九州ひとりでラリー2004

晴のち曇・所により一時雨か雷雨 - 大村線・長崎本線 -


博多 13:22-(4013M〜6013H:ハウステンボス13号)-15:02 ハウステンボス 15:10-(241D)-16:02 諫早

この日は諫早(いさはや)まで行き、それから大村線や長崎本線を約1日かけて見て回る。鹿児島へ行ったあとで寄る予定だったが、順番が入れ替わった。

ふつうなら〔かもめ〕で直接乗り込むところだろうが、博多でハイパーサルーン〔みどり・ハウステンボス〕に乗車した。ハウステンボスは佐世保線の早岐(はいき)から大村線へ1駅入ったところにある。

長崎までの鉄道は、いまの佐世保線〜大村線のルートが先に開通、その歴史は実に明治にまでさかのぼることができる。早岐や、近い佐世保軍港を重要視したものだろうか。最後まで大村線まわりで残った夜行ドン行列車〔ながさき〕……という名を出すと懐かしく思う方もいるかもしれない。もっとさかのぼると南風崎、とか。

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早岐で〔みどり〕と別れ、一駅間だけ単独で走った〔ハウステンボス〕を降りて待つことしばし、やってきた普通列車はキハ67系。筑豊本線の電化まで北九州地区だけで活躍しており、急行にも使用されたことのある「セミ転換クロスシート」車だ。長年のすみかを離れ「ワンマン」仕様に改造されてしまったが、急行形のワンマン化も山ほどあるし、特急でさえワンマンになるくらいだから嘆息することではない。

この区間を走る快速を〔シーサイドライナー〕と称するほど、大村線は海岸に近いところを走る。陽のあたる側だがかまわず進行右側に陣取ると、確かに近い。堤防ひとつへだててすぐに海だ。ここまで水際に近く線路を敷けるのも内海だからだろう。

どうも午前中から天気が今ひとつしっかりしないと感じたが、ところどころ雨に降られた。大村湾では回復したかに見えたが、諫早で車を借りて走りだすとまた曇る。そのうち雷が鳴り出し、大粒の雨も降り出す始末。結局こちらでは何もできなかった。なんだか今回はあまりうまくいかないのかねえ。

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夜、肥前山口駅に寄ってみた。現在、JR最長片道切符の終点はここ肥前山口となっている。(佐賀方面から一度肥前山口を通り、大村線をまわって戻ってくる。ひとつの駅に二度着いたらそこで打ち切り) 「列島縦断 鉄道12000kmの旅」達成の記念碑が、最近建てなおされ橋上駅舎となった、その駅前広場に据えられていた。路線の開通や廃止などによってこの起終点というのは変わってもおかしくない (事実、一時期は枕崎や姪浜だった) ので、決め打ちしてしまっていいのかという疑問もあるにはある。でもまあ、すくなくとも九州新幹線(鹿児島ルート)の全線開業時点まではここが終点となることは予想できるのだが。


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長崎へ向かう〔あかつき〕(肥前鹿島-肥前浜)
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撮影行では中途半端に曇るのが一番いやなのだが、幸い翌朝になると晴れてきた。これならきょう一日は降らないだろう、「朝飯前」の〔あかつき〕を皮切りに、予定通り長崎本線を見て回る。

「本線」とはいっても長崎本線の複線は肥前山口で終わり、諫早まで単線。肥前鹿島より先、半島をめぐる線路は海岸線にそって細かく曲がりくねっている。高速バス対策として〔かもめ〕には振子電車が投入されたが、それとてフルスピードはとうてい望めない。

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入り江に沿って進む ローカル電車も新鋭817系に (里(信)-多良)


海岸のすぐ近くまで山が迫っているので人口は少なく、入り江ごとに小さな集落ができる程度。長崎自動車道は北西まわり彼杵(そのぎ)・大村経由だし、計画されている九州新幹線・長崎ルートもこちら側は通らない。観光都市でもある長崎への路線ということで特急なら「白いかもめ」を中心に1時間に1本以上は走っているが、普通列車は佐賀・長崎県境で特に少ない。

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海水浴場の後ろに有明海が広がる 海を見下ろす食事処から (里(信)-肥前大浦)
[Nikon D100, AF Nikkor ED 18-35mm F3.5-4.5D(IF), ISO]

長崎本線と一緒に半島を巡って諫早、そして長崎へ。諫早の一つ先、喜々津(ききつ)から浦上までは、1976年の電化を機にショートカットの新線が建設された (1972年開通、単線)。旧線は非電化のまま残されて、以降ローカル列車だけが走っている。九州でも屈指の好風景を特急からは見られないのが惜しい、というよりお時間に余裕があれば大村線とセットでぜひどうぞ。途中の長与付近はベッドタウンが形成されているようで、主に大村線へ直通する列車は昼間も一時間に1本程度と比較的頻度は高い。

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波静かな大村湾をめぐる鉄路 (喜々津-東園)
[Nikon D100, AF Nikkor 35mm F2D, ISO 200]

長崎は坂の街。車を返してふと見ると駅のすぐ前まで山が迫っており、住宅がへばりつくように建て込んでいる。戻りの〔かもめ〕にはグリーン券を買っており、時間があるので100円の市内循環バスに一周揺られた。いつもは路面電車で回るところだが、それ以外の場所を走るのもたまにはいいなと思う。

「白いかもめ」の革シートに身を沈めて、諫早からはさっきまで見て回ったところを逆再生。引き潮となった有明海は遠くまで干潟が広がり、別の場所にも思える。その海が離れていく肥前浜(ひぜんはま)を通過したとたん、〔かもめ〕は猛然と走りだした。