社長」の呼称を用いたい。今日本の銀行に求められる経営者は、従来型、テクノクラート型のゼネラリストではなく、敵を知り己を知った上で自らの明確な企業戦略を打ち出すことができ、合理的リスク管理に精通した、度胸ある全人格的存在としてのゼネラリストであり、言わば当たり前の企業経営者なのである。

 三つ目は本店の九段下から大手町への移転である。「九段村」は居心地が良いが、ここにこもっていると、他業者や取引先との日常的な情報交換も思うようにできず、かつ、緊張感が不足しがちであり、投資銀行にふさわしいロケーションとは言えない。自らを競争場裏へ放り込むつもりで本店を日本の金融センターへ移したい。なお、同時に東京支店は廃止し、支払賃料の総額を増やさないようにしたい。

 

地球環境バンク構想

 二十一世紀は「地球環境をいかに守るか」が人類にとって最大の課題になるだろう。このテーマはまた、伝統的に自然との共生をライフスタイルにして来た日本が世界を主導できる分野でもある。日本の金融機関として、自然環境をテーマにした経営課題を構築し、これを実践することは社会的要望でもあると言えよう。我々は、単に環境関連産業への投融資を積極化するとか、環境に意を払っている企業を優遇するといった受動的な活動のみならず、自然環境擁護のための民間プロジェクトをPFIの形態でファイナンスするといった積極的な活動も視野に入れて経営課題を構築したい。

(一九九九年八月五日)