次の文章へ進む
前の文章へ戻る
「古典派からのメッセージ・2003年〜2004年」目次へ戻る
表紙へ戻る

 

変化の胎動?

 

 先月来の株式や長期金利の動きを見ていると、どうやら市場は何年かに一度の大きな節目に来ているような気がします。企業業績は、経費削減主導とは言え、大企業から順次回復してきています。海外勢だけでなく、機を見るに敏な国内の機関投資家や個人投資家が、そろそろ外国債券投資を控えて割安な国内個別株式を物色しています。十年国債が一%を割るような異常な低金利も、長期ゾーンから次第に修正が入っています。さらに、市場のヴォラティリティ(変動率)が高くなっており、変化の胎動を感じさせます。

 政府・日銀は、この自然な市場の動きを阻害するような金融緩和政策を取るべきではありません。超低金利は、資金収支赤字セクターである政府と一部の負債過多企業と米国にのみメリットがあり、資金収支黒字セクターである健全な日本の個人、企業にとっては何のメリットもありません。早く超低金利に終止符を打ち、いつまで経ってもリストラを進めない政府の官僚組織や負債過多企業や米国のモラルハザードを打ち破り、彼らの目を覚まさせるべきです。それが国民経済の利益にかなうと小生は考えます。

 以上は小生の以前からの一貫した主張です。平成一一(一九九九)年三月一〇日付「『低金利・円安』は国益に叶うか」を御参照下さい。

平成一五(二〇〇三)年七月二三日