築基参証 第二篇 健身静坐法の実践
第12章 小薬を得て周天を巡らせた後の体の様子および保養

許進忠     撰述
虞陽子     査定
神坂雲太郎    訳

 

第12章 小薬を得て周天を巡らせた後の体の様子および保養

 

  1. 小薬を得て身体に沿って巡らせた後は、汚いもの、生臭い物を最も嫌い、嗅覚が極端に鋭敏になる。
  2. 諸々の情欲が起こっても、次第に心を動かさなくなる。
  3. 暑さ寒さに対する抵抗力が増し、冬は綿入りの掛け布団がいらなくなる。
  4. 皮膚はしっとりとして、やがてきめ細かく艶がでる。
  5. 身体は常に調子がよく感じられ、生臭物を嫌う。食べる量は減少しても、体力は増大する。
  6. 視力、聴力は増し、老化による視聴障害をなくすことができる。眼力は増し、ますます眼光を湛えるようになる。
  7. 睡眠する時は次第にぼんやりしなくなり、時間が減るが、意識はすっきりする。
  8. 体の一挙一動が軽くなる。
  9. 睾丸は少しずつ収縮し、また性行為の際にはわずかに気が出るだけである。これ以上修行を進めないならば、次第に気が精液になって出る ようになる。
  10. 修行がこの段階に達するだけでも身体の精力は充実するが、さらにもう一歩進むことができれば、仙人の段階に並ぶことができるだろう。
  11. この後の修行は、熟達した人の指導にしたがって進めていかなくてはならない。もしこれ以上深入りしたくなければ静坐する時間を少なく し、静坐する前の普通の状態に戻りたければ俗人の様に気を消耗すればよい。
  12. その他静坐中に理解できない慧力(訳者注: 仏教語。広く知恵の力を指す)や、修行による生理的な現象が発生しても、決して軽々しく言いふらしてはならない。おかしなことに出会ったら、慌てて医者を 探して診てもらうようなことは避け、熟達した人に指導してもらうべきである。

 

 本書で述べてきたのは、仙学の第一段階の築基の一部である。初めて修行する者は「最初還虚」、「煉 己」、そして中年以降の人がしなくてはならない「調薬」、および老年の人が更にしなくてはならない「敲竹」などといった修行以前の過程があ ることも知っているべきだが、これらについてはここでは省略する。

 中華民国53年11月29日脱稿、この第五稿はそれより時を経ること五年、最終的に虞陽子の査定を経ている

 

 

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